月夜裏 野々香 小説の部屋

    

タイムスリップ系架空戦記

『時空巡洋艦 露鳳』

 

 第20話 1960 『腐れっぷりがたまりません』

 コングロマリットと呼ばれる異業種間多角経営がアメリカで試みられていた。

 中国大陸で信託企業が作られ匪賊と結びつきシンジケート化たのも、

 その派生といえる、

 結果、外資資本と匪賊が連合するシンジケート群が中国を支配していく、

 大陸シンジケートの人身売買は、漢民族を植民地開拓に送り、

 東欧・バルカ人とアフリカ人を中国大陸へ移民させた。

 漢民族は英仏植民地の開発を採算ベースに押し上げ、

 アフリカ植民地に急増した漢民族は、現地に根付くとシンジケート化し、

 宗主国と組んだ中華シンジケートは、アフリカの独立運動を封殺していく、

 雲南省

 ドイツ系シンジケート 総合ビル

 バルカン・東欧シンジケートの統制は執れなくなりつつあったものの、

 白人社会は勢力拡大による生存圏の確保のため、積極的に利益を求め始めていた。

 そのため列強と様々な取引が行われ、

 雲南省は白人世界へと変貌していく、

 「東欧・バルカン諸民族を雲南省に送って、中国人を英仏植民地開拓に送ってか」

 「ドイツ・イギリスの確執も経済がからむと共同作業になってしまうんだな」

 「イギリスもインド人が使えなくなると、中国人を代わりに使おうとするから悪徳だな」

 「インドは不良人口を輸出できなくて、困ってるらしいけど」

 「その上、インドは変なモノも抱え込んでるし」

 「「あはははは・・・・」」

 「そういえば、アメリカがヘリコプターを売り込みに来てたっけ」

 「あの安っぽいの?」

 「民間は安いから売れるんだよ」

 「特にシンジケートは・・・」

 「まぁ この辺は、朱雀、海燕を飛ばす価値もなさそうだからね」

 「しかし、アメリカも雲南省に白人がいる方がいいと考えるようになったら決定的かな」

 「雲南省が南米みたいになった方が都合がいいからね」

 「そういえば、昨日。アフリカ大陸が中国人に占領される夢を見てしまったよ」

 「あははは・・・・・」

 「中華民国は6億人以上。アフリカ大陸3億人いない」

 「中国人同士で殺し合ってくれてるのに実質、増えてるからな」

 「人口を考えたら余裕でアフリカ大陸を呑み込んでしまいそうだ」

 「日本人が人口問題は水・食糧問題とエネルギー資源問題を引き起こすと提言してる」

 「是非、情報開示を求めたいねぇ」

 「そうそう、例え、将来的に危機に陥っても目の前の利益に飛びつくのが国だしね」

 「個人は自制がきいても、組織権益や国益が絡むと難しいからね」

 

 

 UH1イロコイが未開の大地を飛ぶ、

 そこが中国大陸であれ、アフリカ大陸であれ、似たような会話がなされてしまう、

 「この土地ある」

 「いいのかい、我々に売って」

 「売るある。希少金属、たくさん、たくさん、採れるよろし」

 「・・・ああ・・・質問していいかな」

 「なにあるか」

 「国益って、考えたことないのか」

 「国を売っても自由と成功を手にするある」

 「それに中華民国に精製能力がなかったら宝の持ち腐れある」

 「そ、そうか」

 「アメリカの市民権が欲しいある」

 「そ、そりゃ もう・・・」

 「良かったある、アメリカは話しが早くていいある」

 「単一民族は壁があって駄目ある」

 「ドイツと日本は、みすみす商売を棒に振る皮っ被りの包茎民族ある」

 「そ、そうなんだよ。あいつら器が小さくてさ。困った連中だよ」

 「そうある。この辺を平らげて始末するからヘリと武器も売って欲しいある」

 「売った!」

 「やっぱり、アメリカは太っ腹ある」

 「「「「あは、あはは、あはははは・・・・」」」」

 

 

