月夜裏 野々香 小説の部屋

    

天ぼた系 火葬戦記 『神火風』

 

 第20話 1964年 『権力と金を握ると我田引水したくなるもの』

 

 神火風は、敗戦寸前の日本で発生した。

 圧倒的な戦力で押し寄せていたアメリカ軍を壊滅させて西海岸まで押し返し、

 火事場泥棒のように侵攻してきたソビエト軍をイルクーツクまで敗走させる。

 そして、戦後、日本は輝夜半島、日満洲、和洋州、扶桑州、大和州、南洋州へと勢力圏を伸ばし、

 奇跡の世代。奇跡の世紀を迎えていた。

 とはいえ、その過程は、簡単なものではなく、

 広長閥の中核、神火人の死神の力によってなされた。

 

 開戦前の大政翼賛会は解散させられ、

 国権派の立憲政友会と民権派の立憲民政党が復活したものの

 新領土拡大による占領政策は、不自然で歪な聖域を作り不正腐敗を内包させてしまうことから内政化が求められ、

 移民が増えると州自治の要求が強まった。

 戦後、7300万人だった人口は、1947年から1964年の17年で、平均3.5パーセントという速度で増加し、

 総人口1億5400万人。内地人口7400万。海外州人口8000万人となっていた。

 

 議員定数を固定し選挙区を拡大すると、

 候補者は、気薄な人口の選挙区を多大な労苦をかけて行き来しなければならなず選挙活動に窮した。

 なにより人口に比べ議員が少ないと、候補者と選挙民の距離が遠ざかってしまう。

 人柄や戦略。政策や誠実。公約の素晴らしさより、プロパガンダ能力優先となり、

 選挙そのものが資本家頼り、マスメディア頼りとなり、資本家優位、マスメディア優位の政策に移行してしまう。

 逆に人口に対し議員が多いと、候補者と選挙民の距離が狭まり、見知った相手に票を入れることができた。

 むろん、衆議院は抽選で選ばれた候補者が選挙するものの、

 会った事のある候補者に票を入れるのと、会った事もない候補者に票を入れるのとではまるで違う。

 何より、人の数が議員の買収工作を困難にさせ、買収効果を薄めさせることができた。

 人口比に対し、議員が多ければ民主主義が強く、

 人口比に対し、議員が少なければ資本主義が強くなった。

 国権と結びつき易い貴族院は、総人口の20万分の1、

 民権と結びつき易い衆議院は、総人口の10万人の1が定数となった。

 しかし、人口増加と連邦制移行に伴い州の自治権が拡大した。

 総人口1億5400万人。内地人口7400万。海外州人口8000万人で人口比の選挙区で行われ、

 今期、貴族院770人、衆議院1540人が決まった。

 中選挙区で投票数の多い上位の貴族院370人と衆議院740人が国政を担当し、

 投票数の少ない貴族院400人と衆議院800人が州議会を担当することになった。

 多数派工作は、皇族議員・華族議員・勅任議員の貴族員の770人が中心で、

 国権派の立憲政友会と、民権派の立憲民政党を作っていた。

 そして、政策は、衆議院1540人の取り込み工作で決まる、

 もっとも抽選とはいえ1任期制で一世一代の大任が転がり込むのだけど、

 そんな一般人が簡単に利権に応じるわけもなく、

 貴族院と行政官僚は、衆議員がどう動くかわからない議会で交渉術を磨いていかなければならなかった。

 というのは表の向きの政治構造であり、

 政策、行政、外交、戦略は、広長閥が握っていた。

 貴族院勅任議員神火人12人が6人ずつ立憲政友会と立憲民政党に別れ、議会政治を動かしていた。

 “原爆を落とされた人々の世界平和を望む会”

 ビルの最上階でテーブルを囲む12人は、話さなくとも電波で交信することが出来、

 議場では、敵味方に分かれ激しい交渉をしながらも、電波で違う話しをすることができた。

 むろん、部屋は12人だけとはいえ、関心を持つ神火人数百人が参加していた。

 “神火核の複製はまだだろうか”

 「研究はさせてるが、何十年先になるかわからんそうだ」

 “防弾服は?”

 「防弾の強い服は、開発されているが満足できたものはない」

 “我々の利権構造は弱いが、どうしたもんだろうな”

 「身内が増えていくより、国家規模が数十倍に増えてくいくのではな」

 「相対的に利権が弱体化しても仕方がなかろう」

 “我々の世代は力がある。利権に拘らなくてもなんとかなると思っても将来が不安だな”

 “都落ちでも、国民基礎所得があるなら、そうそう惨めな思いをせんだろう”

 “時に、アメリカとイギリスが国民基礎所得で文句をつけてきてるが”

 「日本が成功するほど、アメリカ国民とイギリス国民の政府への圧力が大きくなる」

 「国民の圧力が大きくなれば、アメリカもイギリスもベーシックインカムに移行させられる」

 「そうなったら国民は金の支配から逃れられ。国民の需要を集めた新興勢力が力を付ける」

 「アングロサクソンの一部は、大恐慌が仕組まれていたことに気づいてるし」

 「アメリカとイギリスの金融権力構造は我々のような力を持たない」

 「経済的な下克上になれば、既得権が崩壊するな」

 「それとも死神教会を増やして、再分配でお茶を濁すか」

 “むしろ、キリスト教会で再分配をやるのでは?”

