月夜裏 野々香 小説の部屋

    

ファンタジー系火葬戦記

 

『魔業の黎明』

 

第36話 1976年 『電子と幽子』

 ソビエト連邦

 神はいない、悪魔もいない唯物思想の世界は厚い雲に覆われ、

 薄暗く灰色に包まれていた。

 今年の冬の餓死と凍死は、どのくらいになるだろう。

 死後の世界がないため、誰もが刹那的で快楽を求めた。

 悪く言えば見つからなければなにをしてもいい・・・

 貧しく、犯罪も増えているが自殺者も少なくない、

 というより自殺比率で世界一という統計が出ていた。

 犯罪を犯さない程度善良ならウォッカを飲み、永眠するのが理想だろう。

 そう、共同で生産したモノを平等に分配する公平な社会は困窮していた。

 人は他者より豊かになろうとして勤勉・勤労の努力をするのであり、

 共産党が如何に労働者に干渉しようと、

 懸命に働いても実入りが小さく、

 勤労者と怠け者が同等の配給だと労働意欲が減退する。

 コルホーズ(集団農場)、ソフホーズ(国営農場)の生産性は低迷し、

 過度な農場拡大と過剰農薬は、自然を破壊し、生産力の根底を破壊した。

 そして、生産力の多くが軍事力に削がれ、

 私有私財を認められた軒下農地の生産がソビエト連邦の食糧事情を支える、

 もう一つ、広大な公共地から産する産物もロシア人の糧だった。

 いつの頃からロシアは、こういう世界になったのだろう。

 モスクワ郊外

 ロシア人は原生林に分け入り、山菜を手に入れ、時に狩りをした。

 はぁ! はぁ! はぁ! はぁ! はぁ!

 銃弾が脇を抜け、

 「くっそっ! どこの暗殺者だ」

 何かが腕を掠め痛みで弾の入っていない猟銃を落とした。

 ちっ!

 薮の中に飛び込む、

 「“・・・・”」

 シベリア猫の目が二つ、目の前で見据えていた。

 “お前は誰だ”

 頭の中に声が聞こえる。

 「・・・・・」

 “追われてるのか”

 周りには誰もおらず、

 気だるそうに伏せたシベリア猫しかいなかった。

 「あ・・・ああ・・・そうだ・・・」

 “名前は?”

 「ミ、ミハエル・・・」

 “盟約を結ぶなら助けてやろう”

 「・・・む、結ぶ」

 “どんな盟約を結ぶか、聞かずに結ぶというのか?”

 「このままだと死ぬ。選択の余地はない」

 “そうか・・・”

 シベリア猫は、おもむろに暗殺者の方に首を回す。

 “この地は、レーシィの縄張りだ”

 “去らねば生きたまま喰うてやる。家族も無事に済むと思うな”

 音を発しない鮮明な意志が直接、頭に響く、

 そして、薮に近付いていた暗殺者は、臆したのか引き下がっていく、

 そうレーシィは、ロシアの伝承に伝わる森の精だった。

 三日前、何を食べたか忘れても、

 死と生を分けた二つの出会いは、記憶の断片を繋ぎ合せ、淵から溢れださせる。

 神も悪魔も否定された社会で、伝承に残された森の精と出会う、

 滑稽なことに延命された運命は、この先も切り開かれているように思えた。

 クレムリン

 少数の特権階級である共産党と大多数の農民と労働者。

 表向き権力が世襲でなくなっただけであり、

 実質、共産貴族が世襲される構造は、ロシア帝国時代と変わらない、

 選挙で選ばれた者が権力座に付くと怠惰になり、愚かになっていく、

 識字率は高くなったものの、競争のない社会は低迷する、

 共産主義の低迷は、人が利己的で、利他的な存在に成り切れない事を証明をしていた。

 そして、人は、他者を出し抜く手段があるなら不正な事柄でも行使する。

 ソビエト連邦は、ヨシフ・スターリン死後、権力集中から権力分散へと移行していた。

 ニキータ・フルシチョフ時代、

 農政、キューバ危機などの失策で権力集中ができなくなり失墜。

 レオニード・ブレジネフの時代、権力分散に伴い、

 権謀術数、権力闘争、派閥力学は複雑になっていく、

 紆余曲折の激変を生き抜けた共産党党員で極少数の者が出世する。

 ミハエルが生き残り、出世できたのは、幸運以上の助けがあったからといえた。

 クレムリンの共産党高級官僚室にミハエルが入室する。

 「レーシィ。どうだ?」

 誰もいない部屋で、一匹のシベリア猫が踏ん反り返っていた。

 “誰も入室してないよ。ミハエル”

 「それは良かった」

 “持って来たかい”

 ミハイルがマタタビを渡すとレーシィは、おいしそうにマタタビの枝を頬張る。

 「まったく、高くつく猫だな」

 “使い魔との盟約は、そんなものだよ”

 衣食住と3日に一度のマタタビ。

 代償でレーシィがミハエルを助ける。

 盟約は、それだけだった。

 「まぁ 命の恩猫だ。それだけでも安いものだが・・・」

 「他にもいるのかな。使い魔を抱えてズルをしている官僚は?」

 “さぁね。だけど、猫にできることなんて、高が知れてる”

 「人間並みの知能を持つ猫が味方というだけでも大きいよ」

 “何か仕事でもあるかい”

 「KGBの輸送課を調べてくれないか。マフィアとどこまで癒着しているのか知りたい」

 “いいとも”

 ミハエルが扉を空けるとレーシィが隙間から出ていく、

 レーシィの情報がミハエルの生命線だった。

 

 

 在モスクワ日本大使館

 盗聴器は、全て数か所に集められ、談話室に使われていた。

 職員たちは、盗聴器のない場所に集まり、密談する。

 魔法使いたちがソビエト連邦の権力構造を調べ上げ、

 ソビエト社会に干渉していた。

 水晶に見入っていた年少の魔法使いが一息つくと、

 目の前のロシアンティを口に含んだ。

 「ミハエルは、上を目指せそうかい?」

 「んん・・・3人の中では、有望株だと思うよ」

 「彼らが秘密を洩らさなければいいがな」

 「こういう秘密は見せびらかしたりしない」

 「自分にとってだけ特別なものはね。普通は自分だけのモノにしてしまうよ」

 「できれば上層部向けに使い魔を忍び込ませたいがね」

 「下積みな頃から信用させ、味方につけておくべきだと思うよ」

 「それに上層部だと、使い魔に対する依存が小さくなるし」

 「上に立つと、いろいろと見えなくなるもんだよ」

 「まぁ 下っ端の方が正直だし、組織の構造も歪みも分かりやすいか」

 「それに能力が低い方が、こちらに好都合なこともある」

 「ソビエト社会だって、スターリンみたいなのは、嫌がられてるし」

 「生殺与奪権を握る独裁者が嫌われることは、よくある話しだよ」

 「ソビエトの状況を把握するなら、あと3、4人、魔法使いが欲しいところだがな」

 「いい加減、魔法使い依存をやめて貰いたいな」

 「頭でっかちだけで、物事切り開く気概を失って欲しくない」

 「「「「・・・・」」」」

 「だいたい、1000人もガイアに出向してしまったし。人材が厳しいと思うけど」

 「ま・・まぁ とりあえず、こちらの諜報員も手探りせずに済むし」

 「誰と接触したらいいのか分かりやすくていいがね」

 「ま、ソビエト社会も腐り具合がいいから安心するよ」

 「「「「・・・・」」」」 ふっ

 

 

