月夜裏 野々香 小説の部屋

 

召喚系火葬戦記 『とある価格と魔術の』

 

 

 第29話 1951年 『おれ、殺されるかも・・・』

 モノを作って売って利益を上げて、楽×天でモノを召喚して、モドキを作って、

 モドキを売って、利益を上げた金で、楽×天でモノを召喚して、モドキを作って、

 モドキを売って、利益を上げた金で、楽×天でモノを召喚して、モドキを作って、

 モドキを売って、利益を上げた金で、楽×天でモノを召喚して、モドキを作って・・・・

 この繰り返しで、ここまで来ましたけど、

 終身の勅任議員と伯爵の地位と、

 マッドサイエンティストの名誉と、

 政商っていう財産を得ましたけどね。

 相変わらず、モドキを売って、利益を上げた金で、楽×天でモノを召喚して、モドキを作って・・・

 

 そうそう、未来の日本人の腰抜けぶりは、いい加減に情けなくなったけどさ、

 しかし、敗戦してない日本は、判官贔屓な人間が常にいる。

 彼らは、生きているのだろうけど、こいつら骨あり過ぎ、

 ていうか、判官贔屓で、反発されているの、おれだし (笑

 もう、何百人も説得したようなだけど、猪苗代遷都は、少しずつ進んでる、

 まぁ 二宮遷都とか、影口叩かれてるけどさ、

 カムチャッカ半島もあるから、政治の重心が北に行ってもしようがないよね。

 土地の収用もだけど、送電とか、地下鉄網とか、上下水道とか新しく作らないとだから、大変、

 そうそう、帝都の地下にも、ちょっと一般人に言えないようなものが (笑

 取り敢えず、磐梯山の中腹に皇居を作らないとだね。

 おれも、首都建築は、木材で作ろうかな。でも、そういう神業な技工ないしな、

 まぁ 生活環境は大切だよね。

 どちらにしてもさ、保守系利権の人たちが殺意の篭もった視線を向けてくる、

 全然違うじゃん、

 ×夜×は、戦記で、簡単に遷都してるんじゃん

 やれやれ・・・

 

 

 そうそう、FRBの0.01パーセントの紙幣賃貸権で、わかることは、幾つもある。

 人口を紙幣発行量で割って、一人当たりの紙幣発行量が増えると、経済が拡大し、

 一人当たりの紙幣発行量が減ると、経済が縮小する、

 財政投資が企業向けになると格差が広がり、

 財政投資が福祉に向かうと格差が是正される。

 こればかりは、個人の能力や実力や努力とか関係ないというより、

 満ち潮や引き潮の前の、さざ波のようなものだ。

 いまのところアメリカは、表面的に戦争需要と散蒔かれた紙幣で繁栄している。

 しかし、紙幣発行量が少なく、財政投資が増え、海外投資も増加してる、

 利権が紙幣を集めて格差を広げている、

 社会資本が減少すれば、いずれ弱い順番に自殺させられるか、犯罪に走らされる。

 隣人、親子、夫婦、兄弟で殺し合いも始まるだろう。

 社会的に殺されるのを望まなければ、長いものに巻かれて事勿れればいい、

 それは、死んだ人間と同じで、生きてるとは言えないし、

 存在してないのと同じかもしれないが、

 水の供給を止めて、利権を集めてる連中がいるのに、

 あぶれ組同士が殺し合いながら奪い合うとか、

 殺す相手を間違えてんじゃないのって、思うわけよ。

 まぁいいや、死ぬのはアメリカ人だし、

 こっちは、少しでも利権を拡大できる相手と組めるなら (笑

 でもねぇ 私利私欲で経済を縮小させ、

 均等に税金を取り上げている決定をしてるのなら、

 あるよね。

 殺意

 

  

 

 1月

 南極の基地が軌道に乗ったらしい、

 南極開発は、他財閥専任で、カグツチは、ハブられてたから気にしてなかったけどさ、

 流石に電力と保温で泣きついてきた。

 ざまぁ〜 (笑

 

 

