月夜裏 野々香 小説の部屋

    

天ぼた系 火葬戦記 『神火風』

 

 第34話 1978年 『小惑星アムン』

 

 和洋州

 幾つもの堡塁が公園として使われ、一角が軍事ボックスとされていた。

 管理は、州。城塞都市。軍の三者で、開戦になったら鍵が開けられる。

 この日、装甲列車が閉鎖されていた支線に入ると駅に停まり、

 州、城塞都市、軍の管理の下、堡塁の中の武器弾薬の確認と、備蓄食料の交換が行われた。

 賞味期限が近づくと兵士に配られ演習場で消費されるか、

 ポイントチケット市場や中国市場に流される。

 守秘義務にサインした報道関係者たちがいた。

 「なんか、潜水艦か発射基地の司令部みたいだな」

 「軍ボックスは城塞都市建設と同時に作るからね」

 「通常は、都市が管理してるから無人」

 「この基地でどのくらい守れるんですか」

 「射線に入る区画だけかな。機銃ボックスだけだから大したことは出来ない」

 「強力な弾幕だと聞いてますよ」

 「霧になると敵と味方、民間人の識別ができなくなるから本気でこられたらわからないな」

 「中国軍は攻めてきますかね」

 「さぁ」

 「中国で反日教育が増えてると聞いてますが」

 「特高が中国で反米教育を取り入れるよう画策してるらしいけど予算力が全く違うらしい」

 「9対1で負けてるそうだ」

 「なぜ、そんなに予算力が違うのです?」

 「中国の戦略の根底が遠交近攻だからね」

 「あと、敵の正体が国家じゃないそうだ」

 「敵の本体が国なら国力を成長させるために予算を使う」

 「敵の本体が資本家なら、国の成長や国民の福祉より、企業利権のために金を使う」

 「日本は省庁利権の為では?」

 「あはははは、そ、そこまでは・・・・」

 「まぁ いいですけど、特高は、中国で、そういう活動をしてるんですか」

 「中国は、金次第でどうにでもなるからって、予算持って行きやがってる」

 「相変わらず、予算が絡むと敵が増えますね」

 「もう、敵ばっかりだな」

 「じゃ そろそろ、仕事しますかね」

 “ええ、軍オタの皆さま、こんにちは”

 “今日の軍オタ特集は、基地で保管されてるミリメシはどうなるのか特集です”

 

 

 

 

 日本の金融システムは、2つの側面から考えることができた。

 資本主義的な貸し借りで、政府、企業、個人が銀行から資本を借りること資金を得る。

 もう一つは民主主義的な権利で国民基礎所得で格差是正を兼ねていた。

 10年建設国債と10年学制国債の2割が国民基礎所得で、国民全体に均等配分され、

 国民資産で計上されることからバランスシートは必ず黒字になった。

 年月が経過するほど累計し紙幣が増大する。

 この年の建設国債17兆4494億0226万円がゼネコンで使われ、

 10年前の建設国債の2割1兆3454億9998万円が国民基礎所得として国民に分配され、

 国民基礎所得の累計は12兆8004億9988万円に達していた。

 それとは別に小中高と大学を合わせて10万の高校が存在し、学制国債10兆円が発行されていた。

 10年学制国債の国民基礎所得はまだなかったものの、

 10年後に国民基礎所得が支払われる。

 建設国債と学制国債は、国民基礎所得とともに個人から政府、銀行、法人、個人の間を還流した。

 それとは別に企業や個人が資産を担保に銀行から借金することで紙幣量を増やした。

 借金は、銀行が査定し、

 個人や企業が利益を上げそうになければ資金の貸し出しを制限し、

 個人や企業が利益が出せるようなら資金を貸すことで、過度のインフレと破綻を抑制した。

 儲けた企業と個人は財産を増やし、

 失敗した企業と個人は財産を減らした。一旦生じた紙幣は、国民国家経済を支えた。

 日本の宇宙開発、海底開発、南極開発は、基本的に建設国債と国家予算の泡銭によって賄われていた。

 

 

 

 小惑星 常磐(アムン) 軌道

 常磐の公転軌道は金星軌道と重なり、地球軌道の外側に至る。

 公転周期は350.96日で地球とぶつかる可能性がないほど離れている。

 “あけぼの”

