月夜裏 野々香 小説の部屋

    

ファンタジー系火葬戦記

 

『魔業の黎明』

 

 

第02話 1942年 『軍需バブル崩壊?』

 01/01

 ワシントン 白い家

 “アメリカ合衆国は、一部の権益者の利益のために誘導される国ではない”

 “民主主義国家は、国益中心の覇権主義国家であってはならない”

 “アメリカは、国民の生命と財産が脅かされない限り、息子を戦場に送ることはない”

 “これは、アメリカ合衆国が 人民の、人民による、人民のための政治 であるからに他ならない”

 ルーズベルト大統領は、反独政策をトーンダウンさせていく。

 この声明は、チャーチルとスターリンを失望させ、

 ヒットラー・ムッソリーニを喜ばせる。

 執務室

 「ったくぅ コロコロと主旨変えしやがって、財界も勝手なモノだ」

 「中国市場は大きいですからね」

 「半島に爆撃機を配備できれば、極東アジア全域で主導権を握れますよ」

 「ソビエトとイギリスに負けて欲しいな」

 「出来れば、共倒れですね」

 「日本の生殺与奪権も握ったし。それは、笑いが止まらん」

 「財界は、工業製品の一部を日本に発注すべきと」

 「まぁ しょうがないよ」

 「日本は、半島に潜水艦と航空戦力を配備するだけで、いつでも潰せる」

 

 

 釜山港

 アメリカ軍が朝鮮半島に上陸して北上していく、

 日本は半島南岸のいくつかの島を会得して対馬海峡の優先権を確保しているだけ、

 事実上、大陸からの撤退してしまう。

 日本人と日本軍が船に乗り、半島から撤収していく。

 アメリカ軍は、朝鮮半島を占領すると軍政で朝鮮人を支配した。

 アメリカ合衆国は、購入した朝鮮半島を巨大な橋頭堡とし。

 購入した満州国の利権を確保していく。

 アメリカ軍機が着陸し、朝鮮の飛行場に着陸し、

 朝鮮の港にアメリカ艦船が停泊し、

 戦車が港に降ろされ、配備されていく。

  HP 空虚重量/最大重量 全長×全幅×全高 翼面積 最大速度 航続距離 武装 爆弾
P40 1200 2810/5160kg 10.10×11.38×3.70 21.92 565km/h 5000km 12.7mm×6 225kg 1
P39 1200 2420/3350kg 9.2×10.4×3.8 19.8 605km/h 1770km 37mm×1 225kg 1
12.7mm×4
F4F 1200 2610/3600kg 8.8×11.6×2.8 24.15 515km/h 1240km 12.7mm×6 90kg 1
 
B17 1200×4 16391/29710kg 22.6×31.6×5.82 131.92 426km/h 5800km 12.7mm×13丁 2720 〜 4900 kg 10
B25 1700×2 9580/19000kg 16.1×20.6×4.8 57 442km/h 4300km 12.7mm×12 3000kg 6
SBD 1200 2905/4853kg 10.08×12.65×4.14 30.19 410km/h 1243km 12.7mm×2 545kg 2
7.62mm×2
TBD 900 2804/4623kg 10.67×15.24×4.6   331km/h 700km 7.62mm×2 544kg 3

   

戦車 重量 HP 車体長×全幅×全高 装甲 速度 行動距離 主砲 機関銃 乗員
M3軽戦車 12.9t 262 4.53×2.24×2.64 50 57.9km/h 113km 37mm×1 7.62mm×3 4
M3中戦車 26.0t 400 5.64×2.72×3.12 51 39km/h 193km 75mm×1 7.62mm×3 6〜7
37mm×1
                   

 

 まさにニュー・フロンティア。

 アメリカ軍は、朝鮮半島と満州の利権を押さえていく。

 そして、はたっと気付く。

 極東ソビエト軍が怖いと・・・

 そして、中国からアメリカの利権を守りたいと・・・

 対独と対ソで天秤が揺れ、イギリスとの関係もギクシャクしていた。

 

 01/05

 スターリンが全戦線での攻勢を命令する。ソ連軍がケルチ半島を制圧。

 

 

 日本経済は急速に好転し、

 歩いている人々の表情は柔らかくなり、

 喫茶店 璃林(リリン)は、客が増えていた。

 「人民の、人民による、人民のための政治か・・・・」

 「ルーズベルトって良いこと言うねぇ 自由民主主義に憧れるよ」

 「政府と軍部は、権力を発揮できなくなるから民主主義が嫌いなんだよ」

 「もっと日本国民の精神を信じるというか、自由にさせて欲しいね」

 「そうそう」

 「しかし、火病持ちの朝鮮人と離れられて、清々するな」

 「でも新聞だと・・・」

 「半島の朝鮮人はアメリカ人が人間扱いしてくれないって、泣いてるらしい」

 「そうか? 日本列島を攻撃して占領しようとアメリカ軍を誘惑してるらしいぞ」

 「だ、大丈夫かな」

 「さぁ・・・」

 

 01/12

 アメリカ合衆国とメキシコの共同防衛委員会が設置される。

 

 01/16

 大日本富国壮年団が結成される。

 

 01/29

 イラン・イギリス・ソ連で軍事同盟を締結する。

 

 デトロイト

 デトロイト川の対岸は、カナダでありウィンザーの町並みが広がっていた。

 「ドイツと組んでイギリスと戦争になっても勝てそうだがね」

 「戦争になれば、カナダ人は、アメリカ人になり済ましてゲリラ作戦を始めるだろうよ」

 「それはまずい。アメリカ国内でアメリカ国民に死傷者が出ると選挙に響く」

 「ただ朝鮮半島、極東権益を守り、中国市場を欲するためソビエトを破壊したいだけだ」

 「日本はともかく、イギリスと戦争したいわけではないよ」

 「なんにしてもアメリカ国民はモンロー主義が強過ぎるよ」

 「参戦するにはアメリカ国民を納得させるだけの材料が必要だよ」

 「日本に真珠湾を爆撃してもらいたいものだ」

 「朝鮮半島と満州を手放したのだ。もう、日本は挑発に乗らないだろう」

 「やれやれ」

 

 02/07

 東横電鉄・京浜電鉄・小田急電鉄が合併、東京急行電鉄発足。

 

 02/08

 ヒトラーがシュペーアを軍需相に任命する。

 

 02/13

 ドイツの工作によりハンガリーとユーゴスラビアが友好条約に調印する。

 

 02/19

 アメリカ産業は中国大陸で日本に支払ったドル回収のため、

 日系市民の日本語学校を増やし始める。

 

 イギリスのチャーチル首相が戦時内閣の改造を発表する。

 

 日本の某工場

 水系統 水無月 有紀 (みなづき ゆうき) A型 才女・メガネ

 少女が呪文を唱えながら水槽の中を杖で掻き回していく。

 「じゅげむじゅげむ ごこうのすりきれ」

 「かいじゃりすいぎょのすいぎょうまつうんらいまつふうらいまつ」

 「くうねるところにすむところやぶらこうじのぶらこうじ」

 「ぱいぽぱいぽぱいぽのしゅーりんがん しゅーりんがんのぐーりんだい」

 「ぐーりんだいのぽんぽこぴーのぽんぽこな〜〜!」

 「所長、機械油です」

 「す、凄い、廃油が極上の機械油じゃないか」

 「「「おぉおおお〜!!」」」

 「諸君。この事は他言無用で守秘義務が生じている」

 「発覚した場合、厳罰があると覚悟してもらう」

 「「「はっ!」」」

 将校たち

 「・・・なんで、魔法の呪文じゃないんだ?」

 「上手くいかなかったので、自分たちで適当に唱えろと言ったら・・・」

 「それで、あれか・・・」

 「はぁ・・・上手く行ってるので、好きに・・・」

  

 

 03/09

 インドネシアのスカルノが独立運動を開始する。

 

 03/10

 チャンドラ・ボースのインド独立連盟が運動を開始する。

 

 03/14

 イギリス豪華客船クイーン・メリー号撃沈。

 

 03/18

 ソウル 総督府

 極東・西太平洋軍司令官に就任したマッカーサーが窓から外を見ていた。

 朝鮮人代表たちが出ていく。

 「日本攻略計画だそうですよ」

 「ふっ 馬鹿どもが・・・」

 「まず、半島の地歩を固めてからです」

 「しかし、なんというか、ドラゴンがお姫様ならぬ、土人を奪ったみたいな気がするね」

 「とても併合する気にはなれませんね」

 「日本人は、よくあんな連中を併合して日本国民にできたものだ」

 「神のような寛容さと度量の持ち主としか言いようがないですね」

 「インディアンと同じように居留地に追い込んで、根絶やしにしてしまおう」

 「それが最善の選択だと思われます」

 

 

 03/20

 東海道新幹線用の新丹那トンネルの起工式が行われる。

 

 03/23

 ドイツ空軍がマルタ島の攻略を開始する。

 

 03/24

 イギリス本土で陸軍航空部隊が創設される。

 

 03/25

 イギリス・インド独立会談が開始される。

 

 03/27

 夜の関門海峡鉄道トンネル

 「随分、大きくできたじゃないか。水漏れもほとんどない」

 「手始めとしては、悪くないでしょう。標準軌1435mmでも通過できますよ」

 4人の少年少女が暗闇の中にひっそり立っていた。

 魔法使いたちは、誰にも知られないように休みにするか、夜に活動する。

 その日、下り線が全区間貫通する。

 

 03/29

 フィリピンで抗米人民軍が結成される。

 

 03/30

 英印独立会議で、インドの戦後独立案が発表される。

 インド国民会議派は、これを拒否して即時独立を要求する。

 

 情報部

 風系統 帆乃風 隼人 (ほのかぜ はやと) AB型 凧上げが好き

  「この子よう泣く 守りをばいじる  守りも一日 やせるやら

  ねんねしてくれ 背中の上で   守りも楽なし 子も楽な

  ねんねしてくれ おやすみなされ  親の御飯が すむまでは

  ないてくれなよ 背中の上で   守りがどんなと 思われる

  この子よう泣く 守りしょというたか  泣かぬ子でさえ 守やいやや

  寺の坊さん 根性が悪い  守り子いなして 門しめる

  守りが憎いとて 破れ傘きせて  かわいがる子に 雨やかかる〜」

 帆乃風 隼人が日本艦隊とアメリカ太平洋艦隊の位置を変えていく。

 「あってるのか?」

 「日本艦隊は、あっている」

 「アメリカ太平洋艦隊の位置も、偵察機を出して、確認をとれ」

 「はっ!」

 「なぁ 何で合うんだ?」

 「さ、さぁ・・・」

 「何で正規の呪文じゃないんだ?」

 「さぁ・・・」

 

 

 04/02

 アメリカが日本人の移民を認める。

 

 04/07

 ドイツ軍がマルタ島を2000機で空襲する。

 

 04/11

 インドがイギリスの自治領案を拒否して即時独立を要求する。

 

 04/12

 英印独立会議が決裂する。

 

 04/26

 ドイツ国会が行政、司法、立法、軍事の全ての権限をヒトラー総統に与える。

 

 04/29

 ヒトラーとムッソリーニが会談し、北アフリカ戦線の状況について討議する。

 

 04/30

 第21回衆議院議員選挙(富国選挙)が行われ、

 富国政治体制協議会381人が当選する。

 

 アメリカがVT信管開発。

 

 

 日本 某工場

 土系統 野伏裏 弥生 (のぶせり やよい) O型 夢想家

 「地震雷火事親父 地震雷火事親父 地震雷火事親父 地震雷火事親父」

 「地震雷火事親父 地震雷火事親父 地震雷火事親父 地震雷火事親父」

 

 火系統 不知火 剛太 (しらぬい ごうた) 14歳 B型 メンコ収集オタク

 「せり なずな ごぎょう はこべら ほとけのざ すずな すずしろ ダイコン」

 「はぎ すすき くず なでしこ おみなえし ふじばかま ききょう〜〜」

 二人がぶつぶつ言いながら杖を石炭の上に置く。

 黒い石炭が半透明な砂粒の山になって崩れていく。

 「石炭が工業用ダイヤになったぞ」

 「信じられん・・・」

 「大きい塊のままは駄目なのか?」

 「結合が上手くいかないらしい」

 「なるほど・・・残念・・」

 「わかってるだろうが最高機密だ。ばれたら・・・」

 高級将校が首を切る真似をする。

 「「「・・・・」」」 敬礼

 

 

 大本営直轄 魔法督戦隊本部

 “でも、なんで、4人とも呪文じゃないんだ”

 “なかなか次のステップに進まなくてな”

 “自分たちで適当な呪文で唱えてみろって・・・”

 “そ、それなら軍歌とか、もっと戦意高揚があるだろう”

 “それ、上手くいかんかった”

 “ちっ!”

