月夜裏 野々香 小説の部屋

    

ファンタジー系火葬戦記

 

『魔業の黎明』

 

第33話 1973年 『消える扉と最後の・・・』

 日本人の総人口は1億1千万を超え、過半数は国外に移り住んでいた。

 その中の一つ、

 バルカン連邦は、総人口8000万。

 内日本人2500万を超えて近代化にも成功しつつあり、

 イギリスのGDPを抜き去っていた。

 都市自治法は、人種、民族、宗教、文化のアイデンティティを重んじて歪だったものの、

 国家法は、人種、民族、宗教、文化の差別が小さくなっており、

 言語>実力・才能>資本の順で権力の扉が開かれていた。

 都市自治法で細分化された連邦都市国家群は、

 統一性がなくても安定し、繁栄し、近代化していた。

 

 もっとも魔業は別であり、

 一部の例外を除けば、生粋の日本人が出入りしていた。

 日本人街は、法的に日本民族が有利になっており、

 “○○の丘” と記載され、歴史の浅い都市ばかりだった。

 なぜ、日本民族はバルカン半島で基幹産業を押さえ、優位性を保てるのか、

 知識人たちは、歴史的しがらみのなさ、

 日本民族の特性とバルカン諸民族の相性など、

 多様な解釈とうんちくを語るが観念的な世界観と既成概念に過ぎず。

 路地に入り込んでも反乱の兆候どころか、不穏な動きすらなかった。

 

 テーブルを挟んだクロアチア人数人は、多重放送の如く同時に話し、

 話すばかりで、誰一人聞いている者はいなかった。

 そして、日本人だけが一人頷いていた。

 こういう光景はバルカン半島で珍しいことではない。

 日本人は基本的に聞き役だった。

 

 日本人数人が売店(キヨスク)の前に立っていた。

 数カ国語の新聞が置かれ、

 ほとんどの新聞が一部で他国語を併用し、

 購買者を増やそうと躍起になっているように見えた。

 一人がゴシップ記事を買う。

 「やれやれ、クロアチア人は、良く話しが続くものだ」

 「内容は、大したものじゃない。日常的なことだ」

 「大事なことだよ。日常はね・・・」

 「まぁ 少なくとも・・・」

 「このバルカン連邦を魔法使いが維持してるなんて荒唐無稽な、おとぎ話よりはね」

 眼鏡を掛けたガニ股の日本人が箒に乗って飛んでいる絵が載っていた。

 「「「「あははは・・・」」」」

 

 鷹の丘

 清々しい空と、

 白銀の雪に覆われた峰々と、

 樹林に覆われた大地が日本人街 “鷹の丘” を囲む。

 自然と一体となった街と高原のそよ風に酔いしれ、

 誰もがキャンパスを前に絵筆を持ちたくなる。

 二等辺三角形の屋根が庭先近くまで降り、

 洋間でありながら寝殿造りモドキ風、書院造りモドキ風の家々が多い、

 郷愁とか哀愁染みた感傷によって引き起こされた衝動といえるものの、

 本家の日本にない家屋も多い。

 むしろ、バルカン・カフカス式家屋が日本で建てられそうな勢いだったりする。

 その一つ寝殿造りモドキ風の家屋に

 “法務省 日本・バルカン法整局”

 と、看板が付けられていた。

 日本を支配している省は、大蔵省でも、建設省でもなく、国防省でもなく、

 法務省だった。

 無論、国民の義務として、法律を順守し、裁定に従うべきなのだが、

 法より、損得勘定で判断する日本民族らしくないのである。

 喫茶 ふじなみ屋

 「毎度毎度、民族間の調整は手を焼くよ」

 「自治都市資本潰し、民族資本潰しを貧困救済なんて、モノはいいようだね」

 「競争を押さえて、基幹産業の近代化は日本資本によってのみか」

 「こんな無茶が、いつまで続くやら」

 「持ち家を増やして、基幹産業の収益で国家を支えるのは悪くないよ」

 「自治都市の資本を強くしても、基幹産業は面白くないからね」

 「無知で無能で無策で無気力な民衆が増える気がするね」

 「その方が追い上げがないから、嬉しい層は多いよ」

 「ドイツ帝国のGDPをジーンリッチが押し上げているから、差が開き過ぎると危険だよ」

 「あいつら宇宙進出とかするし、工業力は洒落にならないからな」

 「日本は、宇宙進出しないの?」

 「通信、偵察、気象衛星を考えているくらいで、やる気なさそうだな」

 「地味ぃに底上げ中か」

 「日本連邦は、国民にとって暮らしやすよ」

 「国際競争力とかあるんだがな」

 不意に回廊を見るとキャスターを押してる旧友を見かける。

 「あ、紀山! 新しい判例だ。頼むよ」

 「・・・あ・・わかった」

 「暇そうだな。紀山」

 「実は、そうなんだ」

 「何やってんだか、学歴トップのキレ者のお前が資料整理に回されやがって」

 「俺は、おまえの分まで、仕事押し付けられているんだぞ」

 「あははは・・・中里は優秀だよ」

 紀山は、苦笑いしながら資料を受け取って去っていく。

 「・・・絶対にあり得ん」

 「何が?」

 「俺より優秀なあいつが何で資料室なんだ」

 「おまえ、局長に文句言っただろう」

 「まだ逆ならあり得ると思ったがな。履歴書違えたんじゃないか」

 「中里。お前も人が良いなぁ」

 「いや、マジ天才なんだって」

 

