月夜裏 野々香 小説の部屋

    

タイムスリップ系架空戦記

『時空巡洋艦 露鳳』

 

 第22話 1962 『自分より馬鹿が安心』

 満州帝国

 他国に投資し回収できず奪われる。

 これをカントリーリスクという、

 例えば投資したものが盗まれ、どこに消えたか分からず、

 現地警察に届けると警察からガソリン代を要求され、

 犯人は捕まらず奪われたモノも戻ってこない、

 気付くと警察にモノが盗まれていた。

 泣きっ面に蜂なのだが後進国では珍しくもない、

 回避するもっとも単純な方法は実効支配だった。

 日本は、満州帝国の政治・経済・軍事で実効支配することでカントリーリスクを回避し

 莫大な利益を上げていた。

 反日運動は芽の間に摘むことができ、

 中華民国に追放か、

 特高によって闇から闇に葬られていく、

 

 

 満州帝国

 日本人に強要されたモラルと法制度と権力機構によって治安は安定していた。

 竜鳳(大慶)油田は日本列島、扶桑半島、満州帝国のエネルギーを支え、

 機械化された農業によって穀物生産性は増し、

 山積みとなった穀物が加工食品となってソビエト、中華民国、日本へ流れ、

 対価の資源が日本に供給される。

 資源を加工する製造業が河川と路線沿いに並び、

 商業的にも発展しつつあった。

 国土が広がり人口気薄となって効率が低下した経済を満州市場と資源が支えていた。

 ハルピン司令部

 54式戦車と61式戦車の違いは、馬力が1000馬力に向上し、

 速度が8km/h増速し、航続距離が40km低下しただけに見えた。

  61式戦車

  46t級 全長9.270m  車体長7.55m×全幅3.4m×全高2.4m

  1000馬力 62km/h 航続力310km

  70口径100m砲  機銃(6mm×45)2丁

 実際は、新素材がふんだんに使われ、複合装甲は強靭になり、

 ICコンピューターが組み込まれ、

 火器管制装置、敵味方識別装置、動力系制御装置

 情報共有機構、レーダー・赤外線探知機能など表から分からない部分で進化していた。

 「滑空砲は、やめたのか?」

 「それほど支障はないさ、命中率ならライフル砲が上だし」

 「ドイツはどうするって?」

 「滑空砲は研究してるらしいよ。まぁ ドイツ製の滑空砲でも支障はないがね」

 「対空戦車の方は?」

 「同じエンジンで同じような改造をするよ。あれを対空戦車と呼ぶならね」

 「本当は、督戦戦車とか、掃討戦車なんて言えないだろう」

 「できれば使いたくないねぇ」

 「使った後の不信感とか、敵意とか、怖いからね」

 「満州帝国軍にやらせるにしても日本の将校が必ず付いてるからね」

 「だけど、中華民国がアメリカ製、ドイツ製、ソビエト製の装備を買う気になってるから怖いよ」

 「輸出用のラインを別に作ってるのに?」

 「欲しがってるのは航空戦力だからね」

 「戦車はともかく。瑞燕はまずいか」

 「構造が機密みたいなところがあるから」

 「しかし、露鳳の情報にある中共より中華民国の国力が大きくなってるってどうよ」

 「中国社会の伝統的な不正腐敗は、外資系シンジケートの合理主義で淘汰されてるし」

 「共産主義は、競争力を失わせて生産性を劣化させるし」

 「全体主義の統制は国力を削ぐ部分があるからね」

 「いまの中華民国は、シンジケートの支配と競合社会だから因習めいたものは一掃されてる」

 「つまり、国家統制のないマイナスより、経済的なプラスが大きいから国力が伸びてしまう」

 「露鳳の情報にある日本みたいにか」

 「そういうこと」

 「いろんな意味でヤバいだろう」

 「ヤバいねぇ」

 

 

