月夜裏 野々香 小説の部屋

    

タイムスリップ系架空戦記

『時空巡洋艦 露鳳』

 

 第30話 1970 『嘘をつかないと生きていけない』

 日本ハワイ州

 日本の行政下にあるアメリカ社会は、日米関係を模索するだけでなく、

 日本人と白人の共同社会の可能性でも注目されている。

 学校 白人教師と日本人教師

 「はぁ なぜ? 掛け算の考え方を教えただけでしょう」

 「い、いや、教育のカリキュラムで掛け算は、もう少し後になるので」

 「どうしてそう、マニュアル馬鹿なのかしら」

 「いや、算数は算数で、担当先生の教育方針とかあるし」

 「予備知識も教えちゃいけないってどういうの?」

 「いけないっていうか・・・」

 「このクラスだけ、不公平になったりとか。ほかの学校との横並びとか・・・」

 「それ、日本人の考え方なの? それとも教頭の考え方なの?」

 「い、いや、なんというか」

 「日本人は、向上心というか積極性に欠けてるわ」

 「学校で学んでいる以上の事を進んでやらせないなんて子供の向上心を削ぐし、犯罪よ」

 「し、しかし、そう言われても」

 「そういう、杓子定規な教育って、どういうんでしょう」

 「で、でも教室の和というか・・・そういうのは・・・・あまり・・・」

 「なんでもかんでも、横並びにすればいいってもんじゃないし」

 「出る杭を打っていいってものじゃないでしょ」

 「個性は一人一人違うし、才能だって一人一人違う」

 「もう少し、個性を引き出して才能を伸ばす教育をしてもいいんじゃないかしら」

 「はぁ・・・」

 「飛び級も認めるべきよ」

 「「「「えええ〜!!!」」」」

 「し、しかし、ゴールドエイト先生・・・」

 「」

 「」

 

 ハワイ諸島 カホオラウェ島(115.5ku)

