月夜裏 野々香 小説の部屋

     

現代小説 『紫 織』

     

第15話 『・・・セーフ』

 放課後

 学校の校庭をハルキと歩く紫織。

 ハルキと違う方向であるため、なんとなく帰り道で校内を一回りする。

 ハルキと付き合うようになってから、自分なりに綺麗にしていても、

 クミコにやってもらうようにはいかない。

 こんなことなら、今日は、クミコに頼み込んで改造して貰うんだったと落胆する。

 少しずつ生徒が帰っていく中、いくつかの部活の練習が始まっていた。

 「・・・仕事忙しい?」ハルキ

 「うん」 頷く

 「角浦の仕事の邪魔は、したくないけど、夏休みの宿題くらい手伝えるよ」

 「あ、ありがとう。で、でも中山さんと沢木さんが、時々、泊まりがけで勉強を手伝ってくれるの」

 「まだ、怖い?」

 「いまは・・・そんなに怖くない」

 「頑丈に作り直したから。一度閉めてしまうと開けられなくなったから寂しいだけかな」

 「・・・ぼくには、夏休みの宿題を手伝わせてもらえないんだ」

 「そ、そんなこと無いけど」

 「じゃー・・・誰も泊まらない日に行って良い」

 「う、うん・・・で、でも、わたし、頭悪いから三森君に悪いかなって。呆れたでしょう、点数低くて」

 「そんなことないよ。自分で働いて生活しているんだから、尊敬するよ」

 「そ、尊敬だなんて」

 紫織、思いっきり照れる。

 その時、ばたばたと数人の男子生徒が女子生徒を拉致して体育館に入っていくのが見えた。

 ゾッとする。周りは誰もいない。

 「・・・い、行こう。三森君」 青ざめる。

 「・・・うん・・・」

 ハルキも青ざめていた。

 紫織とハルキが、体育館に入っていくと誰もいなかった。

 体育館の倉庫だ。

 紫織が急いで倉庫を開けると、

 5人の上級生が嫌がる女子学生の口を塞いで服を脱がしていた。

 ぷーんと倉庫特有の匂いがする。

 突然の侵入者に男子生徒5人が慌てて、こちらを見たとき。

 紫織は、携帯で撮影した。

 そして、学校名を入れた後、それを警察に転送する。

 「・・・な、なにやってんのよ。あんた達!」

 呆然としていた5人の上級生が正気に戻る。

 口を押さえられ。セーラーを脱がされていたのは、同級生の佐藤エミ。

 「・・・ふ、ふざけんなよ。お前らのせいで、俺たちは、まともな、高校にも行けないんだ」

 「・・・・こいつらが、悪いんだよ」

 5人の男子生徒が怖い顔をしながら迫ってくる。

 『な、逆ギレ・・・』

 上級生は三森ハルキより背が高く、体格も良い。

 さりげなく、ハルキが前に出る。真っ青になって、覚悟を決めた表情。

 「あんた達は、おしまいよ。警察に映像を送ったんだから」

 5人の男子生徒は真っ青になる

 紫織は、携帯で撮影するたびに映像を警察に送っていた。

 「佐藤さん。早くこっちに来て。早く」

 エミは、服を調えると5人の男子生徒をすり抜けるように紫織のところに行く。

 「何もしなければ、未遂だけど、これ以上、近付いたら」

 「本当におしまいよ。わたしのホームページにも載せるからね」

 「そ、そんなことしてみろ。殺すぞ!!」

 「録音もしているのよ。北島と同じ人種ね。あんた達」

 「「「「「・・・・・・・・」」」」」  五人組

 「角浦。先に行け!」

 ハルキは、いつの間にか消火器を持っていた。

 「・・で、でも」

 「広いところに出たら、すぐに囲まれる」

 「おまえ、ただで済むと思うなよ」

 「ただで済まないのは、そっちだろう」

 「大丈夫? 佐藤さん」

 佐藤エミは、涙ながらに頷く。

 脱がされただけで済んだらしい。

 その時、携帯が鳴る。

 出ると警察。

 紫織は、外部スピーカーにすると警察の声が聞こえる。

  

