月夜裏 野々香 小説の部屋

    

仮想戦記 『国防戦記』

 

 

 第32話 1973年 『こぼれたミルクは・・・』

 東欧の民主化が国民の力によってなされ、

 国民の力によってチリの共産化がなされた。

 自由と共産が国民の力で行えるとしたら・・・

 2割の人間が8割の富を有する国では、お金持ちに対する風当たりが強くなる。

 当然、お金持ちのために命懸けで戦うのもバカげた事に思えてくる。

 ゼネスト、犯罪、反戦運動は急増。

 アメリカ国内情勢は、悪化の一途をたどり、

 対外的な攻勢をかけられなくなっていた。

 そして・・・

 01/27 青海和平協定調印。

 青海和平協定の会見中、

 禁止していたウォーターゲート事件の質問が記者によってなされた。

 「私はペテン師ではない(I am not a crook)」 リチャード・ニクソン

 この状況で、アメリカ大統領の不正は致命的だった。

 そう、アメリカ合衆国は強者に媚びない自由と正義の国だった。

 

 

 ホワイトハウス

 「わたしは、国民から選ばれた大統領だぞ」

 「お前たちが何を言おうと、アメリカ合衆国の統治者は、私だ!!」

 「このままでは、アメリカの正義が保てません」

 「アメリカをブラジルのようにしたいのですか?」

 「ソビエト連邦のフルシチョフ書記長ですら、自ら進退を悟って決めたというのに・・・」

 「・・・・」

 02/18 リチャード・ニクソン大統領 辞任。

 アメリカ財界は、アメリカ社会が収拾つかなくなる前に事態を収束させる必要を感じていた。

 そして、ニクソンに圧力をかけ、

 辛うじて良識を持ち合わせていたニクソンを辞任させてしまう。

 

 アメリカ某所

 黒服の男たちがいた。

 「辞任で良かったので?」

 「アメリカ合衆国は、マフィアの国ではない」

 「我々財界も、そのような国にしたいと思わないのだ」

 「弾劾は?」

 「するべきだろう。スケープゴートを出さねば、国民は収まらない」

 「財界のために?」

 「アメリカの自由のためにだ」

 アメリカ史上初の現職大統領の辞職、

 ジェラルド・R・フォードは、大統領選挙をせず大統領になった。

 そして、新大統領は、ニクソン元大統領を庇うことができなくなっていた。

 アメリカは、対ソ戦略上、相対的な偽善が求められ、

 歯止めが利かない情勢になっていた。

 国民の弾劾要求はそれほど大きく、アメリカ財界の圧力も大きかった。

 ホワイトハウス。

 「フォード大統領。君は自由と正義より、大統領の権威を守りたいのかね」

 「君にとって自由と正義は、大統領より矮小な存在なのかね」

 「アメリカは、自由と正義の国なのだ。大統領の国ではないだろう」

 そして、元大統領に対する弾劾が始まる。

 

 