 大規模な植樹で緑化が進んでいた。

 原子炉と風力発電の余剰電力で作られた淡水がスプリンクラーで撒かれ、

 島の風景を根底から変えていた。

 日本軍の基地化により、

 大陸間弾頭弾は地球のあらゆる地点を標的とすることができ、

 中距離弾頭ミサイルは1000kmに達し、

 防空ミサイルと対潜ミサイルも各種配備され、

 ハワイ諸島全域は、対空対艦対潜ミサイルの傘で覆われていた。

 東アジアで戦争になればハワイ守備隊は遊兵になり、

 北太平洋に戦線が作られると最前線になった。

 アメリカが機動部隊の戦力を充実させ戦力を集中できるのに比べ、

 日本は潜水艦に力を入れ、遊兵覚悟で基地を強化させていた。

 これは日本が周辺国の脅威に個別に対応しなければならないからであり、

 アメリカのように戦力を集中し得る地政学的な利点と、

 財政的な余力が無かったからといえる、

 カホオラウェ航空基地

 対空哨戒機アマテラス、対潜哨戒機スサノオ、輸送機ツクヨミ、

 朱雀(Ka54)、海燕(Ka31)、瑞燕(MiG29K)が120機ほど並んでいた。

 時折、練度を維持するための定期飛行がおこなわれ、

 日本空軍の将校たちが見守る中、瑞燕が蒼い空を駆け抜けていく、

 「海軍が5分後にスサノオを離陸させるそうだ」

 「瑞燕が降りるのが30分後だから問題ないよ」

 「最近は、動きが良くなってきたな」

 「オリジナルに近付いてるからだろう」

 「それに軍の電子部品は保守的で意外に古い技術を使っていたからな」

 「あと5年もすれば、オリジナル以上になるよ」

 「問題は、それ以降だよ」

 「開発にかかる予算を増大させないと、基礎の施設でさえ不足している」

 「開発まで一直線だったからな」

 「これからはそうもいかなくなりそうだ」

 「それより、党利党略の日本政治の方が不安だけどな」

 「軍事的な優位性は理解してるだろう」

 「あとは、儒陀を滅ぼしてでも日本を守る気概があればいいよ」

 「そういえば半島を守ろうとすると碌な事がなかったからね」

 「飼い犬には手を咬まれるし」

 「露鳳の情報で朝鮮人をインドに追い出したおかげで、気分も楽になった」

 「でも延辺朝鮮族の人口が増えてるらしいけど」

 「あそこ、売春地帯だからなぁ 上層部も行ってるらしいよ」

 「結構、有力者の庶子もいるらしい」

 「戦前戦中と変わらんなぁ」

 「ったくぅ あいつら、日本と他の国を戦争させたくてしょうがないって連中だからな」

 「日本を滅ぼしたいのさ」

 「日本軍将兵が死ぬと涙を流して喜ぶらしい」

 「というより日本人が死ぬと酒盛りなんだろう」

 「戦前戦中も軍属と軍の上層部を必死に開戦を煽っていたし」

 「日本を守るために戦うのならいいが」

 「儒陀のために死ぬのは嫌だね」

 

 

 某大臣宅

 「子供は延辺朝鮮で立派に育ってるニダ」

 「・・・・・」 写真 ため息

 「いま、日本語教室に行ってるニダ。父親似で賢い子ニダ」」

 「・・・それより、君ぃ 公害の被害者たちに暴力はいかんよ」

 「社長は、暴力団に払う金はあっても、患者に払う金はないと言ったニダ」

 「そっちの方が安上がりではあるがなぁ・・・」 ため息

 「それより、軍財閥はいつでも増産できる準備はできてるニダ」

 「まぁ 設備投資だけはしてるからねぇ」

 「日本のインド参戦は駄目ニカ?」

 「遠いし、予算もないし、難しいねぇ」

 「在日を受け入れてくれたら、党のため、もっと真剣に働くニダ」

 「他の党を売国奴にしてやるニダ」

 「んん・・・しかし、そういう政策は、財源がな」

 「土地転がしするニダ」

 「土地転がし?」

 「そうニダ。土地の値段を釣り上げて、最高値になったら馬鹿に押しつけるニダ」

 「土地買っても利益が上がるかは経営者次第だろう」

 「大丈夫ニダ。きっと上がるニダ」

 「そうかな」

 「地上げは、得意ニダ」

 「地主は、不幸になればみんな売るニダ」

 「売るかな」

 「店が暴漢に襲われたり」

 「子供が暴漢にあったり、娘が暴行されたりしたら観念して先祖の土地を売るニダ」

 「行方不明にだってできるニダ」

 「しかし、犯罪はばれると失脚だからな」

 「大丈夫ニダ。そんなヘマしないニダ」

 「ライバルの政治家、官僚、企業を潰すのに在日を利用してる人は多いニダ」

 「みんな儒陀の味方するニダ」

 「しかし、沿線域の土地は高騰してるようだが、周辺はそうでもないし」

 「中東の油は安いし。沿線は広がってるから、危険を冒してまでやることなかろう」

 「それに一生懸命に生きてる国民を殺してまで利益を上げたいとも思わないし」

 「農地解放で土地を高く売りたがってる農家もいるはずニダ」

 「そうかな」

 「そうニダ!!」

 「日本は土地が広がってるし、土地を買っても人口が気薄で利益が上がるかどうか・・・」

 「日本は儲かってるように見えるがな」

 「海外貿易の黒字分を。それも税収分を国内の公共設備に当ててるようなもんだし」

 「体制側の不正腐敗が増えると納税者の脱税も悪質になるからな」

 「んん・・・この話しはなかったことにしよう」

 「きっと後悔するニダ」

 「・・・・」 ため息

 『産業の傾注も限界かな・・・』

 『インド藩王諸国側について参戦した方が将兵の士気が上がりそうだな』

 国会で公害対策予算が可決される。

 

 

 未来科学研究所 (Future science laboratory : F・S・L)

 “時空潮流における生態系分岐は”

