月夜裏 野々香 小説の部屋

    

天ぼた系 火葬戦記 『神火風』

 

 第45話 1989年 『宇宙に出ようぜ』

 

 崩御

 世界各国の要人が日本に集まり、

 宗教の違いを超えて、鳥居をくぐっていく、

 参列者たち

 「神火風の正体は、ついに、わからなかったな」

 「だが天皇が亡くなったのなら超人軍団はないかも」

 「なんにしても継続して調査が必要だよ」

 「しかし、自粛で静かだな」

 「慕われていたってことだろう」

 

 

 火星衛星ダイモスへの物資供給が一息つくと、月植民が始まる。

 スローガンは “老後は月で腰を伸ばして生きよう” で、一部の人々から賛同され、

 国際的にも富裕層を中心に関心が集まっていた。

 南極エイトケン盆地 (直径約2500km。深さ約13km)

 深さ13kmから横穴を掘って地下施設を建設すれば、

 地球の6分の1引力で、2km分の土砂が重石になって1気圧の施設を押さえつけ、

 軽い空気が真空の地表に吹き飛ばないようにしていた。

 

 土木業者500人が降りて、基地の拡張を推し進めていた。

 太陽光熱を何度も屈折させながら、土砂を溶かし、掘削していく、

 第2ロケット部が月に降ろされ、月の施設を広げていた。

 エイトケン基地

 1G地区 (直径5km×居住区幅500m)

 床は垂直から斜面まで変化させることができた。

 研究員がロープ降ろし、もう一人が分度器で測る。

 「もう少し、強く回すか。角度を浅くしてくれ」

 “了解”

 「体が少し重くなった」

 月引力0.165Gと+基地を回転させるGで釣り合いを取った。

 「もっと重力を強くしたら、漫画見たく、超重力で体を鍛えられるかも」

 「「「「あはははは」」」」

 「なかなか、いいじゃないか」

 「出入口は、回転の中心か」

 「近づくほど引力が小さく楽になっていく」

 「もっと、自然が欲しいな」

 「自然か・・・」

 「大自然が欲しい」

 「だけど、地球の老人連中は、不安がってるようだけど」

 「超電導リニアで基地を回転させてるから機械的な摩耗はほとんどないし」

 「建設すれば建設するほど、人間世界を広げられる」

 「そして、直径が大きいほど回転数が小さく、耐久性が高くなる」

 「問題はないと思うけどな」

 「必要な物資が足りないことが問題だよ」

 「まぁ それはあるけど、ケレスの氷があれば何とかなると思うけどな」

 「ケレス行きも決まってるのか」

 「月基地の開発が軌道に乗ったら、次はケレスらしいよ」

 「足場さえ作ってしまえば、あとは、民間任せで行けるからね」

 「民間は、その気になってるのか」

 「大手は、賃金の少ない新興企業との抗争に疲れてる」

 「資本力と技術力な優位を保てる宇宙開発で、市場を押さえておきたいらしい」

 「なんか、追い詰められてんな」

 「例のポイントチケット市場で力をつけてる若者が増えてな」

 「各社の人事課は、ポイントチケット市場に入り浸って、青田買いしてるそうだ」

 「そして、若者ほど未知の開発に興味を持つからね」

 「被爆は?」

 「火星軌道あたりなら被曝量が少ないからいける」

 「ケレスだと火星より外側を回ってるからかなり安全」

 「それで、ケレスか」

 

 

 

 

 アメリカ合衆国

 宇宙開発推進会議

 アメリカ、日本、ソビエトの工作機械と工員数と生産量は歴然としている。

 アメリカが工作機械と行員を日本並みに宇宙開発事業に振り分けると社会資本が不足して破綻する。

 何より工業水準が低すぎて話しにならない。

 「工業力が日本の5分の1しかないじゃないか」

 「なんで、こんなに産業で差が付いてる」

 「金融商品の売り買いにかまけていたからでしょうが」

 「お前らのせいだ」

 「だから日本みたいに金をばらまけと」

 「下剋上になるだろうが」

 「いいじゃないか。下克上にすれば、老害化したビックスリーを潰せる」

 「し、しかし・・・」

 「そんなに回転ドアを守りたいか」

 「もう、アメリカ国民は、お前らに銃口を向けてるぞ」

 「「「「「・・・・・・」」」」」

 「日本の宇宙開発をやめさせよう」

 「どうやって」

 「国土開発派を応援する」

 「金融経済で、国土開発派を潰そうとしてただろうが」

 「ODAでも金融商品でも日本にお金を借りて、リベートで政治家と官僚を黙らせ」

 「日本の金で日本の政官財の買収工作をしようとしたが成功してない」

 「国土開発に流れる方が。宇宙開発派に金が流れるより10倍ましだ」

 「どちらにしても工業力の差は埋まらないと思うけど」

 「国土開発なら先端技術じゃないだろう」

 「宇宙開発の工学精度に比べたら10分の1以下」

 「後進国の賃金格差を利用した工業品を日本に売りつけ、日本産業の儲けを減らそう」

 「日本は国民基礎所得があるから、安物買いしなくてもいいし」

 「商品の安全性が高い。賃金格差も、それほど大きくないのだよ」

 「なんとか、円高にさせろ」

 「我々はドルを刷ると仲間内で回す」

 「日本は、国民にばら蒔くから3億総中流で財産持ち家持ちばかり」

 「それに比べ、アメリカは国民にばら蒔かず利権屋が吸い上げる」

 「国民はホームレスとフードクーポンばかりだ」

 「日本はインチキしてるんだ」

 「いや、インチキしてるのは、がめついだけのアメリカ金融じゃないだろうか」

 「そんなことはない、新自由主義による金融支配は、自明の理だ」

 「」

 「」

 「」

 ワイのワイの ワイのワイの

  

