月夜裏 野々香 小説の部屋

    

仮想戦記 『国防戦記』

 

 

 第38話 1979年 『あー うー』

 クレムリン カザコフ館

 “うぅうああああ〜!!!”

 はぁ はぁ はぁ はぁ

 “ど、同志。どうされました!”

 はぁ はぁ はぁ はぁ

 “に、日本を占領した夢を見た”

 “それは素晴らしい、正夢じゃないですか”

 “ああ、素晴らしい、官僚が全て日本人に変わっていた”

 「・・・ふ 最近のプラウダ(真実・正義)は、パンチが欠けているな」

 「同志。そこはアネクドートの欄です」

 「プラウダとイズベスチヤ(報道)は、アネクドートの欄だけで充分だ」

 「海外は良いですが、国内は自我崩壊しそうな話しばかりですからね」

 「東欧諸国は制限資本主義。中黄連邦は見せかけだけの共産主義」

 「正気を失っていない共産主義はソビエト連邦だけになってしまったな」

 「ウラジオストック共和国は急成長のようです」

 「あいつら、いい気になりやがって、誰が基盤を作ってやったと思ってる。裏切りモノが・・・」

 

 

 

 南アメリカ大陸の南端

 北半球が冬でも、南半球は夏だった。

 チリとアルゼンチンの国境が南北に走るフエゴ島(47992ku)があり。

 島の南を走るビーグル水道は要衝だった。

 民間船が海峡を抜けていく。

 日本人たちが双眼鏡を覗いていた。

 「あれが、チリとアルゼンチンの紛争地。ピクトン島、レノックス島、ヌエバ島か」

 「エリザベス2世が、77年にアルゼンチン領で裁定にしたけど、チリが怒って裁定を蹴った」

 「ふ〜ん、共産政権に土地はやらん、か・・・」

 「そんなところだろう」

 「結構、大きいような気がするな。日本なら戦争の理由になりそうだ」

 「しかし、南米人が見たこともない土地のために命を掛けて戦うかね」

 「土地より自分の命の方が惜しいか。土地と生存圏は同一なんだけどな」

 「南米の場合、私有地なら命懸けでも国有地じゃな」

 「あはは・・そうだった。そうだった。平和な大陸だなぁ」

 「もっとも、アルゼンチンは政治的に追い詰められているから、裁定次第では・・・」

 「人口は、チリが1100万で将兵は5万」

 「アルゼンチンは2800万で将兵7万だったかな」

 「アルゼンチンは人口の割に将兵が少ないな。地主の取り分が多いのかな」

 「近代兵器は高騰しているからね。国産で作れないと、後進国は、そんなものだろう」

 「それじゃ あまり戦争したくないよな」

 「そうそう、KGBが手伝って欲しいそうだ」

 「ん?」

 「CIAがバチカンの法王に働き掛けて、あの島をチリ領にさせようとしているらしい」

 「はぁ なんで? 共産圏の味方をするのか?」

 「アルゼンチンが怒って、チリに戦争し掛けるだろう」

 「やめてくれよ。商売できなくなる」

 「制限資本主義は、共産主義とは違うから、アルゼンチンやブラジルにも波及しやすいらしい」

 「ブラジル、アルゼンチンに逃げ込んだ資本家は、居場所が失われるから戦争か」

 「どこまでも独善で独りよがりな連中だな」

 「どうせ、戦死するのは貧乏人だからね」

 「お金持ちにとっては外国より、国内の反体制派の方が怖いんだよ」

 「サッカーで誤魔化すのもそれ」

 「しかし、工作資金の差でチリ領になったら、アルゼンチンの戦争を押さえられないだろうな」

 戦場になるとすれば一つの島を国境で東西に分けているフエゴ島(4万7992ku)。

 全面戦争になれば、アンデス山脈を挟んでの山岳戦。

 とはいえ、アルゼンチンもチリも国情は、国土に比べて人口希薄。

 一触即発などと両国とも口では勇ましいが内情は、それを許さない。

 両国民とも小さな小島を巡って殺し合いなどしたくないのが本音。

 士気など上がろうはずもない。

 今度は、カトリックの法王ヨハネ・パウロ2世の仲裁。

 アメリカは、チリ共産主義を潰そうと画策する。

 アメリカの工作員

 「エリザベス女王にアルゼンチン領にしてもらったのが災いしたな。チリは戦意が低い」

 「だが、法王にアルゼンチン領としているところをチリ領にさせたら戦争になるだろうな」

 「しかし、アルゼンチンは軍事国家が反体制勢力も少なくない。戦意が高いと決まってないだろう」

 「チリは、領土の不満はあるが経済が伸びてるぞ」

 「日本のせいだな」

 「それに共産党が政権を握っているだけで、東欧と同じ制限資本主義に変えやがったからな」

 「しかも日本の南米拠点になって、南米大陸に商品を流している。チリとペルーはホクホクだよ」

 「チリは、戦争しなくても良いということか」

 「だが、今度の裁定でチリ領にすればアルゼンチンが怒ってチリを攻撃するはず」

 「それで、チリ共産政権を滅ぼせる」

 「んん・・・アルゼンチンは、インフレ、経済破綻で左翼ゲリラを抹殺中だしな」

 「そんなに酷い状況か」

 「あれだけ大きな国土に希薄な人口。それで不況で軍政で恐怖政治というのがね」

 「どういう国家運営をしているのやら、ブラジルと似てるな」

 「ここで3島がチリ領裁定なら、アルゼンチンは、経済が上手くいかない全ての元凶をチリ共産政権に押しつけて、一気に・・・」

 「まぁ 内外ともに勢いが付くよな。武器は?」

 「揃えているよ。攻撃できるはず」

 「チリの方が強い事はないよな」

 「良い勝負じゃないか」

 「問題は、ブラジルも参戦しないと、アルゼンチンが安心して攻撃できない事かな」

 「足並みは?」

 「足並み?」

 「まさか。南アメリカ大陸の辞書に “足並みを揃える” なんて書いてあるわけがない」

 「そんな上等な国なら、もっと前にアルゼンチンとチリを戦争させているか・・・」

 「ブラジルとアルゼンチンが仲悪いからな」

 「あとは、法王ヨハネ・パウロ2世か・・・共産主義のチリに領土を渡すとは思えないが」

 「だが軍政のアルゼンチンに領土を渡すだろうか?」

 「金で動くかな」

 「金があればカトリックは布教しやすくなる」

 「布教せずに溜め込んでるんじゃないか」

 「愛より金に価値があるなら好都合」

 「しかし、アレこれ画策しても、本当に調停されてしまうと困る」

 「法王の調停で双方が涙を流しながら悔い改めるって?」

 「ふ あり得ん」

 

 

 法王は無人島をチリ領としたことでアルゼンチン代表が怒って席を立つ。

 軍国主義で追い詰められていたアルゼンチンは、強硬手段に出た。

 将兵3000でピクトン島・レノックス島・ヌエバ島を占領。

 

