月夜裏 野々香 小説の部屋

    

タイムスリップ系架空戦記

『時空巡洋艦 露鳳』

 

 第24話 1964 『い・く・ニ・ダ〜』

 “紀元前4000年の昔、世界には文明と呼べるモノは存在せず”

 “人々は、混沌の中、欲望のまま原始人のような生活をしていたニダ”

 “その頃、神の直子たる儒陀の祖先は、インド大陸に帝国を興していたニダ”

 “地に住む人々は、麗しく自尊心に溢れた帝国を古・儒陀帝国と恐れ敬っていたニダ”

 “儒陀12支派は神と契約を結んだニダ”

 “曰く 「我が民、儒陀よ。混沌とした世界文明を切り開き、秩序を与えなさい」”

 “「成功の暁には、世界は汝らのモノとなるであろう。産めよ、増えよ、地に満ちよ」 と”

 “儒陀12支派は神との約束に従い、12支派の一つ釈迦族をインドに残し”

 “儒陀11支族は高度な文明を持って雄々しくヒマラヤを越え世界へ旅立ったニダ”

 “真・創世儒陀記における出インドニダ”

 “人々は儒陀文明の大巡幸と呼ぶが”

 “あまりにも過酷な神の摂理と契約に儒陀文明の堕落と呼ぶ者さえいたニダ”

 “しかし、善良な儒陀文明は、神の悲しみと憂いを知り摂理に従ったニダ”

 “儒陀の12支派は、それぞれ、中国大陸に黄河文明”

 “中東にエジプト文明、チグリス・ユーフラテス文明を興し”

 “インド大陸にインダス文明”

 “地中海でギリシャ・ローマ文明、ユダヤ文明を興したニダ”

 “新大陸に渡った真耶支族はマヤ文明を興したニダ”

 “最後の儒陀文明の本流は、儒陀半島に儒陀文明を興したニダ”

 “世界の文明は儒陀12支派によって築かれ”

 “世界を大いに盛り上げる儒陀は、その頭文字を取り”

 “世界最古の世界秘密結社SOJ団ネットワークを創設し”

 “その象徴としてバベルの塔を建設したニダ”

 “しかし、儒陀の世界救済摂理は、やましい犯罪支族、泥棒支族日本支派の裏切りで”

 “バベルの塔が破壊され、著しく後退したニダ”

 “秘密結社フリーメイソンの源流も世界秘密結社SOJ団だったニダ”

 “そして、儒陀文明の本流の儒陀半島の文明は、世界の支派と切り離され多くのモノを失ったニダ”

 “しかし、世界に散った儒陀直系の子孫たちは神との契約を忘れず”

 “世界文明に寄与し続け、ついに産業革命を興したニダ”

 “世界の近代化が進み 神はもう一度、儒陀と契約したニダ”

 “曰く、「儒陀よ、よく約束を果たした」”

 “「いまこそ、世界文明発祥の儒陀大陸へ帰還し」”

 “「産めよ、増えよ、地に満ちよ」

 “世界に儒陀民族の偉業を伝え、全世界に君臨せよ」 と”

 “こうして、悪魔の代理支族、日本支族の裏切りによって2000年遅らされた神の摂理は完了し”

 “儒陀民族は、儒陀文明の大巡幸の終結を宣言”

 “世界文明の発祥の地、儒陀の地に舞い戻り天孫儒陀降臨したニダ・・・・”

 “この内容は、半島の古儒陀記とモヘンジョダロで儒陀書記を解読したことで”

 “初めて解き明かされた人類史の真実ニダ”

 

 