 「大型空母は、絶対に必要です」

 「しかし、電子部品工場の建設が決まってる」

 「そんなもの何の役に立つ」

 「いや、必ず、役に立つから」

 「あんたの利権のための国防じゃないんだよ」

 「いや、いずれ遠くない未来は、全国民が恩恵受けるから」

 「国民の一番の恩恵は、国防なんだよ」

 「いやいや、原子爆弾があるから、普通、そんな国に攻めてこないから」

 「そんなのわかるか」

 「いや、普通そうだから」

 レアメタルとカーボンナノチューブと放射性物質を使った研究を進めている、

 例えば強力な磁場は、アルファー粒子やベーター粒子を閉じ込め、安全性に繋がる、

 一方、凶悪なガンマー線、中性子線の封じ込めを厚みに頼ると一般的な原子炉になりやすく、

 携帯用といかなくなる、

 大戦でもそうだが、小さな部品の成否が戦局を変え、戦場を支配した。

 次の戦争も小さな部品の成否が戦争の趨勢を変えてしまう。

 って 未来を知ってるおれは、わかってるもんね、

 ていうか、わからない奴らが、反対してる、メチャムカつくわ、

 

 

 

 2月

 10000t級穂高型巡洋艦がようやく就航しました。

   全長176m×全幅21m×吃水6.2m

   ディーゼル機関電気推進10000馬力   10000海里/20kt   速度30kt

   52口径155mm砲2基  25mmガトリング機関砲4基

   対空ミサイル40基(射程20km)  対潜魚雷20基(射程30km)  対艦ミサイル20基(射程80km)

   対潜ヘリ1機 or 無人対潜ヘリ4機

 

 旧式巡洋艦を使って、ぼちぼち、実験改装していたけどさ、

 いよいよ。本格的な巡洋艦を就役させたよ。

 ICを生産してるので、初期的なC4Iシステムを装備してるし、

 それくらいの技術格差が開いてしまってるので、

 ていうか、普通に建造するより、3倍も高いわ、

 でもまぁ 毎年1隻ずつ建造、

 あと、新造空母も建造しないと・・・・

 予算的に泣きたくなるような嬉しいような。

 カグツチで空母を建造するんだけどね (笑

 そうそう、対潜ヘリもなんとか、運用できそう、

  50式 無人ヘリ 

    重量1430kg

    全長7m × 全幅1.60m × 全高2.9m

    ローター径8.4m

    380馬力  速度125km/h  航続距離1000km

 

  50式 対潜ヘリ 舞風(まいかぜ)

   自重6295kg  /  全備重量7690kg  /  最大離陸重量9327kg

   全長18m  ×  全高5m

   同軸反転式ローター全長16m

   1800馬力×2基

   最大速度320km/h  航続距離834km

   積載量2000kg

 表向きスペック3割減で公表してるけど、見た目、強そうだし、なんか、警戒されるかも、

 あと、対戦ヘリとか、輸送ヘリとか、クレーンヘリとかも開発中、

 

 

 

  

 

