タイムスリップ系架空戦記
『時空巡洋艦 露鳳』
第33話 1973 『新高山登らない!』
国際情勢は米独日ソの4強国の国益追求によって左右されていた。
アメリカ合衆国
自由と平等を権利を保障することで人々を糾合する多民族移民国家。
実力と能力を優先し、弱肉強食な資本主義と多数決が国を支配する、
資源、人材、科学技術など総合力で勝る。
ドイツ帝国
堅実で法順守しやすい国民性で欧州の覇権を握る帝国。
第一次世界大戦で敗北して帝国は破壊され、膨大な借金を抱え込むも、
再建し、第二次世界大戦で誇りと失地と帝政を回復。
工業力と宇宙開発で先行していた。
日本
保守的で組織力で勝る民族性で
有色人種でありながら維新後、近代化に成功し、
日清・日露戦争で民族自決、
第一次世界大戦で列強の末席に付き、
第二次世界大戦でアメリカ合衆国の軍事的な野心を挫き、
戦後、東アジアの盟主となった。
ソビエト連邦
愚鈍な民族性でありながら、
愚鈍な民族性であるがゆえに世界最大の帝国を成し、
共産化後も世界最大の帝国であり続ける。
体系化された共産主義思想の正統化と
嫉妬、妬み、憎しみといった負の感情を伝播させることで、
海外に宗徒を集めやすかった。
アメリカの民主主義は、有色人種に社会進出の機会を与え、
日本の国家主義は、日清戦争で清国。日露戦争でロシア帝国。
第二次世界大戦でアメリカに勝利することで、
資源も技術も乏しい有色人種が教育と組織力で列強を押し返せる事を証明してしまう。
そして、列強は、利権を得るため後進国の留学生を受け入れ、
近代化が人種、言語、宗教、歴史的な趨勢、地政学、地下資源でもたらせるものでなく、
科学技術や物理法則は、人種、言語、宗教で差別しない事が知られ、
資源を生かすも殺すも教育と人の意欲であることを教えてしまう。
第二次世界大戦後、
イギリスは国際的な地位を失墜させ、
フランスは3分割され、イタリアは2分割され、列強だった頃の面影はなかった。
代わりに中華民国、雲南省(白人社会)と満州帝国が急速に力を付け、
華僑はアフリカ大陸の独立運動を潰しつつアフリカ全土で勢力を伸ばし、
大陸規模な地域紛争を起こしていた。
もう一つ、インド大陸が注目されていた。
アメリカ、パキスタン、ハイデラバード藩王国、儒陀藩皇国と
自主独立を目指すインド藩王諸国の内戦が続き、
中東ではイスラエルとアラブ諸国が緊張関係を強めていた。
樺太(サハリン)島 (76400ku)
北緯50度以南(36089ku)は日本領土だった。
日ソ国境は鉄条網が敷かれ、
民間交流は制限され両政府公認の取引のみ行われていた。
日本陸軍第二師団は、北樺太のソビエト軍と接し、
戦力比は1対2と劣勢で島民の反共と対ソ意識は高く、
他の地域と大きくずれていた。
とはいえ、地域の人口と生産力が小さいと基地を維持する負担は大きくなり、
人口と生産力が大きいと基地を維持する負担は小さくなった。
日本経済の中心は、半島、西日本側に寄ってることから、
南樺太に行政、通信、交通を整備しただけでは人口が増えず。
免税など産業と人口を誘致するよりなかった。
それでも街は少しずつ広がっていた。
公園が作られ、並木が街路を挟み、
牧草地と農地も増えても人為的な淘汰にすぎず、
人の好む世界が広がり少しずつ原自然を狭めていた。
時折、ソビエトの亡命者が国境を越えて日本領へ逃げ延び、
人道上の観点と労力と経済効果から亡命ロシア人居住区が作られていた。
南樺太はハワイ銀行のアメリカ資本が積極的に投資していた。
ドイツ資本も少なくなく、
南樺太の白人人口は5パーセントに達し、米独ソ系が入り混じっていた。
モダンな喫茶店
「そういえば、特別高等警察で特別部隊を編成するらしいよ」