 財産の一部を使って起業し、建物を建て人を雇い組織を構築する。

 経営が黒字になれば収入となり、

 規模が大きくなるほど固定費は大きくなり、

 組織が膠着するほど無駄な変動費が作られていく、

 巨大な供給能力があっても需要が目減りすれば赤字になり、

 収入を得られず廃業するしかなくなる。

 巨大さゆえの財政融資があっても

 赤字と放漫財政に守られた廃法人企業をいつまでも存続させられない、

 組織防衛でポスト削減と人員削減が不可避なら、

 営業は保身のため我田引水と自画自賛を繰り返し、

 収入が目減りするなら誹謗中傷で目障りな同業を貶めライバル業者を市場から排斥させる。

 また自作自演で戦争を起こしても巨大な産業基盤を守ろうとする。

 戦後、アメリカ航空産業がそれだった。

 日本が民間航空会社でアメリカと張り合わず、

 アメリカ民間航空機を購入したことで日本の対米貿易は拡大した。

 日本製部品は、アメリカ製部品より品質が良いにもかかわらず数パーセント安く、

 アメリカ企業は採算重視であり、

 日本製部品を組み込むことで利潤を上げようとする。

 アメリカ合衆国 IBM本社

 「やれやれ」

 「どこもかしこも日本製部品で利潤を伸ばそうとしてアメリカ産業を空洞化させられてる」

 「見かけが巨大に見えても利潤は確実に小さくなってる」

 「怠け過ぎじゃないのか」

 「キューバ危機で引いて、反共で労働運動を押さえさせ、国防費が伸びると思ったけどな」

 「どうも国際競争力負けてる気がするね」

 「いくら大国でも全世界的に機動部隊を展開させられるわけがないし」

 「日本は?」

 「国土が広がって労働集約も市場集約も沿線沿いが中心だな」

 「市場は、中華民国、大東亜共栄圏、ドイツ・・・そして、アメリカで急増中だな」

 「戦争に勝って、怠慢になってないのか」

 「一部はな」

 「しかし、上層部の方が満身に走る同族を嫌悪してるらしい」

 「国土が広がったのに “大” と “帝国” の文字を取っ払って」

 「いまじゃ ただの “日本” だ」

 「例の機密は?」

 「さすがに守りが堅いな」

 「儒陀人でさえ、特高は人殺し集団だと怯えているくらいだ」

 「ふっ それでも儒陀の刑務所に入るよりましらしいが」

 「儒陀人は、衝動的に行動を起こすがね」

 「日本人は、杓子定規に手順を守ろうとする」

 「寿命を長く保つなら日本で捕まりたいだろうね」

 「しかし・・・日本とのライセンス契約をどうしたものか・・・」

 「許可しなければ日本規格で作るというし」

 「世界市場で日本規格と張り合うことになるし」

 「許可すれば世界市場をIBM規格で独占できるかもしれない」

 「しかし、日本の輸出攻勢でダンピング輸出される」

 「日本はオリジナル電子規格を作れると思うか?」

 「作れるだろうな・・・」

 写真がテーブルに置かれる。

 「というより、生産してる」

 「日本の瑞燕のジェットノズルから出てくる炎は綺麗な螺旋を描いてるだろう」

 「我々のジェットエンジンから出てくるのはただの炎に過ぎない」

 「この螺旋状の炎を出すためには、高度な設計と製造能力がなければ無理だ」

 「いま開発してるジェットエンジンでも厳しいらしい」

 「よく撮れたな」

 「儒陀人は失敗したと思ったらしく、半値で売ってくれたがね」

 「むしろ、排気炎の方がいろいろと分かるよ」

 「どんなファンを使ったらこんな・・・」

 「日本は、我々が開発したばかりのSystem/360よりいいコンピューターを持ってると思うね」

 「つまり、ライセンスを認めなければ、我々のモノより良くて安いモノを作り世界市場で争う」

 「ライセンスを認めればアメリカ市場が荒らされる」

 「そういうことだろうね」

 「まるで脅迫だな」

 「しかもジョーカーを隠し持っているくせに後出しだ」

 「くっそぉ あのX艦さえなければ科学技術はこっちが上。立場は逆になっていたはず」

 

 

 