 日本

 日米包括貿易協定が調印される、

 これは、日本航空産業がアメリカ民間航空業界に依存し、

 アメリカが日本製中低級品購入の制限を撤廃する協定になっていた。

 日本の国勢は、供給過剰で危機的状況のアメリカ航空産業を助けることに反発する勢力と、

 利潤の大きいアメリカ中低級製品の輸出制限撤廃に賛成する勢力に分かれ、

 さらに両派の勢力拡大は、親独派、親米派、左右両派を離合集散に抱き込み、

 国勢を二分して荒れていく、

 民権派の総本山

 「あいつらときたら、何でもかんでも国家権力機構にしまいこもうとしてるところが気に入らん」

 「そうニダ。民意を信じない限り、民間は活力を得られないニダ」

 「特に右翼連中は、我田引水で嘘ばっかりだ」

 「そうある。よくないことニダ」

 「んん・・・」

 「いま、困ってるニダ。何でもするニダ」

 「数が少なさそうだしな」

 「増やす当てがあるニダ」

 「そうなの?」

 「あるニダ」

 「そうだなぁ・・・」

 「何でもするニダ!!!」

 

 

 国権派の総本山

 「まったくぅ いつもいつも足を引っ張りやがって」

 「きっと、選挙で負けた僻みニダ」

 「地域格差とか貧富の格差を埋めたら残業しなくなるし、怠けるようになるだろうが」

 「左翼は綺麗ごとばかりで人間の本質を理解してないニダ」

 「んん・・・」

 「いま、困ってるニダ。何でもするニダ」

 「数が少なさそうだしな」

 「増やす当てがあるニダ」

 「そうなの?」

 「あるニダ」

 「そうだなぁ・・・」

 「何でもするニダ!!!」

 

 というわけで・・・

 『『泥かぶれる連中だし、なんかの時に役に立つか・・・』』

 『『組織が大きくなるほど影も大きくなるからな』』

 「「例えば、どういうことができるの?」」

 『『囲んで線路に落とせるニダ』』

 「「キャッチコピーは “あなたの恨み晴らせます” ニダ」」

 「「まぁ 用事ができたら、あとで連絡するわ」」

 「「あ、ありがたいニダ!!!」」

 

 

 

 新聞が刷られ始めていた。

 “同和問題” “部落問題”

 「まず弱者救済に見せかけながら、同和部落の存在を日本人に宣伝して意識させるニダ」

 「うんうん」

 「報われていない日本人がいることを伝える善意ニダ」

 「おおおぉ〜」

 「それから同和の素性と差別されていることを一杯書くニダ」

 「おおおぉ〜」

 「同和は日本人から差別されていると意識し始めるニダ」

 「おおおぉ〜」

 「我々が日本人に成り済まして、全力で同和を差別するニダ」

 「おおおぉ〜」

 「我々が同和人に成り済まして、全力で悪いことするニダ」

 「おおおぉ〜」

 「そして、同和の悪い噂を日本人に一杯流すニダ」

 「おおおぉ〜」

 「日本人が同和部落に白い目を見せるようになったら」

 「日本人と同和人を憎み合わせるニダ」

 「おおおぉ〜」

 「そしたら、我々が同和を助けながら出版業に入り、国家予算を貰うニダ」

 「おおおぉ〜」

 「善意と正義で同和人を左翼と右翼で分け合うニダ」

 「おおおぉ〜」

 「儒陀予備軍&所得倍増計画ニダ〜♪」

 「おおおぉ〜」

 「仕事をとるニダ!」

 「「「「仕事をとるニダ!」」」」

 「仕事をとるニダ!」

 「「「「仕事をとるニダ!」」」」

 「仕事をとるニダ!」

 「「「「仕事をとるニダ!」」」」

 「まんせ!」

 「「「「まんせ!!」」」」

 「まんせ!!」

 「「「「まんせ!!!」」」」

 「まんせ!!!」

 「「「「まんせ!!!!」」」」

 

 

 

 大東亜共栄圏 インドネシア独立。

 日本軍の撤収前の農地解放は、

 余剰資本を有する既得権益の破壊という短期的な損失と

 中央集権と民衆への機会という中長期的な利益をインドネシア州にもたらした。

 この功罪は短期的に日本の利益となり、中長期的に損失となったものの

 日本資本は小さな租界に基盤を置き、

 インドネシア権益に食い込むことに成功していた。

 インドネシア 日本租界

 市長室で現地の新聞が読まれていた。

  “儒陀藩皇国で日本のスパイ23人を発見”

  “儒陀軍は夜間土砂降りの中、11kgの完全武装で90km走破させ”