 

 

 05/01

 私鉄大統合により、東京急行電鉄設立。

  (東京横浜電鉄、小田急電鉄、京浜電気鉄道)

 

 05/11

 ニューヨーク

 ユダヤ人国家パレスチナ建設が採択される。

 

 05/26

 英ソが20年間の相互援助条約に調印する。

 

 05/29

 ソ連のモロトフ外相がワシントンを訪問してルーズベルト大統領と会談する。

 

 05/29

 ヒトラーがインドのチャンドラ・ボースと会見する。

 

 05/31

 関門海峡トンネルの貫通式。

 史上空前の好景気で日本全体が潤っていた。

 「これで、日本経済は弾みが付くぞ」

 「北海道、四国、南樺太とも海底トンネルで連結したいね」

 「ソビエトとイギリスが日本に参戦して欲しいらしいよ」

 「ふん、良い気味だ」

 「だけど、アメリカの一人勝ちはまずくないか?」

 「いいよ。アメリカも朝鮮・満州開発で日本の産業が必要だからね」

 「まぁ 米英ソの発注があれば、当分安泰だ」

 「満州鉄道なんかいらなかったんだよ。青い鳥は日本本土にいたんだ」

 

 

 ワシントン 白い家

 男たちは、深刻な表情で向かい合っていた。

 「なに? せっかく中国利権と満州帝国の利権を得たのに対日挑発を止めろ?」

 「どういうことだ?」

 「日本の様子がおかしい。軍事費が1939年代に戻っている」

 「あれだけの金を渡したのにか?」

 男たちが資料を確認する。

 「・・・公共設備、設備投資ばっかりだな」

 「軍官僚が自ら縮小して、首を切るなど、あり得んだろう」

 「腹斬り?」

 「野蛮だな。見たい気もするが」

 「見たいから日本を挑発しようとか、言ってたんじゃなかったのか?」

 「官僚籍を土木建設に移行したらしいよ」

 「しかしな、挑発したのは確かだが・・・」

 「中国・満州大陸から撤収するどころか、朝鮮半島まで売却する始末だ」

 「不良債権じゃないだろうな」

 「だがアメリカにとってアジア市場の足掛かりは大きい」

 「むしろ、ドイツと組んでソ連を潰したくなるよ」

 「それは言える。イギリスの利権とアジアの利権。どっちが大きいか明白だ」

 「イギリスに停戦してもらって、ドイツが東部戦線に集中できるように出し渋りするかな」

 「あのチャーチルがウンと言うかどうか・・・」

 「それは、条件次第じゃないか」

 「暗殺してもらえるように圧力を・・・」

 「いや、ばれると怖いだろう。そいう状況を作ればいい」

 「いっそ、英ソ、独伊共倒れで良いじゃないかな」

 「それ、おいしい過ぎるよ」

 「それはそうと、日本軍部の反発は?」

 「主戦派が大人しい、暴走している馬鹿軍人が消されている」

 「日本国民は?」

 「農地改革で社会資本が増えるのなら喜んでるよ。軍部の圧力も減っている」

 「日本は、あと少しで軍需バブル崩壊だったのに臥薪嘗胆してから良いこと無しだな」

 「萎んで軍事バブルが崩壊したのだろう」

 「日本軍が萎んで縮小など、誰も望んでいなかっただろう」

 「ボンッ! と盛大に破裂すると思ったのに残念だ」

 「真珠湾でも空襲してくれたら、シナリオ通りだったのにな」

 「取り敢えず。日本は闘牛からドン・キホーテに昇格で良いんじゃないか」

 「「「「あははは・・・」」」」

 「しかし、身の丈に則した外交戦略を取られると、厄介だ」

 「自滅を避けられると突っ込みどころがな・・・・」

 「もう少し押してみるか、対応次第で自滅する」

 「そこだが状況が変わっている」

 「日本で出所不明の工作機械と燃料。機械油。あと工業用ダイヤも確認されている」

 「まさか、我々が見つけられないだけだ。種も仕掛けもあるよ」

 「農地開拓で貧富の格差を是正で社会資本の増大」

 「積極財政で生産性が増しているだけだろう」

 「兵力も40万に削減。旧式艦艇のイギリス売却も噂されている・・・」

 「おかげで計算値が狂ってる」

 資料が次々と確認されていく。

 「当然と言えば当然だが日本は、軍の縮小で国力全般を回復させ、生産力を増大させている」

 「最大の懸念は、我が軍の情報漏れの気がする」

 「暗号が解読されたのか?」

 「まさか、我が国の暗号は、ナホバ族の言語だ」

 「アメリカ人でさえ分からんのに。日本人が分かるわけがない」

 「裏切りの可能性は?」

 「ナバホ族の誰が裏切ったのかね?」

 「アメリカ軍上層部に内通者はいないだろうな?」

 「まさか」

 「まだ懸念の段階だ。これが事実なら最優先課題になる」

 「どちらにしろ、情報漏れだと対日作戦不可だな」

 「艦隊集合海域に潜水艦を待ち伏せされたらかなわん」

 「それと、建造中の新型飛行船の 畝傍 だが妙だな」

 「妙だと?」

 「戦艦の装甲が使われている節がある」

 「偽装だと思うが、そう言う偽装を行う理由が皆目わからない」

 「飛行船に装甲を施していると勘違いさせたいだけなのだろう」

 「飛行船に装甲なんてあり得んだろう。誰も信じたりはしない」

 「本当は、飛行船じゃなくて、潜水艦なのではないか」

 「サルの考えはサルにしかわからんね」

 「どうせ、我々の人知の及ばない。小賢しい野性の “勘” だろう」

 「野生の “観” じゃない事を祈るね」

 「どちらにしろ、日本人に秘密がある事は確かだと思うが?」

 「畝傍で公表されている性能は低いような気もするがね」

 「我々を疑心暗鬼にさせているとしたら成功だろう」

 「それは言える」

 「我々は、一時的な軍需バブルで造り出された戦力。幻想などに振り回されることはない」

 「しかし、日本が軍需バブル崩壊から脱したことは素直に認めるべきだろう」

 「軍部は、日本の国体を巻き込んで無理心中、ぽしゃると思ったが意外にしぶといな」

 「戦艦に砲弾を撃ち込まれて陸軍が萎んでしまうとはね」

 「期待した俺たちが馬鹿だったよ」

 

 

 06/12

 ロンドンで英ソ共同声明が発表される。

 

 06/15

 権益売却代金の多くがアメリカ製工作機械・部品・消耗品、鉄鉱石、重油で消える。

 工場の規格品質の強化が始まり、歩留まりが改善されていく。

 公共投資で土木建設工事が起こると賃金が支払われ、内需が拡大し、

 大八車、リヤカー(1921年初)など脆弱な物流が増大し、路地を駆け巡る。

 民需技術に資金が流れ、アルミ製の積載350kg級リヤカーが生産され。

 サイドカー付きの単車 “陸王” “くろがね” と結びつき、

 日本の一大流通時代になっていく。

 「何でサイドカーなの?」

 「まともな単車に乗れないでしょ」

 「リヤカーをアルミで作っても良いものなのか」

 「軽い方がいいだろう。航空機作らなくなったし。狭い道でも走れる」

 重厚長大から軽薄短小に移行すると資源トン数当たりの単価は飛びあがる、

 金本位制は廃止されており、

 売却益に合わせて、金の保有が増え、大量の紙幣が発行され、

 無資源国家日本の経済を活性化させ、社会資本を富ませていた。

 

 

 06/17

 フランクリン・ルーズベルト大統領が原子爆弾製造計画を促進する許可を下す。

 

 

 06/27

 英ソ軍事援助への信用供与協定が締結される。

 

 06/28

 枢軸国軍が南部戦線でブラウ作戦を開始する。

 

 

 日本の日独伊同盟脱退後、日本とイギリスは急速に接近していく。

 イギリスはフッド、プリンス・オブ・ウェールズが撃沈され。

 アメリカの参戦が得られず、エル・アラメインの陥落。

 その後のドイツ・イタリア軍の侵攻に合わせてエジプト人が蜂起。

 アレクサンドリアが落ちれば、スエズ陥落も目の前だった。

 イギリスは、アメリカに参戦を求めても得られず。

 その後、日本は朝鮮・満州・中国大陸の権益をアメリカに転売。

 アメリカは、満州権益地を守るためドイツのソビエト打倒を望み始める。

 窮地に陥ったイギリス・オランダ・ソビエトは、日本と交渉を始める。

 日本外務省

 「・・・はぁ 金だよ。金」

 「それか資源。そんな紙切れのような国債なんか、いやだね」

 「そこをなんとか・・・」

 「知らん。滅んじゃえ」 ぷぃ

 「「「・・・・」」」

 世の中、お金だった。

 財政破綻気味で危機的状態の国の国債など買いたくないのだ。

 スイス銀行を通じ、ドイツ財政の肩入れしたのもアメリカ資本なら、

 武器貸与法を可決し、借金を後払いとしたのもアメリカ。

 マッチポンプであり、

 武器貸与法も戦禍拡大の呼び水に過ぎなかった。

 それは富めるアメリカ合衆国だからこそできることであり、

 日本の国家予算並みの余剰資本を持ったアメリカ財閥がいくつも存在するからであり。

 貧乏な日本は真似できない。

 目先の現物か、現金即決に決まっていた。

 

 

 07/01

 ドイツ軍がエル・アラメイン周辺に到達する。

 

 07/02

 チャーチル首相問責決議案が提出される。

 「アメリカが駄目なら日本を参戦させろ」

 「日本は空前の好景気で、金次第だそうです」

 「ちっ 守銭奴が!」

 「インドも独立が通らないのなら協力しないと・・・」

 「どいつも、こいつも・・・」

 

 

 07/03

 ドイツ軍がセヴァストポリ占領。

 

 ドイツ・イタリア両国がエジプトの独立を保障すると宣言。

 

 07/12

 アメリカ最高裁判所が共産党を非合法と認定。

 

 07/12

 インド国民会議派が完全独立を要求、ガンジーの抵抗運動を決議

 

 

 07/13

 ヒトラーが、B軍集団の主要目標をスターリングラードと定める。

 

 07/14

 ロンメル軍団がテル・エル・エイサを攻撃していた。

 「元帥。参謀本部は、東部戦線に戦力を集めるので自重しろと」

 「ちっ こっちを後回しか」

 「日本の同盟脱退とアメリカの中立化で戦況は有利になりましたね」

 「ふ 思わぬ誤算だったな。日本と同盟を結んでいたよりも有利だ」

 

 07/14

 インドで共産党が合法化される。

 

