月夜裏 野々香 小説の部屋

 

召喚系火葬戦記 『とある価格と魔術の』

 

 

 第21話 1943年 『おれ、この世界にきて・・・・』

 “き、気をつけろ”

 “あいつらは、危険だ”

 “危険なのは軍部なのか?”

 “ち、違う”

 “なんだ。ゼネコンなのか”

 “利権だ”

 “利権?”

 “金融、マスメディア、資源、電力、軍事、ゼネコン、農業、保険、年金・・・”

 “なんでもいい、基幹産業なら、なんでもいいんだ”

 “愛国利権で格差を維持できるのならなんでもいいんだ”

 “聖域と世襲を餌に私腹を肥やし、共産主義を拡大できるのならなんでもいいんだ”

 “愛国ぶってる悪魔に気をつけろ”

 “偽善者ぶってる悪魔に気をつけろ”

 “利己主義と拝金主義者に気をつけろ”

 “や、やつらは・・・”

 “やつらは利権屋だ。愛国を叫んで国を強くしようとするが、愛国者を殺す”

 “利権屋は、大衆を扇動するが、決して、大衆と同じ土俵に立つことはない”

 “利権という名の幕藩体制で聖域を作ろうとするだろう”

 “必ずマイノリティを利用して格差を維持し、大多数の国民を犠牲にし支配する”

 “格差を維持するために戦争を望み国民を殺すだろう”

 “やつらは、地位に居座り肥え太りながら採算を悪化させ、国家を食い潰し、国民を虐げ・・・”

 “し、しっかりしろ!”

 “やつらの本体は・・・”

 “やつらの本体は、き、きんゆ・・・”

 がくっ!

 “××××〜!!”

 “××××〜!!!!”

 “××××〜!!!!!!”

 ていう映画を作った (笑

 

 

 おれ、この世界に来て20年

 40にして惑わず。50にして天命を知る。60にして耳順がう。

 70にして心の欲する所に従って矩を踰えず。

 などと言われてはいますがね。

 歳をとりました。

 毎日毎日、権力闘争とか、市場競争とか、嫌な思い出ばかりです。

 あいつらの手口には、まったくもって呆れますよ。

 なんで、おれがここまで戦おうとするのか、なにと戦ってるのか、誰もわかってくれないのですよ。

 それで、わかっていない利権屋どもが保身と組織拡大と天下りのために外患誘致してるし、

 日本を焼け野原にしようと全力疾走してるし、

 こっちは、それをことごとく躓かせてきました。

 殺されそうになっても当然といえば当然か、

 

 そうそう、

 パナマ運河爆破の自作自演で、アメリカとイギリスに宣戦布告されちゃったよ。

 したくなかった戦争だけど、始まっちゃって、どうしたものかと思うわけですよ。

 もう、おれの努力と苦労の半分が水泡に帰しました。

 どこで、どう間違えたのやら、

 おれ、フラグに気付かなかった?

 アイテム取り損なった?

 イベントを外した?

 それとも、そもそも、戦争不可避の無理ゲー?

 だいたい、×夜×の野郎の作品は、淡々と不戦して美味しい思いしてるじゃん、

 おれだってできると思うじゃん、

 セーブしてぇ〜〜!!!!!

 とはいえ、

 閨閥だし、勅任議員だし、男爵だし、歳もとってきてるし、

 子供は学習院に行かせてるし、子供の時代か、

 今年、15歳の勇太 12歳の由紀 9歳の翔太 5歳の慎治は元気にしている。

 経済的に安定してるし、余裕があるので、隠し子も何人かいますよ てへっ♪

 

 戦況は、アメリカもパナマ運河爆破とか壮大な自作自演で、パナマ運河がしばらく使えず自縄自縛、

 マレー半島は落としたし、

 フィリピンもアメリカ軍をバターン半島に閉じ込めてるし、

 オランダを寝返らせて、インドシナの資源を買えるようになったし、

 敷島(マダガスカル)沖海戦は、第二次世界大戦で最大の転機になったし、

 何しろ、アメリカ海軍とイギリス海軍の主力を海底に葬ったからね、

 ただ、戦果が大き過ぎて “おれたちの艦隊がこんなに強いわけがない” みたいな

 集計が本当に正しいのか、海軍本部が疑心暗鬼に陥って、発表を曖昧にしてるそうです。

 ていうか、集計結果がおれの支持基盤になっちゃうんで、怖くて公表できません、みたいな。

 おれ、どういうふうに見られてるんだろうな (笑

 

 

 1月

  イギリスとアメリカが、当時日本に占領されている中華民国での租借権を放棄し、中国に返還

  アメリカ国防総省のオフィス、ペンタゴンが供用開始。

  パナマ再建

 

 おれ、オランダ大使と会食してる

 オランダは、日本寄りの中立にとどまっていた。

 「いやはや、日本海軍は、なかなか、お強い」

 「勝敗は時の運。今回は、運が良かったのでしょう」

 「なるほど、しかし、凍結資産1億をパナマ運河再建に無利子で貸出しは、運でないでしょう」

 「それが、なにか、面白い話しでも?」

 「アメリカ人の対日戦意が低下しましてね」

 「中国に嫌がらせさせて、日本に中国大陸に侵攻させ」

 「アメリカ国民に日本人のダーティイメージを植え付けてから」

 「日本と戦争する計画を立てたようですが上手くいかなかったようです」

 「じゃ 運が良かったわけですか」

 「ですが、次は、そうもいかないでしょう」

 「アメリカ軍将兵は、もう、日の丸猫と戦闘すると思っていませんし」

 「次は、油断しないと思いますよ」

 「なるほど」

 「そういえば、凍結資産1億の貸し出しも、日の丸猫も、あなたが関わっていたそうですね」

 「そう言う噂が流れていますか」

 「「あはははははは」」

 「そうそう、彼らは、日本人とドイツ人を最大の敵と定めて、地上から根絶する気ですよ」

 「そ、それは怖いですね」

 「彼らにとって、それだけ、日本が脅威ということでしょう」

 「・・・・・」

 

 

 おれ、とある会合に呼ばれてノコノコ行ったら、

 今回の敷島(マダガスカル)沖海戦の功績が認められ、伯爵位を頂きました。 

 伯爵位が、どんだけ凄いかっていうと、

 伯爵は29家しかなく、

 大納言まで宣任の例多き旧堂上、徳川旧三卿、旧中藩(現高5万石以上)知事、国家に勲功ある者。

 超〜 特権階級。

 まぁ 伯爵位の末席だし、上には、公爵家7家と侯爵10家があるんですけどね。

 有名無実な華族も多いので、その中では、群を抜いて超成り上がりなのですよ。

 役職が増えたので、生産性を押し上げて、土地収用と企業集約をさせました。

 陸海軍は新兵を欲しがりましたけど、

 やる気のない人間に銃を持たせたって、足手纏いだから盾にするでしょうし、

 生産力が大事と、徴兵制を認めませんでした。

 偉い人に、本当に大丈夫なの? って聞かれましたので、

 戦線を無用に拡大せず、兵站が維持できるなら、負ける気がしませんと、答えました。

 軍人たちの殺意の篭もった視線が突き刺さって痛かったですけど (笑

 

 

 ドイツがビスマルクとティルピッツを

 フランスがリシュリュー(長門) ジャン・バール(陸奥)と、リール(榛名)、リヨン(霧島)を

 通商破壊で出撃させ戦果をあげたようです。

 ついでに貨物船に砲弾や治具を載せて護衛して、敷島まで来たそうです。

 

 

