第40話 1984年 『海底重気圧農業』
日本は世界最大級の生産工場で、高額消費市場だった。
消費を支えるための設備投資は膨大なものとなり、工場が建て増しされ
過当競争を避けるための余剰生産を宇宙開発に向けていた。
後進国から価格破壊と言えるような商品が出回ることがあった。
しかし、国民基礎所得で底上げされてるためか、
家や自動車など無理な購入をしていなければ、一般的に売れるものではなかった。
そして、宇宙開発より目立たないものの
東シナ海とベーリング海の大陸棚を利用した海洋農場も広がっていた。
2気圧以上の作物は過蜜度が高いのか、
富裕層を中心とした市場で評価され、海外にも輸出された。
消費は徐々に大きくなり、大規模な自動穀物生産工場が建設されていた。
10気圧(深度100m)の海底にリンゴ、カキ、マンゴなの品種ごとの果樹工場が建設され、
無線で動くロボットアームが果実を採っていく、
陸上の作物を海底の高気圧下で作ると過密した実が作られる。
もちろん、米、小麦、野菜などの工場も建設され、
牛肉、鶏肉、豚肉など牧畜も試験的に行われようとしていた。
そして、世界中の高級デパートと高級料理店が買い求め、出荷されていく、
皺寄せを食ったのは、それまで地上で作られていた作物で、評価落ちが増えていた。
その輸出軋轢が対米貿易交渉でも現れ、
もちろん、日本国内も・・・
農林水産省
省内に出入りしてるのは農林水産関係者だけでなかった。
フロアに大きなパネルがあり、
熱水噴出孔、海底熱水鉱床で採取したマグネシウム、臭素、ヨウ素、アルミニウム、
銅、ウラン、トリウム、銀、水銀、金などの質量を表した数字が上がっていく、
そして、メタンハイドレードの産出も徐々に増え、
関係者が売り買いし、相場の変動が日本経済だけでなく、世界市場にも影響を与えていた。
そして、陳情組みが少なからず行列を作っている。
「米は、やめてくださいよ。米だけは」
「いや、米は試作生産で、本気じゃないから」
「高級料理店とデパートで出してるじゃないですか」
「うちらは、これまで高級米でやって来たんですよ。困ります」
「「「「そうだ。そうだ」」」」
「い、いや、担当者が面白がって、つい・・・」
「面白がってって。こっちは生活がかかってるんですよ」
「わ、わかってます、わかってます」
「とにかくやめてください。困ります」
「な、なるべく、海外に売るので」
「海外市場も奪うんですか!」
「い、いや、国家としては、将来的な食糧危機に備える必要もありますし」
「こっちは、食糧危機なら、ウハウハなんですがね」
「「「「あはははは・・・」」」」
「と、とにかく、米だけはやめていただきたい」
「善処しますので。そ、そちらも少しは、改善を・・・」
「「「「・・・・・・」」」」 ギロッ!!!
「あ、い、いや・・・なんでも・・・」
「「「「・・・・」」」」 ため息
GDP成長率10パーセント台が続く限り
こういった既成勢力と、新興産業の確執と対立は果てることなく続く、
宇宙ステーション 高千穂 と、4200t級あけぼの型宇宙船8隻
“あけぼの” “はつはる” “あさかぜ” “あかつき”
“あさつゆ” “ゆきどけ” “はるかぜ” “わかば”
が静止軌道を離れた。
そして、小惑星エロス 34.4km×11.2km×11.2 km S型 公転周期642.4日に移動していく、
一度、エロスの軌道に乗れば次の接近年1991年まで、帰還しないことから、
宇宙ステーション高天原を引き連れ、8隻のあけぼの型宇宙船も膨大な物資を輸送していた。
世界中のテレビが巨大な宇宙ステーションが離れていく様をテレビ中継で見つめ、
あるいは、天体望遠鏡で見ていた。
“あけぼの” 船橋
「往復7年間の旅になるな」
「地球軌道より外の軌道に行くのは気分が楽ですね」
「浅間と常磐は、金星より太陽に近づくからな」
「まぁ 神火人だし。カーボンナノチューブの蓋もある」
「それに、小惑星の夜側に入れば問題無いだろう」
「7年間で、どこまで、工事を進められるかですかね」
「まずカーボンナノチューブの網で小惑星を覆う」
「網を足場にして反射鏡を使って穴を溶かし、溶かしたブロックで小惑星を補強しながら掘っていく」
