月夜裏 野々香 小説の部屋

    

天ぼた系 火葬戦記 『神火風』

 

 第29話 1973年 『枯葉剤は化学兵器だから』

 

 

 ベネズエラは、日本と連携しないようマスメディアを利用した世論操作が行われていたせいか、

 アジア人蔑視が強く、黄色人を見ればチーノチーノと、誹謗中傷していたベネゼエラ国民だった。

 しかし、国家存亡を賭けた戦争で事情が変わる、

 コロンビア軍とアメリカ軍に対抗するためには、日本、ソビエト、太陽同盟、華僑資本の力を借りるよりなく、

 日本がアメリカと戦ったフィルムを見るにつれ、アジア人よりアメリカに対する嫌悪感が強まり、

 いろんな利権が日本に転がり込んでいる。

 

 サーブ35ドラケンが飛び立っていく、

 将校たち

 「ほぉ 加速が違うな」

 「エンジンを607型から631型に換装するだけで性能が上がるのか」

 「ジェットエンジンをターボファンエンジンに切り替えてます」

 「新型戦闘機サーブ37ビゲンで使ってるエンジンと同じものですよ」

 「エンジンのなにがどう違うのやら」

 「プロペラの分だけエンジン径は小さくなるのですが吸気量が増えますし」

 「あとは、構造の改善。精密性。品質も向上ですね」

 「ミグ19やミグ21ではそういったことは、できないようだが」

 「太陽同盟は、可能な限り規格を合わせてますので」

 「なるほど・・・ 高いだけはあるのか・・・」

 

 

 サーブ35ドラケン

 全長15.35m×全幅9.4m×全高3.89m  翼面積49.2u

 空虚重量8250kg / 運用重量11400kg  / 最大離陸重量17650kg

 直径60cm級彗星607型エンジン ライセンス 3000kg×2基 アフターバーナー4000kg×2基

  → 直径60cm級彗星631型エンジン ライセンス 3200kg×2基 アフターバーナー4300kg×2基

 最高速度2300km/h → 最高速度2500km/h 

 フェリー航続距離1863km →  フェリー航続距離1663km

 25mm×1 2000kg  →  25mm×1 4000kg

 

 ベネズエラ軍は、オリノコ川以南に空軍基地を置き、

 オリノコ川以北のゲリラ戦を支援させていた。

 アメリカ軍は上陸用舟艇でオリノコ川を遡上し軍事基地を建設したが、

 ベネズエラ政府は降伏せず。軍も抵抗をやめなかった。

 ブラジルからは、武器弾薬や食料が次々と供給され、

 アメリカ軍は、漢民族軍の参戦や黒人兵の反乱等で泥沼に追い込まれていた。

 そして、日本のゼネコンによる公共事業と、

 漢民族の労働移民がベネズエラ敗北を免れさせたことは国際社会の常識となっており、

 各国は、国防を兼ねて日本に公共事業を発注する。

 

 

 

 スペイン上空を太陽同盟の新型戦闘機が飛び立っていく、

 サーブ37ビゲン

 自重11800kg / 最大離陸重量20450kg

 全長16.4m×翼幅10.6m×全高5.6m  翼面積46u

 直径60cm級彗星631型エンジン ライセンス 3200kg×3基 アフターバーナー3800kg×3基

 最大速度2460km/h  航続距離2200km

 25mm機関砲1門200発   搭載6000kg

 エンジン3発機は、中央の1基だけ、あるいは左右の2基だけといった具合に使うことで、

 燃料消費を押さえることができた。

 むろん、アフターバーナーはついてるものの、

 巡航飛行にあっては、中央1基だけ、左右2基だけで飛ぶことができた。

 スペイン将校たち

 「いい戦闘機じゃないか」

 「しかし、スウェーデンでも新型エンジンのライセンスが難しいようだ」

 「じゃ 完全なライセンス生産に成功してないのか」

 「小さいエンジンだから歩留まりが悪くて作りにくいらしい」

 「おいおい、日本は40cm級エンジンを使ってるって聞いたぞ」

 「日本人は器用なんだよ」

 「あと、旧型サーブ35ドラケンのエンジンも換装できるから、新型の導入は慌てなくてもいいそうだ」

 「しかし、日本は、国産戦闘機の売り込みに消極的なのは、なんでだろうな」

 「スウェーデンが40cm級エンジンのライセンスをそうそうに諦めたからだろう」

 「まぁ 戦闘機で、一番高い部品がエンジンで、エンジンを減らしたいのは当然だけどね」

 「戦訓が欲しい」

 

  

 

 

 幼い少女が横になって宙に浮いていた。

 エクソシストが十字架を向け、

 “死神姫ウラン! 死神姫プルト! この娘から出て行け!”

 部屋中の家具が震え、跳んでいく、

 エクソシストと死神ウラン、死神プルトの戦いは激しく、

 ポルターガイストが修羅場の様相を見せていた。

 “死神姫ウラン! 死神姫プルト! この娘から出て行け!”

 少女の首がクルリと回り

 『『『『『・・・・・・・』』』』』 ドキッ〜!!!!!!

 映画館内に戦慄が走った。

 死神教の信者は、合衆国の貧富の格差が広がるにつれ増え、政治勢力も増していた。

 映画エクソシストは、キリスト教系のエクソシストの力でも死神ウラン、死神プルトを追い出せる、

 そういった死神教の不要論を大衆に印象付けようとした映画だった。

 しかし、死神教であるならば、毎日、一度、陰陽セットの上にコップ一杯の水を置くだけ

 それだけで、死神ウラン、死神プルトは、おとなしくしていることから戦う必要もないのだ。

 むろん、長生きできそうな摂生生活は煩わしかったものの、

 中年になっても肥え太ることのない体型は、死神教信者の特徴にもなっており、

 ある種のステータスにさえなっていた。

 観客たち

 「どうだった?」

 「んん・・・ あれは悪魔で、死神ウランとか、死神プルトとかじゃないと思うな」

 「俺もそう思う。家の中で影みたいなの見たことあるけど、おとなしいもん」

 「怖ぇ〜」

 「だいたい、死神姫ウランと死神姫プルトの陰陽セットは違うし」

 「一緒に一人の中に入るなんてことないし」

 「そうだよ。あれは悪魔で。死神姫と全然違うもん」

 少年たちは、ポケットに入れていた死神姫ウランと死神姫プルトの絵を魅入っていた。

 「どっちか嫁にしたいな」

 「「「あはははは」」」

 そう、印象操作は、早い者勝ち

 

 

 