 「どちらにしろ、キリスト教が死神教の真似をしたことに変わりはないから、死神教の株は上がる」

 「神火人を誤魔化すために作った宗教がこれほど有利な国際情勢を作ってしまうとは棚ぼただな」

 「全く」

 “欧米金融貴族どもが、せいぜい、下克上に怯えるがいいさ”

 

 

 

 

 この時期、日本国防陸軍は105万ほどだった。

 人口比で選出できる議員と違い、国土防衛のために振り分けられていく、

 予備役は500万を数え、3日で100万人。1週間で200万人を招聘できた。

 赤レンガの住人たちが装甲列車の配備状況を見つめていた。

 赤が地上配備、青は地下配備、黄は移動途上だった。

 常時、装甲列車配備の巡航ミサイル260発が地上配置になるよう誘導され、

 軍事的緊張に応じた比率で、対中国、対ソビエト、対アメリカに向けられている、

 装甲列車単位の作戦能力が高く、移動が柔軟なせいか、

 地上部隊というより、艦隊に近い感覚で運用されていた。

 レーダーサイトが中国、ソビエト、アメリカの陣営を監視し、

 何か動きがあるたびに警戒警報が鳴り、対応を迫られる。

 運行は鉄道局の意のままだったものの、待避線上なら自由裁量があった。

 「軍は、人口比で欲しいもんだな。154万人くらい」

 「最大の難点は、日本の軍事的緊張感が乏しいことかな」

 「キューバ危機があったのに何言ってるんだか」

 「あれさぁ アメリカとソビエトで意図的に軍事的緊張を維持させたというか、作為的だよね」

 「日本は、軍事予算より、穴掘りに行ったからね」

 「絨毯爆撃された記憶か。確かに軍は守れなかったし」

 「あと40年くらいしないと、主流の考えは変わらんと思うね」

 

 

 

 海中421mの洞窟

 空気を流し込むと天井から床に向かって気圧密度42倍の空間が作られる、

 50万立方メートルの空間へは潜水艦で入港する。

 洞窟港は幾つもの減圧室が作られ

 潜水艦構造と同じ構造で、加圧も減圧も必要としない頑丈な密閉された空間と、

 人間が加圧症や減圧症もなく素で出入りでき、活動できる気圧室と、

 何日も加圧と減圧をしないと出入りできない空間に分けられた。

 何をするかというと、高気圧域で、農作物を育てるとどうなるかの研究であり、

 気圧の高い世界で生活できるかの研究でもあった。

 その部屋は、プールで泳いでるような感覚の空間で、

 全力でボールを投げようとしても腕の勢いが削がれ、

 離したボールはゆらゆらと飛んであっさり落ちてしまう。

 そして、小さなモータープロペラがゆっくり回るのに地上の数倍の空気を下に吹き降ろし、

 宙に浮くことができる世界だった。

 また、農作物の成長は早く、良質のものが作られていた。

 「味はどう?」

 「悪くない。というより、美味い」

 「しかし、こんなので金星で生活できるのかね」

 「金星は100気圧くらいあるかもしれないらしいが、標高の高い場所なら気圧はもっと小さくなる」

 「計算上、金星の温度は熱すぎると思うが」

 「まぁ 何かの足しになるかもしれないだろう」

 「それにアメリカとソビエトも人工進化研究で加気圧世界の研究をしているかもしれない」

 「能力的に高い人類が生まれるとして、アメリカとソビエトに先行されたら危機的状態になるかもしれない」

 「それに加気圧での製造業も研究すべきだ」

 「海底加気圧製造工場か。人口進化との兼ね合いもあるが」

 「東シナ海は広いから成功すればドル箱になるかもしれないな」

 「宇宙開発局は更に加圧して、金星と同じ100気圧くらいで加気圧実験をしたいらしい」

 「金星は、本当に100気圧もあるの?」

 「さぁ 観測結果らしい」

 「結構、実験となったら狭くなるんだがな」

 「広さが欲しいなら、自然の力を使うなら深海1000m付近で海底洞窟を見つける方が早いかも」

 「100気圧の海底まで空気を押し込むのは流石に大変だし、空気が海水に浸透してしまう気もするが」

 「だよねぇ しかし、100気圧は、想像もできない世界だな」

 

 

 

 

 

 赤レンガの住人たち

 36000t級伊勢型航空巡洋艦の建造が進むにつれ、

 護衛艦艇の研究も進められていく、

 製造関係の強化と、漢民族減少に伴う、就労人口の割り振りの苦悩があった。

 当然、軍人に割り振れる員数も制約され、

 最低限と言われる綱領の定数割れすることも起きてくる。

 合理化は各省庁でも強要され、その解決案の一つが無人護衛艦だった。

 無人護衛艦は常にレーダー、レーザー、赤外線等で航空巡洋艦との相対的な位置関係が固定され、

 常に中心の航空巡洋艦を守るようプログラムされる。

 無人護衛艦はレーダーとソナーを装備させ。

 航空巡洋艦のレーダ網、ソナー網を拡大させることができた。

 そして、航空巡洋艦から護衛艦の対空ミサイル、対潜ミサイル、対艦ミサイルの発射を操作することもでき、

 航空巡洋艦の外縁ミサイル格納庫艦でもあった。

 「問題は、破損した時、ダメージコントロールが困難になることか」

 「ソナー音は直で聞かないと判断がむつかしい技能職なんですけどね」

 「囮だから大技でピン出せばいいんじゃないかって気もするが」

 「レーザー通信でデジタル化させた方が音響に上限つけやすいからソナー手の耳がやられなくていいかも」

 「あと、双方向通信が妨害された時ですか」

 「あっさりやられると、高価な電子装置を搭載するのだから勿体無いことになるかもな」

 「半自動操船にすればいいんじゃないか」

 「居住性を最小限にして、通常は、航空巡洋艦にいて、被災した時、修復班を送る」

 「それに航空巡洋艦の囮で被弾してくれるなら目的を達成できてるから上々じゃないか」

 「まぁ 無人護衛艦と、哨戒ヘリとどっちがいいか、もあるからねぇ」

 「それ以前に総トン数をどのくらいにしたものか」

 「燃料消費を考えると小さくしたい気もするが、エネルギーコアを使えるならそうでもない」

 「それは、悟られないよう。工作しないとまずいだろう」

 「居住性最小限なら細長くできる。燃料消費は抑えられるから誤魔化し易い」

 「耐波性もあるし。操船誤って、ひっくり返るとまずいのでは?」

 「自律させて、高波に艦首を向けるようプログラムしないといけないし」

 「それに輸送ヘリが離着艦できないと困る」

 「じゃ キールを深く下げるか・・・・双胴船?」

 「プラットフォームが大きいから双胴船もありか。でも、三胴船もいいかも」

 