 紫織と警察のやり取りが聞こえると5人組は諦める。

 そして、パトカーのサイレンが聞こえる。

 奈河町小襲撃事件、虐め事件、北島事件に続く、一連の事件が、

 奈河町小卒業生同士の強姦未遂で、終結していく。

 警察から事情聴取を受けていたとき。

 ミニパトから榊カスミが降りてくる。

 もう一人の婦警。萩スミレとも顔見知り。

 「・・・・紫織ちゃん」 榊カスミ

 「あ、榊お姉ちゃん」

 「元気みたいね。紫織ちゃん」

 「うん」

 「でも、何かと話題を作ってくれる子ね」 萩スミレ

 「萩お姉ちゃん。夏服、凛々しい」

 「本当! 紫織ちゃんも相変わらず、かわいいわね」

 「あ、わたしは?」

 榊カスミ、ムッとする

 「榊さんも、夏服ステキ」

 紫織。苦笑い

 「もう、調子良い。っで、また事件の当事者なの? 探偵やる? 儲かるよ」 榊カスミ

 「あまり儲かりそうに無い事件だけど」

 「紫織ちゃん。宣伝してあげるよ」

 「こもれび古本店の二階に名探偵がいるって・・・」 萩スミレ

 「わたしに探偵やらせて、二人でアルバイトしようと思っているでしょう」

 「あはは。当たり」 榊カスミ

 「良いの? それ」

 「あれ、警察と民間って協力し合っているのよ。刑事ドラマとか、探偵ドラマで見たことない」 萩スミレ

 「・・・紫織ちゃん。怖くなかった」 榊カスミ

 「三森君も、一緒だったから」

 三森が挨拶する。

 「あら、カッコ良い男の子。ふ〜ん。三森君か」 榊カスミ

 「本当だ。最近の子って足が長いし、顔も小さいし・・・良いわね」 萩スミレ

 大人の魅力で迫る婦警、榊カスミと萩スミレに三森ハルキがしり込みする

 「三森君。破戒婦警に引っ掛かっちゃ駄目よ」

 紫織がハルキの袖を引っ張って離す。

 「大丈夫よ。紫織ちゃん。婦警に戒律ないから」 榊カスミ

 「そうそう、法律スレスレなら」 萩スミレ

 「モラルは、どこに行ったのかしら?」

 「モラルって、個人差があるから・・・量刑も低いし」 萩スミレ

 「そうそう、儒教が強すぎると経済が低迷するのよ」 榊カスミ

 「録音しているんだけど」 紫織が携帯を見せる

 「げっ!」

 「ちょっと、それよこしなさい」

 「いやっ」

 「きゃっ!」

 「だめぇ〜」

 「あっ!」

 慌てて、携帯を調べようとする婦警二人とじゃれ合う

  

  

 5人組は、警察と一緒に入って来た先生によって、こっぴどく絞られることになった。

 佐藤エミは、パトカーに乗せられて帰って行く。

 部活で残っている生徒は少ない。

 先生と警察の話しがついて、とりあえず表沙汰にしないという事で落ち着く。

 そして、紫織、ハルキも公にしないようにと緘口令を出そうとしたものの、

 紫織は、弁護士にも映像を送ったと伝え落胆させる。

 「なんか、ぼくより、角浦の方がカッコ良かったね」

 「そ、そんなこと無い。三森君の方がカッコ良かったもの」

 「そうだといいけど」

 「本当にカッコ良かったよ。三森君」

 「・・・あの婦警さん達と仲が良いんだ」

 「北島先生の事件の後。リフォームが終わるまで婦警の独身寮にいたから。仲良くなったの」

 『婦警さんってイメージというか、印象とかなり違うね』

 『イメージより世俗的で普通だけど犯罪と接しているから、感覚にずれがあるの』

 『でも正義感は、人より強いよ』

 「ほら、二人とも、こそこそ話してないで乗って、家まで送ってあげるから」 榊カスミ

 「は〜い」

 紫織とハルキはミニパトで家まで送ってもらう

  

  