 エジプトからの情報が集まる、

 情報源があると便利だね。

 アメリカやイギリスが開戦前に火砲や戦車をエジプトに輸送していたのが効いているのか、

 エジプトのイギリス駐留軍は、まだ、ドイツ・イタリア枢軸軍の攻勢を防いでいる。

 しかし、それも、あと僅かで燃料切れになるはず、

 惜しむらくは、イタリア軍の攻勢力が弱く、カイロに届かない、

 ドイツ主力軍は、対ソビエト戦で苦戦していて、

 フランス軍も、対アメリカ軍とイギリス軍相手の戦いで苦戦している、

 しかし、駐留イギリス軍が弱体化し、

 敷島(マダガスカル)沖海戦で日独仏艦隊が米英艦隊に勝利すると、

 エジプト・イギリス駐留軍の補給は困難になる、

 エジプトの権勢は、枢軸国寄りに移行し、駐留イギリス軍と妥協が進んで、

 中立とスエズ運河国有化が宣言されるらしい。

 

 

 日本海は、日本海軍が支配している。

 日ソ戦争で極東ソビエト艦隊を壊滅させたあとは、特にそうだが、

 北朝鮮区画がソビエト領に入ってしまうと、前途多難だ。

 おれ、洋上ウラン精錬プラットフォームの上にいる、

 ウラン精錬は大変だよ。

 二大ウラン鉱脈の東濃鉱山(4590t)。人形峠(1945t)からウラン鉱石を掘り出し、

 ウラン鉱石(ウラン235=0.7%。ウラン238=99.3%)を化学処理して、遠心分離でイエローケーキを作り、

 六フッ化ウランに転換しつつ、

 核分裂しやすいウラン235の割合を0.7%の7倍〜10倍の3〜5%に濃縮し、ウラン燃料を精錬する、

 さらに濃縮率を128倍。90%に高めた原子爆弾の弾頭を製造している。

 これが冗談抜きに大変な作業でな。

 高濃縮のウラン弾頭2tか、低濃縮の精錬ウラン燃料30tを製造するのに、

 鉱滓13万tと、ウラン残土240万tを出し、その後処理まで面倒を見なければならない、

 それだけやって、エネルギー比は ウラン30t = 天然ガス110万t = 石油140万t = 石炭220万t となる、

 エネルギー換算するならウラン鉱石240万tを採掘するより、

 石炭220万を採掘して燃料で使う方がエネルギー効率が合理的だよな。

 膨大な資材と労力と予算と電力を浪費しても得られるエネルギーが少なく、

 原子力を発電として利用することの馬鹿らしさは、天文学的なほど非効率と思うぜ。

 だけど、原子爆弾が必要だしな。

 ウラン精製がある程度、進むと、洋上ウラン精製プラットフォームでの作業になる、

 円柱の遠心分離機が百何十基も並んでウラン235の濃縮を繰り返していく、

 低濃縮ウランは、7倍〜10倍で3〜5%まで濃縮しても爆発しない燃料に過ぎない、

 核爆発させる高濃縮ウランの原子爆弾は、さらに洋上核弾頭精製プラットフォームに移し、

 ウラン235を128倍以上に濃縮し、90%まで濃度を引き上げなければならないが、

 起爆性が増すため扱いがさらに厳重になる、

 プルトニウム精製は、低濃縮ウランの段階で、洋上原子力発電プラットフォームに移し、

 抽出精製するのだが、プルトニウムが割安になりやすい、

 どちらにせよ、この馬鹿げた浪費で、一番、効率的な使い道は軍用になる。

 作業が進むにつれ、作業員の白内障、肝臓癌、肺癌が進み、白い布に包まれたモノの数も増え、

 厳重に封印され、ウラン残土と一緒にマリアナ海溝に捨てられていく運命だ。

 やべぇ やべぇよ。原子力。やべぇ〜よ。

 おれ、マッドサイエンティスト自称してるけど、いい加減、退くし。流石に滅入るわ、とか、

 おれ、悪魔の仲間入りかよ。とか、

 おれ、民度低下してる。とか、思いながら作業が続く、

 「伯爵。気化爆弾と集束爆弾だけでも、この戦争、勝てるのでは?」

 「そうかもしれないが、マルタ島を基地にした連山爆撃隊が気化爆弾と収束爆弾を実戦使用する」

 「どんな性質の爆弾なのか、アメリカにもイギリスにも知られるはずだ」

 「たぶん、2、3年内に気化爆弾と収束爆弾を開発するだろう」

 「そして、アメリカが原子爆弾を開発している」

 「開発は、日本が早いが。規模はアメリカの方が大きいからな」

 「最低でも原子爆弾を1発持っていないと」

 「原子力発電は、プルトニウムを作るためのブラフですかね」

 「石炭を燃やす方がエネルギーで得になるならそうだろうね」

 「まぁ なんにしても洋上プラットフォームで原子力発電しつつプルトニウムをシコシコ作るならともかく」

 「発電を目的とする原子力発電は、馬鹿としか思えんね」

 「熱電発電は、非効率だと思うのですが」

 「熱電発電を通信用の埋設型電源で考えるなら、分散発電にしたほうがいい」

 「崩壊熱でプルトニウムを精製したら、原子爆弾で使うか。原子力潜水艦で使うか」

 「極寒地開発用か、極寒地歩兵用の携帯熱電器で使うかだね」

 「プルトニウムで熱電とは、高い携帯用電源だな」

 「それで、作業員や兵士が温帯地並みに働けるのなら割得だよ」

 

 

 2月

  アメリカ軍のドワイト・D・アイゼンハワー将軍がヨーロッパにおける連合軍の司令官に任命。

  ナチスによって「白いバラ」運動のメンバーが逮捕される。

  ゲッベルス独宣伝相がベルリンのスポルトパラストで行った演説で総力戦を宣言(総力戦演説)。

  エジプト中立化と、スエズ運河国有化を宣言

  

 スペイン人を経由した情報が届いた。

 アメリカ人のファイティングスプリットの原動力は、リメンバーパナマだった。

 ドイツ、日本、フランスがパナマ運河爆破をやったというのだから、

 トンデモ言い掛かりなのだが、アメリカ国民には意外に信じられているらしい、

 たしかに中南米・南米の留学生を増やし、工作員にしていた。

 しかし、情報集めや情報操作。または、足場を提供するための工作員でしかなく、

 ヒットマンや破壊工作員でない、

 だいたい、日本人で、アメリカと戦争したがるとか、

 敵の間者か、保身と利権で正気を失った間抜けくらいのものだ。

 まぁ たくさんいたけどね。

 

 

 特高との密会は、三角木馬トラウマがあって緊張する。

 こいつら、自分が日本の秘密を支配してるとか、自分は特別とか、自分に酔っている連中だし、

 影のように、おれに付き纏っている。

 いまでは、特高の派閥一角を押さえ、そこそこ交渉できるようになっていた。

 しかし、おれが身元不詳の調査対象であることに変わらない、

 「戦況はいいようですな」

 「敷島沖海戦の勝利。エジプトの中立化で日独仏伊の連絡も可能になった」

 「大半は、伯爵。あなたのおかげだ」

 「そりゃどうも」

 「しかし、将兵は、戦功を欲しがってる」

 「ここで、一気に畳み掛ける方がいいのですがね」

 「香港のことを聞いてるのなら、聞く耳は持たないよ」

 「時々あなたが、味方なのか、敵なのか、わからなくなるよ」

 「国家戦略のない国は存在しない。生き残り戦略を持たない民族も存在しない」

 「しかし、利権を追い過ぎて、国益を損ないやすのは、日本人の悪い癖だ」

 「それに特高が少しでも情報に携わっているのなら、敵味方で割り切れるものじゃないだろうに」

 「たしかに」

 「しかし、なんとか、アメリカ人の戦意を挫けないものか」

 「アメリカ人がパナマ運河爆破のことでアメリカ政府に疑惑を持てば、戦意は低下しますね」

 「パナマ運河爆破テロの自作自演を疑ってるアメリカ人は少なくない」

 「しかし、敷島沖海戦後、日本脅威が強まって、懐疑派が減ってるそうだ」

 「勝ちすぎたか」

 「アメリカ国内でも、日本脅威の声は増えてるようですから」

 「それでも、パナマ運河爆破は、アメリカの政府と軍と資本家の陰謀であると世界中に喧伝しますよ」

 「いい考えですな。予算があれば・・・」

 「少ない予算でも人は信じたいものを信じる」

 「だからアメリカの陰謀論は、中南米の国民に信じられるし。ニカラグアの留学生は役に立つよ」

 「そう言ってくださると助かりますよ」

 「戦争になれば、軍部ばかりもてはやされるが、実際は、情報戦が戦況に与える影響が大きい」

 「特高は、日陰者で嫌われ者ですが、あなたがいると予算が増える」

 「ふっ」

 どこの利権屋も根底は、同じだった。

 