 “絶滅と次世代生態系の生存競争における結果による分岐で”

 “主要な時空潮流の分岐要因といえる”

 “現在、確認されている時空潮流は大きく分けると”

 “1億4550万年前の白亜紀、1億9500万年前のジュラ紀”

 “2億5100万年前の三畳紀、2億9000万年前のペルム紀”

 “3億6700万年の石炭紀、4億1600万年前のデボン紀”

 “4億3500万年前のシルル紀、4億4600万前のオルドビス紀”

 “5億4500万年前のカンブリア紀からの分岐と思われる”

 “それぞれの分岐は、絶滅の原因が何であれ”

 “次世代の生態系の生存競争の結果で分かれ”

 “さらに絶滅と生存競争の淘汰により”

 “我々の時空潮流の生態系と似ても似つかない生態系となっている”

 “我々より高度な生態系文明が並列して存在し、この世界に来訪している”

 “もっとも彼らもすぐ隣の時空潮流へはバックフラッシュが大きく行けないと思われる”

 “彼らの来訪の意図に悪意も善意も感じられない”

 “ただの好奇心が強いと思われる”

 

 “宇宙と時空潮流の関係について”

 “仮定として、時空潮流分岐が宇宙分岐となると考えにくい事があげられる”

 “幾つもの時空潮流分岐世界が同じ宇宙を見ている”

 “オールトの雲は宇宙と重複世界の境界面と推測され”

 “太陽系のオールトの雲を越えることができれば、大規模な次元カタパルトを必要とせず”

 “次元モーターを調整すれば少ないエネルギーで別の時空潮流に異動しやすく”

 “大型UFOは、オールトの雲までいったのち、こちらの世界に来訪してると考えられる”

 “これは、無機質な物質は時空潮流の分岐が起こり難く”

 “絶滅を起点とした生態系の変化が時空潮流分岐の引金になっていることから推測される”

 “バックフラッシュの観点から、近似の生態系分岐世界と外宇宙で接触した場合・・・”

 「おい、いいのか、そこまで推測しちゃって?」

 「予算が欲しいんだよ。予算が」

 

 

 

 設計室

 研究者たち

 「やっぱり葉巻型母艦と円盤型艦載機かな」

 「瑞燕型戦闘機がかっこいいけどな」

 「いや、戦争しに行くわけじゃないから」

 「どんな化学物質があるかわからないからな」

 「慎重に接触しないとこちらの世界の被害が大きい」

 「まぁ なるべく毒性の少なさそうな世界に行くべきだろうけど」

 「ていうか、まず次元カタパルトを何とかしないと」

 「いまのサイズじゃ探査機レベルだ」

 「だよねぇ」

 「もっと予算が出ないかな」

 

 

 