 

 ベーリング海峡上空をMi4ヘリ編隊が飛ぶ、

 日本国がソビエト製Mi4ヘリ最大のお得意様なのは、世界的にも知られている。

 むろん、ライセンス生産と、国産ヘリ開発も進んでいるが後回しにされていた。

 「海峡を挟んで街が出来て。中庸(ダイオミード)諸島も工事が始まってるのか。思ったより進んでるな」

 「ほとんどが中国人労働者だよ」

 「ふ〜ん」

 「完成すれば中国か中南米でポイント年金生活になる」

 「それで日本製品の売人か。良く出来た話だ」

 「日本製製品は競争力があるし売れるよ」

 「それにポイント年金は為替の影響を受けにくいからね」

 「日本人の移民は進みそう?」

 「公共投資と国民基礎所得を増やして、人口が増えればね」

 「扶桑州と大和州が海底トンネルで繋がれば、国防上は大きい」

 「大和州と扶桑州が好き勝手やられると困るがね」

 「それくらいのほうがいいさ。独立してもいいくらいだ」

 「扶桑州に独立されるのは、面白くない。特に大和州に付かれると」

 「利害で言うなら扶桑州は日本に近いよ」

 「だといいがね」

 「国情は大和州に近いからそっちと組むかも」

 「封建社会じゃないのだから、大同団結ができるならいいさ」

 「まぁ 大同団結させるために国民基礎所得を分配してるようなものでもある」

 「扶桑州と大和州は、人口が増えると、輝夜州、日満州、和洋州より大きな政治勢力になりそうだ」

 

 

 

 

 アメリカ合衆国

 ワシントン 白い家

 「日本は遷都するのか」

 「ええ、東京オリンピックが終われば遷都のようです」

 「遷都してからオリンピックだと思ったが?」

 「江戸時代から続いた都市だから花道のつもりなのでしょう」

 「後ろ向きだな」

 「自信があるのでしょう。北に80km程度も移動してないようですし」

 「問題は、こちらの工作が上手くいってないのが最悪だな」

 「朝鮮人を潜入させてるのですが、せいぜい、ジャブ程度です」

 「何としても広長閥に足場を作れ。わかってるのか」

 「わ、わかってるニダ」

 「お前たちから聞いていた日本人観は変わってきているような気がするが」

 「そ、そんなことはないある」

 「日本人は近視眼ある」

 「愛国心を唱えても自分の利権が中心ある」

 「福祉を唱えても自分の聖域を守る保身ある」

 「国家意識や国民全体のことを考えている上層部は、一握りある」

 「まぁ 我田引水で誘導されたからって、軍人が保身と利権を守るために負ける戦争を仕掛けた国だ」

 「そう簡単に縦割りは変わらんと思うが・・・」

 「では、広長閥に足場がないのが最大の問題なのか」

 「なんとか。国賊と売国奴を味方につけさせろ」

 「連中は地位名誉財産のためなら国を売るだろうし。国民を犠牲にする」

 「生憎。広長閥は、その気がないニダ」

 「それに国民基礎所得で、売国奴は育ちにくいニダ」

 「売国奴は育ちにくいが、金で言う事を聞く利権構造は作りにくい」

 「しかし、広長閥の町医者が怒ると、大臣でも怖気づくニダ」

 「金の力でもないし。権力でもない力があるのか?」

 「医者の権力は大きいよ」

 「ただの評判のいい町医者ニダ。地方医大も出てないニダ」

 「日本は医大も出ず、医者になれるのか」

 「医大出てないことは公開してるニダ。でも患者は医大出の医院じゃなく、町医院に来るニダ」

 「「「「「・・・・」」」」」

 「お前も行ったのか」

 「行ったニダ。あっという間に治ったニダ。命の恩人ニダ」

 「陰陽師なのか」

 「たぶん、そうニダ。長崎閥ニダ」

 「もう一度、陰陽師を調べ直したほうがいいのか」

 「陰陽師は、やめただろう」

 「まぁ そういうのが好きな連中はいたな」

 「そういやいたな」

  

 

 

 ニューヨーク

 死神教会と呼ばれる二つの宗教団体は、会計報告を図書館等に寄贈し公開していた。

 いわゆる幹部経費、献金額、還元額、公共投資額などで、

 興味を持つアメリカ市民は、自分に還元された金額と間違いないか見に行くことがあり、

 当然、アメリカの会計検査局も実態と比較し、不正がないか調べていく、

 国立図書館

 「・・・やれやれ、死神教の会計は、特に異常なしか」

 「隠れ蓑は綺麗な方がいいというわけか」

 「我々が派遣してるキリスト教もそうだが、偽善を商売にしてるなら当然といえば当然だし」

 「不正をしなくても収入があるのなら尚更だよ」

 「問題は、大手を振るって居座ってる日本の特高の画策だよ」

 「日系アメリカ人と結びついてるとか」

 「どうだろうねぇ むしろ、黒人やヒスパニックとの結びつきが強いようだ・・・」

 顔見知りがすれ違っていく、

 「おっ モリダーに、スコリーじゃないか。お前たちも会計監査か」

 「・・俺たちは、陰陽道の古い文献があるって聞いて、来ただけだが」

 「「「「「・・・・・」」」」」 ため息

 「東京オリンピックに行くんだろう?」

 「行く前に調べておきたいんだよ。予備知識なしじゃ辛いからな」

 「お前たちも相変わらずだな」

 「金の流れしか見てない人間は、真実から曇らされるよ」

 「逆だよ。金の流れは、欲望の流れ。国権の主流を占うことができるからね」

 「特別な力に関心がない人間は、そう思うしかないだろうよ」

 「時にモリダー。陰陽師に特殊な力が・・・」

 ゴホン! ゴホン!