「太陽から離れることになるから、溶ける速度が落ちるが太陽光パネルの集光次第だろう」
「少し、日本が心配になりますね」
「あけぼの型8隻を新たに組み立てる。大丈夫だろう」
「あけぼの型が宇宙標準船ですか」
「太陽嵐を考えると、打ち上げユニット船じゃなく。宇宙ドックで建造した方がいい」
「しかし、宇宙ドックが完成するまで、打ち上げユニット船を組み立たあけぼの型を使うしかないだろう」
宇宙ステーション高千穂は、小惑星エロスの軌道に付くと開発の準備を進める、
あけぼの船は、エロスの軌道を回り、カーボンナノチューブの網を掛けていく、
反射鏡が広がり、太陽熱の焦点が北極点に当たると岩盤が溶けだしていく、
設置された掘削器が遠心分離機を使って溶解した岩盤をブロックに変え、
ロボットアームはブロックを小惑星の表面に接地させていく、
高千穂
ステーションで採れた作物、魚介類、牧畜肉が調理され、テーブルに並ぶ、
「荷電粒子発電の製造から解放されたと思ったら宇宙か」
「地下暮らしで、モグラ生活よりいいだろう」
「あははは・・・ モグラ度で言うならこっちが酷い」
「休憩取るなら公園もあるから。初期の開発はもっと大変だったんだぞ」
「この歳で宇宙に出るのもアレだけどね」
「ふっ 最年少でも40代だからな。そうは見えないが」
「もう楽隠居してもいい歳なんだが」
「とはいえ、寿命が長いからな」
「死ぬまで働いてくれってことだろう」
「「「「「あはははは」」」」」
「それより、神火核の複製は、どうなってるの?」
「宇宙で作るほうが見込みがあるかもしれないそうだ」
「じゃ アメリカでも宇宙に工場を建設したら作れるってことだな」
「「「「「あはははは、ヤバい、ヤバい・・・」」」」」
大和州 マッキンリー
国防省総司令部
テーブルの上面にレーザー照射器があり、
宇宙空間戦のシミュレーションが展開されていた。
あけぼの型宇宙船に武装らしい武装はない、
しかし、ミサイルを装備することはできた。
姿勢制御を装備したミサイルが飛び交い、双方の宇宙船が撃破されていく、
「ミサイルを避けるのはむつかしいか」
「質量と相対速度と慣性の関係ですからね。軽いミサイルは小回りが効きますよ」
「防御は子弾ミサイルがいいのか?」
「子弾といっても紙みたいに広げても空気抵抗はありませんからね」
「宇宙にゴミを散らすのは、面白くないですが、撃破されるよりましです」
「じゃ 意外に防御しやすいのかもしれないか」
「先制発見先制攻撃が有利には違いないでしょうけど」
「なんにしても日本が有利じゃないか」
「もう、海軍と空軍は、いらないかもしれませんね」
「「「「あはははは・・・・」」」」 ため息
製造フロア
浅間で製造されたタングステンナノチューブが降下宇宙船によって運ばれてくる。
最初は、研究開発用だったものの、実験施設が拡大するにつれ、生産量も増えていた。
タングステンナノチューブは、質量が大きかったものの、
素材の強靭さと、3380度の耐熱性の高さは比類がなかった。
これまで使えなかったのは、糸状やシート状に加工しにくかったことで、
糸状やシート状にできるなら最小限の重量で必要な性能が得られた。
関係者たち
そのシートは、髪の毛の数分の1の薄さしかなく、紙のようにしなった。
「いいねぇ これだけ薄くできるのならエンジンに使っても支障がなさそうだ」
「日本の再突入カプセルが1600度。スペースシャトルの耐熱温度が1400度」
「融点が3000度超えるなら地球と宇宙の往復も、相当、無理がきくよ」
「太陽熱で溶けにくいのなら水星にだっていけるかも」
「水星は金属が大きいから興味はあるがね」
「むしろ、金星開発が有望だ。地表は90気圧で500度だからね」
「たぶん、水星の方が早いと思うけど」
「荷電粒子発電のアルファ粒子とベーター粒子を機体と外気の緩衝に使えば耐熱性をもっと、上げられるかも」
「じゃ いろんな素材と組み合わせてみるか」
「相乗効果が得られるかもね」
戦後、日本の土建産業を支えたのは、日満州と和洋州にいた2億の漢民族であり、
その後、漢民族の海外移動が進むにつれ、人海戦術が使えなくなり、
土木建設機械の大型化と高性能化が進む、
そして、多種多様な建設機械と新素材が納期を短縮させ、人件費を押し下げた。