 欧米諸国は、バルカン連邦で反日運動が起こらないのか、諜報員を送り込み、

 時に反日勢力を育てようとするものの、実を結ぶ前に胡散霧消していく、

 

 バルカン連邦 首都サラエボ

 標高2000m級のディナール山脈に囲まれた標高500mの渓谷に連邦首都が建設されていた。

 町は141kuほどの面積しかなく、政治的な中枢でしかなかった。

 郊外は、深緑の森林が広がり、赤い屋根の集落が点々としていた。

 丘陵地の一角に日本風の城郭と神社仏閣が建設され、

 欧米諸国の白人旅行客たちが城壁沿いを散策していた。

 「姫路城に似てるな」

 「日系人は2割、バルカン人は6割、カフカス旅行者が1割、外国人旅行客は1割ほどか」

 「反日運動が起きないのが不思議だな」

 「バルカン半島は、元々 バラバラな世界ですからね」

 「日本民族が一番、しがらみがないし、基幹産業を押さえてしまってる」

 「30年以上も占領しているのにバルカン人の反発が弱いのがおかしい」

 「日本人が自治政策を続ける限り、バルカン人の反発は弱いよ」

 「というより不満程度で収まってる」

 「ドイツとソビエトの軍事的脅威を利用しているとしたら狡猾だよ」

 「その代り、連邦の統制力は弱い」

 「しかし、これほど平和なバルカン半島はおかしい」

 「確かに不自然だな」

 「不自然なのは日本の資源開発力だよ。百発百中で資源を掘り当てやがる」

 「日本人のダウジング能力は天性だよ。アメリカの資源開発も日本人に頼ってる」

 「天性ね・・・製薬でもアメリカは負けている」

 「全ての始まりは、1941年以降だと思うがね」

 「その件の調査は?」

 「超常現象だな」

 「一言で片づけるな、解明しろよ」

 「日本の謎を解明するとクビが飛ぶ、というのが歴代長官の口癖だがね」

 「そういえば、日本にエルフがいるという噂もある」

 「ふっ 神が日本民族を贔屓しているとしか思えんよ」

 

 

 

 サラエボ学校

 公用語でない第二外国語の日本語が最有力言語として話されていた。

 海外の日本人でも魔法使いとしての資質さえあれば引き抜かれ、

 必要とされる部署に組み込まれていく、

 猟官職員たちが資料を見比べ、時に候補者と交流していた。

 国粋主義者=民族主義者でない国での人材採用は困難を極めた。

 能力主義、実力主義が行き過ぎると、対価が低くて裏切られる事もあった。

 セクト主義で選択する方法があるものの、派閥主義や地域主義を強めてしまう。

 人脈で繋げようとすれば、狭義的な正義感で凝り固まった排他なグループを作ってしまう。

 行き過ぎた選択は、国家・民族にとって内患になる可能性を増大させた。

 「国益を考えるなら、民族主義を追及して内患を増やすことを良しとしない方がいいね」

 「だからといって国益優先で異邦人採用は外患に繋がらないか」

 「軍国主義を追求して生産力を削ぐより益しな気もするがね」

 「結局、愛国心といっても同族より、異邦人の方が強い場合もある」

 「確かに権力主義者や利己主義者などの奸臣が愛国者を装っている事は多いな」

 「視野の狭い口先だけの愛国者も少なくない」

 「それに選民思想が過ぎれば内戦になるし。国益追求が過ぎれば戦争になる」

 「ときには妥協も必要だろう」

 「バルカン・カフカスは、その辺の匙加減が複雑だからな」

 「魔法使いたちがいなかったら、これほどの近代化はなかったし」

 「差別と軋轢で連邦は崩壊して内戦と思うね」

 「しかし、人種が違っても魔法使い候補は、日本で生まれ育った人間の方がいいね」

 「逆にこっちで生まれ育った日本人は?」

 「「「・・・・」」」

 「やっぱり、ケースバイケースか」

 「「「・・・・」」」

 

 

 

 カフカス連邦

 カフカスの広陵を62t級チャレンジャー戦車が演習地の広陵地帯を疾走していた。

 日本軍将校たち

 「バルカンとカフカスは、アローとチャレンジャーで一息だと思うね」

 「アメリカがF14、F15を開発し、運用が始まってる」

 「アローを最強戦闘機というのも怪しくなってきた」

 「F14とF15は試行錯誤で開発したばかりだ。後、5年くらいは安定しないと思うね」

 「むしろドイツ帝国のFwファルケ(鷹)とMeネーベル(霧)の方が怖いな」

 「ソビエトのMiG25とSu23もだ」

 「ドイツとソビエトの戦闘機は迎撃型で、アメリカの戦闘機は侵攻型だよ」

 「日本側に侵攻の意図がなければ戦うのは、F14か、F15かも」

 「バルカン・カフカスに国境を接してるのは、ドイツとソビエトだろう」

 「ドイツとソビエトに送り込んだ諜報員によると、両国とも戦争を望んでない」

 「軍も?」

 「大半は、昇進したいけど、死にたくないだろうな」

 「戦争で昇進できて、死なずに済む地位の者は、戦争を望んでいるな」

 「昇進しないと老後の見込みが立たない将兵もだろう」

 「軍も民も潰し合いで自分の夢を果たそうとするのかもしれないな」

 「身内同士内輪揉めで醜い争いをするくらいなら、外征したくなるのも頷けるがね」

 「むしろ、身内同士の潰し合いを防ぐために外征する場合もあるよ」

 「その兆候は?」

 「ソビエトは勤労意欲と生産力が低下している」

 「アメリカは、貧富の格差が広がり、公民運動と労働運動で荒れてる」

 「ドイツ帝国は弱者切り捨てとジーンリッチの歪みが広がってる」

 「しかし、いずれも最悪という状況じゃない・・・」

 「アローの装備更新は?」

 「チタン化は進んでいるよ」

 「複合素材は?」

 「耐熱を考えるとチタンがいいな」

 「ステルスを考えると複合素材がいいと思うが」

 

 イギリス将校たちがヒソヒソと演習を観戦していた。

 “・・・イギリス製のチャレンジャー戦車より稼働率と動きがいいように見えるが”

 “連携もだ”

 “軽量化されていないのなら脅威というほかないな”

 “エンジンは静かで加速もいいように感じるな”

 “日本製のアローもな”

 “次期主力機は、どうするって?”

 “ライトニングの後継機は棚上げにして、アローでまとめる可能性も高まってるな”

 “じゃ 日本と同じじゃないか”

 “余剰積載能力で余裕があるからな、少しくらい古臭い機体でも潰しが利く”

 “ますますイギリス産業の空洞化が進むじゃないか”

 “イギリス国民は、スモッグを嫌がってるし、サービス精神のいい国民性じゃないし・・・”

 “家の家電は日本製だよ。アフターケアが誠実で丁寧だからな”

 “お前がイギリス産業空洞化の片棒を担いでいるとはな”

 “車で我慢しているんだ。家事で煩わされたくない”

 “車だって日本製の部品が幅を利かせてるだろう”

 “日本の低コストと生産力は、どう考えても異常だよ。賃金だけとは思えない”

 “まぁ 指揮に影響するより益しか・・・”

 “日本軍は、次期戦車で滑空砲装備を望んでいるようだが”

 “いまのところ深刻ではないだろう。対人砲弾はライフル弾が有利だ”

 “ドイツ帝国とソビエト連邦の戦車は、バルカン連邦の戦車より多いんだぞ”

 “日本軍は弾道を狂わせるという噂があるよ”

 “その噂はどこまで本当なんだ”

 “映画バルカン戦線でパンジャンドラムをもう一度落としてみたら、上手く進まなかった”

 “確かに、あの戦果は不自然過ぎるな”

 “問題は、ドイツとソビエトが噂を信じているかどうかだ”

 “末端の兵士は、日本軍の超常的なインチキを恐れているらしい”

 “将兵もだ。戦略的に計算外の影響力は計り知れないだろう”

 “軍事以前に外交と商談交渉事で不利なのが問題だよ”

 “やはり、諜報で負けていると?”