 07/15

 エジプトで反英暴動が起こる。

 ロンドン

 「アメリカめ、極東に取り付いたと思ったら掌を反しやがって、拝金主義者が!」

 「戦争が終わる頃、イギリスは、財政破綻だな」

 「日本軍を雇うか」

 「日本の2等兵は10円・・・1ポンドだったっけ」

 「日本政府が20円くらい天引きしたいらしいよ」

 「じゃ・・・半年で戦死するとして30円×6ヶ月で180円か」

 「将兵100万人でも1億8000万円くらいかな。士官、下士官を入れると倍の3億6000万円」

 「まぁ 4000万ポンドと考えれば良いか。アメリカ義勇兵より割安だよ」

 「衣食住の経費と遺族年金、見舞金を含めても安く済むね」

 「潰しが利いて、戦意も高いから丁度良いよ」

 「占領する都市ごとに100億ぐらいの餌を掛ければ、喜んで突撃してくれそうだな」

 「しかし、イギリス財政も厳しいだろう」

 「だが、日本は陸軍を縮小させているらしい。いまさら再動員できるのか」

 「・・・しょうがない。土地で払うか・・・」

 「イギリスだけでか?」

 「当然、オランダ、ソビエトも負担してもらいたいね」

 

 

 07/16

 パリで、ユダヤ人1万3000人が捕まり強制収容所に送られる。

 

 07/17

 ベルリン

 アメリカ合衆国の代表が訪れていた。

 「アメリカ合衆国は、アメリカ=アイスランド防衛協定により」

 「アイスランドまでの航路保全を要求する」

 「我が国は、イギリス、ソビエトと交戦状態にある」

 「イギリス、ソビエトへの戦略物資輸送を許すわけにはいかない」

 「イギリス、ソビエトへの武器貸与法は、高価なモノになるだろう」

 「・・・・・」

 「しかし、我が国の船舶が撃沈されれば、その限りではなくなる」

 「・・・・・」

 「それにアメリカはウラジオストックからでも安全に輸出できるのだ」

 「しかし、我が国は満州権益を守りたいと考えており、それを好ましいと考えていない」

 「言ってる意味は、おわかりか?」

 「・・・・・」

 「アイスランドへの輸出量は?」

 資料が手渡される。

 「これはアメリカからアイスランドの分であり」

 「カナダからアイスランドへの輸出分は含まれていない」

 「どちらにしろ、アメリカが自主的に輸出制限してもらえるのであれば・・・」

 「アメリカ合衆国と戦争するよりマシだな」

 

 ヒトラーがB軍集団の第4装甲軍をA軍集団のドン川強行渡河に参加させる。

 

 07/17

 ロンメル元帥は、補給が困難であると判断。

 イタリアのカバレロ将軍と退却の件について協議する。

 

 07/21

 天皇が宇都宮空軍飛行場で演習を視察する。

 国防省(海軍)仕様で陸海軍航空部隊が空軍局に統合されていた。

 そして、空軍は、ゼロ戦を使っていた。

 国防省は、陸軍仕様が消えたことで生産設備と資材に余裕が生まれ・・・

 さらにアメリカ航空機が朝鮮・満州に配備されるようになると日本本土の防空が重要になった。

 当然、長距離戦闘機より、迎撃戦闘機で防弾も重視される。

 金星51型エンジン装備のゼロ戦62型、100式司令偵察機が飛ぶ。

 栄12型の重量は、590kgで940馬力

 金星51型の重量は、642kgで1300馬力

 エンジンが52kg大きくなれば、機体全体を補強しなければならなかった。

 機体の外板は厚みが大きくなり、開けられていた穴も塞がれていく。

 機体の厚みは1.2mm〜0.6mmに増え、燃料タンクは縮小。

 ゼロ戦改の航続力は1000kmに低下してしまう。

 機体重量は増えると軽快な機動が難しくなり、

 軽戦闘機から中戦闘機と言えるモノになっていた。

  hp 自重/全備重 燃料・弾薬 全長×全幅×全高 翼面積 速度 航続距離 武装
97式改 610 1190/1790kg 566kg 7.53×11.31×3.25 18.6 440km/h 600km 7.7mm×4
ゼロ戦21型 940 1680/2674kg 994kg 9.06×12.0×3.5 22.44 533.4km/h 2222km 20mm×2
7.7mm×2
ゼロ戦51型 1300 2600/3300kg 700kg 9.06×12.0×3.5 22.44 573km/h 900km 7.7mm×6

 邪馬ひみこは、陸海軍を国防省で統合した後も縁起がいいと陸軍局長で在任していた。

 海軍主導のため、邪馬ひみこを陸軍局長で立てていただけと言える。

 「97式改襲撃機って、あれ?」

 「はい、7.7mm4丁にして、襲撃機にしました」

 「強いの?」

 「ええ、対地襲撃は強いはずです」

 「そう・・・」 ちんぷんかんぷん

 朝鮮・満州のアメリカ軍機は5000機に達しており。

 日本は、10ヵ所に200機以上を運用できる大型飛行場を建設していた。

 「ゼロ戦は、何機くらい作るのです?」

 「51型は4000機ほどかと」

 「半島のアメリカ軍機は?」

 「戦闘機2000機、爆撃機2000機かと」

 「日本が空襲されなければ良いけど」

 「アメリカが朝鮮半島と満州に足場を作るまで、数十年は必要なはずです」

 「それまで、日本が体力を付ければ良いのね」

 「軍事費で国力を削がなければ間に合うかと」

 「内政の失敗を内憂外患で誤魔化せる国防が一番、税金を集めやすいもの」

 「日本は、もっと謙虚に列強から学ぶべきだったかもしれません」

 「先に学んだ先達が既得権益を守るため、後塵を外国に学ばせないようにしたのよ」

 「それか、派閥の子飼いだけを贔屓したからかな」

 「老害ですね」

 「見え見えけど、日本人って、長いモノに巻かれちゃうから」

 

 

 07/22

 ドイツ軍がドン川を渡る。

 

 アメリカのハル国務長官が戦後に国際連合を設立することを提案する。

 

 07/25

 ドイツのA軍集団がロストフ・ナ・ドヌーを占領する。

 

 07/27

 ドイツ第6軍がドン川の屈曲部のソ連軍掃討戦を行う。

 

 07/30

 カナダで、全面的徴兵制を施行する法案が可決される。

 

 

 アメリカ合衆国の不参戦で疎遠な情勢により、

 イギリスは、なりふり構わず日本の船舶を買い求め始め。

 さらに日本の旧式軽空母1隻、軽巡17隻、駆逐艦43隻の購入を求めた。

軽空母 1隻
7470トン級 1隻

鳳翔

軽巡洋艦 17隻
3230トン級 2隻 天龍、龍田
5100トン級 5隻 球磨、多摩、北上、大井、木曾
5170トン級 6隻 長良、五十鈴、名取、由良、鬼怒、阿武隈、
5195トン級 3隻 川内、神通、那珂
2890トン級 1隻 夕張
駆逐艦 43隻
1315トン級 12隻 睦月、如月、弥生、卯月、皐月、水無月、文月、長月、菊月、三日月、望月、夕月、
1270トン級 12隻 神風、朝風、春風、松風、旗風、追風、疾風、朝凪、夕凪、野風、波風、沼風、
820トン級 7隻 若竹、呉竹、早苗、朝顔、夕顔、芙蓉、刈萱、
1215トン級 12隻 峯風、沢風、沖風、島風、灘風、矢風、羽風、汐風、秋風、夕風、太刀風、帆風、
     

 

 危機的存亡のあまり、減価償却無しのドンブリ勘定。

 総額7億4000万。(3774万ポンド) (100円=23.44ドル=5.1ポンド)

 ところがイギリス財政も危機的だったりする。

イギリス財政 (100万ポンド)    国債残高 13153
収入 支出
内国歳入税 1569 軍事費 4840
間接税 885 社会的支出 438
所得税 1007    
   
経常的収入 2820 経常的支出 5637
経常収支 -2817    
       

 表では-37.74が加算される。

 もっとも、資金難のイギリスも、おいそれと払える額ではなく。

 当面、工作機械、資源売却、ライセンス費用免除。改造費用などで応じていた、

 しかし、さらに戦況が悪化。

 金剛型4隻、扶桑・伊勢型4隻の購入を求め。

 代価は4億に上り、ライセンスモノはともかく、

 対価で望まれた物品は、紛れもなく最重要の戦略物資だった。

 この頃のアメリカは満州・中国利権を守るためか、

 ドイツのソビエト打倒を望む声が大きくなっていく、

 追い詰められたイギリスとオランダは、オーストラリアを説得。

 さらに窮地に陥っていたソビエトも説得してしまう。

 豪ニューギニア・ソロモン諸島・北樺太(1000億円相当)と日本艦隊(100億)の交換、

 逆に日本に借金(900億円)を背負わせてしまう。

 そして、乗員訓練が間に合わないことから一部の艦隊は、乗務員を義勇兵にさせられる。

 

 

 日本財政。

 軍縮は1939年代にまで後退。

 社会的支出は、徐々に増加していた。

日本財政 (1000円)    国債・借金残高

151152101

収入 支出
内国歳入税 6633790 軍事費 6768604
収入印紙 154328 社会的支出 1877344
専売 568440 ニューギニア・ソロモン

(10000000)

森林収入 149343 国債償還

(6000000)

公債 381659    
758388    
政府、満州・中国権益売却費 (6000000)    
艦艇及び武器弾薬売却費 (10000000)    
   
経常的収入 10191608 経常的支出 8276476
経常収支 0 経常収支 915132
       

 

 日本。

 大本営でイギリスの提案に対し対応策が練られる。

 単に利害関係ともいえた。

 日本軍陸軍は18個師団ほどしかなく、共同戦線の場合、指揮権はどこが執るのか。

 血の対価をどうするのかなどなど・・・

 「英蘭ソの提案を飲んだ場合、我が国は英蘭ソに対し、莫大な借金を背負う事になる」

 「返済のため18個師団を動かした場合、日本の国防は?」

 「後備旅団18個を配置して、新兵の教育を行い、前線に補充すべきでは?」

 「当面の軍事費・・・経費は、日本持ちなのだろう?」

 「日本軍が占領地を拡大すれば、借款が減る約束になっている」

 「つまり損失もそうだが戦績に応じて借款が減る」

 「単独で都市を占領するとは限らないだろう。日英印共同で攻撃した場合は?」

 「そもそも、都市を占領するより、大きな戦略価値もあろう」

 「柔軟な戦略的視野が制約されるのは好ましくない」

 「相手が相手だ。戦線を維持するだけでも大変な功績だと思うがね」

 「また、言語が違うし、兵装も違う、共同戦線が採れるか、怪しいですな」

 「あとイギリス軍隷下で戦闘に入り、成功した場合は、当然、戦功も大きくなる」

 「イギリス軍に良いように日本軍将兵が踏み躙られるなど・・・」

 「だが魅力的な額だよ」

 資料が渡される。

 「「「「・・・・!?」」」」

 「・・・し、緒戦はともかく、イギリスの兵装に切り替えるべきでは?」

 「取り敢えず、日本が中心になって戦果を示し、それで、借款削減にならなければ困る」

 「あと、輸送船だが、相当な損失が見込まれそうだな」

 「ロイド保険が引き受けるそうだ」

 「とりあえず。こちらが受けた損失総額は、借款から天引きすべきだ」

 「あまり殺し過ぎないように頼むよ」

 「それはまぁ 見舞金はともかく、遺族に恨まれたくはない」

 「しかし、いくら旧式でも海軍艦艇を売ることないでしょう」

 「金があれば、装備を一新できるのだよ」

 「体の良い軍縮ではないか」

 「海軍が欲しいのは、航空機と潜水艦だろう」

 「そ、それは・・・」

 「海軍も2交代制を敷けて良かったじゃないか、稼働率も上がる」

 「アメリカじゃあるまいし・・・」

 「貧乏なんだから二人分の給与を払うより、正面装備に回したいんだけどね」

 「だけど、ずっと艦内に閉じ籠もっていたら精神衛生上も良くない」

 「それに爆沈騒ぎを起こされるより良いだろう」

 「まぁ 乗員は良いかもしれないが・・」

 「陸軍より取り分を大きくしたいのなら海軍も投資を大きくすべきだ」

 「朝鮮・満州売却で金があるのでは?」

 「所用で使ってるよ」

 「我田引鉄ですか?」

 「あははは・・・魔法使いたちのおかげで生産性・採算性が良くなってね」

 「土地を二束三文で買いたたける今がチャンスなんだよ」

 「・・・・」 むすぅ〜

 

