月夜裏 野々香 小説の部屋

     

現代小説 『紫 織』

     

第26話 『副業は・・・・探偵』

 こもれび古本店二階

 紫織は、目の前にいる30代の女性の話しを録音。

 マニュアルに沿った質問をする。

 30代の主婦が訴える。

 自画自賛、自分は善良な被害者で一分の悪はなく。

 配偶者の不実を一方的に避難する。

 生々しい痴話げんかの内容と浮気調査依頼。

 声だけで判断し、客観的になると、かなり醜い。

 そう、探偵は正義の味方ではない。

 むしろ、金の味方、クライアントの手先だった。

 もう一つ、紫織は、断じていうと、探偵ではない。

 ここは、探偵事務所でも興信所でもない。

 絶対に違うと断言できる。

 しかし、あの雑木林トリオ婦警。楠カエデ、榊カスミ、萩スミレのアルバイトを手伝っていた。

 そして、成功報酬の一部が紫織のポケットに入ってくる。

 紫織は、トライアングル殺人パズルのトリックを破ったわけでもなかった。

 警察や探偵たちのように捜査を行ったわけでもなかった。

 ただ、用心深かっただけ。

 結果的に紫織が原因でトライアングル殺人パズル事件の真相が判明してしまう。

 犯罪組織は、トライアングル殺人パズルのトリックも知っていた。

 しかし、足が付くことを恐れるあまり、

 自らトリックを警察とマスメディアに教えることが出来ない。

 それは、テレビの推理番組のアリバイトリックであり。

 まじめに推理ドラマを見ていれば、解けるトリックだった。

 業を煮やした新興財閥は、スポンサーになって、その推理ドラマをリメイク放送する。

 にもかかわらず警察は気がつかない。

 警察は、犯罪組織が準備したミスリードトリックにも気付かないほどボンクラだったのか。

 同時多発事件で個々に捜査、情報を専有するあまり、

 組織が受け身で硬直化していたことが判明する。

 後に犯罪組織から教えられたトリックを検証し、

 殺人が可能であることを証明してしまう。

 警察が間抜けで、無実の人間が裁かれなかったという話し。

 角浦紫織は、政局すら左右する政界財を巻き込んだ大規模犯罪組織を摘発し、

 最大の功労者になってしまう。

 そして、口コミで “こもれび” 古本店の二階に名探偵がいると言う話しが定着してしまう。

  

  

