月夜裏 野々香 小説の部屋

    

タイムスリップ系架空戦記

『時空巡洋艦 露鳳』

 

 第27話 1967 『史上最強の兵器は・・・』

 世界の生産力の比率が変動していた。

 アメリカ合衆国とドイツ帝国の生産力が小さくなったのではない、

 むしろ、民需を中心に増産化傾向にあった。

 しかし、それを上回るほどの規模で日本、満州帝国、中華民国の生産力が拡大、

 結果、北米と欧州の生産力の比重が小さくなり、東アジアが大きくなってしまう。

 特に主権喪失により、

 雲南省の白人世界とアメリカの属国の蜀華合衆国の基盤が大きくなるにつれ、

 安定感と信用買いが増して外資シンジケートへの投資が増大、

 外資シンジケートの中華民国資産は、本国の総資産を上回る勢いを見せていた。

 そして、中華(外資シンジケート)民国の生産基盤と社会基盤は、飛躍的に大きくなっていた。

 某工場

 「働いてもらえませんか」

 「賃上げの要求が通るまで働かないある」

 「そうですか・・・・」

 数十分後、

 工場で銃声が響き、血の海になっていた。

 ストを起こした漢民族が外資系の私兵(漢民族マフィア)によって掃討されていく、

 清掃係が死体を片付け、工場を洗い、

 代わりの工員が外資シンジケートによって連れてこられる。

 これを得意とした外資系シンジケートがイタリア系とロシア系だった。

 

 上海

 ビルが立ち並び、道路が舗装されていく、

 外資シンジケート系ホテル

 日本人たち

 「やれやれ、建設ラッシュじゃないか」

 「資源輸出の対価だろう。半分でも大きいし」

 「日本企業も大陸向けの受注で24時間操業が増えてる」

 「そのうち、メイドインチャイナ製品が日本の市場に溢れだすと思うね」

 「だって、株主だし、打ち出の小槌みたく利鞘が転がり込んでくるならやめられない」

 「日本じゃ これほどの利益は上げられないからね」

 「満州の漢民族も同族の中華民国がいいのか、中華民国に移動しつつある」

 「歓迎すべき傾向だね」

 「しかし、露鳳の情報とまるで違う中国じゃないか」

 「共産党独裁じゃないし、思想的にも膠着してない」

 「中華民国の国権喪失と政治的無能化が引金になって、国力が増大してしまうのだから皮肉だな」

 「中華民国の国権を握ってるのが外資シンジケートなだけだろう」

 「多国籍企業は、国権の弱い国が好きだからね」

 「同族支配より搾取率が低いなら、漢民族も現状維持を望むさ」

 「それはそうと、中国人のアフリカ大陸移民が増えてないか」

 「実のところ、アフリカ大陸の植民地軍は中国人だし、華僑資本の特権は中華民国より強い」

 「いろんな意味でヤバい未来な気がするが・・・」

 「そうは言っても、投資するだけ財布が膨らむからやめられない」

 

 日本

 太平洋沿岸沿いに巨大な工場が連なり、

 世界中から供給された資源が荷揚げされ、

 日本で生産された商品が船に積まれ、世界中に出荷されていく、

 この時代、産業ロボット日本の工場は世界の工場となり、

 収益のリターンによって社会基盤と公共設備が拡充されていた。

 米ユニメーション社とAMF社が産業用ロボットのユニメートとバーサトランを1961年に開発すると、

 日本も待っていたかのように翌年の62年に産業用ロボットを開発してラインに載せ、

 産業ロボットの利用は急速に広がっていく、

 製造業と農産業で人材を奪い合っていた争いは、産業用ロボットの開発で一先ず落ち着きを見せたものの、

 人材難であることに変わりなく、対立はくすぶり続けていた。

 日本が産業用ロボットの導入に積極的だったのに対し、

 アメリカは、工員を中心に反発。

 この頃になると産業用ロボットの台数で明暗が分かれ、

 日本産業は自動車などの中級工業品でアメリカを引き離していた。

 

 図書館

 学生がジェーン海軍年鑑を開いていた。

 航空巡洋艦 露鳳

  起工1936年12月26日 進水1942年3月31日 就役 1943年1月20日

  基準排水量38000t/満載排水量45500t

  全長273.1m(水線長242.8m) 全幅53m(水線幅31m) 吃水8.2m(最大12m)

