月夜裏 野々香 小説の部屋

    

タイムスリップ系架空戦記

『時空巡洋艦 露鳳』

 

 第28話 1968 『徒然なるままに』

 中華民国

 北京駅で “扶漢滅洋” の落書き文字が消されていく、

 中華民国は、外資シンジケートに主権を奪われたことで、不正腐敗は縮小傾向にあり、

 不正腐敗を誤魔化すための反日・反洋運動は、沈静化した状態で渦巻いていた。

 中南海 外資系権力者

 「清掃局を強化した方がいいようだ」

 「中国人の掃除の仕方を見たことあるのか?」

 「とてもじゃないが公共施設が綺麗になると思えないね」

 「どぶに金を捨てるようなものだ」

 「満州帝国じゃ成功してるよ」

 「満州帝国の漢民族は少しずつ綺麗好きになってきてるし」

 「満州は日本の属国だから好きにできるけど、中華民国は違うだろう」

 「そうそう、監視役の日本人も多いし」

 「それに中華民国で上げた利益を還元して浄化処理施設を作ったくせに」

 「というより、衛生は国内問題で漢民族自身が清掃すべきものだろう」

 「中華民国の富裕層は、満州産の安全な穀物を食べてるからね」

 「そして、中華民国産の農薬漬け穀物を5分の1の価格で、海外に輸出する気でいる」

 「中華民国国内は飢餓状態になるだろうし」

 「自業自得だよ」

 「そうだよ」

 「しかし、このままだと海外に輸出される穀物が汚染されて酷いことになると思うが」

 「「「「・・・・」」」」

 「我々だって、街で食事をすることがあるし」

 「はぁ・・・中華民国のために下水処理場を作ってやらないといけないとはねぇ」

 「どうせ中国の国家予算だ」

 「下水処理場より、もっとF4ファントムを買わせたい」

 「「「「反対」」」」

 「だいたい、このまま中国人が大陸を逃げ出して、世界に拡散したら世界がゴミ箱になってしまう」

 「「「「・・・・」」」」

 

 

 この頃、東南アジア諸国の経済力が少しずつ上昇していた。

 日本資本の進出と、

 公共事業を中心とした社会基盤の建設で雇用があったものの、

 経済成長の主要な原因は、農地解放にあった。

 日本資本は農地解放で民族を代表する地主が弱体化した隙に利権を拡大したものの、

 東南アジア全般で、地主と水飲み百姓の関係が崩れ、膠着していた部族社会が刷新されてしまう、

 ある者は、企業に雇用されてノウハウを身に付け、

 ある者は、農地解放で得た資本で成功し、

 再構築しながら近代化していく社会の原動力と牽引車となっていた。

 おおむね、実力、能力、運の強い少数の成功者と、多数の挫折者に分かれたものの、

 東南アジア全体は、国際競争力を高め総合力で豪州を抜く勢いを見せていた。

 大東亜共栄圏インドネシア

 治安が良く、雇用のいい日本租界周辺に現地人が集まり

 引退した老人や高校を下校した生徒が、そのまま現地の日本語教室の黒板に向かう。

 マニュアル通りの日本語を書くだけでよく、

 専門的な質問でなければ国語辞典を見るだけでも答えられた。

 現地民も日本語を覚えれば、雇用で未来が開けるため日本人以上に真剣で

 日本語社会も広がっていた。

 日本人の学生たち

 「いいアルバイトだな」

 「まぁ 小遣いになるし、学校の復習にもなるし、一石二鳥かな」

 「かわいい子もいたね」

 「「うんうん」」

 「でも “は” と “わ” の使い分けを聞かれて焦った」

 「おまえ、小学生で習ったことを忘れるなよ」

 「いや、習慣でやってると、理屈で説明するのがね・・・」

 教わるより教える方が学力が身に付きやすく、

 老人のボケが減ったり、年少者の意識が教育熱に転換されたり、

 一方、現地民は日本語を覚えることで民族資本率を押し上げ、

 東南アジア域の経済を成長させていく、

 

 