 誰が流したか明白だったものの、

 お陰さまで聞きたくもない浮気調査の依頼話しを聞いている。

 これらの調査の実行は、雑木林トリオが行っていた。

 なので、紫織は、飾り、受付嬢。

 紫織は、ボンヤリと考える。

 浮気調査、素行調査が九割を占めるはずだった。

 しかし、雑木林トリオの思惑を外れ、

 迷宮入りしそうな犯罪調査依頼も少なくない。

 これらの犯罪を推理でなく、地道な調査と実利的な圧力と暴力で解決する、

 これは、国家権力を背景にした不良婦警だけでなく。

 佐藤家と安井組の正邪両輪が動いたからといえる。

 評判が評判を呼び、こもれび古本店の二階に名探偵がいる噂が定着。

 そう。紫織は、名探偵であると言えるような事は何もしていない。

 推理力もない。

 とはいえ、いまさら、否定する気力もなく。

 楠カエデ原案、佐藤エミと安井ナナミが改良したマニュアルに従って質問する。

 そして、依頼人が引き上げると、

 ドアが開いて、佐藤エミと安井ナナミが入ってくる

 「・・・今度は、大丈夫かな?」 紫織

 「大丈夫よ。ただの浮気調査だし」

 「わたしたちが手を出す必要もない見たいね」 佐藤エミ

 「前回は、厳しかったわね。雑木林の手に負えそうになかったもの」 安井ナナミ

 「よく失踪事件を解決できたわね。四国にいたのに」

 「蛇の道は蛇よ」 安井ナナミ

 「ったくぅ 何が “浮気調査か、素行調査ばかりだから、ちょろいもんよ” ウソばっかり」

 「手間かけさせて」

 「でも浮気調査なんて、聞いてて気持ち良いものじゃないものね」 佐藤エミ

 監視カメラで隣の部屋から見ていた。

 「本当。ヤダヤダ、ああ、なりたくないよ」 紫織

 「紫織ちゃんは、大丈夫よ。料理が上手だし。掃除も、洗濯も、きちんとできるし」 安井ナナミ

 「結論。結局、男が労働者、女が家政婦か」

 「どっちかが、それから逃れようとすると破滅する」 佐藤エミ

 「はたで聞いていると、家族の終わりが見えてくるから怖いよね」

 「既得権に固執したり、自分を王様か、女王様か何かと勘違いすると駄目ね」 安井ナナミ

 「でも、結構、儲かるわねのね。探偵業も」 佐藤エミ

 「税務署が来なければ良いけど」

 「大丈夫よ。税理士の専門家をつけたでしょう」

 「いざというときは、わたしが・・・・」 佐藤エミ

 「でもさ。探偵って、推理じゃないのね」 紫織

 「金と気合と根気よ」 佐藤エミ

 「警察が足りないのは、それね。民営化したら良いのに」 安井ナナミ

 「まさか」 紫織

 「えらそうに言っても、抑止力も、予防力も、低いんだから」 安井ナナミ

 「雑木林は、もう少しね。そういうの足りないから。わたしたちが補ってあげているんでしょう」

 「嫁入り前の腰掛アルバイトじゃ 浮気調査か素行調査が関の山よ」 佐藤エミ

  

  

 数日後

 駅ビルの再開発が進み。

 周辺に大型マンションが建設され、上級層の人口が増加するはず。

 彼らが年間で使う、お金は大きく。

 商店街の見通しは悪くない。

 そして、大型古本チェーン店が出店して来るという噂もない。

 

