月夜裏 野々香 小説の部屋

     

現代小説 『紫 織』

     

第35話 『推理?』

 

 某ホテルのラウンジ。

 こもれび探偵団にとって、富田サナエは、便利な女だった。

 高校をドロップアウト。

 おかげで専属で動けるという点で使える。

 次第に張り込み仕事が板についてくるサナエは、のんびりコーヒーを飲んで待つ。

 一度、テレビに映るとバレやすくなるものの、一応、サングラスをしている。

 浮気調査や素行調査など、精神衛生上の不利益はあるが収入はソコソコ。

 今となっては自殺する気も起きないほど忙しく。

 仕事の内容によっては、逆に相手を自殺に追い込んでしまう・・・

 背広を着た男が二人、近付いて来る。

 どこかで見たことがある。

 緊張感が高まるものの、

 視線だけは、某ホテルの一角を見つめていた。

 「・・・富田サナエだね」 男A

 「ええ」

 「席に座ってもいいかな」 男A

 「・・・・どうぞ」 渋々

 男Aと男Bが座る。

 「暗殺団の壊滅で、わからないことがあるんだがね」 男A

 「取調べで、何度も言ったじゃないですか。わたしは、被害者ですよ」

 2人の男は苦笑し、

 サナエも愛想笑いする

 「梨本一家惨殺事件。本庁も県警も本気で解決しようとしていたんだ」

 「それを一介の探偵団に解決されては、こっちの立場がなくてね」 男A

 「被害者のわたしに愚痴を聞けって云うんですか?」

 「いや、彼らの犯行であると推理に至った経緯を知りたくてね」

 「彼らは、銃を持っていないほど用心深い連中だ」

 「武器を持っていないから、相手が殺される寸前まで殺意があったか、証明しにくい」 男A

 「知らないものは、答えようがないんですけど」

 「もし、それが、わかったときは、教えてもらいたいんだがね」 男A

 「いま・・・録画しているんですよ」

 「刑事さんがそういうこと、言わない方が良いんじゃないんですか」

 「それに企業秘密だし」

 「・・・Bファントムを聞いたことは?」 男A

 「いえ」

 「・・・そうだろうね。まあ、いい、今日は引き上げるとしよう」

 二人の男は立ち上がる。

 「あのう・・・二人とも本庁の刑事ですよね。まだここにいるんですか?」

 「守秘義務があってね。心苦しいね、答えられなくて」 男A

 『ウソばっか。心苦しそうな顔してないくせに』

 二人の刑事は手を振ってフロアの向こうに歩いていく。

 「・・・・・」

 サナエの仕事が終わって引き上げる時も刑事2人は残っていた。

 どうやら別件で、ホテルを張り込んでるらしい。

 18歳の女の子の張り込み・・・・

 逃亡中の犯人や後ろめたい人間も18歳の女の子など、視界の外。

 どちらかというと、獲物と思われる。

 虚を付く点で刑事たちより有利。

 残暑が残っていたが、一仕事終わり、

 気分がいいサナエは、ホテルの近くで、アイスを買う。

 ふと、視界の隅で刑事二人が動く。

 アイスを舐めながら、様子を見ると、刑事同士で連絡を取りながら動いている。

 どうやら、刑事も仕事が終わりに近付いているらしい。

 サナエは、辺りを見回した。

 刑事ドラマの一シーンが現実に見られる。

 思わず、サングラスを取って録画する。

 なんとなく、テレビより地味なようだがスローモーションのようにも感じる。

 2人の刑事は、目立たないように目標に近付こうとしている。

 視線からも、歩く方向からも、被疑者を特定できない。

 なんとなく、こっちに近付いているような気もする。

 『どうして、ホテルに誘い込んで捕まえないのだろう・・・・』

 『外は、逃げられやすいのに犯人じゃないのか、ホテルは関係ないのか・・・』

 などと、ぼんやり考える。

 こっちに逃げてくれば、スタンガンで眠らせてやっても良かった。

 張り込みで犬は使えない。

 それでスタンガンを貰ったが、なんとなく使ってみたくなる。

 そして、刑事二人が正面の男に警察手帳を見せると職務質問を始める。

 すぐそばに来るまで刑事と思わせないところ。

 そして、相手に自分が目標と思わせないのは技術なのだろう。

 被疑者が気が付くと目の前に警察手帳が出され、逃げられない状況だ。

 彼は、あきらめたのか、刑事と一緒に同行する。

 現実は、それほど面白くなく。地味に終わってしまう。

 『あ、いけない、目立つことをしては、探偵は顔を知られると不味い。金にならないし』

 サナエも去っていく。

  

  