 人の生き死にと関わった60代の男は、人生がすり減らされている風に見えた。

 主観的に見ると恩人だけど。

 客観的に見ると、人斬り抜×斎の末路で、いわゆるボロ雑巾・・・・

 でもまぁ あんまりだから、おれが何者なのか、

 未来の年表とか、歴史書とかを見せてあげたよ。

 まだ子供にも見せてないけどさ、

 「ありがとう。エリザベス」

 「そのコード名。ネームセンスだけは、ムカつきます」

 「あははは、ご苦労さま。これまで、ありがとう」

 「サナトリウムを準備したので、のんびり余生を送るといいよ」

 「ありがとうございました」

 「たぶん、国益と国民の利益につながったと思うよ。君がそう思ってくれるなら嬉しいのだけど」

 「そう仰ってくださるだけで、嬉しいですよ」

 「あ・・・わかってると思うけど・・・」

 「秘密は厳守します」

 「本当に、すまない」

 「いえ、お役に立てて嬉しく思いっています」

 そう言うと、彼は、特高に案内され、去っていく、

 そうそう、私兵部隊のことなんだけど、

 まっとうな人間の中だと、都合がつかないわけ、

 特に好景気が続いてると、そうなるね、

 例えば、殺人事件が起きて、警察が捜査するけど

 証拠と、証人がいて立証確実だぜ、裁判で勝てるぜ、なんだけど、

 こいつ、見込みあるなとか。使えそうだな。なんて、思うと、

 捕まえても検挙しなかったり、送検や立件しなかったりすることがあるわけ、

 裁判もせず、刑務所みたいな場所に幽閉してたり、

 あと、死刑が決まってるのに、なぜか、執行されないとかね、

 なぜかっていうと、

 常人は、大義名分があって命令でも、人殺しなんてしたくないわけ、

 軍人肌の特高でも同じ、

 だいたい、夢見が悪いし、おれだって、真っ平御免だし (笑

 なので、特高とかで、誰かをやらないといけない時とか、

 “ちょっと、おまえ、頼むわ” みたいなことも起こるわけ、

 最近、IC発信機とかあって、逃がしようがないから、管理しやすいんですけど、

 高齢化で引退が増えてるのに、殺人事件が減ってるので、手駒に困る。

 あと、核開発研究で在日も、随分と死んだからな、

 アメリカの手駒の1000分の1以下になってる気がする。

 緊急で中国人とか、雇って対抗してるんだけど、まぁ 苦戦中、

 まぁ 一般人は、相手しませんよ、

 手駒があっても殺せる人間は限りがあるし、人数制限もある、

 費用対効果が悪過ぎて勿体無いからね、

 

 

 3月

 アニメの質が上がってる、

 ディズニーとハリウッドの特撮を超えるぜ、

 ていうか、ディズニーとハリウッドのパクりものなんだけどね、

 英語、フランス語でも作ってるから、海外でもすぐ、公開できる。

 日本漫画というかアニメも増えていくはずだよ。

 例のト×ワ荘グループね。

 

 

 アメリカは、戦争で軍需工場と将兵にばら撒いた紙幣と、

 日本が風船爆弾で、ばら撒いた紙幣で好景気。

 FRBは、権力基盤を守るため紙幣印刷をほぼ停止し、

 紙幣を回収しないと格差を維持できず、

 共産圏との冷戦やイスラム過激派とのテロ戦争を演出しなければならない、

 なので、全力で為替差益や価格差を利用して、日本製とドイツ製を輸入し、

 国内産業を衰退させようとしている。

 そうそう、対日緊張も欲しいとかで、打診があった。

 まぁ 撃墜できるなら撃墜してもいいよ。みたいな。

 あと、報復は、牛肉でいいや、みたいな。

 なんていうか、双方の軍事技術の確認したがってるような感じ、

 国際取引って、人を腐らせるよね。

 

 そういえば、アメリカの民主党のシンボルはロバ。共和党のシンボルは象 

 アメリカ人は、普通の感覚かもしれないけどさ、

 シンボルで民主主義を貶めているような気がする、

 そういえば、どこかの保険屋のアヒルも、国民を家畜と、思ってるんだな、

 国民やめて、アヒルになりますか、みたいな。

 そんな風に思えてくるわけ、

 もうちょっと、国民のこと考えようよ。みたいな。

 

 そうそう、日本がアメリカで広めたハンバーガーチェン店 “MIYABI” が戦後、復権して復活 (笑

 実は、ハンバーガーチェン店は “MIYABI” が1929年で最古参。

 アメリカ進出も1935年なので、1940年のマクド×ルドより早いし、

 いろいろ返してもらって、スタートしたけど、そこそこに繁盛してるらしい、

 でも勢いで、マクド×ルドに負けてそうだな。

 

 

 4月

 桜の花が満開、初老が多いのは、子供が外地に行ってるからだけどね、

 東京の人口は500万。史実だと750万くらい、

 まぁ それだけ、人口分布が広がっているわけだけど、

 総人口に占める首都の人口が21分の1くらいになってる。

 これくらいなら一極集中なんて言われないだろうけど、将来的にリバウンドもあるかもしれないが、

 猪苗代遷都が進めば、人口は、もっと均一になっていくかもしれない、

 

 八咫烏から報告が届いた。

 アメリカの権力構造が膨れ上がった社会資本から利権防衛のため、

 輸入を増やし、国内産業を衰退させ、税金のフラット化と必要経費増額で、格差を広げている

 さらにGM、フォード、クライスラーが製造より販売に力を入れたことで品質が低下し、

 競争力が低下していく傾向にあった。

 そして、アメリカ国内企業に代わって、

 製品と商品をアメリカに供給できそうなのが日本とドイツだった。

 日本がカタログフォーマットを規格化し、

 販売所に設置義務を命じさせたのも、購入者に車両を比較しやすくさせ、

 過度の広告合戦を沈静化させ、マスメディアを弱体化させるためだ。

 

 