 常磐(アムン)開発は、浅間(クルースン)と似ていた。

 シリコン鏡が太陽光を集め岩盤を溶かしていく、

 集光掘削ボーリングは、溶けた土砂をコンクリートのように排出し、

 ロボットアームを持った土木建設機械が溶けて固まったブロックを周囲に配置して固めていた。

 リモコン制御の建設機材が次々と降ろされ、建設工事を進められていた。

 もっとも直径2.48kmで浅間の直径5kmより小さく、

 重力区画は小惑星の外側に建設される予定だった。

 「なかなか、いい調子じゃないか」

 「神火人と荷電粒子発電のおかげでしょう」

 「アメリカやソビエトが同じことをしようと思ったら十数倍の物資を打ち上げないと」

 「じゃ 当分、宇宙開発で独走できそうだな」

 「アメリカとソビエトが、ヤケになって戦争を始めない限り大丈夫でしょう」

 「中国を噛ませ犬にしようとしてるらしい」

 「中国もわかってて、アメリカとソビエトの外資を利用してるところがありますからね」

 溶けた岩盤ブロックが船内に運び込まれ、材質の確認が始まる。

 真空無重力で金属が溶けると比重に関係なく均等に混ざり合う。

 こういった合金精製は重力のある地球では困難だった。

 「船長。鉄、ニッケル、コバルト、プラチナを確認しました」

 「このへんはニッケルの比重が大きいようです」

 「投資の元が取れるかもな」

 「地球に還元できれば、そうかもしれないが・・・」

 「水が欲しいところです」

 「小惑星は、無重力に近いし、大気がないから水が蒸発しやすい」

 「水だけは打ち上げないとな」

 

 

 

 “あけぼの” 金属小惑星 “常磐” への接触は、日本の宇宙開発投資を拡大させた。

 国外からも日本の宇宙産業の方が期待できると、投資が相次ぎ、

 日本企業の外資株保有枠5パーセントは、安全で確実な投資信託と思われたのか、買われ続けた。

 外務省

 「アメリカは、日本の外資保有枠を広げるか。市場開放してグローバル化しろと要求しているぞ」

 「欧米の資本家は世界一だからな」

 「外資枠を広げると、今度は、配当金を増やすよう要求してくるだろう」

 「そうなったら企業は余剰資本を奪われ、開発費を捻出できなくなる」

 「そして、日本の生産力は、ごっそり、外資に支配されて」

 「日本国民の雇用が外資に支配され生殺与奪権を他国に奪われてしまう」

 「欧米も公共投資と設備投資をすればいいのに。それくらいの生産力はあるはず」

 「富裕層の世襲が進んでるだろう」

 「既得権だけで食ってる連中は、格差を守るためなら戦争するし、碌なのがいないからな」

 「資本主義は、下克上だからね。聖域と保身のために全力を出すから」

 「しかし、人口が大きくなった状態で失業率が小さくて、まともに賃金を払うと相当な社会資本になる」

 「新参者が需要を得て資本を集めてしまうと、あっという間に長者番付入り」

 「有能な余所者に金を渡ると、既得権も奪われる」

 「身内同士でさえ市場を争ってるのだから、余所者が権力を得るなど当然、邪魔をする」

 「だからアメリカは、暴動対策でフードクーポンを分配し。食料分の紙幣量を減らしている」

 「日本もデフレ容認の声が強いけど」

 「そういえば、インフレだと、稼いだ貯蓄がすぐ目減りするし、天下り効果が低いから反発も大きい」

 「というより、天下りで利益を上げようとしたら利権絡みが早いが。下手をすると広長閥に殺される」

 「本当の殺されるの」

 「ああ、取り分が目に余ったのか、何人か殺されてるな」

 「まぁ 贅沢は出来なくても生活できる程度の国民基礎所得があるだろうに」

 「そういや学制国債で国民基礎所得が増えた」

 「インフレで物価も上がるから、ちょっとだけましな程度だよ」

 

 

 

 地球 浅間(クルースン) 最接近時

  “はつはる” が浅間に到着すると “あさかぜ” が地球に帰還していく。

 

 宇宙(マヌス)島は、週に宇宙ロケット4基ペースで打ち上げていた。

 4200t級あけぼの型宇宙船は、1隻当たりアポロ型ロケット42基分といわれ、4隻なら164基に達する、

 このことから日本の国力と宇宙ロケットの打ち上げコストの差がうかがい知れる。

 浅間(クルースン)と常磐(アムン)の開発後は、宇宙ロケット打ち上げは倍となり、

 宇宙(マヌス)島の宇宙ロケット発射は珍しくなくなっていた。

 あけぼの打ち上げ以前、ソビエトとアメリカの宇宙開発の後塵を排し、

 追随していた国がいきなりごぼう抜きしたのだから驚くべき成長ぶりだったが、

 日本の一人当たりの民需工業生産量は、アメリカとソビエトを足した工業生産量を超えていた。

 日本の宇宙開発は、この巨大な分母を背景にしており、

 低金利、低配当ながら担保確実と思った世界中の投資家が預金を日本に移したことも

 宇宙開発の足しになっていた。

 

 浅間(クルースン)軌道

 集められた太陽光が浅間の北極点を溶かしトンネルを押し広げていた。

 4200t級あけぼの型宇宙船 “はつはる”

