月夜裏 野々香 小説の部屋

    

召喚系火葬戦記 『とある価格と魔術の』

 

 

 第06話 1928年 『おれ、メタンハイドレートでやるから』

 おれ、もう疲れたよ。マジで、

 つかさ、あれだよ。

 戦争で死ぬとか、敗戦で死ぬとか、

 それ以前に、おれってば、死に体になるところじゃん。

 天皇の権威が+10

 軍部の権威が−10

 おれ±30

 そんな感じですね

 好かれる人間には、好かれるけど、

 嫌われる人間には、もっと嫌われたわ、

 園川老は、半分笑いながら半分嫌味言うし、

 軍部は、殺す気がなくて、二宮君の意気地をなくさせるため、

 怪我させるだけだったらしいと、教えてくれた。

 この人、どっちの味方なんだろうね。まったく、

 俺の派閥は、まぁ 勅任議員に再勅任されて回復して、派閥も再結成、

 ねぇ 金なの? 金で作られた派閥なの? って、おれは、聞きたい。

 でも、幾つかの右翼組織が崩壊して分裂しながら頭をすげ替えてるようです。

 陸海軍は、ほとんど、お金を出せなくなって、かなり縮小したみたい。

 今度、発覚したら、皇軍そのものが人事を刷新されかねないかも

 今年は、なんだっけ、あ・・・済南事件と、張作霖爆殺事件だ。

 

 そうそう、特高に派閥を構築できました。

 てっ、こういう事だったんかい! みたいな

 おれってば、世間知らずでした。

 でも気付くの早い方なんだって、

 まぁ 盗聴していたからね。

 敵と味方が判断しやすいのよ。意外と、

 

 PS 子供が生まれました。二宮勇太(♂)です てへっ♪

 

 

1月

   ソヴィエト連邦秘密警察が、レフ・トロツキーを逮捕し、カザフ共和国・アルマアタに流刑。

   岡部金治郎がマグネトロンの特許を軍事機密化。

 

 

 深夜の海は、とっても怖いです。

 マジ闇討ちに遭いそうですし、

 いま、戦艦金剛の艦橋にいます、

 全方位から殺意の篭もった視線がブチブチと刺さってますよ。

 生きて、この艦を降りられるのか不安です。

 また、将校さんと言い合いになりました。

 艦橋に付けた簪は、なんのオマジナイだとか、

 不忠者が作った物なんか使わん、外せとか、

 そして、賭けが成立、

 成功したら、その将校さんは、海軍を辞める、

 失敗したら、おれは、会社の一つを将校に任せる、

 互いに念書を書いたあと、

 轟音が鳴り響く、

 光学機器を使わず、電探のみで砲撃ですよ。

 命中したら、盛大に燃えるはずです。

 轟音と紅蓮の炎が水平線上に見えたとき、

 その将校さんは、項垂れてました。

 おれの印象値は、軍隊内でも±35に跳ね上がりました。

 

 

 2月

   赤旗創刊

   第16回衆議院議員総選挙(最初の普通選挙)

   ワシントンD.C.のチャールズ・ジェンキンス研究所が連邦無線委員会(FRC)より認可を受け、世界で始めてのテレビ所有者となる。

 

 

 おれ、陸海軍とは仲が悪いのに、

 陸海軍航空部隊は、とっても仲がいいのです。

 予算3倍増しの歓迎がされました。

 10年以内に航空機と潜水艦と戦車が戦争の中心になると言いました。

 航空部隊は、歳が若いのか、発想が柔軟で、大半が頷いてました。

 91式戦闘機が飛んでます。

   自重1075kg/全備重量1530kg

   全長7.27m×全幅11.00m  主翼面積20u

   520HP  速度320km/h  航続距離700km

   機関銃7.7mm機銃×2

 なんか、牧歌的な戦闘機だなと思ってたら新型戦闘機で初飛行だそうです、

 おれ、F22のビデオとか見てるから感動半減です。

 もう少し、派閥が増えたらもっと強い戦闘機を開発させます。

  

 

 

 3月

   マルタがイギリス自治領となる。

   日本共産党に対する一斉検挙(三・一五事件)

   台北帝国大学設置

   中華民国杭州で世界初の国立アカデミーとなる中国美術学院が設立。

   コミンテルン、「日本問題に関する決議」いわゆる28年テーゼ(「マルクス主義」)。

 

 