 日本人は、近視眼な一面があり思想と宗教にも溺れにくい気質を持っていた。

 その代わり目先の現実に追われ、理想を曇らせ、大計を失う傾向もみられた。

  1 + 1 = 2

 簡単な問題と答えであるが受け手によって回答が変わり正しいとされてしまう。

 保身

  権力者は特に有効で、地位、名誉、財産を守るため、国や弱者を犠牲にしてしまう。

  時に自分が所属する集団さえ潰してしまう。

 権威主義者

  階級が格上なら信任し、答えが正しくても間違っていても信じ、

  階級が格下なら不信し、答えが正しかろうと間違っていようと見向きもしない、

 拝金主義者

  回答が正しかろうと間違っていようと利益になる答えが正しい、

 民族主義者

  日本人の答えがすべて正しく、非日本人の答えは全て間違い、

 国粋(親方日の丸)主義者

  国家の出した答えが正しく、それ以外は全て間違い、

 セクト主義者

  仲間内で我田引水で出した結論が正しく、他は全て間違い、

 

 悲しいかな

 組織に依存するあまり個人の信念と存在が薄れ、

 組織を守るため道徳観念も喪失して・・・・

 某所

 「じゃ あの二人の口を塞いでくれ、頼むよ」

 「わかったニダ」

 クラブ ××××

 ばーん! ばーん!

 在日二世の男は、ライフルで暴力団員二人を銃殺すると、

 ライフルとダイナマイトを持って、○○○旅館に籠城する。

 “出てこい、お前のお父さんは泣いてるぞ”

 「父親は事故死したニダ!」

 “・・・草葉の陰で泣いてるぞ”

 「うるさいニダ!!」

 “お母さんが泣いてるぞ”

 「再婚してるニダ。もう自分はいらない子ニダ」

 “いいから出てこい。見ろ、キムチあるぞ」

 「・・・ごっくん! 嫌ニダ!! 日本人が不公平したニダ!!!」

 “勘違いだ。日本人はやさしいぞ”

 「嘘ニダ。日本人は冷たいニダ。許せないニダ」

 “そう言わずに出てこい”

 「嫌ニダ。日本人に謝罪と賠償を要求するニダ」

 “しょうがない・・・”

 “かあさんが〜♪ 夜なべをして〜♪ 手袋 編んでくれた〜♪・・・”

 ・・・・・

 ・・・

 「・・・ぐすん! ・・・ちょっと、泣いたニダ」

 “出てこい”

 「嫌ニダ 日本人が反省するまで出ていかないニダ」

 ・・・・・・

 ・・・・

 

 刑務所

 職員たち

 「・・・というわけで、よろしく頼むよ」

 「「「「・・・・・」」」」 むっすぅううう〜

 独房

 施錠されていない独房には、家具が置かれ日用品が揃っていた。

 「リンゴを剥く包丁が欲しニダ」 在日二世

 「駄目だ」

 「くれないと自殺するニダ。そんなこといなったら、全部、ばれるニダ」

 「しょうがない・・・おい・・」

 「し、しかし」

 「逃げやしないよ」

 「・・・・」

 ・・・・・・

 ・・・

 法務省の矯正局長以下、法務関係者上級職員と専従職員が

 在日二世の男を特別待遇したことが野党に知れ、

 社会問題となって13人が停職、減給、戒告、訓告の処分を受けた。

 組織は存続するため全体の真相を曇らせ、個人を犠牲にし、

 弱者に皺寄せを集める、

 日本人は組織に裏切られると自分を見失いやすく、

 「・・・違う、包丁なんて渡してない」

 「でも囚人が看守に貰ったと・・・」

 「「「「・・・・・」」」」 じーーー

 「そ、そんな・・・」

 「「「「・・・・・」」」」 じーーー

 「だって・・・だつて・・・」

 「「「「・・・・・」」」」 じーーー

 「こんな、こんなことって・・・」

 「「「「・・・・・」」」」 じーーー

 包丁を差し入れたらしい看守が服毒自殺してしまう。

 

