第16話 1956年 『悪徳は地の塩 正義は天の蜜』
バルカン連邦
ドラキュラ城の地下実験室
日本軍将校と科学者たち。
そして、修験道士、修行僧が集まっていた。
扉が開き日本軍士官が敬礼する。
「将軍、賢者の石です」
赤い石が出される。
「御苦労」
「川秀博士、召喚の準備は整ったかね」
「はい、全て・・・」
「それでは諸君」
「善悪を身に宿しながら地を支配した人類は、時が満ち、地に溢れた」
「そう、神が戒めた “生命の木” の道は開かれつつある」
「これより回る炎の剣とケルビムが守る “時の彼方” の果て」
「人類は人類をも餌とする永遠の生命である究極の生命体」
「新人類バンパイアを誕生させ、新たな時代を迎える」
「これより、人類が求める究極の目標 “生命の木” に臨む」
修験道士と修行僧が “年” “月” “日” “時” の魔法陣を囲み読経を始める。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ダニエル書・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
わたしが見ていると、四つの車輪がケルビムの傍らにあるではないか。
1つの車輪が1人のケルビムの傍らに
また1つの車輪が1人のケルビムの傍らに
それぞれのそばにあり、それらの車輪の有様は緑柱石のように輝いていた。
それぞれの形の有様は、四つとも同じで、
一つの車輪がもう一つの車輪の中にあるかのようであった。
それらが移動するときは、四つの方向に進み、
移動するときに向きを変えることはなかった。
先頭のケルビムが向かうところに他のものも従って進み、
向きを変えなかったからである。
ケルビムの全身、
すなわち、背中、両手、翼と車輪は、その周囲一面に目がつけられていた。
ケルビムの車輪は四つともそうであった。
それらの車輪は『回転するもの』と呼ばれているのが、わたしの耳に聞こえた。
ケルビムにはそれぞれ四つの顔があり、
第一の顔はケルビムの顔、第二の顔は人間の顔、第三の顔は獅子の顔、
そして第四の顔は鷲の顔であった。
ケルビムが止まると、車輪も止まり、ケルビムが上ると、車輪も共に上った。
生き物の霊がその中にあったからである。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「人類全てが目を向ける “年” “月” “日” “時” 回る4つの時の車輪よ」
「その向く処、肉と霊の全てが向く、車輪の中に車輪がある回る炎の剣ケルビムよ」
「アダムとイブが取って善悪の知識の木の実を食べ、堕落して時が満ち、人類もまた地に満ちた」
「新たな時代の流れは “東方より来る光” により、いまここに開かれる」
時の魔法陣が次々に繋がっていく。
「電磁波最大」
「電磁波最大にします」
「あ、現れたぞ」
4つの時の魔法陣は、輝き始まる。
「“年” の歯車が噛み合います・・・20・・・15・・・10・9・8・7・6・5・4・3・2・1・0・・・」
「“月” の歯車が噛み合います・・・20・・・15・・・10・9・8・7・6・5・4・3・2・1・0・・・」
「“日” の歯車が噛み合います・・・20・・・15・・・10・9・8・7・6・5・4・3・2・1・0・・・」
「“時” の歯車が噛み合います・・・20・・・15・・・10・9・8・7・6・5・4・3・2・1・0・・・」
「オールグリーン」
賢者の石を核に灰が集まり、人の形へと変貌していく。
おぉおおお〜
「せ、成功だ。新人類の誕生だぞ」
「!?」
次の瞬間、光の結晶が修験道士と修行僧を包み込んでいく。
「・・・あ・・・あれ・・・ま、まさか・・・」
ドラキュラ城から発症した悪夢は、バルカン全域に広がっていた。
強靭な魔力と肉体を持った新人類は、そのエネルギーを得るため使い魔を作る。
吸血鬼一体に対し、500人ほどで安定した生存圏が作られる。
使い魔が多いほど、使い魔から吸収できる生命エネルギーは強大になった。
吸血帝国は、バルカン連邦から深く静かに世界に向かい、
徐々に勢力を拡大していくはずだった。
「な、なんだあの人間たちは・・・どういうことだ・・・」 ジーンリッチ
しかし、勘の良いジーンリッチとの接触で吸血人種圏が発覚。
ドイツ帝国軍は、大恐慌に陥る。
ジーンリッチと吸血人種の戦闘は、拡大を続け、
世界首都ゲルマニア
空を自由に飛び回る吸血鬼は神出鬼没だった。
吸血鬼に向かったMG42機関銃の弾道が折れ曲がり、
ドイツ軍陣地を掃射していく。
「くっそぉ!」
パンツァーファウストが軌道を変えてドイツ軍兵士に戻っていく。
一睨みするだけで、Me700が揚力を失って、大地に叩きつけられ、
タイガー戦車の砲身が暴発し、出入り口が溶接させられる。
浮遊する、たった一人の吸血鬼によってドイツ軍部隊が崩壊させられ、
それが都市上空に何人も浮遊していた。
「バカな、ドイツ軍最強の精鋭ジーンリッチ部隊が・・・」
うぅあああ〜
吸血鬼の洗礼を受けたドイツ軍将兵とドイツ国民は正気を失い、
味方のドイツ軍を攻撃していく。
吸血鬼の使い魔は欧州全体で急速に膨れ上がり、
その後、吸血帝国と人類軍の壮絶な戦争が始まっていく。
ホワイトハウス
「大統領。吸血帝国軍がベネゼエラとキューバに上陸」
「アメリカ極東権益地から入電、ハルピンから後退するとのことです」
「全軍に対吸血鬼軍の再編成を急がせよ」
真っ暗な暗闇を一条の光がスクリーンを照らし、
おぉおおお・・・
観客は手に汗、
視線は、映し出される映像に吸い込まれていく。
日本人たちが映画館から出てくる。
「んん・・・凄いプロパガンダだ」
「川秀博士のイカレ具合が良かった。マッドサイエンスはああじゃないと」
「日独離反を狙いながら巧妙に恐怖心を煽って、アメリカ軍産複合体の強化を狙ってますね」
「しかも、我々と似たような視点に達している、面白いじゃないか」
「正確には、吸血鬼より上位の喰命鬼だがね」
「情報漏れですか?」
「人はアラヤ意識で繋がってると聞く、観念的であれ影響を受けざるを得ないよ」
「まぁ 電話の発見はベルとグレイで2、3時間差だからね」
「時が満ちればってやつですか」
「しかし、喰命鬼を新人類の形態の一つとして認めますが、ほかにもあるのでは?」
「あると思うが、進化が弱肉強食の延長なら喰命鬼の発生は考えられる」
「ピラミッドの階層が一つ上がれば、人類は減少します」
「喰命鬼に人類が支配される事があっても食物連鎖の関係だと人類の方が吸血鬼より多い」
「しかし、本当に喰命鬼発生の可能性があるので?」
「食物連鎖は自然だからね、弱肉強食の原則に逆らう気はないよ」
ドイツ帝国ノルウェー州のガルフピッゲン宇宙ロケット基地。
カタパルトブースターを使った宇宙ロケットは改良されながら急速に大型化していく。
ドイツの宇宙開発は、列強に脅威を与え始めていた。
ドイツ帝国は、レーダーで捉えられるので隠しようがないので公表し、
日本は公表しなかったのである。
もっとも魔法、飛行石、異世界ガイアの類は公表しても信じられないので、
サンプルを渡せないのであれば、教えないのが吉といえる。
ドイツ帝国の脅威は、アメリカ合衆国の挙国一致に対し、追い風の一つとなった。
もっとも微風程度であり、
大多数のアメリカ人は、戦後、広がる貧富の格差に腹を立てていたのだった。
個人の欲望は “専制、差別、抗争” を追い求め、
社会の公約数的な妥協の “自由、平等、博愛” と対立関係であり、
利己主義を標榜する自由と平等、博愛も相克関係だった。
なので、いかなる国家の政体であれ、社会的な軋轢は解消されず続くのである。
アメリカ資本は、戦後、戦争特需が消えた後、
資本家と賃上げ攻勢と就労維持を要求する労働者の対立は激化。
資本家は、アメリカ極東権益口座の高配当で国民の預金を集め、
極東権益地の生産力と収入を頼りに対抗する。
国家は近代化のため常に貧富の格差を求めるため、資本家優遇は変わらず。
アメリカ国内の労働者は、ローン借金経済へと追い込まれてしまう。
これは、極東権益地の現地民搾取とアメリカ国内の労働者に対する裏切りであり、
二重収益となって貧富の格差を広げていた。
競争社会により経済の発展が見込まれたとしても限度があるのであり、
ある程度、規制されるべきなのであるが、アメリカ資本は、限度以上の収益を求め、
結果的に敵性国家の増長による挙国一致を求めた。
国内矛盾を巨悪を口実に押し潰し、まとめ上げる政策は常套手段であり、
ほとんどの国家で大なり小なり行われる。
そして、国力に任せて大規模に行えるのがアメリカ合衆国だった。
ニューヨーク
カフェテラスの日本人たちが新聞を一瞥・・・
“ソビエト共産主義の中東浸透と紛争”
“ドイツ第3帝国 宇宙ロケット打ち上げ成功、世界的な野望に対し、アメリカ政府の判断は?”
