月夜裏 野々香 小説の部屋

    

タイムスリップ系架空戦記

『時空巡洋艦 露鳳』

 

 

 第06話 1946 『愛国貧乏』

 総力戦研究所

  “開戦後、緒戦の勝利は見込まれるが、その後の推移は長期戦必至であり”

  “その負担に日本の国力は耐えらない”

  “戦争終末期にはソ連の参戦もあり、敗北は避けられない”

 第1回日米総力戦机上演習(1941/07/12)は “日本必敗” で結論付けられていた。

 しかし、露鳳の出現により、情勢は変化していた。

 アメリカとイギリスは、想定内の国際情勢を作り出せるものの、

 突如出現した露鳳という想定外の脅威の対処に苦慮し、

 日本海軍に僅かな余裕を与える。

 第四機動部隊のインド作戦は、イギリス東洋艦隊を撃滅せしめ、

 その後、インド艦砲射撃と日本軍上陸と朝鮮人の強制移民を強行させた。

 それは、インド植民地大陸の解放と独立を意味し、

 イギリスの国際外交戦略での敗北を決定付けてしまう。

 露鳳の演算処理能力は、アメリカ軍の暗号を解き、

 いくつかの戦術的勝利は、アメリカ軍の戦略的な攻勢に影響を与えていく、

 マッカーサーは、ラバウル要塞への上陸作戦を渋り、

 アメリカ機動部隊は、中部太平洋を試み、マーシャル・ギルバート諸島を占領に成功する、

 その後、中部太平洋を西進する動きを見せたものの、

 未知の存在を示す北緯34度、東経148へと機動部隊全軍を差し向け、

 史上最大の海戦を起こしてしまう。

 アメリカ海軍は、13万の将兵と、

 レキシントン型2隻。エンタープライズ型空母3隻。空母ワスプ、

 エセックス型11隻。インディペンデンス型軽空母6隻、

 アイオワ型4隻。アラスカ型大巡2隻。重巡11隻。軽巡13隻。駆逐艦100隻を失い、

 ジャパンバーグ海戦と呼称し、

 イギリス海軍は、25000もの将兵と、

 インプラカブル型2隻、キングジョージ5世型4隻。重巡4隻。軽巡8隻。駆逐艦12隻を失い、

 オリエント海戦と呼称し、

 そして、日本は、25000もの将兵と、戦艦8隻。重巡9隻。軽巡13隻。駆逐艦56隻を失い。

 日本沖海戦あるいは黒潮海戦と呼称していた。

 一つの海戦が国家の帰趨と国際情勢の行く末を変えることは、珍しくなかった。

 フランシス・ドレーク率いるイギリス艦隊がスペイン無敵艦隊を打ち破ったアルマダの海戦がそうであり、

 ホレーショ・ネルソン率いるイギリス艦隊がフランス・スペイン艦隊を打ち破ったラファルガーの海戦がそうであり、

 日本の伊東祐亨中将率いる日本艦隊が清国艦隊を打ち破った黄海海戦がそうであり、

 日本の東郷平八郎大将率いる日本艦隊がバルチック艦隊を打ち破った日本海海戦がそうであり、

 日本沖海戦も日本国の帰趨を大きく変える海戦となった。

 アメリカとイギリスは新型暗号の開発に年月を要し、

 情報漏洩の真意を確かめるため大規模な作戦を控えなければならず、年月を消費してしまう。

 しかし、露鳳の計算機は、

 エニグマ(ドイツ)。M209、M325、SIGABA(アメリカ)。TypeX(イギリス)を自動的に解読し、

 例え新しい暗号機を作っても、

 それが機械式の暗号である限り、解読は時間の問題に過ぎなかった。

 

 

 密林

 銃弾が飛び交い草葉を散らし、木々で跳ねた。

 ニューイングランド島に潜入したアメリカ軍特殊部隊と日本軍守備隊が交戦していた。

 潜入部隊の装備は、U.S.M1カービン(7.62mm×33)小銃とトンプソンM1(11.43mm×23)短機関銃、

 日本軍守備隊は、44式(6.5mm×50)騎銃と100式機関短銃(8mm×22)が多かった。

 両軍とも死線を潜り抜け、否が応でも独特な発射音を聞き分け敵味方を判別する。

 とはいえ、日本軍は弾薬の不足で悩み、

 潜入部隊も補給難のためか、散発的な撃ち合いで睨み合うことが多かった。

 不意に発射音が伝わり、潜入部隊は身を隠す、

 89式重擲弾筒の榴弾の殺傷半径は10mに達し、手榴弾の2倍(150g)の破壊力だった。

 それが数百メートルほどの距離を山なりで落ちて爆発する、

 狙われると生きた心地がしない。

 「支援を頼む、後退する」

 “こちらブラボー。ラッキー火力支援する、そのまま、500m丘に近付いてくれ”

 「了解した」

 「ソロ中尉。日本軍は、6時から3時方向に展開しつつある」

 「ったくぅ ホワイト部隊は不利だぜ」

 「イギリス貴族の高貴さは、土を顔に塗りたくって変装しても隠せなかったか」

 「ああ! 深緑色のサンダーボルトに手を振る馬鹿がいたからだ」

 「どこの馬鹿だ」

 「お前だ!」

 「・・・日本の小銃は、命中率がいい」

 「木を盾に海岸線に行くと見せかけて、一旦、奥地へ逃げ込むぞ」

 「どこへ?」

 「んん・・・一番近い投下地点は・・・A22・B32に補給物資がある」

 「集合地点に付いたら火力支援を受けられはずだ」

 「このまま捕まるとスパイで銃殺だから、そこで、軍服に着替えるぞ」

 ニューブリテン島(35144ku)の日本軍将兵は15万に達し、

 その支配圏は全島に及んでいた。

 3式指揮連絡機が低空を旋回し、

 99式襲撃機が銃撃し、時折、爆弾を投下する。

 不意にブローニング機銃(12.7mm×99)の掃射が始まると、

 被弾した航空機と追撃部隊が後退していく、

 散開していた中隊は集結しつつ、集合地点で隠していた軍服に着替え、

 拠点へと後退していく、

 ニューブリテン島は、九州(39809ku)より僅かに狭いだけであり、

 特殊部隊が隠れ潜める場所も少なくなく、隠していた物資を掘り出し、

 弾薬を補充し、武器を手入れする。

 Cレーションの缶詰は、一人一日1000g分であり、

 中隊を200人で計算するなら、補給物資は1日200kg。

 10日分なら2000kgとなった。

 DC3輸送機1機なら20日分を余裕で空輸でき、

 生存率の高いB26、B25爆撃機なら2機で10日分の食料を余裕で空輸できた。

 あとは、潜入部隊の位置さえ確認できればよく、

 武器弾薬と可能な限りの物資を付け足して投下すれば足りた。

 日本の航空部隊は、基地防空で自由に動くことができず、

 アメリカ軍は、日本軍基地から離れた場所なら部隊を潜入させ、補給することができた。

 

 