 儒陀行きの船

 「やったニダ。国外追放ニダ」

 「お前に包丁を差し入れた看守が自殺したぞ」 弁護士

 「よかったニダ」

 「「「「・・・・・」」」」

 「日本人を騙せたら儒陀で自慢できるニダ」

 「日本人からモノを盗めたら儒陀の誇りニダ」

 「日本の女を強姦できたら儒陀でパーティニダ」

 「日本に損害を与え、日本人を殺せたら儒陀で英雄ニダ」

 「むかし、イギリスが敵対する国の船を海賊に襲わせていたニダ」

 「在日は現代の海賊ニダ。俺は儒陀の海賊王になるニダ〜♪」

 『これが原儒陀人と云うべき存在なのか・・・』 弁護士

 

 国政が高まり良心的な建前が優勢な時代は良く、

 国政を誤ると貧富の格差が広がり、

 治安が悪化すると劣悪な本音の時代を迎える。

 日本は少しずつ経済を成長させていく、

 そして、産業が巨大になるほど影が大きくなり闇も作られていく、

 

 

 某工場

 ひそ ひそ ひそ ひそ

 『あいつ、また廃材置き場にいるぞ』

 『なによ。あいつ、仕事できないくせ、上司に媚びへつらって』

 『横柄で嘘吐きだし、金に汚いし、仕事怠けるし』

 『新人の女性社員に触ろうとしたってよ』

 『あいつの作ったモノ歩留まり悪過ぎだよ』

 『そのくせ、自尊心の塊で失敗すると他人のせいにするし、機械のせいにするし』

 『人のアイデアをすぐパクるし。下品な中傷ばかり』

 『この前、会社のボールペンが一箱丸ごと消えてたっていうぜ』

 『本当に日本人なのか、あいつ・・・』

 『儒陀人の血が混ざってるじゃないのか』

 『さぁ 履歴書は日本人みたいだけど』

 『同和?』

 『さぁ』

 ひそ ひそ ひそ ひそ

 ひそ ひそ ひそ ひそ

 白い目で見られる男は、廃材置き場を物色していた。

 「くそっ! くそっ! なんで俺ばっかり・・・」

 ふっ ふっ ふっ ふっ

 はっ!?

 「誰か、そこにいるのか」

 物陰から男が現れる。

 「困ってるようだな。助けてやるニダ」

 「お前は誰だ」

 「俺は、七つの顔を持つ男ニダ」

 「はぁ 一つの顔にしか見えないぞ」

 「一つ、右翼」

 「おおーー」

 「二つ、ヤクザ」

 「おおーー」

 「三つ、××教」

 「おおーー」

 「四つ、左翼」

 「おおーー」

 「五つ、犯罪者」

 「おおーー」

 「六つ、在日」

 「おおーー」

 「そして、七つ・・・」

 「・・・・・」 ごくんっ!

 「お前の本当の親父ニダ」

 「おおおおーーー」

 「お前、この会社の奴に恨みがあるニダカ?」

 「ある、あいつら、俺を馬鹿にするんだ」

 「努力してないとか、泥棒してるとか、怠けてるとか」

 「違うニカ?」

 「違う、人の3倍は、怠ける努力と出世する努力をしてる」

 「知恵があるのに、みんなわかってくれないんだ」

 「そうか、じゃ 仲間だな。会社に復讐するニダ」

 「やる・・・ニダ

 数ヵ月後、3億事件が起きた。

 

 

 未来科学研究所 (Future science laboratory : F・S・L)

 “次元モーターはエネルギーを時間と空間に転化する”

 “異動は、エネルギー=質量×光速2乗で質量を全て光速2乗に変換し”

 “エネルギー=光速2乗とし。機体総重量/光速2乗の異動を行う”

 “光速に近いため、人が見るならゼロ時間で数十キロを移動しているようにも見え”

 “時空ニュートラル域にある時は、非物質化している”

 “その作用は、時間に対し忠実であるため、空間における移動は非物理的に見える・・・”

 「やはりUFOの特性そのままだな」

 「作れそうか。UFO」

 「そうだな。原理はわかってるから、研究所を5倍の規模にして」

 「発電所と工場とドックと電子部品を作って、人材と予算があれば・・・」

 「実入りもないのにそんな投資したら、日本経済が破綻するよ」

 

 