“日本の高度経済成長の謎は未知の・・・”
“南米ベネゼエラ、コロンビアのドイツ軍駐留・・・”
“黒人人種差別撤廃運動激化・・・”
“今世紀最悪の恐怖 ドラキュラ帝国の逆襲 鮮血のドミノは止まらない”
“忍び寄るイタリアンマフィアと覚醒剤”
“アメリカ国内におけるイスラム過激派によるテロ事件の発生”
「・・・貧富の格差に対しては、ほとんど無しか?」
「別の脅威で貧富の格差を誤魔化しているのだろう。御苦労な事だ」
「よくある世論操作だよ」
「まぁ 労働者が我慢すれば良いことじゃないの」
「まぁね。日本の労働者よりアメリカの労働者の方が恵まれてるし」
「それなのに凄い騒ぎだな・・・」
赤狩り警官と賃上げスト群衆が一つのストリートで押し合っていた。
「既得権益を奪われたくないんだよ。今日より明日、成長しているべきだからね」
「夏は脱ぎ、冬は着る。経済に波は付き物だよ」
「ずっと着込んでいたい資本家がいるんだよ」
「その皺寄せがアレとはね」
「嫌だよ。アメリカ合衆国の共産化なんて、ダブついた高級品はどうするんだよ」
「洒落なんね〜」
「ソビエトも焦ってるんじゃないか、アメリカが共産化したら東シベリアは冬を越せなくなるからね」
「寒過ぎる〜」
「アメリカが参戦しなかったことでパックスアメリカの座からずり落ちてるのが現況だからね」
「第一次で出遅れで、第二次は不参戦か・・・」
「盛り上がりに欠けるからアメリカ経済投資は微妙だな」
「アメリカ軍の制圧力と鎮圧力が未知数のままじゃなぁ」
「日本は強襲揚陸艦を建造しないのか?」
「建造するとアメリカも倍の規模で建造するだろう。各国とも二の足、三の足だよ」
「まぁ 空母は攻防一体だけど、強襲揚陸艦は侵略の意図ありだからね」
「戦車運搬船くらいは必要だけど、様子見だな」
「日本、瑞樹州、欧州権益地とも製造できるよ」
「重量級の戦車だけだろう。ロードス島からバルカン・カフカスは必要だし」
「重砲や軽量車両は後回しにされている」
「いまのところ、中東を除けば、戦雲低いけどね」
「スーダン独立でエジプトも微妙なんだけどな」
「エジプトに取り込まれてしまうより良かったらしいよ」
「そんなもんかね・・・」
02/25 フルシチョフのスターリン批判。
樺太からカフカスまで鉄道で行くことができた。
遠く離れた大地を繋ぐ鉄の輸送機関は、日本人を行き来させ、
多様な交通機関は、投資を拡大させる。
アメリカ極東権益地の増強は、日ソ関係を正常な形に揺り戻し、
物流と情報を行き来させていく。
シベリア鉄道 イルクーツーク
ダイヤモンドダストが舞い散る、白銀の世界が広がっていた。
日本人の運び屋たち、
スエズ運河一帯が不穏な状況に包まれるにつれ、
シベリア鉄道による日欧連絡路が確認され易くなった。
これは危険分散であり、各国とも、興味を示すところだった。
「フルシチョフは話しの分かる男だろうか」
「さぁ 膨張主義がなくて、正常な取引ができれば良いよ」
「ドイツとアメリカに挟撃されたら、ソビエトに怖気づくよ」
「極東ソビエトは、アメリカ権益地との取引があってこそだし」
「増強されているソビエト軍でさえ、アメリカ軍に横腹を見せられる軍隊じゃない」
「アメリカも強力だが積極的に膨張する国でもないし、採算割れを恐れている」
「欧州は地続きだから、やれそうだけど、日本は無理だな」
「それも不安だな、タダでさえ少ない国防費が削減される」
「船で余裕があるアメリカの方が怖いよ」
「だから瑞樹州の移民も増えるわけだ」
「ソビエトが一番恐れているのは、ドイツ軍だろうな」
「ドイツ帝国の精強さは、戦後も変わらないか」
「ヒットラー時代ほどじゃないけど、全体主義も、あそこまで行けば立派だよ」
「老害、心身障害者の切り捨ては、国民的合意がなされているのだろうか」
「65歳以上の尊厳死、安楽死は、貧乏人だけじゃないの」
「ヒットラーは、今年、尊厳死で逝ったらしいけど」
「洒落になんねぇ 老人が金持って逃げだしたらどうするんだよ」
「まぁ 長生きは功績とか、功労とか、人徳と思いたいね」
「どちらにしろジーンリッチだけでなく、人口のほとんどを就労人口で占められるのは大きい」
「日本のような院政しがみ付きや年功序列が少ないから回転も早いかも」
「そりぁ 人間、老後を考えると利権にしがみついて醜くなるがね。年の功だってあるだろう」
「国家規模でやられたら、そんなの吹き飛ぶよ」
「どちらにしろ、ジーンリッチや戦争年齢で有利なのはドイツ帝国だろう」
「ソビエトが動けないのなら助かるよ」
綾風 | ||||||
自重/全備重 | hp | 全長×全幅×全高 | 翼面積 | 巡航速/最高速 | 航続距離 | 乗員/乗客 |
18000/30000 | 3667×2 | 32×32×9 | 96 | /640 | 3000 | 2/〜74 |
雨天
ターボプロップ双発エンジンの民間貨客機が戦闘機のような軌跡を描いていた。
“綾風” は、電子計算機の複雑な試行錯誤によって設計され、
航空力学上、洗練された機体は先進的であり高性能だった。
必要なのは、機体の限界値を知ることであり、
試行錯誤の改良は、常に続けられる。
「雨天の機動も悪く無し、か・・」
「対空哨戒、対潜哨戒とも過不足無しな気がするな。対艦攻撃でも使えないか」
「アメリカ以外の艦隊ならな」
「B47爆撃機が羨ましい」
「パイソンエンジンは、もう少し、国産設計を取り入れる方が良いのでは?」
「アレのおかげで、流体工学も以前より進んでるからね」
「軍事用はともかく、民間機は、国際線でも使う。やり過ぎるとまずい」
「そういえば、アメリカもエリア51とかいう怪しげな研究用の基地を建設してるそうだ?」
「怪しげ?」
「ひょっとしたらアメリカもガイアのこと、知ってるのか?」
「可能性は捨て切れんね。国が管理しているか、個人所有か不明だが」
「個人で所有しても、いつまでも資質があるからね、適格者が続くと限らんよ」
「調子に乗って使うと死ぬわけだし」
「それも言える」
03/02 ヴィシーフランスがモロッコ併合
カフカス連邦
バクー
(1月、最低2度、最高8度。降水量42mm)
(7月、最低21度、最高30度。降水量7mm)
基本的に雨が少なく、最も降る10月の降雨量でも100mm前後、
この国は発電用ダムが期待できず、
輸出品の油田はなるべく溜め、風力発電や太陽光熱発電が建設されていく。
日本人街は、高原地帯に建設されているため、さらに気温が低い、
そして、たまたま、資源の上だったりする。
駐屯地から機銃掃射の音が聞こえる。