 “ふっ 猫やカラスでさえ、日本人の目と耳に思われてるとしたら、負けてるな”

 “噂だろう?”

 “さぁ ライセンス生産でいきなり、本家並みだからな。噂も当たらず遠からずとしか思えんね”

 “日本は、ハリアーをライセンス生産するのか?”

 “気が進まないらしいね”

 “日本にライセンス生産してもらわないと稼働率は上がらなし、価格を下げられないぞ”

 “最悪だな”

 “せめて、購入してもらわないと・・・”

 “いったい、ハリアーのなにが気に入らないんだ?”

 “予算を分配すると数を揃えられなくなるのが嫌なんだろう」

 “哨戒機、哨戒ヘリで探知して、対空・対艦・対地ミサイルで迎撃するのが好みらしい”

 “まだFV432トロウジャンの後継のFV510ウォーリア歩兵戦闘車のライセンスが有望だ”

 “日本がレーザーを開発している噂は?”

 “噂だけならロボットや宇宙戦艦だって持ってるよ”

 “どこまで本当やら・・・”

 55口径120mm砲が火を噴き、火球が弾道を描いて標的を破壊する、

 

 

 ロンドン

 さざれ石ウォーターフロント

 大戦で活躍して得た日本の戦功特区、

 単に広い敷地に日本人の集まる区画があるだけ、

 法的にイギリス国内だった。

 特別な利権といえば日本の学校があったり、街と商業商店があるだけで、

 むかし、中国にあった租界といわれるものに近い、

 そして、唯一、同盟国に開かれた魔法の窓口もある。

 Bar シュロの葉先 “tip of a leaf of the hemp palm”

 といっても路地裏にある小さなバーに過ぎない、

 然るべき公的機関の外務省管轄ではないのは、日本政府が魔法を承認していないからといえる、

 誰でも入れるというメリットがあり、同時に排他的特権のないデメリットがある、

 イギリス諜報機関の監視の下、いつもの様にいつもの如く、

 客が来て、しばしばくつろぎ、ほろ酔い加減で帰っていく、

 きこぉ〜 ちゃりん

 入れ替わり、紳士然としたアイルランド系のニューフェースが現れ、

 空いた席に座る。

 「キューバ・リブレ・・・」

 空気が変わる、

 ライトラム+ラムジュースにコカコーラを入れたモノだ。

 イギリス人なら炭酸レモネードだろう、といまどき、拘りはない、

 しかし、イギリスでコカ・コーラとくればアメリカ人と疑われてもおかしくない、

 無論、キューバ人の可能性もある。

 まず、その手の工作員は郷に入れば郷に入るため、

 そんなしょうもない注意の引き方はしない、

 とはいえ、不審人物が曰く付きのバーにくれば警戒されて当然と言える。

 誰しも表情を変えないまま、

 もちろん、いつも通りの振る舞いのまま、意識を集中する。

 キューバ・リブレを客の前に差し出す、

 「マスターは、幽霊退治の専門家を知っていると聞いてね」

 「はい、知り合いがいます」

 「どうだろう、私に紹介してくれないかな」

 「事情を教えてくだされば、そちらに伺わせられるかもしれません」

 「・・・・・」

 少し間があり、周りを気にしつつ、

 「実は・・・」

 

 

 カナリア諸島

 大和(ランサローテ)島(845ku)と武蔵(フエルテベントゥラ)島(1660ku)

 アフリカ大陸に近い気候に晒され、

 火星と見紛う二つの島は、経緯はどうあれ日本資本に開発され発展していた。

 蒼空を日本空軍のCF105アローの編隊が天駆け、

 イギリス空軍のBACライトニング編隊と模擬演習を開始する、

 日英合同演習がカナリア諸島で行われることは少なくない、

 日本艦隊

 6150t級榛名型駆逐艦 (82型駆逐艦ブリストル)