 ドイツ帝国がTaFフレイア、MeF12トールの開発していた頃、

 アメリカ合衆国はF14トムキャット、F15イーグルの開発を急がせ、

 ソビエト連邦は、Su27ジュラーヴリク、MiG29ラーストチュカの開発を推し進めていた。

 一方、日本は、瑞燕の改良と瑞鶴の開発を推し進めていた。

 某工場

 「状況は?」

 「んん・・・アメリカ人が働き者なのか、開発速度が速いようだ」

 「負けた悔しさをバネに、か・・・」

 「日本ももう少し、馬鹿騒ぎを押さえるべきだったな。勝ちボケが多い」

 「日本側の損害も多いから、そんなには油断していないと思うけどね」

 「しかし、どこかしら余裕があるのはいい方にも悪い方にも働くよ」

 「瑞燕と瑞鶴の機体設計はいいからそのまま使えるとして」

 「電子装備と複合素材の比率を増やすべきだろうね」

 「しかし、ソビエト連邦の航空機開発が露鳳の史実とほとんど変わらないとはね」

 「アメリカとイギリスの支援が大きいと思うよ」

 「対日対独政策ってやつだろう」

 「おかげで満州防衛は通常装備だけじゃ不可能になってる」

 「督戦隊と囚人部隊頼りから、核地雷頼りとはねぇ・・・」

 「核地雷の方が安上がりだし」

 「近代国家らしくて、卑屈にならなくていいじゃないか」

 「どちらにしろ制空権で負けるわけにはいかないから、瑞鶴の開発を急がせないと」

 「もっと早くすればよかったのに」

 「社会基盤とか、公共施設とか、お題目みたいに唱える議員が多くてね」

 「質的優勢がわかってるし、余裕あるだろうって、予算取られた」

 「アホが」

 「まぁ 航空機技術も無理のないレベルに育ってるし」

 「一旦、ラインが軌道に乗れば瑞鶴(Su33)の量産は容易だよ」

 「電子技術、複合素材、エンジンで、まだ勝ってるはずだし」

 「実のところ、アビオニクスに差があり過ぎて瑞燕でも対応可能と言えなくもない」

 「いや、機体差は大きいだろう」

 「航続力があるから空戦域への集結力が違う」

 「贅沢をいえばそうなるけどね」

 

 

 

 中華(シンジケート)民国

 中華思想的な傲慢もなく、

 共産党の独裁も、共産主義的な病巣もない、

 無理な軍拡も、無茶な圧政もない、

 圧政を誤魔化すための偏向教育も必要ない社会が作られていた。

 中華民国政府は、ただの神輿に過ぎず。

 神輿を担いでいるのは外資と華僑と組んだ匪賊の連合(シンジケート)だった。

 国家予算の多くが経済投資に向けられ、

 軽装備の軍備に、莫大な公害対策費が使われ、

 大半が国外へと搾取されていく、

 しかし、漢民族は言論の自由が認められ、

 外資シンジケートを後ろ盾に反政府的な批判さえ許されていた。

 この時期、漢民族が政府の圧政と支配を退ける唯一の手段が外資シンジケートの中国支配であり、

 その恩恵に浴していた事は否めない、

 漢民族の敵は自由を抑圧する漢民族国家であり、

 漢民族から搾取する外資シンジケートではなかったと言える。

 無論、外資シンジケートに敵対する勢力も存在するものの少数派に過ぎず。

 少数派の独立勢力は民族資本を得やすいアフリカ大陸投資が急増していた。

 しかし、独立勢力が外資シンジケートと全く無縁は、利害関係からあり得なかった。

 中華民国独立 集会

 “搾取ばかりの外資シンジケートを排斥し、中華民国の真の独立を勝ち取るある”

 ““““おおおーーー!!!””””

 『本気で言ってんの?』

 『嘘ある』

 『しかし、同志の方が安上がりある。裏切られる可能性も少ないある』

 “真の独立を勝ち取るには、民族資本が必要ある”

 “いま、民族資本を得る最も早道は、アフリカ投資しかないある”

 ““““おおおーーー!!!””””

 『まぁ それは本当だけどね』

 『本当は親分になって、楽したいだけある〜♪』

 『漢民族でトップに立つやつはみんな同じだな』

 『当然ある〜♪』

 『勧善懲悪は馬鹿の妄想ある。弱肉強食が現実で真理ある』

 “みんなで、アフリカ大陸に漢華帝国を作るある!!!”

 ““““おおおーーー!!!””””

 『『『『・・・・』』』』 しら〜〜〜

 

 

 アフリカ大陸

 移民船がケープタウン港に到着すると大量の中国人が降りると工事現場へと向かっていく、

 華僑は、資源ルートを押さえると外資に開発を発注し、

 列強の資本は、資源と利権欲しさに受注していく、

 アフリカ大陸の中国人は人海戦術でアフリカ大陸の近代化を推し進め、

 同時に現地の独立勢力のアフリカ人と攻防戦を繰り広げた。

 軍需・民需とも莫大な利権が転がり込み、同時に戦訓が得られることから

 各勢力は “死の商人” に投資し、

 利益が上がるとマネーローダリングを経て投資先に配当が送られる。

 投資先がおむつを作ってる会社でも、善良な個人であっても、

 アフリカ大陸で流された血によって得られた配当は莫大だった。

 日本人の死の商人

 異文化の荒波と潮風が民族性の半分を吹き飛ばしたような日本人がいる。

 英語と中国語を巧みに操り、

 時に強引に、時にさりげなく、商業ルートを開拓し、武器弾薬を売り渡していく、

 「黄大人。ご要望の機体ですよ」

 「よかったある。間に合ったある」

  高等練習機 瑞雀(ずいじゃく:Yak130)