 地下 第B22資料管理室。

 魔業 支部

 対独図上演習が行われていた。

 魔業の実態は、軍の上層部にしか、知られておらず、

 法務省でも窓際族とか、何であるのか分からないお荷物部署、隠されており、

 魔業込みの図上演習ができる基地は限られている。

 「済みません、紀山さんにこんなことをさせて」

 キャスターの中から、間食用のサンドイッチが出される。

 「いいよ、外の空気を吸いたくてね」

 「ほら、君たちにも・・・」

 天才と呼ばれる男は、空のペットボトルのキャップを開けて下に向ける。

 「外の空気だ」

 天才は、時に変わった行動をとることがある。

 「「「「・・・・」」」」

 「それで、戦況は?」

 「勝てそうです」

 「・・・ジーンリッチを1.5倍にしても、有利といえば有利だね」

 「もっと思い切った戦略も可能です」

 「んん・・・魔業の存在を教えること自体。日本の敗北を意味すると思うね」

 「まぁ そうですが・・・」

 「むしろ、既存兵器で有利に戦って」

 「魔業を発覚させない戦いをすべきだと思うよ」

 「そう言われても砲弾やミサイルが飛んできたら逸らしちゃいますよ」

 「あはははは・・・」

 「いっそ占領させて、ドイツ帝国を逆占領もありかも」

 「あはははは・・・」

 「ジーンリッチ師団を、もっと、強くしても良いかも」

 「んん・・・ジーンリッチも2世の時代に入っているからねぇ」

 「やっぱり、資質は、相当なものか」

 「んん・・・生体素粒子が増えるわけではないけど」

 「民族的特性は、そのままで、知性と体力で最高峰だろうね」

 「民族特性というか、個性は、良し悪しあるからね」

 「はぁ〜 しかし、人類の生体素粒子は、小さ過ぎだな」

 「どう考えても、何かの傀儡」

 「牛とか、豚とか、ニワトリとか、放牧用って感じだな」

 「そう考えると、必要最小限の生体素粒子で動かせる人体の緻密さ・・・」

 「尊敬に値するね」

 「いや、むしろムカつく」

 「まぁまぁ 少なくとも我々が知る限りにおいてだ」

 「人間レベルの完全自律型ゴーレムを作って群れとして繁殖させ」

 「一つの惑星をテリトリーにしている魔物は未確認で確認されていない」

 「神の存在は、少なくとも想像上で、仮定の話しだ」

 「エルフ、ドワーフ、鬼族の世界があるじゃないか」

 「んん・・・4種族とも少ない確率で交配可能なのは、関連があるということかな」

 「つまり、それほど高次元なモノに人族は、作られたって事じゃないか」

 「それが、いつでも生体素粒子を引き抜けるストックでもか?」

 「というより、寿命が尽きて死ぬと」

 「自動的に生体素粒子が引き抜かれる感じじゃないの」

 「んん、ムカつくが、良くできた構造だ」

 「聖書にある堕落って、何か、自律的なモノがあると解釈していいのかな」

 「どうだろう。堕落は、他の魔物が介入したってことじゃないかな」

 「少なくとも、助けるためというより・・・」

 「俺にも生体素粒子を分けろ的な・・・」

 「どっちもムカつく」

 「この閉塞した傀儡状況から、何とか離脱というか、解脱したいものだね」

 「もちろん。どっちからも」

 「生体素粒子が平均21gじゃな」

 「科学技術でいくら上げ底しても無駄な足掻きって感じだよ」

 「だから、もっと生体素粒子の質と量を上げるような研究をしないと」

 「だが生体素粒子で劣っている分だけ、組織力と科学技術の向上が大きい」

 「まぁ 寿命を惜しまなければ宇宙戦艦建造も可能だがね」

 

 

 エゴは幸福を追求する原動力と言える。

 しかし、個人のエゴの追求が他者と全体の利益となるとは限らず。

 欲を追求すれば、他者だけでなく、国家。

 強いては、自らにも不利益をもたらす事もあった。

 個人がエゴを押し通せば、嘘、虚飾、虚勢、虚偽、詐欺、窃盗、強盗、殺人に至り、

 国家がエゴを押し通せば、紛争、戦争に至る。

 そして、第二次世界大戦。

 アメリカの主張によるところの欧州大戦の結果が、そこにあった。

 カナリア諸島、

 アフリカ大陸側に近い大和島、武蔵島は、アフリカに近い気候であり、

 緑化を進めようとしても降水量が少なく、水源もなく、

 火星か?

 と、思えるような奇異な自然が広がっていた。

 大西洋側のイギリス領5島は、山岳地で降雨量も多いため、

 イギリスにハズレを押し付けられたと揶揄される。

 日本は、欲張り過ぎなかったことが問題にされつつも、

 二島の領土・領空・領海は安定し、スペインとの関係も正常化している。

 もっとも、二島の “水” の少なさは、開発のネックとなり。

 魔法使いのバイオ技術がなければ、生態系は、安定せず、

 外から栄養度の高い表土と水を運び込むことで緑が保たれた。

 無論、奇異な世界であるため観光客が押し寄せるのであり、

 外貨会得のためか、完全な緑化は、進められない。

 二つの島には、大西洋における日本・バルカン通商機構と機関があり、

 各企業の支店と漁業の中継基地があった。

 投資額は、イギリスより多く、

 今では、イギリス領側より発展していた。

 とはいえ、小さな島であり、

 そこから上がる生産量を逆算しても、CF105Jアロー戦闘機は飛ばせない。

 しかし、CF105Jアロー戦闘機が滑走路を離陸していく、

 これは、日英同盟の結果と言える。

 M機関関係者たち

 「・・・現れたというのは、本当かね」

 「人類全体に対する日本民族の人口比は、1パーセント未満だ」

 「それを僅か30年に満たない年月を調査しただけで喰命鬼の出現を確認した?」

 「ええ、最悪を目前にして、ようやく、手駒が出現したようです」

 「あり得ない確率だと思わないのかね」

 「それが本当なら世界中に喰命鬼は何人いる?」

 「魔法使い同士の子弟ですから」

 「万分の1以下同士。1億分の1以下の確率だからって、容認できる確率かね」

 「まず魔法の杖という増幅装置が必要ですし」

 「日本の場合、前提の万分の1以下同士が高確率ですので・・・」

 「そうか・・・」

 「人類の中から、喰命鬼の出現か・・・」

 「本人は、まだ気付いていないようです」

 「レベルは?」

 「生体素粒子は、およそ、102g弱かと・・・」

 「ちょっと強い魔法使いじゃないか。その程度で、喰命鬼になるのか?」

 「ハミハラは約144gほどですから、量だけなら最低限と言えるでしょう」

 「あと、質的な向上は見られます」

 「やはり、生体素粒子の質か・・・」

 「喰命鬼が加われば、生産量が増やせると喜んでいますよ」

 「使い魔に頼らず、自在に広域探知ができる強みは圧倒的だよ」

 「補うのは国民の寿命ですから、あまり無茶をされると法務省が・・・」

 「まぁ そうだがね」

 「しかし、永遠の生命か・・・」

 「日本だけでなく、地球全体の分母で考えられたら人類は、もう少し飛躍できそうですが・・・」

 「そうできなくて残念だな」

 「確かに人類全体にとって不利益でも日本だけの利権にとどめておきたいですね」

 「頭数を増やそうとすると、人口比で中国人とインド人が最強になるな」

 「求められる資質は、エゴが弱く、矛盾が小さいですからね」

 「中国人もインド人も、資質に難ありで、日本より見つけにくいです」

 「資質だとドイツのジーンリッチか・・・」

 「それに、やはり、先進国の方が信頼性が高く、見つけやすいそうです」

 「エゴばかりじゃ組織は作れないからな」

 「逆に言うとエゴの強い個人が多いと組織を作り難く、後進国になりやすい」

 「そういえば、中国から何人か、生体素粒子の大きい幼児を買ったそうです」

 「大丈夫かね?」

 「日本人として育ててますし。親に捨てられては愛国心もないでしょう」

 「だといいがね」

 

 