 ドイツ帝国 パリ

 東洋人たちがパリの写真を撮りまくっていた。

 「撮ったニカ?」

 「凱旋門は撮ったニダ」

 「儒陀で作るニダ」

 「世界の文化は世界最古の儒陀文明に通じていたニダ」

 「儒陀はこれから世界最古の儒陀文明を再興するニダ」

 「いいニカ?」

 「いいニダ。凱旋門は世界最古の儒陀門のパクリニダ」

 「古・儒陀文明の遺産ニダ。古・儒陀文明のオリジナルニダ」

 「パクリじゃないニダ。儒陀オリジナルニダ」

 「世界人類は、世界文明発祥の儒陀文明を恐れ、再び崇めるニダ」

 「世界中の人間が再興した古・儒陀文明を拝礼するため儒陀に押し寄せるニダ」

 「裏切りものの日本人は入国禁止ニダ」

 「儒陀文明まんせー!」

 「「「「「儒陀文明まんせー!」」」」」

 「日本文化はクズニダ!」

 「「「「「日本文化はクズニダ!」」」」」

 「儒陀文明まんせー!!」

 「「「「「儒陀文明まんせー!!!」」」」」

 「日本文化はクズニダ!!」

 「「「「「日本文化はクズニダ!!!」」」」」

 「儒陀文明まんせー!!!」

 「「「「「儒陀文明まんせー!!!!!」」」」」

 「日本文化はクズニダ!!!」

 「「「「「日本文化はクズニダ!!!!」」」」」

 

 

 少し離れた場所でプロイセン州政治警察(元ゲシュタポ)たちが監視していた。

 「あの儒陀の考古学者連中はなにしてるんだ」

 「文化泥棒だろう。今度は凱旋門らしい」

 「そういえば、この前は、エッフェル塔だったな」

 「“バベルの塔の原点ニダ” とか騒いでたっけ、高過ぎて作れなかったらしいが」

 「凱旋門の原点があるのかね」

 「凱旋門みて創作するんだろう」

 「ふっ 殺してやりたいな」

 「写真撮ってるだけだし。連中に言わせれば、白人が世界中から奪ってきたモノだと」

 「普通、盗んでもエジプト文明ならエジプト文明」

 「イギリスのモノならイギリスのモノで紹介するさ」

 「他の文明のモノをドイツ発祥にしたりはしない」

 「そうはいっても、対日情報網で有用だからな・・・」

 「そういえば儒陀刀を贈呈してきたぞ」

 「日本刀そっくりの?」

 「ああ、というより、日本人の銘を削って韓国人の銘が入ってたな」

 「必死に儒陀刀が儒陀オリジナルって力説してたっけ・・・」

 「なんで日本人は儒陀人に売るんだ」

 「銃砲所持違反だからだろう」

 「生活に困った日本の刀鍛冶が無名の古刀として作って国内で裁けない業者が国外に持ち出す」

 「「「「・・・・」」」」 ため息

 「窃盗民族が・・・」

 

 

 未来科学研究所 (Future science laboratory : F・S・L)