 チリとアルゼンチンの国境は封鎖されてしまう。

 特にフエゴ島は、戦いの雌雄を決するため緊張状態。

 両国は一触即発の状態で睨み合っていた。

 チリ サンチアゴ

 アジェンデ大統領は、戦争か、平和か、の選択を迫られていた。

 「ピクトン島、レノックス島、ヌエバ島は、放置でも良いのでは?」

 「なぜかね。ピクトン島・レノックス島・ヌエバ島は、我がチリの領土だぞ」

 「反体制勢力に武器と資金援助するだけで良いと思います」

 「しかし、それでは国民が納得しない」

 「アルゼンチンが3島を軍事的に維持するのは困難と思われます」

 「だからと言って、この状態のままだと、3島の領土をアルゼンチンと認めるようなものだ」

 「フエゴ島に戦線が拡大すれば両国とも疲弊し」

 「他国に漁夫の利を奪われるのは必至」

 「それは・・・ある」

 「もう一つ、チリとアルゼンチンの国境は、封鎖され、物流が停止しています」

 「それがどうしたのかね?」

 「アルゼンチンが日本製品を手に入れるとすれば、ブラジルかウルグアイ経由になるはず」

 「高い日本製品買わされたアルゼンチン国民が怒って、3島をチリに返還せよと?」

 「期待できないよ」

 「アルゼンチン経済は破綻していますし、こっちから出向くのも得策ではありません」

 「しかし・・・」

 「余計な軍事支出は、さらなる経済悪化をもたらします」

 「自暴自棄になったアルゼンチン軍は、無理な攻勢を銜えて損害を増やすだけです」

 「アルゼンチンの攻勢を待ち」

 「持久戦でのらりくらり戦えば諸外国はアルゼンチンの敵になるでしょう」

 「しかし、勝てそうな気もするがな」

 「チリは時間が味方し、アルゼンチンは時間が敵になりますよ」

 「国際連合でアルゼンチンを弾劾しながら待つべきでしょう」

 「んん・・・・わたしは、良い友人を持ったのかな」

 「まぁ 経験ですよ。経験・・・」 黄色人が苦笑い

 

 

 中東

 カスピ海から南へ106km。

 暑く乾燥した風に乗ってコーランが流れるイランの首都テヘランがある。

 アメリカ合衆国は中東における自由資本主義、対ソ戦略の拠点としてイランを利用していた。

 欧米資本がイランにビルを建設していた。町並みは年ごと大きくなっていく。

 アメリカの世界戦略がイランの近代化政策が合致していた。

 しかし、状況の変化にアメリカ人の情報部が戸惑う。

 「イスラム教側の反撃が起こっている」

 「伝統主義者か・・・」

 時間が来るとメッカの聖地カアバに向かって拝礼が始まる。

 「パフラヴィー皇帝は、大丈夫だろうか?」

 「さぁな、内政のあり方は問題だな。口を出せれば外科手術で何とかできるのに・・・」

 「内政に干渉し過ぎるのはまずい」

 「むしろ、干渉し過ぎたと言えなくもない」

 「日本を模倣して近代化なんて、条件が悪過ぎるよ」

 「条件は良いさ。油田がある」

 「油田だけだろう。イランの民族、言語の違いを縛り付けているイスラム教の問題もあるよ」

 「イスラム教がなければイランは空中分解だ」

 「しかし、イスラム教があると近代化が阻害される」

 「皇帝に味方すればイランは近代化できる」

 「しかし、イランの空中分解は避けられない」

 「自由民主主義に価値を見出せばいいさ。我々に近い人間もいる」

 「世俗意識の強い人間はどこにでもいる。彼らの能力は高いよ」

 「テクノクラートと伝統的な宗教指導者の対立と二重支配構造か。権力闘争で山場だな」

 「それもヤバい方の山場だ。天秤は好ましくない方に向かっている」

 「やれやれ」

 パフラヴィー朝第2代皇帝モハンマド・レザー・パフラヴィーは、イランを近代化させようと、

 イラン皇帝は、宗教より国家主義、民族主義を優先し “白色革命” で欧米化していた。

 土地改革、工業化、労働者の待遇改善、女性参政権、教育向上などの改革が進む。

 そして、欧米諸国の支援を受けながら産業を興し、

 脱イスラム原理主義で近代化を進めていく。

 F14Aトムキャット77機、F5戦闘機166機、F4ファントム190機が各地の航空基地に分散されていた。

 そして、M48、M60、チーフテン戦車が陸軍駐屯地に配備されている。

 アメリカ・イギリス軍人顧問団は中東の対ソ拠点としてイランを支援していた。

 大統領補佐官が航空基地に降り立つ。

 「どうだい。イラン軍将兵は?」

 「表面的な兵器運用は可能です」

 「しかし、応用になると厳しいですな」

 「他の中東では、上手く飛ばしているぞ」

 「MiG21J2パラライカ、Su7J2フィッターとも構造が単純ですから」

 「イスラエルは飛ばしている」

 「危機意識の違いです」

 「こちらは危機意識が小さいですから」

 「全部分かって言ってるんだ。何とか上手くやってくれ」

 「はい」

 「中華合衆国も、NATO軍も、まともに機能していない」

 「イランは、なんとか。アメリカの陣営にしたいものだ」

 「イラン民衆は反皇帝、反米に傾いているようですが?」

 「行政上の問題だろう」

 「それで来たんだがフォース使いに頼りたくなったよ。どこかいないかね」

 「残念ながら、いませんね」

 「少数部族でも良いから皇帝親衛隊を組織したくなったよ」

 「皇帝が危ないので?」

 「宗教が中心だと難しいな」

 急速な改革は、イスラム原理主義者を怒らせ。

 恐怖を感じた皇帝は、秘密警察による暗殺を繰り返し、

 近代化を阻害するイスラム教の弾圧を始める。

 新たな官僚体系は莫大な初期投資を必要とし、

 財源となるはずの石油資源の利益は、特権階級の王族、首長族に握られて手放されず。

 サービスと恩恵より、宗教的なストレスと、民衆から吸い上げる事の方が大きくなる。

 石油収益と産業も体制固めに使われ、貧富の格差は、さらに広がっていた。

 シーア派指導者ホメイニーは、近代化に反対し、

 イスラム教徒、地域地主、下層階層を結集していく。

 

 02 イラン革命

 西側の拠点だったイランで民衆が立ち上がり、

 皇帝は身の危険を感じて私有機(ボーイング727)で亡命。

 イスラム原理主義が強化されていく。

 それまで西側と協力して進んでいた近代化は停滞し、イスラム回帰が起こる。

 日本人たちは、どこまでも他人事だった。

 「すげぇ 本当に宗教国家になったよ」

 「まぁ 油田がどうなるかだけどね」

 「イランは、欧米資本をはねのけてイスラム教世界の主導者になるのかな」

 「黒も赤もいやだから緑じゃないの」

 「アメリカも人間不信と自信喪失気味だし」

 「ソビエトもカンフル剤と点滴で頑張っているような感じだし」

 「じゃ このままイスラム全盛で第3勢力?」

 「そこまで考えてるかな」

 「夢は大きくじゃないのイスラム世界も広いから」

 「イスラム世界は広過ぎて、どこの国が主導権を握るかで揉めそうだな」

 「それは言える」

 「やっぱり、石油の出る国は怖いもの知らずというか、強いよね」

 「対ソ戦略拠点だからじゃないの」

 「でも、その対ソ拠点が反米じゃな」

 

 

 

