月夜裏 野々香 小説の部屋

 

召喚系火葬戦記 『とある価格と魔術の』

 

 

 第14話 1936年 『おれ、2・26事件防いだ』

 「やあ、おれだよ。おれ・・・」

 「久しぶりだな。なにしてたって?」

 「ああ、ちょっと戦前の日本でさ、歴史改変してるんだよ」

 「スゲェんだぜ、おれ、貴族院の勅任議員なんだぜ。それで、男爵だし」

 「日本の国力なんか、すげぇ伸ばしてるんだよ」

 「おれがカグツチって会社作って、海外取引で大儲けしちゃってさ」

 「やっぱし、外資が発言力だよな」

 「あ、そうそう、戦艦10隻とさ。マダガスカルを交換しちまったよ」

 「あははははは」

 「いや、別に好んでやったわけじゃなくてさ」

 「なんていうの。離合集散が激しくてさ。利権政治の妥協ってやつ」

 「まったく。どこまで、おれの国家戦略構想を歪めてくれるんだって感じ?」

 「わかってるよ」

 「おれ、一応、最強派閥の党首だし。上手くやれるって・・・」

 「・・・・・・」 ため息

 「虚しいよぉ〜」

 おれは、携帯を放った。

 

 今年は、ロンドン条約脱退。スペイン人民戦線が選挙で圧勝。2・26事件。

 ドイツがラインラントに進駐。立憲民政党斎藤隆夫の粛軍演説。

 スペイン内戦勃発。ベルリンオリンピック。

 成都事件。北海事件。関門鉄道トンネル起工。

 フランクリン・ルーズベルトが再選。綏遠事件。日独防衛協定。西安事件

 録な事件がない。

 このうち、ロンドン条約脱退は避けられそうだ。

 2・26事件は、なんとか阻止したい。

 スペイン内戦は、人民戦線政府に武器を売った気がする。

 日独防衛協定は、1937年の日仏交換協定が終わるまでないな。

 西安事件は、父親を日本軍に殺された張学良が蒋介石を抗日に向けさせるため拉致したこと、

 だから計画は遂行されない気もする。

 しかし、関東軍の工作が裏目に出るのだから、馬鹿な主戦派を黙らせないと事がやりにくい、

 どんだけ、中国に侵攻したいのか。どんだけアメリカと戦争したいのか。

 もう、侵攻しないと負けとか、戦争しないと負けとか。

 馬鹿なの、死ぬの、としか言い様がない、

 何人陥れて、口を封じて、闇に葬ったことか、思い出したくもないけど、

 次から次へと、戦争キチガイが湧いて出やがる、

 だけどさ、おれに子供がいると、おれが殺されても外国資本に流れることなく、

 おれの子供に相続される。

 そして、おれの子供なら妻方の閨閥の子供に迎えられるし、

 二宮派の利権は、そのまま、妻方の閨閥のモノになってしまう可能性もあるんだよね。

 なんていうの、

 源頼朝状態? 妻閨閥の北条氏に乗っ取らますって (笑

 こういう時、独り身は辛い、

 とはいえ、おれって、楽×天召喚と知識の点で優れてるし、

 盗聴で弱みも握っている。

 まぁ あっちこっちで隠し子とか作ってるし、

 青い目の子供がいたりして (笑

 不審死とかなったら、そっちに相続が行くことにしてるから (笑

 当然、殺したくても殺せない対象になっている、と思いたい、

 実のところ、戦艦10隻とマダガスカル交換は、海軍に評判が悪くても、

 日本国全体で評判が悪くなかったよ。

 

 そうそう、おれ、日銀役員の理事になっちゃった。

 任期4年だから1940年まで。身元不詳なのに、すごいでしょう。

 自慢していい? 自慢していい?

 それで、秘密国際結社ショ×カー部隊を編成してるよ。

 もちろん、おれは、表に出ないよ。

 いま、ぶっちゃけ、日本円とアメリカドルが金融戦争していて、苦戦してるからさ、

 趣旨替えし部隊ってやつ (笑

 やり方は、ユダヤ資本とか、華僑資本の真似して、お金で河川を作るんだよ。

 ショ×カーが本流の財源で、

 ショ×カー系の宗教、マフィア、マスメディアが支流の財源になるけどね。

 たいしたことない?