   重量5200kg(甲4600kg)/6300kg(甲6350kg)  RD35ターボファンエンジン乙1800kg(甲2158kg)×2基

   全長11.49m×全幅9.72m×全高4.76m 翼面積63.5u 翼面荷重276.4 kg/u

   速度乙884km/h(甲1037km/h) 航続距離乙2200km(甲2546km)

   ハードポイント9基

 露鳳の情報にあったYak130(原型1996年)は練習機として優れ、艦載機の機能も有していた。

 当初、小型簡易型の機体として開発されたものの

 瑞燕(MiG29K:原型1977年開発1988年)、瑞鶴(Su33:原型1977年開発1994年)より新しかったことから

 加工上の問題が続出してしまう。

 しかし、代用素材と劣化版エンジンの機体でさえ、当時の機体と比べて高性能で、

 素材開発が進み、加工上の障害が取り除かれるにつれ、

 オリジナルの機体に近付いていた。

 一時、空母艦載機としても運用され、

 優れた練習機は直接の脅威が低い割に外貨に繋がるため、

 国内用の甲機と輸出用の既存技術機の乙機を開発していた。

 各国は、日本の航空技術の一端を探ろうと瑞雀(ずいじゃく:Yak130)乙型を購入し、

 その優れた機体設計に日本の航空機水準の高さに気付かされ、

 練習機としてだけではなく、爆撃機としても運用できることから

 瑞雀の海外販路は大きく広がりベストセラー機となっていた。

 そして、瑞雀はインド戦線、アフリカ戦線にも投入されていた。

 「瑞雀はアフリカ人相手なら手頃な爆撃機ある」

 「主力戦闘機の慣らしにもなるし、たくさん欲しいある」

 「南アフリカの戦況はどうなっているのですか」

 「地の利はないある」

 「しかし、人の利で圧倒できるある」

 『それに我々の戦線は、アフリカ大陸全域に及ぶある』

 『イギリス、フランス、ポルトガル、ベルギーの植民地に甘んじているのは今のうちある』

 「な、成るほど、壮大な計画で・・・」

 「その時は、日本にもたくさん発注するある〜♪」

 

 

 東京湾

 42000t級原子力自走型ドック巡洋艦ワルプルギス

  全長291m×全幅40m ドック(120m×25m)