「嫌だねぇ 警察国家なんて」
「対儒陀戦隊で日本人は対象外だそうだ」
「儒陀人は汚れ役やれるし、潰しが利いて日本人10人分くらい便利らしいけど」
「人間、上り詰めると地位名誉財産だし」
「日本人は世間体と浄・不浄が強い上に組織も潔癖症だからね」
「それで、アウトローに付け込まれちゃな」
「家族持ちにとってアウトローは怖いけどな」
「それで特別部隊は、特別装備らしいよ」
「特別装備って?」
「まぁ 防弾とか防刃とか・・・」
「例の開発されたというケプラー?」
「ちょっと違うらしいけど」
「それと、特高は反発を避けるため他の省庁から人材をスカウトするらしいよ」
「スカウト? 志願とか推薦じゃないの?」
「その辺は、特高の面子じゃないかな」
「ふ〜ん」
「しかし、南樺太は防衛と防諜上問題があるのにもかかわらず、どうして外資が強くなるのかねぇ」
「リスクを冒して投資したがる資本家は少ないし」
「外資が増えるほど不信感が強まって国内資本が遠ざかる」
「住む者は、豊かな生活をしたいから背に腹はかえられない」
「結果的に外資と外国人人口頼りになってしまうという悪循環だな」
「やれやれ」
「まぁ それでも日本は外資率が少ない方だよ」
「アメリカ、イギリスなんて、そればっかり」
「中華系、アラブ系が強くなってる」
「向こうは上下の階層が強くて縦割りが弱く」
「日本は民族的な縦割りが強くて、上下の階層が弱いからね」
「内部に入り込まれない限り支障ないよ」
「だけど一旦、内部に入り込まれてしまうと仲間意識で守ってしまうからな」
「もっと積極財政で公共投資すべきなんじゃないの」
「親方日の丸は放漫財政で採算率悪いし、サービスの不満も多い」
「それに、これ以上、財政負担が増えると首が回らなくなるよ」
酒場
不逞の輩たち
「戦前戦中の日本は凄かったニダ」
「崇拝すらしてたニダ」
『『『『・・・・』』』』 軍人と軍属たち
「でも、戦後日本は、経済だけのエコノミックアニマルニダ」
「軍人は戦意を無くし、国民は快楽に走って意気地がないニダ」
「アメリカ人は日本人に復讐で、日本に核をぶち込むと言ってたニダ」
「ロシア人も日露戦争の復讐で、日本に核をぶち込むと言ってたニダ」
「中国人も日清戦争の復讐で、日本に核をぶち込むと言ったニダ」
「このままだと、日本は戦うこともできず滅んでしまうニダ」
「日米独ソの国際協調など弱腰だし、軽蔑するニダ」
『『『『・・・・』』』』 憮然
「もう一度、戦前戦中の気概を取り戻して、軍を再興させ」
「軍事大国として、世界に覇を競うニダ」
「日本は毅然とした態度をとって、軍事的に独立するニダ」
「在日儒陀は、軍部と右翼に協力するニダ」
「まぁ 協力は嬉しいがね。新高山を登るつもりはないよ」
『『『『・・・・』』』』 むっすぅうう〜
組織権益拡大の誘惑と内患の狭間で揺れ動く
別の席
“取り敢えずビール”
常套句の後、どうするか考えながら枝豆を頬張り、惰性でビールを流し込んでいく、
血の半分はビールと確信と自信を持って言える。
なぜ酒を飲むのか、
美味しいからとしか言えない、
現実逃避というか、ほろ酔い気分になると最高で、
違う世界にいるような気分にもなる。
生物界的に自分で自分を弱くしてしまう不思議な生き物といえる。
それでもやめられないのだから、しょうがない。
煙草は味を覚えなかった。
どちらかというと嫌悪感。
酒場も喫煙席と禁煙席で派閥めいたものが作られる。
煙草を吸わない人間は、煙草を吸う人間をそういう目でみるだろう、
酒を飲まない人からすると、酒飲みは、そういう目で見られるのだろう。
少なくとも、人に絡まなければ・・・
飲んで飲まれて人に迷惑をかけないなら構わないと思う。
酔っ払い運転が何人の人を巻き込んで死んだかわからないが、