 大型シリンダーが止まると、休憩中の乗員が出てくる。

 「とまった途端に血が頭に上る・・・」

 「やっぱり、背中で回るより、座って回る方がいい」

 「まぁ 自然だからね」

 「いよいよ。小惑星浅間の生活か」

 「しかし、三日で飽きそうな風景だな・・・」

 窓から外を見ると、巨大な集光板が北極点に向けて光を集中させていた。

 「確かに変化のない世界だ」

 「時間がまだあるな」

 「将棋でもやるか」

 「ああ・・・」

 「休みは、将棋かトランプばかりになりそうだ」

 「しかし、ずいぶん掘り進めたじゃないか」

 「集光板も増えたし、来年には、もっと、掘り進めてるかも」

 「今のところ、週1基の打ち上げで落ち着いてる」

 「予算がいつまで続くか不安になるね」

 「建設国債が入ってるんだろう」

 「そうだけど他の省庁はブスくれてるし。企業は過当競争で悲鳴を上げてるらしい」

 「あはははは」

 「まぁ 金集めに目が眩んで一生あくせくしてるより、宇宙開発を夢見てる方が健全かもね」

 「かも・・・王手飛車」

 「げっ!」

 

 

 地球軌道

 有人宇宙ロケットが打ち上げられ、帰還船が “あさかぜ” とドッキングすると乗員の交替が行われる、

 “あさかぜ” から帰還船が切り離されると地球へと降下していく、

 有人宇宙ロケットは比較的小型のロケットが使われ、

 人員を入れ替えるための再突入カプセルは、宇宙船と地球を往復した。

 パイロットたちが1年ぶりの地球に降りると、

 航空巡洋艦 “扶桑” が迎えに来ていた。

 宇宙では、筋力強化ギブスをつけていたことで、歩けないことは無かったもののフラフラと歩くしかなかった。

 「さて、記者会見でなんといったものかな」

 「上手いこと言わないと予算に関わるから期待されてるし。あまり上手いこと言うと、ほかの省庁に刺されるかも」

 「「「「あはははは・・・」」」」

 「なんにしてもこれからはのんびりできるだろう」

 「宇宙でものんびりしてたけどな」

 「「「「あはははは・・・」」」」

 

 36000t級航空巡洋艦 扶桑

 特殊部隊用Mi24ハインドは、対空哨戒用と対潜哨戒用の機種に分かれ、

 艦上空周囲を守っていた。

 「艦長。6人とも無事。船室に移動しました」

 「そうか」

 「これで、宇宙時代の幕開けか」

 「あけぼの4番船 “あかつき” 5番船 “あさつゆ” 6番船 “ゆきどけ” が上がってますし」 

 「政府は、海軍艦艇より、宇宙艦隊の気分らしいですよ」

 「寂しすぎる」

 「というより、宇宙開発、海底開発、南極開発に予算を入れないと、企業同士で食い合いが激しいですから」

 「一応、あけぼの型は8隻のはずだし」

 「大学の宇宙学科も増えてるから、ポストが欲しいだけだと思うが」

 「小惑星エロス、月、火星の開発に出すなら、倍は、建造するのでは?」

 「元が取れればいいがな」

 「常磐はとれるんじゃないか。金属が含まれていたそうだ」

 

 