 

 東京湾

   クレマンソー(伊勢)、ガスコーニュ(日向)。

   ノルマンディー(金剛)、フランドル(比叡)。

   シャルンホルスト、

   リュッツォウ、アドミラル・シェーア。

 

 ドイツとフランスの戦艦5隻、ポケット戦艦2隻が並んでいるのを見ると、すげぇ 壮観。

 ああ、でも、フランス艦隊は、元日本の戦艦部隊なんだけどね。

 損傷艦が多く、使い切った砲弾も必要なので、

 敷島やシンガポールで修復できない艦艇を日本で修復することになったよ。

 イタリアでも修復できると思うけど、信用されてない、

 ていうか、イギリスに配備された米英航空部隊5000機が怖くて、とてもじゃないけど、帰還できそうにないし、

 地中海は行けるけど、西部戦線と西アルジェリアの米英空軍も2000機が配備されて、水上艦艇は動かしにくい、

 そうそう、将兵たちの証言と写真を確認すると、敷島沖海戦は、ほぼ間違いのない戦果だったらしい。

 戦果を拡大できればいいのだけど、燃料がありませんでした。

 だけど、エジプトのスエズ運河国有化と中立宣言と、

 日本軍が強いことがドイツ軍とフランス軍に認められたのか、

 マルタ島とキプロス島を日本の軍管区にしていいことが決まる。

 これ、損だよね。

 物凄い消耗だし、面白くないよね。

 でも地中海に領土があると、スエズ運河の航行で武器弾薬の行き来がさせやすいとか、

 大義名分が大きから軍部は、その気になってるし、こうなると止まらないよ。

 まぁ ドイツ軍とフランス軍を支援しつつ、アメリカ軍とイギリス軍に被害を与えられるのなら悪くないけど、

 だいたい、紛争地キプロス島の面倒なんて、正直、微妙・・・

 

 

 

 横須賀造船所

 4200t級海龍型潜水艦の建造が続いている。

 アメリカとイギリスに最大の損失を与えていたのが潜水艦で、

 それは、敷島(マダガスカル)沖海戦後も変わらない、

 海龍型潜水艦を北大西洋に進出させると、護衛空母や護衛艦を撃沈し、

 対潜哨戒力が弱体化したところで、Uボートが襲撃し、船団に損害を与えていく、

 これは、意外に効果があった。

 「議員。先ほど、空母2隻がパナマ運河を通過して、太平洋に配備されたそうです」

 「たぶん、大西洋に派遣している日本の潜水艦を太平洋に回航させたいのだろう」

 「ですが、アメリカ太平洋艦隊は危険では?」

 「まぁ 危険だが、情報じゃ 空母6、7隻をドック入りさせている」

 「総数を減らせばいいのであって、大西洋であれ、太平洋であれ、変わらない」

 「太平洋の方が帰還しにくいのでは?」

 「そうだろうが、船が沈んで人が死んでも、ドイツとフランスの潜水艦のせいにできるだろう」

 「「「「あはははは」」」」

 

 

 エジプトの中立化で日独仏伊の船舶の行き来は、通行費の問題だけとなるけど、

 戦争当事国の兵器・武器弾薬の移動は、制限されてしまう。

 でも軍艦は、大丈夫みたいだ。

 フランスもスエズの株を持っていたみたいで、

 国有化に際して、その辺の調整は、フランス人がやったかな。

 だから、修復したフランス戦艦の帰還は、スエズ経由、

 ドイツ戦艦もスエズ経由で欧州参戦できなくないけど、

 なんか、フランスが嫌いらしい、

 あと、スエズ運河を通過しても、トルコ領ボスポラス海峡を通過しなければならないし、

 こちらも戦争当事国の兵器・武器弾薬の移動は、制限される。

 やれやれな話しだけど、エジプトもトルコも、まだ中立を維持するつもらりらしい、

 なので、直接的な軍需物資でない、人員、機械、資源の行き来だけが自由になった。

 日本にすれば資源を送るより、兵器・武器弾薬で支援する方が国内産業を育てられて好都合だし、

 戦訓も得られるはずだった。

 それで、なんやかんやで、エジプトとトルコと協定を結び、

 一月、航空機100機、戦車50両、火砲400門、小銃20000丁の通行枠を獲得した。

 でも日独仏伊との交渉は難航する。

 そりゃ 規格の違う兵器・武器弾薬なんて、整備、補給、編成で困るって話しだが、

 こっちは、こっちの事情があるじゃん、

 でもなぁ 対価がな・・・・

 同盟国は、譲渡地や租借地も無いし、植民地独立よりうまみないしな・・・・

 まぁ 日本軍将兵が死ぬよりいいけど、と思ってたら、

 ウジウジしてる日本に焦ったのか、フランス軍が全部買い取りで、

 敷島(マダガスカル)周辺のフランス領の島

 コモロ諸島。マヨット諸島。グロリオソ諸島。セーシェル諸島。トロムラン島。

 レユニオン島。モーリシャス島を対価でくれるらしい、

 フランスも負けそうな上に、工場が全てドイツ製兵器を造らされて面白くないのだろう。

 主力兵器が全部他国製とかなってしまったら、そういう気分になるわな (笑

 だけど、正直、軍人に殺されそうになってたので、助かりました。

 物造りで、領地が増えるなら、そっちが健全っしょ

 

 