 アメリカ合衆国

 短い歴史と移民した年を差し引くなら、

 多様な民族を結束させ近代化を足したのは、個人の財産・権利の保障にほかならない。

 アメリカ国民は、個人の人権が最大限保障されており、

 自らの私利私欲のため、積極的に働くのである。

 アメリカ政府は、

 その自由資本主義と国土を守る機能でしかない。

 国家の大きな枠組みの中にいくつもの集団が存在し、

 その中に個人があるのでなく、

 個人を中心にいくつかの集団があり、

 その一つに国家機能が存在する発想である。

 前者が有力層支持者の多い国権主導の共和党なら、

 後者は弱者層救済の多い民権主導の民主党といえなくもない、

 アメリカ人の平均的な国家観は、

 欧州諸国だけでなく、日本民族ともズレがあり、

 欧州大戦不参戦は、アメリカにとって、

 正の遺産であると同時に負の遺産として考えられていた。

 アメリカは、人種がモザイクのように集まったアイデンティティ不足な移民国家であり、

 短い歴史的共感は、個人の世界観を薄めてしまう傾向があった。

 旧大陸で大規模な戦争が起これば、平和を求めて移民が増加する。

 一方が完全な敗者であれば、なおさら優良な人種が移民して、

 アメリカ合衆国の人的補充として国力に転嫁される。

 しかし、欧州戦争は、期待したほどでなく、

 悪いことに、平和の砦、アメリカ合衆国をモンロー主義の雲が覆う。

 発展性があるとするなら、

 資本主義の避難場所として極東権益地が残され、

 海軍力は、列強第一位だったことと言える。

 しかし、陸軍は列強で中程度に分類され、

 極東権益、パレスチナ権益がなければ最低に部類される。

 さらに戦訓もなく、心細い状況と言えた。

 もっとも、軍事費が少なければ、社会資本は増えて、

 民需経済は強くなり国力は増す。

 

 そして、共和党出身のニクソン大統領は、

 国民から突き上げを食らっていた。

 揺れるウォーターゲート事件、

 現職大統領がライバル候補を盗聴した事件は、自業自得であり、

 各界とも対応を求められていた。

 

 この時期、アメリカ系日系人は、有力者が多く、

 ユダヤ人並みの成功率を示し、

 アメリカ50州に広がった日系資本ネットワークを構築していた。

 もっとも、中規模な成功者に過ぎず中央における影響力は小さかった。

 ネブラスカ州((20万0346ku)、州都オマハ、

 アメリカの地図でいうと中央のちょっと上、

 ドイツ系が3分の1を占め、プロテスタントが3分の2を占めた。

 基本的に農業州であり、合衆国50州では、真ん中ほどの経済力と言えた。

 牛肉、豚肉、トウモロコシ、大豆が生産され、

 貨物輸送(鉄道及び貨物自動車)、

 製造業、電気通信、情報技術、保険も弱くなかった。

 某日系ホテル

 中小規模生産者連合であり。

 影響力は小さいものの、

 最悪、乗っ取りを避けられる程度、健全経営が多かった。

 乗っ取りかけられても、持ち堪えられそうな共同体と言える。

 烏合の衆たちは持ち回りで集会を開いていた。

 日系懇談会

 保守の強い、なぁなぁ日系一世と、

 アメリカナイズされ、善悪でハッキリさせたい日系二世の間で摩擦が生じる。

 「反ニクソンで一致すべきだ」

 「「「・・・・」」」

 「大統領が不正を働くなど許せない」

 「むしろ、不正な大統領の方がアメリカの気運が落ちていいかも・・・」

 「あ、あんたっていう人は〜〜」

 「わ、わかった、わかった」

 「我々は、アメリカ人だ。アメリカの国益を優先する」

 「日系アメリカ人としてアメリカ合衆国の主人になるならアメリカの国益を優先するしかない」

 「例え、反日でもだ」

 「わかっているって」

 「本当に?」

 「ああ」

 「アメリカの大企業は、乗っ取りで中小企業を潰しに掛かろうとしている」

 「つまり、中小企業を潰してしまえば、大企業は市場を拡大できる」

 「日系資本ネットワークは、標的にされているのを忘れて欲しくないな」

 「だから、わかってるって」

 「日本は何か秘密を隠しているんじゃないか?」

 「んん・・・隠しているように思えるがね。知ってる者はいるか?」

 「「「「・・・・」」」」   ┓“(・_・)”┏   し〜〜ん

 「本当に?」

 「ああ」

 そう、アメリカ合衆国でも有能で堅実、勤勉勤労な労働者は好まれ、

 極東権益地で働き、信用を得た後、引き抜かれた日系人は少なくない。

 どれほど合理的な経営を行おうと手足が信用できず、

 サービス精神不良では競争力で悪化する。

 日系社会は、アメリカで力を付けつつあった。

 そして、最後の踏み絵が求められる。

 それは、日本以上にアメリカの国益を優先する意思である。

 日本からすると、利敵行為なるものの、

 それが移民国家が求める国策と言える。

 それがアメリカ人になる事であり、

 日系人がアメリカの国政に進出するのなら他に選択肢がないのである。

 日系人がアメリカ合衆国の主流民族の一つになれば、対日友好関係は維持されやすく、

 その綱引きの結果によって、

 来るべき戦いで、アメリカ合衆国と敵対するか、味方とするか、決まるのである。

 そして、アメリカ合衆国国民の中で好まれる日系人は日米関係で強みであり、

 日系人がアメリカを日本の味方につけるなら、

 武器を使わずとも日本の国際的発言力は増すのである。

 

 