次の段階に行くと、クレーンヘリの大量投入となった。
当初、Mi4、Mi6、Mi8、Mi10が使われ、荷電粒子発電が組み込まれた。
これらのヘリ数百機が建材を運んで日本の空を飛び回り、
工場で作った建材をユニットハウスごと空輸し、
高層ビルや公共施設だけでなく、民家さえ建設していた。
家屋はユニット型となり、ユニットを自動車のように交換することも可能になった。
家の価格は急速に低下している。
そして、ゼネコンヘリと揶揄される最新型の大型ヘリも開発された。
新型ゼネコンヘリ
自重20000kg/最大重量60000kg
全長34m×主回転翼同軸反転式ローター直径36m
荷電粒子発電 1基2000馬力(1492kw) 4基8000馬力(1492kw) + 推力1400kg
積載36000kg
関係者たち
「もうちょっとがんばれば、戦車だって空輸できたんじゃないか」
「軍用は8基使って、戦車を空輸できるんじゃないの」
「じゃ 戦争になったら戦車を空輸するヘリ部隊が見れるな」
「さぞかし、絶景だろうな・・・」
大型ヘリがビルフロアを空輸し、ビルの最上階に据え付けていく、
香港
アメリカが空母を中国に輸出したのは、中国利権を押さえ地下資源を高騰させるためであり、
中国13軍閥統合の象徴として、中国人の意識を対日に向けさせるためだった。
その対価の利権で、アメリカの中国浸透は強まっていく、
52500t級ミッドウェイ型空母コーラル・シーが入港し、
52500t 全長295m×全幅41m×吃水10.7m
212000馬力 33kt 航続距離21335km/15kt
F/A18ホーネット60機 SH3シーキング20機
中国13軍閥統合海軍に引き渡された。
13軍閥から将兵4200人が選抜され、就役のための訓練が始まる。
ピークトラムは標高の高い台地で涼しく、白人が住むリゾート地だった。
日本人たちも情報収集で訪れており、高台から空母を見下ろすことができた。
「アメリカも思い切った手を打ってきたな」
「日中戦争で漁夫の利狙いなんだろう」
「ソビエトに空母を売った仕返しだよ。きっと」
「そうか・・・ 仕返しか・・・ 参ったなぁ おじんさん、一本取られたよ」
「「「「あはははは」」」」
「F18ホーネットって、どうよ」
「卒なくこなす軽戦闘爆撃機だ。選択は悪くはない」
「しかし、中国海軍も燃料バカ食いしそうな空母をよく買ったものだ。大丈夫なのかね」
「あはははは、確かに」
「日本も航空巡洋艦を建造したが、荷電粒子発電じゃなきゃ青ざめてただろうな」
「ふっ 軍で消費したはずの燃料のほとんどは、こっそり民間に戻されて消費されてる」
「だから船体価格が高価な三胴艦隊を建造できたようなものだ」
「しかし、列強は、日本のコスト評価で錯乱してるだろう」
「問題は、中国人が空母を運用しきれるかだけどね」
「流石に砲身に洗濯物は干さないと思うが」
「「「「あはははは」」」」
「しかし、アメリカもソビエトも日本周辺国に武器輸出を増やしてる」
「よほど戦争して欲しいと思うな」
「というより、少しでも宇宙から地上に余剰生産力を向けたいんじゃないかな」
「ん・・どっちにも友人がいるからな・・」
日本海軍
戦後、水上艦艇が揃い始めていた。
第01機動部隊
38000t級航空巡洋艦 播磨
36000t級伊勢型航空巡洋艦 伊勢
12000t級鞍馬型ヘリ巡洋艦 出雲 吾妻
6000t級綾波型巡洋艦 綾波 敷波 荒波 浦波 雪風
第02機動部隊
38000t級航空巡洋艦 薩摩
36000t級伊勢型航空巡洋艦 扶桑
12000t級鞍馬型ヘリ巡洋艦 鞍馬 浅間
6000t級綾波型巡洋艦 藤波 高波 磯波 白波 峯風
一定の艦隊規模を超えると、戦闘艦艇だけでは運用が滞り、補助艦艇がどうしても必要になった。
これまで旧式艦や民間船を流用していたが旧式化に伴い、
軍専用の輸送艦、給油艦、強襲揚陸艦、揚陸艇などの必要性が高まり
補助艦艇や多目的艦艇の開発が進んだ。
最大は、播磨型と似た38000t級強襲揚陸艦 “相模” “津軽” だった。
38000t級相模型強襲揚陸艦
全長320m×全幅80m×吃水7m
荷電粒子発電1500馬力(1125kw)200基 300000馬力(220800kw)