 印刷した紙幣で、物品やサービス。家や土地と交換する。

 便利なアイテムだが、

 企業群は、自己資産による収益以上、能力以上、身の丈以上に投資家から、

 あるいは、銀行から金を借りて設備投資しなければ、同業他社に負けるのだった。

 いつしか、回転資金を自己資本で賄う健全な運用は失われ、

 他人資本、いわゆる、投資がなければ、起業運用が不可能な企業形体が形成され、

 銀行によって、支配された強大な利権カースト制を構築していく、

 そして、産業を富ませた後、中央銀行が紙幣の供給を減らし、産業を飢餓状態へ移行させることができれば

 紙幣で、物、サービス、賃金、家、土地などの経費を維持できなくなり、

 必然的に紙幣を得るために利権を手放すか、銀行に利権の一部を譲ることになった。

 そして、 二度の世界大戦と大恐慌を経て、銀行を中心とした企業群は、金の力で子飼いを集め、

 一握りの貴族階層と、大多数の奴隷階層を作ることができた。

 民主主義は、資本主義が追及する貧富と地域の格差を是正する動きを見せたものの、

 人口が増えるほど、1人を当選させる人の数が増え、

 誰かわからない人間に税制、金融、財政、外交、外交など、生殺与奪権を任せなければならなくなっていた。

 そして、候補者は、大資本による広告力に頼るしかなくなり、

 当選するのは政治、政策のプロでなく、選挙のプロであり、

 いつしか、いや、最初から、資本家に支援された宣伝力なしに議員や大統領に選出されることはなかった。

 資本を世襲で継承していける資本家が最も強く、

 資本主義を拡大していくなら世界を手に入れることも可能だった。

 しかし、得体の知れない存在により計画が狂わされる。

 二度目の世界大戦で滅ぼすはずだった日本が滅亡を回避し、

 それどころか、世界最強のアメリカ軍と、世界最大のソビエト軍を大敗させて、後退せしめ、

 いまでは、世界三極の一角を占め、アメリカ資本の野望に挑戦していた。

 日本は国際社会で死神教を広めることに成功し、

 自国の成長を国際社会に見せつけることにより、

 アメリカ資本主義に反旗を翻すアメリカ国民を増大させていた。

 アメリカ資本は、増長する民主主義の波を抑えるべく、

 懲罰的な税制、再配分の財政、信用(借金)創造による我田引水で金融支配を強めたせいか、

 貧富と地域の格差がさらに広まり、アメリカ国内は、犯罪と暴動が増大する。

 アメリカは、反日と国内統制と同時に対麻薬戦争でベネズエラ戦争で誤魔化そうとするが、

 アメリカ国民の暴動と反政府運動は、沈静化することは無かった。

 アメリカ合衆国 白い家

 「対死神兵器・・・」

 「放射線を人間に当て、人工進化させ、対死神用兵士を作るのですよ」

 「なんか、死にそうだな」

 「成功すれば、我々は死神を恐れずに済む」

 「犠牲者が増えることになるな」

 「貧困層は多いですし、世界中で傭兵を雇います」

 「どうせ、資本主義の低階層は、奴隷階層ですから。戦争で死んだということにすればいいでしょう」

 「ふっ」

 「しかし、死神教は、内容を歪めるか。増長させて暴露して排斥するかしないと」

 「せめて、再配分をやめさせないと、政治勢力は強まるばかりだ」

 「反アメリカ的な動きはないのか」

 「存在そのものが、反アメリカですが」

 「国民にとって、反政府と反アメリカは、同一と思わせておいた方がいいかもしれないが」

 「我々にとって、反政府と、反アメリカは違うよ。その認識だけは、はっきりさせておかないとな」

 「むろん、わかっていますよ」

 「しかし、法的には、死神教は、死神教信者に場を提供してるだけで、政策に口出ししてませんよ」

 「だが死神教の再配分で助けてもらった信者が主流だ」

 「彼らは死神教に謝礼をする義理を感じるかもしれませんが。法的に日本に義理を返す必要はない」

 「それでもだ。現実に、我々の利権が削られるのは面白くない」

 「なんとか、死神教を衰退させるか。形骸化させないと。最悪でも再配分をやめさせないとな」

 

 

 日本は人口2億1000万人を超えていた。

 戦後、日本は、神火人の圧力により、憲法改正を何度か繰り返しつつ、選挙制度も少しずつ変遷させていた。

 上院の貴族院

  任期7年 皇族議員、華族議員のうち公爵・侯爵・伯爵・子爵・男爵議員の定数100人。

  終身の勅任議員100人。

 下院の衆議院

  任期5年 選挙議員 有権者比1人/10万人

  任期5年 抽選議員 有権者比1人/50万人が決まっていた。

 有権者は、1925年以降変わっておらず、男子25歳以上で、4000万人ほどだった。

 下院は、有権者10万人分の1議席と決められたものの、

 人口が増えるにつれ、議席が増えることから、

 将来は、議場の関係で衆議院は、選挙議員1人/15万人と、抽選議員1人/50万人になることは決まっていた。

 そうなると、顔の見えない選挙、声の届かない選挙であり、

 マスメディアが当選者を決めると言っても過言じゃなかった。

 ただし、特権層に移行した広長閥は、未だに庶民感覚を持っており、

 国民全体が、まだ、アメリカ戦略爆撃機によるジェノサイドを覚えていたし、

 日本教育が、繰り返し、日本本土爆撃と、沖縄戦の映像を国民に見せていた。

 

 抽選制

 衆議院の5対1の法則があって、毎年、5回から8回は、議会を混乱させ賑わせていた。

 “原爆を落とされた人々の世界平和を望む会” の一室

 「今回のは、ちょっとヤバかったんじゃない?」

 「んん・・・ 確かに、神火人に焦点が当たるのはまずい」

 「いや、単に極寒地に強い出身県で寒さに強い人が多い分布図だけって話しだから」

 「いや、広島と長崎を中心に広がってるのが、問題なんだよね」

 「何も知らない抽選議員は、台風の目だな」

 「とりあえず、適当に誤魔化したんだろう」

 「まぁね」

 「とはいえ、抽選議員が、不正腐敗を発覚させてくれているのは、助かるんだよね」

 「抽選制議員の定数をもっと増やした方がいいかもしれないな」

 「抽選制議員は、神火人の支配下にないし、多過ぎると、邪魔だよ」

 「だけどね。ぼくらは、政治・経済・軍事利権の専門家じゃない」

 「そして、我々じゃ気付かない既得権の不正腐敗を彼らが見つけてくれるからね」

 「それはあるけど、神火人が発覚してしまうのはまずいよ」

 「とはいえ、広島と長崎周辺のCランクは、ともかくとして」

 「YAP因子保有者と、非YAP因子者との差異を感じる程度のDランクは、広い範囲に分布してる」

 「差異に気付いて優越感に浸るだけならまだしも、今回みたいに、独自に調べて分布図を作られると拙いよ」

 「神火核は、あの時の風向きで広がったからね」

 「まぁ 元々 Aランク、Bランク、Cランク、Dランクは、YAP因子の強さと、神火核の数量だから」

 「別に広長閥に拘ることもないかもしれないし」

 “どうだろう。国政以下の都議会、府議会、県議会、区議会、市議会での抽選制の比率を増やしたら”