 

 戦艦 金剛

 「日本海軍で戦死するより、イギリス海軍の下で戦死した方が恩給が良いらしいよ」

 「ふっ そりゃ 死に甲斐があるな」

 「結局、命の代価をどのくらい出せるかってことかな」

 「イギリスがお金持ちなのは、良くわかったよ」

イギリス売却艦隊 戦艦8隻

32000トン級 4隻 金剛、比叡、榛名、霧島
39150トン級 2隻 扶桑、山城、
40000トン級 2隻 伊勢、日向

 総戦力は、戦艦8隻、軽空母1隻、軽巡17隻、駆逐艦43隻。

 一国が羨望するほどの艦艇だった。

 もっとも、対艦より、対潜対空を望まれ、そのまま、使える艦艇は少ない。

 対艦装備を剥がしてでも対潜ソナー・対空レーダーの充実が望まれ、改良が求められた。

 そして、改造されながらイギリス海軍に売却されていく。

 また、戦争で荒廃しているイギリスは日本産業を当てにする。

 

 

 08/05

 三菱重工長崎造船所で戦艦 “武蔵” が竣工する。

 艦内

 「もう〜 迷子になっちゃったよ」 野伏裏 弥生

 「大和もそうだけど、武蔵も広いからね」 不知火 剛太

 「次は、ここだ」 海軍将校。

 魔法で強化すれば同じ装甲の厚みで最大5パーセント強化できた。

 410mmの装甲板が430mm相当に化けるのなら誰でもやりたがる。

 砲弾の硬さが増せば、敵艦艇に与える損害も大きくなった。

 しかし、装甲や砲弾より、火急的な急所もあった。

 機関室

 人払いをした後、少年と少女がいた。

 重油燃焼機関は、重油を燃やし、内圧を掛けた熱蒸気でタービンを回す。

 大和は、駆逐艦初春型搭載の艦本式高低圧タービンを使用。

 (1軸当り21000shp)×2列×4軸であり、168000馬力。

 長期運用仕様の9割運行で151200馬力であり、

 缶と管が内圧と熱に耐え、歯車が高速に耐えうるのであれば、さらに高速を出せた。

 また、直径約4cmリベット615万3030本。

 溶接34万3422m、区画数1682。

 錆び止めなどなど・・・

 20人の魔法使いが交替で24時間フル回転で働いても足りない。

 「どうせやるなら飛行機とか、潜水艦の方がいいのに」

 「工作機械の方がいいよ」

 「でかければ良いモノじゃないのに・・・」

 「面子ばっかり」

 「お〜い! 急げよ。時間が決まっているんだからな」 将校

 「「は〜い」」

 

 

 08/08

 全インド会議派委員会が、イギリスのインドからの撤退を決議する。

 イギリスの大弾圧が始まる。

 

 

 08/09

 インド政庁が国民会議派の大弾圧を行う。ガンジー、ネルーらが逮捕される。

 

 08/12

 モスクワで日英ソ3国会談が開催される。

 

 

 08/13

 アメリカで原爆開発計画(後のマンハッタン計画)が始動する。

 ハル長官

 「Mrノムラ・・・」

 「貴国日本は、中国に対し不当に武器弾薬を輸出し、アジアの安全保障を著しく乱している」

 「はて、揚子江は、アメリカが求めたとおり、国際河川のはず」

 「我が国は、アメリカと同様の政策を執ったと思いましたが?」

 「とにかく、中国への武器弾薬輸出は、まかりならん」

 「では、我が国が欲する資源は、どうすれば?」

 「そ、それは・・・とにかくまかりならん」

 「それでは、日本経済は立ち行かない」

 「アメリカが日本の欲する資源を輸出してくれるのでなければ受け入れられない」

 「「・・・・・」」 むっすぅうう〜

 

 

 08/14

 ドイツ第6軍がドン川屈曲部のソ連軍を排除する。

 

 08/15

 マルタ向けのペデスタル護送船団が大打撃を受ける。

 

 08/19

 ドイツ第6軍がスターリングラードを占領する。

 

 08/22

 スターリングラード攻防戦。

 

 08/25

 ドイツ軍がタイガー戦車をスターリングラードに投入。

 スターリングラードのドイツ軍がソビエト軍を撃退する。

 

 08/27

 西日本に台風が襲い、891人死亡、3万3283戸全壊する。

 

 

 08/30

 ロンメル元帥がアラム・ハルファ方面への攻撃を開始する。

 

 

 ロンドン

 白人と日本人がいた。

 「日本は、朝鮮・満州・大陸利権をアメリカに叩き売り、アメリカの矛先を変え」

 「軍縮と得た資源と資財で内需拡大しつつ財政再建ですか?」

 「お陰で満州利権に引き込まれたアメリカは、英ソ・独伊のどっちつかず」

 「まるで奇術を見せられているようだ」

 「財政再建のためですよ」

 「イギリスの技術を吸収しながらイギリスに旧式艦艇を叩き売れば相当な利益」

 「いやはや、驚きですよ」

 「いえいえ、北樺太・ニューギニア島で購入で日本は借金を背負わされましたよ」

 「開発できれば借款を返金できるでしょう」

 「日本には、血の代価で返していただきたいですな」

 「まぁ 日本は移民先を得られましたし、財政再建の目処が付きそうです」

 「日本人の血は安いですからね。了解してますよ」

 「その上、日本の兵器武器弾薬はもっと売れる、結構ですな」

 「まぁ 国際外交戦略の流れでしょうな・・・で、約束の方は?」

 「わかっています、時期を見て宣戦布告します」

 「いいでしょう」

 「時に・・・奇妙な噂を聞いているのですが?」

 「はて?」

 「日本が魔法を使っているとか?」

 「あは、あは、あははははは・・・・」 誤魔化し

 「あは、あは、あははははは・・・・」 疑い

 「まさか・・・」

 「まったく、根も葉もない。噂ですけどね」

 「ええ、どこからそんな噂が飛び出したのか・・・」

 「しかし、1941年に入ってからの日本の外交手腕は目を見張るものがあります」

 「各国とも、こう言ってますよ。ジャパン・ミラクル・マジックと・・・」

 「そう評価していただければ、嬉しい限りですな」

 「「あは、あは、あははははは・・・・」」 誤魔化し & 疑い

 

 

日本海軍残存艦隊
戦艦 4 大和、武蔵、長門、陸奥
空母 8 赤城、加賀、(蒼龍、飛龍)、(瑞鶴、翔鶴)、龍驤、瑞鳳、
重巡 18 (古鷹、加古、青葉、衣笠)
(妙高、那智、足柄、羽黒)、(高雄、愛宕、摩耶、鳥海)
(最上、三隈、鈴谷、熊野)、(利根、筑摩)

駆逐艦

68 (吹雪、白雪、初雪、叢雲) (東雲、薄雲、白雲、磯波)
(浦波、綾波、敷波、朝霧) (天霧、狭霧、夕霧、朧)
(曙、漣、潮、暁、響、雷、電)
(初春、子ノ日、若葉、初霜、有明、夕暮)
(白露、時雨、村雨、夕立、春雨、五月雨、海風、山風、江風、涼風)
(朝潮、大潮、満潮、荒潮、朝雲、山雲、夏雲、峯雲、霞、霰)
(陽炎、不知火、黒潮、親潮、早潮、夏潮、初風、雪風、天津風、時津風)
(浦風、磯風、浜風、谷風、野分、嵐、荻風、舞風、秋雲)
潜水艦 80  

 

 戦艦4隻、空母8隻、重巡18隻、駆逐艦68隻、潜水艦80隻。

 大和 艦橋

 「随分、すっきりしたじゃないか」

 「例の魔法がなければこんな事にはならなかったのですがね」

 「戦力に跳ね返るのであろうな」

 「そりゃもう、飛行石が入手できれば、不沈艦隊も夢ではないです」

 「しかし、満州とニューギニア島の値段が違い過ぎるのが面白くない」

 「地代と借地代の違いでしょう」

 「ふんっ! 日本は、イギリスの傭兵だ」

 「ですが日本の移民は上手くいきますよ。ニューギニアは大きいですからね」

 「移民が成功するとは言えんな」

 「その時は、政府に責任を追及して・・・」

 「陸軍局長がアレじゃ 軍政は無理だろう」

 

 

 日英ソ蘭防衛協定調印

 イギリス連邦 パプア・ニューギニア 面積462840ku

 オランダ    イリアンジャヤ     面積420540ku

 ソビエト連邦 北樺太         面積 37988ku

 日本は、日英ソ蘭防衛協定で新たな植民地を手に入れる、

 そして、莫大な借金を英ソ蘭共同名義で負ってしまう。

 日本の対独伊宣戦布告は、借款返済のため行われる。

 

 首相官邸

 「いまのところ日本の状況は、悪くない」

 「朝鮮・満州・大陸の利権売却で、一時しのぎだが経済が活性化している」

 「軍ゴリ押しの農地解放で貧民層は、一息ついて、しばらく、誤魔化しが利くだろう」

 「だが、北樺太・ニューギニア会得で借金を押し付けられて青色吐息だろう」

 「戦争で人減らしして、農地改革のつもりだったんだけどね」

 「ニューギニア島が入るのなら農地問題はいいだろう」

 「いまのうちに土木建築需要を作ってインフレを起こすしかないね」

 「軍需バブルの次は、土建バブルか。もう、救われんな」

 「少なくとも土建バブルなら掛け捨てではない、再生産可能で波及効果も認められるよ」

 「例の魔法使いたちのおかげで、何とかなりそうかね?」

 「まぁ 錬金術ですからね。4人がかりなら溶接の継ぎ目さえ消せますよ」

 「んん・・・やはり、軍より、産業全体を引き上げる方がいいな」

 「しかし、潜水艦の建造は、御理解していただきたいですな」

 「例の世界の探索、成果が出ていないようだが」

 「残念ながら、まだ・・・」

 軍縮により、余剰資本で公共工事が開始される

 東海道新幹線

 黒部ダム

 関門海峡トンネル。

 金本位制が廃止されると金と紙幣の交換ができなくなった。

 国際社会における日本円は紙くず。

 しかし、内需需要に限れば、紙幣増刷で数千万人の雇用を強制的に起こすことはできた。

 力を付け、国際的に価値のある製品(資源)を生産できれば済む・・・

 国債を発行して行うと、希少価値のある貨幣価値は保たれ、

 貧富の格差を維持したままなので、お金持ちは嬉しかったりする。

 さらに借金を国民全体に押し付けることができた。

 国債を発行せず、札束を増刷するとインフレが起こりやすくなり、

 お金持ちは貧富の格差が縮まり面白くなかった。

 そして、富裕層の増大は、怠惰と傲慢を生み、全体の生産性を後退させる恐れがあった。

 とはいえ、戦争を避けるための緊急処置で行使しなければならず。

 大規模な増刷で積極財政が強行され、大量の紙幣がばらまかれる。

 貨幣価値は徐々に下がり、物価は高騰しつつあり、インフレとなっていく。

 力のない年寄り、孤児は生きて行けず・・・

 しかし、公共工事は、強制的な需要を起こし、職場を提供していく。

 魔法使いが局所的に起こした奇跡が経済的な魔法を広範囲に拡大させていた。

 

 