 日本は国民一人一月分配って豪雨があるから勝手に作物が育つからたいしたことないけど、

 外国は、そんなのないし、中央銀行経由の砂漠状態な感じ、

 雨が降らないから、借金して水を買って、その水で田畑の作物を育てて食ってる状態、

 だから国民は余裕がないしね。外資でも支流が流れ込むと大きいんだよ。

 各国に4、50人くらいの第5列工作部隊を編成するつもり、

 だいたい、このまま、国際情勢を日独伊同盟VS米英ソ連合で戦争するとまずいでしょ

 せめて、こんな感じにしたいわけよ。

 ユダヤ資本(キング)。

 イギリス(クィーン)。アメリカ(ルーク)。ソビエト(ビショップ)

 中国(ナイト)。朝鮮人(ポーン)

 

 フランス(ナイト)。イタリア(ポーン)

 日本(ルーク)。敷島(ルーク)。ドイツ(ビショップ)

 ショ×カー資本(キング)。

 ヤバ〜い ヤバ〜い ヤバ〜い 

 総力戦で負けるよ〜

 ていうか、急いでフランスとイタリアに足場を作らないと、

 あと、なんとか、中国も味方に引き込みたいな。

 

 

1月

   英ジョージ5世死去。エドワード8世即位(12月10日には退位)

 

 

 扶桑、山城、伊勢、日向の三番砲塔と4番砲塔が剥がされていた。

 フランス人は、戦艦を通商破壊作戦で運用した方がいいと判断し、

 作戦能力と居住性の向上を求めた。

 結果、馬力は向上し、作戦能力を著しく伸ばした。

 日本の関係者たち

 「これで、フランスは、マダガスカルを取り戻そうとするんじゃないですかね」

 「フランスは、外国と戦争する余裕はないよ」

 「しかし・・・」

 「例え来たとしても撃沈できるだろう」

 「そうですか」

 「だから、売ったんだって」

 

 造船所に輪切りにされた潜水艦が並んでいた。

 潜水艦は力を入れているが、

 航空機と戦車の類は、部品の供給が多かった。

 それは、相手を必要以上に警戒させる気がなかったこと、

 建造に年月のかかる艦船を先にやっただけだった。

 そして、軍用部品でカグツチ製部品が増え、

 陸海軍が何を言おうと、規格が統合されていく、

 レーダーやソナーは、好評のようだ。

 駆逐艦に搭載して、夜間に突撃させれば、相手が戦艦でも撃沈できそうな空気が海軍から伝わってくる。

 まぁ それで、戦艦を売らせたのだが、

 96式陸上攻撃機は、レーダーが装備され、

 夜間飛行が得意で、一方的に艦船を攻撃できるだろう。

 もっとも、日本とマダガスカルの公共投資が優先で、それどころではないのだが、

 その気になれば、震電と飛龍は、すぐにでも量産できる。

 

 

 

 

 2月

  天皇機関説を提唱した美濃部達吉が、右翼に襲撃されて負傷

  スペイン総選挙で人民戦線派が圧勝。

  第19回衆議院議員総選挙

  岡田啓介内閣総辞職

 

 

 