 霞ヶ関の国家公務員採用枠が地域重視の人口比率に変更され、

 学閥と閨閥に塗れた権力構造が崩壊していく、

 “赤レンガの巨塔” の崩壊ってやつね。

 地域格差と貧富の格差を是正するためで、

 おれが、死ぬまでにやっておかなければいけないことの一つだと思ってました。

 もちろん、閨閥と学閥の抵抗が、あったけど押し切った。

 こいつらが中央集権と閨閥・門閥利権を続ける限り日本の未来は閉ざされるからね、

 二宮家も追い出されるかもしれないけど、まぁいいや、

 閨閥入りしてるけど、どうせ、おれも外様上がりだしね。

 

  

 

 5月 

 タイ王国

 35.5t級T54戦車。46t級M47パットン戦車に並ぶ、38t級97式戦車と

 黎明期のジェット戦闘機に準ずる戦闘力を有する雷燕が並んでいる、

 この時代の戦車は、対戦車兵器の発達で、存在価値が危ぶまれているし、

 ジェット戦闘機は、過渡期で、古くなったら売ってもいいよ。

 そんな時代だった。

 

 

 久しぶりの家族団欒、テレビを見てるとニュースが飛び込む、

 カムチャッカ半島の防空隊は、領空侵犯したB47爆撃機を撃墜した。

 B47爆撃機は、高々度偵察用に改造された機体で、

 15000m上空の偵察機を地対空ミサイルで撃墜した。

 防空隊は、数度に渡って警告を発していて、

 短波でも発信した警告は、全世界で受信されていた。

 そして、それにもかかわらず、接近したため撃墜したのだった。

 機体は、日本領海に落ち、

 日本艦隊がB47爆撃機を回収する間、

 アメリカ太平洋艦隊は、遠巻きに監視するよりなかった。

 

 

 

 6月  

 朝鮮日本自治区、

 愛国保守とかいう胡散臭い利権保守団体が暴れてる、

 まぁ 明治維新以来の伝統的な政治活動なんだけど、

 愛国や国民のためとか、抽象的なのは、途中で殺されるか、排斥されちゃう、

 特定利権団体と繋がる方が金になるし、

 国民の底上げなんてしたら、

 自分の足を掬われないから、政治的自殺だし、わかるんだけどね。

 半島は、なんとなく朝鮮的な気質が強いような気がする、

 

 半島国境線は、バリケードが張り巡らされていた。

 朝鮮人の密入国から日本を防ぐためで、台湾人も必死らしい、

 そうそう、台湾の内線化が進んでいる、

 日本語教育で日本語で話してるし、

 犯罪率も日本とほとんど変わらなくなって、日本人でいいという声も強まってる、

 ソビエト側を見ると、ソビエト風の街並みが建設されていた。

 「随分とロシア人が増えてるようだ」

 「街も大きくなってるようです」

 「実にくだらない街並みだな。ロシア帝国のままの方が、建物に格調があるよ」

 「共産主義ですから」

 「共産主義の建物は、面白みがない」

 

 

 