速度50kt 航続距離60年
対空ミサイル60基 対艦ミサイル60基
迎撃ミサイル60基 対潜ミサイル60基
64口径128mm砲×2基 71口径40mmガトリング6連砲×6基
Mi24対潜哨戒ヘリ8機 Mi24対空哨戒ヘリ8機
攻撃ヘリ雷風20機 Mi24強襲輸送ヘリ20機
将兵1600人
この種の侵攻制圧艦は、外交戦略上、必要な軍艦だった。
攻撃ヘリ雷風と、Mi24強襲輸送ヘリが群れをなして洋上を飛び
500t級エアクッション揚陸艇10隻が “相模” の脇を抜け、遼東半島の海岸線に突進していく、
そして、短時間で5000人近い将兵と74式戦車24両、装甲車74両を揚陸させた。
相模 艦橋
艦長と政府関係者たち
「たまに演習すると、士気が上がるねぇ」
「総力と上げると荷電粒子発電エンジン装備の大型ヘリは400機以上」
「エアクッション型揚陸艇は100隻以上だから10倍の規模になる」
「民間を徴用すれば3倍を超える」
「しかし、せっかく強襲揚陸艦を建造してもだ。大型ヘリや揚陸艇でも内地と海外州を往復できるし」
「この艦の重要度が低いのがやるせない」
「水上艦艇は、示威用だよ。特に再上陸・侵攻用の艦艇はね。本気で使うわけじゃない」
「結局、米ソの対中武器援助に乗せられてるってことかもしれませんね」
「かもしれないが、強襲揚陸艦を持ってるのと持っていないのとでは太陽同盟の反応が変わるし」
「アメリカとソビエトも対応が変わる」
「宇宙開発に支障が少なく、外交戦略で必要最小限の艦艇は配備しておかないと」
「海軍と宇宙ね」
「客観的にちょうどいいという意見があったとしても、当人同士は、犬猿の仲だけどね・・・」
「「「「あはははは」」」」
「戦前戦中は総人口7800万もいたにもかかわらず、海軍だけで280万人はいた」
「しかし、いまは、総人口2億9000万もいるというのに、海軍兵力は20万人もいない」
「この数字は財閥グループの従業員と変わらないじゃないか」
「だいたい、三胴艦は、合理化で乗員が減って数の力が小さく、政治的に劣勢なのが面白くない」
「まぁまぁ 兵器単価が高騰しているから兵力を揃えられないし」
「陸軍200万と。予備役500万が軍の味方だろう」
「陸軍は国防意識があっても予算を取り合いしてるし。予備役も陸軍が多いからな・・・」
「それより、新型2000馬力エンジンはどうです」
「静かでいいですな」
「そうでしょう、そうでしょう」
「クリモフTV3-117は乾燥重量295kgで2200馬力」
「ゼネラル・エレクトリックT700は乾燥重量198kgで1622馬力」
「荷電粒子発電は乾燥重量530kgで、ようやく、2000馬力なのですが」
「超重量級放射性物質元素をたくさん使ってますからね」
「これでも質量そのままで馬力だけをあげてるんですよ」
「まぁ 燃料を含めたら得になりますから、火達磨にもなりませんし」
「そう言う意味では、割得ですがね。しかし、航空機は、もう少し馬力がないと辛いですな」
金融支配の資本主義アメリカと、階級支配の共産主義ソビエトは急速に混乱していく、
混乱の原因は、敗戦寸前から国土を8倍に拡大させ、戦勝国となった日本で、
奇跡の高度成長を見せ、宇宙開発を可能にしていたことにあった。
そして、その経済政策が資本主義でもなく、共産主義でもなく、
積極財政と積極財政の格差を是正する無利息配当の国民基礎所得にあった。
公共投資をするほど紙幣が増刷されて国民に分配され、
子供が小中高大へと進むにつれて紙幣が増刷されて国民に分配され、
初婚の際にも紙幣が夫婦に分配されるようになっていた。
このことにより、各企業と省庁は紙幣を回収するためのサービスを開始し、
過当競争とサービスを拡大させ、雇用を増やし、
消費を拡大させ、余剰資本・生産力は、開発に向けられていた。
多くの国と国民が影響を受け
そして、日本型。
あるいは、日本に近い人頭紙幣発行制度をとる中国型経済並行しようと
国民は暴動を起こし、政治が混乱し、
ベネゼイラは中国式、チリは日本式へと移行し、
自由市国リューベックもDNA感知器を開発次第で、日本型金融システムへと移行する。
そして、もう一国、日本型金融システムへ移行しようと検討する国があった。