 『・・・あるって本当か?』

 『あるよどころか。被爆超能力者数万人が日本にいる』

 『嘘つけ!』

 『嘘じゃねぇ!』

 「「「「「・・・・・」」」」」 ため息

 

 

 

 日本人たちも図書館で記録を調べていた。

 「1919年から1925年までのドイツの登記関係と、アメリカとドイツの取引關係を見つけたぞ」

 「やっとか。少しは、利権と、金の流れがわかればいいが」

 「日本で信用創造を無視して国民基礎所得をばらまいてもハイパーインフレにならない」

 「それなら、ドイツのハイパーインフレは、なんだったのってことだからね」

 「第一次世界大戦で、ドイツは戦争に破れ」

 「賠償金1320億マルクの支払いしなければならなくなった」

 「金本位制の1320億マルクだから、ドイツ国内の金塊が海外に流出してしまうし」

 「外資がドイツ利権と経済を支配した」

 「当然、賠償金でドイツ利権を買い漁った連中がいる」

 「不換紙幣は海外貿易で不利だ」

 「金本位制の後ろ盾を失ったマルクは海外での通貨交換で紙切れになった」

 「しかし、金塊を奪われても、国内に限定するなら貨幣価値を保たせることができるはず」

 「不換紙幣でも不可能ではない」

 「それで、逆流した賠償金がドイツ国内に溢れてしまう」

 「だからインフレになったんだが、だったらマルク紙幣の印刷をやめればいい」

 「開戦前の1兆倍のハイパーインフレになるはずがない」

 「しかし、時のドイツ中央銀行ライヒスバンク総裁ルドルフ・ハーヴェンシュタインは紙幣を刷り続けた」

 「時の政府に紙幣の印刷を中止するように言われても刷り続け」

 「マルクは、開戦前の1兆倍のハイパーインフレになったわけだが」

 「戦後の日本でもそれはないな。せいぜい5000倍だし統制されていた」

 「ドイツみたいに短期間でそれはないだろう。馬鹿としか思えない」

 「それならドイツ中央銀行ライヒスバンク総裁ルドルフ・ハーヴェンシュタインが紙幣の印刷をやめればインフレは終わる」

 「だが、時のドイツ中央銀行総裁は終身制で。66歳で死ぬまでマルク紙幣を刷り続けた」

 「なぜだろう」

 「ふっ 死因は言及しないが・・・」

 「いや、解毒薬を常用しないと死ぬ毒でも盛られ、脅されていたとしか思えない」

 「だから殺されるまで印刷をやめなかったって?」

 「そんな便利な薬があるならみんな扱うがね」

 「ドイツ中央銀行ライヒスバンク総裁ルドルフ・ハーヴェンシュタインが敵国のスパイで」

 「既得権益を守るために刷り続けたとしか考えられないな」

 「ドイツのツィゴイナー(ジプシー)の噂だとハーヴェンシュタインは殺されそうになったから、死人を身代わりに仕立て逃げたと聞いたが」

 「あはははは・・・」

 「それと、インフレ恐怖症を蔓延させるため。意図的にやったことだと思うよ」

 「だからドイツのハイパーインフレに引き合いに出せばインフレを抑制できる」

 「なぜハイパーインフレを抑制させたがる」

 「日本じゃ新興企業が既得権を持つ企業の市場に割り込んでる」

 「権力者が既得権。資本家が市場支配を続けたいと思うのは当然だよ」

 「そして、既得権が支配者でいられるのは、格差が大きい時だな」

 「格差が小さいと、ライバル企業が生まれやすく、政商が発生しやすく、下剋上になりやすい」

 「まぁ 金のなる木。利権は永遠にってやつだ」

 「醜悪だな」

 「アメリカの大恐慌もドイツ系利権が逆転されることを恐れ、故意に起こしたんだと思うね」

 「誰がやったんだろうな」

 「ユダヤ人かな・・・」

 「ふっ」

 「ドイツで反ユダヤが強まったのも頷けるな」

 「なぜ、銀行総裁を終身にし、独立した機関とするのか謎だが、作為的な圧力があるのだろうか」

 「まぁ 日本は、任期制にしてるし。議会で総裁をクビにできる」

 「しかし、終身制にして、同じような状態を繰り返せば同じことを起こせるわけだ」

 「その逆でも可能だろう」

 「お金を刷らなければ、お金は富裕層に集まってプールできる。そして、決して庶民に降りてこない」

 「金融飢餓となり庶民は労働奴隷にならざるをえないし、犯罪と自殺と変死が増加する」

 「結局、金融のトップがまともな人間じゃなかったか。スパイだった」

 「というより少数民族が上層部になると少数民族支配を維持するため、多数民族が苦しめられる」

 「結局、金を握り続けて、国民を馬車馬のように働かせるための呪符が紙幣ってことだな」

 「バラマキが進めば、神火人や財閥の力は、相対的に薄まり焦燥感が大きくなっているのは確かだね」

 「執権者の心の広さ以上に国は大きくなれないし、民は幸せになれないってことね」

 「名ばかりの自由資本主義だな」

 「自由都市リューベックの金融が上手くいってるのはドイツ人がやってるってことだろう」

 「西ドイツと東ドイツは?」

 「アメリカとソビエトは、対立があるから今のところ正常の範囲である」

 「リューベックより社会で負けてると、結局、日本に負けたということにもなりかねない」

 「日本じゃ 国民基礎所得で紙幣をばら撒いてるが、GDPは年10パーセントを超えている」

 「人口増加と次々興る企業が庶民から紙幣を回収してる」

 「そして、信用創造もあるからインフレ率は、大きくない」

 「正直言って、第一次大戦後のドイツようなハイパーインフレは故意でもなければ起こせない」

 「まぁ 結論としてはだ」

 「供給力を育てたいのなら企業に財政投資すればいい」

 「需要を喚起したければ庶民に金をばら撒いても消費を刺激させればいい」

 「しかし、庶民に金をばらまくと、政府がコントロールでない産業が育って既得権を脅かしてしまうかもしれない」

 「今の日本のことだが」

 「まぁ 政敵にマスメディアを買い取られると政治がやりにくくなるか」

 「日本は、今のところ、プロパガンダに頼るほど腐敗していない。拒絶反応を起こすこともなかろう」

 「神火人は利権以上の力があるからね」

 「それが町医者だって怒らせれば、長生きできない」

 「秘密は、神火風の事を除いてだがね」

 「確かに。神火人が公にされると、国防どころか、国内が分裂しかねないな」

 「ヤバい、ヤバい」

 