訓練の生き届いたベテラン将兵と素人新兵の違いは味方撃ちを最小限に減らせる事だった。
味方を撃ちは、誤射であっても人間不信を招き、戦力減だけでなく、
分裂や内戦を引き起こした。
新兵の前に出るのは死を意味するだけでなく、横に並ぶのさえ危険だった。
なので古参兵は新兵を前に出すことで命を保とうとする。
訓練されていない新兵が忌み嫌われるのは、敵より怖い一面があるからと言える。
「ようやく、実弾演習か、ほっとするね」
「予算が削られてるからな」
「ある程度、実弾に慣れていないと、余裕がなくなり敵味方の識別すらできなくなる」
「目を瞑っても使えるくらい銃の扱いと基本行動を体に教え込まないと一緒に並んで戦えもしねぇ」
「金を掛ける事といえば、建設やら工場やらばかり。上は、わかっていないのさ」
「サンパチ時代の連中だろう。突撃銃になってからの感覚が分からないのだろう」
「戦争が始まってからじゃ遅いんだけどな」
「上の話しだと、敵国も同じだから待ってる方が優位だと」
「やれやれ、山脈越えのソビエト空挺部隊の事を考えてないらしい」
「外交戦略上のバランスで、ソビエトが攻撃してくることはないそうだ」
「なぁあにが〜 外交戦略上だよ。詐欺っぽく聞こえるぜ」
「まぁ バクー油田は大きいから、攻撃する方が悪役で、アメリカは戦争したがってるから・・・」
「口実さえあれば攻撃できるってか」
「民主主義は、そんなに甘いものじゃないよ」
「アメリカの国防比率は低く、凶暴な国じゃない、国民に戦意がなければ倒閣だよ」
治安の良さから欧米諸国の居留者も増加し、
日本人の見栄えはともかく、経済的に安定してることが気に入られたのか、
体臭の弱い日本人が気に入られたのか、
互いに言葉を覚え始めたのか、
日本人と現地の白人美人のカップルも少しずつ増えていく。
この頃、日本人街で、日本語を覚えた者は、日本人かという命題が突き付けられていた。
日本文化圏で育てば人種が違っても、発想も思考も日本人に近付き、
例え、日本人でも違う文化圏で育てられれば、異国人の発想、思考に近付いた。
国境を越えた交流は、既成概念を大きく変える要素があり、統治者を迷わせる。
日本圏の拡大は、単一民族である事の是非や何を持って日本人とするかという命題とも直面する。
国籍さえあれば、中身を問わない杓子定規もあり、
適当なのが日本語なのであるがそれだと、バルカン・カフカス人の中にもいることにもあった。
日本国内に住むものであれば、国外に住む者は棄民となり、日本の経済成長は停止する。
多様な感情論は別にしても、日本人の中にも差別が存在し、
綺麗事だけなら犯罪者を外国人扱いという場合もあり。
傲慢であれば、貧乏人は外国人扱いで付き合いの制限もあった。
カフカス日本第三中学
「レイラー、宿題した?」
「ケイジロー。何で人に頼るのよ」 アゼルバイジャン人
「きっとボーリングが悪いんだ」
「ボーリングに誘われたあんたがね」 グルジア人
「メデア、宿題した?」
「日本人ってどういう人種なのかしら。極東からこの地の果てまで来たと思えば、怠惰な人間」 アルメニア人
「アルミネ。日本人は個人の強さより、むしろ、集団での協調性が重視されるんだよ」
「なんか、悪貨良貨を駆逐しそう・・・」
「まぁ 良くある性質だね」
「良くここまでこれたものだわ」
メキシコ南東部ユカタン半島
古代都市ウシュマル
日本人たちは時折視線を感じるのか、
周りを気にしながら古代マヤ遺跡を見聞して回り、
もう一隊と合流する。
「マヤ語は?」
「取り敢えず揃いつつある」
「しかし、英領ベリーズの遺跡もそうだったが、こっちも不思議な遺跡ではある」
「消えたマヤ人がガイアに入植した可能性は?」
「ガイアにも似た文字もあるよ」
「しかし、象形文字の類似を珍しいと言えないぞ」
「まぁ 伝染病で滅びた可能性もなくはない」
「一周期260日のツォルキン暦と惑星ガイアは関連なさそうだが」
「関連があるのは、二つの暦が合わさる52年で出入り口の行き来の事じゃないか?」
「伊161の移動が最後で閉じたとしたら、55年後に帰還できた畝傍の説明が出来ない」
「それとも、別の平行世界か・・・」
「惑星ガイアは、4番惑星で火星に近い距離にあるらしい」
「公転周期は615日ほどで、自転周期は28時間」
「太陽が若干大きく温度は変わらない」
「小さな衛星は直径500km、300km、230kmの3つ」
「ガイアの大気は、窒素76、酸素20、アルゴン2、二酸化炭素1か・・・」
「地球は、窒素78、酸素21、アルゴン1だ。微妙に似ていて、微妙に違うな」
「海水は、地球、水96、塩分4。地球、水96.6、塩分 3.4」
「惑星ガイアの直径15307kmは地球12756kmの約1.2倍。で重力はほぼ同じか」
「1.6倍くらいあっても良さそうだが?」
「重力から判断すると火星に近い密度じゃないのか」
「飛行石の存在か、鉄が少ないせいだろうか?」
「他の金属はそれなりにありそうだがね」
「開発が進めば鉄鉱石の鉱山も発掘できるのでは?」
「可能性は否定しないがね」
「あと、エルフ族、ドワーフ族、鬼族、人族の混在で、未開地が地表の9割を越えてる」
「交渉不能な魔獣、妖獣、巨大生物の存在も奇怪だな。生態系が作れないよ」
「魔法使いもだ。そして、最強の喰命鬼」
「第二次カンブリアの爆発ってやつじゃないの生態系も試行錯誤」
「じゃ ガイアの方が先行してるのか?」
「さぁ カンブリアの爆発って言っても1200万年くらいの期間をかけてるからね」
「・・・もっと正確なガイアの地図と情報が欲しいな」
「いまのところ、マヤとガイアの関連性は、あるような、ないような、か・・・」
「巨大隕石が落ちたのは、関連があるのか?」
「さぁ 磁気、重力分布と平行次元の出入口の関係も微妙だな」
「結局、わからないのだろう」
「早い話しがそうだな」
「一通り終わったら英領ベリーズに戻るか」
「工作員に見張られているのは気分のいいものじゃないからな」
「マヤ暦が西暦2012年12月22日で終わっていることもね」
「新人類 喰命鬼の歴史が始まって、旧人類の歴史が終わるってことじゃないの」
「・・・なんか、あがらいたいな」
03/20 日英同盟は、チュニジア独立を承認。
地中海 チュニジア沖
垂れ込めた灰色の空。珍しく濃い海原が広がっていた。
33500トン級空母イーグル 艦橋
ホーカー シーホークがタッチアンドゴーを繰り返し、
兵装を半分に減らされ護衛艦に改造された “陽炎” が並走しているのが見えた。