寝煙草の火事で何人もの家族と隣家を巻き込んで死んだか、
というのと大して変わらない。
なので、酒と煙草をやらない人間の嫌悪感は否定しないまでも、
飲みたい時もあるし、
文化的境地にまでアルコールを高めたい気分にもなるが
気分が酒気を押さえてしまうとは・・・
酒飲みたち
「・・・というわけなんだよ」
「酔えんぜよ」
「内密なんだよねぇ これが・・・」
「なんで俺ぜよ?」
「一番は、機械で調べた結果かな」
「なんか知らんけど測定器みたいな」
「そうそう」
「ふ〜ん」
「政府が秘密裏に開発した装備があってね」
「オーラーローブっていうんだ。凄いだろう」
「・・・・・」
『この国は、もう駄目になってしまったぜよ・・・』
そう思った瞬間だった。
競馬場
精悍なサラブレッド馬がトラックを疾走する。
勝ち馬。
それを当てるには優れた考察と正確な情報が大量に必要だった。
とはいえ、勝率を有利にするための情報で、
勝負は時の運、
綿密な計算が素人買いした山勘に負けることもある。
しかし、酒もやらない煙草もやらない。買うもない。
“打つ” だけ。
皆は、中毒になっていると非難する。
しかし、人生はやり直しの利かない賭けだ。
そして、賭けに勝つことは、人生に勝つこと
賭けは人生・・・そう確信している。
賭士たち
「・・・というわけなんだよ」
「何とも凄い賭けじゃ〜」
「内密なんだよねぇ これが・・・」
「ないごて、わし?」
「一番は、機械で調べた結果かな」
「なんか知らんけど測定器みたいな」
「そうそう」
「ふ〜ん」
「政府が秘密裏に開発した装備があってね」
「オーラーローブっていうんだ。凄いだろう」
「・・・・・」
『この国は、もうヤッセンになってごわす・・・』
そう思った瞬間だった。
とある街角
この世は男と女
そして、自分の好みを求めてさすらう旅人、
男は狩人。女は罠士
男が満たされない気分を補完するため街を放浪する。
戦前は、お見合い全盛。
戦後も、お見合い全盛。
日本人の小心ぶりに呆れる。
しかし、恋愛主義者も少数派ながら存在する。
そう、蝶のように舞い、鉢のように・・・
狩人たち
「・・・というわけなんだよ」
「モテそうな。立ち位置じゃ」
「内密なんだよねぇ これが・・・」
「なんで俺?」
「一番は、機械で調べた結果かな」
「なんか知らんけど測定器みたいな」
「そうそう」
「ふ〜ん」
「政府が秘密裏に開発した装備があってね」
「オーラーローブっていうんだ。凄いだろう」
「・・・・・」
『この国は、もう駄目になってしまったのう・・・』
そう思った瞬間だった。
街道を挟むモミジとイチョウが緋色に萌え散って流れていく、
バイクの奏でる音が心を躍らせる。
なぜ危ない走りをするのか。
度胸と命を天秤に賭け、風を切って疾走することで生の感覚が研ぎ澄まされる。
機械と一体になる気分は、人類が進化していく姿であり、
進化の先端にいる気分にさせる。
走り屋たち
「・・・というわけなんだよ」
「走り屋なんだけどない」
「内密なんだよねぇ これが・・・」
「なんで、わす?」
「一番は、機械で調べた結果かな」
「なんか知らんけど測定器みたいな」
「そうそう」
「ふ〜ん」
「政府が秘密裏に開発した装備があってね」
「オーラーローブっていうんだ。凄いだろう」
「・・・・・」
『この国は、もう駄目になっばい・・・』
そう思った瞬間だった。
人が人として生まれて、最初に意識する感情は、飢えと食欲。
満たされない気持ちの半分は、食欲で満たされる。
俺をグルメと呼ぶやつがいる。
それは違う。
作るのも得意だ。
そして、最高の味覚を求め人生をさすらう。
お気に入りの屋台
「・・・というわけなんだよ」
「この屋台のナルトは最高やねん」