 03/26 エジプト・イスラエル平和条約がアメリカ・ワシントンD.Cで調印。

 1948年以降の中東戦争休戦。

 1967年の6日間戦争で占領したシナイ半島からのイスラエル軍・入植者の撤退。

 スエズ運河のイスラエル船舶自由航行とチラン海峡とアカバ湾を国際水路とすることが規定。

 日本人たちがスエズ運河の前に立った。

 「ようやく平和か」

 「イスラエルのユダヤ教。アメリカのキリスト教。エジプトのイスラム教を結束させたのだから手腕を評価すべきでしょう」

 「でもスエズ運河しばらく、使えないらしいよ」

 「いいよ。ユーラシア大陸鉄道網の価値が上がるし」

 「でも、アメリカも随分と羽振りが良かったんじゃないの」

 「だけど、イスラエルとエジプトの両方をアメリカ圏に取られたかな」

 「犬猿の仲なのに良くやるよ」

 「アメリカも内政で追い詰められているからファインプレーってやつかな。良いところを見せないと」

 「だけど、兵器体系はアメリカ系になるらしいよ」

 「せっかく、T55・T54戦車も改造したし、MiG21J2、Su7J2に換装したのに・・・」

 「しばらく使うと思うよ」

 「平和になると喰いっぱぐれか」

 
 

 

 ベルリン 放送局

 1520mm広軌鉄道の問題が取り沙汰されていた。

 ドイツも自動車社会だったが鉄道、公共機関は強い方だった。

 旧東ドイツの1520mm鉄道網と旧西ドイツ側の1435mm鉄道網は、不便といえた。

 もっとも東西の物資が一旦、ここで乗り換え、分岐産業も大きくなっていた。

 TV討論会

 「アメリカが安心して駐留軍を撤収させるため1435mmではないかな」

 「他人の家に土足で踏み込んで出ていくから金をよこせ」

 「その上、鉄道を変えるなとは破廉恥極まりないな」

 「そうではない。国際外交戦略というのは・・・」

 「国際外交戦略は利害が一致すれば友好関係となるし」

 「利害が一致しなければ非友好関係となる」

 「現実において、国際政治は妥協しながらやっていくものだ」

 「アメリカは、利害を一致させるのではなく、力付くで押さえ込んでいるだけなのだろう」

 「友好など片腹痛い。あいつら、アメリカ軍は侵略者だ」

 「自由と正義は、相応の負担が必要なのだ」

 「むしろ、不自由にさせられ、正義を捻じ曲げているような気がするが・・・」

 公共の場で非現実的な理想論は有効だった。

 先に撤収したソビエトが偽善性が高くなり。

 駄々をコネながら撤収しようとするアメリカ駐留軍は、悪の帝国になろうとしていた。

 こういった印象は、駄々をこねるほど悪化していく。

 無論、周辺国家は大ドイツ復活を恐れた。

 少なからず動揺し、

 それぞれ、アメリカとソビエトに頼り始めるのだから、2大超大国の思惑通りといえた。

 国家関係も派閥めいたものがあり、全ての国を傀儡とはできない。

 そして、統合ドイツは、オーストリアとの段階的統合を進めていく。

 ベルリン 新幹線基地

 ドイツ人が増えて8割に達し、日本人は少なからず残っていた。

 ソビエトでさえ、運用の半分が日本人なのだからドイツ人の方が新幹線運用は上手い。

 いまでは、元西ドイツ側の技術者も入り込み、日本人がいなくても支障がなくなる。

 「新幹線をどうする気かな」

 「ユーラシア大陸鉄道に続く1520mmか、西側標準の1435mmか、悩むところだよな」

 「まず、ゴネ始めたアメリカ軍を追い出してからじゃないか」

 「いやだねぇ アメリカも底意地が汚い。嫌われるよ」

 「金に目が眩んで見境がなくなっているのだろう」

 「ソビエトの方が偽善に見えてくるよ」

 「ソビエトは、財政負担に堪えかねてじゃないの」

 「ウラジオストック共和国の分離が怖いとか」

 「ウラジオストック共和国が独立すると東シベリアの半分を持っていかれそうだからね」

 「日本だって国鉄の民営化の動きがあるし」

 「親方日の丸で良い気にやっているからサービスで文句が出るんだ」

 「ユーラシア大陸に広がって利銭稼いでいるから目立たないけど、国鉄は評判悪いからね」

 「国鉄なら安心とか言うから聖域化して根腐るんだよ。旧日本軍と同じ」

 「安定すると傲慢になるのが人間の本質だよ」

 「旧日本軍で懲りて、戦後はドメ派を押さえ、国際派の地位を上げさせたけど・・・」

 「それだって、聞いた話し、中央に行けば、もって4、5年で日本ナイズらしい」

 「結局、海外赴任もハードルの一つになってしまうんだろうな」

 「性根なんて簡単に変わらないか」

 「ユーラシア大陸鉄道で国際派が広がっても、人脈は居残りが強くなるからね」

 「インドまで広がれば、収益が上がって国鉄の寿命をのばせるかも」

 「フランスイタリアまで伸びると鉄道ルネサンスなんだけどねぇ」

 「だけど外国人犯罪も起こるし、工作員も動きまわるし、良し悪しなんだよな」

 「朝鮮人が日本に入り込んで悪さしているし」

 「外国では日本人になり済ましたり、すげぇ迷惑」

 「中国連邦側の鉄道沿線権益を押さえて羽振りが良いのに・・・」

 「大部分は中央アジアらしいよ」

 「誰だ。日本語を教えたの」

 「むかし、併合するからだ」

 「ソビエト連邦みたいに上手くやったら良かったのに。囚人部隊で弾避けとか、根絶やし」

 「日本人って、ええ格好したがりだし、嘘っぽい偽善に縛られやすいから、そういうのが嫌いだし」

 「変に同情して飼い犬に手を噛まれるとか、根腐れさせるとかに近いね」

 「それ教育とか、躾けで失敗したってことじゃん。恥ずかしい」

 「でも独善でハングリーな野心は驚嘆するよ」

 「それ元々の気質だから」

 

 

 ブエノスアイレス

 ジープに乗ったアルゼンチン兵士が撃たれ、ビルに激突した。

 助手席のアルゼンチン兵士が激突前に飛び降り、

 銃を構えたが、後ろから撃たれて、うずくまる。

 銃声が街の至る所で響いていた。

 アルゼンチンの反政府勢力は、コルトガバメント、FP45リベレーターなどで武装していた。

 他にもトミーガン、グリースガン、ステンガン・・・・

 不況に喘ぐ西側諸国がチリの発注に応じ、

 アルゼンチンの反体制勢力に武器弾薬を送ってしまう。

 そう、チリが軍事衝突を避け、搦め手の攻勢をかけていた。

 国内に火種を持つアルゼンチンは、カモにされていく。

 そして、アルゼンチンの反体制勢力は、アルゼンチンの軍政に対し、

 本格的な反撃を開始していた。

 アルゼンチン マルデルプラタ (港街)

 イギリス商船

 「ステンガンは、悪くないですな」

 「こいつをアルゼンチンに流してやりますよ」

 「共産圏に味方するのは、利敵行為では?」

 「イギリスはイギリスの味方ですよ」

 「アルゼンチンは、フォークランド諸島を狙ってますからな」

 「なるほど、アルゼンチンの弱体化は望むところですか」

 「本当は、無人島もチリ領にしたかったのですよ・・・」

 「まぁ 経緯上、アルゼンチン領にしてしまいましたがね」

 「だいたい、わかりますよ」

 「しかし、これでは資本主義と共産主義が組んで、軍国主義と・・・」

 「第二次世界大戦と同じか・・・」

 「客観的にみると、自然な気もしますがね」

 「チリ政府が、こっちの意図に乗らなかったからでしょう」

 「どこかの国の策略ですかね」

 「経験があるのですから、我を張って学ぶ事をやめたりはしませんよ」

 「チリのためですかね?」

 「飛鳥のためですよ。巻き込まれたくないのでね」

 「なるほど」

 