 その夜  こもれび古本店の二階

 夕食を中山チアキと一緒にとった後。

 紫織は机の上で突っ伏し、

 中山チアキは二階から遊歩道を見下ろしていた。

 「ったくぅ〜 教えた内容の半分も頭の中に入っていないなんて」 ため息

 「ごめん」 しゅん。

 「先生と話し合って、低レベルの生徒の底上げで総合二位になったのはいいけど」

 「あと、46点でA組を抜いて総合1位だったのよ」

 「面目ないです」

 「できた?」

 「・・・・はい」

 紫織は、テストのやり直しを渡した。

 「・・・・まだ、4ヶ所違ってる」

 チアキは、数ヶ所に丸を描いて、もう一度、渡す。

 紫織は、教科書を見ながらやり直す。

 「もっと、本格的に勉強をしないとアホな高校にしか入れないよ」

 「あ〜ん」

 「アホな高校に行くと変なのばっかりよ。変なのと仲間になりたい」

 「ほら、遊歩道を歩いているでしょう。ああいうのが、いっぱいいるところ」

 確かに二階から下を見ると不良ポイ若者が歩いている。

 あまりお付き合いしたくないタイプでも、本を買ってくれたら良い人だ。

 「ああいうのが少ない、レベルの高い高校に行くべきね。女は、男で、運命が変わるんだから」

 「は〜」

 紫織、思わず真剣味が増す

 「でも、沢木さんも古賀君と本格的にくっ付いて、どうしようというのかしら」

 「中山さんは、シンペイちゃんが好きじゃないんだ」

 「別に、なんとも思って無い」

 「タフで勇敢だから嫌いじゃないけどね。チビで、成績低いし」

 「それに、バスケットの試合もD組ががんばったというより」

 「これまで通り、古賀が別格扱いになっただけだし」

 幼馴染をチビでバカ扱いされて、ムッとするものの、

 チアキは、背が高く、頭が良く、確かに・・・・・・

 「な、なるほど。釣り合わないか」

 「そうなの。背の高い女って、けっこう、選択が狭められるのよね」

 「良い男がいても、見下ろさないといけないし。ある意味、不幸ね」

 「なるほど。じゃ 中山さんより背が高いのって、三森君、進藤君になっちゃうか、他は不良ばっかり」

 「そういう事、他に彼氏を探そうとすると他のクラスか上級生になっちゃうけど」

 「例の奈河町小襲撃事件と虐め事件で評判落としているから厳しいの」

 「“おまえも寄せ書き書いたのか” なんていわれるし」

 「みんな、言われちゃうんだ」

 「そうよ。だから、テストで良い点数を取って、同好会でも勝ち続けて評価を変えないといけないの」

 「そ、そうね」

 「だから徹底的に、その頭に公式を入れるからね」

 「他のクラスに “D組の学級委員と副学級委員の名前はどこだ〜” なんて、嫌味を言われているんだから」

 「は、はは、ははは。一学期で委員も終わりだから」

 「三森君とは、どこまで行ったの?」

 「ど、どこまでって、古本屋が始まってから、あんまり」

 「へえ〜 そう。デートする暇も無い?」 ニヤリ

 「・・・・うん」

 「まあ、忙しい紫織ちゃんの方が沢木がライバルより、いいか」

 「夏休みは、一気に攻めようかな・・・」

 「紫織ちゃんも水着で・・一緒に行く? 三森君と・・・」

 「・・・・・・・」 ぐうの音も出ない。

 学年一スタイルのチアキと、一緒に水着でハルキの前に並ばれたら “確実に終わる”。

 その時、アルバイトから客が着ていると知らせが入る。

 佐藤エミと近所のお金持ちの佐藤おばさん。隣にいるのは父親だろうか。

 紫織は、二階に案内してもらうように頼んみ、来客用のコーヒーを入れる。

 なんとなく、一休みできて嬉しい。基本的に勉強は嫌いだった。

 ドアを開ける。

 「・・・・今日は、娘を助けていただいて、ありがとうございます」 佐藤のお父さん

 「い、いえ、どうぞ。コーヒーを入れたので入ってください」

 「お気遣い無く。こちらの方が助けてもらったのですから」

 「い、いえ、一息つけるので、こっちも助かりますから」

 いかにも机の上にある教材。勉強というより、特訓という感じ。

 中山チアキがむっとしている。

 基本的に元一組、四組の生徒が嫌いだった。

 「ごめん、中山さん、客室か、下で30分だけ休憩してて、もらえる」

 紫織は、コーヒーカップを渡す。

 「はぁ〜 分かった」

 中山チアキは、コーヒーカップを持って下に降りていく

 紫織は、リビングにあるソファに案内する。

 「娘を助けていただいて、ありがとうございました」

 佐藤の父親が頭を下げる

