月夜裏 野々香 小説の部屋

     

現代小説 『紫 織』

     

第25話 『トライアングル殺人パズル事件・・・解決?』

 

 翌日、休日。

 楠カエデは、この近辺の警察官の写真を持ってくる。

 仁科マイと鹿島ムツコがその写真集を見つめるが該当者がおらず。

 警察署に行くと、偽警官の捜査が始まる。

 紫織が作った料理がテーブルに並べられ、鹿島ムツコと夕食。

 「鹿島さん、写真の中に、いなかったの?」 紫織

 「暗かったからね。わたしもチラッとしか見ていなかったし」

 「でも、偽警官なんて。警備員とかじゃ」

 「疑ってんのか?」

 「2人が別々に警察官を見ているのに疑う分けないよ」

 「わたしにも警察に行って欲しいんだろう。だから一緒に写真集を見せた」

 「・・・・・・」

 「行ってもいいぜ。その代わり、もう、貸し借り無しだ」 

 紫織が頷く

 「鹿島さん。お姉さんは、大丈夫なの?」

 「痛いところ付きやがる・・・」

 「警察に疑われている。武蔵野コウゾウを殺したかもしれないってな」

 「本当に?」

 「そんなわけないだろう。いくら殺したいやつでも。お姉ちゃんが、そんなことするか」

 「五里ヘイハチという人と仲が良かったんだ」

 駅ビル再開発が原因の殺人事件なら、紫織は無関係ではない。

 「婚約していたんだ。それなのに武蔵野コウゾウにやられて。五里ヘイハチと分かれた」

 「そして、今度は殺人の疑いをかけられて・・・・」

 「あの変態おやじ、自殺するタイプじゃないもの・・・」

 「でも、警察が一番怪しんでいるのは、五里ヘイハチのはず・・・鹿島さんのお姉さんじゃないよ」

 「死んでなかったら。わたしが殺しているよ」

 「わたしも・・・」

 「目の前にお父さんとお母さんをひき殺した人間が出て来たら、殺してやりたいと思うけど・・・」

 「そういうの、迷わない?」

 「・・・あんなやつ、生きている価値ないよ。死んで良かったのさ」

 「客だったから、気が引けるけど、同感」

 「客か・・・随分、客が入っているね」

 「ほら、トライアングル殺人パズル事件」

 「類似する組織犯罪や殺人事件の推理小説にマークをつけて売っているから」

 「興味ある人が買っていくの。その手の新古本も入れているし」

 「へぇ〜 工夫しているんだね」

 「小技使うと意外に売れ行きが良くなるから」

 「儲かっているんだ」

 「うん。大型古本チェーン店が近くに出てこない限り、安泰かな」

 「角浦・・・」

 「なに?」

 「料理上手いね」

 「そう?」

 「お姉ちゃんが作ったのより美味いよ」

 「そうかな・・・ありがとう」

 一通り食事が終わると後片付けをする。

 「角浦・・・・将来に不安を感じることあるか?」