 ウィンブルドン現象

 自国選手が勝ち残れず、他国の選手がウィンブルドンで競い合う。

 この現象を経済に当てはめるなら民族資本に競争力がなく、

 他国の資本によって国内経済が蹂躙されてる姿をいう。

 これが大航海時代から海軍力と軍事力で世界を支配してきたイギリス経済の姿だった。

 政治軍事外交戦略で侮れない国家大計を持ちながら経済の世界でイギリスは斜陽だった。

 イギリス ロンドン

 平時の外交努力が開戦不戦を戦時における同盟戦略の選択肢を増やす。

 外交戦略に長けたイギリスは、そのことを理解しており、

 戦後、日英貿易を回復させ、徐々に増加させていた。

 カフェテラス

 観光会社の日本人たち

 「どうだい、一人で歩いても石はぶつけられなかったか」

 「いや、表通りを歩いてる限り紳士の国だよ」

 「ウェストミンスター寺院、グリニッジ、ロンドン塔、キューガーデンは押さえた方がいいのかな」

 「そうだねぇ 大型旅客機のおかげで観光客が増えそうだな」

 「客船が衰退するかも」

 「いや、客船は客船でありだろう」

 「余暇の長い、お金持ちはね。日本人は少数派だよ」

 「しかし、中華系が多いのが気になる」

 「大陸シンジケート関係者じゃないかな」

 「いまのところ、裏社会に浸透してないけど、将来的には危ないね」

 「危ないというか、同胞売り渡して成り上がるから怖いもの無しかな」

 「でも食事は中華料理を入れたいね。イギリス料理より安いし美味いし」

 「じゃ チャイナタウンも・・・」

 「問題は、イギリスとドイツ間かな」

 「緊張関係にあるけど国交は正常化してるし。観光客の行き来は問題ないと思うな」

 「だけど、ゲンナリするくらい厳しいよ」

 「しかし、中国人はドイツとイギリス間の行き来が楽みたいだぞ」

 「中華民国は外資シンジケート国家だし」

 「中国人は無国籍、無印みたいなところがあるからね」

 「国益誘導する品行方正な国士国民の入国審査は厳しく」

 「売国上等の不良非国民の審査は緩くか」

 「結果的に中国人に後れをとるのだから、パラドックスだねぇ」

 

 

 米英ソ戦略会議室

 英語とロシア語が飛び交っていた。

 互いにバイリンガルなら自国語で話しても支障がない。

 「ソビエトは、共有すべき日本の情報を隠匿してるのではないのか」

 「我々が知り得てる情報は提供している」

 「日本の外務省関係者がソビエトの専門家に聞いた単語を隠匿しているはず」

 「既存の機密に触れる単語もあったが半分以上は、意味不明な単語だと聞いてる」

 「公開すべきだ」

 「・・・・」 ため息

 「我が国の機密だ。なんで日本が知ってるのかわからんが」

 「では、意味不明な単語を公開してもらおう」

 「そんなもの・・・覚えてるわけがない」

 がたん!

 「バカか! お前は!」

 がたん!