  “死亡した将兵に身寄りがなかったことから綿密な調査を行った結果”

  “日本人のスパイと断定”

  “日本の関係各省に問い合わせたところ、返答がなく”

  “儒陀藩皇国は、祖国に捨てられた哀れで脆弱な日本人23人を不憫に思い丁重に葬った”

  “儒陀スポークスマンは、儒陀軍将兵は走破後も泰然自若としており”

  “日本軍将兵は疲労すると奇声を発しながら奇妙な暴走を行った”

  “儒陀将兵は、日本将兵の10倍の戦力である事がわかり満足している”

  “さらに、今後日本の儒陀諜報活動は制限されるであろうと・・・”

 『そうか・・・』 合掌

 「市長。空港に大陸シンジケートの先遣隊が到着したようです」

 「んん・・・」

 写真がテーブルに載せられる。

 「予想してたとはいえ、軍政を終わらせて独立した途端に大陸シンジケートの浸透か」

 「華僑と連携し、華僑シンジケートが強化されるかもしれません」

 「彼らは一人が一個の国家みたいなものだ」

 「組織依存型の日本人と違って、自らの意思で引金を引ける」

 「日本人は、ヤクザであっても上位者の確認で躊躇しやすい」

 「それに暴力は最後の手段なのだが、彼らはその前段階で撃つから不利だな」

 「通常商取引が脅迫に左右されてしまいますし」

 「日本資本は補償が大き過ぎると、採算不能で引くことになるかも知れません」

 「んん・・・暴力で国や社会を支配するやり方は面白くない」

 「どうしたものか・・・」

 「しかし、日本でも潰しの効く在日を使う連中がいるようですし」

 「まぁ 利用してるうちはいいけどな」

 「作るより、足を引っ張ったり壊す方が楽だし」

 「権力保持と権力交代を望む勢力のどっちも抱えてそうだな」

 「日本も依存し過ぎると、イニシアチブを奪われる可能性もありますね」

 「人間の欲望を利用する事に長けてるからね」

 「まぁ 儒陀の本国は遠い、影響力があっても高が知れてるだろう」

 「インドネシアが華僑シンジケートの暴力に屈するのはまずいかと」

 「かといって、今更、再占領などできないし・・・」

 「インドネシア人が日本軍軍政時代を懐かしんでくれるといいな」

 「インドネシア政治は始まったばかり」

 「モラルも低く、官僚機構もチグハグで行政は継ぎ接ぎだらけ。まずい状況なのでは?」

 「結局、インドネシア国民が自らを律し害虫を駆除し、国政を勝ち取れということだろう」

 「それが国家というものだからね」

 「それでは・・・」

 「独立したということは親離れしたということだし」

 「余計な事をしても煙たがれて反感を買うだけだし、成り行きを見守るしかないかな」

 「それでは邦人に被害が及ぶのでは?」

 「インドネシアが暴力に屈して支配されたいなら、そうさせればいいさ」

 「実入りが減っても日本製品の品質が増せば売れ行きに支障はないよ」

 

 

 日本

 日本航空 格納庫

 購入したボーイング707が並び始めていた。

 そして、日本で消耗品のライセンス生産が始まり、

 ボーイング社に逆納品する準備も進んでいく、

 「国際線はこのままとして、国内線は段階的にケブラーか、カーボンに張り替えていくべきだろうな」

 「設計図は?」

 「あるけど、精度が甘いね」

 「日本はICコンピューターでCADもあるけど」

 「アメリカはトランジスターでCADはこれからだからね」

 「本当は民間機も国産開発したい」

 「民間航空産業で負けた振りして、中低級品で輸出攻勢をかける計画なんだろう」

 「需要の少ない航空産業で争ってもしょうがないよ」

 「しかし、プラット・アンド・ホイットニーJT3Dはいまいちだな」

 「出来立てほやほやのターボファンエンジンだからね」

 「日本じゃ もう瑞燕で使ってるよ」

 「露鳳の情報は軍用に偏り過ぎてるし、アメリカが民間開発で補完してくれるのなら丁度いいじゃないか」

 「あ、あと、垂直尾翼を大きくしないと駄目だってさ」

 「ふ〜ん」

 

 

 

 硫黄島 (23.16ku 標高169m)