 映画館で、ニュース映像が流れた。

 潜水艦内での生活模様だ。

 潜水艦そのものが軍機の塊で、非公開が大きい、

 たぶん、敷島沖海戦の勝利が、軍機公開を部長級から係長級まで引き下げさせたらしい、

 この館内は、表向き休館で。

 軍属関係者限定で、一般公開されない、

 知人同士が身元を確認し合って入場することになっていて、

 外国人は入場できないどころか、

 守秘義務の書類に指紋を押し、名前を書かされ、写真まで撮られる。

 現場の上司は、一部しか見ることができないが、全体を共有できない、

 もちろん、自分たちが作っているモノが、

 どういった形で戦果に繋がるのかも確認できない、

 それでは、戦争に勝てるのか不安になり、

 自棄酒が増え、上司の影響は、部下に出て悪影響が波及する、

 そのため、こういった軍機に関わるようなニュース映像が必要になった。

 それは、欧米でも同じで、似たような映像を流しているはず、

 勝ってる国は、作るのに苦労せず。

 負けてる国は、作るのに苦労してるだろうと、同情を禁じえない、

 艦内の様子が大まかに映り、艦長や副長が海図を睨んでいる。

 音響で艦船の機関音が聞こえる。

 艦長は、敵艦の機関音を頼りに艦の方向を定め、雷撃準備を整えつつ、

 潜水艦を浮上させた。

 潜望鏡は、光学カメラだけでなく、レーダー測定機や暗視カメラと一体になっている。

 戦艦ニューヨークとテキサスと、護衛艦6隻の相対位置、相対距離、相対速度を確認すると、

 魚雷発射を調整し、方位を修正しながら、魚雷を発射していく、

 魚雷を発射すると、潜水艦は、潜航していく、

 あとは、魚雷の移動する音、

 そして、ニューヨークとテキサスの移動していく音だけが聞こえる、

 しばらくすると、命中音6つと爆音6つ、圧壊音3つが艦内に届いた。

 “概ね。戦艦2隻と駆逐艦1隻の撃破。駆逐艦3隻の撃沈” と、映像にテロップが出る。

 参謀本部は、おれが気に入らないのか、形容詞を減らし、数字をひかえめにする傾向がある。

 マジむかつくぜ、

 音響魚雷は、空母以外の艦艇は、1隻1本が決められている、

 潜水艦は、戦果確認もせず、次の獲物を探して、移動していく、

 あまりにも淡白な映像に観客は、拍子抜けするが、

 この時代の潜水艦では、浮上して敵を確認する前に雷撃準備をするなど、ありえない手順と、

 魚雷は網をかぶせるように発射していくのが常識で、

 仮に音響魚雷だとしても、魚雷同士が干渉し合わないなど、ありえず、

 全弾命中も、ありえない命中率だった。

 また、敵の確認と浮上から雷撃して潜行する速度の一つ一つが異常な早さだった。

 隣にいる駆逐艦の艦長は、当然、青褪める、

 青褪めるのは、敵が同等以上の力があると前提に思っているからで、

 敷島沖海戦も映像が流れた。

 雷燕戦闘機と零戦がF4F戦闘機やドントーレス爆撃機を追い詰め撃墜していく映像、

 連山が空中魚雷を投下すると、白煙を曳きながら敵艦に向かって、突入し、命中する光景、

 明らかに次元の違う敵と戦っている。

 アメリカでは、この逆バージョンの映像がホワイトハウスの映写室で流れているはず、

 潜水艦と航空機が、戦艦10隻とマダガスカルを交換させた。を頷かせる戦果が流されていた。

 映像は淡々としていたが、戦果の映像があまりにも多いと、表情が変わる。

 『日本は、ひょっとして、負けないんじゃないの』

 誰しも、そう思い始める頃、映画ニュースが終わる。

 アメリカ海軍とイギリス海軍が日本海軍を恐れ、

 艦隊を近づけられない、理由がわかる気がした。

 

 

 

 3月

  北海道倶知安町布袋座で大火災発生。

  大阪商科大学名和統一教授ら治安維持法違反で検挙(大阪商科大事件)

  首相の権限強化などを含む戦時行政特例法・戦時行政職権特例等公布

  日本初の国産長編アニメ映画「桃太郎の海鷲」が公開される。

  建物疎開実施(東京と大阪の過密地帯における空襲時の延焼防止のための空地帯が指定)

  アメリカ・ニューヨークのブロードウェイでミュージカル「オクラホマ!」が初演される。

  マルタ島に第03師団。キプロス島に第09師団と欧州航空部隊の派遣が決まる。

 

 

 フィリピン バターン半島

 徴兵させず生産力を重視したため、将兵より武器弾薬が多くなり、

 不足分の兵力をフィリピン人に任せることにしました。

 独立フィリピン軍を創設させ、アメリカ軍を包囲攻撃せました。

 

 陸軍は、ビルマのヤンゴンに第2師団、第6師団を上陸させさせました。

 目的はイギリス軍との戦闘でなく、

 ビルマ独立軍とインド自由軍を編成させイギリス軍と戦闘させるためです。

 南機関がラングーンに住むビルマ人とインド人に武器を渡したら

 もう、イギリス軍が怒ったこと怒ったこと、

 遮二無二攻撃してきて、97式戦車がなかったら危なかったらしい。

 

 

 そうそう、ナイロン製気球爆弾を製造している。

 短波送受信機と、赤外線探知機、方向舵がついてて、

 都市に向かって飛ばし、爆弾を落とせるようにしている、

 短波を送受信できるから、だいたいの高度、位置、速度がわかるし、

 適当な場所で落とせそう、

 いいんだけどさ、

 無差別爆撃になるから最初はビラまき用で、

 あと、報復用かな。

 

 

 4月

  空襲警報放送にサイレンを採用

  アルバート・ホフマン、LSDの幻覚作用を発見

  ニューカレドニア海戦

  ワルシャワ・ゲットー蜂起勃発。

  東条英機内閣改造。

  イギリス・スコットランドのアバディーン、第二次世界大戦中で最大の空襲を受ける。

 

 アメリカからの石油は途絶えていたが、

 中国大慶油田の石油と、オランダ領インドネシアからの石油は届いていた。

 あとソビエトとは、貿易が継続されて、石油が手に入る。

 そして、樺太や新潟から細々と産出する石油と、

 新潟沖には洋上メタンガス発電プラットフォーム12基と、

 洋上人造石油精製プラットフォーム8基が稼働し生産する発電と燃料があった。

 これらが、この戦争経済の未来を支えていると行ってもいいくらい、

 単純に掛け算の問題になるからね。

 問題は、アメリカと交易していた頃の資源量より2割減くらい、

 幾つかの分野は、金をばら撒いても、インフレになるだけで、生産量が上がらない現象も見られた。

 各省庁の調整で、壮絶な争奪戦で勝ち得た卒業生が新潟工場に就職してくる。

 巨大工場で97式連山陸攻を量産していた。

 月産30機年間360機

 連山の積載量は4000kgで、

 800kg航空魚雷4本。1665kg潜水艦用魚雷2本。2800kg艦艇用魚雷1本。

 600kg40式誘導弾6発。800kg通常爆弾5発。500kg爆弾7発。50kg爆弾70発。

 魚雷や爆弾を入れたユニットを内装すると簡単に完了してしまうが、

 ユニットの重量は差し引かれる。

 その軍事的威圧力は、アメリカのB17爆撃機と、イギリスのランカスター爆撃機と並び、

 空対艦ミサイルや音響魚雷。クラスター爆弾を投下することから攻撃力が増している。

 艦艇用魚雷を装備できるようにしたのは、

 開発されるであろうVT信管を恐れての長射程のほか、破壊力の大きさもあった。

 艦隊の前後左右からタイミングを合わせて音響魚雷を落とせば、敵艦隊の将兵は泣きたくなるだろう。

 もっとも戦果報告は、曖昧になって個人の戦功争いが薄れてしまうが、

 勝ちゃあいいので、そんなこと知ったことか、と言えなくもない、

 軍人との会話

 「トランジスターで攻撃のタイミングを合わせやすくなったし、今後も被害を減らしやすくなるはず」

 「でもなあ、タイミングをずらして、一番槍とか、敵将を取ったとか」

 「戦功を上げて、同期を出し抜きたいとか。昇給と昇格したいとか、郷土で誇りたいとか」

 「すげぇ 戦意高揚になるんだけどな」

 「敵の弾に向かって突撃する頃、後悔しても知らんぞ」

 「まぁ そうだけどねぇ・・・」

 「なに?」

 「議員って、戦場の怖さみたいなの実感してるような気がするけど。戦場に行ったことがあるので?」

 「ん・・・・ん・・・頭が!・・・」

 「「「「・・・・・」」」」 じーーーー

 「頭が痛い!・・・・」

 「「「「・・・・・」」」」 じーーーー

 「頭が〜〜!・・・」

 「「「「・・・・・」」」」 じーーーー

 最近、この迫真の演技が人を白けさせていることに気づき始めた。

 

 

 釜山港を出航する大型貨客船に97式戦車が積み込まれていく、

  38t級97式戦車

    全長9.41m×(車体長6.70m)×全幅3.18m×全高2.4m

    720馬力  速度50km  航続距離300km   

    71口径88mm砲  7.62mm×2丁

    乗員4人

 