 「なにを失礼なことを!」

 「まぁ まぁ」

 「これから意味のない単語を聞かれたら公開することにすればいいじゃないか」

 「・・・・」 憮然

 「現在、我々は日本の中枢に対し、無知であることを知っている」

 「その危険性は、幼児が手を引かれることもなく、道路を横断するのに等しい」

 「無知な国々は、結束してでも状況を克服すべきだ」

 「アメリカとイギリスも秘密の単語を隠匿してるのではないのか?」

 「生憎、ソビエトと違って、日本人に聞かれるような単語はないね」

 「本当に?」

 「てめぇ〜」

 「「「・・・・」」」 憮然

 「既に分かってると思うが」

 「露鳳が未来のソビエト製である可能性は否定できない」

 「また、海底の物質は個体、液体、気体、プラズマのカテゴリーでいうとプラズマに近く」

 「毒性のない電界物の様なモノになっている」

 「そして、それは地球上のモノではない」

 「日本は、電界物の研究に協力すると?」

 「ああ、日本は幾つかの大学を合わせて研究させているがね」

 「そうそうたるメンバーだったよ」

 「何人かは、トランジスター開発チームに名を連ねていてな」

 「開発の過程を聞いたら、役所みたいに一周させられたよ」

 「「「あはははは・・・・」」」

 「日本人の謙虚さは定評があるがね」

 「ここまで来るとあり得ないくらい嫌味だ」

 「2軍だな」

 「「ああ・・・」」

 「ところでイギリスは、日本の洗濯機を輸入するようになったのか?」

 「まぁ 日本人はサービスがいいし、交易する方が情報が得やすいからね」

 「情報か、インドの儒陀人は役に立ってるのか?」

 「反日で役に立ってるようだが、情報収集の方は・・・」

 「だいたい、ヒソヒソ話が100m先まで届く連中にスパイをさせるのは難しかろう」

 「スパイで必須は忍耐心と協調性と善意だからね」

 「日本人の血が混じってそうなのはファビョりにくいから比較的いいよ」

 「いいなぁ 延辺朝鮮族自治州は日本語教育されてないし混血も少ないから使いにくい」

 「延辺朝鮮族は、反日精神が弱いからスパイ向きだろう」

 「まぁ そういう点はあるね」

 「しかし、日本人は集団で強くなるが」

 「組織形成の過程で意思決定が歪められ、派閥争いで短絡化する」

 「それに既得権が大きくなると、自分より馬鹿が安心して用いられることも増える」

 「組織の利権が絡むと強硬派になりやすいが、個人は荒事を避け事勿れに流される傾向がある」

 「暴力と押しの強さで儒陀人を利用する者もいるだろう」

 「気付いた時はハングリー精神を失い、人材が育っておらず」

 「社会全体が凹まされてる可能性もある」

 「中国人は?」

 「中国人の方が情報収集力が高そうだが、儒陀人より見分けられやすい」

 「日本に行く中国人は上層部で金払いがいいから経済に食い込んでいる」

 「特高は数が少ないし、的外れな場合もある」

 「上手くいけば、もう少し情報が入るはず」

 「ところで、キューバの共産化。どうしてくれるんだ」

 「大地主と資本家の搾取が悪い。ソビエトは不可抗力だし」

 「はぁ? あれのどこが搾取だ。日本人労働者を見習え」

 「日本の労働者は快楽や自由が欠落してるよ。世界の一般労働者と一緒にすんな」

 

 

 

 日本

 空港にボーイング707が並び始めていた。

 一機種に定めたのは、改良による底上げがしやすいことと管理の効率化のためだった。

 そして、日本と組んだ企業が伸び、

 日本と組まなかった企業が衰退する事例の試金石でもあった。

 太平洋空路は中華民国と日本の需要に引っ張られて増大していく、

 中国人が降りると用心深く辺りを見回す、

 彼らの多くは、中華民国の権力層とシンジケートの関係者だった。

 「法律に目を通したあるか」

 「覚えたある」

 「気を付けるある、法律を守ってる限り大丈夫ある」

 「しかし、違法が見つかると、特高に闇から闇に葬られるある」

 「それじゃ 儲からないある」

 「大儲けできないだけある」

 「日本企業はそこそこ保護されて中程度は金になるある」

 「大陸で負けると殺されるある。日本じゃ負けても殺されないある」

 「保険ある」

 「思ったより牧歌的な空気ある」

 「違うある。これが生かさず殺さずの生殺しある」

 「ぬるい空気ある」

 「大陸で儲けた金を注ぎ込めば合法的に日本の利権が手に入るある」

 「日本はカントリーリスクが低くていいある」

 「まず日本を知るには、役所、学校、警察、寺、軍隊、酒場、売春宿を一回りある」

 「「「「・・・・」」」」 にや〜

 

 料亭

 権力者とアウトローな男たちが集まっていた。

 「集票がうまく上手くいかないし、土地収用も進まないし、対立候補の妨害も困ったものだ」

 「大丈夫ニダ。政敵の誹謗中傷は任せておくニダ」

 「対立勢力の名前を騙ってダーティイメージを受け付けるニダ」

 「風評を流して仲違させてやるニダ」

 「いかがわしい商売をしているように見せかけてやるニダ」

 「んん・・・」

 「我々の仲間を潜入させてるから不正腐敗の情報入手も得意ニダ」

 「街宣車で反対する企業と個人を囲んでやるニダ」

 「次も先生と与党が勝つニダ」

 「その代わり、H産業でお目溢し頼みたいニダ」

 「まぁ よかろう」

 