  蒸気タービン8缶(200000hp)4軸推進4基  最大速力32.5kt

  航続距離7590海里/18kt 乗員1615名

  100mm単装砲 2門  朱雀10機 海燕20機

 露鳳は日本帝国海軍が秘密裏に建造した実験型航空巡洋艦とされている。

 しかし、露鳳の機能は、日本海軍のドクトリンから逸脱している。

 日本の海軍戦略と合致しておらず、兵装も新規装備が多い、

 建造したとされる造船所は時期的に埋まっており、ローテーション上の矛盾がある、

 またオーパーツ的に突出した軍事技術など出自不明が多く、

 艦型もそれまでの日本海軍の造艦技術を継承していない、

 艦載している朱雀、海燕など高性能ヘリと合わせ、

 旧来の日本海軍艦艇と全く違う艦艇として建造され、

 これは、費用対効果から起こりえない現象とされている。

 大和、武蔵が建造が秘匿されながらも新型戦艦の建造が噂が影のように付きまとっていた。

 しかし、露鳳の建造は、完全に闇の中であり、

 その出現も異常気象と重なっている。

 そのため、露鳳が数十年後の未来、

 あるいは異世界から出現したと言った風評も多い、

 連合国が露鳳の存在を知ったのはドーリットルの帝都空襲後であり、

 エンタープライズは、正体不明の光球を日本列島の近海で確認したと報告している。

 露鳳は、就役すると、第4機動部隊に配備され・・・・etcetc・・・

 『よう、ロバート、また、ジェーン年鑑を読んでるのか』

 『ジェーン海軍年鑑の露鳳の記述だけが異常で笑えてくるんだよ』

 『俺の親父は長門に乗ってたらしいけど』

 『海戦の事とかよくしゃべるくせに露鳳になると口を閉ざすぜ』

 『緘口令?』

 『詳しく聞こうとしたら目が泳いでたし、かなり厳し罰則らしいよ』

 『へぇ 相当な軍機だ』

 『そういや、また白人の留学生が来るってよ』

 『どこだろう』

 『フランス・・・って言ってたな。女の子だったらいいなぁ』

 『フランスか・・・』

 『綺麗だといいなぁ』

 『まだ女の子と決まってないだろう』

 『まぁ そうだけど』

 日本人の友人は少年漫画を読み始める。

 日本の少年層は軍事的なモノより、漫画的なモノに惹かれるらしい、

 日本政府は、文化的な締め付けを緩め、自由にさせている、

 日本の大人たちは退廃的と批判気味だが、

 文化的表現で自由度が増している事で、音楽と映像は飛躍的によくなっている。

 もっとも性的表現は規制が厳しく、

 未成年が出入りできない書店に限定されていた。

 

 総理官邸

 「ええと・・・この項目の関税を下げなければ、中華民国の経済成長に負けるのだな」

 「関税を下げると保護が失われ、国内産業の一部が打撃を受けることになります」

 「だが保護し続けると、競争力が失われる。どうしたものか」

 「これ以上の保護貿易は物価の上昇に繋がり、よろしくないかと」

 「ふぅ〜・・・予算を投じても露鳳の情報も少ないときてるし」

 「国内の農業が弱いのは仕方がないのか」

 「元々 機械化しにくい産業で小規模ですから」

 「農地解放以来、農民票は大きいんだけどな」

 「工業と商業を強化しなければなりませんし、致し方ないかと」

 「んん・・・」

 「保護貿易で国際緊張を煽るような外交姿勢は好ましくないと思います」

 「しかし、事前に保護を撤廃すると通達してたはずだが改善や採算性の向上がみられないな」

 「結局、競争にさらされない限り農家も動かないということでしょう」

 「企業農法は?」

 「満州帝国は恐慌できましたが、国内は個人農家が嫌がりますし、集票にも響きます」

 「それに満州、アメリカ、中華民国の農産物に列島と半島が依存してしまうのはまずい」

 「もう少し時間を稼ぎたかったがな」

 「これ以上の保護貿易は、アメリカの機嫌を損ねます」

 「仕方がない」

 「あと、露鳳にある日本の繁栄と、国体としての矜持の間で軋轢があるようだが」

 「国権と民権のどちらに比重を置くか」

 「国家主導の経済と市場経済のどちらに比重を置くかです」

 「ある程度の財政誘導は必要だが」

 「それが民間活力を削ぎ、経済を低迷させてるのは否めない」

 「露鳳の情報からかなり逸脱してますし」

 