 政界に長くいると、どういう人間が暗殺されるか、感覚的に気づき始める。

 また、派閥絡み、利権絡みからの直接的な情報や

 新聞、ラジオ、出版物などプロパガンダから意図を察し、一寸先の闇に敏感になっていく、

 というより国民一人一月五円政策のおかげか、貧富の格差が縮まり、不満分子が少なく、

 クーデターを起こしにくかったのかもしれない、

 とはいえ、関係者たちは、私兵を増やし、怖々と外に目も配る。

 飲まなきゃやっていられないこともあり、

 国内産のウイスキー、ウォッカ、ジン、ビタース、ブランデー、ラム、

 リキュール、ワイン、ビール、中国酒が試される。

 殆どは、斜陽になった工場を立て直しがてら、洋酒を作らせたもので、

 外国に紙幣を流させまいとする工作だった。

 「カクテルは面白い味になるな」

 「全部試すと、酒乱になるからほどほどにせんとな」

 「襲撃されそうな動きもあるからな」

 「格差は広がってるが、もうじき、七円にすると、新聞で公表している」

 「下級兵士の不満が減れば、クーデターなど起こさずとも・・・」

 「不満がクーデターを起こすのではなく、権力抗争がクーデターを起こすのだが」

 「だが実行するのは不満を感じてる者たちだ」

 「いくらかしら実入りが増えるのなら人を殺してまで得ようとは思わんよ」

 「たった七円でか」

 「我々にとってはそうだがね」

 「お前は、なに読んでる」

 「赤穂浪士だ。殺される前に読んでおきたい」

 「ふっ 本か・・・最近、時代物が多いな。懐古主義だろうか」

 「温故知新じゃないのか」

 「まぁ 温故知新もあるだろうが、日本人の意識を国内の権力闘争に押しとどめさせたいのかもしれない」

 「創作しやすい時代背景もあるから万遍なくとはいかないだろうが」

 「日本人は、総合的に考えられず、物事に狭心しやすい」

 「皇道派と統制派など、割り切れないものを割り切ろうとするなど、愚の骨頂だし」

 「対外的な戦略観から目を逸らさせ、日本人を内輪揉めに興じさせるにはいいのかもしれない」

 「派閥戦争を利用して、日本人同士を内輪揉めさせたい勢力があるのかも」

 「だが、軍の動きに不審はあるが、規模は、それほどでもない」

 「たぶん、一個大隊も動かせないと思うね」

 「せいぜい、クーデターを起こすなら1個連隊以上の規模がないと」

 「催涙弾を作って、私兵をおいて、待ち構えていたのにな」

 「意外に起こらなかったな」

 「そのうち、起こるんじゃないですか」

 「んん、まぁ 関係者には、注意するように促しておくか」

 

 

 

 3月

  ドイツがラインラントに進駐。

  ソ蒙相互援助議定書締結。

  中谷宇吉郎が世界で初めて人工雪の製作に成功。

 

 

 南樺太

 農林水産省は、南樺太、千島、北海道、東北に農業用のビルを建設していた。

 冷害対策として優れ、少ない人数で収穫量も大きかった。

 企業に就職され、マダガスカルに小作人が逃げられた地主は、

 地税に耐えかね、土地と交換に農業用ビルを建ててもらうことが多く、

 そこに工業や商業用のテナントビルが進出していく、

 関係者たち

 「農業用機械より、農業用テナントビルの方がいいかもしれませんね」

 「そうだな。関東や西日本でも建設してみるか」

 「そうですよ。小作人に逃げられてる地主は多いですし」

 「地税に泣いてる地主も多い」

 「寒冷対策でテナントビルを作ってあげて、対価で土地を召し上げれば、利権になりますしね」

 「「「「「あははははは」」」」」

 

 

 海軍は戦艦や大口径砲ばかり予算をかけていたが、

 マダガスカルと交換後、それをごっそりと削り、

 航空機と潜水艦に予算を振り分けることができた。

 新型戦艦建造を、といった声もあったが、全力で防ぎ、

 対空や対潜といった兵器大系を充実させる予算を増やすことができた。

  オチキス式96式60口径25mm高角機銃 (25mm×163弾)

    重量 単装785kg / 連装1100kg / 三連装1800kg

    銃身長1.5m / 全長2.296m

    発射速度120発/分   初速900m/s   有効射高3000m

    15発入り箱型弾倉

 この機関砲の銃身を6本を束ねガトリング方式に改良していく、

 高価な銃身を増やす理由は、加熱対策で、連射を容易にするためだった。

 あとはベルト式給弾に変えるだけで、発射速度を10倍の1200発に伸ばすことができ、

 1基で10倍の火力になった。

 また、高張力鋼のMPa率が少しばかり上がって軽量化に繋がっていく、

 「しかし、仕事が早いですな」

 「いいかげん、滑り止め扱いの改良じゃなく、最初から開発させてくだされば・・・」

 「あなたのところに頼むなという圧力が大きくてですね」

 「ふっ」

 「しかし、議員。1基当たりの値段が高いですな」

 「値段は、高いが軍艦の面積は狭い」

 「狭い面積の軍艦に搭載する武器は、高額になっても載せるしかない」

 「カグツチの技術で新造戦艦を建造できたら、どんなにいいか」

 「戦艦は、役に立ちませんよ」

 「どうして、そう思うのか、理解できる将校が少ないのですよ」

 「いや、理解できるが、そう思いたくない将校が多いと思いますね」

 「まぁ そういうことにしておきますか・・・」 

 