 財界人たち

 「上手くいきましたな」

 「これで、国民の目を大統領に向けさせることができる」

 「権力の犬どもが五月蠅かったが正義を捻じ曲げるのは苦痛だからね。押し切れたよ」

 「ニクソンの醜態を晒して貰って、国民の目をそちらに・・・」

 「ったく、何が正義だ。くだらん」

 「だが、国民の不満を大統領に向けさせないと、我々も・・・」

 「フランスとイタリアの資本家は流動資産を抱えて逃げてきた」

 「西ドイツの財界も逃亡を考えている」

 「バカ民衆どもが社会を繁栄させる原動力は、揺るがない自分の牙城を築こうとする意思なのだ」

 「それを捨ててしまうなど気がふれている」

 「確信犯だと思うね。一度、貧富の格差をリセットしたいのだろう」

 「貧しい者は公平を求め。豊かな者は不公平を求める。そういうものだ」

 「公平なチャンスを与えるべきではない。チャンスを与えれば、我々が脅かされる」

 「チャンスの芽を塞いできたからな。だが、もう限界だ」

 「ここで退かねば、我々の資産まで、失いかねなくなるぞ」

 「退く方が危ないのでは?」

 「東欧は、自ら退いた事で未だに共産党が第一党だ。民主化の動きも沈静化している」

 「フランス、イタリアも、完全な共産主義ではなく期間限定で納まっている」

 「それが守られるかな」

 「守るだろうよ」

 「国民を戦車で押し潰せないのであれば退いた方が良い」

 「君らと違って、我々は、油田を奪われたら、それ以外の生産手段がないのだ。苦しくなる」

 「資産の避難は?」

 「させているよ。アフリカ諸国にも私軍を送っている」

 「それと、日本のボルネオ州か、お金持ちの国ができそうだな」

 「我々のサイフだ」

 「まったく、いやな時代だな。暗黒時代だ」

 「しかし、日本のチリの拠点・・・」

 「まずいが揚子江の権益を失う方が、もっとまずい」

 「日本は、核の脅しが効かないぞ」

 「日本も核兵器を持っていたな」

 「ああ、アメリカにまで届かないが、その気になれば、作れるだろうよ」

 「わかるものか、我々は、日本の公共地下施設の全容すら掴み切れていないのだぞ」

 「隠し持ってるかもしれんだろう」

 「公共地下施設は、掴んでいるさ」

 「ただ、認知し切れないほど多いだけだ」

 「日本軍でさえ全容はつかんでいないだろう」

 「それもあるが、軍施設のいくつか、位置を掴んでいる」

 「しかし、核の直撃も、バンカーバスターも届かんよ」

 「我々は、資産を守らねばならん、そのためには戦争も辞さない」

 「しかし、この状況で戦って得られるものがあるのか」

 「確かに得るモノより、失うモノの方が大きい」

 「ここは、日本と協調関係を結び日ソ分断を図るべきではないか?」

 「それができれば、そうしている。米ソ関係もしかりだ」

 「・・・やはり、ユーラシア大陸鉄道が日ソ関係の絆を強めているようですな」

 「ああ・・・」

 

 

 欧州大陸は混乱していた。

 イタリアとフランスは、期間限定で共産化。

 東欧諸国も多党制に以降した後、私有財産の上限を定め命脈を保っていた。

 西欧と東欧は、私有財産の上限を一律100万ドル相当にしていた。

 これは、国家間で出し抜いたり競争するより、最大公約数的に決めた方が良く。

 計算しやすいからという官僚の都合だったりする。

 そして、民主化した東欧は驚きながらもフランスとイタリアの限定的な共産化を静観していた。

 フランス・イタリア資本の一部が私有財産の上限一杯で、東欧諸国に流れ込んでいた。

 民主化した東欧諸国で共産化した祖国フランスとイタリアを見守る者もいた。

 西欧のお金持ちが東欧に資産の一部を流せたのは、経済で新幹線効果が大きく、

 利便性が高かったこと。

 シベリア鉄道の複々線化がギリギリ間に合い、

 商品が多量に入荷されていたからと言える。

 日本商店以外の商店にも日本製品が溢れ、

 アメリカ、イギリス、フランス、イタリアの商品も流れ込む。

 フランス人とイタリア人が買い物に来るとインフレが起こった。

 共産党の言いなりで生きてきた役人が競争社会に放り出され、

 身銭を使い果たし購買力を失っていく。

 ホームグランドという地の利が生かせても、金の力は強かった。

 かといって、外国人に対し、泥棒に近い法律を強行すれば外資はすぐ逃亡していく。

 民主化した元共産国家の国民は、資本主義の生き馬の目を抜くような競争に晒されていた。

 日本商店

 「さっきのイタリアの客。かなり怒ってたよ。祖国を泥棒扱いしやがった」

 「庶民がキレると怖いね。お金持ちは、100万ドル単位で東欧に分散し始めてるよ」

 「でも、私有財産の上限が決められるというのもアレだよね。意欲を削ぐよね」

 「稼げるやつはだろう。100万ドル相当なんて、そうそう作れないよ」

 「だいたい、私有財産が限定的に認められたからって」

 「金持ちになれるチャンスがあるだけで、金持ちになれるとは限らないだろうに」

 「そうそう」

 「しかし、欧州大陸も一律で私有財産の上限を決めるなんて、画一された感があるね」

 「制限された夢か・・・」

 「東欧の人間だって100万ドル超えそうになったら、ほかの国に資本を持ち出すよ。きっと」

 「でも、お金持ちは、富を求めて戦争しなくなるかも」

 「だと良いけど・・・」

 

 

 ハンガリー ブタペスト

 祖国に戻った家族たちがいた。

 「また戻ってきたのね」

 「自由を求めて行ったフランスが共産化して、祖国ハンガリーが民主化してしまうなんて・・・」

 日本商品が溢れ活気付いた商店街が軒を連ねていた。

 

 

 アメリカ軍は、青海省から撤退していく。

 もっとも、争奪戦の主役は中黄連邦と中華合衆国だった。

 後ろ盾が退いたからといって、青海の資源は惜しいと中華合衆国は粘りに粘って戦い。

 揚子江から南を得てしまう。

 そして、中華合衆国がようやくチベットに目を向けたとき、

 歴戦のチベット山岳部隊によって守られたチベット省軍管区が存在した。

 チベット省境でAK47、RPG7を持ったチベット傭兵が中華合衆国の代表団を止める。

 「ダライ・ラマに会見したいある」

 「すぐには無理だ」

 「中華合衆国にお前の身元を確かめたのち、ダライ・ラマにお伺いを立てる」

 「本当あるか」

 「嘘など付かない」

 「まさか、法王が幽閉されているという事はないあるか?」

 「そのような事はない」

 「本当あるか」

 「本当だ」

 「もし、幽閉されていたら、力尽くでも解放するある」

 「出来るもんならやってみな」

 「・・・待たせて貰うある」

 「身分証明書を見せろ」

 「「「「・・・・・・」」」」 ぶっすぅううう・・・・

 軍事力が強くなると閉鎖的になりやすかった。

 そう、チベット自治州は、中黄連邦と中華合衆国に対し、

 日本のようになる道を模索していた。

 