  80000馬力 速度26kt

  55口径149.1mm連装砲6基 71口径88mm砲8基。

  対艦ミサイル2基 対空ミサイル2基、対潜ミサイル20基。

  対空哨戒ヘリ10機。対潜哨戒ヘリ10機。

 空母に似た巨大な平甲板と独特な艦橋の艦影は、日本人の注目を集めていた。

 艦橋

 ドイツ海軍将校たち

 「これが東京か、ロッテルダム港並みに発展してるじゃないか」

 「日本は良港が多く、分散されてますが神戸港は世界第4位の取引量だそうです」

 「それに日本の国民総生産は、アメリカに次いで世界第2位ですから」

 「どの国もGDPを押し上げてるんだな」

 「日本、満州帝国、中華民国は特に成長著しいようです」

 「いずれ、中国が取引量でトップに躍り出るだろうと」

 「ふっ 軍事力で予算を浪費させて国力を消耗させないからだ」

 「日系シンジケートの反発があったようです」

 「馬鹿が基礎工業力の乏しい軍事大国なんて張り子の虎に過ぎん」

 「国力は軍事力に転換できるが、軍事力は国力に転換しずらい」

 「なにを恐れてるんだか」

 「地理的に近いですから国力より軍事力の威圧感が大きく感じるのでしょう」

 「単細胞め」

 「しかし、日本は、戦前戦中と全く違う雰囲気だな。よくここまで変われるものだ」

 「平均年齢が若いですから働き盛りで低賃金に押さえてますし」

 「国防関係は3パーセント以下」

 「中華民国、満州国、大東亜共栄圏を踏み台に」

 「さらに対外貿易を当て込んで10億人分くらいの需要を賄う気ですかね」

 「設備投資と公共投資の積極財政で無理やり推し進めてるらしいですよ」

 「インフレ傾向ですし」

 「凄いバブル成長だな」

 「これで貧富の格差が小さいのが不思議だ」

 「上層部は金より権威に執着している節があるようです」

 「私腹率が小さいので、貧富の格差は、ほぼ社会主義ですかね」

 「権威か・・・日本人は天皇みたいに成りたがってるわけか」

 「日本の国歌があれですからね」

 「“君が代は 千代に八千代に”」

 「“さざれ石の 巌(いわお)となりて”」

 「“苔(こけ)のむすまで”」

 「対外的に戦うより、子々孫々まで生きながらえる主旨の歌詞のようです」

 「長寿王朝の下、全国民がそう刷り込まれてるわけか」

 「そういえば、イスラエルの国歌は希望を2000年間失わなかった確証の歌詞だ」

 「たしか・・・“心に秘めて今もなお ユダヤの魂が呼んで”」

 「“そして東方の岸へ 前へ 目がシオンを目差している限りある”」

 「“我々の希望はまだ失わなかった 2千歳の希望は、自由なる民として”」

 「“シオンとエルサレムに暮らすこと” でしたかね」

 「日本の君が代が未来を望む歌詞で」

 「イスラエルの希望は、過去の栄光を成し得た確証の歌詞だ」

 「どちらも時を重んじてるから少し似てるかもしれんな」

 「日本の場合、生き抜くことが重要ですから消極的になりがちなんでしょう」

 「の割に対外的に強いな」

 「大使は、個人の実力と能力より」

 「低い見返りと組織力の重視で国力を増進させていて」

 「国民の一体感は羨望だと言ってました」

 「ただ、儒陀の工作で和が崩されてる節があるようです」

 「ムラ社会の同好組織で、こじんまりまとまってしまうのは変革ができず危険」

 「それで、隣国のアウトローを利用してるのだろう」

 「いまは、儒陀よりハワイ、中国、ドイツの刺激の方が大きいかもしれませんね」

 「儒陀人は、社会を悪い方に変革しやすいですから」

 「そういえば、新しい情報は得られてるのか?」

 「いえ、儒陀が、まとも諜報活動してるのか疑問ですよ」

 「ベルリンの儒陀人たちはドイツを参戦させる扇動してましたし」

 「ドイツと日本の不信感を増大させて、戦わせたがってる節もありました」

 「ちっ 最悪だな。あの民族は・・・」

 「彼らのいい分は、ドイツ帝国が反日親儒になればアメリカの関係を改善に繋がるそうですよ」

 「ふっ 政治の思惑は、知らんが」

 「いくらドイツ軍将兵が精強でも、士気の上がらない作戦なんてやったら余計な損害を出すよ」

 「将兵の気持ちを見抜ける皇帝ならいいのですが」

 「皇帝、総統、皇帝が続けて戦争をするわけにもいくまい」

 「ですよねぇ」

 

 