 

 

 4月

  日本・ブラジル間に国際電話開通

  ファールーク1世がエジプト王に即位。

 

 新聞に目を通していた。

 日本は経済成長率30パーセントは、戦争状態に近い、

 紙幣が次から次へと印刷され、企業は国民を雇い、マダガスカルの開発へ向かわせた。

 それは、マダガスカルに必要な物資の生産であり、同時に国内産業を拡大させる。

 むろん、国民一人一月五円政策も格差是正の為と赤字国債の帳消しのためで、

 膨れ上がる赤字国債を消すため、国民一人一月七円法案が施行されようとしていた。

 同時にマダガスカル入植者は、10年間国民一人一月二十円が支給される。

 マダガスカル入植者は、急速に増え、

 日本国内で余った土地が再開発されるはず。

 日本国内の成り金は、急速に増え、一部は、マダガスカルに向かっている。

 そのうち、マダガスカルにも行ってみるか。

 

 

 

 

 5月

  第69特別議会召集

  立憲民政党斎藤隆夫の粛軍演説

  国民一人一月七円法案施行

  マダガスカル入植者は、10年間国民一人一月二十円法案施行

 

 金融と財政は、単純だ。

 利権を擁護しないなら、国民に金をばら撒くだけで、消費が増え、

 需要を掴んだ人間が成功し、利権に頼った人間を排斥していく、

 利権を擁護するなら、格差を維持するため、国民に必要最小限の金しか与えず、

 生かさず殺さずで支配し、労働させ、

 最終的に紙幣の供給を絶って自殺させるか、犯罪者にし、権力基盤を独り占めする、

 私利私欲と天下り利権に溺れた人間を就けさせてはいけない公職や役職があった。

 そういった人間を排斥するため、何百人か買収し、何十人か陥れ、十何人か死んだが、

 今のところ、日本経済は、健全に推移し、

 マダガスカルをもう一つの日本にしようと計画を立て、開発を推し進めていた。

 大阪は、市政が廃止され、府政のみで行政が行われていた。

 四重の100m環状線は、以前の風景を一変させ、

 新幹線と地下鉄網も、さらに伸びようとしている。

 区画整理が進むと、一人当たりの敷地面積は、数倍になり、

 床面積は、十数倍になっていくはず。

 

 大阪は、お好み焼きと、たこ焼きが、定番と思ってる人間が多い、

 しかし、戦前、大阪にあったのは、原型の、のせ焼きで、

 お好み焼きが生まれたのは1950年前後と言われていた。

 所謂、戦後料理なのだが、最初、そのことに気づかず、パラレルワールドと思ったほどだ。

 そして、このお好み焼きを戦前に広めたのが、二宮議員と料理人の吉野次郎と言われている。

 お好み焼きを主食と思うか、おかずと思うかは、異論のあるところだが、

 大阪で、お好み焼きが定着したのは、早かった。

 「爺さん。随分、年寄りが増えたね」

 「みんな。マダガスカルの開発に行ってしもたよ。十年も働けば、金持ちやからな」

 「二十年も働けば家を建てられるいうしな」

 「そういえば、東北人は、もっと行ってるそうだ」

 「あったかいトコで農業やりたいやろう」

 「でも、カグツチって会社は、ええらしいから、新潟に行くのもええ手かな」

 「なるほど・・・」

 

 

 6月

  世界初の実用ヘリコプター「Focke-Wulf Fw61」が初飛行。

 