 「「「「あははははははは」」」」

 フランス将兵とドイツ軍将兵が笑い転げた。

 「はぁ はぁ はぁ 日本人。これは、なんの冗談だ」

 「猫耳だ」

 「「「「あははははははは」」」」

 「本物そっくりに動く」

 パタパタ パタパタ パタパタ パタパタ

 「「「「あははははははは」」」」

 「はぁ はぁ はぁ なんで戦車に猫耳をつけたのか教えてくれ」

 「敵を油断させるためだ」

 「「「「あははははははは」」」」

 「はぁ はぁ はぁ そ、それで、敵は油断したのか」

 「日ソ戦争では、効果があった」

 「本当かよ」

 

 西部戦線に投入される97式戦車は、戦線の混乱を避けるためドイツ製70口径75mm砲が装備され。

 真空管に変えたモンキーモデルの赤外線暗視装置が組み込まれていた。

 97式戦車は、T34戦車を一回り大きくした最優良戦車として、名を馳せることになったが、

 それは、ドイツ製主砲に換装した型でも性能は遺憾なく発揮された。

 というより、日ソ戦争での97式戦車の戦場が限られたためか、

 極東ソビエト軍将兵の報告は、負け犬の自己正当化のホラ話にされ、

 絵を描かされたソビエト軍将兵が正直に砲塔についていた猫耳を描き入れると銃殺にされた。

 フィリピン、マレー、ビルマの二線級植民地軍将兵の戯言に耳を貸す本国軍将校もいない。

 というわけで、西部戦線で、ようやく、97式戦車のデビュー戦となる。

 針金と油紙で作られた猫耳イミテーションは、愉快な戦場を演出するかもしれないが、

 この猫耳戦車は、凶暴で、

 長射程だけでなく、夜間の待ち伏せなどでも、M4シャーマンを葬ることができるはずだった。

   M4シャーマン

    重量30.3t 車体長5.84m×全幅2.62m×全高2.67m

    400馬力  速度38.6km/h(整地) / 19.3km/h(不整地)   行動距離193km

    37.5口径75mm戦車砲 M3 (90発) or 52口径76.2mm戦車砲 M1 (71発)

    12.7mm M2機関銃×1 (600発)  / 7.62mm M1919機関銃×2 (6250発)

    5名

 

 

 5月

  ヨシフ・スターリンの指示によりコミンテルン(第3インターナショナル)が解散。

  ヨーゼフ・メンゲレがアウシュヴィッツ収容所の主任医療士官に就任。中学生以上の学徒勤労動員決定。

  トラック島空襲

  御前会議、大東亜政略指導大綱を採択。

  独立フィリピン軍がバターンのアメリカ軍を降伏させる。

 

 

 東南アジアをどうするか。

 とある会議が行われる。

 フィリピン(29万9404ku)の日本利権は、譲渡地1497kuと租借地1万4970ku。

 マレーシア(32万9847ku)の日本利権は、譲渡地1649kuと租借地1万6492ku。

 ビルマ(67万6578ku)の日本利権は、譲渡地3384kuと租借地3万3829ku

 日本の取り分は決まってるのだが、

 陸軍を上陸させ、独立機関を作って現地民に武器を渡して軍事的に独立させ、

 さらに選挙させて、行政機構を作らせないといけない、

 道のりは、かなり遠い、

 しかし、一旦、独立させてしまえば、取引しながら資源を得ることができた。

 そして、譲渡地と租借地の利権配分の折衝があって、

 金融閥、建設閥、鉄鋼閥、軍閥、工業閥、船舶閥、電力閥、農業閥など複雑に絡んでいた。

 「次をインドでなく、中東か、南アフリカにするのは、どうかと思うが?」

 「ソビエトと協力して、中東の油田は押さえたいのですな」

 「ソビエトは敵だろう」

 「戦争はしてませんよ」

 「ソビエトは、いつ戦争になってもおかしくないのだが」

 「日本に必要なのは石油であって、インドではない。インドは後回しでもいいと思いますよ」

 「しかし、上陸作戦といった難易度の高い作戦はしなくてもいいし、陸地伝いでニューデリーを目指せる」

 「山脈超えは、大変だろう」

 「事前に気化爆弾が使えますよ。盆地ごと衝撃波で圧死させられますし」

 「アメリカ軍やイギリス軍の武器弾薬をそのまま、手に入れられますし」

 「現地人もな」

 「現地人には、宗主国軍の武器弾薬の誘爆と、説明をしている」

 「いつまで騙せるのやら」

 「敷島は、中東油田があれば経済的に独立しやすい」

 「ドイツとフランス戦艦に協力してもらって、ハワイを砲撃すると言うのもありかと思うが」

 「軍はそういうけど。産業は、そうもいかない」

 「もっと、洋上プラットフォームを建設していいなら構わないけど」

 「そうなると、また、軍と鉄の取り合いになるな」

 「むしろ、燃料で独立したいから洋上プラットフォームを建設したい」

 「そんなに鉄がやれるか!」

 「「「「「・・・・・」」」」」 ため息

 「二宮伯爵は、どう思うね?」

 「いま一番不足気味なのは、燃料で、中東石油が好ましいでしょう」

 「次は、工業用ダイヤで南アフリカを押さえることが望ましいかもしれません」

 「残念ながらインドが一番楽なようです」

 「上陸作戦でダッカ港を押さえ、ガンジス河を遡上して行けば、ニューデリーに到達できそうです」

 「また、チャンドラーボースが船頭役をしてくれそうです」

 「ただ、産業界としては、石油も工業用ダイヤもないので、浪費の割に面白みにかけます」

 「人造ダイヤは生産してるのだろう」

 「明らかに足りませんね」

 「テナントビルなんぞ建設するからだ」

 「家と生産拠点は、大切ですよ。余剰地もね」

 「そんなのは平時でやればいいんだ」

 「だから平時でやってたじゃないですか」

 「ふん!」

 

 

 

 

 

 6月

  第82臨時議会召集。

 

 

 ビルマの少年は、イギリス人に父を殺され、母と妹を犯されて殺され、

 同胞のはずのビルマ人に鞭打たれ、半死半生のまま捨てられていく

 いつもそうだった。

 ビルマ人はバラバラに孤立し、団結することもできない、

 イギリス人に歯向かうと必ず虐げられ、見せしめで殺され、

 同胞にすら見捨てられる、

 その光景を見る者は恐怖のあまり、イギリス人に抵抗する心を折られてしまう。

 “イギリス人め、イギリス人め、くっそぉ〜 くっそぉ〜!!!”

 “力さえあれば・・・力さえあれば・・・ちくしょううううううう〜!!!”

 “子供、おまえ、名前は?”

 ビルマ人の少年が顔を上げると太陽を背にした男が立っていた。

 “・・・テ・・・テインタン”

 “力が欲しいか”

 “・・・・・”

 “契約を結ぶなら、お前に力をくれてやろう”

 少年の前に38式小銃が差し出された。

 映画館でビルマ戦線の映像が流れていた。

 日本人に組織編成されたビルマ人は、戦略と戦術と武器の扱いを教わって訓練し、

 射線を掻い潜るようにイギリス軍の陣営に銃口を向け反撃していた。

 日本軍が来るまで、イギリス人に銃口を向けるなど夢にも考えられないビルマ人だったが、

 隊列を組んで銃撃すれば、イギリス軍は戦線を後退させ、

 日本軍の戦闘機が上空を舞って、イギリス空軍機を撃墜し、

 日本軍戦車が砲撃すればイギリス軍は敗走して行く、

 ラングーンを解放したビルマ独立軍の祖国回復は始まったばかりだが、

 ビルマ人は歓声をあげ、

 ビルマ軍の士気は高まっていた。

 本気でイギリス軍を打倒し、祖国を建国する意気込みも感じられた。

 地元で戦うなら補給は単純だった。

 しかし、遠征し補給線が伸びるほど兵站が苦しくなっていく、

 通ごのみが観るなら、映像の端々に日本人が映り、

 補給線など重要な部署に配置されている。

 映画は、実写と演出が巧妙に絡んでいた。

 