センチュリオン戦車を搭載した輸送艦がチュニジアに戦車を降ろしに行こうと南に下って行く。
「独立させたというのに艦隊派遣は、意味があるので?」 日本軍将校
「スペイン、ヴィシーフランス、イタリアを牽制できれば良いよ」
「確かにチュニジアを奪われると東地中海側が狭められてしまいますね」
「そうなるとバルカン連邦、カフカス連邦は窮屈になり蓋をされる」
「チュニジアは、いまのところ日英連邦側に付くということですが?」
「いまのところだ。しかし、外圧が大きければ民意も割れる」
「意地張って独立しても、内実は宗教国家ですからね」
「いまのところ同盟は、日本のバルカン・カフカス投資が大きく、艦隊を維持できるがね」
「しかし、中東紛争が大きくなれば孤立する・・・どうなるやら」
「死中に活を求めるですよ」
「死中にねぇ・・・囲碁で言うと死に体のような気もするがね」
「目があれば、活きますよ」
「バルカンとカフカスで目が二つではあるな」
「ドデカネス諸島とキプロスでも目が二つですよ」
「・・・際どいな」
「そうでしょうか」 のんき
バルカン・カフカスの日本人は、設備投資に従って急速に増加していた。
資源地と基幹産業を押さえていたが少数民族である事に変わりなく。
一旦、戦禍が広がれば、日本人の生存圏の危機となっていく。
日本本土の利権として成り立っておらず、
欧州の日本資本採算ベースで存在している。
キプロスのイギリス人も大家であり、
テナント管理人・労働者は大半が日本人が占めていた。
バルカン・カフカスとも国の内外に対し市場が広がっており、
分離独立は、観光、貿易、流通、金融を含めた産業破綻と同意になっており。
分離独立派は相手にされなくなっていく。
欧米各国は、20世紀最大のインチキとか、マジックとか、詐欺とか・・・
イギリス将校は、首を振る。
大航海時代のイギリス人は、海原の向こうに死中に活を望むほどダイナミックであり、
西部開拓時代のアメリカ人も、荒野の彼方に自由を得ようと無謀で野心的だった。
しかし、時の流れの中にハングリー精神は埋没し、
イギリス人は庭園に生きることを望み、
アメリカ人も富に酔いしれていた。
いまの時代、棄民となって危地に飛び込めるハングリーな人種は日本人だった。
自由フランス領ダカール
白人は、神の人から簒奪者。
そして、殺戮者になっていく。
奪われた土地は、衰退していく場合もあり、発展していく場合もあった。
奪われた土地が発展する時、
奪われた地に発展する素地があり、
奪った者に発展させる必要性と力があったといえる。
自由フランスは、奪った土地、
植民地の壮大な身売りで大家業に徹していた。
ダカールのシャンゼリゼ通りモドキは、欧米日の企業誘致に成功し、
急速に発展し近代化されていく。
戦後、自由フランスとヴィシーフランスは、分裂し、交戦することで、植民地のほとんどを保持。
表面上、疎遠を装いながらも結託していた。
フランス人の子供たちがはしゃぎながら海岸に向かって走っていく。
「戦艦クレマンソーだ♪」
「大きい、すげぇ〜!」
航空機と潜水艦の性能が向上し、戦艦の価値は相対的に低下する。
戦艦は、時代遅れだった。
しかし、ヴィシーフランスは、政治的な要求によりリシュリュー型大型戦艦を建造する。
もっとも、政治的な要求があっても大戦前より産業で劣り、国土も縮小していた。
フランス戦艦クレマンソーの5割は、ドイツ、アメリカなど国外で製造されており、
日本もクレマンソーの組み立て部品の1割を製造していた。
戦艦クレマンソー | 1隻 | ||||
排水量 | 全長×全幅×吃水 | hp | 速度 | 航続距離 | |
38000 | 247.85×33×10.7 | 150000 | 32 | 12kt/15000海里 |
45口径381mm砲4連装2基 | 65口径105mm連装8基 | 60口径37mm連装砲20基 |
艦橋
ヴィシー・フランス海軍将校がダカールを見ていた。
将校の何人かは、リシュリューとジャン・バールの海戦双方の生き証人だった。
「フリー・フランスは相変わらずか」
「自由貿易で関税障壁も企業規制も税金も小さいから外資を得やすいのだろう」
「最近、殺戮劇が減少しているようだが」
「誰だって殺戮者になりたくないだろう」
「自分の取り分さえ富めるようになれば、偽善や栄誉の方が欲しくなるからね」
「上はそうでも、下々は、膨張と支配を望んでいるのでは?」
「まぁ 楽して稼ぎたい連中は多いし、黒人なら大丈夫と思いやすいからね」
「・・・随分、集まってきたじゃないか」
「中身は別物だが形だけはリシュリューとジャン・バールと似てるからな」
「もうしばらく新造戦艦を見せびらかして帰るか」
「しかし、いま時、戦艦の建造とはね」
「リシュリュー型戦艦建造で独立国家としての立場を強調できるのでは?」
「最新のディーゼル機関電気推進で燃費が小さいことが救いだね」
「むかしのように重油を消費出来ないからな」
「乗員も1200人で、電子兵装も最新ですがね。地中海ばかりなのが残念です」
「しょうがないよ。ヴィシーフランスは地中海に面してるからね」
「モロッコを併合したのでは?」
「モロッコか・・・」
「カナリア諸島に圧力をかけられそうだが」
「逆に圧力をかけられてますね」
「あそこ、併合したばかりで血生臭いからな」
05/01 日本で水俣病第一号患者公式確認。
法務省
「やはり、公害病かね」
「「「「・・・・」」」」 魔法使い立ちは頷いた。
既に化学的な裏付けも取られており、
これ以上の遅れは、民衆の離反を招き、倒閣に至る。
右肩上がりの高度成長も設備投資が済むまで足踏みさせられる。
薄利多売産業にとっては、泣きたくなるような話であり、
当然、設備投資は借金によってなされ、
価格は、製造される製品に付加され、インフレを招く。
渋々と印鑑が押され、サインがされると公害病対策法案が検討されていく。
10/19 日ソ共同宣言
間宮海底トンネルは、日ソ間における独自外交ルートの確立であり、
バルカン・カフカスの陸路を確保するためのモノだった。
そして、既にカフカスに存在する外交ルートを日本本国主導に戻すことも含んでいた。
対ソ反共と親米親民という観点で危険な外交戦略でもあった。
しかし、アメリカは日ソ連絡強化を後押し、
アメリカは、脅威となる敵性国家を望んでおり、
利潤の大きな極東権益地がふいになる経済的な恐怖心で国民を煽り、
軍拡を支えるアメリカ資本の容認を望んだのだった。
そして、アメリカ極東権益銀行口座は高配当であり、