 

 

 

 

  56式戦闘機 蒼雷

   自重6000kg/運用12000kg/最大20000kg

   全長16m×全幅10m×3.8m 翼面積48u

   直径40cm級流星406型(2000kg)×4基(8000kg)

   巡航速度2基1000km/h  航続距離2000km

   最大速度4基2450km/h  航続距離800km

   25mm機関砲 1丁   ハードポイント10基  増/ミ/爆6000kg

   離陸滑走距離600m

 蒼雷5機編隊が東京オリンピック会場、国立霞ヶ丘陸上競技場の上空を旋回し、

 青・黄・黒・緑・赤の5色でオリンピックシンボルを描いた。

 東京オリンピックは、日本の奇跡の世代。奇跡の世紀を海外に演出させる。

 会場席の白人たち

 「日本はどうだった?」

 「遷都が始まれば高層ビルが建ち並ぶらしいが。高層ビルは北に移動する動きもある」

 「天皇のお傍で、権威に預かりたいわけか」

 「日本はアメリカやロシアより、欧州諸国に近い国だな」

 「しかし、貴族意識は、それほど強くはない」

 「天皇は?」

 「天皇は強いな」

 「広長閥も庇護している」

 「というより、権威はいいけど、権力は、民主主義で決めるつもりのようだ」

 「新皇居は1000mの高さにあるから平地に高層ビルを建てても平気らしいし。海外州に1、2個の御所がある」

 「それで、たまに海外州を行幸するのか」

 「まぁ たぶん、それで遺跡を残すの天皇家の仕事だろうよ・・・」

 喝采と拍手が沸き起こると参加国の選手が入場していく、

 「日本は、どの程度、メダルを取れるかね」

 「まぁ 意欲的な勢いは見て取れるがね」

 「ほぉ リューベックと東西ドイツは一国か」

 「統合したいだろうな」

 「アメリカとソビエトは嫌がってるらしい」

 「東西対立の象徴は軍産複合体を守るために必要だよ」

 「日本に戦争で負けた。それが軍産複合体を守る最大の口実になるよ」

 「日本は、例の沖縄戦のフィルムを世界中に、ばら撒いてる」

 「あと、焦土と化した都市で、丸焦げの女子供とかね」

 「どう贔屓目に比較しても神に呪われたのはアメリカだし。日本と戦争するのは、国際的な支持が得にくい」

 「そこまで行ってるのか」

 「日本の交易国は急速に拡大してるし。日本の資源メジャーは強くなってきているが資源メジャーに頼っていないし」

 「むしろ、製造業が強い」

 「中国人労働力があるからだろう」

 「中国人労働者は、ほとんど中国と南米諸国に送ってしまった」

 「おかげで、南米諸国は近代化の道筋が付き始めている」

 「麻薬は?」

 「淘汰されつつあるな。それに伴って、南米の近代化も兆しあるようだ」

 「面白くないな」

 「日本は、新型戦闘機を開発していないのか」

 「開発中だが、後回しされてるフシがあるようだ」

 「もうしばらく、蒼雷を飛ばすだろう」

 

 

 

 特高 創作情報課

 一室で、欧米の注目を神火人から遠ざけるための創作が作られ、

 政府のゴリ押しで、あらゆる情報機関を通じて配信がされる、

 そして、予算が投じられ、工作がなされていく、

 「なぁ 真高。宇宙人が神火風を起こした。っていうのはどうだろう?」

 「今ひとつ、取っ掛りがない」

 「ファンタジーでもリアルな方が強い印象を与えられる」

 「だからロズウェル事件のような事件を捏造すればいい」

 「つまり創作が現実を変えてしまうような?」

 「そうそう」

 「しかし、米ソ合わせて300万人が死んでるからな。安易な捏造じゃ騙せないんじゃないか」

 「逆に説得力があれば人類を騙せる」

 「じゃ 戦争末期、日本は宇宙人と同盟を結んだというのは?」

 「いや、それだと日本が悪者になれないか。ドイツの秘密兵器とかはダメかな」

 「無理だろう。どう考えても神火風は日本を守るために起きた現象だ」

 「しかたないか」

 「少なくとも日本に原因がないという点で優れてる野だけどな」

 「となるとUFO目撃談がいるな。あと〜写真だ」

 「実は竹取物語で宇宙人と接触があったとか」

 「おおぉ 城木。それいい」

 「そして、戦争末期、富士火口であった通信機を使って宇宙人と交渉して同盟を結んだ」

 「通信機じゃなくて、あれ、不老不死だろう」

 「不老不死だから逆に人を殺す武器にもなるとか」

 「そっちがいい」

 「問題は、どういうストーリーにして。誰にやらせるかだが・・・」

 「民間で変人がいい。アダムスキーみたいな」

 「まぁ 探してみるが。UFOを写真で撮るとして、UFOを作らないと」

 「UFOか・・・作れるの?」

 「エネルギーコアがあるからなんとかなるかもしれないが・・・」

 

 