 「んん・・・ 抵抗が大きくないかな」

 「いや、面白いと思うよ。というか、半数にしてもいいくらい」

 “は、半数は、我々の存在が暴露されかねないぞ”

 “確かに、時々 広島と長崎のゾンビとか、蘇えりとか。話題になってるからね”

 「まぁ 人の口に戸口は掛けられないしね」

 “だけど、3分の1くらいなら、大丈夫なんじゃないかな。いざという時は、脅せばいいし”

 「んん・・・ 話し合おうよ。だいたい、アメリカ軍と、ソビエト軍を追い返したのおれたちだし」

 「一般人は、話せばわかる。みたいな」

 「そうなんだけどね。数が増えると・・・」

 「「「「・・・・・」」」」 ため息

 

 

 UH1イロコイ100機編隊が40mm機関砲に狙われ次々と撃墜されていく。

 ベネズエラ軍の防空監視拠点は、ギアナ楯状地にあった。

 いかなる空襲もこの台地からの通報によって、被害を最小限にさせられる。

 アメリカの空挺部隊がギアナ楯状地を強襲し、制圧すれば、地上への攻撃がより効果的になった。

 防空支援のF4戦闘機と迎撃機のサーブ35ドラケン、MiG21が絡みながら機銃掃射を繰り返し、

 激しい空中戦を展開していた。

 日本人とロシア人が双眼鏡で空を見上げていた。

 「レーダーで負けてるのが問題かな。回り込まれる」

 「だがミサイルの命中率は低いし。一旦乱戦になれば、数に任せて巻き返せる・・・」

 「とりあえず、この台地の占領は防げそうだな」

 「Mi4、Mi6で物資を運び込んでてよかったよ・・・」

 UH1イロコイが煙を吐きながら目の前を通過ししていく、

 アメリカ軍兵士の恐怖に歪む表情が脳裏に焼き付けられ、

 断崖の下に落ちていく、

 「・・・核爆弾を落とされなければね」

 「核か」

 「アメリカは核を使うかな」

 「核を使えば、アメリカの正義と、アメリカ国民の愛国心は、揺らぐだろうな」

 「アメリカが戦争を正当化する唯一の拠り所が民主主義と正義だからね」

 「いくら広告業者が宣伝しても麻薬業者が逃げ込んだからって、核爆弾投下は、おかしいと思うだろう」

 「いや、戦争自体ありえないし。逃げ込んだという麻薬業者すらゴーストって話しだ」

 「相変わらず、えげつない国だ」

 「だけど、宣伝力の強さは大きいね」

 「いや、客観的に見るとキチガイみたいな自作自演で我田引水してるだけなのだが」

 「馬鹿には、効果あるんだろう」

 「そういや、日本人は、世界で一番、騙しやすいらしいが本当か?」

 「あはははは・・・・」

 

 

 

 

 連邦日本の特許政策は、国内限定で拡大解釈されていた。

 特許料定価の5パーセントさえ払うなら交渉なし、振り込むだけで模倣することができることになり、

 開発業者は、新規参入業者によって独占が崩れ、価格競争となっていた。

 例外は、神火核関連特許枠で別管理されていた。

 そして、裏表を合わせた技術開発で力を入れていたのは、

 電子計算機の向上、荷電粒子発電の多様化、複合素材で

 社員の海外渡航は制限がかけられ、生産量強化が求められた。

 日本の技術の粋と、兵器設計で理想を追求すると、

 国際軍事常識からかけ離れてしまう。

 そのため、艦が海面下に隠して作戦できる潜水艦が主流になった。

 しかし、水上艦艇は、見せなくても、存在しなければ砲艦外交力が疑われることから、

 水上艦艇の建造が必要になっていく、

 軽量強靭な複合素材は、艦体を洋上に浮かせ。既存の設計では、転覆しやすくなった。

 三胴艦となったのは、重心の高さを補うためで、

 設計図のそれは、細い先端部の100mと広い甲板部の220mの全通型飛行甲板で

 艦橋は右舷前方に配置されていた。

 

  38000t級播磨型航空巡洋艦

  全長320m×全幅80m×吃水7m

  荷電粒子発電1500馬力(1125kw)200基 300000馬力(220800kw)

  速度50kt  航続距離60年

   対空ミサイル60基  対艦ミサイル60基

   迎撃ミサイル60基  対潜ミサイル60基  

   大型巡航ミサイル60基

   64口径128mm砲×2基  71口径40mmガトリング6連砲×6基

   戦闘機80機  哨戒ヘリ34機

      同型艦4隻 “播磨” “薩摩” “長門” “駿河”

 

 主艦と副艦の艦首から艦尾まで荷電粒子ウォータージェット推進口が伸ばされ、

 海水を勢い良く引き込みながら加速していく機構になっていた。

 関係者たち

 「なんか、まるで戦闘機みたいな空母だな」

 「速度が増すと艦首の飛行甲板が空気を掻き込んで船体を押し上げるから速度が増していく」

 「波濤を超えようとしたら艦が空中に飛び出すかもな」

 「おいおい、船を壊すなよ。海上から浮いて、へし折れたら怒られるじゃすまないぞ」

 「壊れないように設計しているというか、カーボンナノチューブやケブラーは、そんなやわじゃないよ」

 「というよりまともな軍艦だと。新興造船所に負けてしまうからな」

 「1グラム1万円だった時代は過去だな」

 「神火人のおかげでもあるし。荷電粒子発電のおかげでもある」

 「しかし、着艦しないといけないから飛行甲板は水平にしておきたいのだがな」

 「まぁ 空力学的には、なるべく水平になるようにしてるよ」

 「だけど、船の構造上、弾薬、燃料、生活物資は、少なめになりそうだ」

 「護衛艦も欲しいのだが」

 

  12000t級鞍馬型ヘリ巡洋艦

  全長200m×全幅50m×吃水6m

  荷電粒子発電1500馬力(1125kw)100基 150000馬力(110400kw)

  速度50kt  航続距離60年

   対空ミサイル20基  対艦ミサイル20基

   迎撃ミサイル20基  対潜ミサイル20基  

   大型巡航ミサイル20基

   64口径128mm砲×1基  71口径40mmガトリング6連砲×4基

   哨戒ヘリ12機

     12隻  “鞍馬” “出雲” “吾妻” “浅間”

          “八雲” “伊吹” “生駒” “春日”

          “愛宕” “羽黒” “青葉” “白馬”

 

  6000t級綾波型巡洋艦 40隻

  全長160m×全幅40m×吃水6m

  荷電粒子発電1500馬力(1125kw)100基 150000馬力(110400kw)

  速度50kt  航続距離60年

   対空ミサイル20基  対艦ミサイル20基

   迎撃ミサイル20基  対潜ミサイル20基  

   大型巡航ミサイル20基

   64口径128mm砲×1基  71口径40mmガトリング6連砲×2基

   哨戒ヘリ4機

     40隻

     “綾波” “敷波” “荒波” “浦波” “藤波” “高波” “磯波” “白波”