 実験場

 曳航された機体がそばを横切ると、

 真空管式射撃用レーダーに反応してガトリング砲の砲塔が回り、砲身が上下し、

 機関砲が撃ち出され、標的機が被弾していく、

 「「「「おー!!」」」」

 「砲弾命中までの時差、相対距離、相対速度」

 「自艦と敵機のベクトル計算。三角法は、露鳳の計算機でやりました」

 「基本的に30mm砲の劣化版です」

 「あと、一つ一つの実証がまだです」

 「微調整が必要なら目測頼りで、こちらの操作盤でやることになりますが・・・」

 「敵機の速度に目測が追い付かないのが正直なところです」

 「露鳳の30mm並みなのかね」

 「いえ、精度でいうなら5分の1以下ですね」

 「そんなに低いのか」

 「露鳳の時代は、音速以上の戦いのようです」

 「なるほど・・・」

 「つまり、相対速度が小さいので何とか、命中しているだけと言えます」

 「しかし、これを全艦艇に装備できれば・・・」

 「「「「・・・・・」」」」 にや〜

 次の標的機が通り過ぎようとすると途中で砲撃が止まる。

 「どうした!」

 「真空管が壊れました。予備に変えます」

 「「「「・・・・」」」」 しら〜

 「・・・まだ、トランジスターはできないのかね」

 「これだと、艦橋が熱くなるだろうし、潮風は真空管にも良くない」

 「それは・・・予算を回してもらわないと・・・・」

 「ま、回しただろう!」

 「全然、足りませんな」

 「「「「・・・・・」」」」 憮然

 

 

 アメリカ海軍は45年以降も増強され、

 日本海軍は、横ばいだった。

 日本の採掘資源は増加中だったものの、

 総量の分配は、組織の派閥力学と事勿れな惰性と、

 正しいのか間違っているのかわからない空気によって割り振られていく、

 産業を維持するために必要な物資があり、

 産業を支える人々の生活も限界があった。

 日本産業が破綻しなかったのは、半島移民で貧困層の生活圏が確保され、

 中国の資源開発に成功し、必要な開発に成功したからに過ぎない、

 その結果、海軍だけでなく、陸軍の増強も後回しとなっていく、

 マル5計画は露鳳出現で破綻し、

 改マル5計画も中国資源発掘とラバウル沖海戦で捕獲艦艇を獲て大幅修正されてしまう。

 そして、半島移民と開発事業と日本沖海戦の結果、新マル5計画も大修正されていた。

 救いは、中国大陸の資源開発が進んだことであり、

 ニッケル、クロム、タングステンなどの希少金属を大量に採掘できたことにあった。

 戦略物資は取捨選択の後、兵器の品質向上に向けられ、安全性が向上し、

 陸海軍が究極の目標とする露鳳規格の開発製造も進められていく、

 クリモフTV3-117エンジンの消耗品の一部製造に成功し、

 オリジナル機の稼働率がまし、

 同型エンジンの開発製造にも弾みがつきつつあった。

 

 

 厚木航空基地

 エンテカナード型戦闘機の試作機のエンジンは外国製だった。

 ニューブリテン島に落ちたアメリカ軍機は多く、

 潜水艦で運ばれたドイツ製エンジンも少なくなかった。

 原物採寸複製などできないという設計開発者の声は、部品の複製が増えるにつれて薄れ、

 外国製エンジンは、クリモフTV3-117系エンジンの量産が可能になるまでの一時しのぎとなった。

  自重3525kg/全備重5300kg  ダブルワスプ2000馬力

  全長9.76m×全幅11.11m×全高3.55m 翼面積20.50u

  速度780km/h 航続距離1500km 20mm機銃×4

 赤レンガの住人たちは、急加速で上昇する震電を見上げる。

 「また開発生産事業に予算を取られた」

 「軍需産業より基幹産業が重視されることもあるさ」

 「海軍将兵がたくさん亡くなったから遺族年金と新兵給与と合わせて金がいるのにな」

 「だけど、正面戦力減らして、補償問題って、なんか、やる気失せるよね」

 「やっぱり、補償は半島の土地?」

 「最近は、ニューブリテンの土地もあるけど、半島の方が人気ある」

 「朝鮮人のインド強制移民を増やさないとな」

 「インドの朝鮮人は、日本の代理人になれそうなのか?」

 「まぁ 微妙だな。しかし、民族存亡は、日本が頼りだろう」

 「強制移民船は大丈夫なのか?」

 「まぁ 満洲の油田のおかげで輸送力はあるし」

 「アメリカ潜水艦も露鳳とアメリカホイホイと対潜ヘリのおかげで、かなり撃沈している」

 「それに通商破壊でアメリカ軍の攻勢力も低下させてるから、いい傾向だよ」

 「北東ニューギニア撤退で船を浮かせられたからでもあるね」

 「しかし、正面戦力が増えないとな」

 「また “この馬鹿野郎事件” が起きるかも」

 「「「「あははは・・・」」」」

 「あれは、東條が正しいよ。北東ニューギニア戦線なんて意味ない」

 「間違っているとしたら、誰も進退賭けて撤退命令を出せなかったことかな」

 「出すと殺されると思ったんだろう」

 「だから一方は内地を日干しにしてでも援軍を送ろうとし」

 「一方は北東ニューギニアを日干しにしてでも内地経済を守ろうとした」

 「相変わらず面子と事勿れと派閥原理で陰湿だな」

 「面子と事勿れの犠牲になる、戦場の将兵が哀れで仕方がないよ」

 「しかし、どうしたものかな・・・震電・・・」

 「性能はいいと思うよ」

 「外国製エンジンだと特にそう思うね」

 「火星だって捨てたものじゃないさ」

 「ああ、外国製エンジンの機体に乗りたくなるだけだな」

 「国産企業を育てろよ。非国民」

 「愛国国産企業に殺されるよりましだよ」

 「だけど、軍属家族の生活と直結してるからね」

 「従兄が国産エンジン機で落ちたら、国産を庇う気も失せるよ」

 「まぁ 国産主義が日本を追い詰めた可能性もあるがね」

 「自存自衛だろう」

 「自尊自滅ともいうな」

 「顧客としての価値が低下したのが列強から見切りを付けられた理由だな」

 「高い物を買わされて、産業が育たないのでは話しになんだろう」

 「産業は軍需だけじゃないだろう」

 「愛国に犠牲はつきものだよ」

 「愛国でたらふく食って良い生活してる連中だっているさ」

 「戦争している間は、基幹産業と軍需産業に注ぎ込むしかない」

 「「「「・・・・・」」」」 ため息

 

 

 ラバウル

 日本軍将校同士が殴り合い、

 双方の取り巻きが味方に付いて応援していた。

 「ふざけんな。こんな玄米や麦飯が食えるか!」

 「「「「そうだそうだ」」」」

 「うるせ。脚気で死にたいんか、お前ら」

 「「「「そうだ。正気になれ、馬鹿ども」」」」

 「おー 死んでやるわい。白米食えんなら今すぐ脚気で死んでやる」

 「ふざけんな。貴様。それでも帝国軍人か。我慢してパンを食え」

 「馬鹿言うな!」

 「俺たちは、帝国軍人である前に日本民族なんだよ」

 「そして、日本民族から選ばれたのが日本帝国軍人なんだよ」

 「帝国軍人が、そんな紅毛の食いもんが食えるか」

 「ふざけんな!」

 ばきっ〜!

 「やったな〜」

 ばきっ〜!

 カウンターパンチが炸裂する。

 ぐはぁ〜!!

 「人が増えて副食が減ってんのがわからんのか、このボケが!」

 「だ・か・ら・脚気になっていいって、言ってるんだろうが・・・」

 ばきっ!