 愛知県は関東、大阪、新潟に並ぶ工業地帯だった。

 国民一人一月七円の施行で消費が増え、

 大型の工場で大規模な大量生産が必要になり、雇用も必要になった。

 しかし、土地収用は、莫大な資本を必要とする。

 土木建設産業と、工業化による雇用創出と

 マダガスカル開発で小作人に逃げられた地主が地租税を払えず困窮する。

 仕方なく再開発に応じ、土地を売って、農業用テナントビルを建設させ、

 少なくなった小作人で生産を増やすしかなくなっていた。

 高価な鉄筋コンクリートを使って建設するのは、再開発用の土地を得るためで、

 効果があると思われていた。

 「愛知県も、いい感じになってきたんじゃないですか」

 「関東と愛知と大阪を新幹線で繋いで、日本中を新幹線を走らせてみせますよ」

 「それとマダガスカルも」

 「軍部は、鉄道にアルミを取られて怒るでしょうな」

 「それでも国土を開発しないと国力で負けますからね」

 「それはそうと、洋上発電はどうなってるんですか」

 「まぁ 洋上プラットフォームを使って送電線をつなぐことになりますが」

 「少なくともメタンガスの輸送で、爆発の心配がないだけ、安心です」

 「あと、淡水プラントと人造石油精製プラントも併用できれば、産業にとって大きなプラスになるでしょう」

 「太平洋側にもメタンがあるとか」

 「深度が深くて試掘が困難だそうですよ」

 「それは残念」

 「しかし、年月の問題でしょう」

 

 

 

 7月

  コム・アカデミー事件。講座派学者と左翼系人物を一斉検挙。

  スペイン内戦勃発

  モントルー条約調印。ボスポラス海峡の新通航制度を決定。

  国際オリンピック委員会で第12回夏季オリンピック開催地を東京に決定

 

 

 16955t級客船 龍田丸 が、マダガスカルに到着する。

 バオバブの木がそびえ、木を囲むように食堂が作られていた。

 バオバブ実は甘く酸味があって意外に食べられる。

 日本人は、まだ風土に馴染んではいないが、

 神社仏閣も建てられ不思議な光景に見えた。

 敷島(マダガスカル) (58万7040ku)は、日本と異質の生態系が広がっている。

 街はスカスカだったが、区画整備が進み、道路と家並みが作られていた。

 軍人がトラックで木材を運び込むと、

 待っていた部隊が角材を組み立てて家を作っていく、

 既に加工済みの木材は、番号さえ間違えなければ、

 釘を打つこともなく、家が組み上がる。

 トイレやバスタブは、意外に大きめで

 水回りは、楽×天召喚したモノを模倣した劣化ものだった。

 それでも、この時代、信じられないほどの水準で、

 欧米列強が関税を上げているのにも関わらず、輸出されていた。

 「風景は、奇異なのに、街は、画一的な感じですね」

 「ビルと、家のタイプが一つずつだからでしょう」

 「まぁ そのほうが組立が早くなりますし」

 「どのくらい作るのです」

 「一世帯4人で計算して30万人なので75000戸」

 「75000戸が17個なので127万5000戸だったかな」

 「大雑把な計算だ」

 「むしろ、敷地面積が広いので稼いだあとに増築する方がいいでしょうね」

 「ということは、500万人がマダガスカルに済むわけですか」

 「当面の目標はね」

 「必要最低限の基幹産業を自立させたら、自動的に大きくなっていくはず」

 「邪魔が入らなければじゃないですか」

 「フランスとイギリスが対立して。ドイツとソビエトが対立する可能性が高いかも」

 「それは、好都合かも」

 

 

 

 8月

  第11回夏季オリンピックがベルリンで開幕(〜8月16日)

  ベルリン五輪から河西三省が「前畑ガンバレ」の実況

  成都事件。四川省成都で日本人新聞記者2名が殺害さる(他2名重傷)

  遼東半島、関東軍防疫部編成(1941年に731部隊と改編)。

 

 ベルリン

 おれ、ベルリンオリンピックに参席した。

 ヒットラーと握手したぜ、

 すげぇ〜!

 本物だよ。本物。

 また、自作の絵も貰ったよ。

 お返しに日本絵画をあげたけど、ちょっと損した気分。

 まぁ 顔が広いっていうのは、投資だ。

 ていうか、世の中、人脈だよ。

 ナチスドイツが すげぇ〜 マジで映画と似てる。

 ハイルヒットラー! 萌え〜!

 ドイツ女は、マジ美人〜!

 キャッホ〜!