 新幹線が風を切って田園を走り抜けていく、

 リニアモーター化の噂が流れていたが新幹線の利益が溜まってからだろうか、

 とはいえ、科学技術とラインに載せる工業化と採算ベースの産業化は別の次元で、

 “できる” “できない” と “やれる” “やっていい” は別の次元といえた。

 アメリカがインド覇権戦争で勝つとインド洋が支配され、中東石油が高騰、

 設備投資が縮小するかもしれないと噂も流れていた。

 日本政府は、対抗処置として省エネ対策を打ち出し、

 満州油田と東シナ海ガス油田で対応可能と、

 国際外交で消極性を発揮し、退役将兵と旧軍属から失笑を買っていた。

 とはいえ、一般庶民は少しくらい物価が上がり、不便でも、

 徴兵されて、死地に追いやられるよりマシであり・・・・

 個人農家の男たちが木を植えていた。

 「おや、五輔さん、田んぼをどうするんだい」

 「会社が忙しくなってね」

 「満州米だけじゃなく、カリフォルニア米も入ってくるっていうし」

 「もうお米は厳しいし、田んぼを減らして、ミカンと柿の木でも植えてみようかなって」

 「へぇ〜 ミカンに柿か、採れたらうちのキャベツと交換しましょう」

 「そうだな・・・」

 満州の農作物の競争力は強く、

 会社の賃金が上昇し、農業収益は目減りしていた。

 個人農家は価格的に太刀打ちできず、市場から駆逐され、赤字幅が増えていく、

 専業農家でさえ利潤が低迷し、

 日本と半島も企業農法への移行が進み、農家の統廃合が進み、

 兼業農家は作物を自家で消費する程度で、生産量は縮小の一途をたどっていた。

 そして、農家が分担して異なる作物を作って交換が増えていく、

 

 

 満州帝国

 戦後20年で、日本人と漢民族の人口比は1対4。言語比は1対3となっていた。

 竜鳳(大慶)油田と満州鉄道を中心とした重工業は、日本列島と扶桑半島の経済を押し上げ、

 余す余剰資本は、満州帝国の工業力を急速に高め、

 帝国の余剰作物は、周辺国へと輸出されていく、

 極東シベリアの毛皮が満州帝国や日本に流れると、

 シベリアの店は行列が作られるどころか、品物が棚を埋めつくしてしまう現象も見られた。

 中華民国の外資シンジケートの所業も山海関は堰き止められ、

 表面的には満州帝国に及んでいなかった。

 満州帝国は、中華民国のような急速な発展はなかったものの、

 秩序ある経済成長は無理が少なく、貧富の格差は驚くほど小さく、

 どこの共産主義国家と陰口が囁かれる。

 

 人々は凍結した川でスケートを楽しんでいた。

 スケート靴さえあれば無料で楽しめることから、

 冬季オリンピック選手は、ほとんどここから現れる。

 カフェテラスでチーズフォンデュが焚かれ、

 男たちがパンを付けては、口に入れる。

 「美味しいニダ」

 「美味しいある」

 「なぜ、日本ばかり成功するニダ」

 「わからないある」

 「何も考えず従順に飼い慣らされた人間ばかりニダ」

 「ロボットある」

 「面白くないニダ。何とかするニダ」

 「最近、犯罪に加担してくれる漢民族が少ないある」

 「みんな、日本人の味方ある」

 「なぜニダ。中華思想はどうしたニダ」

 「中華思想に従うなら漢民族は、儒陀人とは組まないある」

 「「「「・・・・・」」」」

 「日本が悪いニダ」

 「日本が悪いある」

 「悔しいニダ。何とか日本を滅ぼさないと気が狂いそうニダ」

 「日本をソビエトとアメリカ相手に戦争させるある」

 「いまの日本の軍属は昔と違って腑抜けある」

 「昔の日本軍は、予算を分捕り過ぎて癌化したある」

 「それで、議会を無力化させて、政府を乗っ取るくらい気概があったる」

 「軍事費を縮小させないため、アメリカとイギリス相手に戦争するほど馬鹿だったニダ」

 「「「「あはははははは・・・」」」」

 「もう一度、日本と世界を戦争させるある」

 「それが無理なら左翼と組んで廃退主義を広め、日本を駄目にするニダ」

 「日本の大衆は、目先の仕事に集中するばかりで、どっちにも靡いてないある」

 「むかつくニダ」

 「大きな犯罪か、贈収賄事件で日本社会の不信感を煽るある」

 「日本人は建前が強過ぎて、贈収賄が難しいニダ」

 「漢民族ならイチコロなのに日本人は変ある」

 「こうなったら・・・ネズミ講で・・・」

 !?