 アメリカ 白い家

 宇宙開発予算の計上が進められていく、

 しかし、資本主義のアメリカは、採算と利益回収が見込めない限り投資が行われない、

 何より、社会資本が増大し、利権を脅かす新興企業が出現をなにより嫌った。

 「金がないじゃないか」

 「宇宙開発は日本に追い越され先行されてますし」

 「アメリカは、既に勢いが落ちた分野ですから」

 「やるべきだ」

 「しかし、紙幣が国民に流れていくと、下克上が起こるかも」

 「どのくらいやばいのかね」

 「波及効果でいうと、国民に1万ドルくらい配らないと」

 「「「「「・・・・・」」」」」

 「我々を嫌う勢力は多いし。復讐したがってる勢力も少なくない」

 「我々は格差で金融支配を維持したいのであって、国内にライバルを増やしたいわけではない」

 「民需は可能な限り海外でやって、基幹産業を国内に集中させるか」

 「それをやったとしても死神教は、非ユダヤ資本へ公共投資したがるし。敵が増える」

 「日本はGDPを10パーセント台で成長させてるが」

 「日本は単一民族で多数派マジョリティ支配ですからね」

 「それに金融支配に頼らない強制力を持つ勢力があるのでしょう」

 「広長閥の噂か。しかし、事故や死亡で規模が縮小してると思うのだが」

 「電気代の一部が流れてるフシがあるようです」

 「なぜ?」

 「わかりませんが何らかの貢献があるとか」

 「しかし、それでも資本は小さかろう」

 「ええ、目立つ程ではないようです」

 「何か国体の生殺与奪権を握ってる力があるのだろうか?」

 「なんでもいい。なんとか。日本の国民所得を廃止させろ。アメリカ国内の暴動の遠因だ」

 「政府支出の不公平な建設国債に対し。国民基礎所得を民主主義の権利にされましたからね」

 「額は小さくても公定歩合分を上回ってますから公定歩合分で家と土地。利権を収奪できる銀行屋は面白くないだろうな」

 「それに中国とベネズエラは、人頭紙幣発行制度を取り入れている」

 「チリは、日本と同様に建設国債に比例したベーシックインカムを国民に分配する方式を取り入れるらしい」

 「国民基礎所得は、信用創造ではない」

 「金融システムの範疇を超えたバランスシートと関係がない紙幣だ」

 「偽札扱いすればいいのでは?」

 「「「「おおおお・・・・」」」」

 「それで行こう。日本の国民基礎所得はバランスシート上ありえない。偽札だ」

 「国際社会で、そう喧伝しよう。日本への外資貯蓄は減るはずだ」

  

 

 

 ベネズエラ

 戦後再建事業が進んでいた。

 オリノコ川で中華資本が主導する河川経済が育ち急速に近代化していた。

 中国労働移民の参政権は5代以降となり、

 政治権力から外れていたが、ベネズエラ人は、搾取を中国人を労働搾取しながらも、

 華僑との商才の違い、結束力の違いが大きいのか、

 華僑資本に国家経済3分の1以上を占められていた。

 日本資本は、中国大陸の近代化に協力しなかったものの、

 南米諸国は二国間経済協定(FTA)の調印を行い、華僑資本と組み積極的に近代化を推し進めていた。

 それが要因となり、中国軍閥は、国内で圧政を敷きながらも南米に避難地を作り、

 公金を南米に持ち出すといった状況を加速させていた。

 とはいえ、裏を返せば南米諸国の中国人2億は、大規模な民族浸透戦術であり、

 民族的な誇りと結束力を失わなければ中国軍閥との再合流も可能で、

 国際外交戦略上、大勢力になっていた。

 

 オリノコ川上流400kmに中華街が作られていた。

 川幅は1.8kmあることから、京杭大運河の幅を超えていた。

 日本商船が物資を降ろすと中国人が次々と運んでいく、

 日本人たち

 「まるで中国みたいだな」

 「だけど、中国大陸の中国人よりイキイキしている」

 「搾取はされてるが圧政でないからだろう」

 「中国人は究極の利己主義だと思うが。中国人同士の結束はあるだろうか」

 「集団が生存権につながるなら結束する」

 「結束が利己主義と折り合いがつかなければ裏切る」

 「日本人は浪花節でナイーブなのか、どっち付かずでウジウジしてる気がする」

 「善良だって言ってくれよ」

 「「「「あははははは」」」」

 

 

 ブラジル サンパウロ

 日本人街リベルダージの外周を中華街が取り囲む

 リベルダージは日本人の自治を保っていたものの、

 外周の中国人に包囲されて、空気が変わっていた。

 日本人たち

 「やれやれ、しばらく来ないうちに中国人と中国語が増えたな」

 「リベルダージはチケットポイント制の商品交換所があるからね」

 「ベーリング海峡トンネル建設後は、中国人が増えるし」

 「数の少ない日本人は販路を華僑に任せて、問屋家業に勤しむ方が楽になってる」

 「じゃ 華僑資本がブラジルの販路を牛耳ってるの」

 「まぁ 主力商品が日本商品だけど」

 「地産産業も育ってるし、取り扱い商品も増えてる」

 「欧米商品も増えてるから南米の日本人の力は相対的に低下する趨勢だな」

 「ブラジル人と中国人の関係は?」

 「中国人が力をつけてきているから、危機感を感じてる」

 「しかし、大きな労働力と税収を取りやすいから、そのままだ」

 「ブラジルの近代化の踏み台ってわけね」

 「そう、そして、まともに教育を受けると中国人の方が頭がいいようだ」

 「ブラジルでの参政権取得は10世代先らしいが、10世代先は完全に中国人主導の国になるかも」

 

 