 歓楽街

 「集票がうまく上手くいかないし、土地収用も進まないし、対立候補の妨害も困ったものだ」

 「大丈夫ニダ。政敵の誹謗中傷は任せておくニダ」

 「対立勢力の名前を騙ってダーティイメージを受け付けるニダ」

 「風評を流して仲違させてやるニダ」

 「いかがわしい商売をしているように見せかけてやるニダ」

 「んん・・・」

 「我々の仲間を潜入させてるから不正腐敗の情報入手も得意ニダ」

 「街宣車で反対する企業と個人を囲んでやるニダ」

 「次は先生と野党が勝つニダ」

 「その代わり、風俗産業でお目溢し頼みたいニダ」

 「まぁ よかろう」

 

 アウトローたち

 「議員も資本家も宗教家も生存競争に勝つため、我々に依存するニダ」

 「日本民族の性欲を煽って、家族を破壊するニダ」

 「支配欲、財欲、性欲を利用して日本人を籠絡させて空中分解させてやるニダ」

 「内戦させてやるニダ」

 「一方を左翼の売国奴。一方を右翼の戦争キチガイにするニダ」

 「日本人から他の選択肢を失わせ、失望させるニダ」

 「外国人に日本人が腐ってるように思わせるニダ」

 「日本人同士潰し合って自滅ニダ。日本は滅びるニダ」

 がたん!

 「大変ニダ。特高ニダ!」

 「逃げるニダ」

 ばたばた ばたばた。

 ばたばた ばたばた。

 

 

 未来科学研究所 (Future science laboratory : F・S・L)

 次元移動理論でフレミングの法則が利用できるとわかると

 目と耳になる観測機械の研究開発が進み、試作がなされていく、

 研究者たち

 「時空移動の方法は次元モーターと」

 「時間流に対し、対時間帆を向けて進むタキオン帆走型になりそうだな」

 「そうなると、円盤型もあり得ますね」

 「とはいえ、上下の概念がないとちょっと混乱するが、姿勢制御はどうしたものか」

 「いや、右手の法則だと時間と空間に対して、こっち側で移動速度に対して重力が増す・・・」

 研究員が右手で形を作る。

 「ああ、そうだった」

 「頭だけだと、未知領域は失念することが多いな」

 「となると親指の頭の方に向かって進むこといなるから・・・ん?」

 「いや、進む方向が決まると重力が・・・」

 「まず、次元世界の全容をつかむにはソナーのように波を放出して、反応を見るのが良いのでは?」

 「露鳳の時間逆行は、大きな波紋を起こしたはずだ」

 「もし、別の次元世界の住人が次元世界の観測装置を持っていると仮定すると」

 「我々の時間潮流は注目されてるはず」

 「観測は始まったばかりだし、半年はアクティブモードより、パッシブモードを続けるべきだろう」

 「できるなら次元モーターが完成するまで、パッシブモードでもいいくらいだが・・・」

 「成果がある方が予算に繋がるんですよね」

 「「「「・・・・」」」」

 次元世界の向こう側に同様の技術を有する世界が存在すれば要注意であり、

 接触は細心の注意が必要だった。

 

 

 ミッドウェー沖

 海面は大きくうねり、

 艦首で押し分けた波濤は海水を散らし、潮風と一緒に艦に叩きつける、

 外は時化で荒れていても

 艦内は、上下左右に緩慢に揺れるだけだった。

 相模(さがみ)型巡洋艦 相模

 艦橋

 「・・・艦長。正面11時。原子力巡洋艦ロングビーチです」

 「聞いてた通り太平洋配備か・・・」

 「コース的にはX海域配備という気がします」

 「あそこは、米英独ソ仏が集まって海底を漁ってる」

 「何か、有用な使い道でも発見したのかな」

 「次世代の戦略物質になると期待されてるようですが」

 「期待通りなら日本に近い分だけ有利なんだがな」

 「しかし、でかいレーダーを載せたものだ」

 「洋上レーダーサイト巡洋艦ですかね」

 「なるほど、そういう見方もある」

 「アリューシャン海戦の経験則でしょうか」

 「向こうはトランジスター」

 「こちらはICコンピューターで情報処理で勝ってるよ・・・」

 

 