 国土が広がったことで、一つの経済圏となり、

 満州帝国の穀物と畜産物が関税もなく日本圏に流れ込み、

 日本・扶桑の農産業が打撃を受ける。

 競争力の小さい地域産業を保護し、高額なモノを買わされる消費者の不評を買うか、

 多数の消費者の生活を守り、地域産業を見限るか、だった。

 政治的に選択しにくい場合は、少しばかりの保護で生殺し状態となり、

 地域産業は付加価値の高いブランド品を開発できない限りじり貧となっていく、

 問題は、敵対する満州業者も日本資本で、

 同じ水準の競争力があるということだった。

 農協の人たち

 「くっそぉ〜 こんな安く、売られたらオマンマ食い上げだ」

 「平八の野郎。出身地を苦しめるとは、ふてぇ〜 野郎だ」

 「お前が虐めて満州に追いやったからだろう」

 「誰か、菓子詰め持って行って、平八に頭下げてこいよ」

 「せめて同じ価格で売ってくれって」

 「お前が一番、虐めてたんだからお前が行って来い」

 「あ、村長だって」

 「「「「二人で行って来い」」」」

 「「・・・・」」 ぶっすぅうう〜

 

 

 満州帝国

 満州軍第23旅団

  4個歩兵連隊(700人×4個)  戦車中隊(61式戦車4両×4個)

  野戦砲兵隊(155mm砲4門) 61式対空対掃討戦車(4両)

  施設中隊、通信中隊、偵察隊、飛行隊(朱雀4機)、後方支援隊

  2個整備中隊、補給中隊、輸送隊、衛生隊、

 師団内旅団編成は、どれほど優れた兵装で身を固めていようと兵站で自立しておらず。

 単体で戦闘を継続できず機能しえない、

 満州陸軍は日本軍師団の隷下部隊として旅団編成で作られていた。

 そのため、日本の駐留師団は、日本や半島の師団にない統括管理部隊を抱えている。

 日本語で統一され、日本人将校の参謀が司令の脇に控え、

 何人もの日本人士官が装備の個数を監視していた。

 油断すると消え、闇ルートを通じて国外に流れていくか、犯罪に使われる。

 「張大尉。砲兵は、あと15秒速く撃てるように」

 「了解ある」

 日本軍のマニュアルがそのまま使われ、

 平均的な能力が要求される。

 「少尉。個数は?」

 「いまのところ、過不足なしです」

 「まったく、装備品にこれだけ気を使わされるなら、満州軍なんて編成しない方がましだよ」

 「そういえば、中華民国軍とソビエト軍の装備品が流れてトカレフを使った犯罪も増えてるようです」

 「横流ししないと、生活できないのかね」

 「戦前戦中の日本軍も、そんな感じでしたからね」

 「ふっ 軍を縮小してようやく、一人当たりの賃金も上げられる」

 「軍縮で、よかったような、寂しいような」

 「おかげで、極東ソビエト軍や中華民国軍より、兵力が少ないです」

 「まぁ 給与と比例するのは残念でもモラルの高い将兵がましだし」

 「基幹部隊さえ、しっかり教育していれば、戦時下は水増しできる」

 「兵力の水増しまで戦線を維持できればですけど」

 「それができるなら苦労もないが・・・」

 「満州陸軍に戦車2000両配備というのはどこまで?」

 「125個中隊分は日本の戦車総数に匹敵するからな」

 「日本の軍需産業のテコ入れですか」

 「満州帝国陸軍だって、いつまでも督戦隊と囚人部隊じゃいやだろう」

 「そういえば、満州陸軍の強化で、日本軍のインド参戦の噂もあるようですが」

 「ははは・・・冗談じゃない」

 「まったくです」

 

 

 