 「特高ニダ。逃げるニダ」

 「逃げるある」

 がた! がた! がた!

 「待て!」

 がた! がた! がた!

 「逃げるニダ」

 「逃げるある」

 つる つる つる つる

 「「「「わぁわぁああ〜! 滑る(ある)ニダ!!!」」」」

 つる つる つる つる

 「待てぇ〜 おぉおぉお〜」

 くる くる くる くる

 「わぁわぁああ〜! 回る(ある)ニダ!!!」

 くる くる くる くる

 「待てぇ〜 おぉおぉお〜!」

 くる くる くる くる

 「わぁわぁああ〜! 転ぶ(ある)ニダ!!!」

 どて! どて! どて! どて!

 「待てぇ〜 おぉおぉお〜!」

 どて! どて! どて! どて!

 

 

 インド洋 サンポール島 (6ku)

 小さな島全体が霧に覆われていた。

 南緯38度を日本の北緯で仙台付近に当たり、冬になると底冷えする。

 飛行場と港湾施設で島の表面多くが埋まり、周囲には松林が作られていた。

 高台の貯水湖から水路が伸び、

 申し訳なさげな小川が菜園沿いを流れていく、

 風力発電と小型原子炉のおかげで暖房と飲料水が得られ、

 残りは農業用水として使われる、

 淡水化プラントの水を使った高価な松林と作物だったものの

 島は風景を変え、

 捕鯨産業の施設と南極探検事業施設は島を少しばかり豊かにしていた。

 管制塔

 「副司令。SOSUSに反応です」

 サンポール島とアムステルダムの間のSOSUSに反応が出ていた。

 「タイプは?」

 「音紋は、6000t級モルトケ型原子力潜水艦ゲーベンです」

 「日本のSOSUS網の探知能力を調べてるわけか」

 「多分そうだと思います」

 「気付かない振りするのが上策なんだろうが、舐められても面白くない」

 「副司令。アムステルダムが北西を巡回飛行中のスサノオを回すそうです」

 「・・・妥当なところかな」

 「昭和(プログレス)基地の天候は?」

 「悪くなるばかりのようです、あと8時間は回復の見込みなしだと」

 「・・・少尉。離陸中止だ」

 “中止ですか”

 「基地の天候が不安定らしい」

 “今年の空輸は終わりかな”

 「あと、二日様子を見てから決める。降りていいよ」

 “了解”

 輸送機ツクヨミからパイロットが降りてくる。

 「ジェット機ならもう少し無理が利くんだが」

 「哨戒域が広過ぎるんじゃないですか」

 「西太平洋から中部太平洋と赤道域。南極に近いインド洋までなんて」

 「日本じゃなくても水冷ディーゼルで輸送機を飛ばしたくなりますよ」

 「そういえば外国にツクヨミの燃費が気に入られて、売るとか、売らないとか」

 「機体のほとんどが複合素材で、世界じゃ まだ開発されてなくて軍事機密だからでしょう」

 「それで、民間下請けに国外用の機体を製造させるとか製造させないとか」

 「そういや、素材だけじゃなく、構造も2012年モノが使われてたな」

 「5軸制御NCで作った部品やエンジンなんて、早々見せられるものじゃないですし」

 「ばれたら、えらい騒ぎになるモノが多いですからね」

 「政治家の思いつきでやられたら機密なんて簡単に漏洩させられますよ」

 「しかし、二重の産業構造というのもなかなか大変らしいな」

 「ええ、新興企業の芽を摘みかねないですし」

 「教えると機密だけじゃなく、創意工夫どころか、若手の意欲すら削ぎますからね」

 「先達の醜悪も極まれるな」

 「あと、日本の常識が世界の非常識ということもありますから注意しないと」

 「ふっ 間の抜けた人間も多いし、口を滑らせただけで国際社会から突っ込まれるからな・・・」

 「そういえば、白人の留学生も増えてるとか、いつまで秘密が持ちますかね」

 「だよなぁ」

 「あ、そういえば、儒陀の商人が牛肉・豚肉と鯨肉を交換したいと来てますよ」

 「へぇ 考えたもんだ。鯨肉ならヒンズーもイスラムも大丈夫なのか」

 「鱗の無い魚は駄目だと聞いたことがあるような・・・」

 「鯨は魚じゃないよ」

 「そ、そうでした」

 「しかし、捕鯨もいま一つ活気がないし、どうしたものか」

 「内地は、満州牛肉に負けてますからね」

 「まぁ 利益になるなら売るかもしれんな」

 

 

 未来科学研究所 (Future science laboratory : F・S・L)

 研究者たちは、空中の青白い靄のような塊にボールペンを突いていた。

 つん! つん!