 

 日本領舟山群島 (1371ku)

 中国の大陸資源を加工し、製品を中国へ輸出する、

 そして、日本で作った商品を保管し、必要なとき、中国大陸へ輸出する。

 中国とは、険悪であると同時に最大の取引相手でもあった。

 超ムカつくことに舟山を足場に上海侵攻したがるバカが次々と現れ、

 現れるたびに抹殺している。

 ていうか、舟山開発が終わっていない、足場すらなっていない状態で、大陸侵攻とか、

 陸軍将校はどんだけ昇給と昇格に狂ってるの、

 頭の中を開けて見たいくらいだ。

 満漢全席

 「中国は、落ち着いてきたようだ」

 「香港をとってもいいあるか」

 「中国がイギリスとことを構えてもいいのならね」

 「日本が香港をとると思ったある」

 「中国にイギリスの敵になって。日本の味方であってもらいのでね」

 「軍に香港を取らせないよう抑えるのに苦労したよ」

 「そうあるか。そろそろ、準備が出来たので、香港を取りに行くある」

 「まぁ 頑張ってな」

  

 

 

 7月

  B25爆撃機8機が日本本土(幌筵島)へ初空襲。

  国民徴用令改正公布。

  アメリカ・イギリス両空軍によるドイツのハンブルクへの空襲作戦(ゴモラ作戦)開始。

  香港で中国人が暴動を起こして略奪が始まる。

  トラック空襲

  

 新聞に戦争の趨勢や戦況が載せられていた。

 敷島沖海戦後、米英海軍と日仏独伊海軍の戦力比が引っ繰り返る。

 しかし、日仏独伊の余剰戦力が足りず、利害の不一致で連携も取れず、反撃が進まない、

 「ドイツとしては、日本はソビエトに宣戦布告するか。フランス戦線。あるいはアルジェリア戦線に派兵すべきですな」

 「ソビエトは中ソ中立条約を結んでますし。日本に必要な資源を供給してくれるのですよ」

 「それに日本は、21個師団しかなく。フランスやアルジェリアに派兵しても連携がむつかしいはず」

 「せいぜい、ドイツ、フランス、イタリアに武器弾薬か、資源を供給するだけでしょう」

 「列強が自衛のための師団だけとか、ありえないだろう」

 「いい加減、同盟国に兵力を依存するのをやめたまえ」

 『この野郎。社会基盤と基礎工業力が足りないのに軍に疲弊させられてたまるか』

 『しかし、中東の石油も欲しいし、そうなると、ソビエトとの関係で疑われる。どうしたものか・・・・』

 「なるべく、国内の意見をまとめましょう」

 「アメリカの艦隊再建は早い。早急に頼みたいね」

 「善処しますよ」

 「日本人の善処は信用できないからな」

 「「「「あはははははは」」」」

 

 

 

 8月

  B24爆撃機9機が柏原飛行場と片岡海軍基地(占守島)を爆撃。

  香港暴動が激化し総督は、マカオに亡命

 

 喫茶店は、そこそこ賑わっていた。

 贅沢は敵だと言われながらも自重してくれ程度で収まっている、

 だれでも気晴らしで、お茶ぐらい飲みたいわけだ。

 新聞で太平洋戦線を読む場所は、ビルマ戦線のラングーンの情勢。

 どこまでビルマ独立軍を育てられるかで、次の戦線を広げることができる。

 ビルマ独立軍を5個師団から8個師団にできるなら自衛できるだろうし、

 イギリス軍を巻き返せるだろう。

 その分の武器弾薬をビルマに供給しなければならないが、

 旧式化しつつある38式小銃や野砲は、くれてやれる。

 そういえば、戦功争いで、ニューブリテンとか、ソロモンとか、ニューギニアとか、

 戦線を広げたがる将校がいたが、押さえさせた。

 同期に戦功争いで負けては面白くないのだろうが、

 全方位で戦線を広げては、補給が続かないし、

 国内の社会基盤が足りず、設備投資が間に合わないのでは、敗戦国家と変わらない、

 まともに社会基盤や設備投資もしないで、戦争とかありえない。

 今回は、成長する日本を潰しておきたいとアメリカとイギリスが思ったのだろう。

 あまく見られていたわけだが、

 アメリカ海軍の再建も始まっていて、今度は、油断していないはず、

 欧州の主戦場は、西部戦線と東部戦線なのだが、

 主戦場ではないが、アルジェリアに上陸したアメリカ・イギリス軍と、反撃するドイツ・フランス軍の戦いも焦点になる、

 勝敗が決まれば、大きな影響を与える。

 あと、独仏の通商破壊作戦。

 戦艦部隊は日本で修復すると、戦隊を作って出撃していく、

 日本空母が交替で後衛について、南大西洋で戦うつもりらしい、

 あまり賛成してないのだが、

 おれのすること、なすこと、全て難癖つけてくる変な奴がいるんだよね。

 馬鹿なじゃないのって、感じだけど、済し崩しに決められた。

 おれの派閥も中核は、議会の2割弱で、利害しだいで3割から5割ほど増えるけど、

 戦争が始まると強硬派が強くなるし、

 おれの戦略と派閥も全能じゃないというわけだ。

 

 

 

 9月

  鳥取地震、

  B25爆撃機12機が幌筵島攻撃。B24爆撃機8機が柏原前進地を爆撃。

 

 

 アメリカとイギリスの戦争目的は、幾つもあって重複している。

 世界大戦なんていうのは、何回もできることではないから、戦争目的の重複化も仕方がないのかもしれないが、

 ドイツの反ユダヤと、ユダヤの独立。

 ドイツのソビエト侵攻と、反政府で瓦解しつつあるソビエトの存続。

 台頭する民族国家主義の解体。

 ドイツ、フランス、日本の弱体化と経済支配。

 植民地存続。

 シナリオライターがいるとしたら、大変な労力を費やしている。

 天文学的な資本があるのなら、国内だけでなく、国外にも役者を配置し、

 我田引水を試してみたいと思うかもしれない、

 どんな真っ当な意見でも、金と広告と権力と暴力の力で押し流せるのだから、

 だけど、残念でした。

 この世界、もう一人、シナリオライターがいました。

 しかも手口も知ってました。

 インディアンみたいに武器を渡されたからって、積極的に撃ったりしません、

 日中戦争で日本の国力を浪費させませんでした。

 資産凍結でも石油輸出禁止でも開戦させませんでした。

 アメリカが撃ってくるのを待ちます。

 とか思ってたら、自作自演のパナマ爆破テロで開戦とか、かなり追い詰めたかも (笑

 でも戦争に負けたら、爆破テロの犯人にされちゃうしな。

 なんにせよ。

 おれ、日本が工業で自立するだけでなく、資源で自立させていたから、

 それがアメリカとイギリスを慌てさせたのだろう。

 彼らの対日戦争の目的は、日本から工業の独立を奪い、資源の独立を奪うことであろうと推測でき、

 3・11パナマ運河爆破テロに繋がったのだろう。

 そして、戦争が始まっても、北樺太油田開発が進んでいる。

 戦争中に何やっているんだかと言えなくもないが油田開発しないとジリ貧だ。

 どうしたものやら、

 

 

 

 