 扶桑半島の某工場

 新型戦車の開発が進められていた。

 露鳳に各国の戦車の概要が記載されていた。

 しかし、概要は概要であって、もっとも詳細な国産戦車でさえ、

 製造の段階で途方に暮れるモノでしかなかった。

 それでも戦車開発の方針は決まり、

 火器管制システム、水冷ディーゼルエンジン、

 複合装甲、滑空砲の研究は順調に進む、

 「どのくらいで開発できそうかな」

 「6年くらい先かな」

 「問題は、日本軍規格と満州軍規格をどうするかだね」

 「ところで漢民族軍は信用できるの?」

 「満州帝国軍は、旅団編成で戦略的な野心を果たすようになってないし」

 「支配者が日本人からロシア人になるのは面白くないだろうし」

 「漢民族の私財も増えてる」

 「自分の家と生活を守るために戦うだろうさ」

 「国防の基本だね」

 「漢民族があまり信用できないのは変わらないよ」

 「かといって弱過ぎると当てにならないし、微妙なさじ加減だね」

 「複合装甲と火器管制装置は手抜きするよな」

 「当然」

 「だけど、満州軍の正式戦車配備が決まれば、督戦隊と囚人部隊を主力にした防衛構想ともお別れか」

 「長かったなぁ〜・・・」

 「泣くなよ」

 「まぁ いまは核兵器があるからね」

 「核兵器より、督戦隊と囚人部隊がいいという話しもあるけど」

 「どっちもあまり使いたくないときは?」

 「通常兵器で防衛しようとすると破産するしかないねぇ」

 

 

 