 「・・・DPPシールドも、ようやく鉛・錫(1.5)から亜鉛(2.5)程度の硬度か」

  ※次元(Dimension) + 位相(Phase) + 粒子(Particle) 

 「先は長いねぇ」

 「次元テスラ回路の精度で硬度。次元テスラ回路の数で面積と厚み」

 「ちょっとしたDPPシールドを形成するだけでもスーパーコンピュータが必要だな」

 「シールドの形を変えようとするとさらに数百倍の規模が必要になる」

 「LSIは?」

 「アメリカの開発速度は思ったより早いみたいだし、そろそろLSIも考えないとな」

 「そういえば、電子工場を大きくするってよ」

 「またかよ」

 「もう、人間どころか、細菌細胞が邪魔になるのがわかってるってよ」

 「なんか凄いな」

 「将来は気体分子が邪魔になって真空で作る事になるんじゃないかな」

 「じゃ こっちに回ってくる予算が減るってことか」

 「まぁ 社会資本を吸い上げない限りそうなるね」

 「どうせ歓楽街に消える金ならこっちに回せばいいのに」

 「娯楽も必要だよ。飲まなきゃやってられない時もあるし」

 扉が開く、

 「おい、あと10分で航空技研がコンピュータを使うぞ」

 「「「「・・・・」」」」 ため息

 「コンピューターが先かな。もう、仕事にならんわ」

 

 