 楽×天召喚していると、思うことがある。

 歴史を変えてるのだから、楽×天の内容も変わっていくはずだと、

 しかし、楽×天の商品は代わり映えしない、

 試しに歴史書を召喚して、最初に買った歴史書と比べても変わらない、

 どうやら、歴史を移動した時空と、前後の時空は、全く違ったとしても、そのまま流れてしまうらしい、

 まぁ 全部の歴史を改竄するエネルギーを捻出するより、

 その時空トロッコだけが別の風景に変わっていくのだろうか。

 ということは、俺のいた時空の俺は、行方不明になる。

 俺って親不孝、

 “まぁ いいや”

 そして “まぁ いいや” と、いかないのは、この世界なんですけど、

 昨年、軍との喧嘩で、軍の威信は失墜している。

 威信回復と予算獲得のため、無茶なことをする可能性が常にあった。

 自分の昇格と昇給のために戦争を増長させようとか、悪い冗談だ。

 ぶっちゃけた話し、景気は成長していた。

 いくつもの織物企業が、新人デザイナーを採用し、

 柳の下の土壌を探して売り上げを伸ばそうとしていた。

 センスは、ともかく、一度、勢いがつくと止まりにくいのが経済だ。

 失業者は少なく、軍縮になっても人材を抱え込むことができるだろう。

 

 

 4月

   治安警察法により労働農民党・日本労働組合評議会・全日本無産青年同盟に解散命令

   第55特別議会召集

   ギリシャのコリントで大地震が発生し、20万棟の建物が倒壊。

 

 共産・社会系の組織が解散させられた。

 しかし、思ったより抵抗がない、

 たぶん、来年から月一人1円の分配が効いてるのかもしれない、

 まぁ 1人当たりにしたら端た金だけどね。

 借りも貸しもせず、紙幣が増えていくのは、悪くない、

 なにより住民を把握できて、朝鮮人の侵入を防ぎやすい、

 

 新聞記者がやってきた。

 最近、特ダネ狙いの記者がよく来る。

 取り敢えず、何か言って、帰ってもらわないと、

 「大陸への利権介入は危険だ」

 「日中戦争を望む勢力が国内外に3つある」

 「一つは、予算とポストと。昇給と昇格を待ち望む軍将校と、軍需産業」

 「二つは、日本が勝っても負けても漁夫の利を得られる朝鮮人」

 「三つは、日本と中国の弱体化を望む、アメリカ、ソビエト、イギリス」

 「あ、もう四つあった」

 「君たち新聞屋が売上を伸ばすため、開戦の見出しを心待ちしていることだ」

 苦笑が広がる。

 「中国軍人は外資に買収されたら戦端を開くだろう」

 「撤収しなければ更なる邦人の犠牲者が出るだろうし」

 「戦争になれば、父、兄、弟、息子を失うことになり」

 「アメリカ、ソビエト、イギリスも日本に敵対するようになるだろう」

 てっ 言ってやったぜ、

 

 翌日の新聞に載ってしまった。

 軍人さんの苦虫を噛んだような表情が目に浮かぶ、マジで、

 またも皇軍を貶めてしまったぜ、

 今度こそ、クビかな。

 それとも刺されるかな。

 でも言わずにいられないし

 

 

 5月

   済南事件。山東省済南で日本軍と国民政府軍が衝突

   ニューヨークで、最初のテレビ定期放送が開始される。

   イタリア人ウンベルト・ノビレも乗船していた飛行船「イタリア」が北極点付近で墜落。

 

 勅任議員をクビなるかと思えば、そのまま放置され、済南事件とあいなった。

 おれは、といえば、いま日本海の新潟沖にいる。

 10000t級海底採掘探査船 “さるかに合戦”

 半官半民の船は、海底資源を探ると同時に、海底の地形も海軍に報告する船だった。

 水平線上には、日本の駆逐艦

 魚雷を撃ち込まれそうで怖い、

 一応、海軍将校も同乗してるから、撃ち込まないと思うけど、

 海の中だと、楽×天召喚は、どうなるんだろう。

 目指すは、メタンハイドレート。

 大枚叩いて試作させたソナーで海底を探ると、それらしい反応が現れる。

 「・・・ほぉ 何か、反応しましたな」

 「採掘してみましょう」

 将校は、カグツチ製の対潜水艦音響装置に期待しているのだが、

 こっちは、そんなもの二の次だった。

 目的のモノを採掘すると、それは白っぽく、冷たく、泡を出していた。

 皆なんだろう、と思って近づいている。

 おれが、マッチで火をつけると燃え上がった。

 もう、将校は慌てふためいたが、メタンハイドレートだ。

 直ぐに軍機扱いとなり、

 海軍とカグツチ社が共同で開発することになった。

 採掘権は半々なのだが、

 おれが殺されたりしたら、権利を外国に渡すと脅してやった。

 なんか、軍部と、冷戦状態が続いてます。

 でも、賭けに勝ったので、潜水艦建造計画に参入します。

 未来型の潜水艦を建造して度肝を抜いてやるつもりです。

 