 14200t級原子力巡洋艦ロングビーチ

 艦橋

 「・・・艦長。艦尾右舷5時、距離20000m」

 「日本の相模(さがみ)型巡洋艦の1番艦相模(さがみ)と2番艦讃岐(さぬき)」

 「そして、補給艦の十和田です」

 「ハワイから日本に向かってるな」

 「とろとろ走ってた甲斐がありましたね」

 「取舵。速度を合わせ、10000mの距離をとって並走する」

 「録画しとけよ」

 「はっ」

 「お互い、初御目見え、ですね」

 「そうだな・・・原子力巡洋艦を見せて自慢したいだけだがな」

 「艦長。日系人士官に言わせると、アメリカは、日本を意識し過ぎだと」

 「ふっ アメリカは決闘で日本に負けたから日本を意識してるのではない」

 「未知のモノに対する不安が日本を意識させてるのだ」

 「日系は情報を軽視するきらいがありますからね」

 「気になるのは、日本海軍が原子力機関に消極的なことか」

 「小型原子炉を離島に配置してるようですが」

 「割高のな」

 「安全性と管理運営費を総合すると小型原子炉の方がいいようですが」

 「地上設備用だ。あんな低出力。軍艦に載せられるようなものじゃない」

 「未来の情報で不利な面があるとか」

 「上層部もそのことを危惧している」

 「しかし、満州油田と東シナ海ガス油田があるから後回しにしてるだけ、という意見もある」

 「アメリカは旧大陸と大洋で隔てられてますし」

 「海軍力で国際政治のイニシアチブを取るしかありません」

 「原子力機関の艦艇は必須では?」

 「アメリカの外交戦略は機動部隊の規模と数で裏付けられた力だからな」

 「最近は、空軍が強いようですが」

 「B52爆撃機か。砲艦外交を軽視する空軍将校もいるから驚くよ」

 「来月は、日本に親善訪問でしたね」

 「親善か・・・」

 「サル真似文化の日本人が原子力巡洋艦にどう反応するか、調べたいだろう」

 「真似をしなければ、未来情報を知ってる?」

 「真似をしても未来情報を知らないとは限らないが。真似をしなければ疑いは濃くなるな・・・」

 「艦長。相模型の耐波性能ですが、同じ規模の艦艇より、いいような気がします」

 「武装が小さくても怪しくないですか?」

 「んん・・・9000tトンにしては、揺れが少ないな」

 「フィン・スタビライザーの性能でしょうか」

 「記録は撮ってるだろうな」

 「はい」

 「調べさせた方がいいようだ」

 「ふっ やっぱり、日本人は慢心しやすいな」

 「内向きの派閥力学ばかりで、対外的な用心深さがない」

 「単一民族が故の油断でしょうね」

 「それに艦体の大きさのわりに洋上に出てる艦影は大きい」

 「装甲が薄いか。情報部の言う新素材とやらを使ってるか・・・」

 「たぶん、垂直発射ミサイルサイロ搭載の噂も信憑性が高いですね」

 「日本が集積回路を試作してるというのもまんざら、的外れでもなさそうだな」

 

 

 

 資源は有限だった。

 ナウル島(21ku)