 モンゴル国  ウランバートル

 モンゴルはソビエトに隷属しているものの、経済的な欲求から日本資本の進出を求めた。

 裏で日ソ軍需コネクションの摺り合せと妥協があったことは秘密にされ、

 公共工事の他、日本の送電線とケーブルテレビがウランバートルに届いていた。

 歓迎パーティで、日本人たちに馬乳酒が振舞われていく、

 アルコール分は1〜3パーセントほどだったものの、

 酸味の強い酒で栄養価が高く食事代わりにするモンゴル人もいる。

 モンゴル料理は香料など使わない素朴なものが多く、

 日本人たちは、日本向きの味付けにしないと旅行客が見込めそうにないと思い始めていた。

 モンゴル人と日本人

 「日本は、テレビチャンネルが多いので驚きです」

 「いろんな価値観がないと国民の意識が画一化され、洗脳されやすくなりますからね」

 「統治で不利でですが。多様な価値観を持った人間がいたほうが精神的にも対外的にタフになるでしょう」

 「また、マスメディアを細分化させたほうが第4権力を弱体化できますし。正直になれるでしょう」

 「他国の情報操作を受けないための戦略でもある」

 「大手メディアの圧力を跳ね返して、政治的な圧力でケーブルテレビを主流にしてますよ」

 「巨大マスメディアの国民向けのプロパガンダで権力強化を狙う者はいなかったので?」

 「大手マスメディアに金を渡して利権誘導をやらせたり、特権意識を付けさせると」

 「力をつけた飼い犬に噛まれることになりかねないからね」

 「まぁ 圧政が好きな馬鹿が何人か、いたけど、皆、死んだよ」

 「「「・・・・」」」

 「放送局は数百あるので、モンゴルは、好きな番組を自由に選べますよ」

 「わかっています。既にこちらで好ましい番組を選んでますので翻訳して放送するつもりです」

 「それで、モンゴルの撮影は?」

 「ええ、構いませんよ。我が国は軍事機密区画が少ないですからね」

 「それに宇宙から丸見えなのでは?」

 「等身大で接しないと互いのことはわかりませんからね」

 「確かに」

 「本当に信用できる関係は、オフレコで築かれますから・・・」

 「確かに・・・」

 宇宙開発に予算を投じる国が、侵略戦争をするか。

 この問いに答えられる者は少ない、

 史上前例がないからで、政治的な直感に頼るしかない、

 しかし、大方の政治家と軍人は、日本は侵略戦争をしないだろうと思われたのか、取引が増大する。

 

 

 宇宙開発局

 4200t級宇宙船 “あけぼの” “はつはる” “あさかぜ” “あかつき” と、

 船の倍に相当する物資と機材を衛星軌道に放り上げ、組立てが進められていた。

 宇宙開発局が巨大な予算を運用しながら政府機関なのは、建設国債を当てにし易いからだった。

 そして、追加の宇宙船 “あさつゆ” “ゆきどけ” “はるかぜ” “わかば” の打ち上げの準備と、

 追加機材と支援物資の打ち上げが着々と進められていた。

 宇宙船は、後期型ほど材質が強靭になり、

 性能が向上していたが基本構造は変わらず積載物が増えていく、

 積載物は宇宙空間で組み立られ、必要とされる軌道へと放出させられた。

 放出された貨物を受け取るのが宇宙船に装備されたロボットアームで、

 制動噴射をかけながら近づく貨物を受け取ると、必要な場所に設置する。

 この方式で、小惑星浅間と常磐の開発が進んでいた。

 

 開発工場

 宇宙開発局員たちが新型ロケット噴射を見ていた。

 “なんとか、打ち上げ効率を2パーセントほどあげられそうだ”

 “じゃ 100tから102tに増やせるわけか”

 “飛躍的とは言えないが”

 “足踏みしながらでも前進してるのならいいよ”

 “それより、最近、世知辛くなってないか”

 “学生国債で国家予算枠が増えたのに不思議だな”

 “資本の海外流出が増えてるって聞いた”

 “金利のいいアメリカの銀行に入れて運用した方がいいって誰かが言ってるからだろう”

 “金利なんざ、為替を変えられたら、いっぺんに吹き飛んでしまうだろうが”

 “まぁ 最初は小銭で用心深くても実入りがいいと少しずつ増やしたくなるのだろうな”

 “外資枠5パーセントの付き合いってやつか”

 “まぁ 相互主義って言われると辛いらしいがね”

 “どうせ、蒔絵詐欺だろう。日本人は、アメリカに何回騙されたら気が済むんだろうね”

 “あははははは”

 “自分で稼いだ金は自分のものと、発想をする人間が多い”

 “しかし、必要以上の社会資本が還流していなければ資本をめぐる争いは増えるし、貧富の格差が大きくなる”

 “一定資本を持ったら帰属する社会に資本を還流させるべきだ”

 “そうそう。利己主義や拝金主義は駄目”

 “日本人なら宇宙開発事業団株。もっと買えよな・・・”

 ・・・・・CM・・・・・

 

 

 