 大和州

 地下鉄道が螺旋を描きながらマッキンリー山を登っていく、

 山体は、硬度6の花崗岩が多く、簡単に破壊されない、

 核の直撃、あるいは、大型貫通爆弾であっても軍施設まで到達し得ず、

 山体の地下まで掘られた地下司令室は、世界で最も安全な場所といえた。

 線と点に過ぎなかった軍施設は、次第に空間を広げ、

 軍研究施設、軍需工場を含んだ巨大施設となっていた。

 電気自動車が2車線ほどある地下道を登っていく、

 「ソビエトの新型戦車T62は、55口径115mm滑空砲らしい」

 「また、戦車派が煩くなるな」

 「しかし、なぜ、滑空砲なんだ」

 「滑空砲弾なら装弾筒付翼安定徹甲弾なら、ライフル弾より有利なんだろう」

 「滑空砲弾ならHEAT弾でも使いやすい」

 「装弾筒付翼安定徹甲弾は砲弾の軌道を変えられるだろうか」

 「翼があればレーダーか赤外線探知で少しくらいは軌道を変えられるだろうが・・・」

 「いまの電子機器じゃむつかしいかも」

 「それは投資が上手くいけば成功する程度のものだろう」

 「どちらにせよ。予算は振り分けるべきだろうな」

 「現代兵器は、一つ一つの部品が高額になるし、工場もデカくなる。関わってる人員も多い」

 「当然、金額が跳ね上がる」

 「ずっと使える土木建設に傾注したくもなるが」

 「一部の軍属と国軍は、国民を守る気がないと煩いからな」

 「ふっ 沖縄戦では沖縄県民を守れず」

 「満州戦線を押し返せたのは神火人のおかげ、本当は早々に逃げ出したというのに」

 「素晴らしい先祖だったと思いたいのだろう」

 「一般兵は、他国軍と比べて誠実な人間が多かったかもしれないが。上層部は傲慢なクズが多かったよ」

 「嘘を言わないとやるせないのだろう。特に犯罪者は嘘をつかないと生きていけない」

 「しかし、予算はそんなに回せないかもね」

 「こっちを優先したいのはわかるがゼネコンばかり強くしてしまうのはどうかと思うが」

 「最大の核戦争抑止は、核兵器と、基幹産業の生存だよ」

 「とはいえ、まるで蟻の巣だな」

 「毎日のように空間が広がってるから迷子にならないようにしないと」

 「キューバ危機で急に慌ただしくなってきたからね」

 「内地でも花崗岩の山を刳り貫いて、司令部を建設してるとか」

 「内地は、軍の中心が大和州じゃ面白くないのだろうな」

 「しかし、日本では、せいぜい、2000m級。扶桑でも3000m級」

 「6000m級の規模は、マッキンリーだけだろうけどね」

 「大和州は3000m級の山が多いから、核戦争での生存率が高い」

 「富裕層は、別荘を大和州に作ってるし」

 「どの道、大和州が軍事的な主導権を取るだろう・・・」

 幾つもの分厚い扉が開き、ジープがヘリ格納庫に入っていく、

 格納庫内は凍えるような外気で満たされていた。

 そして、何やら円盤状の物体が組み立られていた。

 「これがUFO?」

 「まぁ UFOモドキでしょうけどアヴロカーよりはるかにましですよ」

 「飛ぶの?」

 「計算上は」

 「ほぉ じゃ まず数学者にテスト飛行やってもらうか」

 

 

 

 日満州

 竜鳳石油精製所を中心に工業地帯が拡大していた。

 星型城塞都市は対戦車塹壕が張り巡らされ、堡塁は戦車の登坂能力を超えていた。

 日満州は、樺太州と海底トンネルで連結されると旅順港まで鉄道が通る。

 鉄道という大動脈と道路が整備されていくと、工業、商業、政治など巨大化していく、

 産業の中心は石油精製所の竜鳳市で、

 経済的の中心はハルビン市で、

 政治的な中心は御所のある黒龍中州市に移行していた。

 日満州総生産は、石油精製所の生成能力が高まるにつれて増大し、内地に準じていく、

 ハルビン

 「不便な勾配だが慣れてしまうと悪くないか」

 「安心は買わないとな」

 「ソビエト軍は、そんなに脅威なのか」

 「聞いた話じゃ ソビエトの司令官は、イルクーツクの地下司令部から出てこないらしいが」

 「神火風を怯えてるかもしれないが、本当は、味方に殺される可能性を恐れてるのだろう」

 「上が死ねば、次は自分がってか」

 「資本家と労働者の階級闘争を教えると、共産党と非共産党の階級闘争だって成り立つからな」

 「共産主義なんていうのは年少期に教えていい教育じゃない」

 「しかし、儒教もほどほどにしないとな」

 「封建主義が強まると利権だけで食べるやつが増えてしまう」

 「そして、利権だけで食べていく人間は聖域を大きくしていくのに流通や生産力の阻害になるし」

 「保身のために芽を摘むし、有害になる。むかしの武士のようにな」

 「まぁ 国防のためとはいえ、こうやって堡塁や対戦車塹壕を増やしていくのも利権ではあるな」

 「映画の日ソ戦車戦で活躍しただろう」

 「ふっ もっと遮蔽物があればって印象的だったが」

 「装甲列車や61式戦車も活躍してたじゃないか」

 「もうちょっと予算があればいいのだがね」

 

 

 