 「あるよ “本が売れなくなったらどうしょう” とか」

 「“小旅行本が売れなくなったらどうしよう” とか」

 「“大型古本チェーン店が来たらどうしよう” とか」

 「へぇ〜 もっと余裕があるかと思っていた」

 「みんな不安を抱えているよ」

 「ほら三人の婦警さんたちも “このまま婦警をやってて良いのかな〜” とか」

 「こもれびの組合でも “駅ビルとか せせらぎ商店街に客を取られるんじゃないか” とか」

 「へぇ〜」

 「エミちゃんも小旅行プログラムのアイデアで不安しょう」

 「ミナちゃんも詩が作れなくなったらって不安だし」

 「外から見ると華やかに見えるんだけどね」

 「かなり、もがいているよ」

 「第7号の出来が良すぎて、第8号なんて、なかなか、まとまらないもの」

 「2人とも、才能があると思ったけど」

 「2人とも、才能をすり減らして息切れしているから」

 「いろんな文献を読んだり、ほかの旅行代理店のプログラムを調べたり」

 「期末試験は、最悪かもしれないって、ぼやいていたけど・・・」

 そこに安井ナナミ、沢渡ミナ、佐藤エミ、白根ケイ、足立クミコ、国谷ヒロコの6人が戻ってくる。

 「・・・インパクトゼロね」 白根ケイ

 「第7号と比べられたら、インパクトは低いでしょうよ」 沢渡ミナ

 「要は、休日を潰すだけの価値が、この小旅行プログラムにあるかどうか」 佐藤エミ

 「でも・・・それって、相対的に何かと、比べてよね」

 「遊園地や動物園、ショッピングと、比べてとか」 足立クミコ

 「そうよ」 佐藤エミ

 「でも、第7号と比較するのは、人情じゃない」

 「比較しないで、なんて、強制できないし」 安井ナナミ

 「当然。期待して買うから比較するよ」 国谷ヒロコ

 「才能の限界ね」 佐藤エミ

 「奈河市の限界じゃ・・・」 足立クミコ

 「自然巡り。遺跡巡り。奈河川巡り。文化巡り。行楽巡り。特産巡り。歴史巡り。一通りやったから」

 「後は、もう一歩掘り下げるとか。いっそ、2000円コースに・・・」 安井ナナミ

 「自転車で移動というのは?」 国谷ヒロコ

 「公共交通機関を使わないと客層が変わるけど・・・・」 足立クミコ

 戻ってきたメンバーが鹿島に気付くと鹿島の居心地悪そうになる。

 「角浦・・・じゃあな・・・メールするよ」

 「あっ じゃ・・・」

 「ああ」

 鹿島ムツコが出て行く

  

  

 紫織と鹿島ムツコの間で数回にわたってメール交換が行われ。

 鹿島ムツコが楠カエデと合流。

 二人が証言したことで事件当夜、警察官の存在は、ほぼ確実になった。

 捜査は新たな段階になり。

 マスメディアの多くがトライアングル殺人パズル事件の推理を予測した。

 警察内部が調べられ、

 さらに警察の制服持っている該当者が調べられていく。

  

  