 

 インドネシア連邦

 総人口1億3000万。

 名目的に主権を預かり多産なジャワ人は5000万。

 そして、混血が進み教育など質的な面で圧倒的に強い日系人が2500万。

 アメリカ資本、華僑とも当初、反日だった。

 しかし、ここに来て、日系人と協調。

 単に力関係が変わり、抗争から競合に変わっただけと言える。

 日系人が開拓の過程で人命が失われ、

 インドネシアの土地に日本以上の愛着が根付いたこと。

 本国から追放された恨みが少なからず残り、日本連邦と距離があったこと。

 世代交代で伝統と精神的な相続が上手くできず、

 日本人のアイデンティティが薄れたこと。

 そのためインドネシア人に近付いた部分もあった。

 もっとも、日本語を読み書きし、日本語を話すため、文化的には日本人と言える。

 また、日系人でなくても日本語を話す者が6000万。

 この数の力が、インドネシア連邦の日系人社会を支えてしまう。

 日本家屋で、日本庭園風の南洋庭園が広がり、一見すると沖縄のようにも思えた。

 文化的独立は、年月を必要とし、

 日系人のアイデンティティで微妙な葛藤が表現されている。

 「日本が南米大陸への道を切り開いたらしいよ」

 「穀物が輸出できるかな」

 「南米の方が採れそうだけど」

 「でも、製鉄所と造船所も大きいのができたから、南米に船出できるかも」

 「問題は、ボルネオは、日本と違って、必要とするモノがあまりないことかな」

 「野心というか、意欲というか、志を高く持たないと」

 「国民の器が小さく、弱いと、国が大きくても強くなれないよ」

 「いや、強くなれないのは不統一が原因」

 「どっちにしろ、海外貿易で強国にならなくちゃ」

 「しかし、主権を握っているからって、ジャワ人の人口増加は多いな」

 「ジャワ人は、元々の土地で慣れてる」

 「日本人とは、蚊に刺された時の腫れ方も全く違うしね」

 「もっと、医療に力を入れないとね」

 「日本も医療は弱くて欧米頼みらしい」

 「土地柄ボルネオ州の方が医療で強くなると思うよ」

 「そっちの方が、日本と相克し合わずに済む、補完し合えるかもしれないな」

 

 

 北青海省

 揚子江より北の面積は、南の6倍ほど大きかった。

 ヤクの肉が焼かれ、冬虫夏草のスープ、醸皮(ニャンピー)、羊腸麺がテーブルに並ぶ。

 青海湖の湖岸、ロシア人、中国人、日本人が山岳地帯を見渡しながら会食。

 凍土、氷河をどうするか検討しながら、鉄道の建設ルートを決めていく。

 創造は、破壊より困難といえた。

 人を殺すより人を生かす方が難しいと言える。

 ソビエトの技術・資源、日本の技術・生産力、中国の労力・資源。

 上手く利権配分が決まっていくと組む事が出来る。

 1ヵ国で不可能でも3ヵ国では、損益分岐点と採算性が良くなり事業が可能になる事もあった。

 無論、信頼できる実績が積み重ねられている、という前提があった。

 青海省は戦後直後で荒んでおり。

 実質、漢民族の省になりそうだった。

 「ヤクの味は悪くないですな」

 「ええ、放牧地として、有望ある」

 「開発の甲斐はあるのですが、やはり標高が高過ぎますな。最大の難関は凍土、氷河」

 「ソビエトと日本にも凍土が存在するある」

 「日本は、地下ですよ」

 「国防を兼ねる必要がないのであれば、高く付きます。ソビエトでしょう」

 「まぁ 何とか協力はできるでしょうな」

 「よろしくある」

 「機材は、やはり、日本の方が良いでしょう」

 「取り分以上は、協力出来かねますよ」

 「知ってるある」

 

 

 