 港湾の新聞記者たち

 「自走のドック式軍艦なんて、凄い軍艦ですね」

 「外洋で活動してる潜水艦を補助するためだけの巡洋艦なんだろうな」

 「普通、商船型でやるんだが、専用の巡洋ドック艦を作るなんて」

 「ドック型なら修理能力は高いのでしょうね」

 「X海域で長期活動するのも支障ないのだろうな」

 「例の海域ですか」

 「列強の船が集まって海底を浚ってる」

 「真相はわからんが、距離が近い日本が一番有利だな」

 「外国じゃ一流記者が全面的に支援されてるというのに」

 「日本じゃ あれに関わると碌なことにならないそうですよ」

 「つまり、一番多くの情報を握ってるのが日本ってことだろう」

 「そうなんですか?」

 「他に国が文屋に統制かけてくる理由が思い浮かぶか?」

 「い、いえ・・・」

 「情報屋の儒陀人に聞くと、露鳳は未来から来たんだと」

 「またまたぁ そういう噂は、前々からありましたけど本当ですか?」

 「露鳳建艦秘話。朱雀・海燕開発秘話なんて出版されてますよ」

 「ふっ まぁ・・・見ざる・言わざる・聞かざるっていうし」

 「これ以上、詮索しない方が身の為かもな」

 

 

 ドイツ帝国

 ベルリン五輪のスタジアム

 深夜、ノミを打つ金槌の音が響いていた。

 梯子に登った男の額から汗が滴り落ち、

 梯子を支える妻も用心深く周囲を見渡す。

 1936年ベルリン五輪優勝者記念塔の石壁に彫られた。

 マラソンの金メダリスト、孫基禎(ソン・ギジョン)の国籍「Japan」が「Jyuda」に書き換えられていく、

 工事は夜明け近くまで続き、

 作業を終えた儒陀国会議員は、満足げな表情で梯子を降り、

 ドイツ帝国を後にしていく、

 

 

 

 インド大陸

 儒陀 日本語学校

 “1920年代後半、アメリカは、機械化と有り余る資源で生産力が高まり”

 “人々は、借金に借金を重ねて投機を続けても利益が得られ”

 “物質的な豊かさと繁栄を謳歌できた時代でした”

 “しかし、暗黒の木曜日とも呼ばれる1929年10月24日”

 “供給力が購買力を上回ったのです”

 “過剰な生産設備と売れない商品が在庫にあまり”

 “利益の回収が困難となって、借金の返済の見込みが立たなくなりました”

 “株価80パーセント以下。工業生産平均1/3以下”

 “失業率25パーセント、失業者1200万人”

 “閉鎖銀行は1万を越え”

 “1933年2月、アメリカの全銀行が業務停止したのです”

 “ニューヨーク証券取引所から始まった世界恐慌は、世界に広がり”

 “日本にも及び、生糸輸出ができず、株は暴落によって経済は悪化しました”

 “日本は積極財政と代替輸出を行いました”

 “しかし、イギリスはブロック経済によって財政を建て直そうとし”

 “日本は、輸出の道が塞がれ”

 “政治的な解決の道は困難となってしまいました”

 “日本が軍事的な・・・”

 「もういいニダ」

 「資本主義は私欲主義ニダ」

 「自業自得の上に弱者も巻き込むニダ」

 「人はお腹が空くと奪ってでも生きようとするニダ」

 「共産主義は公益主義ニダ」

 「一生懸命に働いても怠惰に働いても収入は変わらないニダ」

 「人は楽をし怠け続け、生産力はどんどん落ちていくニダ」

 「だから儒陀時代ニダ」

 「天孫の儒陀民族が世界を教育し支配しなければならないニダ」

 「その前に・・いまの儒陀の不幸、困窮・・・」

 「それは、儒陀を裏切った。儒陀人の気持ちを裏切った・・・」

 「中国と同じに、儒陀を裏切った日本人は許せないニダ!!!」

 「手始めに儒陀を貶め裏切った賊国日本を打倒するニダ!!!」

 「「「「・・・・・」」」」

 「全世界の力を総動員させて、日本を滅ぼすニダ!!!!」

 

 

 儒陀皇帝府

 ぱたっ! ぱたっ! ぱたっ! ぱたっ!

 ぱたっ! ぱたっ! ぱたっ! ぱたっ!