 日本人は特別な目で見られる。

 その中の一つで、拳銃の弾を逸らすがあり、

 被害にあった日系人、日本人も少なくない。

 そういう事件が起こると、当然、国際問題となってしまう。

 ケネディー大統領暗殺未遂と奇跡的なアジソン病回復以降、

 日本人銃撃は、FBIが強硬捜査が行われ、

 地元権益すらズタズタにしてしまうため、

 いまでは、余程、反日確信犯か、

 無分別でなければ日本人に手を出さなくなっていた。

 豪邸の庭

 老白人がガラガラ蛇に咬まれ、重体のまま病院に担ぎ込まれる。

 彼は、反日資産家であり、

 日系人、日本人を攻撃していた中心的な人間だった。

 日本は、二国間問題を戦争で解決しなくてもよくなっていた。

 その気になれば、気付かれることなく反日勢力を衰滅することもできた。

 もっとも、それを多用しないのは、臆病だからではなく、

 過激な手段は、反動で敵を増やすことになると知っているからであり、

 もう一つは、アメリカに潜んでいるかもしれない喰命鬼。

 あるいは、魔法使いを恐れてのことだった。

 ハンバーガーショップ

 店内の窓から日本人観光客たちが外の様子を見ていた。

 そして、日本人の留学生が二人、新たに合流する。

 「・・・巡回の魔法使いは?」

 「次の町に行ったよ」

 「老人は死ななかったみたいだな」

 「日系人や日本人観光客にも被害が出ていますから、こんなモノでしょう」

 「少しは考えを変えてくれれば良いがね」

 「逆に反日が強くなったら、どうするね」

 「その時は、蛇じゃなく、寿命を削って強硬な手段をとるそうです」

 「白人からみれば日本人は成り上がり者で、はねっかえりに見られやすいし」

 「狙われやすいかもしれないな」

 「しかし、WASPの反日は、ほどほどにして欲しいね」

 「こちらは、そこそこの足場があって、情報収集と収益が上がればいいだけ」

 「アメリカ支配なんて、考えていないのだから・・・」

 「地方全域に広がる日系資本は、地方の自立を足してますからね」

 「アメリカのメジャー資本は、面白くないのでしょう」

 「まぁ 同じ事を日本でやられると困るし、気持ちは分かるがね」

 「日本語を覚えたがる白人は少数派だよ」

 「バルカン・カフカスは多いよ。日本語習得者」

 「まぁ あれも困りものだがな」

 「近所に白人が住んでるのは悪くないよ。美人も多いし」

 「女ならね」

 「・・・帆科君。徐霊アルバイトはどうだい?」

 「イカサマエクソシストを助けてあげてますよ」

 「そんなに酷いのか?」

 「霊感が人より強いだけの神父で、徐霊なんて無理無理」

 帆科は、コインを弄ぶ。

 「強そうなお化けは、いたかね?」

 「少し古くて、物分かりがいいお化けは、生体素粒子を保つため」

 「自分から進んで入ってきますよ」

 「・・・彼女に変わった様子は?」

 「いえ、相変わらず陰に籠ってす」

 「自分の力に戸惑っているのだろう」

 「そんなところです」

 「じゃ今のところ、ネブラスカ州最大の生体素粒子保有者は、シャリー・ホワイトのままか」

 「約153gですからね。常人の7倍弱。魔法の杖があれば即戦力です」

 「たぶん、アメリカでも最大でしょう。最有望株ですよ」

 「魔法の杖を使わなくても大変なものだな」

 「喰命鬼じゃないだろうな」

 「魔法使いによると、それはなさそうです」

 「量が大きいと質への転換の可能性も高くなるんじゃないか?」

 「それは、まだ確認されてないよ」

 「シャリーは、誰か誑し込んで日本人にしちゃう方が良くないか」

 「「だれか、ね・・・」」

 「彼女を魔女と思い始めている人間も増えてきている」

 「日本人留学生を二人も入れたんだ」

 「何とか接近させられると思うけどな」

 「彼女の生体素粒子は、7倍弱」

 「本人が気付かず、魔法の杖がなくても、相当な力だ」

 「生体素粒子が2倍弱の準魔法使いと、お化け入りコインじゃ太刀打ちできないよ」

 「二人とも、一般的なレベルじゃいい男だよ・・・小男だけどね」

 「日本人の平均身長じゃ一回り小さくてもしょうがないね」

 「彼女は、いま?」

 もう一人の留学生、青奈ケイタがコインを見つめ、

 「・・・一人で帰宅中」

 「じゃ 偶然を装って・・・」

 「なんて声をかけるの?」

 「・・・やぁ 御機嫌よう・・・」

 「「・・・・」」 失笑

 「コインは、何枚?」

 「3枚づつで、Cレベル」

 「微妙だな」

 「彼女の監視ぐらいはしてくれるよ」

 「どちらにしろ、お化け退治してあげているんだから、うまみがないとね」

 「しかし、最近、日系人もアメリカナイズして、居心地がいま一つだな」

 「しょうがないよ。日系アメリカ人だ」

 「むしろ、そうあるべきだろうね・・・」

 !?

 『青奈ケイタ。日本に戻ってくれないか?』 召魂術

 「・・・俺に日本に戻れだと」

 「ん?」

 「どうやら、あっちに行く便が出るらしい」

 「「「・・・・」」」

 「帆科君。一人で大丈夫かね?」

 「向こうに行くより楽ですよ」

 「君が彼女を射とめてくれたら嬉しいがね」

 「強制ですか? もっと美人なら気分が出ますけど」

 「交配で生体素粒子を大きくできるのなら好ましいよ」

 「確率が高いだけでしょう」

 「数千倍も高い。隔世遺伝も含めればもっとだ」

 「努力はしますよ」

 

 

 日本武道館

 ライトが降り注ぐ会場で勝者がチャンピョンベルトを高々と上げると歓声が湧き上がる。

 “やりました! チャンピオン。五度目の防衛に成功しました!”

 眩しい照明と歓呼。

 人だかりの凱旋回廊・・・

 暗がりの通路に役人が背もたれしていた。

 !?

 「・・・決めたかね?」

 「予備の自分に回ってきたんですよね。行きますよ」

 「しかし、君は有名人だからな。どうしたものか」

 「殺しちゃってください」

 「帰還の可能性を自分から消すことになるぞ」

 「行方不明じゃ面倒でしょ」

 「そうだがね・・・何がいい? 希望はあるかね?」

 「んん・・・交通事故・・・かな」

 「わかった。手配しよう」

 

 

 ベトナム帝国は、フランスから独立し、

 バオダイ帝のもと、日本と同じような立憲君主制となっていた。

 南の小さな坤城は、日本の領土とされたものの、

 それ以外は、国土を保ち、

 北の昆明、西のラオス、カンボジアと良好な関係を築いていた。

 日本が国外で、魔法使い候補を探しているとしたら、

 その一つはベトナムであり、魔法使いが巡回していた。

 ベトナムの、どこかの浜辺

 「白い天の川か・・・」

 男が空を見上げ、右手を放すと味気のない食料が

 ぼとっ!

 と地面に落ちる。

 生体素粒子のもっとも多い部位は脳と心臓・・・

 それ以外にも広がっているが効率の悪さは、泣きたくなった。

 炎狐 (えんこ)は、自らの選択に後悔していた。

 餌場になると信じ、扉の向こう側から紛れ込んで来たものの、

 このままでは、長い時を経て飢え死に確実に思われた。

 彼は、食べることで生体素粒子を同化するタイプの魔物であり、

 ガイアで最も多いタイプといえた。

 無論、人族を生体ゴーレム化させ、

 粗食しつつ、軍隊のように使うこともできる。

 しかし、使い魔の数は限りがあり、

 可能ならもっと質の高い魔物にしたい。

 「この星の生物は、労苦の割に得られる食料が小さすぎるな」

 オクタン価140の燃料で設定されている戦闘機に、

 オクタン価1の燃料で飛べと言われているようなものだった。

 生体ゴーレム化するならせめて20倍の生体素粒子が欲しい。

 ガイアの多くの魔物が感じていることを炎狐 (えんこ)も感じていた。

 そう、人族、鬼族、エルフ族、ドワーフは、労の割に魅力のない食料であり、

 炎狐のような摂取方法の魔物は、人族のような低生体素粒子を相手にしない。

 結界内の弱い生体素粒子を自動的に集めるような魔物か、

 何か条件付けで簡単に奪えるか、

 自律生体ゴーレムが死ねと、

 契約によって自動的に生体素粒子を吸収する伝説の魔物でなければ、ここにいない。

 !?

 不意に周囲を囲まれる。

 軽い笑みと失望。

 オクタン価3〜6に囲まれても喜べない炎狐がいた。

 『我々と戦うか、ガイア帰還に協力するか、選択しろ』

 小賢しい人族系魔法使いの魂喚術が響く、

 戦えば勝てそうなものの、得るモノより失うモノの方が多く、

 費用対効果の悪さは泣きたくなるほどだった。

 『・・・・』

 『次元の扉が不安定になろうとしている』

 『壁が消失する前に向こう側に行くべきではないのか?』

 『・・・・』

 

 

 東シナ海

 炎狐は、潜水艦の一室に閉じ込められていた。

 人族は、共闘召喚術の代償で最新の魔法衣と魔法剣を渡すという。

 ・・・なるほど、閉じようとしている扉へ最後の交易をするつもりらしい。

 扉の向こう側にも協力者がいて、

 二つの世界の同量の質量を引っ張り合うことで、召喚術を成功させるらしい。

 近付いている低気圧を利用すれば、さらに召喚術は容易になりそうだった。

 小賢しい人族と昔から思っていたが、

 これなら少ない寿命の消失で扉の向こう側に行けるだろう。

 仮に自分の寿命の半分を喪失させても帰還できれば、ガイアは効率の良い魔物がいる。

 単純な足し算と引き算で炎狐と人族との契約は成立する。

 こういう契約は珍しくない。人族、鬼族と組んで他の魔族を襲ったこともあった。

 男女総勢500人の乗る潜水艦2隻は、増幅タンクを取り付けられ、

 さらに連結させられている。

 どちらも立錐の余地もないほどで人口密度は、限界に近い。

 向こう側に船が待っているというが、

 それがなければ、長居したくない状態だ。

 