 チリ

 とある部屋

 アウグスト・ピノチェト将軍は行ったり来たり。

 黒服の男たちも憮然としていた。

 「どういうことです。いまさら退くなんて」

 「東欧は民主化しつつある」

 「東ドイツ、ルーマニア、ブルガリアも時間の問題だ」

 「それがチリの共産化と何のかかわりがあるというのか」

 「フランスとイタリアが限定的に共産化した今、チリが共産化しようと大勢に影響はないのだ」

 「わたしは、アメリカ資本と地主の権利を守ろうと言っているのですよ」

 「チリの銅山なら買えばいいことだ」

 「し、しかし・・・」

 「我々としては “チリが日本に領有させた 飛鳥 なる権益地が無駄だった” とチリ人に思わせられれば、それれいいのだ」

 「飛鳥を口実にアジュンデを倒すことができるのですよ」

 「とにかく、我々は、今回の件で、手を退く」

 「そんな・・・」

 アメリカの姿勢は “アジェンデ共産政権下のチリは、ナット、ボルト、一つたりとも持ち込ませない” であり。

 チリに取り付いた日本人は、飛鳥を造成しつつ、物資をチリ全域に供給していた。

 チリ国民の大多数はアメリカを敵と認識し、日本を味方と認識していた。

 ソビエトで訓練を受け青海で実戦経験のあるチリ傭兵がアジュンデ親衛隊として大統領府を守っていた。

 この状況でピノチェト将軍のクーデターが失敗するればチリ人の敵意は、アメリカに向けられ、

 資本主義への憎しみに変わる。

 CIAは、最悪の状況を避けるため、将軍を切り捨てるよりなかった。

 

 

 日本は、飛鳥の造成・建設を進めつつ、同時に商品を飛鳥へと輸送していく。

 日本から大量の部品をチリに輸出する必要があった。

 そして、飛鳥に流れ込む資源、海産物が輸送船に乗せられ、日本へと運ばれていく。

 CIAが手を退いた途端、

 後ろ盾と資金源を失ったチリの資本家、資産家は、国外に逃亡するか。

 アジュンデ政権と手を結び国営公社の責任者に納まっていく。

 チリ人の大多数に支持されたアジュンデ大統領は支持基盤で強く、

 チリ軍も不承不承に忠誠を誓う。

 “そう、国民の選挙によって共産化したのであれば、国民の選挙によって民主化できた”

 

 

 この頃、欧米諸国は、フランス・イタリアの共産化と資産の避難先を探し、

 その一つで南米に進出していた。

 特に急速に経済を成長させているブラジル投資が加速する。

 日本は、南米投資で出遅れていたため、

 飛鳥の開発と緑化に投資されてしまう。

 南米諸国への直接投資は、しばらく、困難といえた。

 

 

 飛鳥

 飛鳥の沖合に氷山が浮かび、そこから水を輸送していた。

 砂漠で貴重はずの水が潤沢に溢れる。

 いまの飛鳥は、世界で最も水資源が豊富といえた。

 観光に来たチリ人やペルー人が氷山で作った氷のホテルに入り込む。

 「冷たい!!」

 チリとペルーの子供たちがはしゃぎながら、氷の上を走りまわる。

 大人たちは、スケートに興じたり。寒々とした湿気混じりの空気を楽しんでいた。

 そして、海上を飛ぶ砂漠色のMi24ハインドを珍しそうに見つめる。

重量 全長×ローター×全高 馬力 最大速度 航続距離 乗員 ミ・爆  
8570/1130/11500 17.51×17.30×3.90 2225×2 320km 1000km 2+8 2400kg  

 敷島、八島は、大型ヘリの運用も楽に行うことができた。

 

 飛鳥の市長室にチリの大使が入室。

 「これは、これは、大使。ようこそ」

 「飛鳥の代表は、市長と聞きまして」

 「ええ」

 「もっと、高位の地位かと思っていましたよ」

 「規模が小さいですからね、市長でも大げさですよ」

 「そうですか。随分とチリに輸出されているようですが、日本は大丈夫なのですか?」

 「はて? 大丈夫と言われますと?」

 「そのぉ 部品、日用品とか、無理されているのでは?」

 「チリの人口は、900万でしたかな。おかげさまで、大企業9社、中小企業1万が潤いますよ」

 「・・・そ、そういうものですか?」

 「もっとも、それを動かすためには、十分な資源がなければなりませんが」

 「そ、それはもう、できうる限り、供給させていただきます」

 「それは良かった」

 「今後とも、良い関係を築いていきたいものです」

 「ええ、お互いに・・・」

 アメリカが退いた隙に日本資本が割り込み、

 ペルー、チリとも友好関係を維持できそうだった。

 ペルー1500万、チリ900万の市場、

 その後ろに控えた南米諸国の市場は大きかった。

 しかし、日本本土は遠く、飛鳥は孤立していた。

 

 

 