 

 樺太州

 人口が増えると文化伝統なモノまで欲しくなり、神社仏閣庭園なども作られていく。

 もっとも、気候と風土で建物も違って見えたりもする。

 戦後、樺太は、急成長を遂げていた。

 フルシチョフの日本理事国入り推薦で日ソ関係が深まり。

 樺太は、共産圏向けの部品を製造し輸出していく。

 自動車であれば、ボルガ、トラバント、ヴァルトブルク、バルカス、ラーダ、ダチア・・・

 計画経済の東側諸国は、予約で待ち、修理で待った。

 日本人が重要経済に頼って部品を作り、

 東側諸国に輸出するとソビエト国内のメンテナンスと利便性が高まっていた。

 当初は、主にソビエト共産党官僚とロシアマフィアだったものの、

 ソビエト国内に日本資本の後ろ盾が作られていく。

 日ソ協商後、各都市で日本人商店、整備工場が整備され、サービスを始めることができた。

 そして、外国人用とされながらも共産党官僚を仲買にし、ロシア庶民に行き渡る。

 第二次日ソ協商後は、エンジン本体、車体を製造して共産圏に輸出。

 共産圏の自動車工場は、組み立て工場と化してしまう。

 ガソリンエンジン・ディーゼルエンジンを規制しているはずの日本で、

 ガソリン・ディーゼル車の製造が進む。

 そして、それは、自動車だけにとどまらなかった。

 日本の生産は、需要供給を旨としており、

 日用品から軍需まで、共産圏のあらゆる産業に広がっていた。

 ソビエトの計画経済で不足している需要を日本製品とサービスが埋めていく。

 そして、共産圏のソビエト連邦、東欧、中国連邦、チリは、品不足にならず、

 店先に行列を作らず済んでいた。

 

 

 その樺太に豊原ディズニーランドが建設される。

 これは、ディズニー社の利害だけでなく、アメリカ政府の外交戦略も絡んでいた。

 樺太は、ユーラシア大陸鉄道と連結されていたこと。

 共産圏の工場と化した樺太州の経済力は大阪圏を抜いており、

 東京圏を追い抜こうとしていたこと。

 樺太島そのものが資源を加工する巨大工業地帯となっていたこと。

 日本が自由資本主義国家のショーウインドであり、

 同時に日米関係を印象付けられること、

 日本連邦とソビエト連邦が異質でることを証明し、

 日ソ離反を共産圏に印象つけること。

 いろんな憶測が絡んでいたが樺太に豊原ディズニーランド建設が決まってしまう。

 市場原理で怪しかったものの全天候型。

 北海道、本州と連結されれば、さらに収益も見込めた。

 万博後に公園にされていた空間がディズニーランド建設予定地へと変わっていく。

 「随分広いな」

 「120ヘクタールくらいかな。万博の跡地を使うなら悪くないよ」

 「120ヘクタールは良いけど。雪で車が埋まるような場所だぞ」

 「全天候型だし、地下鉄道直通だし、回りも地下街も広がってるから、何とかなりそうな気もする」

 「外国人の客質が問題かな」

 「入場料を上げて客層を高くする方法もあるけどね」

 「まぁ これだけの規模のテーマパークなんてないから、外国人もユーラシア鉄道を使って来るかも」

 「客が日本人なら気質的に成功しそうだけど、外国人が増えると微妙だな」

 「いまは、西ドイツのお金持ちも来やすいから。通訳とか余計な出費が増える」

 「豊原が国際都市で良かったよ」

 「海底トンネルが連結されたら北海州から本州まで外国人がわんさか来るかも」

 「日本のワビサビな美的感覚は、外国人に分かりにくいからな」

 「外国は、木より、大理石だからね」

 「それに木と石の規模は頤和園に負けてる」

 「ああいう気違い染みた庭園は、専制君主じゃなきゃ建設できないよ」

 

 

 

 得撫島

 Su27ジュラーヴリクが急上昇しながら昇って行く。

 MiG21J2バラライカが空を突っ切ると表現できるなら、

 Su27ジュラーヴリクは空を舞うように思えた。

 「惚れ惚れするよ」

 「まったく・・・」

 「整備性は?」

 「ソビエト製は単純な構造が多いけど、さすがにこのクラスになると複雑だね」

 「でもF14よりはるかに楽」

 「F14は、参考になったけど、さすがに投げたよ」

 「問題は、ジュラーヴリクの機数だな」

 「ソビエトは、Su27ジュラーヴリクを国内用、MiG29ラーストチュカを輸出用にするのだろう」

 「なんか、数で勝負のラーストチュカを採用したくなるよ」

 「人件費が高くなったから、性能を数で埋めようとすると破綻する」

 「将兵は階級が上がるし、賃金も上がるからね」

 「取り敢えず、共有部品からチタン化じゃないか」

 「数を揃えないと軽量化は難しいよ」

 「まず規格を決めないと・・・あまり手間取ってると土建屋に押し潰されるよ」

 「土建屋は、地下を広げたがってるからな」

 「そりゃ ちんまい部品でああだこうだウダウダやってたら、さっさと地下を広げろと思うよ」

 「ますます、穴熊引き籠り戦略が強くなるじゃないか」

 「航空機と潜水艦。飛車と角ぐらい自由にさせて欲しいよ」

 「日本人は性急だから、試行錯誤続けることに耐えられないからね」

 「そういえば、東ドイツのMPiKMが入ってきたらしいよ」

 「ソビエトのAKMとどっちが良いかな」

 「銃ってスペックに出ない部分で決まったりするから・・・」

  全長 銃身長 重量 弾薬 弾数 連射速度
AKM 898 436 3.29 7.62mm×39 30 600
MPiKM 876 414 3.15 7.62mm×39 30 715

 「日本人の体格はドイツ人よりロシア人の方が近いよ」

 「まぁ 数も少ないし同じ弾薬が使えるから、予備というところかな」

 「AK74との比較は終わったの?」

 「まぁ 総合でAK74が有利らしい」

 「地下で使うならサブマシンガンのMP5とか、最高だけどね」

 「地下も広くなってるから、サブマシンガンじゃなく、突撃銃でも良いよ」

 「しかし、東ドイツ製が流れて来ると、統合ドイツの兵器体系は西側か・・・」

 「空軍は、バラライカ21J2、フィッター7J2になりそうだよ」

 「F104スターファイターに懲りたんだろう」

 「じゃ 次は、MiG29になるのか。こっちの情報がアメリカに流れそうだな」

 「んん、F16という線もあるけど。当面は、バラライカJ2とフィッターJ2を使うらしい」

 「アメリカ駐留軍を追い出すのに予算が食い潰されているのかな」

 「統合ドイツは、価格の安い東側兵器体系に流れて来るかもな」

 「利害が一致すれば日ソ関係のように体制が違っても友好関係もあるから」

 「米英ソ連合があったくらいだからね」

 「アメリカが恐れているのは、そういう異種同盟だろうな」

 「日独ソが連携するとアメリカもヤバいか」

 「1520mmが西欧に伸びていけばそうなるかも、イギリスも孤立する」

 