 「ばっか、野郎!」

 ばきっ!

 はぁ! はぁ! はぁ! はぁ! はぁ!

 空襲警報が鳴り響く、

 

 深緑色のムスタング、サンダーボルト、ヘルキャット、ライトニングと、

 銀白色のムスタング、サンダーボルトが空中戦を繰り広げていた。

 時折、疾風、零戦、鍾馗が現れるものの主力となりえず、

 再出撃用の予備機扱いとなっていた。

 連合軍は、山岳鉄道を伸ばしつつニューギニア島北辺へ進軍し、

 ラエに飛行場を建設し、生還率を高めていた。

 さらにポートモレスビーから北西に向かう山岳鉄道も建設されつつあり、

 アメリカ航空部隊だけで、ニューブリテン島を孤立させる動きを見せていた。

 日本軍は、戦力不足で、一号輸送艦、二号輸送艦、旧軽巡の海上輸送で対処するよりなかった。

 港に一号輸送艦が停泊すると、鉄道機材、魚雷、旧式の艦砲、陸砲と弾薬が降ろされ、

 見たこともない大型トラックに物資が載せられていく、

 見た目でB24、B17の機材でトラックが作られているとわかる。

 「すげぇ よく作ったな」

 「落ちた敵の機材を集めて作ったらしいな」

 「何しろ、敵の部品だから大本営の許可も書類も必要ないし、かなり自由らしい」

 「それどころか、大本営は、戦利品欲しさにニューブリテン島に輸送しているようなものだ」

 「あの飛行場に面した中腹に地下格納庫があってな」

 「あそこに落ちた連合軍機の機体が集められて、組み立てられて、色を塗られる」

 「何機ぐらいあるんだ?」

 「さぁ 4000機から6000機は撃墜したらしいけど・・・」

 輸送物資が降ろされると、ラバウルの戦利品が載せられていく、

 「こんなに得られるなら、日本本土で防空戦やってくれたらいいのに・・・」

 「そういや、内地はダムやら発電所やら作ってたかな」

 「もう、戦争してる段階じゃないんじゃいかな」

 

 格納庫

 基地の整備士だけでなく、

 艦隊の機関士、整備士たちも揃っていた。

 「空母から降ろされて、こんな暑い島に追いやられるとは日本沖海戦の祟りだな」

 「海戦に勝ったせいで、艦艇整備が増えたからだろう」

 「田舎に帰ると思ったのに」

 「ったくぅ〜 生かさず殺さずの滅私奉公なんて、封建時代の農民以下じゃないか。面白くない」

 「なんか、うまみもなく、危機感もないと、モラル落ちるよね」

 「ここまで行くと趣味だな」

 「でもニューブリテン島の土地くれるってよ」

 「ちっ こんな最前線の土地貰ったって・・・」

 「取りあえず、命懸けで守れってことじゃないの」

 G40型ブルドーザー(4.6t)より大型のブルドーザーが現地で組み立てられていく、

 資材は墜落した米軍機のモノが使われ、

 一部、97式中戦車の予備部品が流用された。

 それは、15t級240馬力の大型ブルドーザーとなり、

 ラバウル鉄道建設の主役とった。

 

 

 

 ラバウル

 爆撃が始まると、地下司令部にも振動が伝わる。

 各地からの伝令と無線で被害が問われ、

 将校たちが地図を睨み、印を付けていく、

 「情報通り、今夜も夜間爆撃か・・・」

 「命令が勝ち過ぎず、負け過ぎずは余裕がある時だけ、いまは無理な命令ですよ」

 「機体性能で負けて、単純な数の問題じゃないからな」

 「それに潜入部隊の支援と補給の為の作戦でしょう」

 「爆撃部隊が来れば、基地防空部隊を出撃するよりありませんから」

 「潜入部隊が致命的な癌にならなければいいがな」

 「現在、確認されている米英の潜入部隊は、小隊から中隊まで全部で7隊です」

 「潜入部隊の目的は、上陸作戦の支援・・・」

 「あるいは、ポートモレスビーからラエまでの山岳鉄道を建設を守る為の陽動・・・」

 「あるいは、ヘリコプターの奪取と思われるな」

 「ヘリコプターの奪取は、無理があるのでは?」

 「いや、露鳳の情報だと狙いは、一番低い確率のヘリコプター奪取と考えているらしい」

 「欧州はイギリス空挺部隊がドイツ軍レーダー基地を強襲してレーダー装置を奪った前例がある」

 「またノルウェーの重水プラントの破壊でもイギリスの潜入部隊が活躍している」

 「そして、日本沖海戦後、米英海軍は制海権を弱体化させている」

 「この状況で潜入部隊の増援がニューブリテン攻略と考えるのも無理があるがな」

 「7つの潜入部隊を殲滅すべきでは?」

 「大本営から殲滅せず、包囲にとどめろと命令されている」

 「しかし・・・」

 「潜入部隊の位置も大本営からきている」

 「露鳳からの情報が確かなうちは逆らえんよ」

 「問題は、アメリカの上陸作戦が始まった時、日本軍に全島展開できる戦力がないことでしょうか」

 「そうだ。ニューブリテンは、鉄道の施設を中心に開発にかかっている」

 「生産力の工場は自給自足体制の工場に繋がり、同時に防衛体制も低下していく」

 「規模の大きな産業移民増加は、防衛に不利では?」

 「産業が軌道に乗れば衣食住は、内地からの輸送に頼らず済むだろう」

 「この、1、2年が正念場になるな」

 「艦隊が攻勢をかけてくれると良いのですが」

 「ニューブリテン島に艦砲を配置して、艦隊の温存だろうな」

 「ラバウル要塞は、文字通り日本の盾となるわけだ」

 「艦隊は、例の露鳳型火器の搭載のためですか?」

 「たぶんな」

 「アメリカ機動部隊は、次もアメリカホイホイに向かうと思いましたが?」

 「戦力比次第だろう。こちらが弱そうなら、こちらに向かってくる」

 「それで、潜入部隊殲滅を先延ばしですか?」

 「さぁあな。大本営がどこで戦いたいのか、まだわからんね」

 「しかし、ポートモレスビーとラバウルの航空戦力の差が開けば、機動部隊の支援は必要ない」

 「アメリカ海軍は、旧式戦艦部隊で上陸作戦をやってのけるだろうな」

 「その時、潜入部隊が癌になるのでは?」

 「こちらがアメリカ軍の情報を知っていることを知られたくないのだろう」

 「なるほど・・・」

 

 