 紫織は、古本屋やこもれび小旅行本の売り上げでシビアな現実に生きていた。

 トライアングル殺人パズル事件が気になっていても生活費と関係ない。

 しかし、増刷本は、徐々に減少。

 印刷機械や製本機械の購入代金分を取り戻そうと、

 同人誌の受注をホームページに掲載する。

 そして、有名な “こもれび”古本出版で行こうと、いくつかの受注を受けていた。

 当然、こもれびの名前で出版するとなれば、質の高さも要求されるようになる。

 多くの場合、メールのやり取りで編集が進み。

 発注側が試作代金を支払い、試作本を確認して、

 代金と交換に印刷製本販売発送を手がける。

 紫織は、新事業で頭を抱えていた。

 古本屋業だけでなく、編集印刷製本販売・ネット販売まで手がけていく。

 いっそ株式会社にしようかと法定代理人と交渉を始めた。

 この世の法律は、未成年者に冷たいとか思いながらも役所や銀行を行き来する。

 さらにわけの分からない本を読まなければならず。

 学校の授業は麻痺状態。

 三田先生の家庭訪問も、法定代理人を交えての話し合いになる。

 三田先生も、ほかの生徒と次元の違う角浦紫織の状況に頷くしかない。

 この頃、こもれび古本店の意匠・商標とし、

 公園で取った木漏れ日の写真を具現化させ。

 さらに抽象化して、木と葉と花と影を組み合わせて作ったものを特許庁に登録する。

 自分の能力より、高いハードルを越えようとしているのか、

 わけの分からない船に乗っている感覚で、紫織は暗い。

 佐藤エミが暗くても陰があって魅力的なる、

 しかし、紫織の場合は、根暗になったと心配されるタイプ。

 もっとも、事情を聞いたクラスメートも、お手上げらしく、引き下がるしかない。

 株式化、事業税の計算、小旅行本の売り上げ、

 同人誌の印刷製本販売の心配をしているといわれても。何も出来ない。

 結局、角浦紫織が儲けているのは、そういった、わけの分からない心配事と比例してだった。

 そして、遠足、体育会や文化祭の学校行事が行われる。

 紫織は、教室内で最大派閥でありながら脇役ばかり、

 辛うじて地域学習で主役を演じた程度。

 多くの生徒が将来に対し、漠然とした不安を持っている中で、

 実社会で、生計を立てている紫織は、特別な存在といえる。

 さらにヤクザの娘である安井ナナミと奈河市である種の権威を持つ佐藤家との関係から、

 不良連中もまったく手が出せず。

 その影響力は、担任の三田先生より大きい。

 そして、紫織と組んで収入のある沢渡ミナも特別な位置と言える。

 「紫織ちゃん。少しは、勉強しないと」

 三田先生が面談で呟く。

 「分かっているんだけど、いまは、集中して軌道に乗せないと」

 「それは、いまじゃないと駄目なの?」

 「二年になって、やった方が良いのかな?」

 「それとも三年になってやった方が良いの?」

 三田先生の表情が変わる。やるなら早い方が良かった。

 「どのくらいで、軌道に乗るの?」

 「さぁ〜 最低でも、手続きが終わるまでにかな」

 「大変ね〜」

 「親がいたら、親がやっていたことかもしれないけど」

 「そうね。自立している人間に、あれこれ言っても仕方がないけど」

 「迷惑かけている?」

 「いいえ。紫織ちゃんのお陰で淀中学とD組の株も上がっているから」

 「ただ・・・・点数が低すぎて・・・」

 「まだ一年だから、どうにでもなるんだけどね・・・」

 「紫織ちゃん自身の問題になるから」

 「二年になったら株式化で、事業も軌道に乗ると思うから勉強する時間も、あると思うよ」

 「がんばってね」

 「うん」

  

  