 二日後

 昼下がり、こもれび古本店。

 サナエは、紫織に呼ばれ、二階で昼食のお裾分け。

 普段は、外で食べるのだが、

 その日は、たまたま、料理が余ったらしい。

 紫織のほか、佐藤エミ、安井ナナミ、沢渡ミナがいる

 一口食べて、サナエは、あっけに取られる。

 紫織の作ったという野菜炒めが美味しいのだ。

 母親の作る料理と変わらないレベル。

 さらに隣の散髪屋で作ったという食事も味付けが違って美味しい。

 富田家は、選挙運動で有権者に食事を出すことが多い。

 母親の料理は材料を安く上げ、美味しく作る。

 それと、ほとんど変わらない。

 「幻滅〜」 沢渡ミナが呟いた。

 テレビで現職市長、大牟田リョウジの覚醒剤所持事件がニュースを賑わしていた。

 大牟田宅を家宅捜査をして覚醒剤40kgが発見された。

 当選したばかりの現職市長は、身の潔白を訴えたが騒ぎは続く。

 知っている人間が捕まると思わずテレビに目がいく。

 「でも、意外ね。あの市長が覚醒剤なんて贈収賄ならわかるけど」 佐藤エミ

 「そうよね。覚醒剤という顔じゃないわね」 安井ナナミ

 「ナナミちゃん。大丈夫なの? 安井組」 紫織

 「やらないでしょう。この前、絞めたもの」

 「奈河市に覚醒剤を持ち込むなんて、安井組にケンカ売っているのかしら」

 安井ナナミの表情が怖い。

 「でも、家から発見されるのは、致命的ね」 紫織

 「そうでもないんじゃない。自分が使ってなくてルートを確保できないと」

 「所持だけで証拠不十分になるし」 安井ナナミ

 「でも証拠とルートを抑えていないと市長宅を家宅捜査なんて、できないよ」

 「下手したら警察が大打撃だもの」 佐藤エミ

 「そうよね」 紫織

 「せっかく、名誉市民賞貰ったのに・・・あの市長、幻滅」 沢渡ミナ

 「かなり、脱力させられたわね」 佐藤エミ

 「・・・そのルート。興味がある」 安井ナナミ

 「な、なるべく、平和的な方がいいな」

 紫織は、穏健派だった。

  

  

 翌日。

 紫織とシンペイは、大牟田市長に呼ばれ、

 ハルの散歩がてら、市長宅に行く。

 集まっているマスコミを避けて、市長宅に入ることに成功。

 そして、依頼を受けた帰り。

 「シンペイちゃん。本当に市長は、覚醒剤と関係ないの?」

 「たぶん」

 「だって、殺人とかじゃないから、わかり難いんじゃないの?」

 「そうだけど・・・引き受けるの、決めたの、僕じゃないし」

 「無実・・・・だったら・・・引き・・・・受けて・・・も・・・いいかなって・・・」

 「はぁ〜」 シンペイ

 「・・・・・・」 どんより

 正面から男女の刑事二人が近付いてくる。

 「市長に依頼されたのか?」 浅間刑事

 「いえ、市長が珍しい古本を見たいといわれて」

 紫織が手さげ袋を見せた。

 「“のらくろ” かね」

 「当たり」 紫織が微笑む

 「まさか、市長の無実を晴らすつもりじゃないだろうな」

 「無実を晴らすのは、古本屋の仕事じゃなくて、弁護士の仕事ですから」

 「お惚けが上手いのね。紫織ちゃん」 一ツ橋刑事

 「刑事さんたちは、どうして市長が覚醒剤と関わっていたと考えているんですか?」

 「ニュースの通りだ」

 「市長の家が覚醒剤の保管場所になってたことがわかってね」 浅間刑事

 「そうですか?」

 「素人目に見てもあの市長」

 「贈収賄で捕まるのならわかるけど、覚醒剤に手を出すようには見えないけど」

 「証拠が挙がってね。何もしないわけにはいかないよ」

 「・・・・警察に自浄能力があるのか疑問ね」

 「自浄能力より、手続きを踏む方を求められていてね」

 「ねぇ〜 古賀シンペイ君。振り子を使っているの?」 一ツ橋刑事

 シンペイが頷くとポケットから水晶付きの振り子を取り出した。

 「ふ〜ん。これが難事件を解いている原動力?」 一ツ橋刑事

 「・・・・・」 シンペイ

 「見せてくれる?」 一ツ橋刑事

 シンペイが振り子を一ツ橋刑事に渡すと、

 一ツ橋刑事は、しばらくの間、珍しそうに見ると返した。

 「これから、どこに?」 一ツ橋刑事

 「犬の散歩しながら帰るだけ」

 紫織とシンペイは、犬と一緒に帰っていく、

   