 ハバロフスクの西に点在する黒龍中州(大ウスリー島:375ku)は、安全性が高いのか、

 黒瞎子(ヘイシャーズ)島(320ku)と、銀龍(タラバロフ)島(40ku)、その他の島に街が作られていた。

 外資ブランド企業が支店を出店させていた。

 白人たち

 「日本経済は勢いがあるな」

 「勢いもあるらしいが泥棒もいないらしい」

 「本当に?」

 「毎月国民基礎所得が入金してくるのになんで泥棒するんだ?」

 「日本じゃ信頼の方が貨幣価値より高い」

 「国民基礎所得は、今どれくらい?」

 「さぁ 10年前の建設国債の5分の2だがインフレで目減りするし」

 「人口で割ると、だいたい平均賃金の10分の1になるらしい」

 「少ないような、少なくなくないような」

 「紙幣量を増やして下剋上にしたくないのか、日銀から直で個人口座に振込む分とは別に」

 「国家予算から抜かれる1ヶ月が個人口座に振込まれる」

 「これだと、紙幣量を調整できるからね」

 「老後を考えると少ないが家が何軒もあるようだし」

 「しかし、そうなると、子供が多い方が家の収入が増える」

 「日本人の子供が増えるはずだ」

 「そのうち、日本人が世界を支配するかもしれないな」

 「GDPは10パーセント台なのに。人口増加率は3.5パーセント」

 「創業率と所得格差を計算すると、企業は成長しているし」

 「貧富の格差が少ないのに国民の生活水準は高いわけか」

 「その上、良質の製品で海外市場を席巻している」

 「まるで錬金術だな」

 「というより、誰でも力があるなら、需要を集めて金持ちになれるということか」

 「安定した消費者がいるなら我々の出店も成功し易いということか」

 「人口も増えるし、所得も増えるならそうなるだろうね」

 「そして、個人収入を国が底上げしてるから、賃金格差が少しくらい増えても中進国と戦える」

 「国民基礎所得のマイナスもあるだろう」

 「勤労意欲を失わせるには少な過ぎるからな」

 「忠誠心より道義心が強くなるから不正腐敗の取り込みが難しくなる」

 「たいてい、不正腐敗に加わるくらいなら別の資本派閥で働くし」

 「資本派閥自体の形成が困難といえるな」

 「しかしまぁ 我々は収入になるから問題ないが」

 「在日ドイツ人は?」

 「日本は、リューベックも国民基礎所得を採用するよう言ってるらしいがリューベックは見送ってる」

 「ふっ 外国居住者が多いのに金はやりたくないか」

 「ところで、日本のカーボン、シリコン、ケブラー、セラミックの工場は、どこにあるって?」

 「どうも地下に大きな工場を建設して、そこで製造してるようだ」

 「やはり地下で使ってるのか」

 「らしいね」

 「何としても実像をつかみたいものだが」

 「少なくとも国民基礎所得をもらってる日本人の裏切りは期待できない」

 

 

 

 

   

 61式無砲塔戦車

 地図を確認しながら戦車数両が広陵線に並ぶ、

 車体前面を下げる車体後部を上げると、盆地の標的を狙うこともできた。

 戦車兵たちは寒冷地用の素材と迷彩がされた服装を着ていた。

 材料費の割合から、世界一高価な軍服と噂されており、紛れもなく事実だった。

 戦車兵はジープに乗り移ると盆地へ移動し、

 標的から、戦車がどう見えるのかを確認し、

 写真を撮り、状況を描き写していく、

 「なんか。地味な作業だな」

 「一度、地の利の資料を作ってしまえば、机上演習でやれる」

 「相互支援しながら後退しつつ、後方の地の利まで後退するのが無砲塔戦車の強みだろう」

 「やっぱし、ほかの国みたいに地下要塞建設もあるのでは?」

 「日満州や和洋州は広すぎるから作っても無駄にされそうだな」

 「しかし、リューベックのような公共施設や民間施設に機銃座を隠すくらいならありかもな」

 「それやると兵士の存在価値が・・・」

 「まぁ 利権より国防重視なら、最終的に守りたい都市防衛を考えるべきだろうが」

 「地下防空壕で監視カメラを見ながら機銃座を操作するだけの方が楽ではある」

 「しかし、正直、純粋な正面戦力差で勝てると思えないのだが」

 「日本は、純粋じゃない戦力差を当てにしてるからな」

 「広長閥の嫌がらせですかね」

 「核兵器があるからだろうが」

 「経済主導といいながら、広長閥は頼られる強みが面白いのだろうさ」

 「アメリカの核実験では、被爆者は死んでいくのに、広島と長崎は逆に元気になるのが変ですよね」

 「だな」

 

  

 

 

 

  

 日本

 反日ギルド朝鮮チーム コード名 ムン キン リン は、外国人記者クラブに所属し、

 日本に潜入している。

 司法施設 その1

 「なんで、この加害者は、死刑になるニダ」

 「昼間に家宅侵入して留守をしていた母親を殺して強姦し。幼女を強姦して床に叩きつけて殺したからだよ」

 「犯人が朝鮮人の血が混じってるから差別しているニダ」

 「いや、脅迫するために刃物を持参してたし。判例で・・・」

 「判例なんて思考停止ニダ!」

 「国民の刑に対する総意は、時代によって刻々と変化しているニダ」

 「しかし、これは、酷すぎるからな」

 「心神喪失状態での犯行ニダ!! 気の迷いニダ!」

 「「「「・・・・・」」」」

 

 

 司法施設 その2

 「なんで、この加害者は情状酌量されるニダ」

 「正当防衛で、強姦されそうになった女性を守ろうとしたからじゃないかな」

 「おかしいニダ。人殺しなのになんで情状酌量ニダ」

 「いや、殺意はなかったようだし」

 「殺された被害者に朝鮮人の血が混ざってるからニダ!」

 「日本国は人種差別してるニダ」

 「いや、判例で・・・」

 「そんな判例はおかしいニダ。許せないニダ」

 「「「「・・・・・」」」」

 

 