アメリカ国民の多くも何らかの形で利用しており国防費維持に成功する。
外交戦略上、陸路によるカフカス連絡は有効であったが国防上は危険が増していた。
間宮海峡日ソ国際地下鉄道トンネルは、国防費の維持で好都合だった。
当然、国防費の増額が認められる。
樺太防衛は、地下を利用した守備兵団と、
サイロ型の対空ミサイル、対地ミサイル、対艦ミサイルによって成り立っていた。
サイロ型を採用したのは、手抜きが外から見えないためであり、
今回の日ソ国際地下鉄トンネルにより、定数を揃えざるを得なくなってしまう。
東京近郊
ロシア人たちの視線は、一度、移動中のセンチュリオンに集まり、
通過した後を一瞥する。
アスファルトは、履帯に沿って、わだちが凹むように掘られやすく、
コンクリートであれば、剥離、割れが起こしやすかった。
「ゴムを付けて移動しているようだ。備品は十分ということかな」
「振動も、あまりなかったな」
「キャタピラの接地面積は大きい。しかし、道路のコンクリートの厚みも大きいようだ」
「戦車が軽量化されている可能性は?」
「ステンレスの生産とチタンの輸入が増えているから、あり得なくもない」
「イギリスの生産力は相対的に落ち、日本の生産力は相対的に上がっている」
「ライセンス生産で国産戦車を作らないのは技術的な問題か」
「バルカン・カフカス防衛も絡んでいるのだろう」
「どちらの補給品でも動かせるってことか」
「コンカラ重戦車は採用しなかったようだ。問題ありかな」
「S3スターリン重戦車と同じと考えて良いんじゃないか」
「確かにS3スターリン戦車は不便だよ」
兵器部門の考証はモスクワで行われており、
意識は、軍を運用する下地の方に移行していく。
「・・・そういえば、銀色の自動車が多いな」
「ステンレス製自働車なのだろう、しかも電気自動車」
「不便じゃないのか」
「東京湾、伊勢湾、大阪湾の海底トンネルは電気自動車なら走れるからね」
「瑞樹州との関係だろう。あっちは、錆びの問題が大きい」
「おかげで通商破壊に対して耐性があるわけか」
「津軽海峡トンネルと宗谷海峡トンネルが完成すれば、万全だな」
「そういえば、庭付き家屋が多いな」
「日本は、極東権益地の牛肉・穀物輸出攻勢に対し、家庭菜園方式で対抗するらしい」
「一般家庭で一品自給できれば、いざという時、戦えるわけか」
「まぁ 生産集中の寡頭競争で戦うより、国民の意識に任せるのか」
「家を建てて借家にする方を選ばないのかな」
「沿線沿いにニュータウンが広がっているから、借家は分が悪そうだ」
スパイ映画の様な事をしなくても、歩いて回るだけで国力の見当が付いた。
「しかし、聞いてるより、鋼材とコンクリートが多いな」
「車の数も聞いていたより多い」
「人口は移民で増えていないのに、資材は十数倍の規模らしい」
「再生産を考えると資源の山だな」
「郊外まで都市が広がろうとしている。羨ましい限りだ」
「都市の拡大は、競争の激化と集客が流動的になるから妨害すると思ったがね」
「沿線は、既得権益者でも妨害できないようになっているんじゃないか」
「太平洋と日本海の両方に日本縦断鉄道が作られて流通能力は高いようだ」
「電化させられるだけの電力は、どこで得られているんだろう」
「水力発電じゃないか、あと火力発電も増えてるそうだ」
「電力が大きければ工場も大きくなりやすいか」
「しかし、これだけ大きな産業が育っているのに大邸宅は少ないな」
「・・・日本は本当に資本主義国家なのか?」
「アメリカとは全然違う。むしろ、共産主義的でさえある」
「公有地、私有地の配分だとそうだな」
「その割に綺麗だがね」
「人は利己主義だから、私有地の方が綺麗になり易い傾向があることは認めるよ」
「その割には発展してるじゃないか。共有のモノは、もう少し粗雑に汚くなるはずだからね」
「なんとか、秘密を探らないとな」
「フルシチョフ書記長も、共産主義の枠の中で、取り入れられるものは取り入れたがってる」
「やれやれ、あんなクソ親父のために働かされるとはね」
「共産主義は、馬鹿の振りをできる者が出世できる。しかし、真性馬鹿には負けるよ」
「自分の溢れんばかりの知性が呪わしいよ」
「あははは・・・」
坤城(こんじょう)
日本の東南アジアの拠点は、インドシナの南端にあり、
日本に対する位置関係で、坤城と呼ばれる。
ヴィシーフランス参戦とインドシナフランス軍の降伏。
そして、独立の代償として譲渡されていた。
日本は少しずつ投資を続け、ホーチミンと国際列車で繋がると急速に開け始める。
地政学的には、日本と瑞穂を結ぶ、巨大な三角点の一つであり、
港湾と飛行場が整備され、経済効率が高まれば、そこそこ重要性も増していく。
もう一つの重要性といえば、南沙群礁基地の利権を守れる位置にあった。
なので、軍事的な側面からも、重要性が増していく。
もっとも、低地では、日本人も居付きたがらず、
周辺国から土砂が買われ、
海岸沿いの堤防工事で造成が進み、海岸側から少しずつ高台へと変貌していく。
それどころか、基礎抗は20mで地下7階ほど掘られ、
高層ビルの建設を予感させていた。
「地震の危険性は?」
「日本ほどじゃないかと」
「海に立つ摩天楼になるかもしれないな」
「“暑いから、もっと、土地を高くしてくれ” か、日本人も贅沢になったものだ」
「平均、海抜が1mもないと、やはり危ないですよ」
「まぁ どの道、浚渫は必要だし、津波対策で堤防は必要だからね」
「浚渫した砂は、コンクリート材に使って欲しくないそうですよ」
「まぁ それはそうだが・・・戦車を配備するより、土地の造成とはね」
「一番怖いのは、人海戦術ですからね」
「条約で認められた土地だ。インドシナも無茶をしないだろう」
「安全はタダではありませんからね」
「しかし、強襲揚陸艦より、実地の防衛力か、あとで、泣きついても知らんぞ」
「熱いのが、最大の泣き所なんでしょう」
「経済的な側面を言わせてもらうと、損益分岐点が泣き所かな」
中国大陸 | 面積 | 台湾比 | 友好国 | ||
アメリカ極東権益地 | 満州、朝鮮半島 | 135万2437 | |||
軍閥七雄 | |||||
燕 | (北京) | 河北、山東、山西、河南、東・内モンゴル | 106万8200 | 5.93 | アメリカ |
呉 | (上海) | 江蘇、安徹、浙江、 | 34万4000 | 3.91 | ドイツ |
楚 | (重慶) | 湖北、貴州、湖南 | 57万3800 | 3.19 | 中立 |
蜀 | (成都) | 四川 | 48万5000 | 1.66 | 中立 |