 時空観測室

 目に見えるモノがすべてではない、

 というより、3次元を捉える視界は4次元において平面的なモノでしかなく、

 幾つもの層を通過しなければならない時、次の層に何があるのかわからない、

 視界に頼り過ぎると、一歩踏み出した瞬間、断崖絶壁に直面する。

 それが次元異動だった。

 そのため次元ソナーで次の層を探るなり、

 次元探査機を先行させ、安全の確認後、本体を別の層にシフトしなければならない、

 「次元空芯式共振コイル及び次元スパークギャップスタンバイ・・・」

 「次元テスラコイル移送器共振モード準備完了」

 「原子共有結合のサーチに入ります」

 「原子軌道及び分子軌道の変数は、許容範囲内です」

 「次元探知機の固有振動数と原子共有結合を一致させます」

 「価電子波長の同調性は、80パーセント」

 「原子軌道誤差0.01パーセント。分子軌道誤差0.006パーセント」

 「重力計数は正常」

 「目標座標固定」

 「共有結合オールグリーン」

 「分子軌道オールグリーン」

 「空間軸±0.6、時間軸±0.1、重力変動±0.04、最終調整確認」

 「次元磁石ローレンツ力安定しました。転移可能です」

 「転移スタート」

 筒状の中にあった次元探知機が青白い光に包まれ、一瞬にして消える。

 「時間軸±0、次元軸+1。X0、Y0、Z0で次元探知機を確認」

 「次元軸を+へ」

 「次元軸を+へシフトします」

 「今回はどこまでいけますかね」

 「±25がコントロールの限度だったかな」

 「なにがあるのかわからないところが怖いですね」

 「なにもない可能性もあるな」

 「甲潮流まで、あと200です」

 「露鳳が来なかった世界の1967年だな」

 「露鳳の史実道理なのか興味ありますね」

 「そうだな」

 「接触で乙次元潮流が甲次元潮流に統合されるようなことはないでしょうね」

 「まぁ そういうのは困るな」

 「ですよねぇ」

 「もし、向こうに到達できたとしたら、干渉するのでしょうか」

 「いや、時空潮流が近過ぎる」

 「何かするとしても次元異動の灯台のようなモノを置くぐらいかな」

 「三角座標なら次元航行もやりやすいでしょうね」

 「・・・所長、時間軸±0、次元軸+12。X0、Y5、Z0で、未確認物体を確認」

 「数は・・2です」

 「ほぉ どうする気だろう」

 「前回と前々回はしばらく追いかけて、どこかに行きましたからね」

 「今回はどうでしょう」

 「・・・未確認物体が消えました」

 「次元軸は?」

 「+19です」

 「監視されてるのでしょうか」

 「そうだな・・・猿が海に向かって木の枝を投げているのを見つけたらどうする?」

 「まぁ なにをしてるのか、様子を見ると思いますよ」

 「その程度かもしれないな」

 「次元軸+25です」

 「んん・・・時空のサンプルも欲しいし、今回は戻してみるか」

 「帰還させます」

 「もう少し、大きなモノを異動させたいねぇ」

 「大型発電所か、もっと大型の次元モーターが必要ですね」

 「露鳳を解体しない限り難しいだろうな」

 

 

 

 大西洋 赤道

 巨大なプラットフォーム船から宇宙ロケットが打ち上げられた。

 ドイツ帝国とイタリアは高緯度で東側に適当な広さの海がないことから

 共同で洋上プラットフォーム宇宙基地を建造していた。

 司令船

 「提督。カプセルの回収に成功しました」

 「そうか、アメリカとイギリスがソビエトを支援するから、宇宙産業が進まないな」

 「戦後再建も、ですね」

 「まぁ 東欧・バルカン人を雲南省に輸出して、利益になってるようだが」

 「一番儲かってるのが日本、次がアメリカ、次がイギリスとイタリア、次がソビエトなのが面白くない」

 「ドイツは中国需要から遠いですからね」

 「アフリカの華僑需要も日本に負けてるようですし」

 「ちっ 日本め、無節操に後進国を支援しやがって」

 「イギリスとフランスも大家収入がいいようですから」

 「まぁ 宇宙で先行できてるメリットは大きいがな」

 「衛星写真から見れば、地上の動きは全て読める」

 「先手を打たれることもない」

 「衛星軌道を制する者が地球を制すだよ」

  

 

 アメリカ合衆国 白い家

 地図がテーブルの上におかれ、

 自由資本主義・民主化の様子が描かれていた。

 「インド大陸覇権戦争で苦戦してるようだが」

 「パキスタン、ハイデラバード藩王国、儒陀藩皇国とも戦意が低いようです」

 「もっともインド藩王諸国も戦意が低いので助かってますが・・・」

 「ドイツ、ソビエト、日本の動きは?」

 「ドイツ、ソビエトはインド側に武器弾薬を輸出。日本は民需を中心に支援してるようです」

 「積極的ではない」

 「アメリカはお得意様ですからね」

 「ドル高を保ってる間は、表だって反発もないし、見て見ぬ振りか」

 「高みの見物ともいえます」

 「「「「・・・・・」」」」

 「それと、これ・・」

 小さなICチップが入った箱が見せられる。

 「日本は、我々よりIC製造に長けてるようです」

 「我々がデタラメな歩留まりで作った試作品より、数が多いですね」

 「「「「「・・・・・」」」」」

 「まずいじゃないか」

 「ええ、かなりまずいです。電子部門の予算超過を願いたいですな」

 「「「「「・・・・・」」」」」

 「X艦の造艦技術は見たところ、ニミッツ型空母より劣るはず」

 「日本の技術的な優位性は限度があり、縮まってるのでは?」

 「縮まってるならいいがね。しかしながら、我々はX艦の艦齢を知らない」

 「「「「「・・・・・」」」」」

 「推測で1990年から2020年の範囲と考えてるのだが」

 「正確な情報を知りたいものだ」

 「未来技術で23年から53年では、対応も変わってくる」

 「ニミッツ型空母の建造は?」

 「発注しました」

 「ドイツと日本が対抗する動きは?」

 「日本は45000t級ヘリ強襲母艦の建造がはじまったばかり」

 「ドイツも40000t級空母の建造が始まったばかりで、対抗してるようには思えません」

 「ふっ 日独とも対抗しうる軍事費を捻出できなかったわけだ」

 「そのようです」

 「アメリカ合衆国の国力なら空母15隻体制を持続できる」

 「世界最強の機動部隊があれば、世界に対するアメリカの主導力は堅持できるだろう」

 「資本主義と民主化の利益誘導で国境の壁は低くなる」

 「市場経済と金融自由化が果たせるなら世界中の利権が転がり込み」

 「我々の金融支配は強化されるだろう」

 

 