ユーゴスラビア
サーブ37ビゲンがダイヤモンド編隊を組み飛んでいる。
戦車は、Strv.103戦車からレオパルド戦車へ切り替えられつつあった。
ユーゴスラビアは共産国家でありながらソビエト圏から離脱し、日本・太陽同盟と接近していた。
1960年から続いた交流と貿易により、ユーゴスラビアの公共事業は進み、国民の雇用も増えていた。
鉄道が開通するとストップウォッチを使って、時刻表を合わせていく、
日本人が現地民から建設から関わり、現地民に運営させると、
電車の到着と出発は、時刻表と数分から十分数分に近付く、
チトーは、鉄道職員を絶賛し、鼓舞し、外国人を呼び込んで自慢していた。
日本人たちが駅に着くと、駅名にひらがなが併記してあった。
「共産主義か・・・」
「むしろ、7つの国境、6つの共和国、5つの民族、4つの言語、3つの宗教、 2つの文字の1つの国が驚き」
「チトーが凄いと思うよ。各国で雇われ大統領になれるかも」
「「「「あははは・・・」」」」
「だけど、国民は普通だな」
「ソビエトのような粛清が無かったからじゃないか」
「粛清はあったよ。親ソ幹部の」
「庶民が関係ないのなら問題はないだろう。差別は少ないようだし」
「それに宇宙開発株を買うって言うし」
「しかし、なんでまた宇宙開発株をって気もするが」
「国家統合のためじゃないか。分裂すると宇宙開発株の振り分けで大騒動になるからね」
「だけど、航空宇宙軍を編成してロケット技術を開発している」
「バラバラのくせによくやるもんだ」
「バラバラだからやるんでしょ バラバラにならないように」
「しかし、評判悪いよ。共産国を支援するような外交は」
「共産主義が上手くいったらどうしようって?」
「上手くいかせれば、アメリカとイギリスに打撃になる」
「ぶっちゃけた話し、日本は国債発行の格差是正のために国民基礎所得を分配している」
「資本主義寄りだが、共産主義との折半に近い」
「日本じゃ国権と民権の折半と言うんだがな」
「資本主義と共産主義の二つを水と油のように思わせてる人間がいるんじゃないかと思うがね」
「アメリカやイギリスじゃ暴動が起きてるし。ソビエトも不穏な動きが強まってる」
「そう思う人間が増えたほうが有利になるな」
「チトーは折半案をどうするって?」
「チトーはその気だがね」
「ほかの民族や宗教がズルするのが嫌なんだと」
「まぁ 国民基礎所得でも人頭紙幣発行制度でも人口が大きい民族が資本で有利になるからね」
「しかし、DNA検知器は個人証明で利用するんだろう」
「らしいね」
「DNA検知器を使えば、国民に紙幣を分配できる下地はできる」
「派閥関係者はともかく。チトーは、ベーシックインカムに移行したら連邦の分裂を抑制しやすいと思ってる節があるね」
人口が増え、産業が大きくなり、電力消費などの分母が大きくなると、分子に当たる余剰電力も増大する。
3兆6000億kwの総発電量で、
荷電粒子砲の最低エネルギー1000万kwは容易に融通できる電力量になっていた。
日本の要衝地下には、荷電粒子砲と直結した加速器が建設され、
防空能力は急速に高まっていた。
ブリザードの吹き荒ぶ山脈の山頂から放たれた青白い光線が別の峰から突き出された標的を破壊した。
大和州 マッキンリー 総司令部地下
「司令。標的の破壊を確認しました」
「電磁場の影響は、10パーセント軽減を確認」
「重力に負けず。風にも負けずか」
「5000万kwを消費しただけはありますね」
「荷電粒子発電自体がミニ加速器の集まりみたいなものだ」
「このまま、小型化が成功すれば、大型艦に搭載できるかもしれないな」
「播磨は、荷電粒子発電22万kwで、まだ。足りないと思いますが」
「いまは、2000馬力級荷電粒子発電と交換してるから29万kwになる」
「アルファ粒子やベター粒子を防御壁として使うなら何とでもなるだろう」
「板切れ程度の防護壁でも100万kwは欲しいところです」
「100万kwか。直撃を避けられるなら悪くないし、可能なレベルだな」
「荷電粒子発電670基ですか。大蔵省に怒られそうですよ」
「しかし、荷電粒子バリアは、男の夢だろう」
「「「「あはははは」」」」
「それに6700基1000万kwでも2層か3層にすれば艦底に敷き詰められるし」