 金融が紙幣を増やしても増やした紙幣をどのように財政投資で使うか、

 政官財利権が紙幣を奪い合う。

 例えば、金融が紙幣を印刷せず、言う事を聞かねければ紙幣を印刷しないと恫喝すると、

 人間なら貧血状態となり、壊死していくのだが、

 社会では、失業者が増え、会社が潰れ、犯罪者や自殺者が急増するだけでなく、

 外資に国家利権が買収され、

 生産量が低下して、資源を買えなくなれば、戦争に至る可能性すらある、

 馬鹿でもわかることなのだが

 中央銀行は、利権が欲しければ、国家から独立し、紙幣の印刷をやめることもある、

 対して、国民一人一月分配制は、国民一人に無条件に均一に紙幣を配るだけでなく、

 過疎地在住が加算されるため、

 強者としてのうまみがないばかりか、天下りの力にも頼らず、

 需要を掴んだ企業と個人が成長して産業を起こすライバルとなりかねない、

 そして、下克上な戦国時代となってしまう、

 なんとか、邪魔したくなる気分なのだが、

 各国とも、赤字国債を発行し、金融で増やした紙幣を特定産業に散蒔く財政投資がスタンダードのようだ。

 これは、10人兄弟で、長男しか渡さない方法で、残り9人は、長男にすがって生きるしかない、

 この手法を喜ぶのが利権絡みの保守層や右翼層で、

 企業の労使の間で寄生搾取する左翼層も実入りが増える、

 どちらも国民全体の利益というより、既得権のうまみのある特権勢力といえる。

 その最たる政商企業がカグツチグループだった。

 そして、日本の財政投資で “なぜ、カグツチグループだけ” と、不満を持つ人々がカグツチ系工場に集まっていた。

 好景気で、毎日のように新興勢力が出現してるのだが、

 新卒社員を横からかっ浚うカグツチに堪忍袋の緒が切れたらしい、

 彼らを黙らせなければ、日本国内が荒れてしまう。

 工場内で、財務諸表と工場を見せるが

 一般公開できないので守秘義務の書類にサインして貰わなければならない、

 反二宮派の見学者たちが、工場を見て回る、

 フロアでは、シート状を重ね合わせて型を作り、

 高温高圧で固めていくと、ブツが出来上がる。

 原料になる黒鉛は、中国、インド、ブラジルから買うが、

 まさか、アルミの半分の質量で、引っ張り強度が鋼鉄の20倍になると思われておらず端金で買える。

 というより加工技術がなければ宝の持ち腐れ、

 炭素という比較的ありふれた素材で、これだけの素材ができるなら軍事的価値は計り知れず、

 土木建設と国防に使わないわけにいかない、

 カーボンナノチューブの試作物が完成すると軍機扱いになり、取り敢えず予算が降りていた。

 設備投資分を単価に上乗せすると泣きたくなるが、インフレトリックで消す予定。

 そして、試作中とはいえ、土木建設と軍用を中心に使用が増えていた。

 シートをなんとか、切るか破ろうとしていた見学者たちは、次から次へ諦めていく、

 「伯爵。これだけの大発明を秘匿してるとは。国にとっては、ありがたいことですよ」

 「皆様にも、政治的にいろいろ協力してもらってますし、秘密なのですがしょうがないでしょう」

 「今回は、霞ヶ関も、むくれてましたよ」

 「中央の学閥と閨閥で独占していたポストを失ったわけだからね」

 「良かったので? あなたの御子息だって・・・」

 「権力機構からずり落ちても、利権や保身のために戦争するよりましですよ」

 「どおりで、二宮派は閨閥勢力より、外様系勢力の味方が多いわけだ」

 「どうします?」

 「まぁ なんとか守秘義務の範囲で、仲間内を説得してみますよ。金を貰ったと思われかねませんがね」

 「世知辛い時代ですしね」

 「国民一人一月分配制が機能してますし」

 「仲間内なら、そこまで落ちぶれた風には見られないと思いますがね」

 「しかし、わたしを知らない人間は、どうしても不審がるでしょう・・・」 ため息 

 

 

 

 7月  

 某ラジオ

 “パナマ運河爆破テロなのですが”

 “日本、ドイツ、フランスに成り済ましたイスラム過激派組織かもしれないという噂が広がってるのです”

 “おお、面白い意見ですね”

 “実は、アラビア語で書かれた不審な文書が発見されてるのですよ”

 “おお、大いなる陰謀ですね”

 “別に珍しいことはありませんよ。第一次世界大戦もテロから始まりましたからね”

 “な、なるほど、なんか浮かばれない噂ですね”

 “まぁ あくまでもそれらしい文書が見つかっただけなので、噂ですけどね”

 まぁ 嘘も100回言えば本当になるってやつなんだろうな。

 ていうか、子供を騙して、50年くらい待つって発想か、

 

  

 太平洋側で、メタンハイドレート採掘プラットフォームの建設が進む

 日本海側の6倍規模のプラットフォームは、台風の直撃に備えてで、

 費用対効果で低くても建設したのは、日本近海全域でメタンガス燃料機関船を運用するためだった。

 プラットフォームはヘリポートが建設され、

 洋上メタンガス発電と船舶の燃料給油スタンドの役割を果たしていた。

 太平洋側でも人造石油精製プラントを建設し、石炭を液化させるつもりだった。

 「これで、また、燃料が増えそうです」

 「日本海側のメタンガス燃料機関船が太平洋側に回ってきてくれるのなら悪くないよ」

 「問題は、台風ですかね」

 「この規模のプラットフォームならなんとかなるだろう」

 「ええ・・・」

 

 

 

 