     “雪風” “峯風” “秋風” “朝風” “灘風” “舞風” “雷風” “旗風”  

     “吹雪” “白雪” “淡雪” “水雪” “灰雪” “玉雪” “春雪” “初雪”

     “秋月” “冬月” “夏月” “春月” “葉月” “涼月” “照月” “若月”

     “夕雲” “朝雲” “天雲” “峯雲” “巻雲” “山雲” “秋雲” “白雲”

 

 「土佐を小型化した12000t級ヘリ巡洋艦と、6000t級巡洋艦を検討してる」

 「だけど、例のMi24ハインドを哨戒させていれば十分と言えなくもないがね」

 「あの特注」

 「聞いた話じゃ ずっと飛んでいられるらしい」

 「荷電粒子発電は、重さ大きさの割に出力が小さいから、航空機に使わないはずじゃなかったのか」

 「燃料無しで60年も飛べるなら別だよ」

 「まぁ だから特殊部隊限定ってことになったそうだ」

 「特殊部隊ねぇ 信頼されてることで」

 「仮に敵の手にわたって構造がわかったとしてもだ。どうやって製造したのかわからんだろう」

 「でも、局長。この建艦計画。評判悪いですよ」

 「荷電粒子発電で兵器作るなら潜水艦か、大型哨戒機がいいって思うだろうからね」

 「平面的な動きしかできない水上艦艇は、モノを輸送するのにはいいけど、それ以上じゃない」

 

 

 

 航空局フロア

 デルタ翼の空中巡洋艦の設計がされていた。

 荷電粒子発電は、非大気圏型機関で稼働60年と長大な特徴があったものの、

 現状は、馬力/kgの1500馬力(1125kw)/530kgと、第二次世界大戦クラスの効率性しかなく、

 この時代の航空機で使うなら劣悪な性能だった。

 しかし、航空機として考えず、軍艦で運用するなら、

 即応性、速度、整備性など優れ、

 潜水艦の攻撃を恐れずに済み、航空攻撃を受けそうなときも退避が早かった。

 三胴船構造に主翼が取り付けられたのは飛行船の機能をつけたかったからであり、

 その構造は、ジューコフスキー翼を兼ねた三胴船に一体型の菱形翼を付けたような奇妙な形態になった。

 

 荷電粒子ターボファンエンジン案

 1500t級

  中央船 (全長120m×全幅10m)  左右船 (全長40m×全幅8m)  ×  全翼幅60m

  直径40cm級流星451型荷電粒子ターボファンエンジン 推力 2500kg100基 250000kg

  巡航ミサイル40基、対空ミサイル40基、対潜ミサイル40基、迎撃ミサイル40基、25mm6連装4基

  速度1000km/h 航続距離30000海里 

 

 荷電粒子機関ウォータージェット・エアージェット案

 1500t級

  中央船 (全長120m×全幅10m)  左右船 (全長40m×全幅8m)  ×  全翼幅60m

  荷電粒子エンジン 1500馬力(1125kw) 400基 600000馬力(450000kw)

  巡航ミサイル40基、対空ミサイル40基、対潜ミサイル40基、迎撃ミサイル40基、25mm6連装4基

  速度580km/h 航続距離60年 

 

 関係者たち

 「上は、海軍艦艇案と大型飛行艇案の両方で荒れてるようだ」

 「海軍と張り合うのをやめて、オーソドックスにB52型の空中巡洋艦にすべきかも」

 「特殊部隊は、定数30機ほど欲しいらしい」

 「まぁ 管理しやすい大きさと数はあるからね」

 「軍艦ほどじゃないだろう」

 「それはそうだが、荷電粒子発電が発達しない限り馬力や推力が小さいままだし」

 「中途半端なものにならざるを得ない」

 「だいたい、装甲列車に予算を取られすぎだと思うね」

 「装甲列車は、直接住民を守る盾みたいに振舞ってるし。日満州、和洋州、輝夜州、扶桑州、大和州の集票が強い」

 「だから陸海で展開できる空軍力が重要なんだろうが」

 「第二次世界大戦の記憶が強い間は難しいかもね」

 「そりゃ 国防からかけ離れた戦線で浪費したのは事実だけどね」

 「それに核戦争を考えるなら海空後回しで、地下鉄建設は道理でしょう」

 「「「「・・・・」」」」

 

 

 

 

 