 イギリス製小型艇が日本の港に入港する。

 全長22m×全幅4.5m×吃水1.15

 3軸4200馬力、47ノット、魚雷4本、20mm機関砲、乗員13人。

 RNボート (Royal Navy boat)、またはMTBと呼ばれる高速魚雷艇だった。

 日本海軍は、波の荒い日本近海で小型高速艇を不利と割り切り開発していなかった。

 とはいえ、持っていないと不安であり、

 さらに戦域が赤道近くにまで広がると実利的な意味でも購入する。

 性能は、ドイツ製Sボートより劣る。

 それでもドーバー海峡を挟んで制海権を争える小艦艇だった。

 赤レンガの住人たちが日本海を走るRNボートを見ていた。

 「やっぱり波が荒いと速度が遅くなる」

 「波が荒いと出航できない艦艇は戦力にならないし。日本に向かないよ」

 「向こうの世界に行ったとき、潜水艦じゃ 小回りが利かないし、いまいちだろう」

 「んん・・・向こうの波が静かならいいがね」

 「なあ、日本は、魔法に頼らなくても上手く行っている気がしないか、気のせいか?」

 「そ、そう言えば、そう言えなくもない」

 

 

 09/01

 スターリングラード郊外で激戦となる。

 ロンメルがアラム・ハルファ高地への攻撃を中止する。

 

 09/04

 ドイツ軍機約1000機がスターリングラード防衛に参加する。

 

 09/04

 アメリカ・オーストラリア軍事協定が締結される。

 

 09/07

 満州帝国解体。

 アメリカは朝鮮・満州地域を信託統治領にすると宣言。

 

 09/12

 住宅営団が東京で新住宅展覧会を開催する。

 

 09/13

 商工省が全国百貨店の郊外移転推奨する。

 ドイツ軍がスターリングラードに侵入し、ソ連軍と大激戦となる。

 

 

 09/26

 日本 国土防衛のため、陸軍防衛召集規則が公布される。

 樺太(面積74078ku) = 北樺太(面積37988ku) + 南樺太(面積36090ku)

 ソビエトが日本に売り渡した北樺太により、

 借款を負った日本は、ソビエトに対し、膨大な戦争協力を強いられていた。

 日本製の武器弾薬やソビエト規格の部品がウラジオストックに降ろされていく、

 

 

 土、風、水、火系統の杖は4本。

 魔法使いは20人しかいなかった。

 単純に24時間を5人で割れば、5時間弱の働きでフル稼働することができた。

 財政再建に投入すれば、国防戦力は等閑になっていく。

 国防戦力に投入すれば、財政再建が疎かになっていく。

 しかし、4人の魔法使いが働けば、石炭と廃油が高オクタンガソリンに化け、

 高品質の重油・機械油、工作用ダイヤに化け。

 工作機械の精度は、向上。

 効率性を追求したイギリス産業方式が導入されていく。

 戦前から値段が安く、ダンピングの疑いをもたれる日本製オイルライターが箱詰めされていく。

 魔法のおかげでさらに歩留まりが良くなっていた。

 タバコは神経を高ぶらせ、兵士に人殺しをさせるため戦争に欠かせなかった。

 列強各国とも最重要戦略物資として最優先で前線に送る。

 当然、煙草に火を付けるオイルライターも戦略物資だった。

 

 

 10/01

 ドイツが北スロベニア併合。

 

 10/04

 ソビエト軍がスターリングラードに対する大規模な攻撃を再開する。

 

 10/05

  東京帝大工学部に石油工学科が新設される。

  ヒムラーがユダヤ人をアウシュビッツに移送させる。

 

 

 10/06

 東京

 英ソ両国が日本に対ソ連援助増額を要求。

 

 10/07

 スターリングラードのトラクター工場付近で激戦となる。

 

 10/16

 インド・ボンベイで竜巻と洪水で4万人が死亡する。

 

 10/22

 東部戦線

 メッサーシュミットは、シュトルモビクを追い駆け回して撃墜し。

 戦車壕に車体の半分を隠したタイガー戦車は砲塔だけを台地に出し、

 押し寄せるT34戦車を撃破していく。

 「調子はいいようだな」

 「あとは、北はドン川、南のボルガ川沿いに両翼の防衛線を厚くすれば、防衛できるだろう」

 「そうなると、西のドン川、東のボルガ川に挟まれた60kmが戦線」

 「このスターリングラードがどうしても焦点になりますね」

 「それに川が凍るとT34戦車が渡れます」

 「わかっている」

 「しかし、これでドンバス炭田とバクーの石油が入れば負けることはないだろう」

 「ええ、ですが、まだアストラハンが落ちていません」

 「それは来年だな」

 「その前にロンメルと戦って予算を手に入れないと」

 「ふっ・・・」

 伝令がテントに入ってくると敬礼する。

 「・・・将軍。第79歩兵師団は赤い10月工場を占領。ボルガ川に到達しました」

 フリードリヒ・パウルス元帥がにやりと微笑み、

 ドイツ軍将校が曇った空を見上げると、白い欠片が落ちてくる。

 この年、最初の雪がスターリングラードに降り。

 ドイツ軍将校は身震いする。

 「・・・冬か、これだけ焦土作戦をやられると、将兵を休ませるのも大変だな」

 「ソビエトは対岸のボォルシスキーで休養できますからね」

 「そういえばロンメルが怒ってましたよ」

 「エジプトを占領できなかったくらいでドイツは負けんよ」

 「だが、ソビエトは叩き潰さなければ・・・」

 「ええ・・・」

 「ボルガ川沿いに南北にドイツ軍を展開させよ。ソ連軍の反撃を封じる」

 「はっ」

 

 

 10/23

 エジプトで、イギリス軍などの連合軍がドイツ・イタリア軍に反撃を開始する。

 

 10/26

 アメリカは、全朝鮮人の 満州移住を決定。

 

 10/28

 重慶に日本人が呼ばれる。

 「アメリカは味方だったはず、いまは敵になったアル」

 「大国を怒らせるような事をしたのでは?」

 「日本が朝鮮半島と中国権益をアメリカに売ったからアル」

 「他国の外交政策を批判するために呼んだので?」

 「力を付けたいある。助けて欲しいアル」

 「資源を売るなら買うよ」

 「武器を買いたいアル」

 「アメリカから警告を受けている」

 「華僑を経由するアル」

 「まぁ 第三国経由であれば、資源が入るのなら何でも売るよ」

 

 

 満州帝国

 日本軍は撤収し、アメリカ軍が進駐していた。

 満州は日本の生命線ではなくなっていた。

 実のところ拡大する貧困層の矛先を朝鮮・満州に向けさせ。

 棄民を化外に排出するための方便に過ぎなかったと言える。

 土地持ち資産持ちは、大陸浪人を不良民、負け犬としか見ておらず。

 出港する大陸の花嫁を世捨て人として見送る。

 満州帝国は、軍の地位と保身。軍事費増大の口実。

 地主の土地保有の生命線に過ぎなかったのである。

 日本は大陸を捨てて、内地開発に力を入れ大規模な内需拡大を起こし。

 ニューギニアに移民していく。

 労働者に賃金と支払われた資金が消費に転化され。

 農地解放で売られた土地が高騰し、

 噴水効果で経済が活性化していた。

 経済は横の関係で発生するモノは小さく。

 上下の関係で発生するモノは、大きいと言えた。

 急速に進むインフレは、弱者を見殺しにしていく。

 しかし、同時に経済は活性化していく。

 そして、その根幹に当たる採算性で、魔法がかかわっていた事は否定できない。

 採算性が高くなり、作れば作るほど売れるのであれば投資は活性化する。

 

 

 満州里

 薄暗く吹雪く荒野をアメリカ軍将校たちが呆然と見つめる。

 アメリカの満州帝国駐留は、国際情勢を変えていた。

 アメリカ合衆国は極東ソビエトの脅威が増し、対独より、対ソ重視になっていた。

 マッカーサー将軍は、アイゼンハワーと親交の深いパットン少将が気に入らない。

 しかし、大統領の人事であり、正当な理由もなく逆らう事も出来ない。

 「どうやら、日本の不良債権を押し付けられた気分だ」

 「不動産詐欺ですか。将軍はどちらと戦いたいので?」

 「無神論者を叩く方が評価されそうだがね」

 「黄色人種狩りが無難かな」

 「アメリカ合衆国は対ソ陣営の矢面に引き込まれて、どっち付かずですな」

 「本国はドイツにソビエトを打倒して欲しがっているようだ」

 「権益はアジアの方が大きいですからね」

 「日本人は、小心で神経質と聞いていたがね。日本外交も豪胆になったものだ」

 「もっと意地汚く満州に執着すると思っていましたがね」

 「いまでは日本が空白地帯だ。どんな魔法を使ったのやら」

 「魔法と言えば、日本が魔法を使っていると噂が届いてますよ」

 「魔法・・・」

 コーンパイプの煙は信じないと告げていた。

 背後でカチューシャの音楽が聞こえる。

 ロシア歌劇団でスパイだった。

 知ってて許可したのは、ソビエトとのパイプを検討するためだった。

 満州権益は中国市場の橋頭堡であると同時にソビエトに対する拠点だった。

 反共経済だけで、数十万の有力者が地位と収入を得ることができるドル箱でもある。

 またホワイトハウスは満州権益を守るためドイツと共闘する可能性も考えられていた。

 可能性の高さなら、英ソ・独伊共倒れが望ましいとまで戦略が練られる。

 

 

 11/15

 関門海峡トンネルが開通。

 

 11/19

 瓦礫の廃墟となった赤い10月工場に即席のテントを何重にも張り、寒さを凌ぐ。

 航空機で撮影された写真が地図の上に載せられていた。

 シラミを押し潰しながら戦略を練る。

 「将軍。ソ連軍がスターリングラードの南、アストラハン側に増援しているようです」

 「バクー油田を渡さない気だな」

 「防衛戦を構築するつもりのようです」

 「こっちも攻勢の限界だ。来年まで待機するしかないな」

 「ですが、スターリングラードを取られたらモスクワに戦力を回すと思っていましたが・・・」

 「ソビエト側は余力がありそうだな」

 ドイツ軍が制圧したスターリングラードは焦点となっていた。

 スターリングラードはドイツ軍に占領されており、

 ソビエト軍手持ちの川船は少なく、

 まだ凍りついていないボルガ川は、渡河作戦を困難にしていた。

 ソビエト軍は、ドイツ空軍の飛ばない天候の悪化を待ち、

 ソビエト軍将兵100万と温存していた戦車と重砲よる反攻作戦が始まろうとしていた。

 南西方面軍(ニコライ・ヴァトゥーチン大将)が北方から、

 ドン方面軍(コンスタンチン・ロコソフスキー中将)が南方からスターリングラードを包囲しようと迫った。

 

 ドイツ第6軍の主戦力は、川沿いに広がり厚みを増して南北側に防衛線を構築していた。

 ソビエト軍陣地から重砲が撃ち込まれ、前衛のルーマニア軍陣地を破壊していく。

 ずたずたになったルーマニア軍を押し潰し。

 イタリア軍・東欧軍が殲滅されていく中、

 ドイツ第6軍の反撃が始まる。

 ドイツ軍は高台に適当な間隔で塹壕を掘り、

 M42機関銃と対戦車砲を配置しており、

 戦車でさえ、車体の半分を塹壕に隠し、

 砲塔だけを敵陣営に向けて越冬していたのだった。

 ソビエト軍は攻勢の限界で勢いを削がれた頃、

 後方で休息していたドイツ軍精鋭とぶつかる。

 T34戦車200両は、塹壕に車体を隠したドイツ軍戦車、対戦車砲を突破できず、

 次々と破壊されていく。

 そして、塹壕に配置されたMG42機関銃の機銃掃射は、押し寄せるソビエト軍将兵に吸い込まれ、

 生き残ったソビエト軍将兵は大地にしゃがみ込み。

 重砲隊の前進を待つしかなく。

 ソビエト軍ゲオルギー・ジューコフ元帥は督戦隊に命令し、

 最強部隊の囚人部隊に特攻させると、機銃掃射で死体の山が積み上げられていく。

 

 

 11/27

 「国民標語」入選作10点 “負けません 欲しがらなければ” など。

 