 イギリスがコスト高に堪えられず1隻建造で終わった駆逐艦だった。

 経済力に勝る日本は8隻を改良しつつ建造し、

 日本海軍水上艦艇の主力艦となっていた。

 艦橋

 「艦長。今回は、早期警戒機型BAEニムロッドを参戦させるそうです」

 「イギリスがライトニングの後継機を開発するか。CF105アローに全面移行するか。瀬戸際だな」

 「アローが高過ぎるせいだろう。日本以上に予算が厳しいらしい」

 「アローは攻撃機型も兼ねることができるなら安く感じるけどな」

 「攻撃機はアブロバルカンを使うのだろう」

 「ニムロッドがECM・ECCMを発動させました。大出力です」

 「いよいよか・・・」

 「アロー編隊もECM・ECCMを発動しました・・・」

 基地レーダーに捉えられた光点がバッチシステムで艦隊にリンクされていた。

 そのレーダーの光点は、日英双方のECM・ECCMにって安定せず変動していく、

 アロー編隊とライトニング編隊が旋回し、有利な位置に移動していく、

 アローの編隊の一部がニムロッドとライトニング編隊の間に割り込むと通信を妨害し、

 別動隊がライトニングの死角へと回り込み、

 慌てて離脱を測るライトニングを追い詰め、模擬弾を浴びせ掛けていく、

 「ほぉ ニムロッドと護衛のライトニングが離れ過ぎると食えるのか」

 「まだ、ニムロッドは早期警戒機の機能が安定していないのだろう」

 「・・・アローは、索敵範囲、索敵距離とも歴然としてるからな」

 「ECMとECCMもだ」

 「チタンと複合素材の比重も増えているし、電子装備も更新されている」

 「機体の余剰積載能力の大きさも圧倒的だよ・・・」

 撃墜判定が出されたライトニング戦闘機が後退していく、

 編隊が交戦域に突入すると連携と個々のパイロットの機転が強まり、

 司令部は、有利な戦闘環境作りと情報伝達に明け暮れ、

 パイロットの力量を信じ、見守ることが増える、

 いわゆる人事を尽くして天命を待つというやつだ。

 ライトニングはアロー後方に付かれるとロールを繰り返した。

 翼面積の大きなアローはライトニングのロール機動に付いていくことができず、

 正対したとき、ライトニングは加速しながら旋回する。

 しかし、旋回時、大回りしてしまうライトニングは、内側に入り込まれるアローに追い付かれ、

 ターゲットスコープに追い込まれてしまう。

 巨大で高速なアローが軽量小型で機敏なライトニングを追い詰めていた。

 「やるな。味方基地上空に侵入されたか」

 「しかし、早期警戒機と同行しない限りライトニングがアローに勝てる要素はないな」

 戦況は刻々と移り変わり、将校たちの表情も明るくなっていく、

 「アロー2機撃墜。ライトニング12機撃墜」

 日本のアロー編隊がライトニング編隊を降し、

 低空で海洋に飛び出した日本のアブロバルカン4機が飛沫を吹き上げながら駆け抜け、

 33000t級イギリス空母アーク・ロイヤル上空を飛び越えた。

 歓声が上がり、

 「バルカン1機撃墜。アーク・ロイヤル撃沈。42型駆逐艦撃沈です」

 撃沈判定が発表される、

 「悪くない戦果だ」

 「逆にイギリス兵装のライセンスは考えモノです」

 「そういうな。この82型を含めて水上艦艇はおまけ。主力は潜水艦だ」

 「航空機の優位性は国産だからって変わるものじゃないし、自動化で乗員も減らせるだろう」

 「それに日英同盟は、バルカン・カフカス連邦の利権と深く絡んでる」

 「ハリアーは、キワモノだと思われますが」

 「駄目ならリンクス搭載のヘリコプター巡洋艦として運用すればいいさ」

 「国産主義者が剝れそうです」

 「かまうものか、どの道、イギリス国防省も開発段階で日本製を考慮するだろうし」

 「新規格でも製造と生産の段階で日本製が優位になっていく」

 「なによりバルカン・カフカスの実入りは大きいからな」

 『それに魔法の杖と斥力物質を有する空中艦隊は無敵だ』

 日本の戦前・戦中艦艇は、改装されたものの老朽化に伴って退役していた。

 戦後、日本海軍大綱、

 16000t級ヘリ空母6隻、8000t級巡洋艦30隻、6000t級潜水艦40隻となっていた。

 しかし、年月を経るにつれ、日本資本のイギリス連邦投資は増大し、

 日英同盟の力関係も、国際情勢も移り変わっていた。

 さらに電子部品の投資に伴い、兵器兵装の単価も高騰し、国際分業に弾みを付けた。

 戦前戦中艦の退役に伴い、

 日本海軍大綱は、6150t級榛名型駆逐艦 (82型駆逐艦ブリストル)をライセンス建造し、

 さらに20000t級イラストリアス型軽空母のライセンス建造が決まろうとしていた。

 日本の新造艦兵装は、潜水艦を除いてイギリス系となり、

 兵器システムもイギリス系を進化させたものになっていた。

 

 

 

 北アイルランド

 イギリス本土から連絡船に乗って、ロンドンデリーに付く、

 フォイル川の北にある閑静で、のどかと対極の町だった。

 殺伐としたと空気といい換えた方がいいかもしれない、

 アイルランド人は、イングランド支配を忌み嫌い、ロンドンを抜き、デリーとだけ呼ぶ、

 北アイルランド問題はイギリスの政治史上最大の争点だった。

 紛争真っ盛りのこの場所は、かなり血生臭い、

 もっとも、イギリス政府の依頼で、かなり鎮静化させている。

 実のところ、日本の魔法使いが介入していなかったら、もっと悲惨なことになっていた。

 聖コラムズ大聖堂は、17世紀に北アイルランドに建てられたプロテスタントの牙城だった。

 もっとも北アイルランド問題を宗教問題と決めつけるのも早計で、

 イギリス人の差別がなければ、もう少し融和的と思われた。

 前もって渡されていたペアのプラチナのブローチで互いを確認する。

 「・・・お待たせしました。タヘィルさん」

 シュロの穂先の依頼人は現れた少年にしばし戸惑う、

 年端もいかないように見えるのは童顔に加え、166cmの背丈のせいだろう、

 イギリス人の身長は、同年齢だと、もう少し背が高い、

 事実、式神リク(17歳)はハイスクールの学生だった。

 「君がエクソシストなのかね。もっと年上だと聞いていたが・・・」

 「ええ、今日が初仕事です」

 「大丈夫かね。本物のお化け屋敷なんだが」

 「そう聞いてます」

 「・・・・」

 依頼人は、日本人がエクソシストができると聞いて興味をもったらしく、

 酔狂でやらせてみたいと思ったらしい、

 礼金の額は多く、悪くないと引き受ける、

 73年の映画が継起になって、エクソシストは一躍脚光を浴びている、

 もう一つ、依頼人は、隠しているがローマカトリックの法王の使い、

 ぱっと見はかなりの生体素粒子で常人の3倍、

 つまり、63g以上で魔法の杖さえあれば即魔法使い、

 法王直属の修道僧か、神父で同業者だと思われる、

 案内された屋敷は、バロック式のカントリーハウスで、いわゆる貴族の別荘、

 没落貴族から流れた屋敷だろうと予測ができた。

 そして・・・・それらしい霊に憑かれている。

 魔法使いの悪霊払いは、神の名によって力付くで排除したりしない、

 無理やり滅するような勿体無いこともしない、

 魔法は、魔の法であって霊との取引から始まる、

 霊の核は、生体素粒子そのものであり、

 剥き出しの核で直接、事を起こすと生体素粒子が壊れてしまう、

 なので消滅を避け、延命するなら普通は、組成が近い霊界に行く、

 しかし、地上に残るのは、そういった事柄に対し、無知であること、

 地上に恨みを残していること、

 そして、霊界に行っても地獄であること、

 つまり第三の選択があれば交渉可能だった。

 広間の中央に円卓があり、上品な椅子が並んでいる、

 「ここがいい」

 「ここに霊がいるのですか?」

 「ここに呼ぶんです」

 席に座ると少しばかりくつろぐ、

 依頼人は、興味深げ・・・

 指で弾かれた金貨が回転しながら宙と掌を行き来する、

 それを何度か繰り返す、

 金貨は、お化けの気を惹くことができても、それ自体に価値はない、

 後ろに控えた依頼人(エクソシスト)は放られる金貨を訝しげに見つめる。

 しばらくすると物音がし、建物が微かに揺れ、

 ポルターガイスト現象が起こる。

 人が死によって肉体から切り離されても、

 人の情は、住み慣れた屋敷を手放せない、

 あるいは奪われた屋敷から抜け出せない事がある。

 この世とあの世を含めた理は、一貫している。

 多くの宗教的な概念は、ほぼ正しい、

 しかし、人のエゴと欲望が本来悟るべき徳と善良な道を塞ぎ、

 誤った人生観へ押し流す、

 年を経て死を目前にして気付いても人の習慣性は変わらない、

 ほぼ手遅れであり、

 思いを残して死んでいくことは多々ある・・・・・

 どうやら、依頼人は、日本人が不用心に事を始めたことを驚き、

 落ち着かない、

 除霊をするつもりはないのだから当然、

 !?

 そして、正面の椅子が引かれ、幽霊が座ったことにも・・・・

 40代の女性で100年ほど前、海難事故で死んでる。

 生体素粒子は、常人の以上で、ほぼ3倍、かなり傷んでいる、

 依頼者は、十字架を握りしめたまま、表情が凍りつく、

 これだけ半物質化していれば資質がなくても見える

 「・・・リクルートに応じて貰えるのであれば、あなたの安寧を御約束しますよ」

 「仕事の内容は?」

 「ちょっとした情報収集です」

 「あなた自身が直接傷付くことは、ほとんどないでしょう」

 「・・・わかりました」

 霊は孤独からの解放と、人との正常な繋がりを求める、

 霊は、テーブルに置かれた金貨に吸い込まれていく、

 それと同時に重苦しい部屋の空気が一変し・・・

 「・・・・」

 依頼人が絶句する、

 「終わりました」

 「そ、そんな・・・」

 「もう、ポルターガイスト現象は起きないでしょう」

 「・・・・・」

 日本がガイアで手に入れた魔法の杖と魔法学は、ガイア研究所で集大成され、

 生体素粒子を保存し、出し入れ自由な霊集積回路まで作り上げた。

 ガイア研究所では、通常の集積回路と、

 幽子集積回路を組み合せた自律型コンピューターを検討していた。

 

 