 その日、

 座標を占めていたアメリカとドイツの原子力潜水艦は・・・

 「「ど、どうした。なぜ、座標を離れている」」

 「「わ、わかりません、横からの海流に押しやられています」」

 「「ば、馬鹿な、そんなはずが・・・」」

 と、なぜか、座標から逸脱させられ、

 

 日本の潜水艦らしきモノ2隻が押し割って消え失せ、

 代わりに別の連装潜水艦 “大和” が現れる。

 大和は、旧式の通常潜水艦であるにもかかわらず、

 一度として浮上することもなく、南沙群礁の基地へと入り込んでしまう。

 大和は、飛行石と魔法の杖を満載しており、

 解体され、精製されるはずだった。

 大和には、伊161号で生き残った乗員7人ほどが乗っていて感涙していた。

 とはいえ、ガイアは、最高機密であり、

 帰還者は、新たに作られた戸籍で生きて行かなければならなかった。

 南沙群礁

 M機関の造船所

 関係者たち

 「最後の飛行石と魔法の杖か・・・」

 「大型宇宙戦艦は夢と消えますかね」

 「んん・・・まったくやれないわけでもないが、そうなると民需が寂しくなる」

 「その辺の割り振りは深刻ですかね」

 「法務省次第だがね」

 「扉が駄目になったら、宇宙開発しかないと思うのですがね」

 「もう、召喚術どころか、召魄も、召魂でさえ、ままらないからな」

 「随分、突然な気がするな」

 「扉が閉じた後、いつ消えるか、でしたから、良く持った方だと思います」

 「まだ消えていないのだろう」

 「ええ、ですが、もう、召魂が限界でしょう」

 「そうか、最後に人材を遅れて良かったよ」

 「1000人の入植ですか、次にガイアと繋がった時、どうなっているか気になります」

 「マヤ紀元を信ずるなら次の扉が開かれるのは、2012年12月22日だな」

 「それがガイアと決まっていないのでは?」

 「んん・・・ガイアでマヤ族に近い人族を確認しているが関連が弱いな」

 「しかし、未だにマヤ紀元の土台となる数値に見当がつかないのは何故だね」

 「144000人は、むしろ、そっちの方かもしれないな」

 「聖書ですか」

 「魔法使いの総数と思ったが、送れた人数から、そうでもなさそうだ」

 「むしろ、人族の生体素粒子の吸収に飽きた神が動き出すのかと」

 「なるほど、いろんな発想が浮かぶものだ」

 「マヤ族が我々が知らない事実を知っていたということに尽きるね」

 「じゃ 別の次元の扉・・・」

 「可能性は、否定できないよ」

 「飛騨トモエ君は?」

 「大半の寿命を使い切ったらしく、いま、命を吸収している最中だよ」

 「殴られて寿命を吸収。殴って支配するって、変わってるな」

 「同種族だと、そういう吸収の仕方もあるのでは?」

 「なんか、羨ましくないですね」

 「しかし、急遽 香港に闘技場を作って格闘技の主催は、不自然じゃないか」

 「かなり不自然ですよ」

 「賞金を大目にしてますから、かなり来てますよ。大陸から」

 「知らぬが仏か・・・」

 「賞金で良い思いできるなら、それは、それでいいのでは?」

 「まぁ そうだがね」

 

 

 日本 首相官邸

 「生き残った7人の補償は?」

 「はい、7人とも同意してもらいました」

 「それは、良かったよ」

 「第一陣は、知らされず、送ってしまったのだろう」

 「当時は、扉そのものが未確認で不確定でしたから」

 「可能性はあったのだから結果的に理不尽だろう」

 「確かに・・・」

 「しかし、ようやく、喰命鬼が見つかったと思ったら、扉が閉まるとはね」

 「飛騨トモエとエルフ族のハミハラ」

 「そして、魔族の炎狐の協力がなかったらと思うと、ぞっとします」

 「際どかったな」

 「魔法使いを何人か殺してでも扉の向こう側に送っていたかもしれません」

 「はぁ〜 幸運だったな」

 「少なくとも飛行石と魔法の杖の追加は、もうないわけだな」

 「はい、大和に満載した分が最後です」

 「なんに使うかは別にして、管理は十分に注意してくれ」

 「はい」

 「陛下と、わたしの親書はガイアに?」

 「はい、送りました」

 「そうか・・・」

 「次に会う時は、どうなっているだろうか」

 「人事は尽くして種を撒きましたが、天命は、わかりません」

 「そうだな」

 「予算は限られているがガイアとの次元を開く、努力は怠らないでくれ」

 「了解しています」

 

 

 三陸海軍工廠

 旧型潜水艦をお色直しで、瑞龍、瑞翔に化けさせていた。

 赤レンガの住人たち

 「最新鋭の潜水艦2隻を出したんだから、代替の潜水艦2隻を建造して欲しいよな」

 「ていうか、準魔法使い1000人を失うのが痛い」

 「とんでもない予算を掛けて訓練したというのに持って行きやがって」

 「瑞龍と翔龍を含めて、戦力3分の1減という感じだな」

 「だよなぁ 訓練期間と訓練費は、どうしてくれるんだよ」

 「そうそう、訓練費は、軍の予算持ちなのに」

 「飛行石と魔法の杖で補填してもらわないと納得できん」

 「ガイア・・・掛け捨てじゃないことを祈るばかりだな・・・」

 「ああ・・」

 「ていうか、扉が閉じた今、日本軍は怖いもの知らずって感じだろう」

 「寿命さえ惜しまなければ、核弾頭だって自爆させられそうだし・・・」

 「この事が知られたら、米英独ソの核抑止戦略は、崩壊するだろうな」

 「手持ちの純正魔法使いで足りることだけどね」

 「魔法使いは、法務省管轄。どうせ製造要員だろう」

 「ちっ」

 

 