 「・・・・目立たないけど、なかなか、迫力のある子達ね。中学生に思えない」 一ツ橋刑事

 「経験から培ってきた内容だろうな」

 「虚勢じゃない上に隠しているから、かえって凄みがある」

 「雑木林のおかげで道を踏み外してしまったのね・・・あの子達」

 「楠巡査長は、君の同期だろう」

 「キャリアを棒に振って、交通課に居ついたと思ったら」

 「探偵ゴッコで小遣い稼ぎなんてカエデも安直ね」

 「警察官と民間調査機関との情報の売買は珍しくないさ」

 「証拠を挙げて雑木林を吊るし上げても良いんだがね」

 「やるんならもっと早くやってたら良かったのに」

 「内調やCIAから。Bファントムと関わるなって警告が来ているんでしょう」

 「彼の仕掛けたトロイ型ウィルスが動いただけで大変なことになるはず」

 「それは、そうだが・・・・」

 「しかし、今回の覚醒剤所持事件。あの娘の言う通り」

 「あの市長、贈収賄ならともかく、覚醒剤関与は、疑わしいな」

 「ええ」

 「何か裏がありそうだ」

 「でも、ルートが確保されているから。フェイクかもしれないけど」

 「家に覚醒剤が隠されていたのは事実」

 「そして、市長の体内からも覚醒剤反応が出ているのも事実ね」

 「あんなものは、食事にでも混ぜれば反応が出る・・・」

 「市長に冤罪を被せて、得する者がいるのは確かだ」

 「市長は、無罪だと」

 「可能性は、ゼロではなかろう」

 「納戸の錠前にピッキングの形跡があった」

 「今度、こもれび探偵団に手柄を持っていかれたら、事だぞ」

 「どちらかというと樫村弁護士のほうが手強そうね」

 「確かに、樫村弁護士は、厄介だ」

 「たまたま、スケジュールが空いていたらしいが警視や署長も青くなっていたな」

 「同期対決ね」

 「名将樫村弁護士とダークホースのこもれび探偵団か・・・・」

  

  

   