 瑞樹(ニューギニア)島

 薄黒い雲海が山をに被さり、都市と森林に覆い尽くしていた。

 霧とも雲とも付かない世界で、時折、雷鳴が轟き、

 光の束が避雷針に絡み取られていく、

 大粒の雨が大地に叩きつけられ、雨と飛沫と洪水の境が曖昧になり、

 大量の水が側溝に流れ込んでいく、

 チタンの蒸着皮膜技術が進んだせいか、

 ビルと家屋は、湿潤に濡れても錆びることなく建っていた。

 同じ階層の高原に作られた都市群が鉄道と道路で連結され、

 上下の階層がロープウェーで連結されていた。

 各国の建設関係者は、どの様に建設物資を頂に運び上げ、

 都市基盤を整備したのかわからないと首を捻り、

 各国の諜報員も調査のため紛れ込んでいた。

 白人たち

 「とんでもない世界だな」

 「それでも近代的な社会だから驚きだよ」

 「まともな神経の持ち主ならこんな場所に町を作らんね」

 「だが日本人は難攻不落の都市群を建設した」

 「どうやって初期投資できたんだろうな」

 

 

 1903年のライト兄弟の初飛行から遅れること2年、

 1905年の二極真空管(後のダイオード)が発明される。

 航空機産業が民需に耐えられるまで国家の保護と重要と年月を必要としたように、

 電子産業も国家・大企業の保護と重要と年月に依存していた。

 真空管の発明から71年が経ち、

 電子産業は、黎明期から乱立・勢力形成期を経つつ、

 アメリカ(IBM社)と日本(PURPLE社)に分かれ、

 コンピューターと呼ばれる高度な演算処理を可能にしていく、

 アメリカの産業規模は市場、資源、科学技術、初期投資、言語など圧倒的に大きく、

 電子産業は、日本に勝てる要素のない新分野だった。

 しかし、日本人の画一的で生真面目気質が日本の電子産業を支え、

 PURPLEは、IBMに劣らず追随し、独自の進化を遂げ、

 イギリス連邦と非英語圏へと広がりを見せていた。

 なぜ、日本の電子産業がPURPLE(パープル)社という名称で統合されたのか不明だった。

 アメリカ軍が日本の外交暗号に付けたコードネームがPURPLEだったからともいわれていた。

 IBMがハードとソフトの二層構造のメインフレーム汎用コンピューターへと舵を切ったのに対し、

 PURPLE社は、ハード・ソフト混合の縦割りモジュール機構へと移行してしまう。

 PURPLE社不利との大方の予想に反し、

 PURPLEコンピューターの性能と単価は、IBMと変わらず、

 信頼性が高く、OSの不具合とプログラム複製がないことから根強い顧客を確保していた。

 PURPLE社

 男たちが回路図を覗き込み、検証していた。

 扉が開いて別の男が入ってくる。

 「外は雨雲の中で、あと2時間は晴れそうにないぞ」

 「参ったな。昼休みは、日光浴しようと思ったのに」

 「ガキどもが外で喜んでたぞ」

 「ふっ ガキは、危ないのに雨雲の中が好きだからな」

 「内地のカミナリ族と危なさは、変わらないだろう」

 「こっちは本物のカミナリだろう」

 「それと、内地では、暴走族というんだ」

 「戦争してないから危険に身を晒して勇敢だと証明したいんだよ」

 「そういえば所長も、かみさんとケンカした日に雨雲の中、歩いて帰ってたっけ」

 「ふっ」

 「勇敢と思われるか。馬鹿と思われるかは、紙一重だな」

 「IBMの情報は?」

 「新型スーパーコンピューターCray1は、性能がいいようだ。参考になる」

 「しかし、コンピューターが大衆向けじゃない状況で余力を使い果たして張り合う」

 「愚の骨頂の様な気もするがね」

 「アメリカのコンピューター産業は宇宙産業に取られてるし。IBMの情報は筒抜けだ」

 「なにより微細加工は、魔業有するPURPLEが三桁上で余力はあるよ」

 「それは裏事情だろう。表事情は違う」

 「表事情でいうなら製造区画を窒素だけにするのは、まずくないかな。人死ぬよ」

 「魔法使いの負担を減らすなら。それくらいやらないとね」

 「大衆向けはともかく、ナノコンピューターは?」

 「ナノチューブ、グラフェンを使った裏事情も手探りだな」

 「魔法使いならできそうだけど、基礎設計がね」

 「IBMの設計思想と回路図が参考になるくらいだ」

 「バイオコンピューターも?」

 「そっちは、人間の脳に小型コンピューターを置くようなものかな」

 「人造人間の開発と合わせると空恐ろしいモノがあるよ」

 「フランケンシュタイン症候群か」

 「ドイツ帝国もジーンリッチの研究を足踏みさせているくらいだから、あり得るね」

 「ジーンリッチは、一息ついたから様子見なんじゃないか」

 「あいつら金メダル取り過ぎだよ。癪に障る」

 「バイオコンピュータの支障は?」

 「あると思うけど、脳以外にも候補の部位はある」

 「別の部位にしてくれ。癌患者が癌じゃなく合併症で死ぬようなのは困る」

 「そうなると、列強に見つかりやすくなるな」

 「効用は、どの程度見込めそうだ」

 「バイオチップで遺伝子情報を保存して再生を助けられるなら目や手足だって再生させられるさ」

 「中枢神経の再生は無理でも、末梢神経を補填できるなら年だって取り難い」

 「金持ちや権力者の爺どもが喜びそうな話しだな」

 「もっとも、そこまで行くには年月はかかるし、しっぺ返しと副作用も怖い」

 「コンピューターの構造は、一種の社会構造とか、人体構造に類似する傾向になるけど」

 「ナノレベルのコンピューターの構造をどう当てはめるか、問題だけどね」

 「しかし、次にガイアの扉を開いたとき、なにが起きるかわからんからな」

 「大物の魔物に来られると地球側が狩り場にならないように準備すべきだ」

 「大物過ぎて来ない場合もあるんじゃないのか。この前の奴はそうだった」

 「狭く深くの捕食型だったからだろう」

 「広く浅くの捕吸型だったら地球に居座られて根こそぎ活力を奪われてたぞ」

 「地球マスターが排除してくれるだろうさ」

 「あははは・・・」

 「地球マスターが増え過ぎた人類を減らしてもらおうと思わなければな」

 「「「・・・・」」」

 「ケレスは、避難所になりそうか?」

 「どうかな。貴重な斥力物質をケレスに持って行きやがって」

 「向こうに持っていけば大質量でも37分の1も小さくなる」

 「10倍Gの質量を持ち上げられる斥力物質を使わなくても大きな仕事ができるからな」

 「月じゃなくて良かったのか」

 「静止衛星アーリアの規模だと、月は間違いなくバレるよ」

 「宇宙開発はアメリカとソビエトも追随してるから、日英同盟も少しは頑張らないと・・・」

 「痛し痒しだけどな」

 「やっぱり小惑星ケレスで宇宙開発より、2012年の並行世界のガイアが主流かな」

 「ガイアは、斥力物質と魔法の杖の戦略物資が大きいからね」

 「それ以外にも希少金属、希少化合物があったから、次に行った時、採取しないと」

 「それまでガイアのコロニーが残ってたらいいけどな」

 

 

 

 