ソビエト
黒海 大カフカス山脈 カスピ海
カフカス連邦 (190500ku)
グルジア アルメニア アゼルバイジャン
小カフカス山脈
トルコ イラン

 カフカス連邦が近代国家として国際舞台に現れたのは、日本人の入植が安定し、

 基幹産業が形成されてからだった。

 驚くべきは、日本人、グルジア人、アルメニア、アゼルバイジャン、

 4つの民族間で抗争が目立たず、治安が安定していることであり、

 日本人の統治能力、調整能力の高さであると各国を誤解させる。

 歴史的な経緯と摩擦がなく、

 日本人の無機質で杓子定規が

 ロシア人の恐怖やトルコ人の弾圧より公平に見られただけであり、

 都市の自治を強くし、民族的な格差で軋轢を減少させ、

 摩訶不思議な手段で内紛の芽を摘んでいたからと言える。

 なにはともわれ、日本語熱が進むにつれ、

 数学、理科、社会など共有できる知識が向上し、

 バクー油田を利用した工業は、多種多様化し、拡大していく。

 カフカス連邦は、バクー利権が国外に分割されていても小国であり、

 面積と人口に対する社会基盤投資は比重が高かった。

 また列強各国も、対ソ陣営でカフカス連邦を利用しようと貿易量が拡大、

 カフカス連邦の国力は、増していた。

 そして、バルカン連邦の日本人にとって、

 カフカス連邦は、頼りになる友邦であり保険であり、

 カフカスにとってのバルカンの日本人社会も、最悪の場合の避難所だった。

 もっとも、その事に気付いていたのは日本人より、切実な他の民族であり、

 彼らは成功すると、バルカン連邦ならカフカス連邦へ、

 カフカス連邦ならバルカン連邦にリスクを分散する。

 バルカン連邦とカフカス連邦の黒海を挟んだ交易は増大し、

 相乗効果で日本語は、強くなっていく。

 カスピ海のバクー発の新幹線が黒海バトゥミーに向かっていた。

 800kmほどの距離で、停車時間を含めても4時間かからない。

 鉄道路線は総延長6000kmほどで、

 狭い国土ながら面積と路線比で鉄道王国と言えた。

 そして、それら公共投資は日本の借款で作られており、

 バクー油田と産業から上がる収益と国債によって日本に返還されていく。

 日本がある意味健全だったのは、

 利益誘導でも高度な技術移転によって収益を得た事であり、

 高くて裾野の広い産業は日本のモノとして維持できたことにある。

 カフカス連邦とバルカン連邦は、近代化し、

 カフカス連邦の国力は、イタリアに勝り、

 バルカン連邦の国力は、イギリスに勝っていた。

 カフカスは、日本領朝鮮だったかもしれない世界であり、

 統一性は弱いものの都市ごとの主権は強く、

 アメリカ極東権益地より、自由で生活は豊かだったのである。

 バルカン連邦は、日本の属国、満州帝国だったかもしれない世界と言えた。

 

 グルジア、アゼルバイジャン産の紅茶がソビエトに輸出されようとしていた。

 ソビエトで飲まれるロシアンティの葉は、グルジアとアゼルバイジャンで生産されていた。

 生産地

 19世紀の銀製サモワール(湯沸かし器)で作られた紅茶がカップに注がれ、

 男たちがスプーンでジャムを頬張り、濃いめの紅茶を口に含む。

 日本だとジャムを紅茶の中に入れることも少なくないが本場は分けていた。

 「・・・悪くないな」

 「カフカス連邦になってからの品質向上は、ロシア人に喜ばれているらしい」

 「カフカスの紅茶葉がソビエトのカフカス連邦侵攻を思い止めさせている」

 「知っている人間は少ないだろうな」

 「ソビエト国内じゃ 紅茶は育てにくいし」

 「ロシア人じゃ この紅茶の味は作れないだろうね」  

 

 

 ミュンヘン

 日本人観光客が歩いていた。

 日英同盟、独伊同盟、アメリカ、ソビエトの4強が鍔迫り合う世界でも交易は行われ、

 国境を越えた取引は、行われていた。

 そして、ミュンヘン・オリンピックを目前にして、

 各国とも諜報員を潜入させていた。

 「ドイツ帝国の軍事的な拡大は、先送りで、宇宙開発優先か」

 「宇宙を制する者が世界を制するだよ」

 「やれやれ、そこまで採算抜きで執着できるかね」

 「月を押さえれば大きいだろう」

 「月ねぇ 何年かかるやら」

 「それを可能にするだけの科学力はあるよ」

 「追随しているのは、アメリカとソビエトだけか、日英同盟はなにやってんだか」

 「植民地防衛じゃないの?」

 「ちっ 目先のことばかりだ」

 「植民地があるからさ。日本もそれで助かってるし」

 「だけど、賃金上昇で、国際競争力を落としてるそうじゃないか」

 「まぁ 利権が膠着化すると、経済は難しくなるからな」

 「日本上層部は、驚くほど収入が少ないから救いといえば救いだけどね」

 「共産主義のソビエトほどじゃないが。全体主義のドイツ帝国より格差が小さい」

 「自由資本主義系の国が、それをやっているのだから脅威だね」

 「なんか、日本の財界は、法務省を怖がってる節があるけどね」

 「そんなに怖いとこなのか?」

 「さぁ 法務省詣では、大蔵省詣でと並んで多いみたいだけど」

 「そういえば、日本の犯罪検挙率世界一だったっけ」

 「ある意味、史上最悪の国だな」

 「まぁ 清濁あっての人間だからね」

 

 

 チリ サンチアゴ 

 日本資本が開発した銅山がチリに収益をもたらし、

 進出した日本企業がアジェンデ大統領の命脈を保たせていた。

 日米の鉱物資源抗争は、激しいものの、

 共産圏下のチリにおいて、日本の権益は広がっていた。

 酒場

 「ニクソンが妥協してくれるらしいよ」

 「へぇ〜 何か取引でもしたのかな」

 「さぁ 戦争開始直前から、日本の政官財の動きは、どうも不自然過ぎるよ」

 「だよな。土着のくせに、変に国際社会に出て強気だし」

 「何か上げ底をはいてるような感じだよな」

 「とりあえず。日本の利権が保たれるのならヨシとすべきだよ」

 「銅山も、水産もいいからね」

 

 

 パレスチナ

 アメリカ合衆国の中東における橋頭堡。

 アメリカ軍が駐留するイスラエルに侵攻し得る国は存在しない、

 誰もがそう思い、そう信じていた。

 日英同盟がそうであり、独伊同盟がそうであり、

 ソビエト連邦でさえ、そう信じていた。

 その時の状況を現わすなら “突如” であり、

 砲弾の雨がパレスチナに叩き込まれ、

 ミグとスホーイがアメリカ軍とイスラエル軍の基地を爆撃し、

 ヨルダン・イラク連合軍がヨルダン川を突破する。

 こういうとき、重要なのは、戦訓であり、

 アメリカ軍は、初めて降り注がれる砲弾の雨の中で混乱し、

 指揮系統が失われ、

 押し寄せるT34戦車の大群と、ヨルダン・イラク軍の歩兵部隊の侵攻で、

 戦線が突き崩されていく、

 まともに反撃できたのは、危機感を募らせていたイスラエル軍であり、

 ヨルダン・イラク軍を押し止めたのもイスラエル軍の功績であり、

 洋上のアメリカ機動部隊の反撃によるものと言える。

 

 