 エネルギー(E) = 質量(m) × 光速度(c) 2乗は、エネルギーと物体と速度の関係を表していた。

 それは1g(1円玉)の質量が全てエネルギーに転換されると21億t以上のTNT火薬の爆発に匹敵し、

 その理論は発展して原子爆弾の開発に至る。

 そして、露鳳の出現は、時間と空間と重力の相互関係を引き出した。

 物質からエネルギーに換算された質量は、時間と空間に還元され、

 還元された時間と空間を次元推力にすることで時空潮流を越える。

 露鳳の物質は、次元移動エネルギーのベクトルを定める導管のような役割を果たした。

 研究者たち

 露鳳の素材を核に海底から採掘したプラズマが回転する。

 その光景は、何かを連想させる。

 「早い話し、銀河系そのものが時間と空間と重力のモデルだったわけか」

 「それも時空平面を切り取った一面に過ぎない」

 「時空連続体に拡大すると巨大な時空潮流モデルが完成する」

 「マクロからミクロまで、よくもまぁ これだけ徹底させられたモノだ」

 「これが世界ってやつだろう。感動的だねぇ」

 「時間軸に対する干渉は、時空潮流の分岐を増やしてしまう」

 「露鳳のような物質が得られるとしても割に合わない」

 「これ以上の次元潮流の分岐は望ましくないよ」

 「干渉するとしたら時空平面上の移動だろうな」

 「射程圏内に座標を固定できそうなテスラコイルの実験をしてる天体が幾つかある」

 「しかし、テスラコイルが天体の灯台みたいなものになるなんて・・・」

 「我々や列強がやってるテスラコイルの実験が他の天体の観察者を招いてしまったわけか」

 「どちらにしろ、我々と同レベルからそれ以上の文明ということになるね」

 「まぁ 太陽系は約220km/sの速度で移動してる」

 「相対速度とベクトルが近い天体があったとしてもだ」

 「無暗に無機質な天体に送り込むより、確実な座標にって思うね」

 「当てずっぽで、灯台を仕掛けることはできるだろう」

 「運が良ければ、他天体の軌道を回れる」

 「運ねぇ 数百年前の光が届いてるのは確かだけどね」

 「いまの座標がどこかなんて・・・・」

 「どちらにしろ、それで、他の観察者を呼び寄せるの?」

 「指向性の強い次元テスラコイルなら作れるよ」

 「他の観察者もやってるだろうね」

 「「「「・・・・」」」」

 「それで、次元カタパルトで打ち出せる範囲は、これくらいか」

 「船の次元モーターと次元帆での帰還を考えるともっと狭まる」

 「仮に船が1000tだと1gの100万倍」

 「1gの物質をエネルギー化させると光速の約30万kmの2乗で約900万km」

 「船の質量で割って約9万km未満か・・・」

 「光速の2乗を越えることはできないんだっけ」

 「無理だろう」

 「どちらにしろ、原理がわかっても、それを制御するとなると・・・」

 「次元探査機の打ち込みは?」

 「もう少し次元観測した方が探査機を無駄にしなくていいと思う」

 「まぁ 慌てることもない、巨大な時空カタパルトなんて簡単に作れるものじゃないし」

 「いまの技術レベルじゃ人間大砲程度の規模だ」

 「問題は人間の方かな」

 「異界の大気組成を考えるとロボットか。携帯バリアが必要だね」

 「どっちもなぁ・・・」

 「バリアといえば、例の露鳳の医薬品を使った連中は?」

 「将来性は有望だよ」

 「問題は予算かな・・・」

 「それに隠れてやってる研究と実験だから層も薄い」

 「「「「・・・・」」」」 ため息

 

 