 ソビエト連邦 クレムリン

 地図がテーブルの上におかれ、

 共産主義の浸透の様子が描かれていた。

 「インドで共産主義者が増加傾向にあるようです」

 「あと、アフリカ大陸と南米大陸でも・・・」

 「ふっ どんな社会にも搾取と差別がある」

 「我々は、搾取と差別から大衆を救うという大義名分を掲げ」

 「常に虐げられている大衆の味方を続けるだけでいい」

 「それだけで、ソビエト共産主義を宗主国とする人々が我々に味方をする」

 「全世界の大衆の半分が我々の思想に共鳴し、我々の工作を支援するだろう」

 「兵器や武器弾薬など補助的な手段に過ぎない」

 「思想こそ、世界最強の兵器だ」

 

 

 中華民国 中南海 

 そこは紫禁城の西に作られた湖水を囲む一帯で、中華民国の政治中枢だった。

 政治と軍事で手足をもぎ取られながらも国力だけは急速に拡充していた。

 総統府 (中華シンジケート)

 国家安全局 (外資シンジケート)

 国民大会 (中華シンジケート)

 立法院 (外資シンジケート)

 行政院 (外資シンジケート)

 経済部 (外資シンジケート)

 教育部 (中華シンジケート)

 財務部 (外資シンジケート)

 外交部 (中華シンジケート)

 内務部 (外資シンジケート)

 法務部 (外資シンジケート)

 国防部 (外資シンジケート)

 交通部 (外資シンジケート)

 衛生局 (外資シンジケート)

 主計局 (中華シンジケート)

 ・・・・・

 利権に食い込んだ外資シンジケートの利益は莫大だった。

 漢民族にとって幸運だったのは、外資シンジケートの方が搾取率が低く、

 外資シンジケートも働くほど金が転がり込むため、賄賂抜きで仕事をすることが多く、

 公正な競争が行われたことで、国が発展してしまったことと言える。

 国務院

 「手足をもぎ取られて何にも出来ないある」

 「漢民族は、漢民族を信じてないで外資シンジケートを信じてるある」

 「外資系シンジケートを潰したいある」

 「逆に外資系シンジケートを結束させて、雲南省の独立にも繋がりかねず、こちらが潰されるある」

 「どいつもこいつも売国奴どもある」

 「国外に私財があって、何かあっても国外に逃亡できる強みは大きいある」

 「主席もスイス銀行に・・・」

 「黙るある」

 「しかし、民族資本も強くなってるある」

 「このまま進めば全世界の華僑ネットワークが世界経済をコントロールするある」

 「特にアフリカ大陸の華僑は、欧州植民地支配のカギある」

 「力を付けたら華僑がアフリカ大陸を全て統一するある」

 「中国人の人口と言語は世界最強の兵器ある」

 

 

 

 インド大陸

 儒陀藩皇国

 アメリカの資本投下を受けられる軍関係のみが金回り良く、

 ムンバイ軍港と儒陀軍属を中心に儒陀社会が回っていた。

 しかし、国土の多くは、戦場でないにもかかわらず荒廃し、

 詐欺と泥棒と強盗と殺人が横行していた。

 仕事をしている間に泥棒に家財が奪われ、

 家族が両班の人身御供にされる事も珍しくなかった。

 社会基盤と公共設備があっても、

 その運用は、個々の信頼関係によって成り立つものであり、

 前提の信頼関係が喪失した社会は、何もかもが崩壊し、

 信じられるものなどない社会の治安は悪化の一途をたどる、

 “誰が悪いのか”

 “皇帝と両班と言えば裏切り者、売国奴として殺される”

 “儒陀民族の自業自得と言えば民族的な自殺となり”

 “非国民として殺される”

 “アメリカが悪いと言えば食べていけない”

 “強圧的な政治に抑圧され”

 “嘘と虚飾で塗り固められた自尊心に正常な思考が踏み躙られ”

 “歪で醜悪な精神構造が作られ”

 “インド人、イギリス人、日本人が悪いといわずにいられない”

 そして、多くの儒陀人たちが儒陀藩皇国から亡命したがる。

 

 アメリカ軍将校と日本の建設会社の人が河を見渡せる丘にいた。

 「なんとも胡散臭い社会ですな」

 「アメリカのせいじゃないよ」

 「本当に?」

 「卑屈な現実逃避で自己の精神安定を図ってるのだろう」

 「現実を直視できないわけですか」

 「戦前の日本社会と似てますな」

 「まぁ 予算得とくという目的のため、手段を選ばなくなってますからね」

 「軍部と軍属は、現在進行形で胡散臭いですよ」

 「ここに橋を建設して欲しいんだが」

 「儒陀人に作ってもらえばいいのでは」

 「生憎、儒陀人の作った橋を渡りたがるアメリカ人は一人もいない」

 「さらにアメリカ企業に発注するより、日本企業に発注する方が安い」

 「なるほど、わかりました」

 