 日本の総合化学研究所

 炭素繊維、プラスチック、シリコンの研究が進められていた。

 現物があっても存在している事実以上のモノはない。

 材質が理解できてもどうやって製造したのか不明だった。

 しかし、上層部に確証を疑われ、予算が渋られたりすることもなく、

 研究員は疑心暗鬼に囚われ、確信が揺るがず済んだ。

 むしろ、材質の多くが代用品であり、

 そのため質量の増加や稼働率の低下を招いていた。

 結果、研究所と工場に将校と憲兵が配属され、

 早く作れとせっつかれ、脳無し扱いされかねない状況といえた。

 露鳳の実験用電子計測器具とドイツ製の電子顕微鏡が並べられ、

 研究者たちが試作品の検証を進めていた。

 「露鳳の機材が回って来たのはいいとしても、こりゃ難儀だな」

 「まったくだよ。軍上層部は、よっぽど露鳳の技術が気に入ったらしい」

 「軍用は40年進んでいるし、電子機器は50年は進んでる」

 「たぶん、それと実験器具は、最先端のモノだな」

 「しかし、製造法が分かっても、最初から工場を作るとなると・・・」

 「技術と工業は別の次元だし、それを産業として軌道に乗せるのも別の次元だからな」

 「上がやれと命令して、簡単にできるなら魔法みたいなものだからな」

 「ふっ 軍隊は上意下達だからな」

 「しかし、科学技術も産業も蓄積とノウハウがなければな・・・」

 「日本は、列強からの盗用ばかりだし」

 「国内開発は、僻みやっかみで出る杭は打たれるし、想像性は育たないからな」

 「講和して、ゆっくりと露鳳の技術を熟成させれば、列強を後進国にできそうだけど」

 「主要企業は、そう思ってるだろうよ。以前とは、まるで空気が違う」

 「軍官僚と軍属の子息は、そっちの分野に退避しようとしてるらしい」

 「目聡いというか、小賢しいというか、聖域欲しがるし、金の鳴る方に行きたがるし、いやだねぇ」

 「そういえば日本が負けると断言していた将校も、痛み分けを狙えると前向きらしいな」

 「痛み分けか・・・」

 

 

 北緯34度、東経148

 九十九里浜から760kmの洋上、

 “浮かぶ飛行島(1938年)” が現実のモノとして顕現していた。

 既に作品として、公開されており、

 アメリカも幕露守が異世界と関連なく、日本軍の罠である可能性も捨てていなかった。

 しかし・・・

 青地のジオラマの上に350分の1サイズの露鳳の同型艦4隻が並べられ、

 凝り性の将兵たちが目を輝かせ、何人もかかって、木片を削り、

 定規で長さを測り、色を塗っていく、

 そして、櫓に仕掛けたアメリカ偵察機のガンカメラで撮影しようとしていた。

 参謀本部 第2部 謀略課(第8課) 謀略班(第11班)

 「ほぉ 喫水線から上だけの軍艦模型か・・・」

 「はい、映像では疑われるかもしれませんが、ガンカメラならなんとかして見せますよ」

 「艦隊は修理改装。予算も無くなると、こういう小手先に賭けるしかなくなるな」

 「後は、アメリカ軍の救命ボートにガンカメラを載せて流すだけです」

 「「「んん・・・欲しい」」」

 それは見事な出来のパノラマ模型だった。

 

 

 

 赤レンガの住人たち

 「日本が未知の世界から支援を受けられているという詐欺を続けるべきだ」

 「それには、アメリカの想像力を超えるような異世界の敵を演出し、演じなければならない」

 「どうしたものかな」

 「まず敵が露鳳の本隊をどう想像するかだ」

 「想像か、日本人が苦手とする分野だな」

 「アメリカが戦意を喪失させるような敵を仮定するとして、露鳳と無理なく調和できるかね」

 「別の世界のアメリカ連合国海軍の軍艦ということにしたら?」

 「火に油を注ぐ気か」

 「合衆国は、奴隷解放を思い直してるかも」

 「あははは・・・」

 「アメリカは、戦争のたびに黒人の人権を保障して妥協してる」

 「イギリスも戦争のたびにインドの独立が向上していたが・・・今回で終わったな」

 「黒人たちもそうだったらいいな」

 「では、黒人世界の援軍ということにしようか」

 「藪蛇になりそうだな」

 「んん・・・・では、未来のアメリカが現在のアメリカを制裁」

 「ふっ どこのB級映画だ」

 「「「「・・・・・」」」」

 「誰か、アメリカが完全に戦意を喪失するようなアイデアを出せよ」

 「「「「・・・・・」」」」

 

 

 日本海軍 艦隊総数

  第一機動部隊

   加賀、瑞鶴、翔鶴 (零戦114機、彗星74機、天山40機)

   初瀬(マサチューセッツ)、三笠(アラバマ) (Ka31 6機   瑞雲30機)

   利根、妙高、那智、

   吹雪、白雪、初雪、深雪、叢雲、綾波、敷波、朝霧、夕霧、天霧、暁、響、

 

  第二機動部隊

   赤城、飛龍、蒼龍 (零戦74機、彗星54機、天山63機)

   敷島(サウスダコタ)、朝日(インディアナ) (Ka31 6機  瑞雲30機)

   筑摩、高雄、愛宕、

   長波、玉波、涼波、藤波、早波、朝霜、早霜、秋霜、清霜

 

  第三機動部隊

   飛鷹、隼鷹、龍鳳、(零戦42機、99艦爆36機、97艦攻42機)

   長門、陸奥 (Ka31 6機 瑞雲60機)

   最上、三隈、古鷹、

   朝潮、大潮、満潮、荒潮、朝雲。早潮、夏潮、初風、雪風、天津風、

 

  第四機動部隊

   露鳳 (Ka54 5機、Ka31 10機 零戦40機、彗星30機)

   大鳳 (零戦30、彗星30機)

   大淀、

   秋月、照月、霜月、冬月、涼月、初月、新月、若月、春月、宵月、夏月、花月、

 

 

  第五機動部隊

   雲龍、天城、葛城 (零戦84、彗星54、天山24機)

   富士(ワシントン)、八島(ノースカロライナー) (Ka31 6機  瑞雲30機)

   阿賀野、酒匂、

   巻波、高波。谷風、野分、嵐、萩風、舞風、秋雲

   白露、時雨、村雨、夕立、春雨、

 

 

 戦艦部隊

  大和、武蔵 (Ka31 6機  瑞雲50機)

  千歳、千代田 (水上偵察機 瑞雲54機)

  9650t級軽巡 浅間(ホノルル)、

  1850t級駆逐艦 ききょう(ウィンスロー)、

  1500t級駆逐艦 しおん(ドレイトン)、あじさい(ラムソン)、

  1360t級駆逐艦 ばしょう(デイル)、

  長良、五十鈴、阿武隈

  川内、神通、那珂

  初春、子日、若葉、

 

 

 護衛艦隊

  祥鳳、

  松、竹、梅、桃、桑、桐、杉、槇、樅、樫、榧、檜、楓、

 

  瑞鳳、

  若竹、呉竹、早苗、朝顔、夕顔、芙蓉、苅萱、

 

  龍嬢

  峯風、澤風、灘風、汐風、秋風。神風、朝風、春風、松風、

 

 

 資金、資材、人材、土地など幾つもの資源を集め

 有機的に組み立てる想像力がなければ社会基盤は構築できない、

 近代化に不可欠な想像性、合理性、効率性を有する人材は少数派であり、

 想像力を具現化する様々な技術的な蓄積とノウハウと能力も必要だった。

 そういった人間は、命令と服従で成り立つ軍政で煙たがれやすく、

 非主戦派に多かったことから淘汰されることも少なくなかった。

 無論、兵器と武器は必要であるものの、

 生産する工場が必要であり、工場と兵器を動かす燃料も重要だった。

 むろん、社会生活を営むことができる衣食住の生活を確保してのことだった。

 しかし、戦争になれば人権、自由などの多くが犠牲を強いられ、

 税が取られ、男手も徴兵され、

 元々 脆弱だった社会基盤は、戦争で痩せ細り、

 社会的な苦境は結核患者を増加させ、

 死病傷者が社会的な負担も相乗的に累乗させる、

 