 そうそう、傀儡のヒットラーもプライベート財源と、プライベート私兵を欲しがってるんだよ (笑

 クライアントの言うこと聞かないと、親衛隊に殺されるし、

 ドイツ人を殺し過ぎると、プロイセン系軍人からも命を狙われるんだ。

 だから、外交武官を増やして、私兵部隊を貸してあげるんだよ。

 弱点は、黄色人だから目立ち過ぎるけどね。

 でもまぁ お金は役に立つみたいだ。

 

 そうそう、ドイツ医学界で、面白い情報を聞いた。

 ユダヤ資本がアメリカで理想的な労働者を作ろうと人種交配の研究してるって、

  牧場主階級は、想像力がある、頭が良くて健康で、長生き、

  羊飼い階級は、従順で処理能力が高くて、頭が良くて、そこそこ健康で、そこそこ長生き、

  オオカミ階級は、支配階級を守る、管理階級と労働階級で邪魔な人間を抹殺していく、恨まれ役で、ぽっくり死ぬ。

  ひつじ階級は、従順で成長が早くて、就業期間が長くて、賢くなる前にぽっくり死ぬ。

 どうやってポックリ死なせるのって聞いたら調味料とか、食べ物に毒を入れるらしい、

 あと、人間にストレスを与えると癌になりやすいらしくて、癌を転移させて苦しめて殺す薬も研究もしてるって (笑

 そういうの見せると、怖がるから、保険業が儲かるらしい、

 もう、医師じゃなくて、死神じゃん、悪魔じゃん、

 おっかねぇ カーストだな。いい加減にしろよな (笑

 

 イタリアは、妙に日差しが強く、気候が良かった。

 カトリック本山の割に、国民は斜に構えて法王を見ているようだ。

 まぁ 近過ぎて神の代理人とて、自分に近いと思えるのだろうか。

 ムッソリーニは、まぁ あれだ。

 悪くないんじゃない、たぶん、普通に愛国者。

 イタリアに派遣していた武官からもバチカン経由で面白い情報を聞いた。

 あの人たち、何かやる前に、成功するか、失敗するか、反応を見ることが多く、

 バチカンの反応が気になったのだろう。

 なので注意深く、現象を追っていくと、それらしい、動きがつかめるようだ。

 “強い光が東から現れて西まで照らすように、人の子(イエス・キリスト)も東から現れるであろう”(マタイ福音書24:27)

 これをユダヤ人たちで、演出する偽再臨主計画があるらしい。

 傀儡の偽再臨主を打ち立て、キリスト教世界を踏み付けにできたら、そりゃ面白いだろうが、

 生憎、日本はキリスト教が少ない、

 たぶん、日本よりキリスト教の多い、朝鮮か、台湾か、中国の人間を使うかもしれない、

 だいたい、一神教は、一極支配が強く、

 神への忠誠か、神への反逆かの二者選択を押し付ける、

 アメリカとイギリスが二大政党を好むのもキリスト教が背景にあるのかもしれない、

 まぁ 日本も国権派の立憲政友会と民権派の立憲民政会を続けさせているけどね。

 頭にきたからイェニシェに黙示教っていう宗教団体を作らせた。

  龍=FRB  反キリスト=共産主義  偽預言者=マスメディア  獣=資本主義

 まだ、工作員の草の根運動だけど、基本がキリスト教なので、上手く浸透して、派閥を形成している。

 あれれ・・FRB、共産主義、マスメディア、資本主義・・・

 4つともユダヤ人が関係してる・・・不思議、不思議 (笑

 

 

 9月

  第1回全日本グライダー大会開催

  北海事件。広東省北海で日本人商人が殺害される

  漢口邦人巡査射殺事件

  関門鉄道トンネル起工

  ソ連でニコライ・エジョフが秘密警察長官にあたる内務人民委員に任命され、

   スターリンの大粛清が本格的にはじまる。

 

 おれ、日本でも敷島(マダガスカル)でもひたすら公共工事を繰り返し、

 ハコモノを建設させるよう世論を誘導している。

 赤字国債がどれほど増えようと、

 全国民に紙幣を一律ばら蒔けば、いずれ、税金で回収し、赤字国債を償還できた。

 また、企業を再建し、テナント工場に移すため、

 楽×天召喚で商品を買い、億単位の紙幣を消してる身としては、国民に紙幣をばら蒔かないと、

 赤字国債と紙幣不足を解消できなくなってしまう。

 今回、傾いた工場を見受けして、アイスクリーム製造機を作らせていた。

 熱帯に近いマダガスカルでアイスクリーム製造機は、好評で、

 日本だけでなく、欧米諸国にも輸出することができ、

 赤道近い地域では特に売れ、対価の資源が日本国内に入ってくる。

 そうそう、なぜか、ソビエトにもアイスクリーム製造機が売れている。

 楽×天の業務用モノモドキは、カグツチ社のドル箱商品だわ。

 