 ホワイトハウス

 男たちが国勢表を比較していた。

 「日本、満州帝国、中華民国、大東亜共栄圏の伸び率が大きいようだ」

 「元々何もなかった地域ですからね、一旦、産業で弾みがつくと比率的に大きいですよ」

 「日露戦争前、白人は神の如くだった」

 「日露戦争後、白人世界は選民にまで落とされた」

 「第一次世界大戦で白人同士で殺し合って、神話が崩れ」

 「第二次世界大戦後、我々は近代化した大国でしかなくなってる」

 「日本は、そのすべてに関わってますね」

 「何のポリシーも持たない無節操で体制に流されるだけの国だと思ってたがね」

 「日本人は追随型と従属型が多い」

 「ポリシーを持つ人間は異端者になるし、敵を作って孤立する」

 「ムラ社会で育ってきた日本人は堪えられない」

 「まぁ “井戸の中の蛙” っていうらしいがセクト主義で内向きなら問題ない」

 「軍事力で井戸を広げようとしない限りはね」

 「いまのところ、日本経済は順調で大陸利権、大東亜共栄圏利権も大きい」

 「欧米諸国との国際貿易収支も黒字だよ」

 「しかし、日本は日清戦争の賠償金で味を占めて、侵略が止められなくなった強盗国家だし」

 「軍事力に頼る泥棒根性の勢力は少なからずいるだろう」

 「まぁ ほとんどの列強もそうではあるがね」

 「少なくとも利権を守るための軍隊と、利権を奪う為の軍隊は気質が違うよ」

 「日本は軍縮傾向にあるし、利権を守る軍隊に変化してる」

 「日本との取引は?」

 「ハワイ銀行の報告だと」

 「法律順守型に見えるが、組織に従属して大勢に流されやすい傾向もある」

 「国境の外で付き合う日本人は、毒性が少なく付き合いやすい」

 「ふっ 組む相手を間違えたかな」

 「とはいえ、日本、満州帝国、中華民国の高度成長は無視できない」

 「日本人の能力はそんなに高いのかね」

 「あと、自意識より和を尊ぶ気質があって組織力で強くなる」

 「小心と柔和な気質があって、明治維新と文明開化に繋がったらしい」

 「自制と自省は改善と成長に繋がるからね」

 「自慰と自尊は停滞と退廃に繋がる」

 「日本人と儒陀人の気質を比較すれば一目瞭然で国勢の違いも明らかだ」

 「日本勢を抑える方法は?」

 「大陸利権から追い出して、通商禁止かな」

 「それでも満州帝国と東シナ海ガス油田が残ってるから、やってけるだろうね」

 「それに中国市場を利用してるのは我々も同じ」

 「いま、日系シンジケートを追い出すと、外資系シンジケート全てが撤退させられ」

 「雲南省の白人世界も潰される」

 「雲南省の白人社会は?」

 「あと50年くらいあれば、中華民国から自衛できるだけの世界になると思う」

 「雲南省の白人世界は欧米列強だけでなく、ソビエトにとっても足場だからな」

 「じゃ チマチマ、シンジケート抗争をするしかないわけか」

 「日本は中華民国の資源ルートを押さえてるが、マーケティングは、我々が盛り返してる」

 「それとカジノで・・・」

 「カジノのノウハウならアメリカ系シンジケートは他のシンジケートより上だよ」

 「しかし、イタリア系とロシア系と中華系は凶暴だな。ほとんど抑制がない」

 「というより彼らを相手に抑制をかけると負けるよ」

 「だからアフリカ大陸に中華シンジケートを追いやってる節もあるが」

 「風光明美な北アメリカ大陸が汚されたら困るだろう」

 「まぁ そうだがね。しかし、西海岸の経済を考えると・・・」

 「日本に依存するのは面白くないがね」

 「貿易赤字と財政赤字も面白くない」

 「だから航空業界を統廃合しろと言ってるだろう」

 「そんな簡単なことじゃないよ」

 「もっと、日本に航空機を買ってもらうか」

 「自動車産業が剝れる」

 「日本の自動車は劣ってたんじゃないのか」

 「いつの話ししてんだよ」

 「サービスがいいだけって・・・」

 「価格、サービス、燃費、信頼性、安全性で負けてる」

 「「「「・・・・・」」」」

 「国外の市場争いでも日本車は強くなってる」

 「んん、条件的はアメリカ自動車産業の方が有利なはずだが」

 「アメリカなら左内輪で一生、のんびり生活できる功績を上げた社員が少しばかりの上乗せボーナスだけ」

 「あの公益性というか、低賃金で働かれたら、どうしようもないね」

 「まるで共産主義社会だな」

 「社員が自発的にやってるから始末に負えないね」

 「犬か。どこまで従属的で組織依存なんだか」

 「その上、ロボット産業も大きくなってる」

 「アメリカ社会は、労働者の反発でうまくいかない」

 「なので、日本、満州帝国、中華民国の産業を利用して、労働者を牽制する」

 「だからアメリカ産業は、ますます空洞化しやすくなってる」

 「アメリカ資本とアメリカ人労働者に自制と自省を求めたいね」

 「あと、ハワイ銀行を通じて有能な社員を高額年俸で引き抜こう」

 「日本の有能な社員が英語がわかるとは限りませんよ」

 「「「「・・・」」」」

 「それはそうと、インド藩王諸国軍の抵抗はかなり激しいな」

 「戦車部隊を投入して、一気にニューデリーを落としては?」

 「インド藩王諸国は、議会を落としてどうにかなる国じゃないだろう」

 「それに我々は儒陀防衛のために軍を派遣してるのであって」

 「インドを統一させるために軍を派遣していない」

 「結局、儒陀の攻勢能力に賭けるしかないわけか」

 「ところが、儒陀軍は、攻勢に出られるような軍隊じゃない」

 「アメリカ軍将兵で儒陀人への嫌悪感が高まってる」

 「儒陀のために命を失う危険に晒されるのは嫌だとね」

 「そんなに酷いのか」

 「士気もモラルも低下してるよ」

 「儒陀に銃口を向けられるなら士気が上がると思うが・・・」

 「「「「・・・・」」」」

 

 アメリカの店

 「これを置くと店が儲かるニダ」

 「これは・・・かっぱえびせ・・・」

 「セウカンニダ!!!!」

 「セウカン?」

 「そうニダ。儒陀が開発したお菓子を日本のお菓子メーカーが奪ったニダ」

 「エビと小麦粉を上げたオリジナルはセウカンニダ!」

 「んん・・・」

 「食べてみるニダ」

 ぽりっ ぽりっ

 「いらん」

 「なぜニダ!!! セウカンは本物ニダ!!!! 日本のは偽物ニダ!!!!」

 「日本製が美味い」

 「そんなはずはないニダ!!!!!」

 「いらん、帰れ」

 『味覚音痴のアメリカ人の癖に生意気ニダ・・・』

 「安くするニダ」

 「いくら?」

 「日本の90パーセントニダ」

 「いらん」

 「80パーセントニダ」

 「いらん」

 「70パーセントニダ」

 「いらん」

 「アメリカは日本の自動車に押されて悔しいはずニダ」

 「うち、小売店だから、自動車産業と関係ないし」

 「・・15パーセント。キックバックするニダ」

 「・・・まぁ 置いてやってもいいか」

 「なんなら、包装も日本製にできるニダ」

 「ぅ・・・おまえ、それは営業妨害どころか犯罪だろう」

 「いいニダ。パクリの日本が悪いニダ」

 「それは駄目だ。ばれたら営業停止だ」

 「しょうがないニダ」

 『日本製の劣化作戦は失敗ニダ』

 