 8月 

 パラオ

 政府関係者と政財界の要人だけが観客だった。

 映像は撮られていたが、

 全員が守秘義務にサインし、

 軍機の名のもとに封殺されることになっていた。

 豪音と共に白煙が周辺に広がり、ロケットが青い空に向かって昇っていく、

 非公開で打ち上げられた宇宙ロケットは、空になった補助ロケットを捨て、

 さらに加速したロケットは、宇宙空間に達し、

 衛星軌道に偵察衛星を放出した。

 宇宙からの映像は、暗号化されて、特定の基地局に送られ、映像として記録されていく、

 観客は、拍手喝采で、誰かに喋りたくて、仕方がないといった表情を見せる、

 「公開したほうがいいのではないですか」

 「偵察衛星を宇宙に打ち上げましたってか」

 「あはははは・・・」

 「とにかく、帰る前には、全員に念を押しとけよ」

 「わかりました」

 「なんにしても、これで水上艦艇がどこにいるのか筒抜けだよ」

 「核ミサイルで狙い撃ちは、アドバンテージが大きいですよ」

 「これで、水上艦艇の時代じゃないってことだ」

 「航空機もでは?」

 「航空機は、移動速度が速いからね」

 「偵察衛星の数が多くないと」

 「もっと打ち上げるのでは?」

 「今の予算なら、毎年、1基打ち上げられるだろうな」

 「欧米列強にバレませんかね」

 「まぁ バレても宇宙ロケットの発射実験ということにしておこう」

 「あくまでも 宇宙ロケットの実験 ですね」

 「そういうことにしておこう」

 

 

 

 9月

 38t級97式戦車は、A型〜G型の7タイプが存在する。

 A型、B型、C型、D型は、売却され、

 いまは、E型、F型、G型を運用していた。

 見た目は変わらないのだが、内部設計が変わり、

 兵士は、ほぼ寝るよな体勢になり、

 複合装甲、火器管制装置、無段変速機、アクティブ型赤外線暗視装置などモドキ機構が追加され

 代わりに50発あった砲弾は、42発に減少しているものの、

 G型とA型のキルレートは、計算上、1対3まで、開いている、

 「G型は、見違えていいようです、内部は、まるで戦闘機のコクピットだ」

 「電算装置がもう少しな気がするな」

 「これでも世界最高峰なのでは?」

 「もっと予算をくれたら、回路の集積率を上げて、先制攻撃しやすくできるよ」

 「そうなれば嬉しいですが、国防費が削られるのは困りますよ」

 「削らないと、工場建設は無理だろう」

 「「「「・・・・・」」」」 ため息

 

 

 いつものように電話が鳴る

 “伯爵。ソビエトが北朝鮮の師団を増やしたある。一緒にソビエトに警告して欲しいある”

 「その師団長と話したよ。酒とウォッカを交換したけど、悪い奴じゃなさそうだったけど」

 “そんなの関係ないある。将校は、命令を受けたら攻撃してくるある”

 「そうかもしれないが、少なくとも上層部に攻勢の意図はないと思ったけどな」

 “と、とにかく、極東の軍事的緊張は、許せないある”

 “満州は、大切な大慶油田が存在するある”

 「じゃ 新義州市あたりで、日中ソ3国の軍将校が互いにレーションを持ち寄って交歓コンペンションをするというのは」

 “ソビエト将校たちを篭絡するあるか”

 「え・・・まぁ そういう考え方もあるかもしれないが・・・・」

 

 

 

 