 アホウドリなど海鳥の糞が堆積したリン鉱石が採掘され、

 掘り尽くされたカルスト地形にボーリングが行われ、土砂が造成され、

 対価の設備が建設され、田畑が作られていく、

 設備投資しても資源が取り尽くされ、

 収入が断たれた後、インフラを維持できるか、怪しいものだった。

 沖に2隻の船が近付いてきていた。

 一隻は無人船で、もう一隻は護衛の船だった。

 日本人将校たちは感慨めいた表情を見せる。

 「天候、航路、船の状況とベテランの操作手順をコンピュータに蓄積させ」

 「無線誘導を補正するわけか」

 「時化たらどうしようかとドキドキしたね」

 「船乗り稼業は風前の灯だな」

 「そうでもないよ」

 「船の中は、ICコンピューターだらけ」

 「天候不順になったら対応できなくなるかもしれない」

 「とはいえ、ベテラン船員の技術をコンピューターに肩代わりさせられるなら楽だろうな」

 「ICコンピュータでは限定された範囲の航路補正しかできそうにないな」

 「その上、定期航路じゃないとデーターの蓄積は難しいと来ている」

 「戦力と直結してねぇ」

 「そうでもなかろう。航法は軍民双方で重要だし」

 「船で成功したら次は、航空機にも流用できる」

 「しかし、他の船との関係で操船も変わるからな」

 「だから船の行き来が少ない航路を選んでるんだろうが」

 「しかし、周囲に島がない、小島で大層な工事だな」

 「リン鉱石が採れるからね」

 「それで風力発電と小型原子炉と造成工事じゃ割損かも」

 「リン鉱石の代価を使えるし、他と比べて、予算的にやりやすいよ」

 「それにナウルは、南洋三島からマーシャルの途上だし、緊急の場合、降りることもできる」

 「原子炉だって、対流だけで冷却できるんだから楽なもんだよ」

 「発電量は小さいけどな」

 「まぁ 何個か並べたら淡水プラントを動かせて、照明くらい点けられる」

 「最近、島流しばかりで軍の士気が落ちてるんだが」

 「定期的に内地と外地を異動させてるだろう」

 「軍艦に乗りてぇ」

 

 

 

 アメリカ合衆国

 アメリカ西海岸は、日本・中華民国・蜀華合衆国との貿易増大に比例し、

 産業が膨れ上がっていた。

 資本家は、賃金格差を利用した交易で安い商品を大量に買い付け、

 国内の労使関係で優位に立ち、莫大な富と力と地位を得ていた。

 戦後、日系アメリカ人の名誉を回復させ、

 賠償でロサンゼルスにリトル東京が復活させたのはアメリカであり、

 日系人たちは日米取引の仲介を果たし、貿易拡大の道を切り開いていた。

 リトル東京には日本語の看板の街が広がり、

 寿司、ラーメン屋、呉服店が軒を連ねて商店街を形成し、

 日本語学校、神社仏閣が作られていく、

 その過程でアメリカ行政は邪魔をすることなく、

 むしろ用心深い日本人になり変わり、積極的に社会基盤を後押ししていた。

 リトル東京が比較的大きなコミュニティーに広がると、

 アメリカと同盟関係にある蜀華合衆国の中国人が入り込み、

 儒陀藩皇国から出稼ぎに来てる儒陀民族も紛れる。

 たとえ、リトル東京であっても日本の中枢に入り込むには、日本人に似た容姿が重要だった。

 日本料理店

 白人と黄色人

 「日本の中枢とのパイプは、上手くいきそうかな」

 「金さえあれば、日本の権力者層を操って仲違いさせられるニダ」

 「本当に?」

 「本当ニダ」

 「それは頼もしいな」

 「こんな大きな日本人町なんか作る必要はないニダ」

 「アメリカは、日本人の正確な情報を必要としている。日本に勝つために」

 「勝てるニダ」

 「儒陀人は日本人に成り済まして、世界中で悪いことができるニダ」

 「日本、欧州のパクリ商品をたくさん作って、商品価値を貶めてやるニダ」

 「だからアメリカ資本は、儒陀産業に資本投資するニダ」

 「「「・・・・」」」

 「それに金さえ貰えるなら、共和党でも民主党でもどっちでも付くニダ」

 「「「・・・・」」」

 「これからの選挙はテレビが重要な役割を果たすニダ」

 「我々が手を貸せば、対立候補をダーティーイメージで落選させられるニダ」

 「「「・・・・」」」

 「たくさん、儒陀の移民枠を作るニダ」

 「「「・・・・」」」

 

 