 五大湖沿岸にアメリカ最大の工業地帯があった。

 デトロイト

 資本家たちは、時折、起こるゼネストに苦慮する。

 “共産化も辞さない構え” は “少しでも、有利な賃金体系に” まで、沈静化していた。

 というより、労働者側は、働かないと生きていけないだけともいえる。

 強硬派は一部だけ。

 たいていの者は、無知ではなく、共産主義の悪癖にも気付いていた。

 そして、資本家側の工作、誹謗中傷、仲間割れ、切り崩しも行われていた。

 欧州諸国と違い、アメリカ人は策謀に対する耐性は小さく、なんとなく収まっていく。

 それでも、資本家たちは、ため息の出ない日はなく、

 資本と利権を手放すまいと少しでも有利な条件作ろうと画策する。

 革命を最も恐れているのは、平均以上の収入と資産を持つ資本家であり、資産家だった。

 デトロイトのフランス料理店

 財界人たちの夕べ

 「まさか、フランスとイタリアが共産化するとはな」

 「期間限定だ。私有資産が国家に奪われ、何年も我慢できるはずがない」

 「日本と同じやり方だな」

 「資産家から奪って、最小限の私有地が貧民層に分配されている」

 「貰った土地を売って金に変えていけば社会資本は潤沢に活性化していくだろうよ」

 「だが、人口は、そのままだ。日本と同じわけにはいかんよ」

 「アメリカ合衆国に逃亡してきた資本家のおかげでアメリカ経済は、それなりに潤っている」

 「どちらにしろ、アメリカ国内で容共はまずい」

 「他の国にヘソクリを隠しておくべきだがね」

 「まさか、我々が搦め手で他国と妥協しなければならなくなるとは・・・」

 「我々は、中小国の国家予算ぐらいのお金なら使えるよ。準備も進んでいる」

 「独裁政治国家でも共産国家でも内部から切り崩しつつある」

 「小国や後進国は、喜んで我々の金庫番になるだろうよ」

 「それに・・・その気になれば、程度の低い国なら乗っ取りも可能だ」

 「しかし、製造業を国外に移転となると合衆国が弱体化するのでは?」

 「元々、低級品は賃金の安い国外で生産するつもりだったのだ」

 「我々が売らずとも西ドイツと日本が後進国に売って利益を上げている」

 「賃金が高くなればアメリカ人は低級品を製造しても生きてはいけないからな、良い気味だ」

 「だいたい、労働運動が激しさを増して賃金を上げられては、海外に生産拠点を移すしかあるまい」

 「しかし、子飼いの犬に噛まれたから、今度は、海外の野犬に餌をやるというのはね」

 「“子供たちのパンを小犬にやってはいけない” というのかね?」

 「さすがにキレましたか?」

 「“わたしはイスラエルの失われた羊のところへしか遣わされていない” わけではないのだよ」

 「国境を越えるとは、博愛的ですな」

 「我々の利益補償ができなくなったアメリカ合衆国を憂う気にはなるがね」

 「バカな労働者に義理立てする気にはなれんよ」

 「確かに、我々が合衆国から逃げ出さないとタカをくくっている節がありますな」

 「・・・やはり、日ソ協商が邪魔だな」

 「アメリカが先に理事国入りを認めれば良かったのだ」

 「こぼれたミルクは元には戻らんよ」

 「日本も飛鳥という弱点を作った。少しは、慎重になるさ」

 「弱点ね・・・」

 「少なくとも、我々の揚子江権益地より分が悪いだろう」

 「日本は飛鳥を守るため、政策が誘導されてしまう」

 「だと良いがな。いざとなったら切り捨てそうだな」

 「それは困るな」

 「日本も、いい加減懲りているだろう。満州帝国のように国を傾けてまで守ったりしないはず」

 「それにチリもペルーも親日だよ」

 「フン! 南米人は、みんな同じ、人災が服着て歩いているようなものだ」

 「それは言える」

 

 

 ルーマニアで政変が起きた。

 40両編成の新幹線が国境を越えて東に向かっていく。

 ロシア人と日本人が呆れたように見送る。

 「なんてことだ。共産主義のイメージダウンだ」

 「止めなくて良かったのですか?」

 「他所の国家元首が逃げ出そうとしたからって、押さえつけて、引き渡せっていうのか」

 「まぁ 国家指導者同士の暗黙の盟約というやつですか」

 「他国の国家主導者を貶めるのは、自分のクビを絞めるのに近いからね」

 「どちらにしろ、ルーマニア社会は、ズタズタにされましたよ」

 「共産国家のイメージダウンは変わらんよ。足を引っ張りやがって、あの馬鹿タレが」

 「少なくとも彼は、戦車で民主勢力を踏み潰さなかった。その点は評価すべきでは?」

 「戦車を動かしたら暗殺すると脅したからね」

 「それ以外の忠告は、聞きませんでしたね」

 「国家元首の政策を脅迫して変えさせたなんて、頻繁にやるもんじゃないよ」

 「しかし、ルーマニアは、民主主義勢力の勢いに抗しきれず西側寄りですかね」

 「西側民主勢力が回復しなければ良いのだが・・・」

 「なんなら日本で・・・」

 「・・・そういえば、日本って自由資本主義だっけ」

 

 外装は新幹線のまま。内装は贅が凝らされてた。

 車両の積荷は一国の至宝が詰め込まれ。宝船ならぬ宝箱だった。

 全て個人名義の資産であり、シベリア鉄道を周遊する。

 ニコラエ・チャウシェスクの一党は国家資産を持ち逃げし、

 ルーマニアから亡命生活に移っていた。

 ルーマニアは、共産主義政権が崩壊。

 逃げ遅れた秘密警察が民衆と警察に血祭りにあげられていく。

 