 東部戦線

 T34戦車の大群が押し寄せ、ドイツ軍が反撃していく。

 前衛のイタリア・東欧軍は総崩れとなっていた。

 しかし、ドイツ軍は踏み止まって、ソビエト軍を食い止めていた。

 「弾薬は?」

 「いまある分だけです!」

 「イタリア軍と東欧軍に掘らせている、対戦車塹壕は?」

 「まだ計画の5割ほどです」

 「ちっ 航空部隊を後方に避難させろ、後退しながら反撃する」

 「はっ!」

 

 

 ニューギニア(77万ku)

 日本の移民船団がニューギニアに到着し、

 日本人が急増する人口の捌け口に入植を開始する。

 最初は、電力の確保であり、発電所の建設だった。

 「朝鮮をアメリカに売るとはね」

 「バカが、朝鮮人を問答無用で満州国追いやれば良かったんだ」

 「陸軍の似非格好つけのヘタレが妓生にしてやられたんじゃないの」

 「朝鮮を併合したのがロシア人だったら、朝鮮人は、今頃、中央アジアの肥やしですよ」

 「日本人は、変に温情を掛けて、助けてしまいますからね」

 「そう言えば、アメリカ資本の満州経営に惹かれて、朝鮮人が移動してるらしい」

 「嬉しいね。俺は連中と隣人になりたくないよ」

 「しかし・・・ニューギニアは、何もないところだな」

 「開拓するには資本がいるからね」

 「企業で開発して、宿舎を建設して小作人を雇い入れる方法が早いね」

 「企業農法か、結局、組み敷きながら勢力を拡大していくしかないのだろうな」

 「まぁ 社会資本がある程度、増加すれば独立運動もあるかも」

 「新ニューギニア合衆国か、いいねぇ 自由と公平の風が吹けばいいけど」

 「どこの世界でも人は、他人の力を借り出ても財産一人占めで身内を排斥」

 「自分のピラミッドを作りたがるからね」

 「ふっ♪」

 

 

 アレクサンドリア沖

 戦艦 ヴィットリオ・ヴェネト、ローマ、リットリオ

 旧式戦艦 カイオ・デュイリオ、アンドレア・ドリア、ジュリオ・チェザーレ

 重巡 トレント、ゴリツィア、ボルツァーノ

 軽巡 カドルナ、モンテクッコリ、アッテンドーロ、ダオスタ、サヴォイア、アブルッチ、

 新型戦艦3隻、旧式戦艦3隻、重巡3隻、軽巡6隻、駆逐艦12隻。

 イタリア艦隊がようやく出撃して、エジプトに侵攻したドイツ・イタリア軍を砲撃する。

 ヒットラー総統の圧力を受けたムッソリーニ総統に厳命されたからであり、

 『当たらなければ良いのに・・・』

 戦意は高くなく、イギリス陣地に撃ち込んでも殺意無しだったりする。

 ドイツ・イタリア軍は、イタリア艦隊の支援で沿岸部を制し、

 一気にエジプトを制圧しようとしていた。

 速度の速い2号戦車は、砂に足を取られ動けない戦車を撃破していく。

 それどころか、MG42機関銃でハチの巣になっていた。

 「なんだ、あの戦車みたいなのは、イタリアのに似てるが見たことがないな」

 「装甲車だろう」

 「しかし、ようやくイタリア海軍が動いたか、遅すぎる」

 「イギリス艦隊がローテーションを崩して、ようやくですよ」

 「なにが艦隊保存だ。イタリア軍の味方殺しが」

 「しかし、イタリア戦車に似てますが、あの装甲車は何でしょうね」

 「日本の戦闘車両じゃないか、2号戦車の的だな」

 「もう少しで、戦線を突破できますよ」

 「アメリカの参戦がなくなれば、こっちのものだ・・・」

 「・・・将軍。わかりました。日本のタイプ97“チハ”とタイプ95“ハ”だそうです」

 「・・・せっかく報告してもらったのに悪いが、もう全滅したよ」

 

 (61cm魚雷装備水雷戦隊)

  軽巡 北上、大井。

    駆逐艦 睦月、如月、弥生、卯月、皐月、水無月、文月、長月、菊月、三日月、望月、夕月、

 (53cm魚雷装備水雷戦隊)

  軽巡 球磨、多摩。木曾、

    駆逐艦 神風、朝風、春風、松風、旗風、追風、疾風、朝凪、夕凪、野風、波風、沼風、

 旧式軽巡5隻と駆逐艦24隻は、艦隊ごと叩き売られ、

 日本海軍将兵も傭兵扱いとなっていた。

 艦首先端にユニオン・ジャックをはためかせていた。

 ユニオン・フラッグと呼ばないのは、ジャックが海軍用語であり、

 イギリスの国旗が国外で知られると必然的にユニオン・ジャックと呼ばれるためだった。

 ユニオン・ジャックの旗をかざし、

 イギリス海軍将校が乗艦し、指揮を執れば乗員が日本軍将兵であろうと。

 国際法上、イギリス海軍になるのである。

 それがもっとも単純な命令である “攻撃!” だけでも良いのだった。

 球磨 艦橋

 「やれやれ、スエズを越えたら、いきなり参戦だとよ」

 「戦艦1隻1億円でしたっけ?」

 戦争がはじまれば兵器の時価は数倍に跳ね上がる。

 リストを見ると新型戦艦だった。

 時間を調整しながら、水先案内人のイギリス人に従って、運河を突破。

 水上偵察機を射出させ、

 北西に回り込みながら夜陰に乗じつつ、イタリア艦隊へと肉薄していく。

 矢継ぎ早に命令が伝達され、復唱されていく。

 回顧

 “元同盟国だし、こっちから同盟を破棄した後ろめたさがあるから適当に頼むよ”

 “本気でやるなと?”

 “まぁ なんだ、そのおう、適当だ”

 “ドイツには恨みを買いたくないが、イギリスにはいい格好したい”

 “また我が儘を・・・”

 “そう言わず、あははは・・・”

 回想すると、上官は、言葉を濁していた。

 まぁ 曖昧で分かりにくいのが日本式。

 「このオンボロを30ノットで突撃か」

 「実は30ノットがやっとなんですけどね」

 「新型の頃とは違うよ」

 「無理して高性能を求め過ぎたんだ。おかげで機関はすぐにガタが来る」

 「米英製が羨ましいですよ。兵装を減らしで数で勝負できますからね」

 「背伸びしている上に過剰兵装の付けだな」

 夜間航行だった。

 艦尾光を頼りに一糸乱れぬ二つの単従陣が30ノット以上で駆け抜けていた。

 この光景は、イギリス軍将校をして唸らせる。

 種明かしをすると、夜目が利くこと

 地中海の波は小さく、艦首が波を切る波濤も均一、回頭後の揺れも少ない。

 慣れの問題で、太平洋で単従陣を合わせるのに比べれば、何の事はなかった。

 それだけ、

 

 

 日本の水上機が星空を頼りに飛んでいた。

 アレクサンドリア沖から港の光が点々と輝いていた。

 そして、その手前にいるであろうイタリア艦隊の後方に吊光弾が投下されていく。

 手前に落ちると光の影になり、後ろに落ちると艦影が浮き上がる。

 賭けに勝ったのか、イタリア艦隊の後ろ側に吊光弾が落とされ、

 逆光の中、イタリア艦隊が黒く浮き上がっていく。

 日本艦隊とイタリア艦隊との間に照明弾の応酬が始まる。

 兎にも角にも敵艦を発見しないと砲撃ができないのだ。

 日伊双方の艦隊が闇夜の中、不気味に照らされ、砲撃が撃ち込まれる。

 明確な殺意を込めて迫る曳航弾が恐怖誘い、冷汗が浮き出る。

 身動きすることも勇気がいる。

 二つの単従陣を作った水雷戦隊が左右に分かれ突入が始まる。

 大井型巡洋艦 2隻  61cm4連装魚雷発射管 10基40門

 睦月型     12隻  61cm3連装魚雷発射管 2基6門

 

 球磨型巡洋艦 3隻  53cm連装魚雷発射管 4基8門

 神風型     12隻  53cm連装魚雷発射管3基6門

 成功すればイタリア艦隊が遊弋する海域で61cm魚雷112本 53cm魚雷96本が交差。

 串刺しになった。

 発射時は回頭で外側へと大きく傾いて行く。

 球磨 艦橋

 「よーそろ よーそろ・・・よーそろ・・・てぇ!!」 水雷長

 その勢いと圧縮空気の圧力で押し出し、海面へと射出する。

 吸い込まれるように海中に沈んだ魚雷群は、イタリアの艦影へ向かって突き進む。

 第1射で、61cm魚雷112本 53cm魚雷96本がイタリア艦隊へと向かっていく。

 もっともそれだけでは終わらなかった。

 大井型巡洋艦 2隻は、各々61cm魚雷20本を残し。

 睦月型     12隻は  各々、予備で61cm魚雷6本

 

 球磨型巡洋艦 3隻は  ゼロ。

 神風型     12隻は、各々、53cm連装魚雷の予備を2本から4本。

 すぐに撃てるのは大井、北上の2隻だけだった。

 イタリア艦隊から衝撃の混じった爆発音が連続して伝わる。

 魚雷を撃ち尽くした球磨、多摩、木曾が探照灯を付けた。

 いくつもの光線が闇を貫いて伸びて、イタリア艦隊を照らしていく。

 赤黒く燃え上がるイタリア戦艦が誘爆しつつ傾いて行く。

 日本水雷戦隊は、肩の力を抜いて思い切って戦いに臨んだのが良かったのか、

 イタリア海軍は、史上最悪の損害を出していた。

 「てぇ!」 × 2

 北上と大井から合計40本の魚雷が圧縮空気で押し出され、

 海中に飛び込んでいく。

 夜の海上を青白い40条の雷跡がイタリア艦隊へ向かっていく。

 イタリア艦隊が先に発射された53cm魚雷を避けようと回頭した時。

 横っ腹を61cm魚雷に突き破られ、艦内が吹き飛ばされた。

 爆発は破壊と誘爆を引き起こしていく、

 火災は、軍艦の機能を削ぎ、

 魚雷は船の持つ根底の浮力を消失させる。

 誘爆は誘爆を呼び、爆発が繰り返され、

 炎上する艦艇が無事な艦まで照らし出していく。

 球磨 艦橋

 喫水線の下に152mm砲弾1発。

 ほか10cm砲弾が何発も撃ち込まれ、艦体が左舷側に5度ほど傾いていた。

 誘爆するような魚雷はなく、砲弾も半分を使い切っていた。

 「被害は?」

 「巡洋艦2隻 大井、木曾。駆逐艦4隻 卯月、皐月、夕凪、野風が沈没です」

 「残存艦隊も小破多数」

 「残存艦隊は?」

 (61cm魚雷装備水雷戦隊)

  北上、

    睦月、如月、弥生、水無月、文月、長月、菊月、三日月、望月、夕月、

 (53cm魚雷装備水雷戦隊)

  球磨、多摩。

    神風、朝風、春風、松風、旗風、追風、疾風、朝凪、波風、沼風、

 

 残存艦隊も小破で戦闘能力は残されていない。

 このまま、危険を冒して地中海を西進して、ジブラルタルに入港するより。

 スエズ運河を南下して、もう一度、コロンボ港に帰還するしかなかった。

 夜明けになれば、戦果も判明するだろう。

 艦隊に集合を賭けると、スエズ運河へと移動する。

 

 数日後、アレクサンドリア沖海戦の戦果が伝わる。

 撃沈 戦艦ヴィットリオ・ヴェネト、ローマ、

 撃沈 旧式戦艦カイオ・デュイリオ、アンドレア・ドリア、

 撃沈 重巡トレント、ゴリツィア、

 撃沈 軽巡アッテンドーロ、ダオスタ、サヴォイア、アブルッチ、

 撃沈 新型戦艦2隻、旧式戦艦2隻、重巡2隻、軽巡4隻、駆逐艦8隻。

 