 日本は、産業ロボットの導入とともに生産力を向上させ、

 ロボット工学にも力を入れていた。

 ロボット競技大会は人気があり人材が集まりやすかった。

 そのノウハウは、ガイア技術研究所へと集められた。

 魔法がゴーレムを作り、

 斥力は、ヘリウム3を閉じ込め、サーカーボール大の核融合機関を開発し、

 チタン、カーボン・シリコンのナノ素材、バイオ素材の量産に成功していた。

 そして、魔法使いの作るゴーレムと、核融合を内蔵した人型機械を融合させてしまう。

 なぜ、人型なのか、

 それは、ナノ工学が力不足で、単独で機能しきれないことが上げられ、

 主要な部分が魔法力に依存していた事に起因する。

 瑞樹 地下格納庫

 3m級ゴーレムロボットが機動試験を繰り返していた。

 ゴーレムの動きはコンピューターにフィードバックされ、

 電子的にも再生可能になっていた。

 斥力で軽減できる最小重量は人間より小さく、

 機動力は、チャレンジャー戦車の速度、航続力、

 渡航水深1.07m、超堤高0.9m、超壕幅2.8m、登坂力58パーセントを超えていた。

 そして、外板・内骨格のチタン装甲と、

 ナノカーボン・ナノシリコン組織素材を含めた防弾は戦車の防御を上回り、

 被弾面積の小ささと、携帯可能な火器重量の大きさから、

 都市、山岳、密林などの地理的特性を生かした攻防で圧倒的な戦力と考えられていた。

 「へぇ〜 そっくりに真似ができる・・・」

 人の動きをコンピュータに経由させ、

 ゴーレムロボットに伝達することも可能だった。

 「流石だな。肢体動作を含めた体重移動は、魔法使いより格闘家がいいよ」

 「魔法使いは1.7m級の人型を動かせますよ」

 「ヘルメットを被せれば人間と見分けがつかない」

 「人の良過ぎる魔法使いに依存し過ぎるのは危険だよ」

 「そうそう、自分の命が脅かされそうなのに呑気なところがあるからね」

 「核融合内臓可能な3m級人型は、自律制御と遠隔操作で捨てがたい」

 「起伏の大きな場所で人型は微妙だな」

 「それでも特殊部隊の兵士より動けるし、戦闘力も高いよ」

 「それにコブシ大の核融合炉が可能になれば、1.7m級にも反映できる」

 「3m級は、L7コンバット無反動砲を撃てるのが大きい」

 「だけど、無反動砲は、後ろが怖い」

 「64式対戦車誘導弾も撃てるよ」

 「核融合内臓だから武器はレーザーか、プラズマを使うべきだろう」

 「斥力収束させた半物質レーザーなら戦車くらいなら・・・」

 「攻撃に要するエネルギーは、距離に比例して大きくなる」

 「いくら小型発電所並みでも、リミッター越えしたら核融合炉が溶けるよ」

 「防御用なら電力を食わなくてもいいのでは?」

 「魔法使いなら対戦車兵器ミサイルをレーザーで迎撃できそうだな」

 「プラズマシールドなら衝撃をスイッチにして5000度を一瞬で流せて溶かせる」

 「自分の装甲も溶けそうだな」

 「だから・・・二重装甲の隙間を通すんだよ」

 「どうせなら、バリアは装甲の外に向けたいね」

 「危なそうだな」

 「レーザーをわざと拡散させれば、レーザーシールドになるのでは?」

 「プラズマより制御しやすい」

 「しかし、全身だと重量がかさむのでは?」

 「専用の盾でやらせたいね」

 「ふっ 剣や槍まで持たせないだろうな」

 「核融合だぞ。出力制限と稼働力を考えるなら、むしろ、近接戦闘型じゃないのか」

 「捕獲されでもしたら泣きたくなるよ」

 「それは言える」

 「しかし、これだけ核融合が圧倒的だと、戦車型と戦闘機型も作りたくなる」

 「斥力物質と魔法の杖の量と性質を考えると、大型になるほど強いし」

 「潜水艦型の方が管理しやすい」

 「勝敗を決するのは、小型兵器の数だと思ったがね」

 人型機械は、経済的な要因、

 小型核融合炉、ナノ電子技術、ナノ工学制御などの条件さえ満たされるなら

 都市、山岳、密林で優位だった。

 

 

 

 メタンは、水深500m〜1000m以下の水圧と水温で氷に閉じ込められ、

 メタンハイドレート層を形成することがあった。

 魔法使いの資源探査で、

 室戸岬から200km沖の海底にメタンハイドレートが分布していることが判明し、

 日本政府は、大規模な採掘事業を行う、

 四国の室戸岬から海底に向かって地下道を伸ばし、

 そのガス管は、メタンハイドレート層の最深部に達していた。

 採掘されたメタンガスは、ガス管を通じて、四国へ陸揚げされ、

 ガス発電所のエネルギーは、日本経済を潤し、

 エネルギー資源大国へと変貌させようとしていた。

 関係者たち

 「これで、日本は摩訶不思議魔法で国力を底上げしていると思われずに済むな」

 「300kmも海底を掘り進めたら、十分に怪しいと思われるよ」

 「斥力や魔法の底上げがなければ、採算不能だからね」

 「日本の自殺者は、多い。頑張ったということでは?」

 「社会的軋轢は、自殺+殺人で計算すべきだな」

 「無理していまの日本が成り立っていると列強が思ってくれるのならいいよ」

 「しかし、石油からメタンへの転換が一苦労だな」

 「貿易立国なんだから産業転換は後回しにしたい気もするよ」

 「当面は、発電だよ。乗りモノには不向きだ」

 「電気自動車なら問題ないよ」

 

 

 