 キューバの共産化に対し、

 アメリカ合衆国は反発。

 ソビエト連邦は米英から軍事的な支援を受けていたことから消極的賛同。

 ドイツ帝国はキューバの民族自決に干渉すべきでないと嫌がらせ、

 日本は不介入を決め込んでいた。

 キューバはアメリカの圧力に対抗するためソビエトに救援を求め、

 ソビエト連邦は、共産主義宗主国の対応を求められた。

 泣く泣く、5300t級ホテル型原子力潜水艦K19、K33、K55をキューバの港に係留し、

 潜水艦発射R13弾道ミサイル3基9発をキューバに配備したのは、10月15日だった。

 ソビエトが実入りのいいアメリカとの取引で不評を買い、

 最新鋭原子力潜水艦3隻を捨て値でキューバに配置した背景は、

 この時代、潜水艦は浮上しなければ弾道ミサイルを発射できない時期であり、

 共産主義宗主国としてのプライドといえた。

 「潜水艦を帰還させろ」 アメリカ合衆国大統領

 「親善訪問中」 ソビエト連邦書記長

 このやり取りは、13日間に渡って続けられ、

 ドイツ帝国がソビエト連邦の味方をし、

 日本は外交的に棄権したことから

 軍艦の親善訪問は、国際間外交上の通例とされ、有耶無耶にされていく、

 世界中の人々は、この史上初の米ソ衝突と核戦争の危機を興味深く見つめていた。

 キューバ首都ハバナ

 日本人たち

 「やれやれ、ニッケルを買いに来たら、とんでもない事件に巻き込まれたよ」

 「ドイツもニッケルが欲しくてキューバの味方をしたのかな」

 「いや、アメリカに嫌がらせしたかったんでしょ」

 「核戦争になるかと思った」

 「まさか、日本とドイツが美味い思いをするだけだし」

 「アメリカとソビエトが、そんな手に乗るわけがない」

 「・・・中国人もかなりいるな」

 「アメリカは金融と情報支配で、ソビエトは思想と資源支配だろう」

 「日本は労働が戦略資源だけど、中国は人間が戦略資源だからな」

 「日本がサービスを売って世界の市場を支配してる間に」

 「中国は人身売買して世界の地位を占領してしまう」

 「なんか、安らぎのない世界だな」

 

 

 インド 儒陀藩皇国

 アメリカ駐留 日本語地区

 日本語学校

 “・・・徳川幕府はペリー提督と不平等な日米和親条約を結んだことで権威が失墜し”

 “長州藩、薩摩藩、土佐藩を中心にした維新勢力の台頭を許しました”

 “維新は、諸藩を脱藩した志士と呼ばれる勢力によって始められましたが”

 “はじめは、尊王攘夷だけでなく”

 “尊皇佐幕、公武合体、開国派など様々な思想が入り乱れ”

 “その活動は天皇のいる京都に移動しました”

 “そして、維新派と幕府派の確執は広がり”

 “ついに倒幕運動へと発展してきました”

 “長州と薩摩は対立関係にありましたが”

 “土佐藩を脱藩した坂本竜馬の仲介で薩長同盟を結び”

 “徳川幕府を打倒し、明治維新を成し遂げ、大日本帝国の礎を・・・”

 「うるさい」

 「「「「「「・・・・・・」」」」」」

 「せ、せんせい・・・」

 「うるさい、うるさい、うるさい、うるさいニダ!!!!!」

 「あの国は話題にしてはいけないニダ」

 「「「「「「・・・・・・」」」」」」

 「読んでも調べてもいけないニダ。呪われるニダ」

 「せ、せんせい・・・」

 「この教科書は、日本の捏造歴史ニダ」

 「しかし、日本人はこの捏造歴史を学んで信じてるかわいそうな民族ニダ」

 「こんな嘘で塗り固められた歴史。本当に自尊心が傷付くニダ。気分が悪くなるニダ」

 「それより世界最貧国ソマリアの話しをするニダ」

 「儒陀は世界最古で世界最高の国ニダ」

 「ソマリアと儒陀を比べると世界最高の国と世界最低の国がわかるニダ」

 『ん? 世界最高のソマリアと世界最低の儒陀?』

 「もう、世界史上最悪最低の日本の話しをしてはいけないニダ」

 「あの国にオリジナルはないニダ」

 「あの倭寇民族は昔から儒陀文化を盗んできたニダ」

 「滑稽で淫乱なクズ民族の悪口なら言っていいニダ」

 「それより世界最貧国のソマリアの話しをするニダ」

 「あの国は最高に笑えるニダ」

 「でも儒陀の歴史は、尊ばなければ駄目ニダ」

 「「「「・・・・」」」」

 

 儒陀皇帝府

 ぱたっ! ぱたっ! ぱたっ! ぱたっ!

 ぱたっ! ぱたっ! ぱたっ! ぱたっ!

 ぱたっ! ぱたっ! ぱたっ! ぱたっ!