 古本屋の二階

 紫織と安井ナナミ

 「紫織ちゃん。お父さんからの伝言があるんだけど」

 「なに?」

 「ほら、例のトライアングル殺人パズルに関わるなって」

 「へぇ〜」

 「かなり大きな、組織犯罪らしいの」

 「組が本気になって調べ始めたら」

 「口座にお金が振り込まれて差出人不明で、詫び状が届いたの」

 「金額も大きいから、これ以上手を出すと命の保証はないだろうって」

 「へぇ〜 ヤクザを脅すなんて、すごいわね」

 「洒落にならないから、これで終わりよ」

 「たぶん、政官財と広域暴力団も組んでいるかも知れないって、かなり大きな組織みたい」

 「うちみたいな中小ヤクザじゃ太刀打ちできないって」

 「じゃ このまま、うやむやの迷宮入り?」

 「そういうことね」

 「怖いわね・・・じゃ 当然、警察も圧力がかかっていると言うことね」

 「たぶんね」

 「でも、差出人不明と言うことは、意外と小さい組織の可能性もあるんじゃないの?」

 「億単位のお金を振り込んできたのよ」

 「動かせる金額は、その100倍はあると思って良いよ」

 「ひぇ〜」 紫織、お手上げ

 「正義は、通用しないよ」

 「こ、降参で〜す」

 「でも・・・痛み分けよ」

 「・・・どうして?」

 「お父さんが言ってた。誰にも分からずに迷宮入りにしようとした事件だったって」

 「それが予想外に証拠が挙げられて、組織犯罪で食い込まれたから脅してきたの」

 「たぶん、新規の犯罪組織がデモンストレーションのために起こした事件だったの」

 「それが思ったより上手くいかなかった」

 「だから、お金を振り込んで、脅してきたの」

 「だから新規の犯罪組織は、面目を失いクライアントの不評を買った」

 「だから、痛み分け」

 「へぇ?」

 「だから、紫織ちゃん。今回、あなたのやったこと」

 「その犯罪組織の邪魔をしたから気をつけろって」

 「・・う・そ。殺されるの?」

 「それはないと思う。紫織ちゃんの場合。有名人だからよほど評判を落とさないと手を出さないから」

 「まず、評判を落とすような詐欺紛いのことが起きるからって」

 「さ、さすがヤクザね。犯罪組織の手の内が読めるなんて・・・どうしたら良いの?」

 「計画性のない不慮の事件に誘導されないとしたら詐欺でしょう」

 「甘い計画に乗せられないことね」

 「計画性のない不慮の事故って・・・げっ! 強姦されちゃうの、わたし?」

 「それは・・・んん・・・それが選ばれるかどうか・・・無理があるけど・・・・」

 「なんだと〜」

 「あぁ・・・いや・・やっぱり、評判を落とすのは、詐欺よ・・・あはは」

 「んん・・・詐欺か・・・」

 「それも評判を落とすような・・・つまり、わたしが詐欺紛いや泥棒じみた事をするわけ」

 「気をつけてね」

 「わかった。金は、もらわない方が良いわね。しばらくは、真っ当に生きるか」

  

  

 こもれび古本店の売り上げは急上昇していく。

 オタク系の同人誌は売れ行き上々。

 発注があったときに印刷製本発送するだけでよかった。

 さらに、H系の印刷物の注文もある。

 相場をはるかに越える高額にもかかわらず、すべて断る。

 H本に手を出せば、堅気の仕事が引いていくのは分かっていた。

 そして、こもれび古本出版でH本が大量にネット市場で流れ始めたのはこのころ。

 当然、身に覚えのない本で、あずかり知らぬ露骨なH本だった。

 郵便で送られてくる封筒に入った札束。

 そして、H本の代金として振り込まれてくるお金にストップをかける。

 紫織は、直ちに法定代理人を通じて販売元を訴えたがダミー会社で捕まらない。

 そして税務署が来る。

  

  

 二日後

 こもれび古本店 二階

 ムッとしながら、写真集を覗き込む、紫織と、安井ナナミ

 「・・・・むかつく」

 「見て〜 すごい、これ、露骨過ぎる」

 安井ナナミが、どこからか手に入れたのか、赤い顔をし、その写真集を見ている。

 「どこで、印刷しているのかしら」

 「住所は、ここになっているよ」

 「勝手に人の店の名前で印刷しやがって、税務署が来るし」

 「確かに儲かっているものね。でも不正が、なくて良かったじゃない」

 「税金は、かなり取られそうね。洗いざらい調べられたし」

 「あの婦警さんは、何か言ってた?」

 「他県で印刷して配送しているみたいね」

 「税務署の面子が潰れて、公安が調査をかけるとか言ってたけど」

 「でも評判を落とすのは成功したはずよ。あと、一つか二つ、叩いてからね」

 「むかつく〜・・・ちょっと見せてよ」

 赤い顔した二人がH本を見つめる。

  

 