 荷電粒子発電1500馬力(1104kw)+推力300kgが18本束になって

 それが3段重なって54本の荷電粒子発電機が使われる、

 合計すると81000馬力(59616kw)+推力16200kgとなった。

 荷電粒子発電1基の重量が530kgだったことから合計するとエンジンだけで28620kgとなり、

 発電機重量28620kgを推力16200kgで持ち上げることは出来ないことから垂直離着陸はできない、

 基本は原子力機関なので、航空機用途して使うのに不利な重量だった。

 しかし、別に85500馬力(62928kw)が加算されると事情が変わる。

 歴代UFOモドキは、ターボプロップエンジンや流星エンジンを使ったのだが新型円盤船は違った。

 18束3段重ねの荷電粒子発電の中心は空洞で、プラズマロケット推進を成功させていた。

 荷電粒子機関は、幾つかの原理を組み合わせることで、

 初期のジェット戦闘機並みの速度を出すことに成功している。

  UFOモドキ 不知火

   自重38000kg/最大42000

   直径30m×全高4m

   荷電粒子発電1500馬力(1104kw)+推力300kg×54基

   81000馬力(59616kw)プラズマ推進30000kg+推力16200kg

 推力から重量を引くと推力4200kgがプラスになり、その加速分で飛ぶことができた。

 コクピット

 「艦長と副長には、伝わっているんだろうな」

 「はい、確認してます」

 「流石に友軍に撃ち落とされたくない」

 「ええ・・・」

 「一応、マッハ1は出るのか」

 「潜水艦よりたくさん荷電粒子発電を使ってるので、上には剥くれられましたからね」

 「新型推進器は、一定以上の電力がないと効率が悪い」

 「宇宙は、いけなくても大気圏内なら十分な飛行能力がある」

 「戦闘能力は低そうだな」

 「まぁ 爆撃機に毛が生えたようなものだし。大きさの割に積載量が低い」

 「垂直離着陸出来るのが利点としても、戦闘能力が高いわけじゃない」

 「UFOモドキで画策できるのが特典だな・・・」

 “こちら、カラス。未確認飛行物体です”

 “了解。確認した”

 “攻撃しますか?”

 “いや、攻撃はするな”

 「撃つなよ・・・」

 「そういや、アメリカもUFOを飛ばしてそうだ」

 「どうやってるんだろうな」

 「まさか。荷電粒子発電を開発したのかね」

 「あれは、理論がわかっても、作ろうとすると即白内障レベル。一日で致死量のはず」

 「じゃ 別の推進方式か」

 「どうせ、自作自演で悪いことするためにUFOを作ってると思うけど。誘拐は駄目だろう」

 「いや、誘拐も自作自演で口裏を合わせてるのかも」

 「そこまでやるかね」

 「日本・チリの国民基礎所得と、中国・ベネズエラで、銀行金融システムそのものがが疑われてる」

 「アメリカ、イギリス、フランス、イタリアじゃ 影響を受けて暴動やテロが起きてるし」

 「UFO事件の信憑性を高めるためにやったんじゃないの」

 「姑息なことを」

 「だけど、日本がそれに一役買うのは面白くない・・・」

 “こちらハヤブサ。未確認飛行物体を確認した。攻撃位置に入る”

 “こちらヒラヌマ。ハヤブサは、未確認飛行物体と並走せよ。攻撃はならない”

 “了解”

 「攻撃しないでくれよ」

 「もう、怖々ですね」

 「無国籍の未確認飛行物体だからな」

 「しかし、日本もUFOで、神火人を誤魔化さないと。あと荷電粒子発電も」

 「この二つがバレると、アメリカとソビエトは無知ではなくなり。アドバンテージが神火人と技術差だけになってしまう」

 「暗中模索の手探りから敵本体がバレバレってこと?」

 「敵が明後日をむいてる間は、楽だからね」

 “攻撃しますか”

 “攻撃するな”

 “しかし・・・”

 “そのまま、待機だ”

 “了解”

 「あと、2分で、伊勢上空を通過します」

 UFOは、哨戒中のハインドと、迎撃でスクランブル発進した蒼雷をかわして、去っていく。

 

 

 

 

 真珠(ハワイ)島

 宇宙開発に関する日本、アメリカ、ソビエトの協議が始まっていた。

 「日本の宇宙資源独占は、国際情勢を著しく、危うくする」

 「宇宙開発は、地上で核ミサイルを向け合うより健全だ」

 「宇宙開発は凍結するか。共同開発するべきだ」

 「内政干渉はやめてほしい。共同開発したいのなら、まず、宇宙船を打ち上げるべきだ」

 「「・・・・・」」

 「我々大国は、宇宙より地球の貧困問題を考えるべきだろう」

 「死神教が世界の貧困問題に協力してもいいと言ってたような・・・」

 がたっ! がたっ! がたっ! がたっ!