 一方、満州の竜鳳油田に石油精製所が建設され、

 半島に水豊ダムの発電を利用した大規模な工廠が建設されていた。

 それは、国家予算をはるかに超える規模の投資であり、

 なけなしの社会資本と人材と資材が引き抜かれ、

 多くの人々が貧困層へと転がり込んでいく、

 関係者たちが建設中の石油精製所を見上げる。

 「やれやれ、ただでさえ、生活苦なのに回収困難な開発か・・・」

 「それでも石油精製所や工廠なら、兵器や武器より利益を生みだせる」

 「しかし、大義名分があっても、こんな大物を建設すると一時的に生活が悪化するな」

 「戦場で戦ってる将兵は、いつ死ぬかわからん」

 「その苦労を思えば、それどころじゃないんだが」

 「だけどねぇ 表面的に万歳しているが庶民生活は悪化している」

 「配給が足りないから弱者から死んでるし」

 「そんな、お為ごかしと浪花節がいつまでも通じるものか」

 「いい加減、国民生活の向上を考えないとな」

 「守るべきものもなくなるから、自暴自棄になって犯罪も増える」

 「犯罪者増えれば被害者も増えて、社会全体で歪みを抱え込むことになる」

 「将兵と国民の怒りの矛先は、大本営と軍属に向かってくるよ」

 「下手をすると憎しみの対象は、陛下にも向けられるな」

 「陛下は関係ないだろう」

 「軍が散々利用したから、無関係と思われなくもないよ」

 「いい加減、自制すりゃいいのに」

 「それで食ってる軍属は、癒着しながら膨れ上がっていくし」

 「自分を聖域に入れるには、組織を肥大化させるしかない、無理そうだな」

 「プロパガンダ映画でも作れよ」

 「一般家庭の生活が悪化して、敵に見られると敵を利するだけだ」

 「かといって、映画と生活環境の開きが広がり過ぎたらプロパガンダにもならんだろう」

 「それに権力と権威で国民を抑え込んでいるだけだし」

 「攻めているうちは結束できても、守りに入ると規律が崩れやすいな」

 「たがが弛むとそんなもんだろう」

 「硬度高くても粘度低い全体主義の脆さってやつだな」

 「半島移民で貧困を緩和しているが、このままだと確かにやばいな」

 「このままだと、一億総結核死か、革命だぞ」

 

 

 

 朝鮮人をインドまで片道輸送するのは、船腹上、マイナスといえた。

 しかし、東南アジアは戦域から離れており、

 インド資源の輸入も可能になったことからプラスの要因が増え、

 日本は貧困層を半島移送できたことで秩序崩壊を回避していた。

 朝鮮民族のインド入植が幸運だったのは、インド人がカーストでバラバラだったこと、

 インド人が結束し、異民族に対処するより、

 日本軍、あるいは、朝鮮人と組み、

 積年の敵を打倒し、権力層に成り上ろうとする勢力がインド人の中に存在したこと。

 そして、武器を持った朝鮮人のバイタリティが高く、

 インドの海岸線において生存圏を確保してしまったことにあった。

 朝鮮人の入植人口が増大するに従い、結束しつつ数か所に集まり始めたことにあった。

 日本は、自由インド軍と朝鮮民族の双方のバランスを取りつつ、勢力を均衡させ、

 インドの間接支配、あるいは経済支配を目論んでいた。

 そして、自由インドの反英独立宣言は、戦争に一つの転機をもたらせる。

 イギリスの列強転落は決定し、

 もはや大国としての威信も喪失していた。

 インドの寒村港からイギリス潜水艦が出港する。

 数人の黄色人種が乗せられていた。

 「君は、一進会のメンバーだったな」

 「そうニダ」

 「日本の状況を知りたい」

 「日本は朝鮮人を裏切って国を奪ったニダ。許さないニダ」

 「一進会は日本の合併を喜んでいたのではないのかね」

 「朝鮮人は、半島を自衛できなかったニダ」

 「朝鮮人は、列強に人間扱いされてないから同盟はないニダ」

 「それに朝鮮封建社会は、害悪で守る価値がなかったニダ」

 「朝鮮の敵は外国でなく、李氏朝鮮と両班だったニダ」

 「それを終わらせ近代化させるためには、外国に併合されるしかなかったニダ」

 「1番良かったのは、イギリスに併合されることだったニダ」

 「2番目は、アメリカに併合されることだったニダ」

 「しかし、どちらの支配も近代化は低く、期待できなかったニダ」

 「3番目は、日本に併合されることだったニダ」

 「日本に併合されなければ朝鮮の因習を廃し、近代化も成しえなかったニダ」

 「第4の清国と第5のロシアは、李氏朝鮮支配より悪く、問題外だったニダ」

 「日本支配は悪くなかったと?」

 「日本支配は、李氏朝鮮より少し益しだったニダ」

 「なるほど」

 「そうニダ」

 「日本に社会基盤を作らせ、因習を廃した後、日本を煽って列強と戦争させ」

 「弱ったところで独立してやるつもりだったニダ」

 「じゃ 日本は弱る前に、半島から朝鮮人を追い出したわけだ」

 「酷い民族ニダ」

 「日本は、国内の近代化を進めているのかね」

 「それとも軍事力を強化しているのかね」

 「日本人を半島に入植させ、ダムと工場を建設していたニダ」

 「満州にも大きな石油精製所を建設しているニダ」

 「では、満州油田発見は事実ということか」

 「半島は日本人に奪われてしまったニダ」

 「朝鮮人にインドを支配させてくれるなら朝鮮人はイギリス人に従うニダ」

 「日本は、戦車を作っていたかね」

 「97式戦車と95式軽戦車ニダ」

 「では、新型ではないな・・・」

 「あと、トラックがたくさん増えていたニダ」

 「あと、盾の付いた車で土を押していたニダ」

 「「「「・・・・」」」」 たら〜

 

 