「内密なんだよねぇ これが・・・」
「なんで俺やねん?」
「一番は、機械で調べた結果かな」
「なんか知らんけど測定器みたいな」
「そうそう」
「ふ〜ん」
「政府が秘密裏に開発した装備があってね」
「オーラーローブっていうんだ。凄いだろう」
「・・・・・」
『この国は、もう駄目になってしまったんやな・・・』
そう思った瞬間だった。
特高本部
「諸君!」
「儒陀人の暗躍が増加している」
「国内には、保身と派閥抗争で勝つため」
「潰しの利く儒陀人と結託してる勢力が少なからず存在する」
「そして、その皺寄せは一般の日本国民である」
「国益優先、組織利益優先では、国民の不信とモラル低下が懸念される」
「儒陀は、内にあって内乱の教唆。独立の扇動。対外戦の扇動。外患誘致。外患援助」
「外にあって日本の孤立化と敵性化を扇動してる節がある」
「そこで、特高内に対儒陀戦隊を編成する」
「その名も科学忍者戦隊ミカヅチ」
『『『『『なんで科学? なんで忍者?』』』』』
大東亜共栄圏 フィリピン
独立後、フィリピンは、国家権力機構を整備しながら民主化と農地解放を進めていく、
172もの言語と部族社会が近代化の障害となっていたものの、
発電所、港湾、鉄道、道路、橋が建設され、
行政機関と教育機関が整備されていく、
駐留日本軍は撤収し、
日本とフィリピンの関係は、需要があれば供給するといった関係が強く、
必要以上の干渉はなかった。
フィリピンの公共投資と設備投資は増えるにつれ、
日本資本とフィリピン政界の間に強いパイプが作られていく、
駐在日本人が増え、日本人町も大きくなっていた。
国と企業だけでなく、草の根の民間交流も増え、
日本人の進出により農業、商業、工業は飛躍的に発展していた。
フィリピンは大東亜共栄圏の立ち位置にあるものの、
日本とアメリカから購入した装備でフィリピン軍は成り立っていた。
そして、それがフィリピンが占める国際的な位置でもあった。
深夜のフィリピン
きゃー!
「日本人ニダ!」
きゃー!!
「日本人ニダ!!」
きゃー!!!
「日本人ニダ!!!」
きゃー!!!!
「日本人ニダ!!!!」
日本領コレヒドール島(5ku)
戦後、駐留日本軍は縮小され、
民間企業群が事務所を構えた。
全長2500mの滑走路が建設され、
某企業の事務所
「飛行機の騒音は大きい。手狭。何とも面白みのない島だねぇ」
「日本領というだけで、直接利益に繋がるわけじゃないからね」
「国内線扱いでここまで来れるのがいいらしいよ」
「航空会社の都合なのか」
「まぁ それもあるけど。取り敢えず日本領が近いということで観光客を誘致しやすい」
「でもなぁ 儒陀人が日本人に成り済まして悪さしてるから」
「その上、日本人の悪口雑言を言い触らしてるし」
「日本人観光客の居心地はいま一つなんだな」
「儒陀人は、なぜフィリピンに集まりやすいんだ」
「フィリピンを押さえれば大東亜共栄圏を分断できる」
「日本を孤立させるのが好きな国民だからだろう」
「それに儒陀人の工作員がフィリピン人や日本人を誘拐しようとしてる節もある」
「ったくぅ 連中は正常な外交の障害にしかならないな」
「まぁ 工作は二の次」
「本心は、有力者の息子を戦争してる祖国から避難させたがってる」
「将来的に家族ごと祖国から逃げ出そうって魂胆らしいけど」
「そっちかよ」
オーラーの色は、赤、橙、黄、緑、青、藍、紫、白の8色。
赤いオーラは情熱。
意志が強く現実主義者、生真面目で頑固で感情が高ぶる事がある。
オレンジのオーラは想像。
芸術、冒険、自由を求める独創者で逸脱者でもある。
黄色いオーラは、陽気。
人生を楽しむことを追求する我が侭な性格。
緑のオーラは調和。