 呉

 次元異動で注目されていたのは潜水艦だった。

 政府は次元異動を兼ねた船を求め、

 軍も予算得とくのため機密性の高い潜水艦型艦艇で応じるよりなかった。

 建造中の3000t級おやしお型通常潜水艦は、次元研究の成果が取り入れられていた。

 技術者たち

 潜水艦の中央区画

 「この部屋で、例のプラズマを制御するのか」

 「コンピューターに艦体のデーターが入ってる」

 「露鳳の素材がコアになって、艦体の外壁に沿ってプラズマを集束させる」

 「例のプラズマが艦体を覆って位相障壁になるのか?」

 「ああ、しかし、あまり当てにしないでくれ」

 「5mm厚の鉛程度の抵抗にしかプラズマを集束させられてない」

 「質量は無いんだろう」

 「質量というなら、火や電気と同じ程度だよ」

 「防御で言うと大きいと思うね」

 「本当は、プラズマ障壁を操作して魚雷を払うくらいできればいいんだけどさ」

 「コンピュータの速度と容量がショボ過ぎて・・・」

 「「「「・・・・」」」」

 「この艦は退役を待って異世界に行くモデルケースにするのか」

 「これだけの大きさの次元カタパルトは、まだだし」

 「行き先がどういう世界になるか、未定だし。この潜水艦じゃ 帰還不能だろう」

 「しかし、どういった世界であれ、母艦は潜水艦型になると思うね」

 「だから試験的に導入するよ。潜水艦の性能も引き上がるだろうし」

 「動物実験はしてるのか?」

 「まだだよ」

 「時間がどうなるって?」

 「平行次元を異動するだけなら出発した世界と同じだ」

 「しかし、向こうに着くと時間差が生じる」

 「作業機械が必要になりそうだな」

 「それどころか、生体バリアがないと辛いと思うよ」

 「生体バリアねぇ」

 「例のプラズマと生体オーラーを組み合わせてね」

 「オーラーローブって呼んでる」

 「それがあると生身で宇宙空間でも行けるのか?」

 「それはオーラーローブの規模と制御能力によるかな」

 「基本的には、こいつのプラズマ障壁と同じだから」

 「そ、そこまで進んでるのか?」

 「はぁ レールガンの原理は1844年で戦前だぞ」

 「じ、実用化されてないだけか」

 「科学なんてそんなもんだよ」

 「まぁ そんなに強いオーラーの持ち主はいないけどね」

 「宇宙服と組み合わせれば相当なモノになるだろう」

 「理論さえ構築できたらその延長線状だからね」

 「少なくともUFOの基本構造は何とかなる」

 「宇宙人に対抗可能?」

 「まさか、机上の空論と瑞燕を比較するようなものだし」

 「基礎知識だけじゃ 実用化されて経験で蓄積された結晶に勝てないよ」

 「それにこの世界の宇宙と限らないから、宇宙人というのも正確性に欠ける」

 「連中が侵略を意図していないなら嬉しいがね」

 「衣食住足りてる人間は、野心がない限り危ない真似はしない」

 「他の異界勢力も似たり寄ったりだよ」

 「だといいけど」

 

 

 満州帝国

 荒飄とした平原を54式戦車と61式戦車が走り、

 上空を朱雀(ka54)編隊が飛ぶ、

 アメリカ軍がUH1イロコイをインド内戦に投入していた頃、

 日本陸軍は、はるかに優れた対戦車キラーを保有していた。

 その性能は、アビオニクスを除くならオリジナルに近く、

 複合素材の比率を増やせばさらに性能向上が見込めた。

 もっともそれだけの投資に見合う働きができるか不確定要素もあった。

 演習場 司令部

 「久しぶりの実弾演習だ」

 「インド特需で羽振りが良くなったらしくてね」

 「武器弾薬をディスカウントしてもらえたらしい」

 「問題は車両と機体の数なんだけどねぇ」

 「アマテラスを飛ばして、地対空、地対地ミサイルで迎撃は変わらないし」

 「督戦隊と囚人部隊と人海戦術を盾にする基本戦略も変更されてない」

 「領内で核使用も変わらず」

 「極東ソビエト軍と正面から戦うことはないから、師団の出番があるかどうか」

 「だけど、アメリカとイギリスがソビエトを支援してるって聞くぞ」

 「まぁ バクー油田の対価だとしても、ソビエトの国力を向上させてるのは確かだね」

 「よほど困窮しなければ攻めてこんよ。漢民族の武装蜂起鎮圧用だな」

 「南の中華民国が怖い気もするね」

 「どうだろう」

 「外資シンジケートが中華民国政府の牙を抜いてる」

 「政治外交で何かできるというわけじゃない」

 「しかし、国力は大きくなってるのが不気味だね」

 「挙国一致より、シンジケート主導の方が国力が伸びるとはね」

 「侵略で野心燃やすより、堅実に働けってことだろう」

 「おかげで、日本の低級品産業が軒並み輸出不良」

 「国内市場でも防戦に回ってる」

 「それに日本は身の丈大きくなった分だけ公共投資の量が増えてソースが削がれてる」

 「おかげで、師団も人手不足で皺寄せくらってる」

 「ところでICBMの迎撃が可能って聞いたけど」

 「可能というか。理論的にね。まだ研究中だよ」

 「早く作りたいからって、軍の予算を引き抜かないでくれよ」

 「ふっ」

 

 