 フィリピンは、1946年の独立後も低迷していた。

 多くの後進国がそうであるように

 フィリピンも血縁の結び付きで繋がれた部族社会でしかなかなく、

 自力で封建的な体制を築くことができないでいた。

 幸か不幸か、フィリピン全島の支配権を賭けた戦国時代を経験せず、

 血で血を洗うような戦いが行われていなかったともいえた。

 全国民で共有し統一できるアイデンティティを持たず。

 公用語はフィリピン語と英語でも、

 固有の言語は、172語に達していた。

 こういう地域での民主化は部族の空中分解と共産主義の拡大と直結した。

 アメリカにとっては、ドル箱であるアメリカ極東権益地を守る為の中継基地であり、

 対日英同盟遮断のための基地に過ぎなかった。

 アメリカは、スービック海軍基地とクラーク空軍基地を置き、

 フィリピンの政治と経済を支配したものの、

 フィリピンは、軍政が敷かれ、

 近代化に必要な社会体制を構築する間もなく、

 共産圏から武器が流れ込み、

 部族紛争が拡大し、共産勢力を増大させてしまっていた。

 そして、日本のメタンハイドレート開発は、日本の継戦能力を高め、

 フィリピンの対日英同盟遮断戦略の根底も狂わせてしまう。

 クラーク空軍基地

 F4ファントム、F111アードバーク、B47ストラトジェットが翼を連ねていた。

 航空作戦室

 「将軍。民族解放軍は、まだマニラの一角に取り付いてるようです」

 「政府軍は何をしてるんだ」

 「どうにも士気が低いようで・・・」

 「生活で後がない解放軍の方が必死か」

 「アメリカの共産主義者も協力してるようです」

 「ちっ 国家意識より人権の方が強いか」

 「第二次世界大戦に参戦していないツケだな」

 「マルコス大統領は、支援を要請してこないのか?」

 「いえ、まだ・・・」

 「まぁ 支援を出されても困るか」

 「間接支配のために独立させたようなものですからね」

 「しかし、いつまでたっても近代化しない国だな」

 「バルカン半島やカフカス連邦の方が、はるかに成長してますよ」

 「元々 国家の枠組みがあった地域だ。当然だろう」

 「こうなるとは誰も予想していませんでしたがね」

 「内輪揉めとテロと内戦で崩壊するとばかり」

 「ふっ いまじゃ フィリピン以上に安全な大国か」

 電算室から士官が報告書も持ってくる、

 「・・・どうやら、日本本土より先にフィリピンが根を上げることになりそうだ」

 「ただでさえ、民族紛争で足元がふらついてるというのに・・・」

 「フィリピン駐留軍は、社会基盤が弱いから人気がないからな」

 「まだ、極東権益地の方が住みやすいくらいだ」

 「アメリカ極東権益地は、日本より体力があるんじゃないのか」

 「権益地の生産力は、アメリカ合衆国の労働運動を牽制するためのものだ」

 「日本を攻撃するためのものじゃない」

 「それに陸続きだから、対ソ戦で北上できるとしてもだ」

 「上陸作戦なんて芸当は、派遣軍に荷が勝ち過ぎる」

 「だいたい、対ソ戦では、日本、燕(北京)と共闘しないと押し戻せないだろうな」

 「自衛以上の戦力じゃないということね」

 「それで、結局、アメリカは、ドイツと組まないのか?」

 「静止軌道上のアーリアは圧倒的だからな」

 「ドイツ帝国の方が乗り気じゃないみたいだ」

 「アメリカにとって、極東権益地の利益は大きくなり過ぎた」

 「日本と組む方がいいという意見も増えている」

 「ドイツは、アーリアで無理してるじゃないのか?」

 「まぁ 経済的に苦しいだろうな」

 「それより、日本が強襲揚陸艦を建造するそうじゃないか」

 「空母が退役してからだろう」

 「強襲揚陸艦より、空母か、対潜ヘリ空母が有用じゃないのか」

 「さぁ 海洋保安庁がヘリ空母を持ってるし」

 「アメリカと戦争する気がないのなら、強襲揚陸艦の方がいいと思ったんじゃないのか」

 「なんで、海洋保安庁がヘリ空母を持つんだ?」

 「ヘリの運用だけの艦艇だからだろう」

 「いざという時、指揮を執るのは巡洋艦だな」

 「それなら救難救助で使いやすく、受けのいい保安庁になったんだろうな」

 「国民への人気取りですか」

 「日本も随分変わったな。戦前じゃ 考えられなかった」

 

 

 千歳航空基地

 CF105アロー戦闘機2機にエスコートされたMiG25戦闘機が滑走路に着陸する。

 “明らかに機体性能で敗北していた”

 “最初から最後まで、いつ撃墜されてもおかしくなかった” ベレンコ中尉 談

 ベレンコ中尉のアメリカ亡命が承認され、

 10日後、大型輸送機アントノフAn22アンテーイが千歳基地に着陸する、

 日本のお偉方と関係者が集まる中、

 ソビエトの工員によって解体されたMiG25がAn22に載せられ返還されていく、

 “ほとんど調べれていないMiG25が僅か10日で返還され”

 “代わりにAn22輸送機が調べられたことから”

 “日本空軍の関心はMiG25戦闘機ではなく。An22輸送機にあったと言わざるをえない”

 “これは、ソビエトのAn22輸送機が日英同盟のベルファスト輸送機に勝っていたからである”

                            ソビエト空軍省 談

 

 

 

中国大陸   面積 台湾比 友好国
アメリカ極東権益地 満州、朝鮮半島

135万2437

   
軍閥七雄
(北京) 河北、山東、山西、河南、東・内モンゴル 106万8200 5.93 アメリカ
(上海) 江蘇、安徹、浙江、 34万4000 3.91 ドイツ
(重慶) 湖北、貴州、湖南 57万3800 3.19 中立
(成都) 四川 48万5000 1.66 中立
(広州) 広東、福建、江西、広西、 70万2900 4.06 日英同盟
(蘭州) 甘粛、青海、陝西、寧夏、西・内モンゴル 182万0800 1.02 ソビエト
大理 (昆明) 雲南 39万4100 1.23 中立
 
ウイグル ウルムチ ウイグル 166万0000 0.44 中立
チベット ラサ チベット 122万8400 0.34 中立

 中国七軍閥は、日英・米・ソ・独伊の列強と交易することで中華の因習を脱し、

 文化的な選択肢を広げることに成功していた。

 また、隣国と切磋琢磨することで、内政の自浄化と綱紀粛正が強要され、

 結果的に近代化に繋がっていた。

 七軍閥は、一つの国家が一億を超える人口を有し、

 経済力は、急速に増大していた。

 楚 (重慶)は、中立であることから積極的に海外取引を推進し、

 外資参入のため対外的な法律を順守していた。

 楚は、日英・米・ソ・独伊の利権が作られ市場となったものの急速に発展していた。

 日系資本 ホテル “一寸法師”

 ラウンジの商人たちがそわそわしていた。

 「第二空港建設は、大丈夫だろうな?」

 「手応えは、あったんですがね・・・」

 「しっかりしてくれよ」

 「楚国機の日本乗り入れも込みで交渉すればよかったんだよ」

 「楚国機の日本乗り入れを好ましく思っていない勢力がいてね」

 「楚の航空機販売でボーイング747とボーイング707に食い込まれたからな・・・」

 「それで、中国人嫌いの保守勢力に巻き返されたわけか」

 「そういう、人種的なアレルギーじゃなくてさ。個人を見ようよ。個人を・・・」

 「民族主義とか、国家主義に曇らされるとさ。肝心な人間性で曇らされちゃうからさ」

 「そんなの頭の固いやつに言ったって・・・」

 「政治家は正論より、支持基盤を支えるための賄賂だし」

 「ったくぅ 議員は利権団体の代表だし。大多数の日本人は事勿れで媚びるし」

 「議員は、本当に国民を代表しているのか疑うよ」

 「航空業界は飛行機に乗らない日本人より、飛行機に乗ってくれる楚人だったんだがな」

 「ブリタニア機とVC10機売却で乗客が増えれば良かったんだけどね・・・」

 何人かが慌てて、ラウンジに入ってくる、

 「どうだった?」

 「駄目だ。ドイツ資本にやられた」

 「「「「・・・・」」」」

 「情報不足だったかな」

 「なんで、負けたんだろうね」

 「ジーンリッチがインチキしてるに決まってる」

 「アメリカ極東権益地が地続きで日本に頼らなくてもいいと思ったんじゃないの」

 「満州・朝鮮利権をアメリカに渡してしまうからだ」

 「まぁ 遠交近攻の原則に従うなら、価格プラスアルファでドイツ資本が有利だ」

 「むしろ、中国権力者の子供に天才が生まれる方に賭けるよ」

 「我が子かわいさか・・・」

 「権力層も頭が良くないと、特権を維持できない」

 「ドイツ帝国も、そこまでしてやるかね」

 「楚国は、一億以上の人口だし、周辺国を含めれば十億近い人口だ」

 「成長率を計算するなら金の成る木だろう」

 「税金が少なくて済むし、所得も誤魔化しやすい」

 「ふっ 本国の投資より、うまみが大きいから、どいつもこいつも、参入しやがる」

 「こういうのは、一度甘い汁を吸うと、やめられないからな」

 「まずったぁ・・・」

 「これでドイツ資本は、百数十人分のポストと波及効果分の収益の確保か」

 「老後が楽しみな奴は羨ましいね」

 