 そして、白い封筒を出す。

 紫織は、分厚そうな封筒に唖然とする。

 娘が強姦されそうだったところを助けられたのは嬉しいかもしれない。

 しかし、常識の範囲を超えた厚さ。

 『お金持ちだとは聞いたけど、ここまでとは・・・』

 「お礼ですので、お納めください」 佐藤の母親

 「で、でも。こんなに・・・・」

 真面目に働くのが馬鹿らしくなる厚さだ。

 「気持ちですから、受け取ってください。足りなければ・・・」

 「い、いえ、十分です。十分すぎるほどです。い、頂きます」

 ずしりと重い感触に呆然。

 「あのう・・・これを機会に、うちの娘、エミとも仲良くしていただけませんか」

 「はぁ〜」 頷く

 「娘も、あの寄せ書きに書いたことを、本当に反省しているんです」

 佐藤エミは、うつむいていた。

 「わたしらも、しばらく冷たくしていたんですが」

 「今度のような事があると、しっかりした友人がそばにいないと、いけないと、思いまして」

 佐藤エミは、綺麗で頭の良い女の子だった。

 本当なら正統派の女子生徒として、ケイコやチアキと覇を競うような子だ。

 「本当に角浦さんにも済まないと思っているんです」

 「北島に襲われそうになったのも、この子が虐めに加担していたためでもあるんですから・・・」

 「でも・・夏休みというのにエミが誰とも遊ぶ友達がいなくなって、かわいそうで」

 「わたしで、良ければ・・・でも、あまり遊ぶ時間って無いけど」

 「ええ、わかっています。その若さで働きながら中学校に行ってるんですから・・・」

 「普通に友達になっていただけるだけで助かります」

 「ほら、エミちゃんも、礼を言いなさい」

 「ありがとう。角浦さん・・・」

 「・・・紫織で良いよ」

 「ありがとう。紫織ちゃん」

 佐藤エミ。微笑む

 「あと・・今回の事件は、内密にお願いします」

 「警察と弁護士にも映像を送ってしまったから先生も知っているし」

 「もう、わたしの手を離れているの」

 「そちらの方は、わたしの方から頼みます。あまり公にしたくないので」

 「わたしは、公にするつもりは無いです。写真は、もう削除してますし・・・」

 「そうですか。ありがとうございます。じゃ これで失礼させていただきます」

 「あ、コーヒーを・・すみません、インスタントしかないですけど」

 「あ、頂きます」

 佐藤の父親はコーヒーを飲んだあと、佐藤家の三人が帰っていく。

 公にしないのは、良し悪しだ。

 あの五人組は三年生の進学組みだろうか、

 学校側の姿勢によっては、似たようなことをする人間は増える。

 白い封筒を開けて見ると札束がぎっしりと詰まっていた。

 紫織は、新札とそうでない札束、重さと目算で、だいたいの金額が分かる。

 新札で200万円ほどある。

 たぶん、口止めと友達になることも含んだ、お金だろう。

 佐藤家が何の仕事をしているのか分からなかったものの、

 なんとなく、金で、お友達になったような気がすると面白くない。

 かといって返すと角が立つどころか、下手をすると絶縁。

 佐藤家は、この当たりの名士で、

 母親は、月に一度は、何か古本を買いに来ていたお客さん。

 紫織は、札束の入った封筒を引き出しに入れて鍵をかける。

 コーヒーを片付けながら “学校で佐藤エミと仲良くするのは何かと問題になる” と考える。

 特に元、一組同士の白根ケイと佐藤エミの関係も気になる。

 どちらかの友人を無くす可能性もある。

 上手く行くだろうか。

 しばらくするとチアキが上がってくる。

 「なんなの? 佐藤は、何しに来たの?」

 「学校で転んで怪我したの。わたしと三森君が、たまたま、それを見つけて助けただけ」

 紫織が適当なウソをつく

 「大げさね。両親をつれて、お礼参り。でも自業自得よ。こっちは、迷惑しているんだから」

 「わたしのホームページでは、そういう書き方してないよ」

 「紫織ちゃんは反省しているからって許せるわけ。北島に襲われたのだって、あの連中のせいよ」

 「許せとも、書いてない」

 「“一組、四組にいたら大半の人間が寄せ書きに書いた” って」

 「・・・・」 頷く

 「仮定の話しか」

 「だって・・・同じ船に乗っているようなものでしょう」

 「それに反省しているのは事実だし」

 「もう誰も、虐められていないし。わたしも、虐められてない」

 「・・高校がどうなるか、大学がどうなるか不安なのよ。社会に受け入れられるのかも、不安」