 スエズ運河

 日本、イギリス、自由フランスの管理する運河は、緊張状態にあった。

 「エジプト軍は?」

 「いまのところ、動いてない」

 「参ったなぁ 聞いてねぇよ」

 「魔法使いたちの広域探知は、主要国の中枢だけだし」

 「例の召喚で、しばらく、魔法を使いたくないとさ」

 「何が魔法だ」

 「もう、科学的に立証されてるじゃないか」

 「第4位相以上は、魔法使いじゃなければ観測できないよ」

 「観測できなければ存在しないも同じか・・・」

 「そういうこと」

 「しかし、まずい」

 「ドイツは知らなかったのか?」

 「ドイツの宇宙ステーションの意識は、宇宙向きで、地上じゃないよ」

 「まぁ 電子関連技術だと、日本とアメリカだからな」

 「というより、知って見ぬ振りじゃないのか」

 「んん・・・そういえば、作為的な様な・・・・」

 「アメリカの軍拡か?」

 「スエズ運河は、ピンチだな・・・」

 イギリス軍と自由フランス軍が慌ただしく、動いていた。

 「エジプトの様子は?」

 「緊急で広域探査を掛けてもらってる」

 「法務省は、いいって?」

 「年内は、3時間分くらいの余剰時間は、認められているよ」

 「まだ、年内は長い。なるべく使いたくないな」

 「あとで法務省と交渉するしかないだろう」

 「あいつら、渋ちんだからな」

 「まぁ 寿命だしね」

 

 

 東シナ海 海底ガス油田基地 “あしはら”

 中東戦争は、オイルショックを起こしたものの、

 日本は、東シナ海のガス油田のお陰で、燃料の価格が上がるだけで済んだ。

 海中に基地を建設すると水圧によって、基地の耐久年数が縮む。

 日本の海底基地が優れているというべきか、

 他にも大陸棚で利益を得ようとしているのか、

 水深200m付近で、海底ドームと海底ドームが回廊で結ばれ、

 大陸棚に広がっていた。

 作り方といえば、所定の海域で空気を抜いて沈め、

 海底に設置後、空気を送り込んで空間を作り、

 物資を送り込む方法が採用されていた。

 海底資源のほか、海底牧場の可能性も高く、

 呉国と焦点になっていた。

 そして、潜水艦に水と食料を補給し休息できるドックがあるため、

 日本潜水艦も時折、立ち寄る。

 “あしはら” 海中ドック

 潜水艦 雷龍 甲板

 「やっと背伸びができる」

 「随分、外が明るいな」

 小窓から照らし出された海底が見えていた。

 「植物性プランクトンを増やす計画のようです」

 「大陸棚開発か」

 「呉と一悶着あるかもしれませんね」

 「呉は、まだ海軍は大きくなってないし、地上の国境の方が気になってるだろう」

 「しかし問題だな。扉の消失を確認した」

 「地球とガイアの連絡が断たれましたね」

 「じゃ ガイアの日本人1500人は?」

 「自分たちの世代が会うことはないだろうな」

 「困りましたね」

 「なぁに、これでようやく、日本政府の目は、ガイアから地球に向けられるよ」

 「ガイアへの扉を探せってなりませんか?」

 「どうかな。不規則にガイアと繋がることがあるらしいが短命だ」

 「アメリカが何やら動いているらしいですよ」

 「んん・・・あいつら、金持ちだからな」

 「大型加速器は、気になるところです。物質の根幹への追及ですからね」

 「ガイアの事を思えば、知識の差が国力に与える影響は大きい」

 「侮れないな」

 

 

 

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・異境ガイア・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 天空を紅い天の川の横切る海上、

 連結された2隻の潜水艦が浮上する。

瑞龍、翔龍
  排水量 斥力物質 全長×全幅×吃水 推進 武装 乗員
水上 3500 750 120×10×10 2G 533mm×6菅 36本 定数×5
水中 6500 斥力ラムジェット レーザー

 瑞龍 艦橋

 「どうだね。扉は?」

 「不安定です。もう、いつ消えてもおかしくないですね」

 「そうか・・・」

 「無事に着いたと地球側に伝えてくれ」

 「はっ」

 地球=ガイア最後の召喚といえた。

 新たな入植者たちは、人鬼村が準備した飛行帆船3隻に便乗し、

 人鬼村へと移動していく、

 「炎狐を出してくれ」

 「はっ」

 艦長は、引き出された炎狐に魔法衣と魔法剣を渡す、

 炎狐にとっては、鋼より強靭な防御服であり、

 同等の魔物を圧倒できそうな武器に違いなく。

 まぁ 珍しく使えるアイテムと言える。

 緊迫した空気が流れ、

 『炎狐。できれば君とは戦いたくないな』

 『人族は、手強い割に旨みがなく失望させられるからな』

 『遠慮するよ。俺はグルメなんだ』

 ムカつく事だが、ガイアでエルフ族、人族、鬼族、ドワーフ族が生き残っている理由だった。

 『そうか、あの小型飛行帆船を渡す』

 『水と食料が入っているから、好きな所に行くと良い』

 『わかった』

 炎狐は、人族型から炎狐本来の姿に変わりながら宙を浮かび、

 無人だった飛行帆船へと乗り込む。

 「艦長。良かったんですか、最新の魔法衣と魔法剣ですよ」

 「我々は、彼らに対し、傲慢になれるほど無知ではないし」

 「わざわざ敵を作る事もない、約束は守るよ」

 「それに、次に共闘する機会もあるかもしれないだろう」

 「だといいのですがね」

 「しかし、まるで魔界だな」

 紅い天の川が瞬いていた。

 よくよく調べると、ガイア恒星系は、薄い赤色星雲に囲まれているらしい。

 「・・・艦長。人員の移動を完了。連結具を解きました」

 「そうか、全艦浮上する。人鬼村に向かうぞ」

 瑞龍と翔龍は、飛行帆船6隻に囲まれ、飛行していく。

 新たに入植した1000人は、後天的な魔法使いであり、

 生体素粒子は、2倍から3倍程度、

 魔法衣と魔法剣で底上げすることで、ようやく、最低レベルの魔法使いといえた。

 次元の扉が消失していきそうな時期であり、

 彼らが地球に帰還できる可能性は著しく低かった。

 

 

 全長15mほどの飛行帆船。

 炎狐は、人鬼村の艦隊を見送りつつ、

 どうしたものかと、風任せ。

 この世界に出現した飛行戦艦2隻は、荒削りだったものの、

 これまで見た事もないような強靭な素材と構造で作られていた。

 生体素粒子を核とする生命体は、個体進化を求めやすく、

 物理的なモノに依存せずとも生きていける。

 とはいえ、魔物は、あれほどの機能を持つ兵器を建造できない。

 仮に建造しても、

 数十人もの人間が命令一下、歯車のように機能しなければ運用できない。

 魔物にとっては、不自由過ぎる上に、そこまでの組織化は難しい。

 通常の飛行帆船なら質量の10分の1を超えるほどでいい、

 しかし、あの戦艦は、質量の5分の1以上も飛行石を使っており、

 しかも、ナノ単位で精製されている。

 炎狐の視点で言うと、恐るべきといえるほどでもない。

 炎狐が指を一つ立てると、周囲の大気を凝縮させ、光玉を作る。

 容易に作れるのは、魔法衣のおかげだろう。

 地球人はオーラー・ローブとか、サイコスーツとか読んでいた。

 魔法使いに邪魔されなければ、あの戦艦に穴を開けることなど造作もない。

 「まぁ 無駄な戦いをするつもりはないがね」

 魔法剣を持つとほとんど魔力を消費していないにもかかわらず、

 200mほど光線が伸びる。

 「・・・なんか・・・」

 「同じレベルの魔物相手だと、すぐ壊れそうだな」 ぼそ

 「まぁ どこかの大陸に付いたら狩りを始めるか」

 炎狐は眠る。

 

 