 

 6月

   満州 張作霖と非公式協議

   北京が北平と改称される。

 

 

 楽×天召喚の使い道は、いろいろある。

 内から外が見えて、外から内が見えない、

 会合の知らせを聞きつけると事前に潜入し、

 盗聴器を配置していく、

 園川老は、自宅に戻っており、蝉の鳴く庭で涼んでいる。

 軍官僚が何人かでスイカを土産に見舞いに来ると、軒下に並び、スイカを頬張っていた。

 “張作霖との協議はどうだったかね”

 “平行線です”

 “ふっ”

 “南満州鉄道は、赤字のままですよ”

 “例え、満州全部統治しても公共投資したら赤字だろうよ”

 “彼の意見ですな”

 “二宮君か”

 “確かに日本国内だけ国債を発行し、紙幣を作って公共投資していたら、外資でも稼がない限り財政赤字だ”

 “まして、海外の公共投資なんて、反発受けるだけでなく、もっと、赤字を増やすだけだ”

 “欧米諸国の様に植民地を搾取だけをすれば赤字にはならないだろうがね”

 “園川老”

 “何かね”

 “二宮議員は。彼は何者ですか?”

 “さあ、わかりませんが、知識は豊富ですな”

 “我々は、彼を腰抜けと判断していました”

 “私も二宮君を頭でっかちの腰抜けだと、思っとったよ”

 “少し怪我をさせるだけで、飼い犬になると思っていたら、噛まれました”

 “ふぉほほほほほほ”

 ““““はははははははは””””

 “彼は、我々軍人に憎しみを持ってるようですな”

 “かもしれませんし。そうではないのかもしれません”

 “ええ、彼が軍に精通してることは、我々も感じてますし。軍に協力的であることは知ってますよ”

 “彼の作った蛍光灯は、軍でも使われてますからね”

 “カグツチ社は、他にも軍機に関わっていて、そのほとんどが彼の利権なのです”

 “二宮君は、戦争を恐れてるのでしょう。そう思いますよ”

 “彼は、日清・日露で身内を亡くしたのでしょうか?”

 “かもしれません”

 “得体がしれないので、外国でも調べましたがそれらしい人物はいない”

 “そして、朝鮮人の中にもあのような人間はいない”

 “でしょうな”

 “もちろん、日本でも彼のような人間は見つかっていない”

 “震災時、突然、現れた。そう思うのです”

 “そんな気もするね”

 “本当は記憶が失われていないのでは?”

 “かもしれませんが、いいではありませんか”

 “利権から見ると政敵に近いですが、彼は、国益に叶っている”

 “彼の貿易黒字で、軍艦を動かしていることを思うなら、そうではありますがね”

 “しかし、戦争になれば・・・”

 “彼は、全力で開戦を妨害するでしょうな。下手をすれば、亡命”

 “そして、日本で作られていたデザイン服は、外国で作られる”

 “最近は、日本でもデザイナーが育っていますがね。まだまだ二宮議員に勝てませんし”

 “下手したら、外国に意匠権の侵害で訴えられるでしょうな”

 “それは、避けたいですね・・・”

 『・・・・・・・』

 他人の会話に聞き耳を立てると、だいたい本心が見えてくる

 

 

 7月

   イギリスで、女性参政権を認める法律施行。

   中華民国国民政府が日華(清)通商航海条約の廃棄を通告

   アメリカ合衆国、中華民国から撤兵

   第9回夏季オリンピックがアムステルダムで開催(〜8月12日)

 

 帝国議会

 「中国側が破棄したいというのなら破棄すべきでしょう」

 「日清通商航海条約は、清国と結ばれたもので、現支配勢力の蒋介石国民党政府と因果関係はない」

 「しかしですねぇ 我が日本国は、押し売り強盗じゃない」

 「現中国支配勢力が嫌というのなら、それいいじゃないですか」

 「大陸利権を安々と手放せるか」

 「国民国家を基盤にした戦略で行きましょうや、利権とかそういうのではなく」

 「日本が押し付けがましい国、日本人が押し付けがましい民族に見られると、良くない」

 「し、しかし、欧米諸国に大陸利権を取られるのは・・・」

 「あんたねぇ いい加減、外国に青い鳥を求めるのはやめてくださいよ」

 「青い鳥は国内にいます。血縁とか門閥抜きに重用すればいいんですよ」

 「「「・・・・」」」

 

 

 