 気丈なチアキが泣き言をいう姿は珍しい。

 「大丈夫よ。中山さんはステキだから、きっと上手くいくよ」

 「本当にそう思う?」

 「うん・・・だから、元一組と二組の生徒を追い詰めない方が良いよ」

 「考えとく」

 チアキは、不承不承に腕を組むと遊歩道を見詰める。

 何かで読んだことがある、

 腕を組んだ時は、保身が強くなっているか、認めたくない場合が多いらしい。

 「中山さん。三森君と上手く行ってる?」

 中山がさらに、むすっとする

 「・・・彼氏のお母さんより、料理が上手い女は得ね」

 紫織、にま〜

 「そんなこと言ったんだ。三森君・・・・ムフゥ♪」

 「食い物で男、釣るなんて、ずるい!」

 「中学生らしく正々堂々と顔と頭で勝負しなさいよ。卑怯者!」

 「料理は、嫁入り修業の一つだもの〜」

 「・・なにが嫁入りよ。なんで、そんなに料理が上手いわけ?」

 「だって、作るの好きだから。毎日、作っているし」

 「・・・今に見てなさい。昨日は、お母さんに代わって、料理作ったんだから」

 「へぇ〜 どうだったの?」

 「・・・・もう、二度と作るなって」

 「ぶっ!」

 「うるさい!」

 「わたしが男なら中山さんの方が良いのに」

 「お、女に言われたって嬉しくないわよ。塾止めて料理学校に行こうかしら」

 「行くの? 料理学校」

 「親が大学出てからって」

 「そうなんだ」

 「冗談じゃないわよ。その間、三森君をキープされてたまるか」

 「ダイエット代わりにわたしが作る」

 「あはは」

 「ったく。あんたのせいでハードルが高くなったんだからね」

 「料理なんて、美人に必要ないでしょう」

 「うん、ないない」

 「・・・なによ、体だけ目的みたいな相槌して」 撫すくれる。

 なぜか、恋敵の中山チアキと仲良くなっていた。

   

  

 学校

 あの五人の上級生は、夏休み中、謹慎処分。

 宿題のほかに日誌や宿題が追加され。

 さらに今度問題を起こせば退学間違い無しと警告されていた。

 基本的に5人とも不良というより、進学組みのストレスから起きた事件として片付けたられる。

 「ねえ、夏休みはどうするの?」 ミナ

 「わたしのところは、近場でグアム」

 白根ケイ、手を挙げる

 「え〜 家と同じ。いつ?」 ヨウコ

 「7日から13日まで」

 「家は、9日から15日。一緒に泳ぎに行けるわね」

 「うん、行こう行こう」

 「ミナは?」 紫織

 「どこも・・・・」 ミナ

 「え〜 家と同じ。いつ」

 「夏休み中。ずっと」

 「同じ〜 一緒に遊べるね」

 「空しい」 どんより

 「はぁ〜 勉強して遅れを取り戻すか」

 「三森君と一緒に海にでも行かないの?」

 「そして、寸胴を見せるの?」 自己嫌悪

 「確かに三森君、カッコいいから。水着だと化けようが無いし」

 「あ〜ん」 塞ぎこむ。

 「山に行けば」 ヨウコ

 「そうよ。やっぱり、夏は、山よ。夏は山!」

 「ねえ、紫織ちゃん。わたしがいない間、シンペイ君に虫が付かないか、見ててくれない」

 「お土産奮発するから」

 「見るだけならするけど、邪魔はしないよ」

 「そ、そこを何とか」 ヨウコが拝む

 「・・・無理よ。だって、どうして邪魔するの? って言われたらなんていうの?」

 「わたしが好きなら当然の権利だけど」

 「そうじゃなければ人の恋路を邪魔して馬に蹴られるだけじゃない」

 「・・・そ、そうよね・・・・はあ、じゃ 見るだけでも、お願い」

 「沢木さんは夏休み、どうするのか、知っているの?」

 「さあ・・・」

 「中山さんも、何かするだろうな “三人で海に行こうか” なんて言うのよ。ムカツク」

 「もろ比較させて自分の方に持っていくつもりね」

 「鎌ヨなら水着で沢木さんと対抗できるんじゃない」 白根ケイ

 「胸だけならね。でも、あの細身で、なんで、あの胸になるわけ。改造されているんじゃない」 ヨウコ

 「沢木さんも、中山さんも出来すぎよね」 白根ケイ

 「優うつな、夏休みになりそう」

 「わたしも。シンペイ君が心配」

 「紫織ちゃん。夏休み、どこか行かない?」 ミナ

 「そ、そうね・・・・・」

 仕事のある紫織、何も思いつかなかった。

  

 

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第14話  『しがらみ』

第15話  『・・・セーフ』

第16話  『不純でも友達?』

登場人物