 刀は、武士階級が持つ特権という観念から、武器は軍人階級が持つ特権となった。

 しかし、戦後、広長閥のゴリ押しにより、予備役制度が確立されると状況が変わる、

 30万人級城塞都市に1万丁の60式小銃が配置されるようになり、

 700万丁の銃器が準備されるようになっていた。

 むろん、撃ち方や簡単な歩兵戦術を知るだけの素人より、機銃ボックスがいいという意見も根強い、

 しかし、少数の人間に監視され支配されるのを好ましくないと思う勢力も強かった。

 そして、世界一高価と言われる軍服もある程度準備しなければならないことから、大きな負担になっていた。

 演習場

 予備役兵たちが教官にレクチャーを受けると

 それぞれに行進し、陣地を作って標的を撃つ、

 教官は、予備役に点数をつけ、適正に合わせて、優先的に徴兵するリストを作っていく、

 教官たち

 「甲種は、だいたい、半分くらいか」

 「最近の若者は、体格が大きくなってるのに貧弱で困る」

 「車と鉄道とテレビのせいだと思うね。あと、肉の食べ過ぎ」

 「一番の問題は、ギラギラした闘争心のようなものが薄れてることか」

 「愛国心が前面に出なくなったせいかもしれないし」

 「日清、日露、第一次、第二次って続いた時代が異様だった。と言えなくもないし」

 「支配層と資本家が利権と紙幣を欲し、格差を広げたがっただけで、国民が戦争がしたいわけじゃないけどな」

 「財政と増税で格差を広げて、利権と紙幣を得るなら、戦争が一番手っ取り早いよ」

 「どこの利権団体でもそういうところがあるからね・・・」

 「だけど、機銃ボックス反対で、予備役訓練あとで、やっぱり機銃ボックス賛成とか勘弁して欲しい」

 「あははは、経験してみないとわからないことは多いからな」

 「だけど、予備役訓練すれば機銃ボックス派が増えるなら、それはそれで効果があるわけだ」

 「まぁ 理想を語るのは自由だけど。銃口を敵兵に向けるのがストレスとわかれば、考えも変わるだろう」

 「まして、相手を殺してしまえば、なおさらだ」

 「しかし、戦争が終わって27年。当時20歳で計算すると、現実の戦場を知ってる将校は47歳」

 「だんだん風化していくのは仕方ないとしても、戦争になったらと思うと怖いな」

 「ベネズエラ戦に戦訓部隊を出す話しは?」

 「一旦、除隊して、ベネズエラ軍の傭兵部隊に入ることになるらしい」

 「戦訓を得て、出世に繋がるなら行きたがる将兵もいますからね」

 「国軍全体が戦訓を取り入れられるなら愛国心だと思うがね」

 「そういえば、なんで、蒼雷は売れないんですかね」

 「エンジンが小さすぎてライセンスが難しいらしい」

 「だから日本に近い同盟国しか買わないし」

 「買ってもエンジンが多いからと高くつくそうだ」

 「そんなに高いですかね」

 「GDP世界一だから気づかないだろうけど。蒼雷は負担の大きな機体だよ」

 「6発機や8発機も検討されているというのに」

 「流石に日本でも高価だからぶつくさ言われてるらしいけどな」

 「61式戦車は?」

 「スウェーデンが近いからS戦車か。オーソドックスなT55が好かれてるようだ」

 「T10重戦車は?」

 「重戦車は割が合わないせいか。減ってる」

 「まぁ 日本が装甲列車の方が強いからな」

 「荷電粒子発電機と複合素材が使われてるようになってから、ますます装甲列車が強くなってるらしい」

 「地下網は多いし。戦車より、中が広くて住み心地がいいから人気あるのかも」

 

 

 UFOモドキ

   重量24000kg

   直径24m×全高4m

   荷電粒子発電1500馬力(1125kw)8基 12000馬力

   速度  空中900km/h  海中100km/h   60年間

 直径24mの円盤の外周に荷電粒子発電機が並べられていた。

 非大気依存推進エンジンは、海中にあってウォータージェットで潜航し、

 空中にあってはエアージェット推進で飛ぶことが可能だった。

 海空両用エンジンであっても1基1500馬力(1125kw)に過ぎず、

 8基(12000馬力)配置したとしても大戦中レベルの飛行性能しか発揮できなかった。

 垂直離着陸やホバリングなど、ヘリよりはるかに性能がよかったものの

 秘匿すべき航空機だった。

 「アメリカ機動部隊か・・・すげぇ・・・」

 「なんか、ロックオンされてるぞ」

 「降下!」

 「げっ まずい、F4ファントムに回り込まれた」

 「しょうがない、着水」

 「あ、撃ってきた」

 UFOモドキは、F4ファントム接近と、アメリカ巡洋艦のミサイル発射を確認すると、

 急降下しつつ海中へ潜った。

 直後、ミサイルが海面で炸裂し、水柱が立ち上る。

 コクピットの日本人たちは、衝撃波で揺れる船体を立て直した。

 「危ない危ない」

 「刺激しすぎたんじゃないか」

 「F4ファントムに逃げ道を塞がれるし、ちょっと艦隊に近すぎたな」

 「だけど、アメリカ海軍もUFOに気づいただろうし」

 「これで異次元バミューダ帝国の逆襲は、信憑性が増す」

 「ふっ 命懸けの映画宣伝なんてどうかと思うけどね」

 「死神教が思いっきり投資したハリウッド映画だから」

 「米ソ将兵300万人の死病を異次元帝国犯行説に摩り替えるのは悪くないでしょう」

 

 

 

 強制力の強いスパイ組織の構築。

 非道になれるのであれば、それほど難しくない、

 一番強い組織は、元非合法工作員を合法工作員に変えた場合で、

 例えば人を殺したところを撮影し、

 その殺人者の証拠を揉み消し、大会社の社長や大官僚に据え付ける。

 他にも誰にも言えないような犯罪記録を保管し、諜報機関が工作員の生殺与奪権を握る。

 大会社の社長や大官僚であっても諜報機関に逆らえない、

 さらには、そういう人間の地位を上げさせ、国権のトップに据えれば敵国でさえ思いのままに動かせる。

 生き馬の目を抜く諜報の世界では常識で、

 日本の衆議院の一部が一般国民からの抽選になったのも、資本主義の圧力を受けにくいようにするためだし、

 国体を籠絡された議員に奪われることを防ぐ手法の一つだった。

 

 しかし、ほかの国はそうではなく、利権がらみの選挙戦となりやすく、

 すねに傷ある議員が圧倒的に多かった。

 そして、日本の特高も海外進出した企業や死神教を隠れ蓑に世界各国に諜報機関を張り巡らせていた。

 時に生殺与奪権を握った人間の地位を押し上げることから、

 他国の工作機関の利権と衝突し、ヒットマン同士で殺し合いになることも少なくなかった。

 なんにせよ。日本の特高は、死神教を通じて、他国にネットワーク網を持ち、

 国際情勢や国情の変化に合わせ、工作ができた。

 そして、同じような共産ネットワークを持つ不倶戴天の敵、ソビエトKGBと協力することもあった。

 チリ サンチアゴ

 モネダ宮殿を包囲するピノチェト将軍のクーデター軍と

 クーデター軍を逆包囲するアジェンデ大統領派の市民軍の銃撃戦が始まっていた。

 モネダ宮殿の柱に配置された日本製機銃ボックスは、クーデター軍の侵入を拒み続け、

 モネダ宮殿の最上階に配置された6.5mm機銃ボックスが

 不用意に上空を通過しようとしたホーカー ハンターをも撃墜してしまう。

 市民軍の勢いは強まり、クーデター軍は士気を低下させていた。

 チリ軍将兵たち

 「大佐。退路を断たれました」

 「どうして、市民がAK47やトカレフを持ってる」

 「誰かが配ったのかも」

 「このまま梃子摺ると、反乱軍にされ・・・て・・」

 表情の凍りついた少女がトカレフを向けていた。

 銃口から銃声と火が飛び散ると、

 大佐の胸を銃弾が貫き倒れてしまう。

 モネダ宮殿を包囲するクーデター軍は、その数十倍の武装市民と交戦し、泥沼のような戦場になっていた。

 軍の戦意は急速に低下し、次々と降伏していく、

 ロシア人と日本人が高台から戦況を眺めていた。

 「大統領派は、持ち直したかな」

 「地主層は、戦々恐々になるな」

 「なんにしても農地解放はしないと貧富の格差は収まらないし、政治は安定しない」

 「日本が共産側についてくれるとは意外だな」

 「資源供給と公共投資発注を日本に優先してくれるってアジェンデ大統領が約束してくれたからね」

 「金かよ」

 「お金持ちを潰して。国民にお金と土地を分配すると消費量が数倍に増える」

 「チリは工業力が低いから、そこに日本製品をばら蒔くと売上が増える」

 「対価は資源になるだろうし、海産物も大きい」

 「ソビエトの武器弾薬でクーデターを失敗させたのになんで日本が儲けるかな」

 「だから、武器弾薬の代金の半分を電化製品で配るって」

 「まぁ 貧困階層に武器を供給できたのは日本のお陰だし。いいか・・・」

 「問題は、アメリカの出方だろうけどね」

 「「「・・・・」」」

 戦況は、市民軍優勢となって、

 アジェンデ大統領はクーデター軍を反乱軍として鎮圧解体させ、

 市民軍から正規軍を募り、農地解放を進めていく、

 表面的には、共産主義を支持する市民軍が反乱クーデター軍を撃退するという美談なのだが、

 裏の諜報機関が動いて武器弾薬密輸し、保管し、必要な市民に分配したからにほかならなかった。

 そして、この武器弾薬の出処は、大統領命令で探られないのである。

 