 

 

 第四次中東戦争

 エジプト軍とシリア軍がイスラエルに攻め込んだ。

 10日間にも及ぶ戦争は、エジプト・シリア軍の先制攻撃によって行われ、イスラエルは苦戦。

 その後、イスラエル軍がエジプト・シリア軍に反撃、巻き返していく。

 結果的に米ソが仲介に入り、停戦。

 しかし、問題は別にあった。

 石油輸出国機構(OPEC)は、イスラエルへ協力している国の石油価格を4倍に引き上げてしまう。

 オイルショック。

 日本は、イスラエルを支援しておらず。

 オイルショックの直撃を避けてしまう。

 とはいえ、あくまでも直撃を避けただけであり、アメリカと西側は、大打撃。

 輸出先のアメリカが痛手を受けると、日本も間接的に痛手を負う。

 たとえ、政治外交上、イガミ合い対立しても経済は必要とするモノを求めた。

 その価格が高騰し、輸出先が潰れれば、連鎖倒産倒産もあり得た。

 幸運にもペルー、チリなどの南米市場が損失の一部を埋め合わせた。

 

 首相官邸

 「石油は、すべての分野にかかわっている。製造原価が高騰すると連鎖倒産もありうるぞ」

 「我が国はイスラエルと協力関係ではありません」

 「ですが、アメリカを介して石油を購入することもあり、一部の製品で高騰は避けられません」

 「また、仮に直接価格が対日石油価格が高騰しても、満州油田とインドネシアの油田で何とか・・・」

 「油質の問題があるだろう」

 「ええ、ここは、やはり、東シナ海の油田を掘削するしかないかと」

 「また、他国と違い、消費面で電気自動車ですので直接は、影響が小さいかと思われます」

 「ただ、欧米諸国の機械部品、消耗品など購入価格が高騰」

 「我が国の輸出品の購入が渋られてしまいますので、対欧米貿易は、痛手を受けるはずです」

 「また発電関連の取引で、電気代が上がりする恐れがあります」

 「やれやれ、南米の飛鳥建設の以後で良かったよ」

 「以前だったら、燃料消費を考え、チリを見捨てたところだ」

 「輸送船の燃料など採算で厳しいですからね」

 「飛鳥の事で前もって買っていたのが幸いしたが、まったくだ」

 「各省庁と企業にはエネルギー効率の改善を指示しています」

 「元々、エネルギー効率を考えてのガソリン・ディーゼル車規制だからね」

 「この上、エネルギー対策は・・・」

 「オイルショック以前の採算で利潤をあげているのですから」

 「オイルショック後の採算効率は苦しくなるはずです」

 「なるほど・・・」

 「アメリカの石油業界が価格の高騰を狙って、中東戦争を煽ったという噂もあります」

 「確かにそれはあるだろうが、アメリカ自動車会社は石油の高騰に反対するだろう」

 「たしかに」

 「アメリカ財閥の一部が、中東戦争を画策し、たまたま、上手くいっただけだろう」

 「戦争に乗った方に原因があり、責任があるだろう。アメリカ石油業界の画策など、さざなみに過ぎんよ」

 「なるほど」

 「アメリカの、この手の画策に乗らないことだ」

 

 

 

 赤レンガの住人たち

 地図に軍機レベルの図面が描かれていた。

 「釜石の鉄鉱石は採算割れになるからって、港を海軍で使っていいのか」

 「潜水艦が多いだろう。民間船が多いところだと邪魔になるらしい」

 「釜石の漁船団は嫌がるかもしれないがね」

 「やっぱり、邪魔もの扱いか」

 「あそこ、リアス式だから断崖を刳り貫いてくれるらしいよ」

 「嬉しいね。出入りが、わからないのなら有利だ」

 「また土建屋の画策かな」

 「ちっ 国賊どもが我田引水で予算を私物化しやがって・・・」

 「まぁ 土建屋の失敗待ちかな」

 「土建屋が落ちたって、軍属の冷や飯は変わりそうにないけど」

 「時代が変わっても、人は簡単に変わらない。軍人が警戒されてもしょうがない」

 「出世も狭められているというのに愛国心に擦り減らされるなんて、奇特だよね、俺たち」

 

 