 

 

 10月

  イラクでバクル・シドキ将軍によるクーデター起こる。

 

 おれ、トランジスタの製造に成功している。

 通信や誘導に使え、

 ちょっとしたコンピュータを製造して、プログラムと計算までできた。

 まぁ 大した性能じゃないけどね。

 陸海軍将校に見せびらかしてやった。

 将校が簡単な計算式を入力させると、回答がモニターに現れた。

 そして、真空管をはるかに超える性能のトランジスタに驚嘆する。

 現場にいる人間ほど、計算の正確さと速さが勝敗を分けることを知っている。

 命中率は、弾道計算力に比例し、

 目印のない飛行や航行の航法もそういった類のものだった。

 「これも二宮議員が?」

 「ええ、国民に紙幣をばら撒くのも悪くないでしょう」

 「「「「・・・・」」」」 むっすうぅ〜

 「この手の物は、数を売らないと」

 「軍事機密だ」

 「じゃ 省庁や大手企業に固定設置ということで、間違いはないですし、仕事が楽になりますよ」

 「双方向の通信ケーブルで端末と繋げば、センターで計算した結果が端末にも出ますし」

 「軍でも役に立つはずです」

 「「「「・・・・・」」」」 ため息

 そう、また、軍に対する発言力が強まってしまった。

 

 

 

 おれ、岡山県と鳥取県の間に標高739mの人形峠にウラン鉱脈があるのを知っていた。

 ウラン鉱石は、

 ウラン235(中性子数143)は、自然比率0.7パーセントで、核分裂しやすく、半減期7億年。

 ウラン238(中性子数146)は、自然比率99.3パーセントで、核分裂しにくく、半減期45億年。

 の2種類があって、大部分を占めるウラン238は、劣化ウランみたいなもので濃縮しない限り役に立たない、

 その濃縮たるやウラン鉱石9万tから精製できる濃縮ウランは、84tほどで、

 電力不足の日本で、冗談はやめてください、みたいな膨大な電力を消費する。

 なので、ウランをプルトニウムに転換する方が安上がりらしい、

 あと、プルトニウムを熱源にした熱電対は、潜水艦の電源にできそうだった。

 熱電対は、1821年にドイツの物理学者トーマス・ゼーベックが発見していて、

 熱源に繋がった2種類の金属線の温度差で電圧を作れて、ペースメーカーで使われている。

 楽×天で買って召喚した超高い熱電対を参考にし、

 単相200V 50/60Hz 15Aの複製モドキを潜水艦や新幹線車両に載せるつもりだ。

 電源で心もとなくても数を載せれば電力の足しになるだろう。

 そうそう、ウランの崩壊熱は2900度を超えるので、

 融点が3800度と高い炭化タンタル容器に入れて熱源にする必要があるが、

 熱電対方式なら原子力発電所と違って危険分散できた。

 ちなみに広島に落としたリトルボーイのウランが50kgで、実際に核分裂を起こしたのが1kgに過ぎず。

 84tだと1680個分の広島型原子爆弾になる。

 さ て と おれも辛いんだけどさ、

 やらないきゃいけないことがあるんだよね。

 精製工場に男たちが集められていた。

 “あっ!”

 「久しぶりだな」

 “二宮ニダ・・・”

 「ふっ 出撃」

 “出撃・・・議員。まだ、安全の確認が・・・”

 “ほかに道がないわ”

 “で、でも、これは、まだ・・・”

 “二宮。なぜ、呼んだニカ?”

 「お前たちが考えている通りだ」

 “じゃあ、ウリたちに、これを扱えって言うニカ?”

 「そうだ」

 “嫌ニダ。なにを今更ニダ!”

 “二宮は、おれたちがいらないんじゃなかったニカ?”

 「必要だから呼んだまでだ」

 “なぜ、朝鮮人ニカ?”

 「日本人には、無理だからな」

 “そんな、見たことも聞いたことも無いのに、出来るわけ無いニダ!”

 「説明を受けろ」

 “アイゴ・・・!”

 “できっこないニダ!”

 “こんなの扱えるわけないニダ!”