 8月

   伊エチオピア友好条約調印

   パリ不戦条約調印(日本を含む15か国が署名)。日本では「人民の名に於て」の字句が政治問題化。

 

 料理屋 あやなみ

 この店は、変装し、お忍びで入る店だ。

 変装といっても本格的ではなく、

 帽子を深々とかぶったり、色眼鏡をかけたり、普段着ない服を着る。よそ製の服ね。

 吉野次郎(23)は、カバンの持ち主で、

 自分が開拓した数少ない友人で、この店の店主だ。

 震災時、利害なく助け合った関係は、特別に思えた。

 ほかは、見受けした企業から叩き上げて、利害の範囲で信頼している程度。

 出世した後、近づいて来た人は、ちょっと、フィルターを通すか、盗聴するか。

 その人の両親や周りの評価に頼るしかない、

 なんで、そうなったかというと、

 政界で、暗殺されそうになったとか、

 油断大敵、不倶戴天な人々が多すぎる、

 そして、盗聴の経験から、自分の目利きは信用してない、

 「熱燗とコンニャクを焼いたもの」

 「はい、熱燗とコンニャクを焼いたものですね」

 彼は、料理屋の店長に見えて、金持ちだ。

 ケーキ屋と即席ラーメン工場の株を持っている。

 ちなみに、自分は、この料理屋の開店に投資している。

 なぜかというと、情報源にしたかったからだ。

 例えば、自分がどういう風に見られているかとか。そういう類、

 この手の店は、庶民の話題を聞きやすい。

 そして、自分の人気は、というと、両極端らしい、

 まぁ 天皇を巻き込んで軍と喧嘩してる時点で、眉をひそめる人間が多い、

 しかし、勅任議員に戻ったので、いまは、手打ちして和解してると思われているようだ。

 本当は冷戦中なのだが、

 神経質なほど、巷の情報を集めるのは、客商売もしているからだ。

 大雑把に社会資本の量や、需要の流れみたいなものに敏感になる。

 

 今のところ、見受けした20企業は、全部、軌道に乗ってる。

 そりゃそうだ。

 全部の企業で盗聴してるし、敵を追い出している。

 あと、数十年先のデザイン服と工具を作ってる、

 でも、支配に目が届かなくなって、限界に近づいてるし、

 そろそろ、株だけもらって、大企業にも作らせてもいる、

 準備が進んだら、一番大きな機械工場にかかりっきりしたいものだ。

 「最近、景気はどう?」

 「お客さんが増えて、とってもいいですよ」

 「僕の評判は?」

 四つに折られた紙が出された。

 客の語録を書いてもらってる。

 吉野は、掃除好きだから盗聴器を置くのを諦めていた。

 「そうですねぇ 大まかで、6・3で好き嫌いが分かれて、1はわからないようです」

 「6・3・1か・・・」

 「議員を擁護したほうがいいですか」

 「いや、この店は、わたしの印象の指標にしてるから、それだけはしないでくれ」

 「はい」

 「引き続き、情報収集を頼む」

 「あと、わたしが、ここで情報を収集していることは、気づかれないようにね」

 「はい、わかってます」

 お金を払うと、こっそりと店を出る。

 こうやって、情報を集めていると、なんとなく、社会の中心にいる気分だ。

 真面目な話し、上手くやっているのだろうか。

 どうせ、放置プレーに決まってるが、期待に応えられているのだろうか。

 少なくとも柳条湖事件は防いだ。

 ちょっとくらい、褒めてくれたっていいじゃないか。

 おれ、褒められて成長するタイプなんだけど。

 

 

 9月

   アフメド・ゾグー、アルバニア国王に即位

   リチャード・バードが南極へ向けニューヨークを出発。

   アレクサンダー・フレミングがペニシリンを発明

 

 某新聞社の一室、

 記事をチェックして、幾つか文節の直しを入れる。

 実はプロパガンダ戦をしている。

 誰とって?

 まぁ 利権関係者とか、アメリカの人とか、

 半島の人とか、ソビエトの人とか、イギリスの人とか、

 ただ、戦争したくないだけなのだが、

 盗聴の内容を聞いてると、どうしてこう、四面楚歌になるのって感じ、

 勝つんなら戦争やってもいいけど、

 石油止められたら産業が滅ぶのに、軍事力とか、関係ないんだよね。

 メタンハイドレートが軌道に乗るまで、戦争なんて考えたくないわけ、

 それなのに軍人の馬鹿、馬鹿、馬鹿、馬鹿、馬鹿・・・・

 お前らのオシッコがガソリンになるなら好きなだけ戦争させてやるわ、

 「俺は、中国と戦争してもいいと思っているんだが」

 「バカ野郎! そんなに日本人を殺したいか!」

 ばん!