 

 チリとアルゼンチン国境はアンデス山脈だった。

 双方の軍隊は、山道を挟んで銃口を向け合っていた。

 今のところ、戦端は開かれておらず、両軍とも統制されていた。

 統制されているのか、

 単に自分が死にたくない口実にしているのかは別の話しになっていく。

 そしてアルゼンチン側。

 アルゼンチンの25パーセントを占めるパンパは放牧地、穀倉地帯であり。

 アルゼンチン経済を支えていた。

 1台のバスが草原を走っていた。

 乗り込んでいるポンチョを着込んだ集団が辺りを睨む。

 アルゼンチン人の人間関係は、家族とアミーゴだけ。

 利害関係が友情という狭い関係で止まるため善意の第3者は存在し難い。

 企業、国家も敵視しやすく、近代化は遅れていた。

 「大地主を襲撃すると、ガウチョ(侍・ガンマン)の評判が落ちるかもしれないね」

 「軍隊は許せないが軍隊と国を支えている大地主も同罪だよ」

 「どっちにつくか決めさせるべきだ」

 「保身で強いモノの味方をしているだけの大地主だからね。良い気味だよ」

 「まぁ そういえなくもない」

 アルゼンチンの反対勢力は武器を手にすると、

 都市革命だけでなく農村革命まで始める。

 革命の方法論でソビエト共産党と中黄共産党は対立していた。

 もっとも、発想を膠着化させている時点で動脈硬化しているともいえる。

 大地主を守るガウチョと、大地主を襲撃するガウチョの銃撃戦が始まる。

 そして、大地主の邸宅が襲撃者に奪われていく。

 アルゼンチン経済を支えていたのは牧畜だった。

 アルゼンチン経済を支える大地主は、軍政府に抗議。

 警察部隊と守備隊を派遣するものの、

 警察や守備隊そのものが強盗の従兄のようなもので・・・

 アルゼンチン軍が地方に分散されると都市ゲリラは勢い付いた。

 アルゼンチン軍は、国内の反体制派を鎮圧するため、

 たちまち兵力不足に陥っていく。

 

 

 アルゼンチンもチリ反体制派への武器弾薬供給を行う。

 しかし、チリでは共産勢力が多数派を占め。

 反体制派の保身で所有されているだけにとどまり、

 過激な銃撃事件も行われなかった。

 そして、チリ経済は、緩慢ながら伸びていく。

 貧民層を一時的に救済したことで需要が増していた。

 日本の製品が店棚に並べられ、消費されていく。

 チリの水産、果樹類、ワイン、銅、銀が日本に送られ、

 日本の工業製品がチリに送られる。

 チリとペルーは、日本製品を流通させる事で大きな利益を得ていた。

 もちろん、対アルゼンチン主戦論は、根強かった。

 しかし、国民性のせいか、軍の暴走は抑えられていた。

 サンチアゴの街

 「チリは、悪くないよ。共産圏下でも不正腐敗が少ない」

 「まぁ 私有財産も少しずつ増やされて、制限資本主義に移行してるけどね」

 「アルゼンチンへの物流を止められて、経済が落ち込んでいるんじゃないか?」

 「いや、観光収入で持ち直している。ギリギリかな」

 「南北縦断は見どころあるからね。戦争状態は、避けられているの?」

 「チリ領のピクトン島・レノックス島・ヌエバ島をアルゼンチンに占領されただけだから」

 「軍事衝突が始まると観光もなくなるからね。軍の押さえどころだよ」

 「戦争を見に来ている部分もあるんだがな」

 「飛鳥が巻き込まれたら洒落にならないよ」

 

 

 

 日ソ共同開発アントノフ124ルスラーンは、徐々に進んでいた。

 しかし、元々、輸送機仕様のソビエトと旅客機仕様の日本ではアプローチが異なった。

 我田引水で可能な限り部品を共有させつつ設計が変更されていく。

 日本は、アントノフAn22アンチスの無駄の多い2階建客室に懲りていた。

 とはいえ、客室を一層にすると窓際が少なくなり、

 構造上、主翼が地面に当たりそうになった。

 参考になったのは77年開発のアントノフAn72コーラーで、

 エンジンが主翼の上に付いたものだった。

 整備の関係で余計に費用がかかりそうだったものの、短距離離着陸で良く。

 地上の異物がエンジンに入り難かった。

 結局、動労生産力に勝り、共産圏の工場と化していた日本側の意見が通り、

 主翼の上にエンジンを載せたアントノフ124ルスラーンが輸送機型、旅客機型で開発されていく。

 高翼の場合、胴体部の自由が利きやすく。

 日本は、10mという幅広胴体で一層客室で旅客機を開発していく。

 「内側のエンジン二つは機体に近いから橋梁計算上、好都合だな」

 「操作性で少し落ちるかもしれない。垂直尾翼で工夫しないと」

 「戦車を載せないから軽量化できるし、胴体部の楊力が増すから燃費は良いかもしれない」

 「ソビエトは省エネに関心が低いからな」

 「パイロットの視界は?」

 「機外カメラで良いんじゃないの」

 「んん・・・試行錯誤の開発をソビエトにやらせて、改良していくのは楽でいい」

 「お金はね。日本の新規開発力は低いままだよ」

 「人口少ないし、新規開発力なんて贅沢なものは、後回しだよ」

 「本当かな。日本は、失敗した時の責任が大き過ぎて冒険できないからじゃないの?」

 「日本は加点主義じゃなくて減点主義だからね。冒険しても見返りが小さいから」

 「あとは・・・輸送機型も・・・まぁ そこそこ使えそうだな」

 「これなら、弱っているからボーイングを押しのけて、アントノフで世界の空路を支配できそうだ」

 「F14トムキャットのグラマン社も、F15イーグルのマクダネル・ダグラス社も潰れそうだな」

 「ボーイングは軍用機で手抜きして、民需で利潤をあげているから儲かっているかもね」

 「でもアメリカは、航空会社の統廃合で乗り切るかも」

 「制限資本主義で逃げ出す算段でもしてるんじゃないか」

 

 

 

 イギリス

 戦中の負債、貴族階級の伝統、失われた植民地、基幹産業の国有化、福祉政策。

 戦後から続く “揺り籠から墓場まで” 政策は、経済活力を失わせ。

 イギリス経済を弱体化させてしまう。

 基幹産業の国営化で硬直化したシステム。

 安寧と保身を求め老害化した官僚、会社役員、貴族は既得特権にしがみついた。

 需要に鈍くなり採算性は悪化 “英国病” “ヨーロッパの病人” とまでいわれる。

 新陳代謝を恐れ、国家的な老害ともいえた。

 そのイギリスの選挙は、二つの選択肢で揺れる。

 労働党は、欧州大陸で広がる制限資本主義国家を採用しようと画策。

 制限資本主義を裏で画策した日本でさえ、自由資本主義のまま。

 富の制限は権力構造の刷新と立て直し、

 貧民層の救済は一時しのぎでしかない。

 貧富の格差は新規開発などで重要だった。

 貧富の格差がなくなれば、資源、資本、労力も得られにくくなった。

 必要な国もあれば、無用な国も存在する。

 そして、一人の女性が小さな政府を標榜して立ち上がる。

 “お金持ちを貧乏にしても、貧乏な人はお金持ちになりません”