 硫黄の採取とサトウキビ、コカ、レモングラスの栽培がなされていた。

 「こんな硫黄臭い島を戦場にしたかもしれないって本当かな」

 「露鳳の情報だと俺の死に場所らしいよ」

 「レーダーサイトは、地熱発電で足りそう?」

 「んん・・・飲料水もだから大規模な工事になるかもね」

 「むしろ、レーダーサイトを置くなら」

 「北硫黄島(5.57ku 標高792m)か、南硫黄島(3.54ku 標高916m)がいい」

 「港もないし。硫黄島と違って、生活が難しいからな」

 「ヘリポートを作って空輸するしかなさそうだし」

 「本当に島流し気分にさせられそうだな」

 「下っ端はともかく、キャリア士官が赴任したがるかどうか」

 「むしろ、そういう経歴を経ないと昇進させたくないね」

 「しかし、火山島だから原子力発電はまずいし。地熱発電は、うまみがなくてな」

 「「「・・・・」」」

 

 

 厚木基地

 飛行場から瑞燕(MiG29Kラーストチュカ)が飛び立っていく、

 新素材開発が進むにつれ、戦闘機の仕様はオリジナルに近付き、

 性能は徐々に向上していた。

 「オリジナルを超えるのはいつになるやら」

 「その前に瑞鶴(Su33ジュラーヴリク)に切り替わるかも」

 「エンジンの開発が進んでいるのか?」

 「いや、素材生産かな」

 「瑞鶴の方が作戦能力が高いし、防空しやすいんだが」

 「ところで、爆撃機をどうするって?」

 「地対地ミサイルにするんだと」

 「どうして、そういう手抜きをするかな」

 「戦闘機の数が少ないし」

 「新素材の工場を建設するから、今回は、あきらめろって言われた」

 「アメリカ機動部隊が攻撃してきたらどうするんだよ」

 「こっちも核持ってるし。口実がないんじゃないかな」

 「まぁ いいか、元々 瑞燕は、戦術戦闘機だから対地攻撃しやすい機体だから」

 

 

 

 未来科学研究所 (Future science laboratory : F・S・L)

 数々の研究と思考錯誤と実験の蓄積により、

 露鳳のプラスと海底のマイナスをテスラコイルを使いながら融合させると次元磁石が精製される。

 次元磁石の誕生により、時間(電流)と空間(磁界)の関係が明らかとなり、

 次元移動における理論で右ネジの法則とフレミングの法則の適用が発見され、

   フレミング右手の法則 (磁界を導体が移動する時、誘起した電流の向き)

   空間で重力が増減した時の時間の流れ、

     親指     導体の移動方向 ⇒ 重力(質量)

     人差し指   磁界の方向 ⇒ 空間

     中指     電流、起動力の向き ⇒ 時間

 

   フレミング左手の法則 (磁界で導体に電流が流れる時の電磁力の方向)

  時空潮流で次元磁石に甲時間潮流が流れる時、時空力の方向

    親指     電磁力の方向 ⇒ 光(次元磁石)ローレンツ力により次元移動

    人差し指   磁力線の方向 ⇒ 空間

    中指     電流の方向 ⇒ 時間

 となって、次元移動モーターが作られるなら、平行世界移動の可能性も示唆されてしまう。

 「基本的に時間の流れに対しては順守だが時間の流れは世界ごと異なる」

 「時間の勢いが強い方が、空間も広いということかな」

 「戻った時、浦島太郎みたいになるのか」

 「いや、自分が年寄りになったり、若返ったりすることはないよ」

 「しかし、そうなると、甲時間潮流2012年の露鳳は未来じゃなく」

 「平行次元世界の乙時間潮流1942年の我々の世界に来ただけということにならないか」

 「いや、あの実験のテスラ電圧は大き過ぎたし」

 「テスラコイルが暴走して時間を逆流した可能性は否定できないよ」

 「次元断層を超える衝撃波が心配かな」

 「次元移動は、時間移動より衝撃波が小さいと思うけど」

 「しかし、もう少し、研究すべきだろうな」

   