 人鬼村

 新規に入植した1000人に部屋が割り当てられていく、

 移住者のほとんどは、手に職を持つ者であり、配属が決まっていく。

 天文所

恒星 内惑星   外ガス惑星
第1惑星 第2惑星 第3惑星 第4惑星 第5惑星 第6惑星 第7惑星
  墨星 雲星 ガイア(瑞星) 雪星 橙星 灰星 蒼星

 「しかし、紅い天の川とはな・・・」

 「こっちにきて、一番、驚くのはそれだよ」

 「第二惑星雲星は、鉄があるだろうか」

 「第3惑星以上の鉄資源があるかと」

 「宇宙移民は?」

 「第二惑星雲星は、ガイアの0.9倍で地球とほぼ同じ」

 「大気は、4万メートルほどの二酸化炭素で雲に覆われています」

 「火山活動が強いのか、一酸化炭素と硫黄の比重が大きいようです」

 「一酸化炭素は、まずいな」

 「いずれは、二酸化炭素と水素に分かれると思います」

 「ですが火山活動が収縮しない限り難しいかと」

 「酸素が少ない・・・」

 「はい。地球で言うと植物が生まれる前でしょう」

 「第4惑星の雪星は、ガイアの0.8倍で金星ほどです」

 「大気成分は窒素60、酸素15、二酸化炭素10、水素5ほどで」

 「平均温度-15度、氷の惑星です」

 「んん・・・地球は平均9度。火山が起これば、解けるのでは?」

 「火山活動が起きてる地域は、生命らしい動きが見られるようです」

 「興味深いな」

 「重金属は期待できそうにないですが」

 「地球の学者は、こちらの世界だと、斥力物質を見つけやすいといってる」

 「宇宙の性質として? それともガイア恒星系の?」

 「さぁ そこまでは、まだ」

 「しかし、質量が近付けば離れるという厄介な物質だ」

 「ほかの種類の斥力物質が採掘できるなら大きな発見になるでしょう」

 「ああ、瑞龍と翔龍は、宇宙航行も込みで設計されている」

 「行こうと思えば、宇宙にも行けるが」

 「しかし、宇宙開発には、まだ、社会基盤が足りなかろう」

 「社会基盤を作るために、行きたいがね・・・」

 「まだ、宇宙開発を支えられるほどではないか」

 「平行次元の別宇宙なのか、地球の存在する同宇宙なのか、確認する必要がある」

 「静止軌道に衛星くらい置くべきだろう」

 「そうしてもらえるのなら助かるよ」

 「天文学は、後回しにされていたからね」

 「しかし、宇宙は、広過ぎる」

 「仮に地球と同じ宇宙だった場合でも、近くの銀河でなければ保障しかねるがね」

 「少なくとも、地球から送られてきた天体図の中に、ガイアは、なさそうです」

 「まぁ 最初から期待してないよ。ここは平行次元宇宙の向こう側だ」

 「ええ・・」

 「しかし、本当に鉄がないのか・・・」

 「日本の方が鉄が多いかもしれませんね」

 「やれやれ」

 「艦を解体して鍋、鎌に変えたいほどだ」

 「おいおい、勘弁してくれよ」

 「人口が増えれば、そのうち、気持ちも、わかる」

 「それだけ、新規入植の1000人は大きいよ」

 「「「「・・・・・」」」」

 「鉄の代わりに銅、アルミが多い。チタンもあるが希少金属だ」

 近代国家形成の要因で人口の占める比重は決して少なくない。

 人鬼村の人口は5000人にも及ぶものの、

 それだけでは、小さな町と同じだった。

 「就労人口ばかり、30歳未満で助かるといえば助かるがね」

 「30年後には揃って老人クラブだ」

 「あははは・・・」

 「やはり、未開地の開発は困難か」

 「んん・・・カルザン茨が徐々に外辺部へと侵食しているので」

 「上手く繁殖させられるなら、防衛は問題ないはず」

 「やはり、強い魔物に人鬼村が全滅させられる可能性もあるのか」

 「その労力に見合うメリットが強い魔物にあればです」

 「あるのかね。メリット」

 「通常、魔物は、小集団が多く、テリトリーを守る以上の行動は、珍しいですよ」

 「それは救いだな」

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 月夜裏 野々香です。

 とりあえず地球とガイアを断ち切っちゃいました。

 遣唐使船の停止が天平文化を衰退させ、国風文化が始まるからです。

 遣ガイア使船の停止が、それまで吸収したガイア文化を日本で熟成させ、

 新日本・ガイア文化として大成させ・・・られるか・・・

 

 生体素粒子 (魂) の重さは21g。

 さて、21gの重さは500円硬貨3枚分。

 あるいは、1円玉21枚の重さです。

 因みに魔法使いの生体素粒子 (魂) は、3倍以上からなので希少種。

 魔物は容姿を問わず、10倍以上でしょうか、

 人類は、己を何かの傀儡と感じつつも、

 科学技術でやっとこ底上げという感じです。

 人族は、真の意味で “なにか” の傀儡からの解脱ができるでしょうか、

 そうそう、シャリー・ホワイトのモデルは、

 

 

 キャリーでした。

 

 1973年

 01/01  バビル2世

 01/02  けろっこデメタン

 01/07  山ねずみロッキーチャック

 03/02  ジャングル黒べえ

 04/01  ドラえもん (1973年のテレビアニメ)

 04/02  ワンサくん

 04/04  荒野の少年イサム

 04/07  ミクロイドS

 10/01  ゼロテスター、ミラクル少女リミットちゃん

 10/02  新造人間キャシャーン

 10/03  空手バカ一代

 10/04  ドロロンえん魔くん

 10/05  エースをねらえ!

 10/06  冒険コロボックル

 10/07  侍ジャイアンツ

 10/13  キューティーハニー

 日本沈没

 ゴジラ対メガロ

 

  0次元 1次元 2次元
    点の連続 線の連続
  平面
       
 
  3次元 4次元 5次元
  平面の連続 空間の連続 並列空間の連続
  立体・空間 時空連続体 平行次元連続体(ガイア)
第01位相 個体 宇宙 ハビラ土地 クシュ土地 アシュル土地 宇宙(地球?)
第02位相 液体 時間 ピション川 ギホン川 ヒデケル川 ユーフラテス川
第03位相 気体 平行次元宇宙
第04位相 プラズマ 波動
第05位相 霊界・零体 重力  
第06位相 生体素粒子    
第07位相 斥力物質 (縞メノウ?)    
第08位相 魔法の杖 (ブドラフ木?)    
第09位相 (金?)    
第10位相      
第11位相      
第12位相      
       
  6次元 7次元 8次元
  立体次元連続空間 6次元の連続空間 7次元の連続空間
  多次元宇宙    
       
       

 

 

 広義的には、

  ※ ハビラ土地 ピション川 (アラビア半島 ?)

  ※ クシュ土地 ギホン川  (エジプト ?)

  ※ アシュル土地 ヒデケル川  (アッシリア ?)

  ※ ユーフラテス川         (イラク ?)

 実のところ、エデンの園がどこなのか、わかってません。

 

 

 

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第32話 1972年 『統制と淘汰と群れ』
第33話 1973年 『消える扉と最後の・・・』
第34話 1974年 『国風魔業文化』