 マーガレット・サッチャー首相

 元ウィンストン・チャーチル首相と同じ保守党出身の彼女は、彼と似た気質を持っていた。

 自由資本主義の市場原理で、イギリス経済を再建するとして、

 イギリスの首相に収まってしまう。

 彼女は社会保障の既得権を奪われまいとする抵抗勢力を踏み躙りつつ、

 市場原理を優先し、イギリスの政策を自由資本主義へと舵を切っていく。

 テムズ川沿い ロンドン・ミルバンク11番、テムズハウス。

 通称MI5、軍情報部5課があった。

 日本やソ連の関係者が玄関前を通り過ぎても、別段、問題はない。

 映画にあるような諜報戦は滅多に起きない。

 ハーフコートの日本人とロシア人が通り過ぎていく。

 「イギリスは、自由資本主義で決まりか・・・」

 「ソビエトは、制限資本主義を画策しなかったので?」

 「自由資本主義が失敗すれば制限資本主義に行くだろう」

 「わざわざリスクを冒すこともないよ」

 「では、自由資本主義を失敗させると?」

 「自由資本主義が少ない方が日本は、儲かるんだろう?」

 「それは、まぁ そうも言えますがね」

 「しかし、日本は、そんなに資産家がいたか?」

 「まぁ 信用投機より、担保投資ですし、資産規模は欧米より小ぶりですな」

 「問題は、アメリカ、イギリス、統合ドイツが自由資本主義で並ぶということか・・・」

 「日本もですよ」

 「ああ・・・そうだったな」

 アメリカは、既得権となった貧富の格差を砕いて新規まき直ししなければ国民が治まらず。

 ソビエトは、欲望に見合う報酬が得られなければ、労働意欲が低迷して生産性が低下していく。

 国民は現体制に失望していた。

 問題は、米ソで求められていたのが政府による改革ではなく、主義思想の変革だった。

 イギリスの場合は、状況が違っていた。

 労働党の福祉政策、揺り籠から墓場まで政策、大きな政府だった。

 制限資本主義ではなく、

 小さな政府という選択肢、アンチテーゼが残されていた。

 

 

 モスクワ クレムリン

 一度作られた前例は、正しいという風潮があるのか、

 周囲も冷たく、コスイギンもあっさり身を退く。

 アレクセイ・コスイギン書記長は、病気を理由に引退を決め込む。

 サミットを控え、新書記長に政権を譲るのに適当な時期ともいえた。

 「フルシチョフがそうだったように。スターリンのように死ぬまでやることもない」

 「・・・・・」 ブレジネフ

 次の書記長は、レオニード・ブレジネフとなった。

 強硬な共産主義者の彼も情勢の変化で身動きがとれない事に気付く。

 ソビエト連邦書記長の手が届く範囲は、著しく狭められていた。

 共産党による引き締めを行えば、革命か、

 クーデターが起こりそうな風潮になっていた。

 ウラジオストック共和国は、口実さえあれば、離脱できる体制に移行していた。

 ウラジオストックが独立すれば、

 他の共和国もソビエト連邦の支配から離脱を考えるかもしれず。

 脆い連邦となっていた。

 もっともソビエト経済は著しく改善していた。

 特に第二次日ソ協商の後は目覚ましく。

 砂漠化していた農地と牧草地は回復の兆しを見せ、穀物生産が軌道に乗っていく。

 私有財産を承認すれば、財欲に任せて市場と労働が活性化する。

 誰の目にも明らかであり、

 ソビエト共産党も保身と惰性で共産主義を続けているだけといえた。

 自己否定に比べ、自己犠牲は容易であり、

 伝統や己の不明を認めるくらいなら死をもいとわない。

 もちろん、自身の死ではなく、他人の死である。

 ブレジネフ書記長誕生

 

 

  

 東京 第5回先進国首脳会議

 国際情勢的な見方をすれば、サミット会議が上院、国際連合は下院といえた。

 国情の違う国が集まって民主的では弱小国が喚くばかり、

 偽善過ぎて列強が面白くなく、

 特にアメリカは、悪者にされることが多く、うまみが低下していた。

 列強が集まって国際情勢を取り決めていく方が効率的になっていた。

 議長国 日本。

 フランス、アメリカ、統合ドイツ、イタリア、イギリス、カナダ、ソビエト

 1) イラン革命と石油。

 2) 統合ドイツの行く末。

 3) フランスの制限資本主義2期。

 4) 来年のイタリア選挙。(自由資本主義 VS 制限資本主義)

 5) 欧州共同体(EC)と欧州制限資本主義の連合体の力関係。

 チリとアルゼンチンの国境紛争は、影響が小さいので表向き議題に上らない。

 国際外交政治上、いくつかの焦点があり、

 一つが他とも関連しているため、まとまらない。

 アメリカとソビエトは国内に爆弾を抱え込んで弱体化していた。

 思いきった事も出来ず・・・

 「なぜ、アルゼンチンの反体制勢力に武器を売る?」

 「アルゼンチンが弱いと、フォークランドが守れるからよ」

 「そんなもののためにアルゼンチンの軍政を潰す気か!」

 「アルゼンチンが制限資本主義になったらどうする!」

 「イギリスだけが何でアルゼンチンの軍国主義に対応しなければならないの?」

 「同盟国なら他の方法を考えたらどうだ!」

 「アメリカ製が流れているのは、何故だと思ってるのかしら」

 「せっ! 制限資本主義は危険だ!」

 「だ、そうよ」

 「「そんな事はない」」 フランス、イタリア

 「「危険だよ」」 アメリカ、統合ドイツ

 「制限資本主義が上手く行くのなんて、いまのうちだ」

 「そうだよ。土地転売資金使い果たした後、徐々に総生産が落ちていくんだ」

 「「東欧の制限資本主義諸国との交易連合が効果的だ」」

 「それが危険なんだ!」 統合ドイツ

 「そうだ。1520mm広軌なんてやめちまえ」

 「「「・・・・・」」」 フランス、イタリア、統合ドイツ

 「共産主義的な要素を真っ向から否定することないだろう」

 「・・・ソビエトは、生産性が落ちてるそうじゃないか」

 「まさか、生産性は上がっているよ」

 「日本製を購入して組み立てているだけだろう」

 「アメリカだって日本製を買って組み立てているだろう?」

 「我が国の資源、工業力、労力、資本、技術は、失われていない」

 「そうだった。そうだった。失われているのは、労使の信頼関係だったな」

 「なにを言う、そっちだって、国民の労働意欲が失われているじゃないか」

 「共産化しそうなくせに」

 「そっちだって、限界のくせに」

 「なんだと、ヤポーニャ。この金の亡者に言ってやれ」

 「さっさと制限資本主義にしないと革命だとな」

 「あー うー・・・」

 「ふざけんな!」

 「ジャパン。この半病人に私有財産制を勧めてやれ、さもないと餓死するぞってな」

 「あー うー・・・」

 「ヤポーニャ!!」

 「ジャパン!!」

 「あー うー・・・」

 「「・・・・・」」

 

 

 