 遊歩道のサクラ並木が見える。

 満開になれば、こもれび商店街に客足が集まってくるだろう。

 長椅子の準備が進められている。

 商店街の遊歩道全体が喫茶店のようになって、売り上げが上がるはず。

 萩スミレが来て、調査報告書を置いて行く

 「浮気してたんだ」

 報告書を読んで紫織が呟く

 「これで、山田さんも離婚が有利になるわね」

 「はぁ〜」

 夢も、希望も、なくなる話しだ。

 「こういう簡単なのが多いと良いんだけどね」 萩スミレ

 「そうよ」

 せめて受付嬢に徹したい。

 「でも、思っていたより、犯罪調査が多いから、ごめんね」 萩スミレ

 「良いよ」 紫織。諦めた。

 「分かる人しか来ないから。ここって」

 「宣伝してないからね」

 「でも、どうやっているの?」

 「紫織ちゃんが解決しているのがあるけど・・・それも、犯罪調査の方」

 「・・・そっちが得意なお友達に頼んだの」

 「やっぱり! あの豪族娘と極道娘でしょう」

 お互いに適当な距離を保っている。

 分け前さえ公平なら問題は生じない。

 紫織は、探偵業を営む気になれなかったものの、

 出来ませんでしたとはいえない性格で、佐藤エミ、安井ナナミに依頼した結果。

 犯罪調査でも解決率九割を超え、

 探偵家業の水準で言うと常軌を逸した数字だろうか。

 警察が公益のため薄く広く。

 探偵が個人のため金の続く限り深く狭くという分業だろうか。

 「・・そうよ・・・」

 「やっぱり、先輩の言う通りか」

 「経済的な圧力をかけられる人間と、脅迫染みた圧力をかけられる人間がいると違うわね」

 紫織は、ため息をつく。

 それでも、警察権力を持った人間が “こもれび” 商店街をうろつく事で万引きが著しく減少。

 危ない連中が遠のき、受けられる利益は大きい。

 「トライアングル殺人パズル事件解決の原因が、わたしになっているからでしょう」

 「だって、実質、身の危険を冒して事件を解決したんだもの、当然の報酬よ」

 婦警常駐の治安予防利益が大きく。

 古本屋の二階で行われている看板のない商売と、

 不良婦警3人組のアルバイトは、商店街組合全体で隠匿される。

 人間、利益になると分かると、口を噤んでポケットにしまうものだ。

 「危険な報酬よ」

 「大丈夫よ。アルバイトは、バレない様にしているからね」

 “警察官のアルバイトは、違法だろう” という正論は、この際、どうでも良かったのか。

 警察権力と、豪族と、暴力団の癒着が、こもれび商店街の古本店の二階で成立していた。

 そして、こもれび商店街も隠匿に協力している。

 「この手の職業は、中学二年生の女の子には、向かないと思うな」

 「ハードボイルドな男がやるべきよ。それか、推理オタクのガキ」

 「受付だけやっていれば良いわよ」

 「十分にうまくやっているから。あとは任せて、犯罪物も。そのうち出来るようになるからね」

 「危ないよ。萩お姉ちゃん」

 「大丈夫よ。一人で動くわけじゃないし」

 「それに、こもれび古本店の二階に死神がいるって恐れられているから」

 「死神って、わたし!」

 「だって、紫織ちゃんに手を出すと犯罪組織が破壊されるって、その筋じゃ評判よ」

 「それって、欺瞞広告じゃ〜」

 「事実よ。事実より強い広告って無いし。ほら、弟子入りしたいって、人も来ているでしょう」

 「断っているよ」

 「だよね。裏家業だし」

 「税務署が怖いけどね」

 「そんなにお金が入っているの?」

 「だって、洒落にならないよ」

 「古本も、こもれび小旅行本も売れているし、同人誌も入っているし」

 「その上、裏家業の手付金でしょう」

 「ねぇ 安井組がネクタイして警備家業をはじめたの、紫織ちゃんが原因なの?」

 「違うと思うよ。父親が娘のナナミちゃんに絶縁宣告されたのが原因だと思うけど」

 「上位組織とぶつかっているみたいだけど、大丈夫なの?」

 「佐藤家と手を結び始めたらしいの」

 「警察の方からも上位組織に圧力をかけてもらえると良いんだけどな」

 「げっ! 癒着の片棒を担げってわけ、冗談! 大阪じゃないんだから」

 「弱きを挫いて強きを助けるのが大阪。強きを挫いて弱きを助けるのが奈河市で良いじゃない」

 「奪うか貰うかの違いじゃないの、それって」

 「警察より頼りになるって、いう話しもあるけどね」

 「それを言われると辛いけど。ヤクザは、ヤクザよ」

 「交通課で出来ること言えば、せいぜい、罰金取立てで個人攻撃するくらいかな」

 「それでも良いわよ。聞いた話しだと、佐藤家がパトカーを寄付するんでしょう」

 「まあ、何を含んでいるか、微妙に分かるけどね・・・」

 その夜、古賀家で夕食を食べた後。

 紫織は、シンペイに髪を切ってもらう。段々、上手くなってきていた。

 たぶん、ただで髪を切って、もらう代わりにタダ読みになっていくのだろう。

 「シンペイちゃん。合気道大会が近いんじゃない」

 「うん」

 「勝てそうなの?」

 「たぶんね」

 「いたっ!」

 「あっ ごめん」

 櫛が髪を引っ掛けた。

 「もう・・・シンペイちゃん。見た目より強いから、みんな油断して負けるのね。きっと」

 「もう、有名だから。油断なんて、しないと思うけど」

 「今度は、鎌ヨもでるんだ」

 「うん」

 「でも、シンペイちゃん。何でそんなに強いの?」

 「見えるから・・・かな」

 「・・・見える?・・・何が?」

 「オーラ」

 「・・・見えるの?・・・オーラが?・・・あの・・光みたいなやつ」

 「うん」

 「・・・いつから?」

 「むかしから」

 「・・・そうなんだ」

 「うん」

 「じゃ・・・カメハメ波も」

 「うん。威力は小さいけど、出せるよ。他の人には、見えないんだ」

 「は、はは・・・そうなんだ」

 「オーラの色合いで、相手が、なんとなく分かるし」

 「それは、強いわ・・・・ねぇ〜 わたしが、なに考えているか・・・分かる」

 「紫織ちゃんは、紫色。珍しいから分からない」

 「でも・・三森といるときはピンク色になるね。でも、考えていることは分からないよ」

 「へぇ〜 そうなんだぁ・・・三森君は?」

 「最近は、二人ともピンクが薄いよ」

 「げっ!」

 なんとなく分かっていた。

 「三森君は、好きな人とか、いるのかな?」

 「どうかな。ピンク色になるのは、紫織ちゃんといるときだけだけど」

  にま〜

 「そうなんだぁ〜」

  