 「扱うなら早くしろ。で、なければ朝鮮に帰れ」

 ““““・・酷いニダ・・・・・”””””

 

  

 

 11月 

  アメリカ合衆国大統領選挙でフランクリン・ルーズベルトが再選

  東京・永田町に国会議事堂落成

  方面委員(民生委員の旧制度)が法制度化(方面委員令、勅令第398号)

  ドイツとイタリアがフランコ政権を承認

  尾去沢鉱山沈殿池決壊事故(秋田県鹿角市、死者362名)

  日独防共協定締結

  水晶宮 (The Crystal Palace) 焼失。

 

 

 議員たちの茶会

 “フィリピンにアメリカ海軍。戦艦2隻、重巡2隻、軽巡2隻、駆逐艦8隻を配備”

 “二宮派と軍部の鉄鋼の奪い合い激化”

 「奪い合いとか酷いな。軍部も鉄骨鉄筋コンクリートを使ってるじゃないか」

 「南洋の島じゃ 島流しだからな・・・」

 「島流しが嫌なら軍隊なんて辞めりゃいいのに」

 「というより、島流しの防人でもいいっていう人間を将校や士官にすべきだね」

 「能力より、意欲ですか」

 「ていうか、頭の良さで選んで、独り善がりなエリートに暴走されたら始末に負えない」

 「まぁ 確かにそうですが」

 「戦闘で負けるのは困るよ」

 「南洋の島は、利権を守るために暴挙に出るやつや、戦果を挙げて、それ以上の損失を出すバカより」

 「粘り強く時間を稼いでくれる指揮官がいい」

 「しかし、フィリピン沖のアメリカ艦隊を横切って、マダガスカルに行くのは、怖いだろう」

 「むしろ、アメリカ艦隊は、日本の潜水艦を怖がってるかも」

 「それより、カグツチは4発爆撃機を開発量産できるって?」

 「試作機を飛ばしたよ」

 「軍部は値段に驚いていたけど」

 「たぶん、アメリカが開発したという4発爆撃機より優秀だよ」

 

  97式戦略爆撃機 連山

   重量17400kg/32150kg

   全長23m×全幅32m×全高7.2m  112u

   1800馬力4基  563km/h  航続距離5470km

   20mm機銃8丁  爆弾・魚雷 4000kg

 

 「ま、取り敢えず、月産10機くらいだけどね」

 

 

 12月

  陸軍戦車学校開校

  ソビエト連邦でスターリン憲法が制定される。

  (英11日)英エドワード8世退位。ジョージ6世即位

  西安事件

  第70議会召集

 

 

 日本石炭産出5000万t + 輸入1000万t

 日本の石油生産量60万t + 人造石油2基20万t / 石油消費700万t / 石油備蓄量1050万t

 日本の発電生産量2300万kw

   = 水力1820万kw + 火力発電420万kw + 洋上メタンガス発電プラットフォーム 6基60万kw

 

 マダガスカル発電  34万kw

   = 水力17万kw + 火力発電17万kw 

 

 

 おれってば、特高20人を送って、蒋介石にスターリン画策と裏切り工作があることを伝えさせた。

 経緯は、まだ聞いていない、

 しかし、蒋介石は、指揮連絡機に乗って命からがら中国国民軍の陣営へ逃げ延び、

 裏切った将校と部隊を鎮圧したらしい。

 そうそう、外務省によると、なぜか、アメリカの外交官が不機嫌らしい。

 なぜ、ソビエトの画策が失敗すると、アメリカが不機嫌なのか、不思議だが、

 ソビエト製の緑色の紙幣のせいかもしれない、

 まぁ お互い様だし、このことは言及しないでおこう (笑

 

 

 

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 二宮勇太(8)

 二宮由紀(5)

 二宮翔太(2)

 

 洋上メタンガス発電プラットフォーム 6基 

 洋上人造石油精製プラットフォーム 2基

 

 

 史実 日本人総人口7011万

 戦記 日本の総人口7623万  (敷島11万9000人)

 

 日本49万8177ku。台湾自治区56283ku。朝鮮人自治区120540ku。

 関東州3462ku。南洋諸島2475ku。

 

 

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第13話 1935年 『おれ、もっと、軍事してぇ!!!!』
第14話 1936年 『おれ、2・26事件防いだ』
第15話 1937年 『おれ、盧溝橋事件も防いだらしい』