 

 

 資本主義では、資本家が利益を上げると紙幣を集め格差を作り、資本を先鋭化させると社会資本がやせ細る。

 一企業では目立たないものの、企業群全体で平均を取れば膨大な紙幣を保有している。

 中央銀行は、インフレさせつつ一定量の紙幣を増刷し、格差の是正を行う。

 国政の側で富裕層に課税するか。既得権を守って新興企業の押さえるか。

 あるいは、自由競争に晒し、潰れるままに盛者必衰の理に従わせる。

 あるいは、弱者である国民から絞るとるだけ搾り取って、格差を拡大させていく、

 日本は、戦後再建、未開地開発、人口増大を同時に行うためか、

 国民基礎所得で、国民に紙幣をばら撒き、市場戦国時代とも言うべき急成長を見せていた。

 銀行が潰れそうになると、預金者は、無利子・元金保証の国民基礎所得の口座に退避させ

 銀行役員は巨大な負債を抱え込んだ。

 この時期の日本は、国民、国土、主権あっての国家であるといった原則論が強く、

 GDP成長率10パーセントを叩き出していたとしても、国民基礎所得で格差是正を行い。

 ゼネコン利権にイカレた経済学者が標榜するユダヤ金融システムや

 公共投資のための国家でないという建前が生きていた。

 

 早い話し、利権基盤と社会基盤を幾ら巨大にしても前提なる国民不在では、国家が成り立たないのである。

 とはいえ、人口増加に合わせた国土開発は行わなければならず、

 陸上のみならず、地下、大陸棚、南極へも足場を築き、

 宇宙への足場を築かなければ、将来的な見通しが得られなかった。

 日本が有人宇宙船を打ち上げたのは、アメリカがアポロ計画最終ミッションを終え、

 宇宙ステーションスカイラブを打ち上げた翌月だった。

 宇宙(マヌス)島

 “山口昇一君。佐竹智明君。小柳義夫君。いよいよだ”

 “待ってましたよ”

 “楽しみです”

 “ちょっと緊張しますね”

 “訓練通り成功するよ”

 “時間だ。スタート”

 “リニアモーター作動”

 “速度、10・・・20・・・40・・・80・・・120・・・180・・・200・・・”

 “台座主翼ジェットエンジン点火します”

 “速度、500・・・800・・・900・・・1000・・・1100・・・1200・・・”

 巨大な地下トンネルから主翼台座に載せた宇宙ロケットがカタパルトで45度の角度で射出された。

 点火の数秒後、マッハ1の衝撃波を基地全体に轟かせた。

 “マッハ1・・・マッハ2・・・マッハ3・・・マッハ4・・・マッハ5・・・”

 “上昇角、50・・・55・・・60・・・主翼台座切り離します・・”

 “1段ロケット切り離します”

 “マッハ10・・・マッハ12・・・マッハ14・・・マッハ16・・・マッハ18・・・”

 高度を増すごとに上昇角を垂直へ移行し、宇宙速度へと加速させていく、

 “マッハ20・・・マッハ24・・・宇宙速度突破・・・” 

 “あけぼの号。衛星軌道に乗りました”

 日本中で歓声ががる。

 加速をセーブしながら打ち上げた100t程度の有人宇宙船は、

 先に無人ロケットで打ち上げた衛星ステーションとドッキングする。

 衛星ステーションは200tほどあって、

 ハニカム構造の直径6m×全長40mの円注型宇宙衛星で

 太陽電池パネルを広げると、全幅は60mにもなった。

 そして、続いて打ち上げられた衛星ステーションとドッキングを繰り返し、

 直径6×全長120mの宇宙船を完成させた。

 そして、あけぼのと、スカイラブ間で何度も交信が行われ、

 会話が交わされることになった。

 「いやぁ 英語の勉強をしていてよかったよ」

 「ふっ だけど、専門用語になるとタジタジだな」

 「それは向こうもだよ」

 「まぁ 互いの宇宙センターで通訳してくれるさ」

 「しかし、スカイラブ。ちっさい」

 「アポロ計画でへばったんだろう」

 

 

 イラク バクダット

 機銃ボックスの設置が増えていた。

 日本人たち

 「日本で進まない機銃ボックスが中東でポンポン作られるとはな」

 「京杭大運河域とか。海外州の国境沿いの城塞都市くらいか」

 「補助金が出るし、橋梁でも頑丈になるから得なんだけどね」

 「結局、州、地区、所有者の許認可制だからハードルが高いんだよ」

 「あと、南米でも機銃ボックスの設置が増えてるらしい」

 「チリクーデターを失敗させた最大の立役者が機銃ボックスだったからじゃないか」

 「武装した官邸なんて冗談じゃないというか。やめて欲しいね」

 「日本はそうかもしれないが、王族支配や独裁制の国は作りたがってるよ」

 「それも25mm機銃とか。40mm機銃とか。ロケット弾で」

 「作ってるの?」

 「金さえもらえればって、作ってるらしいけど、対軍用だから民衆掃討用機銃よりいいらしい」

 「そういう考えもあるのか・・・」

 「戦争が始まったぞ」

 「はぁ!」

 「今度は、アラブ・イスラム側がイスラエルに攻撃した」

 第4次中東戦争は第3次中東戦争で辛くも防衛に成功したアラブ側から始まった。

 アラブ軍は、イスラエル消滅を企て大攻勢をかけた。

 アラブ空軍のMiG21、ドラケンの編隊がイスラエル空爆に向かう、

 アラブ空軍の機先を制した先制攻撃で、イスラエル航空機の半分が破壊されたものの、

 アメリカ製地対空ミサイルが打ち上げられ、

 ミラージュIIIとF4ファントムの迎撃で空中戦が始まる、

 そして、戦場となったイスラエルは、国土の大半で双方2500両の戦車が砲撃戦を行い、

 市民総出で市街戦を展開しなければならず、苦境に陥った。

 しかし、アラブ軍は攻勢の限界を迎えたのか、損失比が逆転し、

 20日程で国境線から後退していった。

 

 

 日本からソビエトに売却された30000t級空母2隻が白海に入港する。

 日本は太平洋に港を持たないソビエト海軍が強化されたところで困ることが少なかった。

 それより西側を追い詰めることができると、資源と交換に輸出していた。

 無論、大西洋側の太陽同盟は反対したものの、

 アメリカと西側諸国は、中国軍閥に武器輸出等で肩入れしており、

 和洋州に対し軍事圧力をかけていたことから、

 警告の意味でも輸出せざるを得なくなっており。

 ソビエトの石油購入による石油価格安定の意味も強かった。

 日本製正規電子機器や荷電粒子発電が取り外され、

 日本の二線級造船企業が大改装を行った。

 そして、ソビエトに輸出しても支障のない程度の技術を詰めた空母がソビエトに売られたのだった。

  30000t級空母 蒼鳳(アンティータム) 白鳳(ランドルフ)