 こもれび古本店の2階

 ため息ばかりの、こもれび探偵団。

 テーブルの上に回転焼きとクレープ。

 コーヒーとコーラが置いてある。

 何人かは、飲み食いし、何人かは、録画を見みて、

 何人かは、書類に目を通していた。

 「・・・とりあえず。引き受けてしまったものは仕方がないわね」

 「市長の御指名だし。断れば角が立つし」 楠カエデ

 「それで、警察の様子は?」 紫織

 「最近情報が入り難くて・・・」

 「それでも、市長の有罪説に傾いているみたいね」

 「カスミとスミレが探りを入れているから、もう少し待って」

 「こっちも。現役市長とのつながりがソコソコあるから、今回は、動きにくいわね」 佐藤エミ

 「安井組も疑われているみたいだから・・・・」

 「ふ〜ん。なんか重苦しい感じね」

 「気のせいか、政府レベルの圧力を受けているような・・・・」 紫織

 「そうね、あの連中は追い詰めるだけで放置」

 「自滅するのを待つか、犯罪を起こすのを待つわね」

 「えげつないわね」

 「権力側有利ね」 佐藤エミ

 「茂潮に背後関係を調べてもらって、様子を見ましょう」

 「それで市長に冤罪を被せて利益を得る者」

 「それと、この状況自体で得をする者」 楠カエデ

 「でも・・・まずは、取っ掛かりね」

 「市長が無罪とすれば、いつ? 誰が? どうして?」

 「どうやって、市長宅に覚醒剤40kgを運び込んだのか?」 佐藤エミ

 「聞いた話しだと、家には、家族か、家政婦が必ずいたそうよ」

 紫織が書類を見て答える。

 市長家族や家政婦にマニュアル通り、

 確認しだけだが、抑えているところは抑えている。

 「覚醒剤が発見されたのは鍵のかかった納戸の中」

 「金庫の裏で、もっとも、安全な場所。納戸の鍵を持っているのは、市長だけ」 楠カエデ

 「市長が疑われても仕方がないわね」 佐藤エミ

 「でも、この錠前なら技術があれば開けられるんじゃない。古そうだしピッキングで」 安井ナナミ

 「確かに、金庫は難しそうだけど」

 「納戸は、技術があれば、開けられそうね」 佐藤エミ

 「問題は、家に誰かいるのに、そういうことができるか、どうやって忍び込んだのかしら」

 「犬がいたわよね。チャウ・チャウの “みやこ” ・・・・・あ・・・・」 紫織

 紫織は、犬の捜索依頼の書類を捜して持ってきた。

 「犬が問題になるの?」 佐藤エミ

 「・・・結構、おとなしいけど、人が忍び込めば、吠えるよね」 紫織

 「どうだかね。飼いならされた犬っぽいけど。泥棒が来たら座布団くらい出しそうよ」

 安井ナナミが写真を見て感想を云う。

 「そこまで、酷くないと思うけど・・」

 「普通、忍び込もうとする家に中型犬がいれば、用心するんじゃない」 紫織

 「じゃ 市長の犬を連れ出した窃盗団と今回の覚醒剤事件が繋がっているの?」 楠カエデ

 「はぁ〜 相手が犯罪組織って、いやよね」 佐藤エミ

 「ねえ、この犯罪組織の目的は、何かな。市長を陥れるのが目的?」

 「それとも、覚醒剤を売ることが目的?」 安井ナナミ

 「両方ね。市政の混乱を利用して、覚醒剤のルートを確保するんでしょう」 楠カエデ

 「じゃ うちの同業者ね」

 「うぅ 組同士の抗争に巻き込まれたくない。ヤクザとの対決も困る」

 紫織。思いっきり尻込み。

 「大丈夫よ。今時 “覚醒剤やってます” で生きていける組なんてないもの」

 「証拠を挙げてしまえば組織が腰砕けになって空中分解するから」

 「生き残るためには、トカゲの尻尾切りね」

 「本体は、決して麻薬を認めないもの」

 「ほ、本当かな・・・」 紫織

 「結構、世界が狭いのよね」

 「この付近の組織の主要メンバーは、だいたい顔見知りなの」

 「覚醒剤は、基本的に避けているから。リスクが大きすぎるし」

 「えっ! あれって、建前じゃないの?」 紫織

 「あ、あのね、覚醒剤やった方が金になるけど」

 「ばれたら、本当に組が潰されるんだから、いまどき、正気な組はやらないの」

 「じゃ 覚醒剤が入ってくるのは、どうして?」 紫織

 「外国人が運び込んでくるの」

 「それと直接、繋がっていない末端。いつでも切れる尻尾ね」

 「それか、まったく、関係ない個人輸入業者」

 「いずれにしても、この近辺の組織はやっていないはず」

 「どうして、そういうの、知っているのかな?」 佐藤エミ

 「そういう話しを聞いているから」

 「じゃ 安井組の鼻先かすめて覚醒剤を奈河市に持ち込める組織で」

 「市長の家を保管庫代わりにできる組織」 紫織

 「たぶん、保管より、脅迫で使うつもりだったんじゃないかな」

 「だから、出し入れは考えないで、一度だけ、置いたと考えるべきね・・・・」 楠カエデ

 「イレギュラー? それとも、計画的?」 佐藤エミ

 「密売ルートを発見されるは、大変な打撃のはず」

 「多分見つかった場合の保険というか、損失補填代わり」

 「道連れにしようと思って置いたんじゃない」 楠カエデ

 「巻き込まれ損としたら、市長も、かわいそうね」 安井ナナミ

 「あながち、そうとは言えないかも。贈収賄や利権争いの復讐もある」 紫織

 「ああ、金を貰ったのに裏切ったというやつ」

 「政治家は、良くあることじゃないの?」 安井ナナミ

 「いや、それは、公約だから。取引は別でしょう。特に族議員」 佐藤エミ

 「じゃ そっちも、調べないと駄目か」 紫織

 「組織犯罪が相手だと手に余るわね」

 「今度は、仕事が多過ぎるとかいって、断りなさいよ」 楠カエデ

 「大きな仕事があらかた片付いたあとだったから。つい」 紫織

 「・・・・まあ、良いか。エースが決めたことだし。調べましょう」 楠カエデ

  

  

 合気道の県大会

 合気道の県大会には、古賀シンペイ。

 そして、女性の部で鎌田ヨウコ、中山チアキ、沢木ケイコが参加。

 紫織、沢渡ミナ、足立クミコ、佐藤エミ、安井ナナミ、白根ケイが応援に駆けつける。

 中山チアキと沢木ケイコは、合気道界の広告塔として、

 県大会そのものを華やかにする。

 鎌田ヨウコ、沢木ケイコ、中山チアキは、シンペイがもてるのが困ると、

 圧力をかけたりするが手遅れ、

 親同士や格闘ファンの筋からもれるもので、

 秘密ではなくなって、学校の同級生も応援に来ていた。

 そして、いつの間にか、淀中学に合気道部が作られることになり。準備が進められる。

 シンペイは、相変わらず強かった。

 相手が、頭2つ高い高校生でも負かしてしまう。

  