 一つの会戦で失われた死傷者は、第一次世界大戦が上位を占めていた。

 その多くが数カ月に及ぶ陸戦結果の総数であり、

 一晩と翌日の追撃戦で戦死者13万人は、史上最大規模で比類をみなかった。

 そして、敗北したのは、アメリカ海軍だった。

 とはいえ、国力比でアメリカは、やや有利であり、

 日米の戦力が逆転するわけでなく、戦力比が縮まったに過ぎない、

 日本は、最大限に背伸びした状態でアメリカに戦争を仕掛け、

 これまで蓄積した疲労を回復させなければ立ち直れない、

 アメリカは、平時において力を溜め、屈んでいた状態から戦争を受けて立っていた。

 アメリカは、緒戦で出鼻を挫かれ、

 中盤でカウンターパンチを食らっても戦意は高く、

 社会基盤は無傷で、資源が続く限り、兵器と武器を生産できた。

 アメリカの幸運は、日本沖海戦を命じたルーズベルト大統領が亡くなっており、

 現第33代大統領トルーマンの失態と認められなかったことだった。

 アメリカ合衆国

 日本沖海戦の映像が流れ、写真判定され、将兵の証言が集められ、集計されていく、

 アメリカ軍の対処は、合理的で、その行動も理詰めといた。

 一方、マスコミ対策となると違ってくる、

 理詰めではなく、感情的な扇動能力が必要とされる。

 そして、当然、アメリカ海軍に日本沖海戦の合理的な説明が問われるのであるが失敗する。

 「なぜ、あのような海域で海戦がおこなわれたのか?」

 「「「・・・・」」」

 「なぜ、アメリカ太平洋艦隊は、日本沖にまで遠征しなければならなかったのか?」

 「「「・・・・」」」

 アメリカ海軍は、SF、

 あるいは、ファンタジー的な要因に対処するようにできていなかった。

 それが現実であってもマスコミが信じる保証もなく、

 まして、日本の事情を知る財界は、尚更信じられない部類に属する事柄だった。

 さらに軍事機密に達する核心部は教えられず、

 その結果、証拠写真を提示し、中途半端な回答をしてしまう。

 「日本海軍は浮かぶ巨大空母要塞を日本沖に建造し」

 「黒潮に乗せ、アメリカ西海岸を強襲しようと試みていた可能性があり・・・・」

 と言ってしまった瞬間、マスコミと財界は、顔色を失い、

 次の瞬間、騒然とし、

 ついには、アメリカ大統領とアメリカ軍首脳部の知性を疑い始める。

 アメリカ太平洋艦隊主力艦艇の大半を喪失し、

 愛する夫を失った未亡人と、

 戦死した御子息を抱えていた母親は、黙っていなかった。

 そう、わざわざ向かってくるのならアメリカ西海岸沖で殲滅すれば事足りる。

 それが、どんなに大きな海上大要塞でも、大陸と戦って勝てる兵站に達しない、

 アメリカ太平洋艦隊を孤立させ、大要塞に向かって突撃させるのは馬鹿げている。

 ハイスクールの学生でさえ、地の利と戦力比で有利な海域で戦う。

 それを軍事学を学んだ専門家が不利な日本沖に貴重な艦隊を突撃させ、

 壊滅させられてしまったのだ。

 

 ホワイトハウスの前に群集が集まっていた。

 白い家

 「日向撃沈は、公表したのかね」

 「はい。ですが、収まりそうにありませんな」

 「我々は、戦略的に間違っていない」

 「むろんです」

 「しかし、日本が未知の世界と連合し」

 「世界支配を試みようとしているなど公表すれば政治的投身自殺でしょう」

 「この状態でも十分に政治的致命傷だよ」

 「しかし、他に言いようがあったのではないのか」

 「日本沖といっても日本本土から720kmほどの距離です」

 「双発爆撃機は、往復攻撃可能ですが」

 「双発爆撃圏内に入る前に、こちらの航空攻撃は可能です」

 「戦闘機の片道攻撃に足りても、往復攻撃には足りませんし」

 「なので、最悪、巨大空母と機動部隊の航空機を計算すれば足ります」

 「そして、最悪の状況にあってもアメリカ機動部隊は有利でした」

 「ランチェスターの法則でだな」

 「日本は、別の法則を持っているのではないのか」

 「その可能性はありますね。X艦とヘリに限っていうなら異常です」

 「そのために無理な攻撃をしたようなものですから」

 「日本沖海戦時、陽動に失敗した理由は?」

 「情報漏れです」

 「情報漏れの事実は公表できない、利敵行為の範疇になる」

 「政府や軍は、国民には伝えられない事があるのだ」

 「それを損失が多かったぐらいで、愚痴愚痴と・・・」

 「問題は、日本がどの程度、別の世界から支援を受けているかだが?」

 「それは最重要情報だよ。残念ながら情報が得られていない」

 「本当は単発的な支援か、偶発的な現象なのでは?」

 「持続的な支援を受けられているように見せかけているだけかもしれない」

 「だとしたら不幸中の幸いだな。想像性に欠けているが」

 「想像力が失敗の原因では?」

 「想像性のない失敗より、想像力のための失敗の方が10倍益しだ」

 「どちらにせよ。情報の確認を急がせよ。中途半端な情報では駄目だ」

 「より多くのより確実な情報を最優先で欲しい」

 「ニューブリテンの作戦は?」

 「潜入部隊は作戦中です」

 「もし情報が握られていたら殲滅されているはず」

 「つまり、日本の情報収集が酷く限定的なものか」

 「それとも、全て知られていて、知らない振りをしているのでは?」

 「それは、短慮な日本人が最も苦手とする気質であり」

 「むしろ、それは、我々の戦略です」

 「「「「・・・・・」」」」

 日本の情報は不明瞭であり、

 アメリカの情報は日本に筒抜けとなっていると噂が飛び交っていた。

 アメリカ軍は疑心暗鬼に陥り、大規模な作戦を恐れ、

 小規模な作戦を散発的に繰り返すだけだった。

 そして、そのことが日本に余裕を与えてしまう。

 

 

 イギリス ロンドン

 ドイツ本土爆撃は、防空能力の高い基幹産業の爆撃から、

 防空能力の低い周辺産業の爆撃へと移行していく、

 それは、ドイツがバトルオブブリテンで勝利しつつあるという事実であり、

 東部戦線でソビエト軍の攻勢を辛うじて挫くことで達成されていた。

 不意に爆音がロンドン市内を襲い、爆炎を立ち同心円状に周囲を破壊する。

 音より早く命中するため爆音で築くこともなく、

 気付いた時には手遅れだった。

 弾頭1tのロケットが着弾すると爆心地から500mに大小の被災が及ぶ。

 ダウニング街10番地

 「・・・忘れ物を取りに来たが、まだ運が良いようだな」

 首相は、破壊されていない首相官邸を見回す。

 「急いで、後方に下がるべきです」

 「ああ、まったく、ドイツの卓越した技術力も怖いが、日本の常軌を逸した兵器も怖い」

 「それがくっ付くと思うと夜も眠れんよ」

 「日本の兵器全般はまだ。二流のようです」

 「異世界技術を上手く組み込めていないと考えていいでしょう」

 「日本は無理でも、ドイツの技術なら可能かもしれん」

 「何としても、日本とドイツを行き来するUボートを撃沈せよ」

 「しかし、太平洋に護衛艦と輸送船を取られてますし」

 「Uボート狩りに護衛空母と護衛艦を割くと、船団護衛に穴が生まれ被害が増します」

 「構わん、日本の例の技術がドイツに入ったら手がつけられん」

 ドイツの潜水艦保有数は、減少していた。

 300隻以上のUボートがインド・太平洋へ移動し、

 日本海軍に200隻のUボートが増え、

 100隻以上のドイツ海軍Uボートがインド・太平洋で通商破壊を行っていた。

 それであるにもかかわらず大西洋の輸送船団は、護衛空母、護衛艦の不足で苦戦し、

 Uボートの暗号解読は失敗していた。

 

 

 

 オアフ島沖

 多くの将兵が上空と海面など、全周囲に気を配り、張り詰めた空気を広げていた。

 世界最強の機動部隊でありながらも、死と隣り合わせといった妙な緊張感に包まれ、

 飛行甲板に並んだ艦載機に注目する。

  自重7380/全備重11670kg  2100馬力×2

  全長13.8×全幅15.7×全高5.1  速度740km/h  航続距離1900km

  20mm機銃4丁  12.7mm機銃4丁   雷・爆907kg

 