   全長275m×全幅39m×吃水9.2m

   ウェスティングハウス製蒸気タービン4機 4軸推進150000 shp

   33kt 20000海里/15kt  26000 

   搭載機 震電改 12機  Ka25 40機

 もっともこの空母2隻は、後に建造されるキエフ型空母より運用しやすかった。

 

  360000t級キエフ型航空巡洋艦(75年建造)

  全長273.1m(水線長242.8m)×全幅53m(水線幅31m)×吃水8.2 m、最大 12 m

  機関4軸推進 蒸気タービン8缶180000hp4基

  速力 最大32ノット (59 km/h)  航続距離8000海里(巡航速度:18ノット)

  乗員1615名

  兵装SM-241「ウラガーン-1143」SSM連装発射筒 (4K80「バザーリト」ミサイル)4基

  M-11MSAM連装発射機B-189(V-611ミサイル)2基

  4K33「オサー-M」SAM連装発射機ZiF-122 (9M33ミサイル)2基

  AK-726 76.2mm連装砲2基 AK-630 30mm多銃身高角砲6基

  533mm5連装魚雷発射管PTA-53-1143 (SET-53またはSET-65魚雷)2基

  RBU-6000「スメールチ-2」対潜ロケット12連装発射機2基

  RPK-1SUM連装発射機1基

  搭載機Yak38 12機  Ka25 16機

 

 

 

 

 日本では、巨大投資をしても国民基礎所得のせいで、前年を上回る紙幣が発行され、消費が増えていく、

 実力さえあれば設備投資を繰り返すことで利益を上げ、利息を返すこともできた。

 地上の集光塔から偏光筒を経て日光が差し込みフロア全体を照らした。

 地下と思えないような空間と上質の建材で、丸太山小屋風の喫茶室を作り、

 壁や窓は、蔦が絡み、葉が茂っていた。

 窓から見ると、地下街を歩く人々は増え、若者が圧倒的に多かった。

 そして、巨大スクリーンは、新人が作った映像の中でも人気のあるものが映され、

 女子高生が得体の知れない闇の結社と戦っていた。

 “サ・・キ・・・” どさっ!

 “レミ! しっかりしろ! 誰にやられた!”

 “せ・・青倭会・・・がくっ!”

 “レミ! レミ!!!!”

 「・・・真高。第4次中東戦争で運河に機雷を撒かれたらしい、それで、石油が上がるかもしれないそうだ」

 「それは困るな」

 「アラブが勝手に戦争して、戦費のために石油の値段を上げるなんて酷過ぎ」

 「そうそう。宇宙開発、南極大陸開発、大陸棚開発どころか」

 「国内開発すらリストの下5分の1が見送りだと」

 「おいおい・・・」

 「まぁ 荷電粒子発電が無かったら半分が逝ってたことを思うと、まぁ そこそこ強い経済だと思うがね」

 「やれやれ・・・」

 「それでな。真高。ベネズエラ戦と第三次中東戦争。なんかいい創作情報は、ないかってよ」

 「またかよ。神火風の創作情報作りで忙しいって言うのに・・・」

 「でも、ボーナス査定でプラスが出るかも」

 「「・・・・」」 にまぁ〜

 「中東は痛みわけだからいいとして・・・」

 「やっぱし、アメリカを内部分裂させないと、ベネズエラが苦戦するよな」

 「だけど、やり過ぎて、核戦争はやばいよ」

 「だよなぁ・・・そうだ?」

 「ん?」

 「アメリカ軍がベネズエラ戦で化学兵器を使ったって言いふらそう」

 「使ってるの?」

 「枯葉剤って化学兵器を薄めたモノだろう」

 「そうなのか」

 「あとは、そうだなぁ 捕虜を人体実験で改造手術して改造人間にしてるとか」

 「あははは、うそくせぇ」

 「だから、そういう特撮映画を作るんだよ。フランケン・・・・ ボリバルンケン仮面の逆襲とか」

 「あははは」

 「こういうのはイメージだからね」

 「じゃ できるだけ被害者のフィルムと写真を撮って、アメリカ軍の邪悪さを国際社会に公開しよう」

 「あと原爆投下も、やった。みたいな」

 「えぇええええ〜!!!」

 「高々度爆発なら地面に痕跡が残らないし、風の強い日ならキノコ雲の流れも速い」

 「朝鮮人から買った放射線障害の写真があるから、それをベネズエラ人にすればいい」

 「なんで、朝鮮人がそんな写真持ってるんだよ」

 「アメリカ本土の核実験を写真に撮って、隠し持ってたらしい」

 「南米の人間もいたらしいから、写ってるだろう」

 「へぇ あいつらも少しは役に立つことするんだな」

 「じゃ アメリカ軍がベネズエラ戦で核を使ったと大々的に写真をテレビに流せば・・・」

 “し、死ぬニダ”

 “やめてくれ・・・がくっ!”

 “死んだニカ”

 “・・・・”

 “やった。やったニダ。これで秘密は守れたニダ”

 “新聞社は俺のものニダ。もっと高い権力だって手中にできるニダ”

 “日本人社員をコメツキバッタのように土下座させて、扱き使って、死ぬまで奴隷にしてやるニダ”

 「「「ウェーハハハハ!!!」」」

 「「「ウェーハハハハ!!!・・・」」」

 “しゅるー しゅるー しゅるー”

 !?

 “誰だ。お前は?”

 “しゅるー しゅるー しゅるー”

 “かちっ!”

 “そ、それは、桜の大門・・・”

 “お前ら権力を傘に越えて太り・・・”

 “待つニダ。あいつらが先に・・・”

 “追い詰めて、先に手を出すように仕向けた!!”

 “““・・・・”””

 “人を騙して人生を狂わせ、人の財産をむさぼる”

 “人を人とも思わんでなぶりものにし、地位や金、利権や保身のために人を殺してきた”

 “てめえら、許さねぇ!!!”

 「「ぶっーー!!!!!」」

 げほん! げほん! げほん! げほん!

 げほん! げほん! げほん! げほん!