 儒陀 日本語学校

 “1914年6月、オーストリア皇太子がサラエボでセルビア人に暗殺されたことで”

 “7月28日、オーストリア帝国はセルビアに宣戦布告して戦いが始まり・・・”

 “当時の複雑な同盟関係から欧州諸国は一気に戦雲に傾け”

 “オーストリア帝国と組みするドイツ帝国と”

 “セルビアに加担するイギリス、フランス、ロシア帝国を巻き込み始めました”

 “ドイツ帝国は8月2日にロシアに宣戦布告”

 “さらに8月3日にフランスに宣戦布告しました”

 “イギリスは8月4日にドイツに宣戦布告し、欧州全域で戦争がはじまりました”

 “規模の大きさから世界大戦と呼ばれるようになり”

 “日本帝国は、日英同盟に従って、8月23日、対ドイツ・オーストリアに宣戦布告しました・・・”

 「もういいニダ」

 「弱小国のくせに日本はイギリスの虎の威を借りて、ドイツに宣戦布告したニダ」

 「愚かニダ」

 「日本人は、昔から戦争好きな蛮国のゴミ人間ニダ」

 「また、中華民国、ソビエト、アメリカと戦争すればいいニダ」

 「日本を中華民国、ソビエト、アメリカと戦争させて滅ぼすニダ」

 「その間に儒陀は、力を付けお金持ちになるニダ」

 「そして、インド大陸を支配し、神と約束したインド儒陀帝国を復活させるニダ」

 「「「「・・・・」」」」

 

 儒陀皇帝府

 ぱたっ! ぱたっ! ぱたっ! ぱたっ!

 ぱたっ! ぱたっ! ぱたっ! ぱたっ!

 ぱたっ! ぱたっ! ぱたっ! ぱたっ!

 「暑いニダ〜」

 「戦況はどうニダ」

 「あまり良くないニダ」

 「パキスタン軍もハイデラバード軍も根性がないニダ」

 「もっと真剣に戦うニダ」

 「アメリカ軍将校は儒陀軍将兵の戦闘能力を疑ってるニダ」

 「儒陀軍将兵は世界最強ニダ」

 「特に戦線の無い敵国の国境の向こうに送れば治安はズタズタニダ」

 「人間不信を煽って、政治対立から内紛を起こせるニダ」

 「経済も破綻させられるし、業界は閑古鳥が鳴くニダ」

 「技術の更新で劣化する軍艦、航空機、戦車に頼った時代遅れで軟弱な軍隊じゃないニダ」

 「儒陀軍将兵は予算を掛けた工場も必要ないニダ」

 「常に敵国の内政に合わせて自律進化を繰り返し、文明の根底を破壊する部隊ニダ」

 「敵国に戦ってると気付かせることなく、敵国を内紛させ衰弱させ自滅させられるニダ」

 「イギリスのドレイク提督は言ったニダ」

 「“イギリスの防衛線はイギリスの沿岸ではない”」

 「“ドーバー海峡の真ん中でもない。大陸側の港の背にある” と」

 「これは、敵国の権力構造を切り崩し、敵国民を不信させ疲弊させることニダ」

 「だから儒陀軍将兵は、史上最強の人間文明破壊兵器ニダ」

 「だから、敵国に儒陀人をたくさん送り込むニダ」

 「でも中国人とインド人は、元々人間が壊れて難しいニダ」

 「だから中国とインドに謝罪と賠償を要求するニダ」

 

 

 

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 月夜裏 野々香です

 韓国人・朝鮮人は史上最強の人型生物兵器なんでしょうか (笑

 キャッチコピーは、仮想敵国に送れば仮想敵国は困ります。

 ファビョるとスーパー韓国人、スーパー朝鮮人に変身して暴走し、

 一般庶民を巻き込んで勝手に自滅、

 あくまで個人的な所業なので、国家的陰謀の証拠は残らないとか (笑

 

 

 

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第26話 1966 『アフリカ大陸、漢華帝国の予感・・・』

第27話 1967 『史上最強の兵器は・・・』
第28話 1968 『徒然なるままに』