 残存艦隊

 戦艦リットリオ

 旧式戦艦ジュリオ・チェザーレ

 重巡ボルツァーノ

 軽巡カドルナ、モンテクッコリ、

 残存 新型戦艦1隻、旧式戦艦1隻、重巡1隻、軽巡2隻、駆逐艦4隻。

 イタリア艦隊のほぼ3分の2が撃沈されたことになり。

 生き残ったイタリア艦隊も損傷して傷ついていた。

 イギリス海軍艦隊がローテーションを回復させて地中海に回航したとき。

 北アフリカのドイツ・イタリア軍は、撤収を開始していた。

 

 

 スターリングラード

 アメリカ対ソ軍需援助が減り、スイス銀行経由で対独支援が増える。

 そして、極東のアメリカ権益を守るためアメリカ軍が駐留する。

 これらのことでソビエトは、極東に軍を戻さなければならず。

 ソビエト軍のスターリングラード反攻(天王星・ウラヌス)作戦を不徹底なものにしてしまう。

 ドイツ軍はスターリングラードを占領維持することができた。

 しかし、瓦礫のスターリングラードの越冬は野営に近かった。

 ドイツの機関車が到着すると物資を降ろしていく。

 ドイツ軍陣地

 「やれやれ、命拾いしたよ」

 「総統はアメリカの対ソ援助が削減されたと聞いて、持久戦で戦えると判断したらしい」

 「どうやらアメリカは独ソで潰し合って欲しいらしいな」

 「日英ソ同盟も本音はそうだろう」

 「ちっ あの裏切り者が・・・」

 「地中海の制海権を失ったのは痛いな」

 「ロンメル軍はイタリアの押さえに戻るらしいよ」

 「イタリア軍30万が東部戦線に転戦させられるらしい」

 「少し、休めれば良いがな」

 「それに新しい装備が回されれば、第6軍も再建できるだろう」

 4号戦車、タイガー戦車が輸送されていた。

 

 

 日本

 大本営直属士官に要人警護された外国製大型バスは珍しかった。

 日本は主要な産業をある程度軌道に乗せていた。

 4人の少年少女は大型バスで日本列島を縦断していく。

 個室で区切られていたため、かなり贅沢にも思われた。

 しかし、4人は、縦断しながら中小工場を立て直していく。

 土系統の野伏裏弥生と水系統の水無月有紀が途中で降りる。

 そして、地面に杖を立て呪文を唱える。

 日本各地で、亜鉛、銅、鉛、石炭、金、銀、石灰石、温泉が開発されていく。

 時折、役場に集められた子供たちに杖が渡され、新人発掘が進められる。

 4人とも自分より才能のある子供をやっかみ、妬み、現れない事を望む。

 そう誰でも、自分の特権が奪われることを良しとしない。

 大人も、子供も、魔法使いも、みな同じだった。

 「地質学の家庭教師を付けてくれるのは良いけど、勉強のし過ぎで疲れた」

 「水無月って、結構、真面目に勉強するよね」 帆乃風 隼人

 「おれは、勉強が嫌いだな。全然、頭にはいんねぇ」 不知火 剛太

 「勉強好きよ。でも国策に誘導されているような内容は嫌い」

 「しょうがないよ。弱小国の国民は結束させるような内容になっちゃうし」

 「純粋な知識は、結束を崩す事もあるし、有害になる場合があるもの」 野伏裏 弥生

 「へぇ 誰が言ったの?」

 「お父さん」

 「良いこと言う」

 「あははは・・・」

 「見ザル・言わザル・聞かザルで黙々と働けってことね」

 「水無月はシュールだし、野伏裏は屈折してるし、不知火は粗野短絡だし・・・」

 「まともな日本人は少ないのな・・・」

 「帆乃風は、男のくせに妙に女っぽいところがあるな。ヤクザの息子なのに変なの」

 「あははは・・・」

 水無月は窓から外を眺める。

 町々、村々を行き来すれば青っぱなの子供が押したり引いたり。

 結核っぽい人々が行き来していた。

 特権的な立場に立たされて、見えることもあった。

 権力者と少数の官僚は、小さな特権を守るために躍起になっており。

 権威主義は人を卑屈にさせ、嘘つきにさせる、

 自分自身を偽って生きさせ、真実から遠ざけさせ、可能性を埋没させる。

 エゴに押し付けられた皺寄せが日本全体を押し潰そうとしていた。

 国が病んでいると一目で分かる。

 この新規資源開発と中小企業の底上げ策も紐付だった。

 軍と地域有力者が新興閨閥を作って利害を一致させ癒着していく。

 とはいえ、ピラミッドを大きくするには質的な変革が求められた。

 底辺の貧民層が重圧に耐えられるだけの軽量化が必要であり、

 一人当たりの知的水準の向上と国民総生産の増大が求められた。

 そして、職場が奪われると妨害されながらも、少しずつ機械化が進められていく。

 トップが愚かでも、自動的に世代交代という波が押し寄せる。

 もっとも、バカ息子が劣化させるか、

 無理解なバカ親が子供を押し潰すか、別の話しになる。

 新しい時代を押しとどめることが出来なければ時代に押し流される。

 豊臣秀吉のように金脈で閨閥勢力を押し返す野武士のような人間が現れるのだろうか。

 それと魔法がどう関わっていくか、不明だった。

 魔法使いは国防省で管理され、予備の魔法使いは20人以上いる。

 魔法が成功するほど。

 魔法の力が強くなるほど。

 自分は、異世界の血筋なのかもしれないと感じる時がある。

 

 

 トラック環礁

 修理用乾ドックが建設されつつあった。

 (270m×40m)×1。(200m×25m)×4。

 「ようやく艦隊基地らしくなったじゃないか」

 「どうせならニューギニアに建設すればいいんだ」

 「建設するよ。ポナペにも同じ規模で港湾整備するらしいし」

 「艦隊勤務より、基地勤務の給与が上がって、左遷と言えなくなったからね」

 「土木建設が強くなるとはね」

 「艦艇数がスッキリしたから体質改善を目論んでいるんだろう」

 

 

 12/02

  シカゴ大実験原子炉で、フェルミ(41)らが核分裂連鎖反応テストに成功する。

 

 12/08

 “日本は、防衛的な国際間協定の精神により日独伊同盟を調印しました”

 “しかし、ドイツは、一方的に独ソ不可侵条約を調印、日本の国際的地位を貶め”

 “さらには、独ソ不可侵条約を一方的に破り、ソビエト連邦に侵略したのである”

 “この事は、日本の国際社会及び国際信義を著しく損なわせたのである”

 “日本国は、自国の国際外交を著しく歪めた三国同盟を脱退したのである”

 “そして、日本は、現状の国際情勢となった事を憂い、また遺憾に思い”

 “再三の警告をドイツ第3帝国に行ってきたのである”

 “にも関わらず”

 “ドイツ第三帝国は、侵略を強行し、白人至上主義、傲慢、傍若無人を喜んだのである”

 “よって、日本は心ならずも覇道を進むドイツ第三帝国と同盟国イタリアに対し・・・”

 “宣戦布告するものである”

 放送後

 「かぁ〜 くっだらねぇ〜」

 「借金返済のための戦争だろうが、御託並べやがって、詐欺師か」

 「まぁまぁ しょうがないですよ。誰も真実を聞いたって嬉しくないですしね」

 「俺はドイツとイタリアに同情するよ。前線で戦わされる日本軍将兵にもね」

 「まったく」

 「でも大丈夫なの? 艦隊を遠征させちゃって、日本近海はどうするの?」

 「大陸から戻った陸軍が頑張るんじゃないですか」

 「じゃ アメリカと戦争になったら、いきなり、本土決戦かよ、やってられねぇな」

 

 

 12/10

 イランで暴動が起こり、イギリス軍がテヘランを占領する。

 

 12/12

 全国の12の私鉄が国有化される。

 マンシュタイン元帥のスターリングラード増援軍(冬の嵐作戦)はスターリングラードに到達。

 消耗したドイツ軍が再編成される。

 

 

 12/13

 制海権を失ったロンメルはエジプトより撤退する。

 

 12/16

 ソ連軍がドン河畔で攻勢に出る。

 

 12/17

 イギリス空軍がチュニスやベガなどのドイツ軍飛行基地を空襲する。

 

 12/20

 スペインとポルトガルが中立維持・相互防衛を定めたイベリアブロックを結成する。

 

 12/21

 東京で電話線を利用した初の有線放送が実施される。

 

 12/24

 ドイツのフォン・ブラウンがV1号の発射実験に成功する。

 

 12/26

 ドイツのマンシュタイン将軍がドン川南から全面的に退却する。

 

 北アフリカのドイツ・イタリア軍は、チュニスで撤退準備をしており、

 地中海のドイツ空軍はイギリス本土、東部戦線の急変に対処するため移動していた。

 イギリス艦隊はジブラルタルから3000kmを長躯。

 伊勢、日向、扶桑、山城がギリシャのペロポネソス半島に達し。

    45口径356mm連装砲24基48門で砲撃を開始する。

    1門100発で48門だと4800発が半島に撃ち込まれた。

 そして、金剛、比叡、榛名、霧島がクレタ島東部に達する。

    45口径356mm連装砲16基32門が砲撃。

    1門100発で32門だと3200発がクレタ島に撃ち込まれていく。

 ギリシャもクレタ島もドイツ軍だけで占領しているわけではなく、

 イタリア軍の占領地が大半を占めていた。

 そこにスエズ運河を通過した日本機動部隊とイギリス機動部隊も合流する。

 山口多聞中将

 空母 (瑞鶴、翔鶴、飛龍、蒼龍)、(龍驤、祥鳳、瑞鳳)

 重巡 利根、筑摩、妙高、那智、足柄、羽黒

 重巡 古鷹、加古、青葉、衣笠

 駆逐艦 陽炎、不知火、黒潮、親潮、早潮、夏潮、初風、雪風、天津風、時津風

 

 瑞鶴 艦橋

 「紅海を通過できるなんて、イギリスの戦艦って吃水が浅いんだな」

 「アメリカはパナマ運河の幅33m、水深13mで建造して」

 「イギリスはスエズ運河の水路幅44m、水深10mで建造しているんじゃないですか?」

 「なるほど、制約なく造れるのは日本だけか」

 「制約を受けるくらい膨張したかったんですがね」

 「まぁ 例のモノを確保できれば、膨張も難しくないだろうがね」

 「しかし、ゼロ戦は、ドイツ空軍とまともに戦えるのか」

 「ドイツ軍の主力はイギリス側とソ連側のはずです。たぶん、戦えると思いますが」

 「後は輸送の問題かな」

 「この作戦が成功したら、赤城と加賀がゼロ戦を輸送し、紅海から発艦させるはずです」

 「日本機の寿命は短い。長距離だと機体が持たないかもしれないな」

 「イギリスが支援してくれるはずです」

 「まぁ 宣戦布告で借金が少し減ったし。まぁ しょうがないのかな」

 

 

 ジェームズ・サマヴィル中将

 空母 (ヴィクトリアス、イラストリアス)、(ハーミーズ)

 戦艦 ウォースパイト、レゾリューション、ラミリーズ、ロイヤル・ソブリン、リヴェンジ

 重巡洋艦 コーンウォール、ドーセットシャー

 軽巡洋艦 エンタープライズ、エメラルド、ダナエ、ドラゴン

 オランダ軽巡 ヒームスカーク

 駆逐艦 テネドス、他14隻

 空母ヴィクトリアス 艦橋

 「日本機はどうだね」

 「規格が出たらめです。ボルトが間違っているかと思えば機体の方でしたからね」

 「日本人の整備士に頼んだら、ヤスリで無理やり合わせてましたよ」

 「ふっ 信じられん国だ」

 「整備性全般で悪いですね」

 「オイル漏れが酷くて良くあんな機体に乗ってられますよ」

 「あと、防弾が弱いのも考えものですね」

 「命知らずだな」

 「ですが、品質管理さえ、キチンとすれば戦えそうです」

 「ずっと使う気にはなれませんが」

 「とりあえず、この作戦だけ我慢してくれ、どうしても上陸作戦を成功させたい」

 「はっ!」

 