 トランジスターの生産が進むにつれ、情報処理関連の人材が増えていく、

 当初、プログラムは、8ビットで構成され、

 工場の工程管理、品質管理、搬出搬入管理に使用されていた。

 しかし、軍事用となると、古参将校が理解しやすい日本語プログラムが好まれ、16ビットへ移行した。

 その分、トランジスターの生産と並列処理は、膨大になるが、プログラム人員が増え、

 人海戦術で、C4Iシステムモドキの指揮統制管制処理の開発を進めることができた。

 このビルは、艦船に似た構造で建設され、

 次期、艦艇設計開発のための試金石になっていた。

 情報管制処理の要求が大きくなるほど、

 戦闘指揮所(CIC)と併設する電算室の占める空間は、広がる一方だった。

 そして、早期警戒管制機型の建造物もあって、

 試作開発されたトランジスター装置が運び込まれ、何度も組み直されていた。

 「二宮伯。素晴らしい出来ですな。まるで、100年先の軍艦のようだ」

 「次の艦艇開発は、このシステムになると思います」

 「しかし、これだけの電算室を内包しようとすれば、30000t級の規模になりそうだ」

 「でしょうね」

 「しかし、こういった開発は、軍専用する方がいいと思いますね」

 「まさか。民需で人材を水増ししてるのに軍専用でやれるわけ無いでしょ」

 「少数精鋭でやればいいでしょう」

 「分母を大きくして選抜するから精鋭を作れるのであって、最初から分母を小さくしてたら精鋭の編成なんて無理でしょうが」

 「実に我田引水な意見ですな」

 「どっちが・・・」

  

  97式戦略爆撃機 連山

   重量26400kg/32150kg

   全長23m×全幅32m×全高7.2m  112u

   2100馬力4基  563km/h  航続距離6470km

   レーダードーム

 新型2100馬力級向上型火星エンジンを装備した早期警戒管制機型 連山 は、

 高度8000mで半径338kmの探知距離を有していた。

 

 

 

 10月

  朱鞠内湖ダムが完成。

  フィリピン第二共和国成立

  ドイツのソビボル強制収容所で大脱走事件発生。

  第83臨時議会召集。

 

 インド・太平洋戦線は、フィリピン軍がアメリカ軍を降伏させて独立していた。

 ビルマでもビルマ独立軍(5個師団)の錬度が増し、英印軍に反撃できるようになると、

 武器弾薬を補給するだけで戦えるようになっている。

 そして、日本の軍需生産が増し、余剰兵力が生じると、さらに戦線を拡大できるため、

 独立勢力とパイプがあり、組織を拡大できるのなら、武器弾薬を供給できるようになっていた。

 武器を渡すだけで、アメリカ軍とイギリス軍の戦力と国力を削いでくれるのなら悪くなく、

 ある程度の勢力になれば、陸軍を上陸させ、独立軍を編成した後、武器を渡すこともできそうだった。

 「議員。今日、戻ってきた潜水艦の艦長がエセックス型空母を雷撃したらしい」

 「撃沈は、確認していないが4本が命中したそうだ」

 「じゃ 累計すると今年、空母12隻に被害を与えているということになるのか」

 「うち8隻は、護衛空母で、多分、沈没しているはずらしいからな」

 「そういえば、ドイツが海龍型1隻と最新のUボート20隻を交換したいと申し出てきたらしいが」

 「ああ、断ったよ」

 「ジェットエンジンもつけるという話しもあるらしいぞ」

 「いや、こっちも飛ばしてるから」

 「しかし、互いに学ぶところもあるだろう」

 「ないと思うね」

 「そんなに技術に自信があるわけがないだろう」

 「技術は、分母の総数が大きければ、分子の技術も高くなる」

 「成り上がりが生まれやすい国は、成り上がりの生まれにくい国より、産業が大きくなるからね」

 「日本は、ドイツより成り上がりが多いから、きっと、工業力も勝ってるよ」

 「ふん、だがな。貴様のおかげで、何年か前に瀕死だった下町の社長が、今では、わしよりお金持ちというのが珍しくない」

 「それがいやなら、負けないように競争するんですな」

 「「「「・・・・・」」」」

 「議員。陸軍の展開を急がせた方がいいのでは?」

 「ビルマ戦線を広げてからの方が安心なのだが」

 「じゃ 陸軍を増援させて戦線を広げて早期にビルマを独立させた方がいいか」

 「ビルマ人自身の力で独立させた方がいいんじゃないかね」

 「だいたい、日本人を無駄に殺したくない」

 「無駄ということはないだろう」

 「自国民や国土を守るために戦って戦死なら無駄ではないよ」

 「しかし、自国領にもならない他国で国民を殺すのは、面白くない」

 「そ、そこはそれ、条件次第じゃないか」

 「そうだね。犠牲になる人間と、美味い汁を吸う人間に分かれるってことね」

 「「「「・・・・・」」」」 ため息

 

 

 新聞に西部戦線の様子が描かれていた。

 訓練を終えた38t級97式戦車は、西部戦線ブルターニュ半島南部の平原に配備され、

 初戦は、深夜、38t級97式戦車20両が、30t級M4戦車97両と激突、

 フランス戦車隊は、戦力比が分からないまま、暗視装置に映るM4戦車と戦い続け、

 蓋を開けるとM4戦車87両を撃破しても損失がなく、戦線を10kmも押し返していた。

 これは、44.8t級5号パンター戦車や57t級6号タイガー戦車の対M4戦車のキルレートに近く、

 T34戦車を破壊する最有力戦車としてドイツ軍でも注目され、ライセンス契約を結ぶことになった。

 

 また、日本の零式戦闘機ゼロ戦と、1式戦闘機雷燕もフランス空軍で運用されると、

 Bf109メッサーシュミットやフォッケウルフFw190と同等以上の性能を見せた。

 最もレーダーは真空管に変えられ、性能が低下しているはず、

 それでもフランス空軍は、制空権を押し返せると、士気を上げているらしい。

 

 もう一つ、連山爆撃機部隊をマルタ島に進出させている、

 因みにマルタ島は、日本の軍管区になっている。

 夜間爆撃で気化爆弾と収束爆弾を投下し、敵師団ごと粉砕した。

 

 東京でドイツとフランスとイタリアの代表団と交渉が始まる。

 東南アジアの資源の割り振りと共同作戦の擦り合せで、どうしても欧州作戦に引っ張られる。

 百歩譲って西部戦線ならいいが、東部戦線に関わると、ソビエトと開戦になりかねない、

 ソビエトとの外交交渉では、日本との戦争を避けるような意図が見えているが、

 それは、日本、ソビエト、中国が三竦みになってるからで、

 戦況次第で、どう転ぶか、わかならなくなる恐れが強かったからだ。

 ソビエトが欧州で戦っていながらも一定の戦力を極東に配置しているのも、

 日本が極東に軍事力の主力を温存させてるのも

 その三竦みが原因だった。

 日本軍の西部戦線投入は防げえたが、武器弾薬の半分がフランス軍へ送られていく、

 

 

 

 11月

  内閣印刷局が官制改正により大蔵省印刷局となる。

  鉄道省と逓信省が改組により運輸通信省へ、また商工省と農林省を廃止し、軍需省と農商省を設置。

  橿原測候所が文部省から運輸通信省に移管。

  東京都都の紋章を制定。

  岩手県二渡神社が郷社に昇格し社名を大槌稲荷神社と改める。

  イギリス空軍440機によるベルリン空襲。

  ベルリン・ドイツ・オペラ歌劇場が破壊される。

  富山県魚津市の大火。

  トラック空襲

  

 