「1基530kgだから合計3551t。播磨の基準トン数の10分の1もならない」
「できないというより、ほかに回すほうが効率的なんでしょうね」
「時代は、宇宙か」
「一昔前なら5・15事件なんでしょけどね」
「不況期ならともかく、好況期にやったら賊軍だな」
「確かに」
素材フロア
あらゆる種類の単結晶構造のシートが作られる。
シートが薄いほど品質と精度が高くなり、目的の製品に近づく、
これらを複合的に組み合わせると複合素材となり、
特定の公共設備や艦船、航空機、戦車などに使われる。
「ずいぶん、薄くなってきたな」
「もっと薄く出来ないと次の2500馬力に届かないでしょう」
「神火核の複製も?」
「あれはもう、加速器を使わないと、使っても難しいですがね」
「宇宙では?」
「神火核の開発と製造は、宇宙の方が期待できるでしょう」
「自給率のほうが先だからな」
「太陽に近づくので、それが不安ですね」
「命懸けだな」
「まぁ いざとなったら荷電粒子発電機関で帰還できますよ」
「太陽光発電は?」
「いい調子だよ。太陽風による障害を考慮にしなければね」
「要はどれだけ、エロスのトンネルを掘れるかだろう」
「しかし、エロスって名前は、嫌だな」
「「「「あはははは」」」」
小惑星エロスを高天原と呼び始めたのは、この頃だった。
イラク
T72戦車が群れをなして移動していく、
戦車を隠せるようなトーチカーが砂漠の各地に作られ、
駐屯地は、基地と基地を繋ぐ中継地となって、イラク軍を縦横無尽に移動させる足場になった。
膨大な石油は、イラクを世界有数の軍事国家へ押し上げる資金を与えるだけでなく、
国家の中央集権を集約する指導者フセインを誕生させ、
石油利権を守る強力な軍事国家を形成させていた。
日本人たちはイラク軍の移動を横目に見ながら、シュメール文明の遺跡を調べていた。
考古学者と創作家たち
「また新しい戦車を買ったのかな」
「イラクはソビエト製が好きなのかね」
「というより、サウジとイランがアメリカ製を使ってるからじゃないか」
「日本製を使えばいいのに」
「公共事業が日本一色だから、バランスを取ろうとしてるんだろう」
「来週当たり。フセインが一緒に食事をしないかってよ」
「日本人がシュメール文明に関心を持ってるのに興味を示したわけか」
「たぶんね」
「シュメール文明の研究は、創作の足しにしてるだけなんだが・・・」
「お前らはな」
「しかし、羨ましい限りの独裁だな」
「砂漠の族衆はバラバラだけど、厳しい環境だから、昔から族長は強いよ」
「最近じゃ 周辺国の軍事力も強くなってるから、国を守るためには強いリーダーがいる」
「日本はそうじゃないからな」
「日本は、利権の調整者って感じで、内向きだからね」
「それにしては新興勢力の突き上げが強い」
「まだ、過疎地が多いから新規利権を作ってでも人口を増やさないと」
「広域財閥が50個を越えて合併なんてされたら、勢力図がどう転ぶか、闇だけどね」
「既得権益者にとっては戦々恐々。野心家は、ワクワクだろうな」
「それで、創作活かせるようなモノはあったか」
「んん、シュメール文明が宇宙人発祥なら神火風の原因になるんだがな」
「日本から遠すぎないか」
「高天原はバビロニアにあった、とか “すめらみこと” を “シュメルのみこと” っていう話しもあったからね」
「語呂合わせかよ」
「各国諜報機関が、神火人に行き着かなければいい」
「宇宙人と関連があると思わせられて、それが、神火風を起こしたってね」
「要は、どう創作するか、ってことね」
「シュメール文明は、惑星ニビルの元ネタになってる」
「逆に言うと宇宙との関連性が高いから。それらしい創作と、根拠らしきモノがあれば・・・」
「なんでニビルが日本を応援したのかってことになるの」
「そこをなんとかするのが創作家」
「最近、日本発のオカルトは疑われ気味なんだが」
「だから外国人に配信させればいいだろう」
「北のほうが面白い遺跡が見つかるような気もするが」
「北か・・・ 北は、きな臭くなってるからな」
「なんで?」
「鉄道を伸ばしてるのにクルド人の協力者が得られにくいらしい」
「差別してるからだろう」
「独立したがってるから差別したいのだろう」
「アメリカが武器を流してるって噂もある」