 日本海軍航空隊とイギリス空軍機がペロポネソス半島とクレタ島の制空権を奪取。

 アレクサンドリアで準備していた山下奉文中将率いる第25軍35000が上陸。

 その後、アーサー・パーシヴァル中将率いる英印豪軍20000が続く。

 イタリア海軍艦隊は損傷で出撃できず、

 ギリシャのペロポネソス半島のイタリア軍は艦砲射撃で総崩れとなった。

 ドイツ軍は制海権を失ったクレタ島の防衛に徹し。

 日本軍は、バルカン半島に対する橋頭堡を確保する。

 そして、日本機動部隊からゼロ戦、99艦爆、97式艦攻の編隊が発艦していく。

 目的地は、ペロポネソス半島とクレタ島で制圧した飛行場だった。

 教導機の二式大艇にしたがい移動し、独伊軍陣地を襲撃し、上陸部隊を支援していく。

 

 

 軍縮で歩兵が解体されていくと、最後まで余るのは砲兵部隊だった。

 軍縮以前の日本師団 砲兵連隊

 105mm砲×12門  (91式榴弾砲、99式山砲・・・・)

 75mm砲×24門  (31口径38式野砲、38口径90式野砲、38口径95式野砲 94式山砲・・・)

 ここで、削減された砲兵連隊が師団に配属され、満州などの特化砲兵部隊が加わる。 

 軍縮後の日本師団

 105mm砲×24門  (91式榴弾砲、99式山砲・・・・)

 75mm砲×48門  (31口径38式野砲、38口径90式野砲、38口径95式野砲 94式山砲・・・)

 そして、戦車、装甲車、トラックが配属され・・・

 軍縮後の日本師団は、自然と機械化砲兵師団と化していた。

 とはいえ “だからどうした?” と言えなくもないのが世界標準。

 ドイツ軍を世界世界標準にするのは間違っているとしても戦う相手に違いなく。

 ドイツ砲兵連隊 

 28口径105mm砲(射程10000m) × 36

 30口径149.1mm(射程13000m) × 12

 砲身命数や火薬の破壊力など、質を含む事柄に触れるまでもなく。

 まともに撃ち合えば勝てる道理がなく、精神力で補えるレベルでもなく。

 唯一救いがあるとすれば、隙を突き、一気呵成の上陸作戦であった事。

 上陸時、正面の敵がイタリア軍だったこと。

 そして、バルカン半島が禿山の多い山岳地帯で見晴らしが良かったことに尽きる。

 古代ギリシャは森林に覆われていたという。

 しかし、造船業など分別ない伐採がギリシャの大地から背の高い樹林を奪ってしまう。

 適度な空間と起伏の激しい山岳は38式小銃を支障なく振り回せた。

 そして、ほど良い見晴らしの禿山山岳戦は、38式小銃の命中率を発揮させる。

 日本軍の野砲と山砲。機関銃も同様だった。

 弱装弾で撃ち出した砲弾と機銃掃射が放物線を描いて山の背に沿いに落ちていく。

 落ちた先のドイツ軍とイタリア軍は、爆炎と砲煙に巻き込まれ大混乱となった、

 そして、インド兵がイナゴの群れの如く突撃していく。

 ドイツ軍陣地

 「駄目だ。日本軍の装備は、バルカン半島戦にあつらえたかのようだ」

 「どうします?」

 「スターリングラードでソ連軍の反撃が始まっていますし、援軍は・・・」

 「アテナの部隊を動かすな、援軍が間に合わなければ撤収する」

 

 

 日英同盟が締結される。

 “良い銃とは何か?”

 “弾のある銃である”

 日本の38式小銃(6.5mm×50)、99式小銃(7.7mm×57)と互換性はなかった。

 日本国防省は、38式小銃改の生産まで、99式を100万丁ほど生産していた。

 さらに92式重機関銃(7.7mm×57)10000丁、

 11年式軽機関銃10000丁(7.7mm×57)を生産していた。

 そして、エンフィールド小銃弾は(7.7mm×56R)で、99式小銃弾(7.7mm×57)と近かった。

 エンフィールドの小銃弾は、縁が薬莢の直径より少し大きく、はみ出したセミリムド。

 99式小銃の小銃弾は、縁が薬莢の直径からはみ出ないリムレス。

 このためエンフィールドの小銃弾は99式小銃のクリップ幅を調整しないと入らず使えない。

 99式小銃弾は、クリップの長さを調整するとエンフィールドで撃つことができた。

 銃器の作動機構上、薬莢の部分は銃口を通ることなく弾き出される、

 しかし、99式小銃で撃つことができるのなら弾数の多い(7.7mm×56R)も併用したくなる。

 同盟を結んだのだから試したくなるのが人情。

 改造した99式小銃(7.7mm×57)にエンフィールド小銃弾(7.7mm×56R)を込めて撃ってみる。

 ばぁ〜〜ん!

 「撃てる〜♪」

 「でも命中精度、怪しくならないか」

 「いいよ、どうせ、命中率を当てにしていない99式短小銃だし」

 「イギリスの小銃弾の方が威力あるし」

 「弾がないより良いか」

 「改造に時間がかかりそうだな」

 「先に38式小銃を使うか、その間に改造してしまおう」

 「しかし、大陸から撤収すると凄い武器あまりになるんだな」

 「18個重機械化師団になったよ」

 「でも命数考えると、すぐ軽歩兵師団だな」

 

 

 ロンドン

 戦略会議

 「本来ならイギリス本土から、戦略爆撃によるドイツ産業の破壊を行うべきです」

 「しかし、アメリカの参戦がない以上、次善策を取るべきでしょう」

 「まぁ 戦略爆撃は、都市爆撃であり民間人にも爆弾を投下するからね」

 「気持ちのいいものじゃない」

 「客観的に、お互い様でしょう」

 「絨毯爆撃なんて、お金持ちしかできませんからね」

 「次善策は?」

 「インド軍による人海戦術、大規模な浸透戦術でしょう」

 「人海戦術ができるほどの船はないよ。補給が不足気味なんだがね」

 「イギリス国民をカナダに避難させつつ、イギリスへの輸送を減らすしかないですな」

 「国外生産を増加させ、残った爆撃機は、バルカン半島からの戦略爆撃に切り替える」

 「これでイギリス本国への輸送を最小限に減らし、バルカン半島への輸送力を増大させる」

 「「「・・・・・」」」

 ため息。

 

 

 日本 某工場

 イギリス人技術者がブツブツ・・・ブツブツ・・・

 「・・・もっと足回りを強化しないと駄目だな。これじゃ 離着陸だけで命がけだぞ」

 「主脚が折れるぞ。何回の離着陸で折れるか計算しているんだろうな」

 「それに、この超々ジュラルミンだっけ?」

 「ずっと使っていると強度が落ちるだろう」

 「21型は、穴まで開けて生産性悪いし、外板はぎりぎりで、防弾機能なしか」

 「機銃弾を受けたらバラバラになって落ちるぞ」

 「51型でもギリギリだな」

 「空中分解までの年月も計算してパイロットを乗せているのだろうな」

 「それにこのエンジン。他はともかく、エンジンで軽量化しちゃ駄目だろう。心臓なんだから」

 「21型は、練習用で乗り潰してしまうのが正解だな」

 金を出すのはイギリス人だった。

 当然、金を出すスポンサーのイギリス人の意見が通る。

 機材の補強が決まっていく。

 さらに同じ部品を共有させるなど効率化が図られ、

 輸送しやすいように設計し直される。

 イギリス製の部品が多用されて信頼性と耐久年数が向上する。

  hp 自重/全備重 燃料・弾薬 全長×全幅×全高 翼面積 速度 航続距離 武装
ゼロ戦51型 1300 2600/3300kg 700kg 9.06×12.0×3.5 22.44 573km/h 900km 7.7mm×6
ゼロ戦E型 1300 2600/3400kg 700kg 9.06×11.0×3.5 22.44 583km/h 700km (7.7mm×56R)×2
                 

 性能向上の犠牲になったのは航続距離だった。

 

 

 別の工場ではマーリンエンジンの生産が準備されつつあった。

 ダイムラーベンツD601の試作が進んでいたもののなかなか上手くいかず。主旨反し、

 水冷1440馬力マーリンエンジンの製造となった。

 さらに2050馬力のグリフォンエンジンの製造まで検討される。

 飛燕。

 イギリス人技師。

 「エンジンのニッケルをケチるな。お前バカか」

 「なに? ニッケルがない? 機体数を減らせ、このボケが!」

 「だから主脚が弱過ぎる。パイロットを殺す気か?」

 「ていうか、後ろが見えんだろう」

 「イギリス製風防を売ってやるから突出型にしやがれ」

 イギリス製マーリンエンジンを装備した飛燕は、これまでの記録をあっさり塗り替える。

 そして、キ64と呼ばれた機体にグリフォンを装備して “鷹虎” となり。

 2機種の水冷戦闘機は高性能機として顕現。

 「うそ・・・」

 イギリス人技師を唖然とさせる。

  hp 自重 燃料・弾薬 全長×全幅×全高 翼面積 速度 航続距離 武装
飛燕 1445 2855/3825kg 970kg 9.15×12×3.75 20 640km/h 1600 (20mm×110)×2
(7.7mm×56R)×2
鷹虎 2050 4000/5100kg 1100kg 11.03×13.5×4.25 28 690km/h 1200 (20mm×110)×4

 飛燕はスワロー。

 鷹虎は、なにを間違ったか、グリフォンと紹介され、イギリス空軍に注目される。

 「良い機体じゃないか」

 「やっぱり、イギリス製だね」

 「7.7mm機銃の初速811m/s。20mm機銃の初速880m/sか」

 「またイギリスに軍配が上がるな」

 「馬力が大きく、機体が丈夫なら、重たくて強い武装を載せられるよ」

 

 

 

 もう、一機種、空冷戦闘機が開発されていた。

 水平対向H型24気筒2420馬力エンジン搭載型だった。

  hp 自重 燃料・弾薬 全長×全幅×全高 翼面積 速度 航続距離 武装
烈風 2420 3200/5000kg 1800kg 10.99×14.0×4.23 31.3 680km/h 1800 (20mm×110)×4

 日本軍将校

 「水冷エンジンばかり、まずくないか?」

 「機体単価が倍以上に跳ね上がってしまうとな」

 「例のやつで工作精度と歩留まりが良くなっているし、採算性も向上してるのに・・・」

 「それでも、字が読めれば良いってもんじゃないから、整備士の習得に年月がかかるよ」

 「ベアリングとか、ピストンとか、エンジンの機構すら想像できない人間ばっかりだからな」

 「満州にライトニング戦闘機とB17爆撃機を配備されている」

 「機体数を減らすと防空で厳しいぞ」

 「金出してるのはイギリスだし、もう良いんじゃないか」

 「まぁ いざとなったら、例のやつに頼るのが一番かな」

 「魔法か・・・」

 

 

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 月夜裏 野々香です。

 日本は、日独伊同盟を破棄。

 朝鮮と満州・中国利権をアメリカ売却。アジアにアメリカ資本を引き込みました。

 日本はイギリスへ軍艦と武器弾薬を輸出します。

 

 満州アメリカ利権が絡み、

 米独伊 VS 日英ソの異色第二次世界大戦の予感が・・・・

 

 呪文の一つは、竹田の守り子唄です。

 

 

 

 

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第01話 1941年 『大本営 長門』
第02話 1942年 『軍需バブル崩壊?』
第03話 1943年 『疑心暗鬼』