 露鳳の素材が削られ砂鉄状に粉砕されたモノと、

 海底から回収したモノを精製してプラズマ状にしたモノを塗しながら塊を作り

 たたら吹き、水減し、積沸かし、鍛錬(下鍛え)、積沸かし、

 鍛錬(上鍛え)、鍛接と沸延べ、素延べ、火造り、空締め、生砥ぎ、土置き、焼き入れ、

 鍛冶押し(かじおし)、茎仕立て、樋掻き、下地研(したじとぎ)、銘切り、仕上研(しあげとぎ)、

 といった工程を経て・・・なぜ日本刀なのか、

 銃刀法違反という規制と供給力過剰という相反する産業だからといえる。

 いろいろ理由があるものの宿業的な伝統と言わざるを得ない、

 また、強靭な刀身は、銃砲より多様な検証が可能だからともいえる。

 100を超える刀身は、それぞれ実験用、予備用、保存用に分けられ、

 違う組成と作り方がされ・・・

 研究者たち

 「どうだい?」

 「B22が一番、構造が安定していいようだが」

 「結局、テスラーコイル。露鳳のプラス素材。海底のマイナス素材がカギということか」

 「欧米諸国もテスラーコイルと海底のマイナス素材との関連性に気付いているのでは?」

 「だとしてもおかしくない」

 「しかし、核になる露鳳を保有してるのは日本だけだ」

 「つまり次元モーターを作れるのは日本だけということね」

 「うん」

 「そうなると露鳳を解体して、次元移動用の船を建造しないとな」

 「葉巻型UFOがいいのでは?」

 「そうだな・・・」

 

 

 

 ケブラー、セラミック、カーボン、シリコン、チタンといった素材の生産が増えていた。

 民間需要による大量生産でないものの

 新素材は軍、行政、大企業の中枢部で使われていた。

 電子と工作機械の精度の向上は採算性と品質に反映され、

 日本製品の国際競争力は向上し、輸出は拡大していた。

 企業収益と賃金増加は、巡り巡って財政に転化され、

 公共設備の建設も増加していく、

 素材生産が増えれば、軍への割り当ても増加し、

 軍の航空機と艦艇などの性能も向上していた。

 この時期、相模(さがみ)型巡洋艦の装甲は船殻と一体となったモノコック構造と

 舷側に配置されたVLSを守るものでしかなかった。

 にもかかわらず軽量で強靭な艦体は、旧時代の装甲に準ずる防御力といえた。

 ハワイ沖

 9000t級相模(さがみ)型巡洋艦 讃岐(さぬき)

 30mm口径・6砲身のガトリング砲(30mm×165)が火を噴き上げ

 ロケット弾の弾道を追いかけ、撃破していく、

 年々増強される攻撃力に対し、

 装甲による防御は困難というより不可能と予測されていた。

 露鳳のCIWSシステムは、艦の外に張り巡らした防御結界といえるモノで、

 レーダー射撃によって接近してくる物体を撃破することができた。

 艦橋

 日本軍将校たちが次々に破壊されていく無線標的機に感動する。

 「悪くない」

 「数が当たれば戦艦の主砲弾の弾道を狂わせられるだろう」

 「爆発が無理でも、砲弾を横向きにさせられるなら威力は半減する」

 「巡洋艦クラスだと小口径防弾だから、横向きでも当たれば命取りかもしれないがね」

 「ステルス技術の導入はいつ頃に?」

 「20年くらい先のはずだけど、国際情勢の変化が与える影響もあるからな」

 「どちらにしろ露鳳を過剰評価されたくないから、後出しになるね」

 「民間航空産業で退いた割に、うま味がないな」

 「いやいや、アメリカはドル高が好きだから利潤が大きいし、対米貿易は増大中だよ」

 「ふっ アメリカ人も自分の労働価値が高いと信じたいのはわかるけどさ」

 「巡り巡って自分ところの産業が空洞化させたら駄目だろうが」

 「選民主義、利己主義、帝国主義、個人主義、全体主義」

 「どこの国民も自らの傲慢に足元をすくわれるからね」

 「自業自得?」

 「まぁね」

 

 