 戦後、残されたフロンティアは、宇宙と南極と海底だった。

 宇宙ロケットはドイツが先行し、アメリカとソビエトが追随していた。

 ケネディ宇宙センター

 宇宙ロケットが轟音と白煙と共に打ち上げられ、

 観客の間に歓声が上がる。

 白人たちに混ざって日本人たちがみていた。

 「凄い凄い」

 「日本も宇宙ロケット基地くらい作っておかないとな」

 「確か、赤道に近いムッサウ島に建設するとかいってたよ」

 「これからだろう。宇宙ロケットは15年くらい遅れてるぞ」

 「エネルギーを空間と時間に転換させて制御するから、ああいう打ち上げじゃなくてもいいし」

 「というか、どうやって誤魔化そうか」

 「島だから誤魔化せるんじゃ」

 「衛星監視されてると思って間違いないし、無理だろう

 「いっそ、アメリカ、ドイツ、ソビエトで安い方で打ち上げてもらうとか」

 「流石にそれやると疑われる」

 「既に疑われてるだろう」

 「んん・・・やっぱり、別枠で予算を組むしかないと思うけどな」

 「次元研究費で使いたい」

 「本音を言うとそうだけど・・・」

 「しかし、反戦機運が強くなってる気がするな」

 「インド相手なら核攻撃される心配がなくても、未来永劫というわけじゃないからね」

 「それに真っ当なアメリカ人は、アメリカの支配権を軍産複合体に握られるのが面白くないんだろう」

 「ふっ まぁ どの国でも自分の生業と違う方に予算が流れたら文句言いたくなるからね」

 そこにアメリカ人たちが寄ってくる

 「ここにいましたか、特等席を用意してましたのに」

 「いや、アメリカ人がどう思ってるかも見たくて」

 「そうでしたか」

 「アメリカ人が夢が好きだとよくわかりましたよ」

 「実利も少しはあるのですがね」

 「ポストのある方たちはそうでしょうとも」

 「ふっ 日本のトランジスターのおかげで助かりましたよ」

 「そうですか。なるべくいい品質で揃えたいと思ってますよ」

 「それは素晴らしい、不良品がなかったそうですよ」

 「そ、それは、事前に検査しますから」

 「もっとハードルの高い集積回路でも大丈夫でしょうか?」

 「ええ、そうですねぇ」

 「設備投資はしてますから仕様と設計図によりけりですが」

 「では、後で、現物と仕様と設計図をお渡ししますので」

 「分かりました」

 

 アメリカ人たち

 「局長。よかったのですか」

 「設計図は最新。歩留まりゼロ・コンマ・ゼロ・ゼロ以下の現物を渡して」

 「あの、エコノミックモンキー野郎〜」

 「どの程度の工業力を持ってるのか、調べてやる〜」

 

 

 

 インド大陸

 ハイデラバード藩王国、パキスタン、儒陀藩皇国 アメリカ軍 VS インド藩王諸国

 仕掛けたイスラム軍は、当初、優勢だったものの、

 アメリカは長距離を往復しなければならないことから息切れし、

 さらに参戦のあり方に疑惑があるため士気が上がらず、

 内戦は泥沼化していた。

 アメリカ軍将兵

 「どうした第213中隊! なぜ、後退してる」

 “部隊の半分がやられた。不発弾ばかりだ。後退するしかない”

 「なに・・・どこの弾薬だ」

 “・・・じゅ・・儒陀製・・”

 「くっそぉ〜 あの屑どもが」

 「補給部隊! 儒陀製の武器弾薬は使うな」

 「第213中隊は後退しろ、予備戦力を向かわせる」

 「いったい何なんだ。儒陀は弾薬もまともに作れないのか」

 「儒陀は、封建的だからな」

 「自分が間抜けと思われないために、自分より優秀な人間を殺してしまう国らしいよ」

 「馬鹿が」

 

 戦線は膠着状態となり、

 各勢力は新兵を補充し、士官候補の選出しなければならなかった。

 儒陀 士官候補選抜試験

 筋肉隆々の男たちが整然と並んでいた。

 「お前たちは儒陀軍精鋭の士官候補ニダ」

 「どんな困難にも立ち向かわなければならない男の中の男ニダ」

 「そして、何より愛国心が必要ニダ」

 「愛国心とはなにニダ!」

 「「「「「・・・・・」」」」」

 「反日ニダ」

 「反日の心が儒陀の愛国心ニダ」

 「神より啓示が下ったニダ」

 「日本沈没ニダ」

 「「「「「・・・・・」」」」」

 「儒陀国民は日本沈没を心から願い誰より愛さなければならないニダ」

 「そして、日本沈没を思いながら10回いかなければならないニダ」

 「「「「「・・・・・」」」」」 ごっくん!