  自重5429/全備重11340kg  2800馬力

  全長11.84×全幅15.25×全高4.78  速度520km/h  航続距離4800km

  20mm機銃×4  雷・爆3600kg

 

 45000t級空母パールハーバー 艦橋

 「双発戦闘機F7Fタイガーキャットと、単発攻撃機A1スカイレイダーか」

 「スカイレーダーはわかりますが」

 「双発戦闘機のタイガーキャットは、コルセアと比べ、微妙ですね」

 「レーダー装備で夜間飛行も可能。時速740km/hで一撃離脱できるのなら悪くない」

 「しかし、怖いのは、日本の戦闘機群じゃない」

 「日本のワイバーン(ka31)とグリフォン(Ka54)が脅威ですか?」

 「そうだ。夜襲で空母に大打撃を与えた」

 「翌朝から空襲してきた彗星、天山は同じ次元のモノだ。数さえ揃えれば、どうにでもなる」

 「しかし、あの2機種ヘリの電子戦能力は次元が違う」

 「艦載機でありながら空母パールハーバーの電子戦能力を超えている」

 「「「「・・・・」」」」

 「まだ、X艦とヘリの情報が手に入らないので?」

 「中立国ソビエト経由は当てにならないし。ドイツの暗号も変更されている」

 「当然、南イタリアも日本の情報は得られない」

 「ドイツに情報を伝えているのでは?」

 「ターボシャフトエンジンは教えているらしいが、電子機器は伝えていないようだ」

 「その電子機器は、真空管ではないのでは?」

 「我が国の研究者によると、何かの素子と電気信号の可能性があるらしい」

 「やはり、日本技術と全く違う技術体系で成り立つ別の勢力が混在してますね」

 「怖いのは、未知の技術を日本の兵器体系に融合させた時でしょうか」

 「その通り、大陸で資源を手に入れた日本は、未知の力を融合しつつ力を蓄えつつある」

 「本来なら矢継ぎ早に攻撃を仕掛けるべきなのだ」

 「現状の戦力比では苦しいですね」

 「それに、もし、未知の世界から増援が日本になされていたら、まず勝ち目がないとも言われている」

 「じゃ それが潜水艦だったとしたら・・・・」

 「「「「・・・・」」」」 ごっくん!

 艦橋の全員が深い青色の洋上を見つめる、

 

 

 日本の近代化は、それまで年貢だった米の徴収を税金の徴収に変え、

 国民から集めた税を予算として殖産興業に投資し、産業を育てることから始まる。

 学校制度は、もともと高かった識字率の成果、日本人の教育水準を押し上げ、

 政府の予算の誘導先に人材と資材が集まり、

 権力営利癒着構造を構築し、着実に大きくなって聖域を形成する。

 社会資本を再回収し、排他的にもなり、貧富の格差は拡大する。

 しかし、国内需要だけの重要で、帝国主義的な近代化は成り立たず、

 より多くの生産品を製造するための資源と、

 生産品を販売できる市場を必要とした。

 海外への押し売りは、軍事力を背景とし、

 同時に国産産業を防衛するための盾ともなった。

 軍事力増大は、営利より国益重視となっていくものの、

 再生産の効かない生産は、国内産業を消耗させてしまうものの、

 一旦、巨大化した権力営利癒着構造は、歯止めを知らず膨れ上がっていく、

 国家予算は、次第に圧迫され、

 日本の軍産複合体は、軍需バブル崩壊の秒読みを遅らせようと画策し、

 日清戦争、日露戦争、日中戦争で日本経済は破局する、

 軍需バブルは収縮を拒み、膨張するため暴走し、日米開戦に至る、

 庶民生活は困窮し、現産業の運転資金すら底をついてしまう。

 「正面装備削減だと〜?」

 「止むにやまれない事情があって」

 「ば、馬鹿野郎〜!」

 「な、なにをいいますか」

 「「「「・・・・・」」」」 しら〜

 露鳳の技術融合と大陸資源の開発で正面装備は縮小し、萎んでいく、

 

 ニューブリテン島 ラバウル

 はぁ! はぁ! はぁ! はぁ! はぁ!

 ばきっ!

 ぐはぁ!

 「いい加減に玄米を食いやがれ」

 ばきっ!

 ぐふっ!

 「島で作ってる米ぐらい精米しやがれ」

 ばきっ!

 ぐはぁ!

 「お前らを脚気で死なせたくないんだよ!」

 ばきっ!

 ぐはぁ!

 「白米食うために命がけで戦ってんのがわかんねぇのか!」

 ばきっ!

 ぐはぁ!

 「「この分からず屋!!!」」

 ばきっ! カウンター

 ぐはぁ!

 空襲警報が鳴り響く、

 

 深緑色と白銀のムスタング、ライトニング戦闘機が敵と味方入り乱れ、航跡を交錯させる。

 ラバウルからポートモレスビーまで800kmだった。

 日本軍はラバウルからニューブリテン南部のキンビ(534km)へ鉄道を伸ばして航空基地を前進させ、

 アメリカ軍はポートモレスビーから北東ニューギニアへと鉄道を伸ばし、

 ラエ(632km)、マダン(750km)へと航空基地を前進させていた。

 ニューギニア戦線は、350〜480kmと接近し、航空戦も激しさが増していく、

 とはいえ、アメリカ航空部隊の攻撃は、中小規模攻撃が多く、

 情報がどれだけ漏れているのか、探りを入れる攻撃であり、

 日本航空部隊は、暗号解読していることを悟られないような迎撃を繰り返していた。

 アメリカ軍パイロットは、聞き取り難い無線に毒づく、

 新型無線機は、送信する前に電波を変調させ、

 さらに受信した後に変調した電波を復調させていた。

 これなら平文でも日本側に筒抜けにならない、

 英語を理解する日本軍パイロットは少なく、

 さらに数刻で勝敗がきまる機体無線に必要ない機能と思えた。

 しかし、日本の暗号解読技術を調べなければならず、

 白銀色サンダーボルトを旋回させつつ高度を上げていく、

 サンダーボルトの戦い方は決まっている、

 頑丈な機体と上昇させ、味方同士で相互支援しつつ連絡を取り合い、

 獲物を見つければ急降下で撃墜する。

 例え、後ろを突かれ、機銃掃射を受けても頑丈な機体は、簡単に落ちない、

 敵機は、長時間追撃しなければならず、隙ができたところを僚機が撃墜する。

 敵味方が同じ機体を使っていても、同じ戦法になった。

 ムスタングは、サンダーボルトより脆弱な代わりに多彩な格闘戦も可能だった。

 どちらも機体の特性に合う機動で戦い、なかなか勝負がつかない。

 視界の片隅に深緑色の機体を見つける。

 「8時敵逆行・・違っ・・」

 深緑色の機体は、逆進しならがらバレルロールして、機体を後方に滑らせた。

 「新型機だ!」

 深緑色のエンテカナード機の編隊が空中戦に乱入すると、

 20mm機銃4丁の掃射が白銀色のサンダーボルトをバラバラに四散させ炎上させる。

 アメリカ爆撃部隊は、新型機の出現に騒然とするものの、

 プロペラ機と知ると落ち着きを取り戻し、

 同水準の航空戦が展開されるとで、得体のしれない恐怖が薄れていく、

 互角なら機体数を増やすだけで済む、

 機体性能で負けても、勝てるまで機体数増やせばいいと考える事ができた。

 それは、ワイルドキャットやウォーホークで、零戦と戦ってきたアメリカのタフさでもあった。

 