 そして、女子の部、強いのは、鎌田ヨウコ。

 しかし、花は、沢木ケイコ、中山チアキで美人が目立つ。

 出てくると会場全体がヒートアップ。

 観客は、基本的に美人の味方をする。

 「なんか、観客増えてない?」 紫織

 「応援している相手がマンガオタクって知ったら幻滅するだろうな」 沢渡ミナ

 「どっちかっていうと沢木さんと中山さん目当てね」

 「美人に戦わせて面白がる風潮が、ここまで進んでいるなんて頭いかれてんじゃないの」 足立クミコ

 「ったく。美人なら美人らしく、ナヨナヨして守られろ!」 沢渡ミナ

 「最近、守ってくれる男が少ないから仕方ないわよ」 足立クミコ

 「あら、クミコちゃん。彼氏は守ってくれないの?」 沢渡ミナ

 「守ってくれるわよ」

 「それより、ミナちゃんの石井君は、ミナちゃんを守ってくれるの?」

 ・・・・・・・・・沈黙

 「うそ!」 紫織

 「えっ ち、違う、違うよ。それ、絶対、違うから」

 「へぇ〜 遊園地を二人が歩いていたの見てたんだけどな」

 「あれは、こもれび小旅行本の詩を作るため?」

 「だ、だから。そ、それよ。こもれび小旅行で」

 「カップルが歩くときの雰囲気をちょっとだけ、体験してみようかなって・・・」

 「え〜 それって、石井君。かわいそう」

 「うん、ちょっと、酷い」 紫織

 「だ、だって、そういうつもりじゃないって」

 「じゃ どういうつもりかな〜」

 「だって、あいつ、マンガオタクで反応がね。変わってて面白いかなって」

 「はぁ〜 ミナちゃんって、萌え派?」

 「ちがう!」

 「・・・女って、男で変わるのよね」 紫織

 「あのね・・・あ、沢木だ」

 一段と歓声が上がる。

 鎌田ヨウコ、中山チアキ、沢木ケイコは、体重別の枠内で平均的なレベルの代表。

 それでも、普通の中学生だと強い女の子だろう。

 沢木ケイコと中山チアキは、観客のほとんどを味方につけて勝つ。

 そして、シンペイも、中学の部で上位3位に食い込む。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  

  