穂 | (広州) | 広東、福建、江西、広西、 | 70万2900 | 4.06 | 日英同盟 |
涼 | (蘭州) | 甘粛、青海、陝西、寧夏、西・内モンゴル | 182万0800 | 3.32 | ソビエト |
大理 | (昆明) | 雲南 | 39万4100 | 1.23 | 中立 |
ウイグル | ウルムチ | ウイグル | 166万0000 | 0.44 | 中立 |
チベット | ラサ | チベット | 122万8400 | 0.34 | 中立 |
国土の大きさと国力は比例しない。
形成された歴史、国民の質、国土の風土、地勢、周辺国との関係が絡む。
中国大陸は軍閥国によって分割されて中華思想が低減し、
隣国との競争は、誠実な対応が問われ、誠実であるほど取引が増大し国力が増していく。
大理(昆明)
密林におおわれた北部亜寒帯と南部亜熱帯の気候が複雑に絡み、
様々な植物相が混在していた。
この昆明は、少数民族が多く。
基本的に利潤の悪い少数民族に味方するより、多数派の漢民族と組む方が優位だった。
しかし、アメリカの極東権益地防衛と資本力と中国大陸に対する野心が少数民族に投資させ、
欧米各国とも経済的に弾みのついた少数民族と組みながら地場を広げていた。
アメリカ資本
漢民族51パーセント、チワン族(人口5パーセント)
ドイツ資本
イ族(人口13パーセント)・タイ族(人口5パーセント)・回族(人口3.5パーセント)
日英同盟
ペー族(人口6パーセント)・ハニ族(人口6パーセント)・ミャオ族(人口4.5パーセント)
列強の支援を受けると、理不尽に奪われ、虐げられる時代が緩和され、
勢力均衡の
資源を売却することで道が舗装され、橋が建設され、商品が流れ込んでいく。
そして、標高1800mほどの高原に列強各国のホテルが建設されていく。
綾風が飛行場に着陸し、ビジネスマンや観光客が降りてくる。
大和ホテル
日本人たちが湖水を見渡せるテラスでくつろいでいた。
中国大陸では、軍閥一つに金を払うだけで、一発整地であり、
現地軍閥は、他の軍閥に外資が流れるより、地元の現地民を犠牲にし踏み躙った。
日本であれば建設反対、説明会など煩わしいこともなく、
それと結託するヤクザと既得権益者の口利きなど、
金をせびる様々な勢力が現れる事もなかった。
日本で土木建設するより、中国で土木建設する方が安上がりであり。
このホテルも一発整地で割安で建設完成していた。
「この辺も随分、羽振りが良くなったじゃないか」
「気前が良い国は外資が集まりやすい」
「負けるとわかってる国に投資などしないからね」
「外国人からすると、日本は、収益率が悪そうだな」
「利潤が悪くても投資するのは、日本に欲しいモノがあるときだけだよ」
「まだ噂の元を狙っているのか」
「日本の発展は日本人の努力だと思うけどね」
「彼らの気にしているのは、努力外のプラスアルファ分だろう」
「努力外ねぇ 幸運には恵まれていたけど、そんな裏技があるんだろうか」
「幸運? 今と同じだよ。保身で派閥を作るし、組織も自己増殖と利権で肥大していくし」
「愛課心や愛国心を口実に邪魔な情報を握り潰したりか」
「そういや、ドイツ語とイタリア語を敵性語制限してイギリスとソビエトから突っ込まれてたっけ」
「アメリカと戦争にならなかったのは、奇跡に近いね」
「権力の私物化と権謀術数で暴走拡大を望むのも似てるな」
「金を作れない連中が軍事力で国や国民を恫喝しないだけマシだよ」
11/19 日本縦断鉄道の全線電化完成。
巨大なタンカーが日本と中東を行き来する。
安い原油は生産価格を押し下げる。
石油利権に食い込んだ日本は、戦後早々に石油エネルギーに切り替え、
公共投資を雪だるま式に増やしていた。
戦前の前轍を踏んだ赤字財政先送りとインフレが行われ。
一旦甘い汁を吸うとやめられないのである、
もっとも、上が節制して余り大きくもない家に住んでいると、下も倣えなのである。
公団住宅で、それなりに大きな上級層向けの一軒家も建設されていた。
規格が統合されるようになると価格が低下し、欠陥住宅も減少していく。
社長宅に社員たちが案内される。
「・・・社長。もっと大きな家に住んでくださいよ」
「そ、そうだな・・・」
「大きな土建屋の社長がこんな公団住宅に住まなくても・・・」
「あははは」
「取引会社の専務も気兼ねして家を新築できないって、ぼやいてましたよ」
「気にしなくていいのに・・・」
「社長、なんか我々に恨みでもあるんですか、下々が贅沢できないんですよ」
「お、お気遣いなく」
「「「「そうもいかないでしょ」」」」
「そ、そうだなぁ・・・」 ため息
『知らん奴が羨ましいよ・・・』
巷では、節制が消費社会を沈没させているとか、高度経済成長の足を引っ張るとか・・・
とはいえ、子供たちの寿命を縮めた利益で放漫財政など、そうできるものではなく、
ムラ社会的な白い眼に堪えられず、
上級層向けの公団住宅まで造られてしまう結果になっていた。
人の目を気にせず魔法を使わない積極財政を望み始める。
しかし、魔業は、基礎工業力から関わっているため困難でもあった。
11/22 メルボルンオリンピック開幕。
氷上の少女は、華麗で力強さがあり、技に切れがあり。
その演舞は、各国から注目されていた。
日本人たち
「あれがジーンリッチか・・・美人になるな」
「13歳は、年齢的にどうなのかな」
「戦前から計算しても、英才教育を考慮しても、人口分の比率だと脅威的だよ」
「ジーンリッチの力か・・・」
「良くも悪くもドイツ人の利点と欠点を先鋭化させているような気がするね」
「欠点の部分を抑制できれば、利点が光るだろう」
「民族的な欠点を解決しようと思えば混血だけどね」
「ドイツは、混血を受け入れるだけの社会的な寛容性に欠けるだろう」
「日本も似たようなものだけどね」
「少なくとも社会的に抹殺はないだろう。白人との混血も少なくない」
「そういえば最近増えたな。混血」
「日本の秘密が知りたいのでは?」
「日本もドイツの秘密を知りたいね」
「生命に対する魔力行使は、消耗が激しいからね」
「宇宙ロケットもね」
「新聞じゃ 宇宙戦艦と言われてる」
「人を生かす機械を載せるだけで精一杯で、拳銃一つ載せられないって聞いたぞ」
「しかし、ドイツ人の肉体的な優位性が確立され、それが固定されると気遅れしてしまうそうだ」
「戦う前に精神的に負けるのはまずいよ。押し切られてしまう・・・」
「しかし・・・・上手いもんだ」
「ああ・・・」
この年のオリンピックでジーンリッチの最年少が現れ、