 面積6kuの小島に全長3km級滑走路2本が建設されていた。

 風力発電と小型原子炉で作られる電力で淡水化された水が水槽タンクに溜まり、

 溢れた水は、貯水池に溜まった後、水路を流れ、小川となって海に流れ込んだ。

 捕鯨基地で作られた肥料は、島の作物を育てる肥料としても使われ、

 島の風景を一部変え、

 風力発電が増加すればさらに風景が変わると予測できた。

 現地の人と政府筋の人

 「いま建設中の風力発電機が動けば、原子炉は止めても間に合いそうだな」

 「使い捨て型の原子炉だから、淡水化プラントを動かして農業用水として使ってくれ」

 「日本に原子力発電所を作るために?」

 「そうそう。宣伝になるし」

 「島の生態を変えてしまうのはどうかと思うが」

 「生鮮野菜を越冬隊に供給できる方がいいだろう」

 「割高な野菜になりそうだな。少し大きめの人工湖にするか」

 「おいおい、今度は、自分たちで貯水池なんて掘らないでくれよ」

 「役人がドカタ仕事なんてやったら、何もやってない俺たちが白い目で見られるし」

 「はいはい」

 「業者入れるから。ある程度、軌道に乗ったら民営化すれば上手いことやってくれるだろう」

 「お役所仕事か・・・」

 

 

 滑走路に早期警戒機アマテラスと対潜哨戒機スサノオが並び、

 同じ水冷ディーゼルエンジン装備の4発輸送機が配備されていた。

 輸送機ツクヨミが南極の昭和基地へと飛び立っていく、

    自重26000t/全備重56000t

    ユモ224改 水冷ディーゼルエンジン5000馬力4基

    全長32m×全幅28m×全高9m

    速度740km 航続距離18000km

 輸送機は、コンピューター制御が進み、

 悪天候でも自機を見失うことなく飛行できた。

 そして、天候さえよければ砕氷艦より経済的に物資を南極に輸送できた。

 

 滑走路脇の休憩所の鉄板で鯨肉が焼かれていた。

 「たまには牛肉が食いたい」

 「捕鯨基地で鯨肉が多いのはしょうがないよ」

 「捕れ立てのミンククジラは美味いから日本に戻っても鯨肉を食べる気しない」

 「それは言える」

 「でも内地じゃ 牛肉が強いって」

 「やっぱりなぁ」

 「なに? 牛肉派?」

 「満州牛はビール飲ませてるらしいよ」

 「へぇ〜 じゃ 鯨にビールを飲ませるか」

 「あははは・・・」

 

 

 日本の戦勝は、日本人の傲慢を引き出し、

 一つの形として労働運動の増大という形に繋がっていた。

 そして、戦前戦中の軍部に対する過剰反応も生まれる、

 某所

 「上手く、刺すニダ」

 「・・・・」

 「とっても偉い人が期待してるニダ。愛国ニダ」

 「・・・・」 こくん

 『日本の共産化は、延辺朝鮮族と儒陀が困るニダ』

 『それに、これで日本の左右が憎み合い、対立が激化するニダ』

 『収入も増えるニダ』

 その日、衝撃的な映像がテレビに流れた。

 

 

 特高に捕えられた儒陀人が刑務所へと送られていく、

 囚人バス

 「助けてニダ」

 「もうしないニダ」

 「お前、3回目だな」

 「お願いニダ」

 「落ちつけよ。強姦罪の刑期は3年未満だろう」

 「まぁ 半年じゃないか、我慢しろよ」

 「許してニダ。本当に反省してるニダ」

 「大丈夫だって・・・煙草吸うか、誰にも言うな、特別だぞ」

 こくん、こくん

 「美味しいだろう。おちつくぞぉ」

 ふぅ〜

 「じ、自分は儒陀人じゃないニダ」

 「本当は、日本人の隠し子ニダ」

 「ほう、誰の?」

 「伊藤博文の血縁ニダ。隠し子ニダ」

 「じゃ 秘密は守らないといかんなぁ」

 「あああ、違うニダ。本当は、西郷隆盛ニダ」

 「日本の韓国併合を心から喜んでいたニダ」

 「そうか、そうか」

 「本当に日本人の隠し子の山田太郎ニダ」

 「うんうん」

 「先祖は豊臣秀吉ニダ」

 「おお〜 それは凄い」

 「そうニダ。凄い日本人の血統ニダ」

 「日本民族はアジアの希望ニダ。日本民族は有色人種の太陽ニダ」

 「そうか、そうか」

 「みんなで結束して白人をやっつけるニダ。今度は手伝うニダ」

 「そうか、そうか」

 「だから助けてニダ。何でもするニダ」

 「そうか。お勤め、頑張ってこいよ」

 「助けてニダ〜!!!!!!!」

 