 シンペイと富田サナエ。

 もう一人、中山チアキは、山の中にいた。

 シンペイは、市長の飼い犬チャウチャウの “みやこ” が繋がれていた木の周りを歩き回る。

 しかし、これといった痕跡が残っていない。

 もちろん、犯人の痕跡も皆無。

 どちらかというと、シンペイと中山チアキのデート。

 サナエが見ても、シンペイと中山チアキは外見的に不釣合い。

 シンペイが合気道の達人でなければ、

 こもれび探偵団のエースでなければ、

 ほかを探したらと中山チアキに忠告するかもしれない。

 シンペイは、しばらく歩くと興味を失ったのか、

 次の場所に行くという。

 免許を取ったばかりの富田サナエが、

 シンペイと中山チアキを乗せて次の場所に走る。

 結局、買ったのは、走行距離の少ない4ドアの中古車。

 現役市長の覚醒剤疑惑でリコールの動きがあった。

 父親は、現役市長と同じ保守系。

 リコールが起これば、その票が流れ、

 そのまま、市長になれる可能性があった。

 しかし、市長が冤罪であれば、リコール、そのものが頓挫する。

 父親が市長になれるか、サナエは、どうでも良いと思っていた。

 どちらかというと探偵業が面白い。

 たとえ、それが父親に不利に繋がっても・・・・

 シンペイとチアキは、後部座席に乗る

 「ねぇ〜 古賀君、次はどこ行くの?」

 チアキは、仕事の目をしているシンペイが面白いのか、何かと誘惑する。

 「伊藤議員のところ。事務所の方かな」 シンペイ。

 革新系の有力候補。

 市長のリコールが成功すれば、もっとも得をする左翼の雄。

 そして、リコールを進めようとしていた。

 「・・・古賀君は、どういう、推理しているの?」

 「大牟田市長の依頼で動いているんだから、公平な推理なんてしないよ」

 「え、そうなの?」

 「うん、最初から大牟田市長の冤罪を解明するのが目的だから」

 「じゃ 誰かが、市長の家に忍び込んで麻薬を隠したんだ。誰かな〜」

 「覚醒剤・・・麻薬とは、少し違うんだ」

 「へぇ〜 どう違うの?」チアキ

 「麻薬は、コカの木の葉を抽出するコカイン系とケシの実から抽出するアヘン系があるけど・・・」

 「覚醒剤は、塩酸類を原料に精製した薬剤」

 「ふ〜ん・・・マリファナとかLSDとかは?」

 「大麻を抽出するとマリファナになるんだ」

 「LSDは幻覚剤だったかな。覚醒剤と違うけど薬剤」

 「古賀君、凄い。始めて古賀君に教わった気がする」

 「・・・あれ、マンガは・・」

 「あ、あ、あれも、そうだけど、ほら、マンガ以外って始めてかなって、あはは」

 「麻薬とか覚醒剤って、新しいのが良いらしいけど」

 「アニメの場合は、少し違ってね」

 「ガンダムといえばやっぱり、最初のガンダムが一番、代表的なんだ」

 「あとからゴテゴテしたものとか出てくるけどさ」

 「単一のものを大量生産した方が有利だし」

 「質的性能差がありすぎて、かえって、不自然さが・・・」 シンペイのうんちくが、続いていく。

 中山チアキが、沢木ケイコや鎌田ヨウコの防御壁をこじ開け。

 シンペイに近付けたのは、シンペイのオタクに合わせたからといえる。

 そう、アニメ映画に誘うだけで付いてくるシンペイは、チョロイものだが、

 チアキにすれば、もっとも苦手とするシンペイの一面。

 富田サナエは、思わず笑ってしまう。

 それでも、マンガオタクは、古賀シンペイの人格形成で、最大の側面である。

 それに直面して免疫を作っている中山チアキは、シンペイにもっとも近い。

 本来、無口なシンペイが喜んで話すのだからそうなのだろう。

 そして、シンペイとチアキが、あっちの世界に行っている間・・・・・・・・

 サナエは、市長の覚醒剤疑惑の推理をする。

 誰かが、覚醒剤40kgを運び込んで納戸の鍵を開けて、金庫の裏に隠した。

 これは、金庫が開けられなかったのではなく、

 金庫の中に隠すと市長が開けたときにばれるから。

 そして、納戸に隠したのは、そこが市長しか鍵を持っていないからだろう。

 もっとも納戸の錠前は、ピッキングの技術があれば簡単に開けられる程度。

 問題は、いつ入ったか。

 飼い犬の “みやこ” が、行方不明になった間と、紫織は、見当をつけている。

 邸宅の外に仕掛けられた監視カメラの映像は、1ヶ月すれば書き換えられる。

 当時の映像で、残っているのは、正面玄関で、

 人が出入りした部分だけ。

 それ以外は、人の記憶に頼る。

 人の出入りは、市長の利益関係者ばかり。

 これが事務所になると敵味方混在で、わかりやすい。

 市長宅の場合は、市長の利害と直結している業者や団体、個人。味方ばかり。

 家政婦の高田キミコは、親戚筋の縁者で50歳。

 小柄で人の良さそうなおばさん。

 最初は、富田の市長候補を応援するつもりで世話を焼いていた、

 そのまま、30年間、週一の通いで家の中を掃除するだけ。

 警察が調べた限りでは、ピッキング能力もない。

 そして、それらしい、人間との繋がりもない。

 警察の調べだと市長との肉体関係はないらしい。

 

  

  

 シンペイの携帯が鳴る。

 「・・・もしもし・・・うん、山に入ったけど手がかりはないよ・・・うん・・・あとは・・・・」

 「・・・一通り回るけど。やっぱり、あの映像に映っていた3組が怪しいと思う」

 「えっ! 犯人が、わかるの?」 チアキ

 「あ・・・中山・・・誰かに言うと殺されるよ。ヤクザかもしれないから」

 「うん」

 サナエは焦る。

 一緒に映像を見ていたはずのサナエは、誰が怪しいのか、まるっきり、わからない。

 また、当てずっぽうだろうか。

 年下。さらにマンガオタクの推理力に負けるのが悔しい。

  

  

 富田サナエの家

 サナエは、さっさと部屋に戻ろうとする。

 「・・・・サナエ」

 父親に声をかけられて、動きが止まる。

 「サナエ。最近。元気になってきたな」

 「・・・・・」

 サナエは、何もいわず。

 そのまま部屋に戻ると、簡単な柔軟体操を始める。

  

 “みやこ” がさらわれてから戻るまで、

 市長宅の出入りした業者や友人を思い出す。

 あの後、もう一度、ビデオを見せてもらったが怪しいと思える者はいない。

 不自然な出入りはない。自然だろうか。

 一緒に見ていた市長家族、家政婦も注釈を入れていた。

 3組も怪しい人間がいただろうか。

 ほとんどが、仲間で、互いに利益を得ていた。

 もっとも強い関係だろうか・・いや、違う。

 市長は、家族や家政婦がいたから、

 具体的な贈収賄に関する内容を話していない。

 市長が贈収賄に関わっていたかどうか、わからない。

 わかることは、互いに利益を得る関係者が多いほど、

 相乗効果で、雪達磨式に利益が大きくなる。

 犯罪未満の上澄み分の収益だけで十分だった。

 しかし、互いに利益を得る関係者が、少なければ無理をすることになる。

 誘惑に負けた候補者は、不当な贈収賄で、次の選挙で勝とうとする。

 そして、大牟田市長は、風見鶏という評価を受けながら、

 人間関係を集約する術を心得ていた。

 政策内容が優れているわけではない。

 カリスマも弱く。人心掌握も、上手いとはいえない。

 主義主張は、玉虫色でいい加減。自己矛盾の塊。

 しかし、財界の流れ、市民の最大公約数的な要望に乗ってバランスを取っている。

 これは主義主張の強い自分の父より優れていた。

 単純に人との出会いは、10倍以上だろう。

 そう、地元の意見を集約する神輿に乗った市長。

 それが大牟田市長だった。

 そういう人間が覚醒剤をするだろうか。

 少なくとも、覚醒剤に手を出していたら、

 弁護士に金を積んで探偵に調査を依頼しないだろう。

 弁護士だけで良い。

 いつ?・・・どこで?・・・だれが?・・・何をしたか?・・・なぜ? を埋めていくサナエ。

 不意に思いつく。

 そして、もう一つを思い出した。

  

  