4年後、8年後は、さらに多くのジーンリッチが現れると予想されていた。
ドイツ人のジーンリッチ化は、国民的義務であり、
アメリカは、富裕層の優位性を高めるため研究されつつあり、
イギリスでは、貴族体系の維持のため検討されていた。
日本は、ようやく学術的な検討がされている段階だった。
12/02
グァンタナモ米軍基地(116ku)沖
戦艦ワシントン 艦橋
背広を着た男たちと制服を着た男たちが入り交ざる。
「カストロ独立派が上陸した模様です」
「いよいよか・・・」
アメリカ人たちは全てを知っていた。
そう、情報を知る者が無知な者を利用する。
「本当に見逃して良いので?」
「アメリカ本土を共産化せたくないだろう」
「アメリカの労働者を恐怖させる存在が身近に欲しいんだと」
「敵を助けるなんて、政治は複雑だねぇ」
「政治は、本来、内政的なバランスだよ。外国を利用できるのなら利用するさ」
「不自然で無理なバランスを強要するからだ」
「強い奴ほど自制しないとね。できなくなれば、弱い人間のクリスマスは酷くなるだろうよ」
「最終的には戦争になるのでは?」
「法による支配と搾取だけでは、国民の離反と反発を生む」
「しかし、強大な敵が現れた時は違う」
「悪が現れた後、正義が現れる。悪が現れなければ正義も浮いた存在でしかない」
「悪は地の塩だよ。正義は人を引き寄せる蜜で、子供が好きそうな砂糖に過ぎないよ」
「悪の存在によって国民は結束し、国は保たれるのだから」
「それで、悪役を南米に?」
「ふん、口実無しで戦争してみろ、戦意のない民意は割れて空中分解だ」
「さらに弱小三流国の南米相手に戦争なんか、列強崩れ扱いされる」
「しかし、南米が凶悪になれば・・・」
「麻薬と共産化は口実になるわけか」
「核弾頭10発を2発に減らして妥協が理想像らしい」
「微妙な綱渡りだな」
「これぐらいやらないと、保護貿易政策と貧民層救済の民主党を押さえられないだろう」
「保護貿易だと極東権益地の採算は悪化するし、身捨てられる可能性もあるからね」
「あまり、貧民層を作ると共和党は支持基盤を失いそうだけどな」
「まぁ 表面的に政権交代ができるのだから、ガス抜きにはなるよ」
「・・・さてと、今度は、バミューダー海域か」
「キューバと違って、難物ですね」
「日本の怪しげな高度経済成長を底支えしているのは、未知のモノだそうだ」
「バミューダーと関連があるので?」
「わからん。しかし、我々の側が無知なのは困るよ」
「知らないルールでテーブルをひっくり返されるのは御免ですからね」
「そう、大切なのは、常に相手より多くの情報を握っていることだ」
「それも自己満足な希望ではなく。現実の情報だ」
「それが不愉快で失望させられる現実でも?」
「我々は、感情的で独り善がりな子供ではない。望むところだ」
「無知である事の方が侮辱だからな」
「何を侮辱と感じるかで人間性が知れる、ですか」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・異境ガイア・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
鬼ヶ島(ヒルコ島)
人鬼村は、総人口250人ほどの人族と鬼族の住む小さな村だった。
もっとも、総人口2000人のタナ村より都市設計が洗練され、
上下水道・電力など利便性が良く、
優れた作物を栽培していた。
また堡塁など防御力も高かく、ほとんどが訓練された将兵たちだった。
7mm×43機銃弾が闇の中に吸い込まれ、軌道が変えられていく。
FN FAL突撃銃は、護身用で優れ、
たいていの魔獣、妖獣を足止めすることができた。
またブレン軽機関銃L4(7mm×43)も大型肉食獣を撃退し、仕留めることも可能だった。
しかし、その日は、違った。
「ルール (喰命鬼) だ!」
鬼族、エルフ族、ドワーフ、人族の中から不意に発症する新種。
数十体の生物を使い魔として支配し、
他の生命の魔力を吸収し、生命エネルギーを糧にする恐怖の生命体・・・
喰命抗体を持つ者がいなければ村ごと支配されることもあるという。
騒然とした空気が鬼族、人族と合流した異人種に漂い。
日本軍将兵が武器を取って配置についていく。
大和艦橋
「田辺艦長」
「くっそぉ〜 俺の担当の時に現れやがった」
「両舷緊急加熱50m。浮上!」
「高度・・10・・20・・・30・・・40・・・」
「面舵12、左舷加熱、右舷傾斜角5度。砲手は目測を持って各個砲撃せよ」
「味方に当てるなよ」
「はっ」
大和は艦を傾け、喰命軍に向け艦砲射撃していく。
喰命鬼の使い魔は砲撃によって、吹き飛ばされていた。
しかし、喰命鬼本体は、45口径114mm砲弾の弾道すら魔力で変えてしまう。
「・・・大和。撃ち方やめろ、味方に当たる」 木梨艦長
「艦長、撃ち続けて魔力を消耗させた方が良い」 鬼族
魔法によって加速された銃弾は、喰命鬼の魔力で歪められ傍を掠めていく。
地球で吸血鬼であり、恐怖の対象でしかなかった。
ガイアの喰命鬼に対する評価は、食物連鎖で判断されてドライだった。
弱肉強食でエルフ族、鬼族、人族、ドワーフ族の頂点に立つ究極の存在であり。
強靭な魔力と身体能力を見つけ、
その力を維持するため、効率の良く生命エネルギーを得る進化した存在であり、
喰命鬼にとっては、魔法使いでさえ半端で上質の餌に過ぎなかった。
魔法使いは命を削りながら魔法を使う電池であり、
喰命鬼は、魔力で削った命を補える手段を持つ充電可能な蓄電池と考えられる。
その存在は、エルフ、鬼族、人族、ドワーフの上位に達し、
恐れと同時に羨望されていた。
手元を離れた砲弾、弾丸、矢は、魔力によって加速され、
同時に相手が魔力を持っていれば弾道を変えられ、現に逸らされていく。
相手の魔力を打ち消しながら懐に飛び込んで攻撃できるのは剣、槍の類だった。
赤いルビーレーザーが喰命鬼の防御結界を焼いて行く。
「速いぞ・・くっ!」 キズナ
筋力、魔力の差だけでなく、飛行石の摂取量の身体軽量化でも負けていることが分かる。
キズナの剣先が喰命鬼の腕に遮られ、
喰命鬼の徒手を回し蹴りで辛うじて避ける。
「来た」
「効かないぞ」
「連続して攻撃して消耗させるしかないんだ。撃退しないと狩られるぞ」 エルフ族
「ラシェル。援護だ」
「キズナ」
キズナ、ラッシェルの魔法剣の紅い軌道が弧を描いて、吸血鬼の防衛結界を焼いて行く。
そして、クロエの槍が防御結界を破壊。
キズナの魔法剣とアルディの槍が喰命鬼の懐へと迫る。
!?