「やれやれ、何かと荒事をしたがる国だな」
「日本は宇宙や海底にフロンティアを作ってるけどね」
「アメリカは、それが弱い」
「だからって国外に出ることはないだろう」
「アメリカ国内のほとんどは田舎だ。開発の余地はある」
「お金持ちはお金持ちと結婚する」
「それは何故かというと財産を守り易いからだ」
「閨閥が繋がっていくと、門外を排斥したくなるからね」
「アメリカで起きてるのがそれ」
「日本みたいに格差を縮めるとあっという間に下克上されて、二度と浮かび上がれなくなる」
「そこまで行くかな」
「それくらいの貧富の格差を作ってしまったんだろうな」
繁華街
反日ギルド朝鮮チーム コード名 ムン キン リン は、味方のように振る舞いながら有力者に近づく、
「これはこれは、社長。今日もいらっしゃいましたニダ」
「おお、君らも好きだな」
「ノーパン喫茶は、大好きニダ」
「ははははは」
「最近の景気はどうニダ」
「良すぎて企業家が増えるし、競争が激しいし」
「上からは押さえ込まれ、下からは突き上げられて困る・・・」 ため息
「それは、いけないニダ。ストレスになるニダ。癌の元ニダ」
「そうか」
「ストレスは癌の元ニダ。癌は、とっても怖いニダ」
「そうか。怖いな」
「過当競争は、国民基礎所得で新興企業が強くなる原因ニダ」
「まぁ 予算利権は河川で。国民基礎所得は雨のようなものだ」
「我社も創設時は、国民基礎所得に助けられたからな」
「しかし、ある程度起きくなって予算利権に食い込めるとな」
「野心的で賃金枠の小さい新興企業が参入されて・・・」
「だから廃案させるしかないニダ」
「そうだよな・・・ そうだよな・・・」
「応援するニダ」
「そ、そうか」
「リベートと地位があれば、もっとたくさん協力するニダ」
「「「「あはははははは」」」」
「「「ウェーハハハハ!!!」」」
反日ギルド朝鮮チーム コード名 ムン キン リン は、中堅企業幹部との接触に成功し、
国民基礎所得にダメージ3を与え、レベル25になった。
反日ギルドから トンスル酒 が送られてきた。
「日本のセーフティネットに打撃を与えたニダ」
「これで企業と庶民の関係は悪化するニダ」
「労使を戦わせて対立させるニダ」
「主従関係を王と乞食の關係にしてやるニダ」
「日本人が乞食になったら購買力を失って、産業を維持できなくなるニダ」
「日本産業は潰れるニダ」
「「「ウェーハハハハ!!! ウェーハハハハ!!! ウェーハハハハ!!!」」」
「「「ウェーハハハハ!!! ウェーハハハハ!!! ウェーハハハハ!!!」」」
「「「ウェーハハハハ!!! ウェーハハハハ!!! ウェーハハハハ!!!」」」
反日ギルドから次のクエストが送られてくる。
1、日本食品に毒を入れる。 2、日本の銀行を襲撃する。
3、日本人から金を騙し取る。 4、日本人を自殺させる。
5、日本女性を強姦する。 6、日本人を拉致誘拐する。
7、日本の文化財を盗む、放火する。
「「「・・・・・・・」」」
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月夜裏 野々香です。
源氏に非ずば人にあらず、平氏に非ずば人にあらず、
織田、豊臣、徳川に非ずば、
薩長非ずば、
陸軍に非ずば、
日本人が陥りやすい弱肉強食の権威主義の精神構造で、
天皇の赤子と言いながら皇軍兵士を戦地に送り込んで磨り潰して自滅させる。
民主主義と言いながらセーフティをせず、
新自由資本主義に追い込み、利権で社会資本を吸い上げる、
これは、執権者と利権者の意識の最大が利権でとどまり、国権や民権に程遠いことにある。
そして、その政策が 利権 > 国家 > 国民 となって現れる。
その姿は共産国における、共産党 > 国家 > 国民 となんら変わらない。
毎年、国民の自殺者3万人超え、変死は15万超え。
戦前戦中は軍属支配。戦後は金融支配。
どちらも利権抗争で政治腐敗が進んだあとのこと、
でもどちらも日銀が裏にいたような・・・
総人口2億9560万人。
日本・輝夜 (72万ku) 日本・半島 内地人口1億4219万。
海外州人口1億15372万人
和洋州 (25万ku) 京杭大運河東部域 5755万