コミュニケーションと忍耐を重んじる合理主義者は、孤立する時がある。
青いオーラは思いやり、
博愛と平和主義者。感情や直感を信じ浪花節なところがある。
藍色のオーラは誠実。
自立心、真実、信念を信条に生きる
紫のオーラは神秘
神秘主義者。自由な精神の持ち主
白のオーラは、良識
要領がよく柔和な人。
オーラは、1〜4色ほどの色が混ざっていた。
また、恋愛中はピンクが増えるなど気分によって変化する傾向もあった。
未来科学研究所 (Future science laboratory : F・S・L)
被験者のオーラとプラズマが混ざり合う。
オーラが強ければプラズマの量が増え、防御力が増す。
研究者たち
「平行世界に行くための装備なのに」
「こういう使い方をするんじゃないけどな」
「軍だけじゃなく、特高も欲しいって事じゃないの」
「それで、他の省庁が危機感を抱いたってわけ?」
「軍と違って特高は、身近だからねぇ」
「特高に難癖付けられて捕まえられちゃかなわんでしょ」
「警察国家は嫌だし、偽証で売国奴にされたくないし」
「その辺は自制して欲しいね。守りたい人権もあるし」
「でもあまり人権が煩くなると悪い奴が逮捕できなくなるってよ」
「人権が強くても弱くても得するのは強い奴と悪い奴じゃないの」
「ありがち」
「欲の皮突っ張らせた悪い奴が得するのは嫌だな」
「まぁ 取り敢えず、平行世界はすぐ行けないし」
「運用の経験が得られるなら悪くないけど」
「作動スイッチはベルト型と時計型があるけどどっちが好みかな」
「時計は置き忘れが怖い」
「じゃ ベルト型か・・・」
「まぁ 女に籠絡されない限り奪われないと思うけど」
「対儒陀で使えるかな」
「集束率は銅の硬度3.0程度」
「厚みはオーラとDPP核とプラズマの容量に比例する」
「集束させると薄くなるけど、だいたい3mmから5mmくらい」
「拳銃弾は正対して受けなきゃ何とかなるし」
「ナイフも突きを受けなければ何とかなる」
「打撃も弱められるし」
「関節技も銅板ネジ切るパワーがないとね」
「軍じゃ足しにならないけど、路傍でのケンカなら負けはないかな」
「しかし、オーラ色がうっすら見えるのは微妙だな」
「その辺はしょうがないよ」
「オーラー色の服を着て誤魔化すしかないかな」
「服はケブラ製ジャケットを支給するんじゃなかったっけ」
「まぁ 合わせて使えば、相当なものになるだろうね」
「だいたい、殉職の可能性が低くなれば正義とやらも遂行しやすいだろう」
「正義ねぇ・・・」
被験者たち
『馬鹿ぜよ、美味しいビールを開発して輸出した方が国益になるぜよ』
『やっせん、どうせなら勝ち馬が当たる技術を開発しやい』
『女にモテる薬でも開発せや』
『昼飯の弁当が・・・』 ため息
『なんで支給バイクがカブやねん。舐めてんか』
生態系研究所
数十枚の写真が検証されていた。
「このオルドビス紀分岐世界。サボテンに似たのは変わってる」
「どういう進化を経てこうなったのやら」
「植物が動物を生み。動物が植物を生むのか」
「動植隔世遺伝ってやつか」
「親子より爺孫が似ることもあるよ」
「植物と動物で世代交代じゃ・・・」
「むしろ、動物と植物で変態を繰り返してるんじゃないの?」
「んん・・・この写りの悪い写真じゃな」
「行ってみないことには・・・」
「まだ無理だろうな」
歯舞諸島 水晶島
水晶島はカホオラウェ島と並ぶ二大軍用島だった。
水晶島は主に新兵器の実験場として使われ・・・
瑞鶴(Su33)
空虚重量18400kg/運用重量29940kg/最大離陸重量33000kg
サチュルン/リューリカAL31K 推力7453kg/13040kg×2基
全長21.19m×全幅14.70m×全高5.93m 翼面積62.0u