 日本にはターボファンジェットが3種類あった。

 ミグ19、ミグ21、スホーイ7の3つのエンジン使い、

 日本の国防で好ましい仕様の双発ジェット戦闘機を開発できた。

 むしろ、国防上、そうすべき。

 しかし、国際外交政治が、それを許さない。

 ユーラシア大陸網から流れてくる膨大な資源。

 それを加工して、ユーラシア鉄道で輸出していく。

 得られる利益も莫大で、笑いが止まらないほど。

 例外は国産は、早期警戒システム、潜水艦など、いくつかあった。

 しかし、基本は、ソビエト製兵器を母体にして依存している。

 そして、良質の兵器部品をソビエト共産圏に流している。

 その関係は、日ソ協力をより強いものにし、飛鳥のチリ航海の成功にも寄与していた。

 「単純に考えるとだな。ミグ25戦闘機。スホーイ27戦闘爆撃機を改良するより」

 「ミグ21とスホーイ7をさらに軽量化して、電子装備を強化すべきだろうね」

 「数を増やせないのなら、個体性能を上げたいんだけどね」

 「でも、ソ連も良いのがあるし損得あまりないというか、基礎研究を流用できるから、むしろ、得」

 「ハインド24は、確かにイケてるよ。お買い得だった」

 「グラスファイバー技術も有用だったな」

 「訓練用で購入したT64戦車の複合装甲もね」

 「監視衛星の打ち上げもソ連のロケットに打ち上げてもらったよ」

 「結局、ソビエトに基礎兵器を開発して貰って、日本が小まめに改良していくのが良いってことかな」

 「それに原子爆弾の実験場を貸して貰えるのも嬉しいよ」

 「あっちの科学者は、核実験ならカムチャッカ半島でやれって、剥れてたぞ」

 「やだよ。自然を壊したくない・・・」

 将校が室内に入ってくる。

 「ターボファンエンジンのソビエト輸出が決まったよ。3機種ともだ」

 「それは良かったね」

 「そうそう。ソビエト機が母体なら、母体機の性能を上げてもらいたいよ」

 「まったくだ」

 「だいたい。これだけ、国家予算が増えているのなら。こっちに回せばいいのに」

 「飛鳥に取られただろう。八島と敷島まで取りやがって、泥棒」

 「そうそう、なんで、飛鳥の穴掘りに軍事予算が抜かれなきゃならないんだ」

 「毎度のことだろう」

 「土建屋め。いまに見ていろ。飛鳥が失敗したら、笑ってやる」

 

 

 ペルー軍の装備は、日本と同じソビエト製だった。

 日本の部品が飛ぶように売れ、代価の銀が日本に流れ込む。

 兵器の母体はソビエト製でも消耗品や部品は日本製が使われ、

 兵器全般で信頼性が増している。

 ペルー軍は、稼働率が向上し、実質、戦力が増したともいえる。

 ミルMi6フックがマチュピチュ上空を遊覧飛行する。

 日本人とロシア人が乗り込んでいた。

 「「「「「おおお〜!」」」」」

 「絶景ですな。ヤポーン」

 「ええ、やっぱり観光ルートは、ペルー・チリ縦断ですよ」

 「北から南なら、ラスト・フィナーレは、ホーン岬の氷河ですかな」

 「良いですね」

 「上手く遺跡巡りも絡めて、欧米諸国の観光客を誘致できれば大きいでしょうな」

 「ですが、フランス、イタリアの共産化で欧米諸国は、荒れているのでは?」

 「流動資産の一部を日本に持ち出してくれたので、日本は助かりましたよ」

 「まったく、お金持ちのやる事は、卑しい事この上ない・・・」

 「共産主義者は、そう思いやすいでしょうな」

 「いえいえ、ヒンズーとイスラムのありがたい教えですよ」

 「「「あははは・・・」」」

 「まぁ 観光ルートの安全性を確保できれば、お金持ちは、来るでしょう」

 「ええ、政府の言う事を聞かない人民も増えていますし」

 「しかし、嘆かわしい話しです」

 「ソビエトは勝ったのか、負けたのか分からなくなりますよ」

 「資本主義、共産主義とも痛みわけですかね」

 「イタリアとフランスが戦車でドバ〜 と民衆を押し潰していたら東欧もあれほど荒れなかった」

 「きっと、意気地がなかったのでしょう」

 「権力者なら権力の座を失うくらいなら、血を流す方がマシなはずですよ」

 「ど、どっちの権力者ですか?」

 「き、共産圏は、穏健な政体で国民を戦車で押し潰すような破廉恥な真似はしませんよ」

 「な、なるほど」

 「欲の皮が突っ張った資本主義者に決まってます」

 「自分の血ではないですからね」

 「日本は例外ですがね」

 「それはどうも・・・」

 「問題は、チリまでの航程ですかね」

 「ウラジオーナから空路で来る方が堅実かもしれません」

 「良いですね」

 「ウラジオーナは、いい加減、滅入りますから」

 「確かに飽きるかもしれませんね」

 「日本人が研究室に引き籠っているのが信じられませんよ」

 「何が悲しゅうて仕事ばっかり・・・」

 「あはは・・・」

 ペルー政府は、日本に期待していた。

 農地改革後、税収が目減りしていた。

 農業以外の産業が育っていないペルーで農地を転売しても生きる術がなかった。

 そのペルーで、国民から税金を集める手段として公共施設の拡充が求められた。

 もっとも公金が私腹され、アメリカの銀行に流れるが当たり前の国。

 労働者のサボタージュも起こり、

 公金・備品をくすねないかというと、くすねるだろう、が一般の見方。

 これは、ペルーに限らず南米諸国全般で言える弱さでもあった。

 世の中、大なり小なり不正腐敗があり、

 不正腐敗が小さければ先進国。大きければ後進国ともいえる。

 日本政府が向き合おうとしているのは、ブラックホールのような土地柄であり、

 深入りすると火傷しそうな国だった。

 「「「「・・・・・・」」」」 ため息

 