 特高刑務所の屋上

 「助けてニダ」

 「もうしないニダ」

 「お前、3回目だな」

 「お願いニダ」

 「落ちつけよ。強姦罪の刑期は3年未満だろう」

 「お前、半年じゃないか、我慢しろよ」

 「許してニダ。本当に反省してるニダ」

 「大丈夫だって・・・煙草吸うか、誰にも言うな、特別だぞ」

 こくん、こくん

 「美味しいだろう。おちつくぞぉ」

 ふぅ〜

 「じ、自分は儒陀人じゃないニダ」

 「本当は、日本人の隠し子ニダ」

 「ほう、誰の?」

 「乃木大将の血縁ニダ。隠し子ニダ」

 「じゃ 秘密は守らないといかんなぁ」

 「あああ、違うニダ。本当は、日本の偉い人に頼まれて強姦したニダ」

 「じゃ 秘密を守らないと駄目だな」

 「あああ、違うニダ。そんなことないニダ」

 「悪い日本人の妻もいたニダ」

 「夫の悪口を子供と近所にいいふらしてたニダ」

 「他人の男を引き入れたり、子供を叩いたり」

 「保険に入れて、祖父と祖母と夫に洗剤食べさせたり」

 「食っちゃねばかりで、豚みたいな女だったニダ」

 「日本の家庭を守ったニダ」

 「そうか、そうだよなぁ それは、いいことしたなぁ」

 「悪い日本人の夫もいたニダ」

 「酒ばっかり飲んで、妻を働かせて叩いたり、子供を蹴ったり」

 「いつも暴力の男だったニダ」

 「人助けもしたニダ」

 「日本人に頼まれて、いいことしたニダ」

 「そうか、そうだよなぁ それは、いいことしたなぁ」

 「日本の韓国併合を心から喜んでいたニダ」

 「そうか、そうか」

 「儒陀の事、残念だったけど全然恨んでないニダ」

 「そうか、そうか」

 「本当に日本人の隠し子の山田太郎ニダ」

 「うんうん」

 「先祖は豊臣秀吉ニダ」

 「おお〜 それは凄い」

 「そうニダ。凄い日本人の血統ニダ」

 「日本民族はアジアの希望ニダ。日本民族は有色人種の太陽ニダ」

 「そうか、そうか」

 「みんなで結束して白人をやっつけるニダ。今度は手伝うニダ」

 「そうか、そうか」

 「だから助けてニダ。何でもするニダ」

 「そうか・・・」

 「助けてニダ〜!!!!!!!」

 ひゅる〜る〜

 ばたっ!

 「あ、こいつ、飛び降り自殺しちゃったよ」

 「刑務所に入ったくらいで、シャイだな」

 「半年我慢すればシャバに出られたのに、なんか、自殺が多いな」

 「この前も弁護士がここから飛び降りたし」

 「なんか、嫌なことでもあっただろう」

 「世も末かねぇ」

 「まぁ こいつらだって、自殺に見せかけて日本人殺してるし」

 「1000に一つもないような例外で助かるわけがないだろう」

 「1960年10月10日12:00時。本名は何だっけ・・・」

 「読めねぇ」

 「まぁ いいか、山田太郎。火病で飛び降り自殺と・・・」

 「初日で飛び降り自殺なんて、せめて、昼食ぐらい食べて逝けばよかったのに・・・」

 「「「「・・・・」」」」 にや

 

 

 インド

 公園のアメリカ人たち

 「儒陀人は日本人より、比較的大柄な気がするな」

 「間引きしてるからね」

 「韓国人は奇形をすぐ殺すし。頭が悪いと思ったら子供のうちに殺してしまう」

 「どうやって?」

 「親がやる時もあるけど、誘拐が多いだろう。その中の何割かはね」

 「なるほど」

 「だから生き残ってる子供は、比較的、体格がよく頭がいいというわけさ」

 「小国だからスパルタ式というわけか」

 「というより、自然の摂理と言えなくもないが人間的ではないね」

 「一方、いまの日本は昔と違って、奇形でも育てるところがある」

 「文化的な差異が大き過ぎるような気がするな」

 「日本人の方が良心的で付き合いやすいのだが・・・」

 「どちらかというと、日本と友好的な関係な方が国際的に有利な気がするね」

 「不幸な関係は貿易を拡大させて是正してるだろう」

 「日本の民間航空産業を潰して?」

 「どちらかというとX艦の調査のためかな。あいつら独占しやがって」

 「なにか、わかった事でも?」

 「日本は、購入した民間機をすぐ改良している節がある」

 「本当に?」

 「日本の航空会社の国内線は、採算性で1.2倍有利だそうだ」

 「ほぉ 賃金格差だけの利潤じゃないとは思っていたが・・・」

 「機体重量を半分に落としてる噂もあるよ」

 「まさか・・・」

 「日本に関してはいろんな憶測があるからね。在日に情報を頼るのは悪くないよ」

 