 

 アフリカ大陸

 未文明な大陸は、イギリス、フランス、ポルトガル、ベルギーなどに植民地にされ収奪されていた。

 白人世界の植民地支配は、白人社会を豊かにし、

 紳士然とした近代文明国家に押し上げてしまう。

 しかし、白人を傲慢と怠惰にさせ、

 醜いばかりの収奪者と抑圧者に変えていた。

 その姿は、医学、法学の博士号を持つジキル博士と残酷な醜男ハイド氏を相似させる、

 白人世界の善良と醜悪の二面性は葛藤となり、

 良心の呵責は白人社会を歪め精神を蝕めていた。

 また植民地防衛と維持に人材と資材と予算を奪われ、

 植民地産業のみが特権を得てしまい、

 国内生産と国際競争力にそれほど寄与しておらず、

 精神的にも物理的にも植民地支配は限界に達していた。

 しかし、第二次世界大戦は、イギリスとフランス経済を破綻させていた。

 国家財政の再建のため植民地から収奪したい渇望と、

 支配の呵責に苛まされる、

 そして、欧州列強は結託し、

 最後の発悪として東欧バルカン諸民族と中国雲南省に送り込み、

 中国人を権益代理人として、アフリカ大陸へと送り込んでしまう。

 外資シンジケートが行ったことであっても、

 中国大陸に白人世界を構築し、

 アフリカ大陸は需要の高い中国人に占められていく、

 そして、戦後国際経済は、その需要によって、大きく成長していた。

 ケープタウン

 中国人とアフリカ人の間で抗争が起きていた。

 イギリスとフランス系シンジケートは中国人に武器弾薬を供給し、

 ソビエト系シンジケートは、アフリカ人に武器弾薬を供給していた。

 中国人とアフリカ人の抗争は、地中海沿岸諸国を除くアフリカ大陸全域に広がり、

 時に銃撃戦が繰り広げられた。

 イギリス系シンジケートのホテル

 日本人たち

 「ほぉ しばらくぶりに来てみると、こりゃ すっかり中華街になってるじゃないか」

 「数が力って言うのは本当だね」

 「戦後、生き残ったリバティ船は、移民事業でフル回転らしいよ」

 「・・・凄いねぇ まるでゴミ箱だ」

 「ごみ箱があんなに臭くて汚いわけないだろう」

 「でも家の中は綺麗なんだと」

 「中国人は中華民国から逃げ出しても、逃亡先に中国を作るんだな」

 「まだ7色の河が流れてないだけましかも・・・」

 「中国勢が黒人勢に押し勝ってるよ」

 「中国人が一枚岩なのに、アフリカ人は部族社会だからねぇ」

 「さてさて、どっちに着いたものか」

 「資源とルートを押さえ始めてる中国人でしょう」

 「だよねぇ」

 「ドイツ、イギリス、フランスもあくどい事をする」

 「日本も一枚咬んでるじゃん」

 「アメリカもね」

 「開発需要は伸びてるよ。安い資源があれば日本経済は安泰」

 「しかし、アフリカ人より中国人の方が汚いって・・・」

 「同じ東アジアの日本人として、どんな顔していいかわからないよ」

 「笑えばいいと思うよ」

 

 

 

 儒陀 日本語学校

 “1918年11月11日 第一次世界大戦が終わると”

 “1919年1月18日 パリ(ヴェルサイユ)講和会議が開かれました”

 “アメリカ合衆国大統領ウィルソンは、平和原則十四ヶ条を主張しましたが無視され”

 “戦勝国の敗戦国い対する賠償要求はイギリスとフランスが主導権を取りました”

 “日本は、山東半島とミクロネシアのドイツ権益を信託統治領にしました”

 “日本は、人種差別撤廃を提案しましたがアメリカに反対されました”