 アメリカ商人と楚国商人

 「バイオ作物はどうです?」

 「バイオあるか・・・」

 「わが社の種と肥料を買えば収穫は3倍以上ですよ」

 「アメリカのバイオ作物を使うと土地が薬付けになって痩せると日本人が言ってたある」

 「そんなことはない。日本人は、我々のバイオ作物を恐れてるのだ」

 「我が楚国も、バイオ商品を開発中ある」

 「まさか・・・」

 「本当ある」

 「土壌にアルコール、シンナー、覚せい剤、マリファナ、LSD、ヘロイン、コカイン、ニコチン」

 「依存性薬物を少し混ぜるある」

 「加工の段階でも依存性薬物を少し使うある」

 「常用性がつくあるから食糧支配で周辺諸国はイチコロある」

 「それは犯罪だろう」

 「わからないくらい、少しある。バレなければ平気ある」

 「・・・・・」

 「開発できたらアメリカにも売るある。二人で、お金持ちある」

 「・・・・・」

 

 

 アメリカ合衆国

 第二次世界大戦不参戦のせいか、

 中東戦争後も陸軍将兵は40万規模でしかなかった。

 とはいえ、アメリカ軍の海軍と空軍は突出している。

 砂漠の航空基地

 F14トムキャット、F15イーグル、F16ファイティング・ファルコンが並ぶ、

 政府関係者たち

 「日本がそうそうにMiG25を返還したらしい」

 「MiG25に見るべきものがなかったということか」

 「というより、設計技術が筒抜けという噂もあるぞ」

 「魔法でか?」

 「「「「・・・・」」」」

 「漏洩による軍事的打撃より、戦力的な価値を否定された政治的打撃が大きいと言えるね」

 「兵器市場ではソビエト製が軒並み低迷して、日英同盟製の売れ行きが伸びる」

 「計算づくの早期返還なら驚くべき感性だな」

 「亡命してきたベレンコ中尉の話しだと」

 「領空侵犯と同時にアロー2機に付けられ、トップスピードでも引き離せなかったそうだ」

 「そこから推測するなら、アローの電子戦能力は予想通りMiG25より高い」

 「それだけでもMiG25は、十分大きな功績だよ」

 「戦力は、質だけでなく量を含めるべきだろう」

 「CF105アローの定数だけなら日本・瑞樹に350機」

 「イギリス・カナダに100機」

 「バルカン・カフカスに100機配備だ」

 「機体数は、それほど多くないようだが」

 「日本の稼働率は90パーセントを超えてるらしい」

 「予備機を増やして、稼働率を落とす方が好みだね」

 「稼働率なんて戦時で高められなければ話しにならんよ」

 「イーグルでアローを撃墜できると思うかね?」

  重量/全備重 全長×全幅×全高 翼面積 推力 速度 航続力 機銃 ミサイル 乗員
CF105J 17815/31120 23.71×15.24×6.25 113.8 10453kg×2 3062km/h 1860km 30mm×1 8+4 2
F14 18191/32100 19.1×19.54(10.15)×4.88 52.5 9479kg×2 2517km/h 3227km 20mm×1 6577kg 2
F15 12973/30845 19.43×13.05×5.63 56.5 10640kg×2 3062km/h 3450km 20mm×1   1

 「どうかな。F15は、アロー開発国のカナダ、イギリスのアローが強いと思う」

 「しかし、日本のアローのチタン化と電子装備は、カナダやイギリスより進んでる」

 「肝心のエンジンはイギリスのライセンスものだろう」

 「基本的に同じ、見た目も同じだけどね」

 「チタンの比率は日本製が抜きんでてるよ」

 「日本のアローはまったく別物だと思うね」

 「B17より全長が長いのに戦闘機と空中戦をするのだからな」

 「Gを考えると・・・」

 「大きなカナード翼で機体に余裕があるのは悪くないさ」

 「イーグルの機体特性の優位は機外装備で低下している」

 「コンフォーマルタンクを装備することになったら豚のように太るかもしれないからな」

 「アローは外装なしでもいいから、レーダーに余計に映りやすくなることもないし」

 「機体特性を変えることなく、コンポーネントパットを換装するだけで兵装を変更できる」

 「対電子戦、対艦、対空、対地、巡航を自在に強化できるそうだ」

 「機体強度は?」

 「チタンに換装してるから、空中戦に支障はないと思うね」

 「日本のミサイルは、イギリス製の発展型だろう」

 「表向きそうだが機体内だと確認のしようがないよ」

 「日本は新型機の開発をしていないのか?」

 「いや、アローの改修はしてるようだが」

 「やはり、ステルス化?」

 「元々ECM・ECCM能力は高いが機体をステルス形状に移行させている」

 「噂ではレーダー波吸収素材も開発してるらしい」

 「そういえば整備性を向上させてたらしいな」

 「アビオニクスも大きくなってるから、火器管制で負けると厳しいな」

 「アローは民間機流用で自動航法が進んでる。その気になれば、無人で移動させられるらしい」

 「航空戦になれば、人間の方が強いよ」

 「どうかな、航空戦も、同時並列処理とプログラムの量だと思うね」

 「じゃ 日本もスーパーコンピューター搭載型の自律ロボット戦闘機に向かうわけか」

 「機体の大きさからすると可能だろうな」

 「しかし、完全に自律ロボット戦闘機にするなら全翼機にすると思うね」

 

 

 

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 月夜裏 野々香です。

 76年はぼちぼちです。

 01/02 「ハックルベリィの冒険」

 01/03 「まんが日本昔ばなし」

 01/04 「母をたずねて三千里」

 04/01 「大空魔竜ガイキング」

 04/02 「マシンハヤブサ」

 04/04 「ゴワッパー5 ゴーダム」

 04/06 「UFO戦士ダイアポロン」

 04/07 「新ドン・チャック物語」

 04/17 「超電磁ロボ コン・バトラーV」

 04/27 「ピコリーノの冒険」

 07/01 「グロイザーX」

 07/05 「ブロッカー軍団IVマシーンブラスター」

 08/06 「まんが ふるさと昔ばなし」

 09/05 「マグネロボ ガ・キーン」

 10/01 「キャンディ・キャンディ」 「恐竜探険隊ボーンフリー」 「ほかほか家族」

 10/03 「ポールのミラクル大作戦」 「花の係長」 「リトル・ルルとちっちゃい仲間」

 10/6 「ドカベン」

 10/07 「UFO戦士ダイアポロンII」 「まんが世界昔ばなし」

 10/12 「ろぼっ子ビートン」

 

 

  0次元 1次元 2次元
    点の連続 線の連続
  平面
       
 
  3次元 4次元 5次元
  平面の連続 空間の連続 並列空間の連続
  立体・空間 時空連続体 平行次元連続体(ガイア)
第01位相 個体 宇宙 ハビラ土地 クシュ土地 アシュル土地 宇宙(地球?)
第02位相 液体 時間 ピション川 ギホン川 ヒデケル川 ユーフラテス川
第03位相 気体 平行次元宇宙
第04位相 プラズマ 波動
第05位相 霊界・零体 重力  
第06位相 生体素粒子    
第07位相 斥力物質 (縞メノウ?)    
第08位相 魔法の杖 (ブドラフ木?)    
第09位相 (金?)    
第10位相      
第11位相      
第12位相      
       
  6次元 7次元 8次元
  立体次元連続空間 6次元の連続空間 7次元の連続空間
  多次元宇宙    
       
       

 

 

 広義的には、

  ※ ハビラ土地 ピション川 (アラビア半島 ?)

  ※ クシュ土地 ギホン川  (エジプト ?)

  ※ アシュル土地 ヒデケル川  (アッシリア ?)

  ※ ユーフラテス川         (イラク ?)

 実のところ、エデンの園がどこなのか、わかってません。

 

 

 

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第36話 1976年 『電子と幽子』
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