航続距離3000km 最高速度2300km/h
30mm機関砲×1門(搭載弾薬150発) ハードポイント12基 重量6000kg
大型の双発戦闘機が離陸していく、
日本空軍将校たち
「寒い・・・」
「場所が場所ですからね」
「だから反対したんだ。過疎だし、なんもない島だし」
「新型の実験場ですから・・・」
「しかし、長かったなぁ ようやく、試作機を飛ばせる」
「オイルショック前に電子産業やら公共投資やらで、お預け食らってましたからね」
「国土が広いんだから、何でもかんでも開発しなくてもいいだろうに」
「一旦、勢いがつくと聖域と保身で権益が膨れ上がりますからね」
「列強に比べ、電子装備が数ランク上なのが嬉しいが」
「それに瑞鶴は、瑞燕より航続距離が長く、電子装備も大きい」
「制空能力で一安心かな」
「問題は量産でしょう」
「工場の割り振りは上手くいってるんだろう」
「ええ、チタンの生産力も伸びてますから」
「おかげで中華民国の国力は伸びてる」
「中華民国から資源を買ってますからね」
「軽量化は?」
「運用状況を見ながら換装していくとしても、機体総数で考えると割高ですね」
「複合素材とチタンの比率を増やしていくので、最終的に16000kgくらいまで落とせるはず」
「問題はステルスだけどねぇ」
「水平飛行に対し、垂直面と水平面を減らして機体を開発してます」
「オリジナル機よりステルス効果があるかと」
「微妙にな・・・」
「露骨にやると気付かれるので」
瑞鶴は、空に浮かぶように旋回し、標的機と並行飛行する。
「空将。ロックオンしたそうです」
「やってみてくれ」
機体下部から落ちた空対空ミサイルは、方向を変え、
1kmほど横を飛んでる標的機に命中してしまう。
「「「「・・・・」」」」 呆然
ジェット戦闘機同士が交戦すれば相対速度は倍増する。
レーダーで事前に敵機の位置を把握していなければ、
一瞬で交錯する敵機を捉えきれない、
8ビットCPUは開発目前。
4ビットCPUが全盛だった。
レーダーで位置を掴んでも複雑な演算処理は間に合わない、
4ビットCPUが装備されていない戦闘機でさえ飛んでいた時代、
瑞鶴は32ビットCPUが搭載されていた。
中華民国 雲南省
南部の標高は1500〜2200m。
北部の標高は3000〜4000mほど、
標高差で温帯、亜熱帯、熱帯の気候帯に分かれ、
夏の平均気温は19〜22度で雨が多く、
冬の平均気温は6〜8度で晴天が多かった。
1日の気温差は12〜20度にもなった。
風光明媚な山岳に東欧の街並みが作られ、
ポーランド人を中心に東欧・バルカン諸民族6000万人が移民し、
自治政府を作っていた。
雲南省は、白人諸国の足場となり外資進出の拠点となっていた。
昆明市 日系ホテル
日本人たち
「ついにオイルショックか」
「ケーブルカー二つ。モノレール三つを受注してるけど、大丈夫なのか?」
「まぁ 省エネも進めてたし」
「高めに受注して、受注数を減らしてたから痛手は小さいよ」
「どちらかというとアフリカ大陸の受注の方が心配かな」
「しかし、まさか、噂になってた中東戦争が本当に起きてしまうとは」
「信じたくなかっただけで、中東が燻ってたのは確かだろう」
「ところで、年金制度は大丈夫なのか」
「んん・・・いまのところ若者層が多いから、支障はないけどね」
「年寄りが金持ちになって、子供が怠け者になるってことはないよな」
「インフレは続いてるよ」
「まぁ 拝金主義が強まって、老後は子供より金って風潮も育ちつつあるけど」
「老後の安寧のために若手を育てず、目を潰していく。醜悪だな」
「親が子供より金なら、子供だって親より金になるだろうぜ」
「やり過ぎると少子化になって、さらに遺産目当てで根腐れするよ」