 「暑いニダ〜」

 「儒陀皇帝。半島で古儒陀記。モヘンジョダロで儒陀書記が発掘されたニダ」

 「待っていたニダ。早く読んで聞かせるニダ」

 “そもそも、儒陀民族は、紀元前4000年のインド大陸に端を発し”

 “儒陀文明はインドの代表文明として繁栄していたニダ”

 “しかし、世界は文明もなく”

 “人々は混沌の中で争い、厄災に病み、天災に苦しんでいたニダ”

 “その有様はまるで生き地獄だったニダ”

 “儒陀民族は遅れた世界を憂い、儒陀文明の恩賜を世界に賜るため”

 “ヒマラヤを越え、中国大陸へと移動し、世界中に支族を分派したニダ”

 “これを儒陀文明の世界大巡幸と呼ぶニダ”

 “儒陀文明の支族は世界に広がり”

 “黄河文明、メソポタミア文明文明、エジプト文明に影響を与えたニダ”

 “紀元前2600年にインド大陸で起きたインダス文明は、儒陀民族の残りかすニダ”

 “仏教を起こした釈迦族は、儒陀民族の支族だったニダ”

 “その後、儒陀の支族の一部はユダの地へと移動し、キリスト教を起こしたニダ”

 “本流の儒陀民族は中国大陸を支配しながら朝鮮半島へ移動し定住したニダ”

 “孔子の家系も儒陀支族ニダ”

 “そして、儒陀民族は、朝鮮半島で高度な文明を開花させ大繁栄したニダ”

 “儒陀の犯罪者を島流しした性根の悪い文明が日本ニダ”

 “1943年。儒陀皇帝は、世界文明が著しく発展したことを確認したニダ”

 “そして、儒陀文明の大巡幸が終わったことを知ると”

 “島流しされた奇形で不出来な日本支族を捨て”

 “6000年という時を経て、儒陀発祥の地であるインド大陸に天孫儒陀降臨したニダ”

 “これが半島で発掘された古儒陀記と”

 “モヘンジョダロで発掘された儒陀書記で判明した真実の人類歴史ニダ”

 「・・・素晴らしいニダ・・・」 ツーッ

 「涙が出てくるほど感動したニダ」

 「儒陀民族の雄大で壮大な歴史に比べたら、他の民族歴史は屑ニダ」

 「これから肉付けしていくニダ」

 「儒陀歴史学者は、歴史の真実を発見する天才ニダ」

 「この真理の歴史を認めないインド藩王諸国は謝罪と賠償ニダ」

 「この真理の歴史を認めない日本は謝罪と賠償ニダ」

 「この真理の歴史を認めないイギリスは謝罪と賠償ニダ」

 「皇帝。大変ニダ!」

 「どうしたニダ」

 「インド藩王諸国(ヒンズー)とハイデラバード藩王国(イスラム)が戦争になったニダ」

 「儒陀をカーストで差別するインド藩王諸国(ヒンズー)は嫌いニダ」

 「ハイデラバード藩王国側で参戦するニダ」

 「儒陀民族がインド大陸を統一するニダ」

 

 

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 月夜裏 野々香です

 外資シンジケートに支配された中華民国、

 中国人は、売国利己主義無法野郎ですが政治、主義、思想で無色透明。

 国益主義に囚われた列強資本を他所に、

 華僑資本は国益から独立、無国主義で躍進するかもです。

 史実の日本みたいでしょうか (笑

 

 

 そうそう、アメリカ大統領選が誹謗中傷合戦になったことがあったそうです。

 いまは、分かりませんが (笑

 

 

 儒陀は、古事記、日本書紀の時代のようです (笑

 天孫儒陀降臨は、天孫降臨のパクリ

 儒陀文明の世界大巡幸は、巡幸のパクリ

 儒陀藩皇国では、日本が儒陀からパクッたことになってます (笑

 

 

 さてと、次元移動をどうするか。

 帆船型、飛行船型、戦艦型、UFO型、航空機型、

 機関車型、トンネル型、ドア型・・・・

 いろいろ、ありそうですが困ったもんです。

 なぜ困るかというと、意表を付けるモノが一つもない事が困ったもの、

 ぶっちゃけ、やり尽くされてます (笑

 さらに行き先、

 これもやり尽くされてるかな・・・

 

 

 

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第21話 1961 『人はそれを悪と呼ぶニダ』

第22話 1962 『自分より馬鹿が安心』
第23話 1963 『みんな、あの夕陽に向かって・・・』