 10月

 敷島の “昔ばなし21市” と “百人一首100街” に摩天楼の建設が始まり、

 幾重もの環状線が外に向かって同心円状に広がっていた。

 日本国防省が最もお金を使っているのは、本師団でなく、建設大隊で、

 開発が軌道に乗れば、将来的に民営化されていくことになっていた。

 敷島の人口は、ようやく1000万を超え、

 日本民族の10人に1人は、敷島に住んでいる計算になっていた。

 「広い部屋だな」

 「日本家屋の平均的な床面積の4倍ですね」

 「21市は30万都市から120万都市。100町は30万都市に変貌するだろう」

 「人口5500万人の島国家になりますよ」

 「まぁ そうなったら独立させてもいいかもな」

 「独立したがらないかもしれませんよ」

 「そうかもしれないが、アメリカがインドシナとインドネシアで悪巧み中だ」

 「下手をしたら、日本と敷島が分断させられる」

 「そういえば、フランス軍と、オランダ軍が、艦隊を東南アジアに派遣してますね」

 「艦隊を派遣したところで、独立運動だからな」

 「独立軍が民族軍の形をとるか、共産軍の形をとるのかわからないが」

 「陸軍を派遣できなければ、どうにかできるわけじゃないよ」

 「日本は、支援を要求されるのでは?」

 「国内は、同盟大事。独立大事の双方がいるし、肩入れしないほうが、無難だろうね」

 「地中海に、しがらみがありましたね」

 「まぁ ドイツが動くなら、仲介くらいしてもいいがね」

 「アメリカが動くと聞いたことがありますが」

 「アメリカか。あの国は、非ユダヤ資本系の新興資本勢力の出現を嫌う」

 「なんとか、社会資本を集めるか回収して、格差を広げる気だ」

 「なるほど、アメリカ国内の事情もあるわけですか」

 「まぁ その事情で日本製がアメリカで売れているようなものだ」

 「当面、様子見するつもりだよ」

 「・・・・・」

 納得いかなさそうな表情を見せるものは、多い、

 アメリカが東南アジアを分断しつつあるのに、手をこまねいているようなものだからだ。

 とはいえ、先に手を出していいことがあると、決まってるわけでもない、

 敷島産業は、高みの見物ができる程度の勢いがあった。

 

 

 ヘリが完成すると、強襲揚陸艦の建造も悪くなかった。

 というより、海外地が多過ぎて、この種の艦艇を建造しないと不安を持つらしい、

 本当かよ。

 みたいな疑問が持ち上がるのだが、大蔵大臣なので折衝が始まる。

 「建造しないで、その分、余計に基地を作って、ヘリを配備したらいいんじゃないの」

 「いや、本国から助けに来るとわかってるから士気が上がるんですよ」

 「むしろ、本国から支援が来なくても戦える方が士気が上がると思うね」

 「いやいや、そんなことはないでしょう」

 「高層ビルとか建てるし」

 「いやいや、高層ビルじゃ海外地は守れません」

 「しかし、人口が増えれば、武器を配るだけで、自衛できるじゃないか」

 「戦争はプロじゃないとダメです。素人じゃ守れませんし」

 「統一行動も取れず、味方を撃ちかねないので、邪魔になります」

 「そのへんは、予備役で念を押してるだろうが」

 「いやいや、やっぱり、強襲揚陸感は、重要ですから」

 「んん・・・」

 

 

  

 11月

 軍事的価値の高い国は、特別な地位を手に入れる、

 ブラジルが軍事的に独立したのは、日本、ドイツ、フランスの都合で、

 戦力の大小に幾つかの利権を引き渡すだけで、それを可能にした。

  赤城、加賀、蒼龍、

  古鷹 加古 青葉 衣笠

  吹雪 白雪 初雪 深雪 叢雲  東雲 薄雲 白雲 磯波

  浦波 綾波 敷波 朝霧 天霧  狭霧 夕霧

 日本は、水上艦艇と戦車と航空機を輸出し、

 ドイツは、Uボート数百隻を輸出した。

 既に旧式化しつつあったものの、

 ブラジルは、アメリカ海軍とイギリス海軍が南米諸国に手が出せないほどの海軍戦力を手に入れ、

 リオ・デ・ジャネイロ港は、一大軍港と化し、

 飛行場には、ユンカースJu390や連山爆撃機が翼を連ね、

 工業化にも弾みをつけることになった。

 「伯爵。ブラジルは、第二のアメリカになるだろうか」

 「ブラジル人の気質からして、難しいかもしれないね」

 「やはり」

 「でもまぁ 工業化が進めばあるいは・・・」

 「中国人労働者は、役に立つかもしれませんが、ブラジルの治安がどうなることか」

 「ブラジル人と中国人なら、いい勝負でしょう」

 「ブラジルの資源が入るなら、ドイツ、日本、フランスの国力は倍増ですし」

 「アメリカ、イギリス、ソビエトの力は、相対的に低下するでしょうね」

 「まったく」

 「ブラジル軍がアメリカ本土を爆撃し得る爆撃機を手に入れたのだから」

 「国威掲揚で、産業が伸びるかもしれませんね」

 「ブラジルが反旗を翻さなければですけどね」

 「少なくとも、工業的に独立させるのは、最後ですし」

 「アメリカとイギリスの脅威は、日本やドイツを超えますよ」

 「まぁ その辺のバランスでしょうね・・・」

 