 こもれび探偵団の2階

 サナエは、紫織、シンペイと一緒にビデオを見ていた。

 刑事2人が1人の男を捕まえている。

 この男が覚醒剤の取締りをしている男だろうか。

 「どう、シンペイちゃん」

 「たぶん、この男が、市長の家に覚醒剤があって、保管していると言ったんじゃないかな」

 「でも・・・この男が市長の家の監視カメラに映ったことは無いよ」

 「・・・・・・・」 シンペイ

 「市長の日程をある程度、把握していたのかな」

 「そして、一人になった日程を選んで」

 「そこで会って、覚醒剤の受け渡しをしたと警察に言ったんじゃないかしら」

 「それで、裏付けが取れて警察が動いた」 富田サナエ

 「前もって、市長の動きを追いかけていた? 凄い労力」

 紫織が苦笑いする。

 「問題は、背後だよ。労力に対する報いが市長の失墜だけじゃないから」

 「50近い業者と団体がサナエのお父さんと接触しているわ」

 「革新の伊藤議員は80ぐらいかな」

 「重複している分を除いても革新派有利ね」  紫織

 『そ、そういう見方もあるのね』 サナエ

 「たぶん、利益分配で話しが合うかで、利益団体が分かれていくわね」

 「次期市長の調整能力が問われるんじゃない」

 「あとは、浮動票の取り込みかな」

 「そ、そのう、わたしがお父さんに対して、何かすることがあるの?」

 「無いけど・・・」

 サナエは、ほっとしたような。寂しいような。

 「・・わたし “みやこ” 探索依頼できた。探偵たちが怪しいと思うんだけど」

 紫織とシンペイの顔色が変わる。

 「・・・・」 紫織、シンペイ

 「・・・・」 サナエ

 「サナエ。そのことは、誰にも言わないで・・・」

 「背後がわからないのに手を出したら殺されるわよ」

 「・・・わかった」

 「「「・・・・・・」」」 沈黙

  

  

 紫織は気が重かった。

 探偵社 “榛名”

 中堅で、15人ほどいる組織だ。

 犬をさらって、犬の探査依頼を出させ、自分たちが市長宅に入っていく。

 そして、覚醒剤を隠す。

 市長の動きを調べるのもプロだ。

 覚醒剤を密輸している組織と協力関係にある探偵社。

 たぶん、密輸組織と協力関係にあり。

 足が付くことを恐れた密輸組織が市長を生贄にするつもりで依頼したのだろうか。

 しかし、社員が15人もいれば良心的な人間もいるはず。

 全員じゃなく一部と思いたかった。

 榛名創設の経緯・・・それと・・・・クライアントも調べなければ、手が出せない。

 ・・・・・ヤバ過ぎる・・・・安井組と佐藤家・・・・あと警察・・・・

 警察を味方にするには、証拠が必要だった。

 まだ、茂潮の調査待ち。

 たぶん、こもれび探偵団が市長からの依頼を受けたことは “榛名” に知られている。

 紫織は、踏ん切りがつかない。

 “榛名” が、どこと結びついているか、わからない。

 1時間や長くても3時間で終わる推理ドラマじゃない。

 逆襲される可能性は常にある。

 正義感だけでは、やっていられない。

 大の男が数人いれば、女子中学生1人。どうにでもなる。

  