 

 日本沖海戦後、回収改装を終えた艦艇が復帰すると、欠けていた陣容が埋まっていく、

  第五機動部隊

   雲龍、天城、葛城 (零戦84、彗星54、天山24機)

   富士(ワシントン)、八島(ノースカロライナー) (Ka31 6機  瑞雲30機)

   阿賀野、酒匂、

   巻波、高波。谷風、野分、嵐、萩風、舞風、秋雲

   白露、時雨、村雨、夕立、春雨、

 

 富士(ワシントン)、八島(ノースカロライナー) (Ka31 6機  双発水上機2機)

  38000t 全長240m×全幅33m×吃水9.64m

  121000馬力 速度30kt 航続距離25700km/14kt

  45口径356mm3連装砲2基 65口径100mm連装砲6基

  60口径25mm6束ガトリング砲 8基。

 それは、対戦艦戦闘を考えられていない目的不明な大型戦艦といえた。

 戦艦の役割が対戦艦戦闘から、

 艦隊護衛、遠距離索敵、対潜哨戒、物資運搬など、

 汎用多目的大型艦へ移行する過程だとすれば、あり得た一つの形ともいえた。

 3連装2基の砲塔が右舷側に旋回し、

 6本の砲身が上下していた。

 火器管制システムは、口径の大型化に比例して巨大化する、

 主砲が45口径406mm3連装3基から45口径356mm3連装2基へと火力が小さくなっても、

 発射装置が改良され、レーダー射撃が望まれ、火器管制システムは肥大化してしまう。

 その多くが歯車の組み合わせであり、

 技術の集積と地道な苦労は、大変なものだった。

 金剛型、扶桑型、伊勢型など、これまで流用できるものを流用し、

 露鳳の計算機を使って割り出した数値を歯車に変えて当てはめていく、

 また、上空を飛ぶ観測ヘリの検測値も計算値に入れ込まれ、

 砲塔が微調整し、砲身が上下する。

 そして、砲口から火が吹き出し、

 撃ち出された356mm砲弾6発は、放物線を描いて標的艦を挟叉した。

 公算射法は弾数が多い方が集束させやすく、命中率が高まる。

 富士(ワシントン) 艦橋

 「3連装3基なら1発は当たっていたな・・・」

 「だがこの段階で、この結果なら悪くない」

 「露鳳の計算機は、優れものだな」

 「ああ、小さな箱なのに計算能力は、射撃盤を超えている」

 「是非欲しいものだが・・・」

 「そういえば、モドキヘリも性能不足だな」

 「列強では最強ヘリのはずだが・・・」

 「ふっ どうしてもオリジナルと比較してしまう」

 「現状では、どうしても作れないモノがあるようだ」

 「何としても作って欲しいな」

 「工場の建設予算を聞いたら、そうも言ってられんがな」

 「そんなに?」

 「ああ・・・」

 複合素材の一つ一つが精度と品質を保つため、巨大な工場を必要とし、

 早期建設は、予算を組み直さなければ不可能な規模だった。

 

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 月夜裏 野々香です

 日本沖海戦後、

 アメリカとイギリスは、疑心暗鬼に陥って、大規模な作戦が困難になってます。

 一方、日本も、衰弱した国力を回復させながら時間を稼ぐ為、作戦不能です、

 国家経済を立て直せるでしょうか。

 

 

 日本人の白米信仰と民族病の脚気

 江戸時代の頃、玄米食中心だった日本食は、富裕層を中心に白米食へと移行、

 白米食は、たちまち日本人の味覚を魅了して庶民へと広がり、

 同時に脚気も江戸患いとして全国的に増大していきました。

 原因は、精米したことでビタミンB1が不足し、心不全と末梢神経障害を起こしたためでした。

 漢方医療で、蕎麦治療、麦飯治療、小豆治療は、伝えられてましたが一般的でなく、

 脚気の原因は、明治なっても「米食(白米食)原因説」「伝染病説」「中毒説」で分かれ、

 結核と並ぶ二大国民病となっていきます。

 大正末期、2万5000人が脚気で亡くなり、

 その後、不況で副食が乏しくなると脚気死亡者も増していきます。

 日本海軍は、コルベット艦 龍驤の犠牲と、コルベット艦 筑波の検証の結果、

 1890年に海軍糧食条例を公布し、

 日清戦争前に麦と白米の混合で脚気を減らしたものの、

 陸軍は、伝染病説を取る陸軍一等軍医正(大佐相当)軍医学校長の森鴎外に後押しされ、

 腹一杯、白米食って、

 日清戦争

   脚気死者4064人/脚気患者4万1431人 > 戦死者977人/動員24万000人

 ほど亡くなりました。

 日清戦争後も陸軍は、白米主義が是正されず、

 森鴎外は、自己保身なのか、脚気を克服した海軍の麦白米混合を批判し続け、

 さらに “白米の陸軍、玄米の海軍” と、情報操作で陸軍の勢力拡大に利用、

 陸軍と軍医監(少将相当)森鴎外の白米信仰は、日露戦争まで続くことに・・・

 日露戦争

   脚気死者2万7800人/脚気患者21万1600人 < 戦死者3万7200人/動員108万8000人

 師団の一部は、大本営に逆らって現地調達で凌ぎ、

 からくも戦死者は、脚気死に勝りました。

 というか、死因を書き換えて捏造したか、脚気で死ぬ前に突撃させたかも、

 森鴎外、恐るべし、

 作家でもあるのですが、大衆(日本人)の趣向を味方に付けた圧倒的な支持基盤でしょうか (笑

 ここまで来ると敵の清国軍やロシア軍より怖い味方です。

 清国とロシア帝国に表彰されそうですが、

 日本らしく、陸軍軍医総監・陸軍省医務局長(中将相当)に就任 (笑

 その後も、日本国内で脚気原因説を決められず、

 これも日本らしく、欧米でビタミン欠乏症が発表されるまで待つことに、

 1917年頃には、国内の大勢も米食(白米食)原因説に決まっていくのですが、

 信者は、白米信仰をやめなかったそうです。

 日本陸軍に白米信仰がなければ、戦力2割増し、死者4割減で、もっと有利に戦えたでしょう、

 その後も、日本国民全体で、年間1〜2万人が脚気で亡くなり続け、

 1940年、国家総動員法により精米が制限され、玄米食で脚気死亡者が減少しました。

 まぁ 玄米より、白米の方がおいしいですが (笑

 陸軍将兵の銀シャリ人気は高く、

 海軍将兵も麦を故意に海に投棄したり (笑

 太平洋戦争中も脚気死は、いたのではないだろうか。

 そして、白米信仰は、民族病といえるほど根強く、

 自衛隊食で復活〜!

 添加物と一緒に炊かれ、栄養学的に補完されてるのでしょうか

 志願兵が減るのが怖いのでしょうか

 副食が確保されている間は続けるのでしょうか

 救援物資で避難民に玄米を出して怒られない為でしょうか (自分は怒るというか、ブツブツいう)

 ここまで来ると、白米信仰をやめられない人は、麻薬に手を出すなという感じです、

 いろいろあるのでしょうが、やっぱり日本人は、民族病に勝てんのか、ちょっと不安。

 

 

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第06話 1946 『愛国貧乏』
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