 ユンカースJu390E

  空虚重量39500kg / 全備重量53112kg  /  最大離陸重量75500kg

  全長34.20m×全幅50.30m×全高6.89m   翼面積254u

  3000馬力6基  最高速度655km/h  航続距離12700km

  乗員10名  爆弾20t

 

 ドイツの6発爆撃機は、なんとなく見劣りして見える、

 それは、日本の連山が優れているからというより、

 基礎工業力の質的差がまだあるからで、

 ドイツのジーンリッチ技術でさえ、日本より劣って見えるほどだ。

 もっとも、それを進んでやる人間がいるのやら、いないのやら・・・・

 

 

 12月

 B47爆撃機の残骸が倉庫の中に入れられていた。

 「高々度用に特別に改造された機体のようです」

 「アメリカも15000m高空で撃墜なので驚いたかもしれませね」

 「これで、日本への領空侵犯をやめてくれればいいが」

 「アメリカは、反日ですからやめないでしょう」

 「どうやって報復したものか」

 「アメリカ領土に偵察機を飛ばしますか」

 「偵察衛星で、わかるし」

 「肉は、オーストラリアとニュージーランドから買うことにするよ」

 

 

 

 孫たちが集まっていた。

 孫は可愛いというが、まぁ かわいい、

 おれも、おじいちゃんになっちまったぜ。

 でもまぁ おれも年かね

 孫の相手は、結構、疲れるわ

 そういえば、隠し子たちは、どうしてるだろうな。

 たまには、顔を出さないとな。

 死んでからゴタゴタするのもあれだし、

 今のうちに幾つかの名義を変えておこう・・・・

 

 

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 二宮勇太(23)  国光(2)  修司(♂)

 二宮由紀(20)  和真(3)  花夏(1)

 二宮翔太(17)

 二宮慎治(13)

 

 

 日本石炭産出10000万t

 日本ガス油田230万t

 日本の石油生産量600万t + 人造石油30基300万t / 石油消費1600万t / 石油備蓄量1400万t

 日本の発電生産量4200万kw

   = 水力2100万kw + 火力発電1400万kw +  地熱発電240万kw

      +  洋上メタンガス発電プラットフォーム 40基400万kw  +  風力発電60万kw

 

 

 マダガスカル発電  1167万kw

   = 水力567万kw + 火力発電600万kw 

 

 譲渡地 (28035ku) 160万kw

   = 水力30万kw + 火力30万kw + 太陽光熱100万kw

 

  

  史実 日本人総人口8454万

  戦記 日本の総人口1億0591万  (敷島1000万人)

 

 

 

 

 日本49万8732ku。台湾自治区56283ku。関東州3462ku。

 舟山群礁1371ku。南洋諸島2475ku。

 祟明島(1225ku)。

 敷島(マダガスカル)59万3784ku。

 新北方領土51万2610ku

    (カムチャッカ半島472300ku、北樺太40310ku、ウラジオストック500ku)

 フィリピン利権 (譲渡地1497ku 租借地1万4970ku)

   譲渡地 ディナガット島(802.12ku) シアルガオ島(437ku) その他の島々(258ku)

   租借地 サマール島(13080ku) レイテ島の一部(1890ku) - 40ku

 ビルマ利権 (譲渡地3384ku 租借地3万3829ku)、

   譲渡地 ラムリー島1350ku チェドバ島523ku タニンダーリ群島1511ku

   租借地エーヤワディ管区3万3829ku - 100ku

 マレーシア利権 (譲渡地1649ku 租借地1万6492ku)、

   譲渡地シンガポール(707ku+942ku)

   租借地ブルネイ近郊(1万6492ku) - 120ku

 インド利権(譲渡地2万1505ku 租借地21万5057ku)、

   譲渡地 アンダマン・ニコバル諸島8293kuとインドとパキスタン国境の1万3212ku。

   租借地インドとパキスタン国境の21万5057ku - 600ku

 キプロス軍管区(9250ku)

 マルタ軍管区(316ku)

 総面積170万9192ku

 

 

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第28話 1950年 『おれ、わが世とぞ思ふ 望月の・・・』
第29話 1951年 『おれ、殺されるかも・・・』
第30話 1952年 『ミクロ原子炉と、核兵器より怖いハニトラ』