 「日本沈没ニダ!」

 「「「「「日本沈没ニダ!!!」」」」」

 「いくニダ!!」

 「「「「「いくニダ!!!」」」」」

 「前へ」

 「「「「「はい、ニダ」」」」」

 ぽろっ ぽろっ ぽろっ ぽろっ ぽろっ

 「日本沈没ニダ!」

 「「「「「日本沈没ニダ!!!」」」」」

 「いくニダ!!」

 「「「「「いくニダ!!!」」」」」

 「始めニダ」

 シャッ! シャッ! シャッ! シャッ! シャッ! 

 シャッ! シャッ! シャッ! シャッ! シャッ! 

 シャッ! シャッ! シャッ! シャッ! シャッ! 

 「・・・教官殿。立たないニダ!」

 「愛国心が足りないニダ!」

 「声を張り上げるニダ」

 「日本沈没ニダ!」

 「「「「「日本沈没ニダ!!!」」」」」

 「いくニダ!!」

 「「「「「いくニダ!!!」」」」」

 「日本沈没ニダ!」

 「「「「「日本沈没ニダ!!!」」」」」

 シャッ! シャッ! シャッ! シャッ! シャッ! 

 シャッ! シャッ! シャッ! シャッ! シャッ! 

 「き、教官、た、立ちそうニダ」

 「アン・サムン士官候補は偉いニダ!」

 「日本沈没ニダ!」

 「「「「「日本沈没ニダ!!!」」」」」

 シャッ! シャッ! シャッ! シャッ! シャッ! 

 シャッ! シャッ! シャッ! シャッ! シャッ! 

 「いくニダ!!」

 「「「「「いくニダ!!!」」」」」

 シャッ! シャッ! シャッ! シャッ! シャッ! 

 シャッ! シャッ! シャッ! シャッ! シャッ! 

 「日本沈没ニダ!」

 「「「「「日本沈没ニダ!!!」」」」」

 シャッ! シャッ! シャッ! シャッ! シャッ! 

 シャッ! シャッ! シャッ! シャッ! シャッ! 

 「き、教官! たっ 立ったニダ」

 「「「「アイゴ〜!!!!!」」」」

 「頑張るニダ」

 「日本沈没ニダ!」

 「「「「「日本沈没ニダ!!!」」」」」

 「いくニダ!!」

 「「「「「いくニダ!!!」」」」」

 シャッ! シャッ! シャッ! シャッ! シャッ! 

 シャッ! シャッ! シャッ! シャッ! シャッ! 

 「教官・・」

 「ぅ・・あああ〜・・・」

 「いくニダ!」

 「おおおお〜 日本沈没・・・」

 「アン・サムン・・い・・・く・・・に・・・だ・・・」

 「い・・・く・・・に・・・だ・・・」

 どっぴゅ〜〜〜〜〜〜 どっぴゅ〜〜〜〜〜〜

 「「「「アイゴ〜!!!!!」」」」

 「よくやったニダ! アン・サムン士官候補は先任士官ニダ!!」

 「「「「アイゴ〜!!!!!」」」」

 シャッ! シャッ! シャッ! シャッ! シャッ! 

 シャッ! シャッ! シャッ! シャッ! シャッ! 