 翌日

 古本屋の二階、紫織、佐藤エミ

 「紫織ちゃん。間一髪だったね。税務署に入られる前に渡されたから良いけど」

 「まったく。何よ、あのお金。信じられない」

 「必要なときには、言ってね」

 「反撃に使いたいんだけど」

 「敵のお金で反撃?」

 「悪くないけど。凝っているわね。差出人も、あて先も自分なんだから」

 「届いてすぐに税務署が入ってくると言うことは、税務署も誘導していると言うことね」

 「この年で、脱税なんてしたくないわよ。ったく。それも、エロ本の販売なんて」

 「でも・・・すぐにお金って分かったわね」

 「そりゃあ。いつも扱っているもの、もった瞬間に分かったわよ」

 「すぐにエミちゃんに預かってもらったから良いけど危なかった」

 「今度は、ダンボールで送ってくるかも」

 「税務署に一度、完全に調べられているから。同じ手は使わないと思うよ」

 「たぶん。こもれび古本がH本の販売をやって、得たお金という証拠品で送ってきたお札なんだから」

 「今度は、お金を使わないと思う」

 「ホームページじゃ わたしは、売春宿や遊郭の元締めみたいに言われているんだからね」

 「でも預かったお金は、使い応えあるお金ね」

 「評判を落とすためだけにH本を販売して、その利益を送ってくるなんて。ありがたいじゃない」

 「働かなくてもお金が入ってくるなんて・・・」

 「世の中なにをやっても上手く行かなくて、自殺している人間だって多いのに」

 「冗談じゃないわよ。評判を落とされて、いやな思いしているんだからね」

 「町を歩いているだけで白い眼で見られるんだから」

 「でも、新聞沙汰になったんでしょう。お金が見つからなくて、身の潔白を果たせたし」

 「エミちゃんのお陰で助かったよ」

 「カバン一杯に詰まった札束を持ち歩いたのは怖かったけどね」

 「何とか、反撃策はないの?」

 「このまま、評判を落とされたままじゃ いやだもの」

 「ねえ。紫織ちゃん。三千数百万のお金が消えたのよ」

 「十分に人が死ぬ金額だと思わない?」

 「つまり何もしなくても、死亡事故から背後を調べることが出来るの。それとも行方不明者」

 「じゃ・・・」

 紫織は、携帯で婦警と連絡を取ろうとした。

 「・・・携帯は駄目よ。盗聴されているかもしれないから」 佐藤エミ

 「・・・・・・・」 紫織

 「この家も一度、盗聴器があるかどうか、調べた方が良いわね」

 「・・・そうね」

 「家にあるから、今度もって来るね。電波探知機」

 「・・・そんなもの持ってるの?」

 「ええ、うちもお金持ちだから、色いろと狙われやすいの」

 「だから、秋葉原で買ってきたみたい」

 「・・・・」 紫織

   

 翌日

 楠カエデ、萩スミレと佐藤エミとそれらしい専門家が電波探知機で調べた、

 盗聴器は発見されない。

 古本屋に税務署が入った後。

 半径五km以内で最近入所して死亡した人間か、行方不明になった人間が調べられる。

 「なるほどね。新規の犯罪組織のデモンストレーションで同時多発殺人事件か」

 「それで安井組が脅しをかけられて」

 「紫織ちゃんは、その組織から嫌がらせを受けた」 楠カエデ

 「確かに、それらしい。自殺があるわね」

 「他にそっち系で、大きなお金を動かせそうな人間が一人か、二人」

 「行方不明者の方は、まだ分からないけどね」 榊カスミ

 「デモンストレーションとか、見せしめ、じゃないのだから」

 「こういう場合、行方不明者が怪しいと思う」

 「闇から闇に葬られ、死体を残すなんてバカね。一応、調べてみるけど」 楠カエデ

 「だれ?」

 「守秘義務があるからいえないけど」

 「自殺の方は、知り合いに頼んで疑惑があるとホームページで流してみる」

 「その手のことが得意らしいから」 楠カエデ

 「へぇ〜 そういう知り合いがいるんだ」

 「楠先輩が、バカなストーカーを知っているだけよ」 榊カスミがニヤリと笑う。

 「笑うな!」 楠カエデ

 「先輩の電車マンよ」 榊カスミ

 「あんなバカ。どうなったって良いわ」 楠カエデ

 「良い人だと思うけど」 榊カスミ

 「良い人〜 あんたにあげるわ」 楠カエデ

 「いらない。英語教師の武藤さんがいるから」 榊カスミ

 「まだキチンと付き合っていないくせに」 楠カエデ

 「電車マンよりは進展しているもん」 榊カスミ

  

 自殺者と事故死があったが婦警の話しだと真正で背後がないと言われ。

 行方不明者で、それらしい背後関係が調べられた。

  