 角浦紫織が古賀シンペイと組んだのは、その後からだった。

 そして、噂だった“こもれび”古本店の二階にいる名探偵が伝説になった瞬間でもある。

 もちろん古賀シンペイは、人の心が分かるのではなく、

 相手のオーラが分かるだけ。

 紫織とシンペイは、弁護士に遺産相続の現場に呼ばれる。

 あるとされていた。1600万円相当の壷が、いつの間にか消えている。

 相続人は、長男、長女、次男の三人。

 いつものようにネットオークションや闇市場に流れる壷を追跡し、売り払った人物を特定。

 証拠を突きつけ、売却代金を三等分させれば良かったが外に流れた様子はなかった。

 こういう場合、推理力が必要で、それまで迷宮入りしていた分野だった。

 しかし、今回は、違った。

 角浦紫織探偵は、助手という形で古賀シンペイを連れていた。

 紫織とシンペイは、こそこそと話す、

 『どう思う。シンペイちゃん』

 『・・・たぶん。長男が持っているよ』

 『ふ〜ん。問題は、そこに至るまでの論理的な証拠と物証が必要ね』

 『犯人は、どうでも良い。壷はどこ?』

 『さぁ〜』

 『考えなさいよ・・・成功報酬は、20分の1なんだから』

 『・・・・80万円?』

 『そうよ』

 『そんな、お金の稼ぎ方あり?・・・長男の家を調べるとか』

 『たぶん、この屋敷のどこかだと思う』

 『自分の家に持って行って、そこで見つかれば大変なことになる』

 『でもこの屋敷なら。長男が相続するから』

 『そのうち、見つかったことにすれば良いでしょう・・・いつでも売れるし』

 『なるほど』

 「あ、あのう・・・壷がなくなったときの状況なんですが」 弁護士

 「あっ 犯人は分かっているので・・・・壷が見つければ良いんですよね」

 相続人たちは仰天する

 「あ、あのう・・・誰が犯人なんですか?」 長男

 「犯人を言い当てても、物の隠し場所が分かりませんから」

 「逆に壷さえ見つかれば、犯人は捜す必要は無いんじゃありませんか?」

 「泥棒じゃないんですか?」 次男

 「・・・・・・」 紫織が微笑む

 相続人は、互いに相手を見つめて頷く。

 「ええ、壷が見つかるのであれば、それで成功報酬は払います」

 弁護士が代弁する。

  