 ぱたっ! ぱたっ! ぱたっ! ぱたっ!

 「暑いニダ〜」

 「早く官邸を再建するニダ」

 「いま日本の建設会社に基礎工事をさせてるニダ」

 「日本企業は嫌ニダ」

 「一番安かったニダ」

 「皇帝。インド藩王諸国評議長官邸Rashtrapati Bhavan(ラシュトラパティ・バワン)は」

 「約1.4kuで世界最大ニダ」

 「劣等種族のインド人のくせに生意気ニダ」

 「もっと大きな儒陀皇帝府を建設するニダ。1.5kuニダ」

 「日本の建設会社に言ってくるニダ」

 ・・・・・

 ・・・

 「皇帝。日本の建設会社の職員が」

 「“そんな官邸建設したらクーデターが起こる” と心配していますが」

 「皇帝官邸は儒陀の自尊心ニダ」

 「儒陀で最高の権威を見せなければならないニダ」

 「それと、割増しのお金が必要だそうニダ」

 「日本人は儒陀に謝罪と賠償をしなければならないニダ」

 「同じ金額でやるニダ」

 ・・・・・・

 ・・・・

 「皇帝。日本の建設会社が帰るといってるニダ」

 「なぜニダ。世界最大の官邸の工事をやらせるニダ」

 「元の設計ならやると言ってるニダ」

 「し、仕方ないニダ」

 「元の設計でいいニダ」

 ・・・・・

 ・・・

 「日本人の作った官邸に住むのは恥ニダ」

 「まともな儒陀人は徴兵されて余裕がないニダ」

 「日本の政党の味方をして、次はただで作らせるニダ」

 「そして、日本を滅ぼして、儒陀民族が官邸を作ったことにするニダ」

 「日本を滅ぼすのは難しいニダ」

 「日本人は、国防を軍隊だけに任せてる勘違い馬鹿が多いニダ」

 「戦争は、敵国の根源を破壊することニダ」

 「敵国内に “嘘吐き” と “泥棒” と “人殺し” を蔓延させてやるニダ」

 「組織力と和に頼ってる日本人をバラバラにしてやるニダ」

 「日本社会を膠着したヒエラルキー社会にしてやるニダ」

 「カーストを作って、相互不信を募らせ、憎み合わせ」

 「誹謗中傷と引き摺り落としを繰り返して政治力を喪失させるニダ」

 「儒陀で売春ツアーをやるニダ」

 「日本人有力者の庶子を人質に取って肉壁にすると脅迫して」

 「利敵行為させて弱みを握ったら日本の地位を会得するニダ」

 「そして、次から次と引き摺り落としていけばいいニダ」

 「不正腐敗の与党と」

 「外国資本に頼らなければ選挙に勝てない野党にさせてやるニダ」

 「政権政党の選択肢をなくさせ、まともな政権党交代をできなくさせてやるニダ」

 「日本は自滅するニダ」

 「それから、それから、大陸間弾道ミサイルを配備して日本を脅迫するニダ」

 「武装した街宣車で皇居襲撃して天皇を人質にとって日本を降伏させるニダ」

 「絶対に日本を滅ぼしてやるニダ!!!!」

 

 

 

 

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 月夜裏 野々香です

 反日教育

  国家的な圧政の捌け口で反日教育を行ってる中国と、

  学校の反日教育が補助で、

  祖父母・両親から子・孫へ家訓として伝えることが伝統となっている半島の違いがあって、

  その違いを踏まえ、ちょっと違う中華民国を考えています。

 でも、政治家、官僚、資本家の混血庶子が半島と大陸にいそうだなぁ (笑

 同族でも他人の日本人より、混血でも自分の庶子に情がいくだろうし、

 こればっかりは来るもの拒まずだし

 戦記、史実とも、どうにもならんわ (笑

 

 

 

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第29話 1969 『生態系分岐世界は・・・』

第30話 1970 『嘘をつかないと生きていけない』
第31話 1971 『嘘でも現実は押し付けるニダ』