   

 モスクワ クレムリン

 冬が近付いていた。

 コスイギンは、カザコフ館から恐る恐る赤い広場を見下ろす。

 テンの毛皮を着た日本人観光客が赤の広場を行き来していた。

 人畜無害な日本人など、どうでもよく。

 ロシア人が集団になると恐怖で身が縮む。

 コスイギンは、職務の間、天文台の予報を見て、降雪を指折り数える。

 共産化したはずのイタリアとフランスとは疎遠だった。

 訪問しようとしたら “忙しい” と冷たくあしらわれる。

 ため息しか出てこない。

 ルーマニアは、チャウシェスク亡命で民主化。

 東欧の民主化は、ますます勢いが強くなっている。

 残っている東欧共産主義国家は、少なく。

 東ドイツ、ブルガリア。ユーゴスラビア、マケドニアで、時間の問題か、風前の灯。

 ソビエト連邦は表面的には超大国だった。

 しかし、日本、ボルネオ、極東から工業部品、日用品、穀物を輸入していた。

 ウラジオストック共和国は、年々力をつけ生意気になり独立をちらつかせる。

 独立しないのは、ただ経済的な理由、未知に対する一抹の不安、惰性・・・

 ソビエトの中央集権は弱体化し、本当に連邦になっていた。

 スターリン時代のような恐怖政治ができなくなると労働意欲も低下していく。

 報告書を見れば労働者の欠勤・遅刻・早退の増加。

 工作機械は劣化し、工業製品の生産性と精度の低下。

 サービスどころか、ボイコット染みた仕事ぶりと事故多発で失望させられる。

 粛清してやろうか、という感情と暴動や民主化が怖い、という理性。

 二つの感情の狭間で気持ちが揺れる。

 穀物生産は砂漠の緑化で回復傾向にあったが、まだ足りない。

 ソビエト連邦を強固に結束し再生させ不動なものにするには、NATO軍に侵攻してもらうよりなかった。

 工業全般は、日本から購入した部品を使うようになっており。

 ソ連製部品が多いモノは、アフリカ諸国へ売られていく。

 新型兵器でさえ、日本の工業製品が流用されていた。

 いまでは、日本製部品が使われていない兵器は、存在せず・・・

 赤の広場の向こう側を国立百貨店(GUM)見つめ・・・

 「・・・!? ・・・ブ、ブ、ブレジネフ〜!」

 「ブレジネフ〜!!!」

 「はぁ?」

 「ど、同志ブレジネフ。あのロシア人の集団は何だ! あの群衆を調べて来い」

 寒々とした赤の広場の一角にロシア人の集団が現れていた。

 「・・・あ・・・ロシア人ばかり・・・」

 ドキドキ、ドキドキ、ドキドキ、ドキドキ、ドキドキ、ドキドキ、

 ドキドキ、ドキドキ、ドキドキ、ドキドキ、ドキドキ、ドキドキ、

 ドキドキ、ドキドキ、ドキドキ、ドキドキ、ドキドキ、ドキドキ、

 KGBが駆け込んでくる。

 「・・・同志フルシチョフ。山口百恵のコンサートです」

 「なにぃいい〜!!!」

 「なぜ、教えん!」

 「保安上、なんら、支障がなかったので・・・」

 「バカもの〜!! すぐコンサートに行くぞ!」  

 

 

 

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 月夜裏 野々香です。

 史実と違って、この戦記は、混沌とした東西冷戦になってしまいました。

 自由資本主義、共産主義の対立は、権力の座を賭け、

 肉を切って骨を断つで共倒れの危機。

 “軍事力なんて、飾りです。偉い人には、それがわからんのです”

 で、権力者は、冷や冷やです。

 日本は手広く儲けているようですが、飛鳥で浮気。

 でも、結局、飛鳥でも、穴掘りです。

 ちょっと H です。

 

 

 史実だと日欧米の南米投資は、土地柄もあり、悲惨な結果になりました。

 戦記では、欧米諸国の資産家が資産を非難させるため、

 史実以上の南米投資が行われそうです。

 幸か不幸か、日本の南米投資は、飛鳥に集中。10年ほど出遅れてしまいます。

 欧米の南米投資が成功するのか、成功するのかは不明。

 

 あとニクソン大統領は史実よりちょっと早く辞任させられ、弾劾されます。

 

 

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第31話 1972年 『弱り目に祟り目』
第32話 1973年 『こぼれたミルクは・・・』
第33話 1974年 『東嵐西乱』