 大きな屋敷だった。

 「そうだ。長男のモトヤスさん。この屋敷を案内していただけませんか?」

 「え・・・えぇ〜」

 紫織とシンペイは、長男に連れられ屋敷の中を歩き回る。

 『わ、分かりそう?』

 『・・・なんとなく。変化している』

 『よーし』

 「シンペイちゃん・・・屋根裏とか怪しくない?」

 紫織が適当なことを言って反応を見る。

 シンペイは、チラリと長男を見る

 「・・・違うっぽい」

 「じゃ 庭かな?」

 「・・・違うっぽい」

 「じゃ 屋敷?」

 「・・そんな気がする」

 シンペイが頷く

 「なるほど〜」 紫織、ニヤリ

 その後、屋敷内を重点的に歩き回って、

 とある部屋の畳を剥ぎ、

 板張りを剥がして、スコップで、穴を掘って、壷を掘り出した。

 紫織とシンペイは、成功報酬と経費を貰うと、

 婦警と佐藤エミ、安井ナナミに連絡し、終わったことを知らせる。

 「シンペイちゃん。儲かったわね」

 札束をもって神妙なシンペイ。

 「うん・・・このお金は、自分のものにして良いの?」

 「良いよ。経費を除いた分の成功報酬なんだから」

 「床屋より儲かるよ」

 「上手く行けばね」

 「こういうのばかりじゃないし。探偵業だけでやっていけるかというと無理だけどね」

 「本当いうと推理力のある人間は、いないから」

 「ふ〜ん」

 「んん・・・やっぱり、成人するまで、そのお金預かろうかな」

 「シンペイちゃんのお父さんとお母さんに怒られそうだから」

 「あぁ・・・そんな・・・貯金するから・・・頼むよ〜」

 合気道の達人が拝む。

 「んん・・・んん・・・そのお金を全部お父さんに渡すんなら、これからも稼がせて上げる」

 「・・・わかったよ」

 その後、シンペイにダウジングロッドを持たせたのは、その特殊性を世間に知らせたくないため。

 しかし、それが逆に目立せてしまう。

 「シンペイが本当に役に立つのか」 トオル。疑わしげ

 「経費を差し引いて、成功報酬を分けただけだから」

 「でも、こんなに大金」

 カオリが目を輝かせる

 「いつも、こうじゃないし」

 「長い目で見ると危ないとか、依頼人が来なかったりで、探偵家業だけじゃ儲からないけど」

 「まあ、アルバイトみたいなものなのかね」

 「ええ、わたしも、そのつもりでやっていますから」

 「時々、シンペイちゃんに手伝ってもらえれば助かるんです」

 「危なくないの?」 カオリ

 「結構、危ないですけど。シンペイちゃん。頼りになるから」

 「・・・・・・」 カオリ

 「まあ、紫織ちゃんもやっていることだし」

 「まあ、男なら頼られたら、手を貸すくらいのことはしないとな。合気道もやっているし」

 「でも、何かあったりしたら・・・危ないんでしょう」

 「ええ、危ないこともあります」

 「・・・あ、危ないんじゃね・・・いくらお金になるからって・・・」

 「まあ、ここは、シンペイに任せよう」

 「でも、まだ、中学生なんですよ」

 「しかし、紫織ちゃんもやっていることじゃないか、男なら幼馴染くらい守ってやらんとな」

 「・・・でも」

 「好きにすれば良い。シンペイが手伝いたいのなら、手伝いなさい」

 「手伝うよ」

 シンペイが、お金を全額、父トオルに渡したことで、

 紫織の探偵家業を手伝うことが認められる。

  

  

 そして、シンペイは、頼りになった。

 合気道の達人。

 一度、試しに金属バットを持って本気で殴りかかると、

 アッサリ避けられて、バットを捕られてしまう。

 「何で思いっきり殴っているのにバットを掴み取れるわけ?」 紫織

 「同じ速さで掴めば、止まっているのと同じだよ」

 「わたしより、点数が良くなったからって、数学者みたいなこと言って」

 「へへぇ ようやく、平均を超えて中の上に入れたよ」

 紫織は、ムッとする。

 下の中で赤点スレスレだった。

 「あの三人とは、どこまで行ったの?」

 「・・・まだ、キスまで行ってないかな。手とかは、つないだけど」

 「わたしより先にキスするなんて生意気よ」

 「三森と上手く行ってないんだ」

 「これでも忙しいの」

 「勉強する暇もないんだ」

 「探偵業が意外と詰まっているのよね」

 「ふ〜ん」

 そう、シンペイと行った屋敷での成功が、あまりにも劇的だったためか、

 口コミで噂が広がっていく。

 そして、素行・浮気調査を雑木林婦警トリオ。

 犯罪調査を佐藤・安井の豪族極道ペアが担当。

 角浦紫織と古賀シンペイが推理調査を担当するようになっていく。

 特に角浦紫織、古賀シンペイは、ダウジングで犯人を言い当てると、

 風潮が広がって、恐れられるようになっていく。

  

  

 休みの日

 沢木ケイコ、鎌田ヨウコ、中山チアキが古本屋の二階で、紫織と対峙。

 佐藤エミと安井ナナミが面白げに見ている。

 「・・・・どうして、紫織ちゃんがシンペイ君を連れて行くわけ」 ヨウコ

 「い、いや・・・そのう・・・ほら。シンペイ君ったら、合気道の達人でしょう」

 「わたしも、か弱いし、シンペイちゃんがいたら心強いし」

 「三森君を連れて行けば良いじゃない」 ケイコ

 「婦警と行けば・・・仲良いんでしょう」 チアキ

 「そうよ」 ヨウコ

 「だって、シンペイちゃんのお父さんも、シンペイ君が良いんなら良いって・・・」

 「だ、だから、三森君を連れて行けば良いじゃない」 ケイコ

 「婦警と行けば。仲良いんでしょう」 チアキ

 「そうよ」 ヨウコ

 「だって、3対1だと取り合いでケンカになるじゃない」

 「だから、今日は、チョットだけ借りて、すぐ返すから」

 「シンペイ君を危ない目に合わせるわけに行かないから、わたしも行く」 ケイコ

 「わたしも」 チアキ

 「わたしも行く」 ヨウコ

 「そんな、少年探偵団じゃあるまいし」

 「少女でしょう。少女。少女探偵団」 ヨウコ

 「そういう問題じゃなくて、危ないところに行かせたくないの」 ケイコ

 そこにシンペイが部屋に入ってくる

 「紫織ちゃん。行こうか」

 ムッとするヨウコ、ケイコ、チアキ

 「じゃ チョットだけ借りていくからね、すぐ返すから」 紫織

 「・・・・・・」 ヨウコ、ケイコ、チアキ

 「大丈夫! 傷物には、しないから」 紫織、Vサイン

 「「「・・・・・・・」」」 むっ! とする。ヨウコ、ケイコ、チアキ。

 「じゃ エミちゃん、ミナちゃん。お留守番お願いね」

 手を振る佐藤エミ、沢渡ミナ

  

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第25話 『トライアングル殺人パズル事件・・・解決?』

第26話 『副業は・・・・探偵』

第27話 『若葉マークの探偵団』

登場人物