 「「・・・・・」」

 死神教はアメリカとソビエトで莫大な金を保有し、財力は、並みの大企業を上回っていた。

 献金の半分が信者に再分配され、残りの半分も公共事業に使われるため、

 アメリカとソビエトは放置していたのだった。

 「い、いや、そ、それは困る」

 「そ、そうだとも、宗教に政治的な圧力をかけるべきではない」

 「では、世界中の1000億ドル以上の資産家に財産税をかけて貧国国に均等分配しよう」

 「い、いや、それは、全人類の貧困は、人類全体で解決すべきで・・・」

 「じゃ 貧困を解決した金はお金持ちに集まるから。貧乏人がますます増えるわけだな」

 「「「・・・・・」」」

 「ところで、日本はどうして、宇宙開発をしようとしたのです?」

 「国際的な圧力というか。ODAとか。市場開放とか。非関税障壁とか」

 「ユダヤ人が日本人のポケットから小銭を盗みに来そうだったので手の届かない宇宙に逃げようと思ったんですよ」

 「「・・・・・」」

 

 

 

 繁華街

 反日ギルド朝鮮チーム コード名 ムン キン リン は、味方のように振る舞いながら有力者に近づく

 「これはこれは、プロデューサーさん。今日もいらっしゃいましたニダ」

 「おお、君らも好きだな」

 「ノーパン喫茶は、大好きニダ」

 「ははははは」

 「最近の景気はどうニダ」

 「んん・・・放送局が多すぎてな。メインはケーブルテレビに行ってるし」

 「いまは宇宙開発が多いからな・・・」

 「しかし、どこもかしこも強豪で・・・・」

 「それはいけないニダ。ストレスになるニダ。癌の元ニダ」

 「そうなのか」

 「ストレスは癌の元ニダ。癌は、とっても怖いニダ」

 「そうか。怖いな・・・」

 「そうニダ」

 「ん?」

 「アフリカが飢餓ニダ。助けるような番組をするといいニダ」

 「局のイメージアップに繋がるニダ」

 「ああ、そうだな・・・ しかし、アフリカは、欧米列強の干渉が激しくて」

 「大丈夫ニダ。悲惨なところを映すだけでいいニダ」

 「金もいただいて、大手局は善良。国民も金を払って善良ニダ」

 「んん・・・ しかし、自分が稼いだからって海外に紙幣を散蒔くと。社会資本が減ってデフレ化して破産する人が増えるような」

 「大丈夫ニダ。円札なら日本商品が買われるから日本企業が儲かるし、還元されるニダ」

 「日本の社会資本に戻ってくるニダ」

 「そうかな・・・」

 「視聴率を応援するニダ」

 「まぁ そうだなぁ ちょっと頑張ってみようかな」

 「がんばるニダ」

 「リベートと地位があれば、もっと頑張れるニダ」

 「「「「あはははははは」」」」

 「「「ウェーハハハハ!!!」」」

  

 

 反日ギルド朝鮮チーム コード名 ムン キン リン は、テレビ局に接触することに成功し、

 アフリカ飢餓に意識を向けることで宇宙開発にダメージ4を与え、レベル18になった。

 反日ギルドから キムチセット が送られてきた。

 「大成功ニダ。大手局にアフリカ飢餓救済を宣伝させるニダ」

 「これで、宇宙開発はおしまいニダ」

 「満洲と同じで。日本人はアフリカ人のためにボロボロになって、命懸けで働くニダ」

 「大手局が集めた金は、ウリ達が日本企業から商品を買って、現地に渡すニダ」

 「国家戦略のない私利私欲の利権企業は思いのままニダ」

 「国民基礎所得を廃止させて。企業を私利私欲に走らせればこっちのものニダ」

 「政府と国民は、私利私欲な企業が攻撃されても、ざまぁみろ見捨てるニダ」

 「あとは、一つ一つ民族企業を潰していけば日本は、お終いニダ」

 「日本円は、我々のものニダ〜♪ 日本企業はウリらの言いなりニダ〜♪」

 「金の力で日本人の心を汚してやるニダ」

 「そして、日本は、アフリカのために労力と紙幣を使い果たして滅ぶニダ」

 「「「ウェーハハハハ!!! ウェーハハハハ!!! ウェーハハハハ!!!」」」

 「「「ウェーハハハハ!!! ウェーハハハハ!!! ウェーハハハハ!!!」」」

 「「「ウェーハハハハ!!! ウェーハハハハ!!! ウェーハハハハ!!!」」」

 反日ギルドから次のクエストが送られてくる。

  1、日本食品に毒を入れる。    2、日本の銀行を襲撃する。

  3、日本人から金を騙し取る。   4、日本人を自殺させる。

  5、日本女性を強姦する。     6、日本人を拉致誘拐する。

  7、日本の文化財を盗む、放火する。

 「「「・・・・・・・」」」

 