日満州 (100万ku) 外満州 5561万
扶桑(カムチャッカ・チュクチ)州 (121万ku) 1479万
大和(アラスカ)州 (171万7854ku) 1913万
南洋 (ハワイ、ビスマルク、ソロモン諸島) (10万6461ku) 379万
フィリピン バターン・コレヒドール島 日本自治 “桃太郎” 区 (1000ku)
マレーシア ブルネイ 日本自治 “金太郎” 区 (1000ku)
インドシナ ダナン 日本自治 “舌切雀” 区 (1000ku)
インドネシア パレンバン 日本自治 “浦島太郎” 区 (1000ku)
ビルマ ヤンゴン 日本自治 “因幡の白兎” 区 (1000ku)
シンガポール 日本人自治 “鶴の恩返し” 区 (1000ku)
4200t級宇宙船
“あけぼの” “はつはる” “あさかぜ” “あかつき”
“あさつゆ” “ゆきどけ” “はるかぜ” “わかば”
日本海軍
第01機動部隊
38000t級航空巡洋艦 播磨
36000t級伊勢型航空巡洋艦 伊勢
12000t級鞍馬型ヘリ巡洋艦 出雲 吾妻
6000t級綾波型巡洋艦 綾波 敷波 荒波 浦波 雪風
第02機動部隊
38000t級航空巡洋艦 薩摩
36000t級伊勢型航空巡洋艦 扶桑
12000t級鞍馬型ヘリ巡洋艦 鞍馬 浅間
6000t級綾波型巡洋艦 藤波 高波 磯波 白波 峯風
38000t級播磨型航空巡洋艦4隻
“播磨” “薩摩” “長門” “駿河”
12000t級鞍馬型ヘリ巡洋艦12隻
“鞍馬” “出雲” “吾妻” “浅間”
“八雲” “伊吹” “生駒” “春日”
“愛宕” “羽黒” “青葉” “白馬”
6000t級綾波型巡洋艦 40隻
“綾波” “敷波” “荒波” “浦波” “藤波” “高波” “磯波” “白波”
“雪風” “峯風” “秋風” “朝風” “灘風” “舞風” “雷風” “旗風”
“吹雪” “白雪” “淡雪” “水雪” “灰雪” “玉雪” “春雪” “初雪”
“秋月” “冬月” “夏月” “春月” “葉月” “涼月” “照月” “若月”
“夕雲” “朝雲” “天雲” “峯雲” “巻雲” “山雲” “秋雲” “白雲”
白龍型潜水艦 50隻
排水量 水上3000t/海中4300t
全長90m×全幅9m×吃水8.5m
荷電粒子発電1000馬力〜1500馬力 20基
水上/海中20000馬力〜30000馬力 30kt〜36kt 航続距離60年
533mm8管 40本
乗員65人
“白龍” “雷龍” “慶龍” “神龍” “剛龍” “海龍” “陣龍” “蒼龍” “銀龍” “鋼龍”
“雲龍” “妖龍” “弓龍” “迅龍” “凰龍” “黒龍” “鎧龍” “零龍” “呑龍” “戦龍”
“朝潮” “夕潮” “巻潮” “波潮” “赤潮” “黒潮” “冬潮” “早潮” “夏潮” “磯潮”
“長波” “巻波” “高波” “藤波” “清波” “涼波” “早波” “浜波” “朝波” “高波”
“幽鬼” “鋼鬼” “慶鬼” “蒼鬼” “海鬼” “凰鬼” “弓鬼” “陣鬼” “彗鬼” “黒鬼”
ジェットエンジン
直径40cm級流星エンジン 直径60cm級彗星エンジン
直径80cm級蒼星エンジン 直径100cm級紅星エンジン 直径120cm級天星エンジン
“原爆を落とされた人々の世界平和を望む会”
広島 賀茂忠行 天光正教 ウリエル 死神ウラン
長崎 安倍晴明 聖炎主教 サリエル 死神プルト
宇宙開発
常磐 アムン (Asteroid 3554 Amun) M型 直径2.48km 公転周期350.96日 発見1986年
浅間 クルースン(Asteroid 3753 Cruithne) Q型 直径5km 公転周期363.99日 発見1986年
エロス (433 Eros) 34.4km×11.2km×11.2 km S型 公転周期642.4日 発見1898年
ガニュメート (1036 Ganymed) 31.66km S型 公転周期1587.75日 発見1924年
八雲 (6178) 1986 DA M型 直径2.3km 公転周期1719.466日 発見1986年
第40話 1984年 『海底重気圧農業』 |
第41話 1985年 『総人口3億人を超えて・・・』 |