 アントノフAn26カール

 双発の中型輸送機としては、適当に使いやすい機体と言えた。

 2820馬力エンジン2基は、非力でも、その分、燃費が良く。

 また、いざとなればジェットエンジンで急加速することもできた。

 日本製の部品で稼働率が上がり、安全性も性能も増していた。

 もっとも遊覧飛行で使うだけならジェットエンジンは無用なので外していた。

 しかし、速さを求める客層も多く。

 市場を無視できない日本は、コミューター機に速さを求めた。

 経済性と速さを同時に追求するとベアで使っているターボプロップエンジンとなった。

 コミューター機の仕様を15000馬力2基。巡航速度720km/h×4時間で逆算(2880km)。

 不慮の場合を含めた航続距離3400kmが決まる。

 機体はエンジン出力のためAn26カールより二回りほど大きくなってしまう。

 大型機と違って開発に失敗しても痛手が小さいのか、初めて双発旅客機の開発が行われる。

  HP 重量 全長×全幅×全高 翼面積 巡航速度 航続距離 乗員
An26カール 2820×2+7.85×1 15000/23000/24000 23.80×29.20×8.58 74.98 440km/h 2550km 4+40
YS11 15000×2 20000/28000/30000 40×42×8.58 74.98 720km/h 3600km 150

 「中途半端に大きいし、中途半端に航続距離が延びてるぞ」

 「途中で炭素繊維複合材料が軽くて強度が増したから、エンジンの省エネも進んだし」

 「CADもようやくまともになったか」

 「アップル買収が利いたかな」

 「工作機械も器用になったから採算ベースに乗りやすいよ」

 「採算ベース?」

 「最初から開発していたら、とてもじゃないけど赤字だよ」

 「しかし、なんか、アメリカもガタガタだな」

 「お金は、回るものじゃなくて吸い上げるものだからね」

 「それを制限されそうになったら、アメリカ資本も逃げ出したくもなるか」

 「国土も資源も資本も工業力も教育も十分。2億2万人分の市場でピラミッドだからね」

 「メジャーになると海外の販路も含めたら途方もないし」

 「一企業が一国家予算並みの資本を持つよ」

 「んん・・実に羨ましい」

 「日本の企業経営は健気で慎ましいのに・・・」

 「巨大資本を前にすると萎縮するからね。金の力には勝てんよ」

 「労働者や扶養者を抱えてると辛いよ」

 「この飛行機だって、散らされたお金持ちのために製造したようなものだし」

 「お金持ち用は、燃料タンクを付け足すから航続距離も伸びる」

 「空飛ぶ大邸宅になるよ。お金持ちには、物足りないかもしれないけどね」

 「飛行場の大きさと使いやすさを考えると、こんなもんだよ」

 「まぁ 中型機でボンバルディア、エンブラエル、デハビランド・カナダ、サーブを押さえられれば」

 「コミューター機に見えん」

 「コミューター機にしては、エンジンが強過ぎたかな」

 「でも離陸700m。着陸900mなら悪くないよ」

 

 

 どこかの砂漠

 T55J戦車がT62戦車を置き去りにして砂漠を疾走する。

 日本人たちが見ていた。

 「36トン級T55J戦車は720馬力。41.5トン級T62戦車は580馬力だから。当然かな」

 「しかし、ソビエトも良くT62を売る気になったものだ」

 「滑空砲が西側でも作れるようになったからだろう。日本も56口径100mmの滑空砲を製造できたし」

 「ドイツのレオパルドUは55トンでディーゼルで1500馬力」

 「アメリカのM1エイブラムズは60トンでガスタービンで1500馬力だそうだ」

 「兵器は相対的な関係だからね。いまとなっては、T55Jも良くないかな」

 「新型は使わないだろう。同じソ連製じゃなければ、戦うとしたらM48、M60とチーフテンだよ」

 「戦車は、質もだけど数も重要だからね。旧式もそれなりに役に立つ」

 「パッシブ式暗視装置、レーザー警戒機があれば夜でも戦えるし」

 「数を揃えられるなら何とかなりそうだな」

 「T62も改良して欲しいらしいよ」

 「そりゃ 航続距離を半分以下にして良いのなら720馬力のエンジンを載せ変えられるけど」

 「船舶用のディーゼルエンジンを改良したものだからエンジンが少し大きいからね」

 「ちょっとな」

 「T62の改良だと・・・55口径115mm滑空砲はそのままでいいか」

 「砲身はそのままでも、砲塔を複合装甲に変えたいな」

 「俯角がつかないと勾配地で苦戦する」

 「まぁ スポンサー次第かな」

 「車体の方は、ディーゼルエンジンの換装とパッシブ式暗視装置、レーザー警戒機の追加か」

 「サイドスカートも付けた方が良いかもしれないな」

 「しかし、アメリカが剥れないか。イランから追い出されてるぞ」

 「口実さえ与えなければ、アメリカも戦端を開けないから良いと思うけど」

 「まぁ こっちは石油が入れば、どうでもいいけどね」

 

 

 11 アメリカ大使館占拠事件

 エジプトに亡命中の皇帝モハンマド・レザー・パフラヴィーは、癌治療を理由にアメリカへと向かう。

 これに怒った学生300人がアメリカ大使館を占拠した。

 どこか他人事な日本人外交官がイランのアメリカ大使館を見ていた。

 「こりゃまた。とんでもない事をするよ」

 「外交官が安心して居留できなくなると辛いよね」

 「アメリカ人がイラン人を怒らせ過ぎたともいえるよ」

 「しかし、イランも良くやるよ。ソビエトに近付くつもりかな」

 「どうだろう。ソビエトは、イスラム圏の拡大に脅威を受けているんじゃないの」

 「そういえば、アフガニスタンを狙っているという話しも・・・」

 「何か策略ぽいな。親米勢力とか、親ソ勢力とか。信用できないね」

 「援助してくれる方に靡いてるんじゃないの、どっちが利用されているんだか」

 「策士策に溺れるってやつね」

 「アメリカは成果主義、加点主義だから、そういうのに引っ掛かりやすそうだ」

 「そういえば、イランのF14は、稼働率落ちているんじゃないかな」

 「んん・・・MiG21J2と交換したい」

 「どうせ、日本でも維持できないよ」

 「だよな」

 

 (赤い島 ピクトン島・レノックス島・ヌエバ島)

 ビーグル水道の大西洋側にある、3つの無人島。ピクトン島・レノックス島・ヌエバ島。

 アルゼンチンは、将兵3000を3つの部隊に分け上陸させていた。

 16000トン級空母ベインティシンコ・デ・マヨ。

 9600トン級ブルックリン型巡洋艦ヘネラル・ベルグラノ

 42型駆逐艦サンティシマ・トリニダード、ヘルクレス、

 A69型フリゲート艦ドゥルモンド、ゲリコ、グランビル

 大戦型駆逐艦セグイ、イポリット・ボチャルド、ピエドラ・ブエナ、コモドロ・パイ

 輸送艦バイア・ブエン・スセソ

 揚陸艦カボ・サン・アントニオ

 などのアルゼンチン艦艇が交替で監視していた。

 カトリック国家にとって法王の裁定は重いものだった。

 しかし、アルゼンチンは、それを不服とし実行支配。

 バチカンのメンツを潰したアルゼンチンは、カトリック系国家から総スカンを食らいはじめていた。

 チリ政府は国連で、アルゼンチンの不法占拠を弾劾し、

 国際的にも追い詰めていく。

 アルゼンチンは、最初にアルゼンチン領と裁定を下したイギリスに助けを求めるが知らんぷりされる。

 チリ海軍は旧式駆逐艦やフリゲート艦ばかり7〜8隻で、大したことはなかった。

 不意にアルゼンチンの駆逐艦が爆雷を射出した。

 数本の水柱が吹き上がり、冷たい海水を辺りにまき散らした。

 チリは数隻の潜水艦を保有しており、アルゼンチン海軍を擦り減らしていた。

 チリの哨戒機アントノフAn12カブが様子を見ていた。

 「潜水艦がいるのか?」

 「ビーグル海峡に? そんな危ないことしないよ」

 「じゃ 神経過敏になっているんだ」

 「毎日、3000人分の補給か。大変だろうな」

 