 ニュース報道で、ぶりっ子している紫織が映っていた。

 わけの分からないお金が振り込まれ、

 すぐに振込みを停止させたこと。

 そして、自分の店の名を騙って売られるH本。

 突然、税務署に調べられたこと。

 それらしいお金はなかったことが報道されていた。

 「そんなお金、知りません! 酷すぎます」

 紫織、涙ぐむ。大嘘。

 ウン千万円の大金を税務署が入る直前に、紙一重で佐藤エミが持ち去っていた。

 紫織は、トライアングル殺人パズル事件の印刷をしたため。

 正体不明の犯罪組織に嫌がらせを受けたのだと泣いた。

 それが警察に対する批判に繋がったため、捜査本部で人事が行われ。

 さらに警察官が投入されて大規模な捜査が行われる。

 「もう、紫織ちゃん。役者ね」 佐藤エミ

 「えへっ♪」

 「でも・・・これからどうなるのかな」

 「榊お姉ちゃんお話だと。弱みを握られていた警察上層部が飛ばされたって」

 「へぇ〜 じゃ 例の犯罪組織は、致命的な状況に陥るのかな」

 「さあ〜」

 「警察を本気に怒らせたら。どんな組織でも身動きが取れなくなると思うよ」

 「尻尾を切って解体するんじゃない。紫織ちゃんのせいで」

 「どんな犯罪組織だったんだろう」

 「お父さんお話しだと」

 「たぶん。ITとか新規の財閥系が政官を巻き込んで汚いことが出来る犯罪組織を作ったか」

 「やられたのが日本の右翼系だから」

 「中国系の犯罪組織が一石二鳥で売り込みをかけたんじゃないかって」

 「こわ〜」

 「でも、その汚い仕事を引き受ける犯罪組織が致命的な失敗」

 「そして、失敗を収拾しようとした」

 「ついでに失敗の原因を作った紫織ちゃんに復讐しようとして、失敗したというところね」

 「何で、わたしなわけ。むかつく〜」

 「お金を受け取らなかったから・・・・」

 「受け取って、自分の引き出しに入れていたら」

 「角浦紫織は、H本の売買で利益を上げた醜悪少女として報道されたの」

 「その後は、友達を失って営業不良で採算が取れなくなって養護院行きよ」

 「あとは、適当な時期に始末すれば誰も気にしない」

 「エミちゃんに預けて、正解だったわけね」

 「少しは恩返しが出来たかな?」

 「十分よ。ありがとう。エミちゃん」

 「そう、良かった」

 「わたし・・・まだ、狙われるのかな?」

 「どうかな。でも不当な金を受け取らない方が良いと思うよ」

 「ナナミちゃんの忠告を受けていたの」

 「悪党は、欲で釣って破滅させるのが常道だって」

  

  

 夜中

 突然の人気に目を覚ました。

 背中に何か当たっている気がする。

 ガタゴトと物音がする。

 背中に何か当たる。

 紫織は、すぐに起きて、携帯を取ると警察に電話をかける。

 身の危険を感じ、一人のときは三階の倉庫に寝ている。

 寝る前に引き降ろし階段の上に簡易ベットを移動させていた。

 自分が起きてベットを動かさない限り。

 誰も三階の倉庫部屋に入ることは出来ない。

   

 紫織の通報を受けた警察官2人が “こもれび” 古本店に入ると銃撃戦。

 そして、2人の強盗が捕らえられる。

 犯人が捕らえられ。2人の男から犯罪組織と、そのバックが明るみになる。

 紫織の古本屋は、高度な防犯装置が付いていた。

 それを解除するには大元のメーカーの情報を握ることが出来る人間であり。

 芋づる式に逮捕が続いた。

 紫織は、誘拐され、

 そのまま、行方不明になるところだった。

 その後、左翼系議員と官僚の逮捕劇が連日続いく。

 そして、トライアングル殺人パズル事件の関連で、

 日本に形成されつつあった新興財界と中国系マフィアが次々に検挙される。

   

  

 JANテレビ局

 水島アヤノのレポートを受ける紫織。

 三度目ともなると、なんとなく、仲良くなってしまう。

  

  

 冬が過ぎて年が明けて、

 四月、紫織は、二年生になった。

 二年B組

 角浦紫織、佐藤エミ、沢渡ミナ、鹿島ムツコ、古賀シンペイ、

 三森ハルキ、石井ショウヘイ、田城タクヤ、小山ケンジがいた。

 それ以外は、バラバラにされていた。

 紫織の天敵科目を担当する武藤タケオ先生 27歳。英語教師が、担任。

 奈河小学校の虐め事件は、風化しつつあった。

 なんでも同好会は消滅し、十分に役割を果たしたといえた。

 二年になって、紫織は、勉学努力の要を認むで、

 新しい友達も出来そうだった。

  

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第24話  『勉強しなきゃ』

第25話  『トライアングル殺人パズル事件・・・解決?』

第26話  『副業は・・・・探偵』

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