 反日朝鮮チーム コード名 ムン キン リンは、日本の司法関係者と接触し、

 我田引水な差別法を強要して、日本司法制度にダメージ3を与えた。

 コード名 ムン キン リン は、同胞お助け度2。レベル5になった。

 同胞の結束を固め仲間意識を強化した。

 反日ギルドから焼肉セットと酒樽が届けられた。

 「上手くいかなかったニダ」

 「小さなことからコツコツとニダ」

 「大丈夫ニダ。これは正義の戦いでなく、民族闘争の戦いニダ」

 「惰眠を貪る日本民族を淘汰する聖戦ニダ」

 「これで、同胞の信頼を勝ち得たニダ」

 「半チョッパリを特別扱いさせて差別化と、孤立化させてやれば、半チョッパリは朝鮮人の味方をするニダ」

 「そして、部落とアイヌ。左翼と右翼を巻き込んで勢力を拡大していけるニダ」

 「「「ウェーハッハッハ!!!!」」」

 「次のクエストが来たニダ」

 反日ギルドから次のクエストが送られてくる。

  1、日本食品に毒を入れる。    2、日本の銀行を襲撃する。

  3、日本人から金を騙し取る。   4、日本人を自殺させる。

  5、日本女性を強姦する。     6、日本人を拉致誘拐する。

  7、日本の文化財を盗む、放火する。

 「「「・・・・・・・」」」

 

  

  

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 月夜裏 野々香です。

 地位と権力と金を握ると我田引水したくなるもの、

 それでいて、自分の金で投資することもせず、

 公金を利用して私腹を肥やす、

 自民党は、国賊で、インフレ利権で私腹を肥やして、自らの聖域を構築してきた。

 貧富の格差で1万人ぐらい死んでも平気だった。

 自民党末期は、利権を守るため、所得税で金持ち優遇、

 消費税を増やして貧乏人が3万人死のうが知ったことかという状態。

 しかし、日銀を在日外国勢力に牛耳られるとデフレ政策を強行されて資金源を絶たれ、

 利権の温床を利用して蔓延った議会勢力が逆転される。

 民主党は、デフレ利権で自民党の聖域の首を締め続け、

 日本国民から税金で家土地などの財産を奪って、

 民主党勢力の在日・アメリカ・韓国・中国へ資本を横流し、

 金融飢餓状態にされた日本人は外国在日勢力の配下に組み込まれていく、

 日本人が何十万人も死んでも平気かも、国賊も怖いが、売国奴も怖い怖い、

  

 この戦記の戦後は、広長閥が牛耳ってしまいました。

 まぁ 在日以上に少数民族なのですが一応、日本人

 しかも金融支配に拘る必要がないという無敵ぶり (笑

 日本人人口増加率は、戦後復興、国家再建が進むにつれて急増します、

 3.5パーセントで推移して、1964年で1億5400万人です。

 この人口増加率で増えていけば、84年頃は、3億人超え、

 公共事業をきちんとやっていけば5億人くらい余裕で住めて、

 徐々に建設予算を減らし、予算からの国民基礎所得を減らしていくと、

 人口をよく抑制しつつ、GDPを5パーセント台、

 人口増加率を2.5パーセントぐらいで落ち着かせて、

 宇宙開発が軌道に乗ったらもう一度、大インフレ政策でしょうか。

 

 総人口1億5400万人。

 日本・輝夜 (72万ku) 日本・半島  内地人口7400万。

 

 海外州人口8000万人

 和洋州 (25万ku) 中国京杭大運河東部域  3000万

 日満州 (100万ku) 外満州  3000万

 扶桑(カムチャッカ・チュクチ)州 (121万ku) 800万

 大和(アラスカ)州 (171万7854ku) 1000万

 南洋 (ハワイ、ビスマルク、ソロモン諸島) (10万6461ku) 200万

  フィリピン バターン・コレヒドール島 日本自治 “桃太郎” 区 (1000ku)

  マレーシア ブルネイ 日本自治 “金太郎” 区 (1000ku)

  インドシナ ダナン 日本自治 “舌切雀” 区 (1000ku)

  インドネシア パレンバン 日本自治 “浦島太郎” 区 (1000ku)

  ビルマ ヤンゴン 日本自治 “因幡の白兎” 区 (1000ku)

  シンガポール 日本人自治 “鶴の恩返し” 区 (1000ku)

 

 

 日本海軍

 第01機動部隊

  空母 白鳳(ランドルフ)、海鳳(ハンコック)、雷鳳(タイコンデロガ)

  戦艦 薩摩(ミズーリ)、駿河(ウィスコンシン)、

  重巡 穂高(セントポール)、

  軽巡 八瀬(ダルース)、黒部(サンタフェ)、白萩(モービル)、河津(ビロクシー)  駆逐艦18、

 

 第02機動部隊

  空母 蒼鳳(アンティータム)、幻鳳(シャングリラ)、慶鳳(ボノム・リシャール)、

  戦艦 因幡(アイオワ)、播磨(ニュージャージー)、

  重巡 蔵王(ボストン)、

  軽巡 天白(オクラホマシティ)、三原(アムステルダム)、日高(マイアミ)、天神(パサデナ)  駆逐艦18

 

 2410t級ガトー型潜水艦46隻

 2424t級バラオ型潜水艦26隻

 2424t級テンチ型潜水艦8隻

 

 1360t級エヴァーツ型護衛駆逐艦(21)  1740t級バックレイ型護衛駆逐艦(44)

 1240t級キャノン型護衛駆逐艦(23)    1250t級エドサル級護衛駆逐艦(24)

 1450t級ラッデロウ型護衛駆逐艦(4)   1350t級ジョン・C・バトラー型護衛駆逐艦(24)

 

 ジェットエンジン

 直径40cm級流星エンジン  直径60cm級彗星エンジン

 直径80cm級蒼星エンジン  直径100cm級紅星エンジン  直径120cm級天星エンジン

 

 “原爆を落とされた人々の世界平和を望む会” 

 広島  賀茂忠行  天光正教  ウリエル  死神ウラン

 長崎  安倍晴明  聖炎主教  サリエル  死神プルト

 

  

誤字脱字・感想があれば掲示板へ

第19話 1963年 『宇都宮遷都と関東平野京構想』

第20話 1964年 『権力と金を握ると我田引水したくなるもの』
第21話 1965年 『土壌資本主義から下克上資本主義へ』