 チリ バルパライソ港街

 ソビエト製2500トン級フォックストロット型潜水艦6隻が入港していた。

 ソビエトは共産化したチリを支援するため潜水艦を輸出する。

 そして、戦艦シベリアも入港させていた。

 排水量68000トン (全長280m×全幅38m×吃水10.4m)

 ディーゼル機関24基+電気駆動タービン3基3軸3基3軸推進17万7600馬力

 最大速度29ノット

 航続力18ノット/24000海里

 50口径406mm3連装砲3基

 56口径100mm砲2基

 S300F(SAN6)4連装艦対空ミサイル8基

 SSN14 4連装450mm対潜魚雷4基

 AK630(CIWS)8基

 カモフKa25対潜ヘリ3機

 双発水上機 2機

 就役1953年から計算すると艦齢26年。

 一度改装されていた。

 

 “宇宙戦艦シベリア” “宇宙戦艦ウラル”は、宇宙戦艦ヤマトの延長線上で作られおり、

 ソビエトアニメの人気モノだった。

 既に費用対効果は怪しいものの、

 キーロフ就役後、シベリアとウラルは、もう一度、改装される可能性があった。

 改装項目は、キーロフ巡洋艦で採用されているVLS発射機。

 そして、ステルスも考慮に入れた検討がされていた。

 

 

 クレムリン

 雪が降り積もる赤の広場。

 ロシア人の群衆が解散していく。

 ドキドキ、ドキドキ、ドキドキ、ドキドキ、ドキドキ

 ドキドキ、ドキドキ、ドキドキ、ドキドキ、ドキドキ

 ドキドキ、ドキドキ、ドキドキ、ドキドキ、ドキドキ

 ブレジネフ書記長、

 コンスタンティン・チェルネンコ首相、

 カザコフ館の窓からロシア人の集団を見送る。

 「・・・帰っていくな」

 「はい、こちらの説得が効いたようです」

 「ヤポーニャ 本当に大丈夫なのだろうな?」

 書記長と首相の後ろに日本人が立っていた。

 「今から権限は君に移った。お手並みを見せてもらおう」

 「了解です」

 「我々 共産党は、ロシア国民に対し有効なサービスがないことを認めよう」

 「だが君ならできるのかね?」

 「そのための業界です」

 日本人は、メガネを持ち上げる仕草をする。

 「計画の遅延は認められん。予算については一考しよう」

 「わかりました」

 「・・・期待してるよ」

 月1ペースだった “宇宙戦艦シベリア” “宇宙戦艦ウラル” の放送が週1ペースになっていく。

 店には日本製の生活物資が並び、

 回復しつつある穀倉地帯から穀物が届いていた。

 アニメの玩具は人気があるらしく、

 ライセンス交換でソビエトの工場で製造していた。

 民需と軍事兵器のライセンスの交換は割が悪い。

 しかし、民主革命よりマシに思えた。

 そう、ソビエト共産党防衛は国外になく、国内にあった。

 ソビエト財政が貧しいながらも、やりくりしているのは資源輸出のおかげであり。

 ロシア人の労働効率は、日本の労働効率に比べ明らかに悪かった。

 日本人を自発的に働かせている日本の統治者が羨ましく・・・

 「・・・ヤポーニャ。ポケットに入れて使えるのは悪くないな」

 「日本国内用でして、寒冷地の仕様は、これからです」

 「面白い土産物だな」

 「イッチープラヴァーです」

 『歩く人間? ・・・相変わらず、妙な命名感覚してやがる』

 「・・・しかし、我がソビエト連邦も随分と脆弱になったものだ」

 「むかしの国家と国民の関係は、督戦隊と囚人部隊の関係で本当に良かった」

 「最強だったそうで?」

 「おお、1942年のザカフカジエ方面ではな」

 「T34戦車より頼りになった。ドイツ軍の3号戦車がな・・・・」

 うんたらかんたら、うんたらかんたら

 『これだから、戦中派は・・・』

 他国人に戦果を自慢するのは楽しいらしかった。

 

 そして、日本人が帰ると悪だくみが始まる。

 「アフガニスタンでイスラム原理主義者が台頭すると、カザフスタンで蜂起がおこるかもしれないな」

 「カザフスタンでイスラムの蜂起がおこるとしたら、アフガニスタンが右翼化することではなく」

 「ソビエトの軍事行動が失敗する時だと思いますが」

 「失敗するというのか?」

 「失敗しなければカザフスタンは、そのままだと思います」

 「波及効果だってあるだろう」

 「ソビエト国内の治安はソビエトの責任」

 「アフガニスタンの治安はアフガニスタンの責任ですよ」

 「そんなものかな」

 「イスラムはアメリカも嫌いですし」

 「ソビエトも嫌いなのですから支援するだけ損かと思われます」

 「んん、しかし、アフガニスタンを押さえ」

 「イラン・イラクを共産化できればインド洋の不凍港が・・・・」

 「まぁ 確かにアメリカは弱ってますし、野心をそそりますがね」

 ドアがノックされ、KGBが室内に入ってくる。

 「同志ブレジネフ。ウラジオストック共和国から電文です」

 「ん・・・」

 “ハルピニスクオリンピックの邪魔をしたら独立する”

 「「「・・・・」」」

 

 

 アフガニスタン

 銃撃戦が起きていた。

 共産革命に成功した民主共和国軍も保守、イスラム、反共勢力の反撃で敗勢が濃くなっていた。

 ソビエトは、生活物資、武器弾薬の支援を行うだけにとどまっていた。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 月夜裏 野々香です。

 史実だと、エリザベス2世は、無人島をチリ領とし。

 法王もチリ領でチ・ア和平条約調印でした。

 この戦記では、チリが共産化したのでアルゼンチン領。

 その後、法王の裁定でチリ領です。

 エリザベス2世への恨みがないのでフォークランド紛争は、なくなるかも。

 でも、助けてくれないので逆恨みも・・・

 

 

 「あー うー・・・」

 萌えな女の子ではありません。

 その方がマシだったかもですが残念です。

 でも、1分で話す文字数は歴代総理で多く、速かったそうな。

 政治とは? という質問で “明日枯れる花にも水をやることだ” だそうです。

 斜陽になった石炭産業のことだろうか。

 

 

 

 ウラジオストック共和国の最後通牒、脅迫?

 で、ソビエト軍のアフガニスタン侵攻は、ありませんでした。

 アフガニスタンには、ソビエトの軍事顧問団がいるだけです。

 

 機動戦士ガンダムの始まった年です

 

 

 

意外と CMサイト 感慨深い

 

 

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第37話 1978年 『金の亡者と僻み亡者』
第38話 1979年 『あー うー』
第39話 1980年 『氷 解』