 淀中学の屋上

 紫織と佐藤エミ

 「・・・エミちゃん。どう? 榛名社の動きは?」

 「大人しいみたいだけどね」

 「いつ襲撃を受けるか、気が気じゃないわね」

 「手を出したら、そのまま、命日になるよ」

 「どっちの?」

 「向こう」

 「だといいけどね」

 「紫織ちゃんは、大丈夫よ」

 「その筋じゃ こもれびの疫病神とか、こもれびの死神とか思われているから」

 「誰も手を出さないよ」

 「ひど〜」

 「あと、こもれびの化け狐、化け娘、座敷わらしに・・・」

 「おい!」

 「あはは」

 「これといって、動きが無いのは、榛名社の弐沢ケイイチ社長が用心深い性格みたいね」

 「本当に怪しいの? 榛名社」

 「たぶんね」

 「じゃ こもれびが、榛名社を疑っているのは、わかっているの?」

 「さぁ 証拠をつかんでいるわけじゃないもの」

 「証拠か・・・・」

 「履歴からして15人中、やっているのは、10人ね」

 「古株ばかり。全員が覚醒剤に手を染めているわけじゃない」

 「残りの5人は、知らない」

 「履歴からすると恐喝や暴行未遂とかいった人たちだけど」

 「麻薬や覚醒剤関係になると。信頼できる人間だけで必要最小限でやっているはず」

 「内部告発は、当てに出来ないか」

 「気付いても、黙っていると思う」

 「今時、前科者を何人も雇ってくれるところなんて、そういう意図があるのかも」

 「1人か、2人なら。善意。それ以上だと怪しい?」

 「そうね・・・警察は、まったく気付いていないの?」

 「榛名社?」

 「楠おねえちゃんの話だと、一度は、職務質問を受けたみたいだけど」

 「犬の捜索依頼書を見せてもらっただけで、終わり」

 「疑っているか、わからない」

 「どちらかというと、警察も贈収賄がらみで覚醒剤を置かれたと思っているみたいね」

 「ナナミちゃんもピリピリしているし」

 「あの、捕まえられたという。売人は?」

 「売人は、大牟田市長に渡されたと言い張っているだけ」

 「時間も、場所も、二人が、そこにいたというのは確かだけど」

 「市長は、全然知らないと言い張っているし」

 「お気に入りの “みやこ” のいる。例のキャバクラ?」

 「ええ、さすがにサナエは、キャバクラには、いけないわね」

 「茂潮が行くんじゃないの?」

 「萌え嬢が良いって、ごねているみたい」

 「あはは」

 「怖いんだって、キャバ嬢」

 「あはは、かわいい」

 「幸城も、今回は、フルに動けないみたい」

 「なに? 仕事?」

 「みたいね。空いてるスケジュールだけ送ってきたから。ほとんど使えないわね」

 「でもさ、覚醒剤がらみで組織犯罪になると公安や本庁も来るでしょう」

 「そういう、公安とか警察が嫌いな人って多いから・・・・」

 「何とかならないのかな」

 「さあ、楠おねえちゃんも公安が相手だと、チョッとね」

 「本庁も、まだ本格的じゃないみたいだし」

 「キャバクラは、怪しくないの?」

 「シンペイちゃんが、一通り調べたけど。どうかなって感じ」

 「じゃ 向こうから手を出すまで、何も出来ないってこと」

 「榛名社のパソコンは、いつでも破壊できるって」

 「怖いわね。茂潮って」

 「茂潮も公安のリストに載っているらしいよ」

 「あはは、やっぱり」

 「能力度Aで、危険度Dよ」

 「人って、見かけによらないか」

 「重度のオタクなんだけどね」

 「でも、コンピュータを調べても背後関係が無い・・・大丈夫ということかな」

 「麻薬ルートも含めてないのよ」

 「意外と古いタイプで、弐沢ケイイチはネットじゃなく、マニュアルでやっているのかも」

 「それとも暗号が使われているか」

 「暗号か・・・・じゃ 暗号解読待ち?」

 「たぶん・・・・」

 「どこと、癒着しているかが問題よ」

 「そうね」

 後ろから、ざわざわと、紫織グループがやってくる。

 学年で最大派閥化した紫織グループ。

 紫織は、慣れてしまっていた。

 気が進まなくても・・・・・

 「紫織ちゃん。買って来たよ」 仁科マイ

 「ありがとう。マイちゃん」

 15人近い仲間? 取り巻き?

 『何でこんなにいるんだろう』

 と食べるのは、それなりに楽しかった。

  

  

 低迷とか、停滞といえるような時間が流れていく。

 榛名社は、こもれび探偵団に対し手を打てず。

 こもれび探偵団も榛名社の背後が気になったのと、

 証拠が無いことから手を打てない。

 大牟田市長は、全面否認。

 警察は、覚醒剤のルートを走査中のためか、表面的には平穏に感じられた。

 こもれび古本屋の二階

 紫織、安井ナナミ、萩スミレ

 テーブルにコーヒーがある。

 萩スミレは制服。ちょっとした連絡とサボりだ。

 「動かないわね。榛名社」 安井ナナミ

 「ナナミちゃん。やってないでしょうね」 紫織

 「さあ〜 奈河市で勝手な事されたら怒るよ。普通のヤクザならね」 安井ナナミ

 「問題は起こさないでね。一応、注意されているんだから」 萩スミレ

 「そうよ。わかるけど。まだ怪しいだけで、証拠が無いから」 紫織

 「ヤクザって。こういう悶々としたのに弱いから」 安井ナナミ

 「覚醒剤を動かしているのは、ルートがあるということなの」

 「市長に覚醒剤疑惑を押し付けて、一休みしているけど」

 「そのうち動き出す。公安も本庁も意識しているから巻き込まれるよ」 萩スミレ

 「榛名社に覚醒剤を渡しているのは、どこの組織?」 紫織

 「わからないけど、基本的に警察は、売人を捕まえるより」

 「ルートを殲滅する方を選ぶから」 萩スミレ

 「そう・・・・」 紫織

 「あのさ」 萩スミレ

 「なに?」 紫織

 「・・・まだ。いいや、そうだというわけじゃないから」 萩スミレ

 「な、何よ。気になるわね」 紫織

 「さてと、そろそろ、仕事だから行くね」 萩スミレは、出て行く

 「な、なに?」 紫織

 「さあ〜」 安井ナナミ

  

  

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第34話  『色褪せたセピア』

第35話  『推理?』

第36話  『証拠は?』

登場人物