 

 

 儒陀 日本語学校

 “・・・日本が維新を成功させていた頃”

 “朝鮮は清国に隷属していました”

 “李朝と日欧米露との取引が増えるに従い両班の搾取が増大”

 “農民たちの暴動が起こると東学を中心とした甲午農民戦争へと発展していきました”

 “李朝は、清国に支援を求め”

 “日本政府も朝鮮半島の権益を守るため、日本軍を朝鮮半島に上陸させました”

 “日本と清国は、朝鮮半島の利権を巡って対立し、ついに戦争になりました”

 “日本は日清戦争で清国に勝利すると、朝鮮半島から清国の勢力を駆逐し”

 “朝鮮を独立させました・・・”

 “日本は・・・”

 「日本?」

 「日本は地上から消えたニダ。日本の話しをしてはならないニダ」

 「せ、せんせい・・・」

 「日本人の日本史教育を妨害するニダ」

 「韓国の歴史を日本人に教えるニダ」

 「今日はルアンダの話しニダ」

 「もちろん儒陀は世界最高ニダ。ルアンダは世界最低ニダ」

 「でも日本はルアンダより最低な国ニダ」

 「みんなも世界にでたら儒陀を自画自賛して、日本を誹謗中傷するニダ」

 「日本人はムラ社会の中で善悪なく慣れ合って気持ち悪いニダ」

 「嘘つきで泥棒で女は色情狂で、男は人殺しニダ」

 「クズ日本は、ルアンダより劣る道徳最悪国ニダ」

 「日本を間抜けにして、世界から孤立させてしまうニダ」

 「に、日本は・・・」

 「日本は・・・」

 「日本ヴぃvcdふぃdcds6t6sddsで7えdr76rf6!!!!!」

 「「「「「せ、先生!」」」」」

 

 儒陀皇帝府

 ぱたっ! ぱたっ! ぱたっ! ぱたっ!

 ぱたっ! ぱたっ! ぱたっ! ぱたっ!

 ぱたっ! ぱたっ! ぱたっ! ぱたっ!

 「暑いニダ〜」

 「戦況はどうニダ」

 「睨み合ってるニダ」

 「インド軍の方が多いのに?」

 「烏合の衆でまとまりがないニダ」

 「では攻めるニダ」

 「攻めるとまとまって強くなるニダ」

 「うぬぬぬ・・・攻めてきたらどうする?」

 「望むとこニダ。攻めてきたら向こうがバラバラになるニダ」

 「それでは、戦争したうまみがないニダ」

 「・・・・」

 「日本は参戦しないニカ」

 「高みの見物ニダ」

 「日本は昔から野蛮な戦闘民族だったはずニダ」

 「高みの見物なんて高尚なことはできないはずニダ」

 「何とか日本軍と軍属を暴走させてインド内戦に参戦させるニダ」

 「在日儒陀人も一緒武装蜂起して軍部と共同で日本と日本人を支配するニダ」

 「日本軍が主力をインドに送り込んだら中華民国に武装蜂起させて」

 「ソビエトとアメリカに日本を攻撃させるニダ」

 「今度こそ、成功させるニダ」

 「駄目なら左翼でもいいニダ」

 「日本人を性欲と食欲で骨抜きにして暴力で日本を支配するニダ」

 「汚い仕事ができるのは我々だけニダ」

 「どっちも権力と金と欲しさで握手してくるニダ」

 

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 月夜裏 野々香です

 『魔業の黎明』と似ないようにしないと・・・

 と思えば思うほど似てきそう (笑

 

 中華民国は、外資シンジケートに支配され、対外的に牙が抜かれてます

 いまの日本みたいな感じでしょうか。

 その代わり経済的な合理性が追求され、生産力は向上していきます。

 

 

 物質⇒エネルギー⇒空間と時間。

 UFOの動きから逆算しました。

 次元異動の相乗効果で、いまの世界の空間と時間に対しても作用します。

 潜水艦みたいに次元に潜って、一瞬のうちに別の空間に移動したりです。

 あと消費したエネルギーで移動できる距離(空間)を操作して、

 空中を行ったり来たりです。

 

 

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第23話 1963 『みんな、あの夕陽に向かって・・・』

第24話 1964 『い・く・ニ・ダ〜』
第25話 1965 『十 日 十 韋』