 キョトン!

 あ、おれ、元少尉を殴っちまった。

 まずい・・・まずい・・・

 ズシッ!

 両肩に手を置かれました。

 ガ、ガクブルです。

 「二宮議員。悪いこと言わないから、軍事教練を受けたまえ」

 「奥さん、夜泣きしてるぞ」

 も、元少尉が、

 頭ひとつ低い元少尉は、真剣に心配している。

 う、うぅ ち、ちぃくしょおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!

 おれ、走りました。

 夕陽に向かって、走りました。

 涙が込み上げてくるんです。

 知っていました。

 おれ、現代人なんです。身長あるけど、贅肉質なんです。

 こいつらったら、体格は小さいのに皆がっちりしてるんです。

 おれの腰の入っていないパンチなんか、痛くも痒くもないんです。

 こいつら、俺より強いんです。

 1対1で喧嘩したら絶対負ける自信があるんです。

 ちくしょ! ちくしょ!! ちくしょ〜〜おおおお!!!!!

 

 

 

 10月

   蒋介石が国民政府首席に就任

   日本航空輸送設立

   赤十字国際規約の採択により、赤十字社が正式に設立。

 

 新潟沖の採掘は継続しています。

 臨時国債1億円が発行され、

 半官半民で20000t級海底採掘調査船の建造が決まってます、

 この時代の日本国は、驚く程、対応が早いね

 外国軍に支配されていないだけはあって、国益になると、採算度外視だし、

 おれ、一応、発見者だから皇居で、表彰されちゃったよ。

 でも、メタンハイドレートをエネルギー化するとなると話しは別で、

 燃えりゃいいじゃんとはいかない、

 メタンは、氷の個体から常温の気体になると、164倍の体積に膨れ上がる。

 軍艦に格納するなら50気圧で4度のタンクに貯蔵しなければならない。

 メタンにしろ水素にしろ、機体を高圧冷却で圧縮するには、パッキンが重要になるけどね。

 どうにもこうにも劣っているし、

 しょうがないから、楽×天召喚で旋盤とか、圧縮機とか、買おうと思ったら、

 ふざけんなよ。海防艦並みのお金を横流ししろってか!

 おれ、マジに凹んだよ。

 だから本買って勉強したけどわかんね、

 あ、そうそう、俺ってさ、

 日本のレオナルド・ダ・ヴィンチって呼ばれてるんだぜ、

 全然、絵をかけないのにね

 

 

 11月

   1928年アメリカ合衆国大統領選挙で、共和党のハーバート・フーバーが大差で当選

   昭和天皇の即位の礼挙行

   大嘗祭挙行

   同志社大学で火災。天皇が京都滞在中であったため、総長が引責辞任

 

 

 フーバー来たよ。フーバー。

 もう、大恐慌が近いってことだね。

 なんなんだよ。ったく、

 どうして、そんなに利権を強くしたいのか、っていうの

 さてと、どうしたものか、

 大工場は、新潟にあって、土木建設機械と工作機械を製造していた。

 大きな工場はいいね。

 一人当たりの生産力が大きい、

 ていうか、爆撃されたくないので疎開です。

 なんにしても、もっと、もっと、金を刷って貰って、内需を拡大しておかないと、

 大恐慌が来たとき輸出できないから、国内に金がないと耐えられない、

 

 

 12月

   アメリカ合衆国議会、ボールダー・ダム(後にフーバー・ダムと改称)の建設を許可する決議を採択。

   第56議会召集

 

 アメリカは、フーバーダムの建設。

 日本もようやく、黒部ダムと新幹線の建設。

 とにかく、アメリカが大恐慌するのがわかってるなら、

 国内の紙幣を増やしておかないとまずい、

 ていうか、インフレにしないと、楽×天召喚しても商品が買えないじゃん

 そうそう、園川老の伝を利用して、カグツチ銀行作りました。

 経営権は、園川老と折半になりそうですが、

 死んだら、お前に全権を渡すと、念書ももらってます。

 あと、園川老から、もう対等だと言われました。

 おれ、薩摩贔屓だったけど、長州もちょっとだけ好きになりました。

 

 

 

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 二宮勇太 (♂)

 

 史実 日本人総人口6259万 

 戦記 日本の総人口6504万

 

楽天市場

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第05話 1927年 『おれ、刺されそうになった』
第06話 1928年 『おれ、メタンハイドレートでやるから』
第07話 1929年 『おれ、人脈・金脈の斬り合いで内戦してる』