「親の保身と不信と過保護が子供の利己主義を強め自立心を挫くこともあるからね」
「世代交代はいろいろあるから」
アメリカ合衆国
アメリカは軍産複合体の存続と
インド大陸とインド洋の権益のためインド戦争に参戦する、
資本家はインド権益を得ても、庶民は戦わされる、
戦場の姿がメディアによって伝えられると、
国民の間で厭戦機運が広がり、
反戦運動は、大国アメリカの戦意を喪失させてしまう。
インド戦争が終結しても
権益誘導で儒陀人、パキスタン人、ハイデラバード人、中国人を大量に入国させていた。
また、徴兵のため黒人の地位を上げ、
インドで民間人を殺してきたと帰還将兵が白い目で見られるようになると麻薬消費量は増え、
アメリカ社会は少しずつ変貌していく、
ニューヨークの和風料理店
アメリカ人たちが不器用に箸を使って食事していた。
「おっ 黒い紙があるぞ」
「“ノリ” って言うらしい。海藻だそうだ」
「最近、日本料理が増えてるじゃないか」
「敵に無知だと負けるからドイツ料理、ロシア料理も増えてるよ」
「敵ねぇ」
「なんで、アメリカは、クソったれな人種と同盟を結びたがるかねぇ」
「利権だろう」
「市場があればお金持ちは儲かるし。俺たちの賃金も増える」
「おかげで、治安が悪化してるよ」
「ヒッピーは増えるし、黒人は強くなるし、儒陀人とイスラム人が増えるんじゃね」
「アメリカも変わったな」
「新参にルールを守ることを教えりゃいいのに」
「不公平なルールを押し付けたのは白人の方だからね」
「黒人は不貞腐れるだろうし。新参は不正を働いてでも成り上がろうとする」
「日本人はルールを守ろうとするんだけどな」
「ふっ そういえば、むかしは、ルールを守る日本人を排斥してたっけ」
「パールハーバーはともかく。決闘仕掛けてくる国だし・・・」
「そして、無法な人種を移民させる」
「アメリカ人も馬鹿なことをしてるな」
「そのうち、有色人種に負けた白人が失望してホームレスすることになるかもな」
「地位に頼る白人と地位を得ようと野心を持つ有色人種の差は出てくるよ・・・」
ざわざわ ざわざわ ざわざわ
「なんだぁ?」
「この臭いは・・・」
“あのぉ お客様・・・”
“儒陀人は食事にキムチが必要ニダ”
“で、ですが、そのぉ・・・”
“日本人はキムチを店に置かないと駄目ニダ”
“し、しかし・・・”
“キムチを置けば店はもっと繁盛するニダ”
ざわざわ ざわざわ ざわざわ
「「「「・・・・・」」」」 ため息
「あそこまで行くと営業妨害だな」
在米 儒陀系キリスト教
“儒陀黙示録が迫ってるニダ”
“日本は、悪魔の国ニダ”
“日本のせいで、アジアの盟主清国が滅ぼされたニダ!”
““““・・・・”””” こくん、こくん 漢民族
“日本のせいで、ユーラシアの盟主ロシア帝国が滅ぼされたニダ!!”
““““・・・・”””” こくん、こくん ロシア系アメリカ人
“日本のせいで、北アメリカの盟主アメリカ合衆国が滅ぼされかけてるニダ!!!”
““““・・・・”””” こくん、こくん アメリカ人
“アメリカ、ソビエト、ドイツを中心に世界は団結しなければならないニダ”
“全世界が一つになって団結し、世界の敵。日本を滅ぼさないといけないニダ”
“全世界がアメリカを支え”
“アメリカ人は、この怒りの核を日本人に叩きつけて初めて真の勝利が得られるニダ!”
“この勝利こそ全戦死者最大の慰めとなるニダ!”
“悲しみを怒りに代えて立てよアメリカ”
“我等、儒陀に連なる12支族民こそ選ばれた民ニダ”
“優良種たる儒陀12支族が人類を救うニダ!!」
“ジーク儒陀”
““““ジーク儒陀!!””””
“ジーク儒陀!”
““““ジーク儒陀!!!””””
“ジーク儒陀!!”
““““ジーク儒陀!!!!””””