 航空機は、機首に近い位置で主翼舵を動かす方が機体の負担が少なく、機動性が良かった。

 機首から離れた機体後方の主翼舵で機首を持ち上げるようなことは、避けるべきで、

 レシプロ機は、重量の重いエンジンを主翼の揚力で支えるため牽引式が合理的と言えた。

 ジェットエンジンは、推進型となることから、

 機首から最も離れた機体後部に重量物のジェットエンジンが配置され、

 重量を支える揚力の主翼か、

 機首に近い主翼舵で機動性の主翼かで苦しむことになる。

 推進型レシプロ配置の雷燕が生まれたのは、高速性能を追求と、レーダー装備のためで、

 前尾翼機となったのは、レーダーとエンジンの釣り合いで、高速性能を発揮させるためだった。

 これは、後代の欧州ジェット戦闘機の三角翼形式と事情が似ており、

 雷燕をジェット機に改造した機体にも当てはまる、

 推力より耐久性を重視したため推力が足りず、レーダーの重さも制限され、

 レーダーとジェットエンジンの重量比から震電に似た前尾翼型戦闘機となった。

 「ようやく、ジェット機型雷燕ですか。長かったような」

 「納得のいくジェットエンジンに手古摺りましてね」

 「戦争中に完成度を高めようとか、悠長なことだ」

 「将軍。戦死でさえ、製造責任を感じるのですよ」

 「移動中の事故死では、自棄酒が増えて生産効率が悪くなるだけでなく」

 「将兵の軍部に対する不信にもつながりますからね」

 「議員は、気にし過ぎですよ。むしろ、戦線投入の遅れによる死傷者を憂うべきだ」

 「あなたは気にしなさ過ぎだ。むしろ、無為な戦線の拡大を戒めるべきだ」

 「「・・・・」」 ぶっすぅ〜〜

 「まぁ いいでしょう。これでB29爆撃機は怖くないわけだ」

 「艦上戦闘機としても使えるなら、その気になればハワイも叩けるでしょう」

 「向こうから来たの艦隊を叩き潰す方が心理学的に相手を追い詰めるのですよ」

 「心理学。ですか。こちらの神経が磨り減りますな」

 「レーダーがあれば可能ですし。最小の犠牲で最大の打撃を与えられる」

 「勝ちに行きたい将兵が多いのですがね」

 「待てば勝てるのに、無駄に兵を消耗させては、損するばかりだ」

 「それに勝てますよ。次はアラビア海か、インドか、南アフリカですから」

 「いつになるのやら」

 「西部戦線への支援次第で左右されますが、ビルマ独立が軌道に乗ってからでしょう」

 「「「・・・・」」」 ため息

 ジェット戦闘機化した雷燕が飛び立っていく、

  キ47重戦闘機 雷燕U

   重量3525kg/4950kg/5272kg

   全長9.76m×全幅11.114m×全高3.55m   翼面積20.50u

   推力1250kg2基  960km/h  航続距離2000km

   20mm機銃2丁

   レーダー装備 

 

 

 原子爆弾の製造が進むと、

 原子力発電の形も考えられていく、

 そりゃ 莫大な熱エネルギーだし、プルトニウムは欲しいもの、誰だって思いつくわ。

 しかし、利権屋は、どこの国も同じだ。

 蒸気タービン型原子炉のアイデアを出してくる。

 ウランを独占して燃やして電気料金を得る利権のスパイラル。

 ウランを得るために予算を得て、

 電気を作って売って、金を徴収し、

 核廃棄物を捨てれば、維持管理するだけで、お金が入ってくる。

 そして、プルトニウムは核兵器の材料になるし、

 決して、天下り利権を手放そうとはしない。

 そりゃ 関係者は、永続的にお金が得られるから美味しいだろうけどさ、

 そういうのやめてくれないかな。

 プルトニウムやウランは、欲しいけど核兵器とか原子力潜水艦のためだから。

 原子力発電は小規模でいいって、

 まじで、そう思うわけよ。

 

 

 

 12月

  新10円札発行、

  アメリカ貨物船の積荷だったマスタードガスの流出も加わって多数の死傷者が発生。

  アメリカで1929年以来の世界恐慌の終結が正式に宣言。

  第二次世界大戦のための軍需生産によって失業者が急速に減少し、

  連邦議会の決定によって公共事業促進局が廃止。

  インターナショナルに代わる新しいソビエト国歌が制定。

  ボリビアで軍事クーデター発生。

  第84議会召集。

 

 

 日本石炭産出5000万t + 輸入1000万t

 日本の石油生産量200万t + 人造石油9基90万t / 石油消費850万t / 石油備蓄量800万t

 日本の発電生産量2570万kw

   = 水力1880万kw + 火力発電480万kw +  地熱発電80万kw

      +  洋上メタンガス発電プラットフォーム 13基130万kw

 

 

 マダガスカル発電  817万kw

   = 水力547万kw + 火力発電270万kw 

 

  

 夜間に汲み上げた水で電気を作る揚水発電が進んでいた。

 産業は、発電力と燃料の消費に比例する。

 それは、戦争が始まっても同じで、

 生産ラインが重点生産品に絞り込まれていくと民需生産品のラインが減る、

 表面上、軍需景気のプラスと、民需が冷え込みのマイナスで、生産総量は変わらない、

 そこでサービス残業とやらで生産を増やそうとすると、工場を余計に動かすため、揚水発電の時間が減り、

 総電力が不足しがちになっていく、

 結局のところ、電力と燃料の生産増加を怠れば、軍需生産の伸びも止まる、

 「もっと、ぶっ殺してでも、発電所と工場を作るべきだったかな・・・」

 「「「「・・・・」」」」

 「後悔、先に立たずだな」

 「「「「・・・・」」」」

 電力量と燃料が生産力に繋がっているとようやく気づいた軍将校たちも、

 二宮派が裏でやっているかもしれない暗殺や謀略劇に薄々気付いた軍将校たちも

 先任や同期が次々と葬り去られていたことを思い出して黙り込む、

 「間伐材を使った発電所も足しにしないと生産が追いつかないかもしれません」

 「議員。次の新卒者のことを言ってるのでしたら、困りますよ」

 「発電や燃料を増やさないと、潜水艦を建造しにくいでしょうが」

 「一回り小さい潜水艦を大量生産するほうがいいのでは?」

 「それは、ドイツとフランスにやらせればいいでしょう」

 「同じものをたくさん作るほうが整備しやすいですし、戦いやすいのですよ」

 「敷島の電力生産の多すぎるのでは、労働者の一部を日本に引き揚げさせるべきかもしれません」

 「敷島も70ヶ所で水力発電を建設してるので、完成すれば、大きな生産力になりますよ」

 「だが戦力になっていない」

 「武器は供給してますし、敷島を守れる戦力だと思いますよ」

 「議員は敷島開発をどう思われてるのですか?」

 「まぁ あまり賛成していなかったが、決まったのなら開発するしかないでしょう」

 「よほど戦艦をどうにかしたかったようにしか思えませんな」

 「現に、いらなかった」

 「あればあったで、縦横無尽に戦えた」

 「アメリカとイギリスの日本侵攻を押しとどめているのは、航空機と潜水艦であって。戦艦じゃない」

 「戦艦は、キャリアの根城だけじゃない」

 「場所をとる粗大ゴミどころか。貴重な人材や燃料や資材を浪費する厄介者・・・」

 「議員!」

 「事実だ」

 「「「「・・・・・」」」」

 

 

 

 

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 二宮勇太(15)

 二宮由紀(12)

 二宮翔太(9)

 二宮慎治(5)

 

 洋上メタンガス発電プラットフォーム 13基 

 洋上人造石油精製プラットフォーム 9基

 

 

  史実 日本人総人口7390万

  戦記 日本の総人口8602万  (敷島520万人)

 

 

 

 日本49万8177ku。台湾自治区56283ku。関東州3462ku。

 舟山群礁1371ku。南洋諸島2475ku。

 祟明島(1225ku)。

 敷島(マダガスカル)58万7040ku。

 新北方領土51万2610ku

    (カムチャッカ半島472300ku、北樺太40310ku、ウラジオストック500ku)

 

 

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第20話 1942年 『3・11パナマ運河爆破テロと・・・』
第21話 1943年 『おれ、この世界にきて・・・・』
第22話 1944年 『目標、一人一個プルトニウム熱電乾電池』