 

  

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 月夜裏 野々香です。

 いよいよ。宇宙開発です。

 太陽光パネル。反射光(ソーラーレイ)掘削ボーリング。反射光(ソーラーレイ)製鉄所

 産業は、太陽光頼りでいけそうです (笑

 

 

 

 総人口2億4078万人。

  日本・輝夜 (72万ku) 日本・半島  内地人口1億1570万。

 

  海外州人口1億2507万人

   和洋州 (25万ku) 京杭大運河東部域  4684万

   日満州 (100万ku) 外満州  4684万

   扶桑(カムチャッカ・チュクチ)州 (121万ku) 1247万

   大和(アラスカ)州 (171万7854ku) 1559万

   南洋 (ハワイ、ビスマルク、ソロモン諸島) (10万6461ku) 311万

    フィリピン バターン・コレヒドール島 日本自治 “桃太郎” 区 (1000ku)

    マレーシア ブルネイ 日本自治 “金太郎” 区 (1000ku)

    インドシナ ダナン 日本自治 “舌切雀” 区 (1000ku)

    インドネシア パレンバン 日本自治 “浦島太郎” 区 (1000ku)

    ビルマ ヤンゴン 日本自治 “因幡の白兎” 区 (1000ku)

    シンガポール 日本人自治 “鶴の恩返し” 区 (1000ku)

 

 

 

 日本海軍

 第01機動部隊

  36000t級伊勢型航空巡洋艦 伊勢

  空母 海鳳(ハンコック)、雷鳳(タイコンデロガ)

  重巡 穂高(セントポール)、

  軽巡 八瀬(ダルース)、黒部(サンタフェ)、白萩(モービル)、河津(ビロクシー)  駆逐艦18、

 

 第02機動部隊

  36000t級伊勢型航空巡洋艦 扶桑

  空母 幻鳳(シャングリラ)、慶鳳(ボノム・リシャール)、

  重巡 蔵王(ボストン)、

  軽巡 天白(オクラホマシティ)、三原(アムステルダム)、日高(マイアミ)、天神(パサデナ)  駆逐艦18

 

 

 白龍型潜水艦 50隻

   排水量 水上3000t/海中4300t

   全長90m×全幅9m×吃水8.5m

   荷電粒子発電1000馬力〜1500馬力 20基

   水上/海中20000馬力〜30000馬力 30kt〜36kt  航続距離60年

   533mm8管 40本

   乗員65人

  “白龍” “雷龍” “慶龍” “神龍” “剛龍”  “海龍” “陣龍” “蒼龍” “銀龍” “鋼龍”

  “雲龍” “妖龍” “弓龍” “迅龍” “凰龍”  “黒龍” “鎧龍” “零龍” “呑龍” “戦龍”

  “朝潮” “夕潮” “巻潮” “波潮” “赤潮”  “黒潮” “冬潮” “早潮” “夏潮” “磯潮”

  “長波” “巻波” “高波” “藤波” “清波”  “涼波” “早波” “浜波” “朝波” “高波”

  “幽鬼” “鋼鬼” “慶鬼” “蒼鬼” “海鬼”  “凰鬼” “弓鬼” “陣鬼” “彗鬼” “黒鬼”

 

 

 

 1360t級エヴァーツ型護衛駆逐艦(21)  1740t級バックレイ型護衛駆逐艦(44)

 1240t級キャノン型護衛駆逐艦(23)    1250t級エドサル級護衛駆逐艦(24)

 1450t級ラッデロウ型護衛駆逐艦(4)   1350t級ジョン・C・バトラー型護衛駆逐艦(24)

 

 ジェットエンジン

 直径40cm級流星エンジン  直径60cm級彗星エンジン

 直径80cm級蒼星エンジン  直径100cm級紅星エンジン  直径120cm級天星エンジン

 

 “原爆を落とされた人々の世界平和を望む会” 

 広島  賀茂忠行  天光正教  ウリエル  死神ウラン

 長崎  安倍晴明  聖炎主教  サリエル  死神プルト

 

 宇宙開発

   エロス (433 Eros) 34.4km×11.2km×11.2 km S型  公転周期642.4日 発見1898年

   ガニュメート (1036 Ganymed) 31.66km S型  公転周期1587.75日 発見1924年

   浅間 クルースン(Asteroid 3753 Cruithne) Q型 直径5km  公転周期363.99日 発見1986年

   常磐 アムン (Asteroid 3554 Amun) M型 直径2.48km 公転周期350.96日 発見1986年

   八雲 (6178) 1986 DA  M型 直径2.3km 公転周期1719.466日 発見1986年

 

  

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第33話 1977年 『小惑星クルースン』

第34話 1978年 『小惑星アムン』
第35話 1979年 『メタンハイドレート海底発電』