インド大陸
アメリカは国民と派遣軍将兵の戦意を保てなくなり、
インド藩王諸国と休戦を結び戦線から後退していく、
撤収中のM48戦車が橋と共に転落してしまう。
在儒アメリカ軍基地 アメリカ軍将校たち
「まったく、酷い目にあったよ」
「だから日本が作った橋を渡れって言ったのに」
「儒陀のMPに誘導されたようです」
「「「「・・・・」」」」 ため息
「儒陀は嘘吐きの泥棒ばかり、もう懲り懲りだよ」
「でも米儒同盟は維持するらしいよ」
「国益か。馬鹿が国民感情を蔑ろにすれば、愛国心を損なうことぐらいわかればいいのに」
「派遣手当てを貰っても居たくない国だよ」
儒陀藩皇国 日本語学校
“1937年(昭和12年)7月7日。盧溝橋事件が起きました”
“中国兵士が数十発を撃ったのです”
“日本軍は中国領に進撃を開始、徐州占領”
“日本とソビエトの間で張鼓峰事件勃発”
“広東占領、武漢三鎮占領”
“日本軍は大陸内陸に進むにつれ、泥沼に入っていきます”
“一方、欧州でもドイツの膨張政策によりチェコスロバキアを併合します”
“そして、ノモンハン事件が起こります・・・”
「もういいニダ」
「日中戦争は、儒陀の扇動に馬鹿な日本軍部と右翼が乗って起きたニダ」
「張鼓峰事件もノモンハン事件もそうニダ」
「儒陀人は、中国軍とソビエト軍も煽ったニダ」
「大成功だったニダ」
「いまも、日本の有力者との間に強いパイプがあるニダ」
「皆も見習って、もう一度、日本と世界を戦わせるニダ」
「立派にやり遂げるニダ」
「古代の儒陀は、質の悪いチョッパリを “溺れ死ね” と丸太に縛って海に流したニダ」
「島に辿り着いたのが世界一のならず者が日本民族の正体ニダ」
「日本人は裸で魚を獲っていたニダ」
「儒陀は寛容な精神から、先進的な文化を野蛮で劣等で未開な日本に恵んであげたニダ」
「古代百済人が日本を建国したニダ」
「全ての日本文化は儒陀文化を盗んだものニダ」
「哀れ過ぎて涙が出てくるニダ」
儒陀皇帝府
ぱたっ! ぱたっ! ぱたっ! ぱたっ!
ぱたっ! ぱたっ! ぱたっ! ぱたっ!
ぱたっ! ぱたっ! ぱたっ! ぱたっ!
「暑いニダ〜」
「皇帝。インド藩王諸国との国境の確認が終わりました」
「アメリカの口車に乗って、酷い目にあったニダ」
「儒陀人を日本に入国させるニダ」
「そして、言論を支配し、与党に擦り寄って野党を攻撃するニダ」
「まともな政権交代をできなくしてやるニダ」
「痛くも痒くもない戦前戦中の日本を讃えて、戦後の日本を扱下ろすニダ」
「懐古主義の馬鹿な日本人を抱き込んで、総理を引き摺り落として、政府を潰しまくるニダ」
「日本人の “和” を破壊して組織を作れなくするニダ・・・」
「日本を食い散らかしてボロ雑巾のようにしてやるニダ」
「有力者と結託して在日両班の地位を手に入れるニダ」
「そして、貧困日本人を食い物にしてやるニダ」
「日本の伝統の神社仏閣を燃やしてやるニダ」
「あとは、中華民国、ソビエト、アメリカを日本の敵だと日本人に教えたらいいニダ」
「日本の右翼は、国防費のために儒陀の味方するニダ」
「馬鹿な日本人は戦闘民族だから勝手に突っ込んでいくニダ」
「皇帝。戦後再建の目処が・・・」
「インド藩王諸国に謝罪と賠償を要求するニダ」
「同盟協力が足りなかったパキスタンとハイデラバードに謝罪と賠償を要求するニダ」
「インドを独立させてしまったイギリスにも謝罪と賠償を要求するニダ」
「儒陀に付いて参戦しなかった日本にも謝罪と賠償を要求するニダ」
「「「「・・・・」」」」
「こうなったら、日本にせびりに行くニダ!!!!」
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月夜裏 野々香です
まぁ なんとなく、凡庸にふらふら、たらたら、年月が過ぎていきます。
ハングル版のギレンを想像してたら・・・ (笑
第33話 1973 『新高山登らない!』 |
第34話 1974 『儒陀皇帝漫遊記』 |