不意の撤退。
「・・・どうやら、費用対効果で割が悪いとわかったらしい」 鬼族
「いったい、ルール(喰命鬼)は、どのくらい進化しているんだ?」 木梨艦長
「ルールは肉食動物。我々は草食動物だ」 エルフの商人
「そんなに・・・」
「弱肉強食だからね」
「といっても支配とエネルギー吸収が目的で食べるわけじゃないのだが」
「牧畜みたいなものだし、支配されている側も、喜んで従っている節もある」
「魔力や生命エネルギーを吸収され、支配されながら生きるのは御免だ」
「我々は最初、統制のとれた君らを新種の吸血鬼だと思ったよ」
「そ、そうか・・・」
村人は、知らない言葉を話していたが、ガイアの言葉も片言なら話せた。
「君たちは、我々に言葉やこの世界の事を教えて欲しいのだが・・・」
新たに6家族17人が住みついても十分な居住地と耕作地が確保されており、
衣食住に不足することなく、
ほとんどの村人は高い知性と教養を持ち多様な仕事をこなしていた。
ガイア世界を教えるどころか、逆に国語、数学、社会構造など教わることも多く。
図書館に行けば、多種多様な書物類が山と積み上げられていた。
時々、鬼族が来ては、取引を行って帰っていく。
そして、噂を聞きつけたのか、エンキドゥ大陸の村々も取引に来る、
居留民が増えると、急速に街の生存圏も広がっていく。
取引に有利なためか、日本語を覚える商人も少しずつ増えていく。
高熱高圧に耐えられる製鉄所は、ガイア世界に人鬼村しかなく。
銅を核にした銅鋼は容易に生産されていく。
新しい人族の命の誕生に村人が湧き返っていた。
婚姻は徐々に行われており、妊婦も少しずつ増えていく。
木梨・田辺
「一応、出生届でも書いておくか」
「日本は杓子定規だからね」
「ともかく、おめでとう、火帆少尉、ソノエ君」
「おめでとう」
「「ありがとうございます、木梨艦長、田辺艦長」」
「本当は、もっと移民を増やしたいところだけど」
「やはり、地球側の準備が整っていないか」
「旧式化した伊号は多い、しかし、召喚魔法ができる魔法使いは4人のみだ」
「法務大臣も次の魔法使いまでと渋っているらしい」
「平和になると人の命も重くなるな」
「疑われていることを思えば、しばらくは自重した方が良いという意見もある」
「召魂、召魄は?」
「召魂は定期的に可能で、召魄も何とかなるだろう・・・」
「では、チタン、ステンレス、鋼材だな。伊号ごと無人でも送って欲しいものだ」
「だが大規模にやろうとすると、やはり、寿命の問題が大きくなるぞ」
「んん・・・」
「別の出入口が地球に開いている可能性は?」
「平行次元の彼方であれば、地球だとは限らんよ」
「知的生命体の総量に対し、出入り口が開かれているとしてもだ」
「地球以外の可能性もあり、異世界が人間の生存に適しているとは限らないよ」
「地球より科学技術が優れている可能性もあるな」
「平行世界を自由に行き来できる技術力が欲しいものだ・・・」
新しい居住者は、少しずつ受け入れられていく。
既に鬼族で慣れており、
エルフ族、ドワーフ族とも交渉が始まっていた。
日本軍将兵が喰命鬼撃退の功労者を案内していく。
「君たち、良くやってくれたね。お礼に良いモノを見せてあげるよ」
ウネビ(人族)、アルディ(人族・鬼族・エルフ族)、
ラシェル(人族・エルフ族)、クロエ(人族・鬼族)、
シルビー(人族)、ティフォン(人族・ドワーフ)は、巨大な冷凍庫を見て感心する。
牛、羊、コモンドラン、その他の肉が凍らされ、吊るされていた。
「さむぃ・・・」
「保存できるんだ。道理で毎日少しずつ違う肉が出ると思ったよ」
「これじゃ 外に出て狩りをしても、高値で売れないわね」
「おいおい、子供たちだけじゃ 危ないよ」
「そうだぞ、喰命鬼と出会ったらどうするんだ」
「喰命鬼とそれ以外は、だいたい300対1で決まってるから。心配してもしょうがないよ」
「それに喰命鬼の魔力の強さにもよるけど、使い魔は10人から100人くらいかな」
「だから使い魔が定数に達すると安定期に入ってしまうんだ」
「だいたい1人15年くらいの魔力とか、生命エネルギーを食って。とっかえひっかえで永遠の命を繋ぐんだ」
「あと、使役したり、使役せず村の中に潜んでいたり」
「使い魔から知的な知識も得られて、頭も良いから、いい身分だよ」
「君たちは怖くないのかい?」
「怖いけどそういう世界だからしょうがないよ」
「我々のいた社会には、人族ばかりで、喰命鬼はいなかったな」
「じゃ 人間が増え過ぎて困るんじゃない」 キズナ
「人間同士で殺し合うのかな」 クロエ
「それとも、強者が弱者を間引きしちゃう」 シルビー
「本当は、喰命鬼が隠れ潜んでるとか」 アルディ
「「「・・・・」」」 苦笑
「まぁ いろいろ上手くやってるよ」
「じゃ この村で、一番高く売れるモノって何かな」
「そりゃ 飛行石、鉄鉱石の鉱山だよ」
「ふぅ どっちも危ないところにしかないよ」
「せっかく、爺さんの遺産の魔法剣を試そうと思ったのに・・・」
キズナは、20m先の幹を切り落とし、日本人たちを驚かせていた。
それでさえ、喰命鬼を手古摺らせるだけでしかなかった。
「当分、遠征はないからね。金になるとしたら、こちらの言葉を教える先生になることだよ」
「冒険したい年頃なんだけどな」
「召喚術は、金になるかもしれないな」
「召喚術か・・・寿命を考えちゃうな」
「・・・・」 ラシェルも頷く。
「まぁ 召魂、召魄でも金になるがね」
「そっちの方が楽そうだ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
月夜裏 野々香です。
弱肉強食の原則で吸血鬼を進化した生命体としました。
といっても食べるわけでなく、
支配と生命エネルギーの摂取を目的としてます。
喰命鬼でしょうか。
心身は人間より強靭であり、
使い魔の知性、感性、意志を流用でき、
さらに生命力を奪えるため、魔力も寿命も要領に個体差があるのですが無尽蔵。
草食動物より先に肉食動物が現れるような事はありませんから、
吸血鬼は新人類(ニュータイプ)。人族はオールドタイプです。
他の進化の可能性もあるでしょうか暗中模索中です。
第15話 1955年 『ノーガードの行方』 |
第16話 1956年 『悪徳は地の塩 正義は天の蜜』 |
第17話 1957年 『利害調和』 |