 

 儒陀藩皇国 アメリカ駐留地 日本語学校

 「先生。日本の文化を知りたいニダ」

 「日本の文化?」

 「調べたけどあれは文化とは言えないニダ」

 「薄っぺらで内容の乏しい取るに足らない、小日本鬼の住む国ニダ」

 「あんなクズみたいな文化は堪えられないニダ」

 「せ、せんせい・・・」

 

 儒陀皇帝府

 ぱたっ! ぱたっ! ぱたっ! ぱたっ!

 ぱたっ! ぱたっ! ぱたっ! ぱたっ!

 ぱたっ! ぱたっ! ぱたっ! ぱたっ!

 「暑いニダ〜」

 「皇帝。在日が刑務所で自殺したそうニダ」

 「儒陀が自殺するわけないニダ。性根の腐った日本人に殺されたニダ」

 「日本人に抗議するニダ。謝罪と賠償を要求するニダ」

 「日本人を悪く言わないインド人に謝罪と賠償を要求するニダ」

 「日本人を滅ぼせなかったイギリス人に謝罪と賠償を要求するニダ」

 「日本の倫理を滅ぼすニダ」

 「日本の政治を滅ぼすニダ」

 「日本の文化を滅ぼすニダ」

 「不満を煽って、誹謗中傷を繰り返して、安定させないことニダ」

 「派閥政治と世代交代を利用して食い込むニダ」

 「不正腐敗のあるところに需要があるニダ」

 「馬鹿どもは次の権力に付きたがって我々の力を欲するニダ」

 「権力の座に付けたら引き摺り落とすニダ」

 「自虐日本と暴走日本を演出して、両勢力のお零れに預かるニダ」

 「在日は殺し屋として日本で活路を見い出すニダ」

 「悪化良貨を駆逐させるニダ」

 「日本で素晴らしいモノは全て儒陀人のやったことニダ・・・」

 「皇帝。大変ニダ」

 「どうしたニダ」

 「インド人が儒陀民族をマンティコアと呼んでるニダ」

 「マンティコアとは、なにニダ?」

 「これニダ」

 絵が見せられる。

 「ひ、酷いニダ」

 「赤い毛皮は民族の怒りと欲望を表してるニダ」

 「コウモリの翼は、動物でも鳥類でも化ける事を表してるニダ」

 「あとサソリの毒針24本は、儒陀の毒舌の種類と言ってるニダ」

 「ライオンみたいな形相は気質と際限のない欲望の持ち主で」

 「軍隊すら食い潰して人を食らう生き物だと言ってるニダ」

 「酷いニダ」

 「儒陀民族の毒舌は、たった24本じゃないニダ。無数にあるニダ」

 「そうニダ」

 「とんでもない言い掛かりニダ」

 「我々 儒陀は仏教でいうところの悟りを開いた民族であり」

 「儒教で言うところの真人ニダ」

 「マンティコア扱いは、儒陀民族を著しく貶め過小評価する誹謗中傷ニダ」

 「インド人に謝罪と賠償を要求するニダ」

 「インド人の誹謗中傷をやめさせないイギリスに謝罪と賠償を要求するニダ」

 「誹謗中傷に遭ってる儒陀を助けず黙ってる日本に謝罪と賠償を要求するニダ」

 

 

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 月夜裏 野々香です

 淡々と戦後が流れていきます。

 どことなく悪巧みとか。

 どこの勢力も聖域を作りたがって、均衡状態から出し抜きたがってるとか。

 

 

誤字脱字・感想があれば掲示板へ

第19話 1959 『浸蝕 悪発症 自滅 伝染』

第20話 1960 『腐れっぷりがたまりません』
第21話 1961 『人はそれを悪と呼ぶニダ』