 「・・・原爆の写真は、ベネズエラ戦と分けて使おうか」

 「そ、そうだな。枯葉剤を化学兵器って定着させればいいだろう」

 

 

 

 中国四川軍閥朝鮮人自治区

 アメリカ軍駐留基地

 反日朝鮮人組織、反中朝鮮人組織が作られ訓練されていた。

 白人教官たち

 「第4次中東戦争でイスラエルは大打撃。ベネズエラ戦もアメリカは苦戦している」

 「なんとか、対日工作で使える手駒を増やさないと対日が移行戦略が進まない」

 「朝鮮人の改造を急がせよう」

 「朝鮮人を使って、日本の差別と格差を広げ、対立を利用して浸透しよう」

 「アメリカ型経済システムを日本に埋め込めれば政治圧力、経済圧力が容易になる」

 「そして、一枚岩の日本社会の破壊する」

 朝鮮人自治区の政治、経済、軍事は、全てアメリカが握り、

 逆らうことは許されなかった。

 黒人教官たちが韓国新兵に近付く、

 じり・・・じり・・・じり・・・

 「や、やめるニダ。女じゃないニダ。男ニダ」

 「助けてニダ」

 「間違えてはいけないニダ。我々は男ニダ」

 「や、やめるニダ・・・・」

 「「「「「アイゴー!!!!!!!」」」」」

 “お前たちを外国人記者として、日本送る”

 “取材に来たと言えば日本人は有頂天になって、ヘラヘラするだろう”

 “日本の右翼と左翼と接触し、軒下を借りて応援しながら母屋を分捕るのが仕事だ”

 「「「「「アイゴー!!!!!!!」」」」」

 “左翼は平和を訴えて、日本国民を糾合して、日本人の精神を退廃させる”

 “右翼は愛国を訴えて、日本国民を糾合して、日本人を凶暴化させ、戦争させる”

 “この両面作戦で、日本人を躁鬱か支離滅裂な分裂症にさせるのだ”

 「「「「「アイゴー!!!!!!!」」」」」

 “正気な日本人を徹底的に攻撃し、孤立させ、排斥するのだ”

 “日本人同士を戦わせ、疲弊させろ”

 “烏合の衆となった日本人は、ちょろいものだ”

 「「「「「アイゴー!!!!!!!」」」」」

 “日本人から徹底的に簒奪し、徹底的に搾取するのだ”

 “日本人を打倒せよ! 日本をブッ潰せ!”

 「「「「日本人を打倒するニダ! 日本をぶっ潰すニダ!!!」」」」

 「「「「日本人を打倒するニダ! 日本をぶっ潰すニダ!!!」」」」

 「「「「日本人を打倒するニダ! 日本をぶっ潰すニダ!!!」」」」

 「「「「日本人を打倒するニダ! 日本をぶっ潰すニダ!!!」」」」

 「「「「「アイゴー!!!!!!!」」」」」

 どぴゅー! どぴゅー! どぴゅー! どぴゅー! どぴゅー!

 「「「「「アイゴー!!!!!!!」」」」」

 黒人兵にやられた朝鮮人男たちには失うものがなかった。

 

 

  

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 月夜裏 野々香です。

 いよいよ。新型水上艦隊が建造されるかも

 あとチリは共産国のまま

 まぁ どこかの国の元総理大臣も人殺しとか、噂があって

 どこかの国の諜報機関が証拠フィルムを持っているのでしょうか (笑

 今の総理大臣や大官僚も他国の諜報機関に生殺与奪権を握られたクソ人間かもしれません。

 

 

 総人口2億0984万人。

  日本・輝夜 (72万ku) 日本・半島  内地人口1億0083万。

 

  海外州人口1億0900万人

   和洋州 (25万ku) 京杭大運河東部域  4084万

   日満州 (100万ku) 外満州  4084万

   扶桑(カムチャッカ・チュクチ)州 (121万ku) 1087万

   大和(アラスカ)州 (171万7854ku) 1360万

   南洋 (ハワイ、ビスマルク、ソロモン諸島) (10万6461ku) 272万

    フィリピン バターン・コレヒドール島 日本自治 “桃太郎” 区 (1000ku)

    マレーシア ブルネイ 日本自治 “金太郎” 区 (1000ku)

    インドシナ ダナン 日本自治 “舌切雀” 区 (1000ku)

    インドネシア パレンバン 日本自治 “浦島太郎” 区 (1000ku)

    ビルマ ヤンゴン 日本自治 “因幡の白兎” 区 (1000ku)

    シンガポール 日本人自治 “鶴の恩返し” 区 (1000ku)

 

 

 

 日本海軍

 第01機動部隊

  36000t級伊勢型航空巡洋艦 伊勢

  空母 海鳳(ハンコック)、雷鳳(タイコンデロガ)

  戦艦 薩摩(ミズーリ)、駿河(ウィスコンシン)、

  重巡 穂高(セントポール)、

  軽巡 八瀬(ダルース)、黒部(サンタフェ)、白萩(モービル)、河津(ビロクシー)  駆逐艦18、

 

 第02機動部隊

  空母 幻鳳(シャングリラ)、慶鳳(ボノム・リシャール)、

  戦艦 因幡(アイオワ)、播磨(ニュージャージー)、

  重巡 蔵王(ボストン)、

  軽巡 天白(オクラホマシティ)、三原(アムステルダム)、日高(マイアミ)、天神(パサデナ)  駆逐艦18

 

 白龍型潜水艦 50隻

   排水量 水上3000t/海中4300t

   全長90m×全幅9m×吃水8.5m

   荷電粒子発電1000馬力〜1500馬力 20基

   水上/海中20000馬力〜30000馬力 30kt〜36kt  航続距離60年

   533mm8管 40本

   乗員65人

  “白龍” “雷龍” “慶龍” “神龍” “剛龍”  “海龍” “陣龍” “蒼龍” “銀龍” “鋼龍”

  “雲龍” “妖龍” “弓龍” “迅龍” “凰龍”  “黒龍” “鎧龍” “零龍” “呑龍” “戦龍”

  “朝潮” “夕潮” “巻潮” “波潮” “赤潮”  “黒潮” “冬潮” “早潮” “夏潮” “磯潮”

  “長波” “巻波” “高波” “藤波” “清波”  “涼波” “早波” “浜波” “朝波” “高波”

  “幽鬼” “鋼鬼” “慶鬼” “蒼鬼” “海鬼”  “凰鬼” “弓鬼” “陣鬼” “彗鬼” “黒鬼”

 

 

 1360t級エヴァーツ型護衛駆逐艦(21)  1740t級バックレイ型護衛駆逐艦(44)

 1240t級キャノン型護衛駆逐艦(23)    1250t級エドサル級護衛駆逐艦(24)

 1450t級ラッデロウ型護衛駆逐艦(4)   1350t級ジョン・C・バトラー型護衛駆逐艦(24)

 

 ジェットエンジン

 直径40cm級流星エンジン  直径60cm級彗星エンジン

 直径80cm級蒼星エンジン  直径100cm級紅星エンジン  直径120cm級天星エンジン

 

 “原爆を落とされた人々の世界平和を望む会” 

 広島  賀茂忠行  天光正教  ウリエル  死神ウラン

 長崎  安倍晴明  聖炎主教  サリエル  死神プルト

 

  

誤字脱字・感想があれば掲示板へ

第28話 1972年 『総人口2億を超えて・・・・』

第29話 1973年 『枯葉剤は化学兵器だから』
第30話 1974年 『不換紙幣に財源はいらない』