 “そして、1919年6月28日 ヴェルサイユ条約が結ばれました・・・”

 「もういいニダ」

 「日本猿が人種差別撤廃の提案なんかするはずがないニダ」

 「日本猿のくせに、日本猿のくせに、有色人種を代表するようなもの言いは生意気ニダ」

 「なに様ニダ。許せないニダ」

 「そういうことは、世界文明発祥の儒陀皇国のみ許された偽善ニダ」

 「こんな嘘ばっかりの奇形の国は、世界のために滅ぼさなければいけないニダ」

 

 

 儒陀皇帝府

 ぱたっ! ぱたっ! ぱたっ! ぱたっ!

 ぱたっ! ぱたっ! ぱたっ! ぱたっ!

 ぱたっ! ぱたっ! ぱたっ! ぱたっ!

 「暑いニダ〜」

 「早く、インド藩王諸国軍をやっつけるニダ」

 「戦線でファビョって敵味方関係なく乱射する将兵が続出して攻勢に出られないニダ」

 「あと、強姦祭りと虐殺パーティーで軍の足並みが揃わないニダ」

 「んん・・・日本を早く参戦させるニダ」

 「日本軍将兵を肉壁にして、インド大陸を統合するニダ」

 「日本は、なぜ、参戦しないニダ」

 「いま、日本の右翼、軍属、軍部を煽ってるニダ」

 「インド上陸で死んだ日本軍将兵の英霊を利用するニダ」

 「そして、インド権益を餌に日本を参戦させるニダ」

 「参戦させたら、中華民国で暴動を起こさせて日系シンジケートを潰させるニダ」

 「そして、極東ソビエト軍に満州を攻めさせるニダ」

 「そして、アメリカに日本を攻撃させて、日本を血祭りに上げてやるニダ」

 「勝てるニダ」

 「世界中を戦争させて、混乱に乗じて、儒陀藩皇国がインド大陸を支配するニダ」

 「そして、世界文明発祥のちで、世界一の大国儒陀帝国を再興させるニダ」

 「金に魂を売ったアメリカ人を金で買うニダ」

 「思想に支配されたロシア人を自由で買うニダ」

 「法に縛られたドイツ人を女で籠絡させるニダ」

 「そして、世界を儒陀皇帝の足元にひざまずかせるニダ」

 「こ、皇帝。日本は?」

 「日本?」

 「日本は、世界中が儒陀皇帝にひざまずいてるニダといえば、勝手にひざまずくニダ」

 「・・・皇帝。儒陀盆栽と儒陀華道を復活させたニダ」

 「おお〜 待っていたニダ」

 静・・静・・・静・・・

 「見事・・・見事ニダ・・・」

 「紀元前4000年のむかし、インド大陸で儒陀12支族が繁栄していた頃」

 「儒陀人は自尊心を持って、樹木と花を小さな器に飾り世界を表し、愛でていたニダ」

 「本当ニダ・・・まるで昨日のことのように思い出すニダ」 うんうん

 「しかし、奇形の第13支族の日本がバベルの塔を破壊し、多くの儒陀文化を盗んでいったニダ」

 がたっ!

 「許せんニダ。日本は許せんニダ〜!!!!!!」

 「第13支族の日本は、万死に値するニダ!!」

 「世界に散らばる儒陀11支族を結集させて、日本を滅ぼすニダ!!」

 「そして、日本が滅びるまで謝罪と賠償させてやるニダ!!!!」

 

 

 

 

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 月夜裏 野々香です

 日本は、組織的な悪党より、個人的な悪人としてとらえる事が多いようですが、

 民族レベル、国家レベルで、思想教育されてる人はかなり怖い、

 戦中の日本人は、みんな “鬼畜米英” と思ってた、

 なんて思いたくないけど、

 引金引く時はそう思わないと難しいかもです。

 現在進行形で、そういう教育を受けた軍隊が攻めてきたりしたら、やっぱり怖いかな

 なんとなく、淡々と歴史が流れていきます。

 

 

 

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第27話 1967 『史上最強の兵器は・・・』

第28話 1968 『徒然なるままに』
第29話 1969 『生態系分岐世界は・・・』