 

 

 ペンタゴン

 アメリカ航空宇宙軍は、スペースシャトルで直径4.4m、長さ16mの宇宙カプセルを打ち上げ、

 低周回軌道で19列(直径22m)×10連(160m)をドッキングさせていた。

 アメリカ航空宇宙海軍の初宇宙戦艦の名称はテキサスだった。

 「アメリカ海軍初の戦艦と同じ名称か」

 「歴史は繰り返す。アメリカ海軍が最初の戦艦を建造したのも100年前だ」

 「しかし、効率の悪いスペースシャトルで190回の打ち上げは、流石に辛い」

 「それでも、まだ中身の機材と消費材が足りないのだがな」

 「最初の宇宙戦艦は、スペースシャトルで打ち上げて建造したいのが流れだろう」

 「馬鹿な浪費だよ」

 「空箱の中を機材と必要物資で埋めるため、更に打ち上げないといけない」

 「新型宇宙ロケットは?」

 「打ち上げっぱなしで、往復なしだ」

 「それだって、日本の打ち上げロケットに負ける」

 「いったいどういうことなんだろうな」

 「物量で言うとな。太平洋戦争の国力比を逆にしたくらい離されてるよ」

 「なんとかしろよ」

 「アメリカの支配者たちはな。戦争でもない限り、国民に金を渡したくないんだと」

 「国を衰退させてまで、権力基盤の金融利権を守りたいのかね」

 「軍の一部では、反乱の噂くらい立ってるよ」

 「真面目な話し、国外に敵国をつくらない限り、支配構造が破壊されるほど貧富の格差が広がっている」

 「醜いな」

 「だから、ほかの国でも新自由主義をやろうとしてるんだろうが」

 「ほかの国も貧富の格差が広がって国が衰退したら、アメリカの権力者は安全ってか」

 「そんなところだろうな」

 

 

 

 

 アメリカ海軍 徴用貨物船の船底に穴が開けられていた。

 籠網に入った潜水夫がヘルメットを外して大きく息を吸う。

 「潜りっぱなしで、もう疲れたニダ」

 「いいから、クラーケンを探して写真を撮ってこい」

 「食事したいニダ」

 「「「「・・・・・」」」」

 「食事したいニダ!!!!」

 「「「「・・・・・」」」」

 「ったくぅ〜 5分だけだ」

 「鬼ニダ。鬼畜米英ニダ」

 「なんだと?」

 「なんでもないニダ・・・」

 船底の指揮所には、クラーケンのソナー写真が映されていた。

 クラーケンルートは、アメリカ海軍の関心事で、第一級の調査対象になっていた。

 「キムチがないニダ」

 「キムチなんて臭いものが出せるか」

 「キムチがないなら海に降りないニダ」

 「「「「・・・・・」」」」

 「海に降りないニダ!!!」

 「出してやれ」

 「やったニダ〜♪」

 「ったくぅ〜」

 「しかし、クラーケンを無人で動かしているというのは、本当なんだろうな」

 「海底1000mで活動してるなら無人と考える方が妥当だよ」

 「そこまで自律型プログラムと、電子装備が優れてるとはな」

 「問題は燃料だ」

 「ディーゼルじゃない」

 「原子力だとしたら小さすぎる」

 「捕まえられないのか?」

 「クラーケンは40ktを超えると推測されてるし、捕まえられるなら、こんなに苦労していない」

 「海底熱水鉱床と熱水噴出孔で発見されてるなら、そこで捕まえられないのか」

 「日本の勢力圏内だからな。日本の潜水艦が邪魔をする・・・」

 「時間だ。降ろせ」

 「もっと、休みたいニダ」

 「さっさといけ」

 「鬼! 悪魔! 鬼畜米・・・ブクブク・・・」

 「クラーケンは、本当に山海経と関係ないのか?」

 「日本の農林水産省の鉱物資源の保有量は異常だ」

 「そして、日本の特高は、神話を隠れ蓑に情報隠蔽してる」

 「日本はミステリアスな国に見られがちだから、大衆は騙され易い」

 「クラーケンが日本の海洋ロボットだって言えば、海軍の頭が疑われ、コケにされる」

 「大衆は、日本ET同盟さえ、信じてるけど」

 「「「「あはははは」」」」

 「大衆はゴシックを面白がるが、軍は証拠がないとな」

 

 

 

 地球静止軌道 宇宙ステーション “ツキヨミ”

 物資が運び込まれ、ケレス行きの準備を進めていた。

 ステーション外周は、2m厚の透明な氷で覆われ、

 その気になれば普段着で星々を見上げることができた。

 「水欲しさでケレスまで行くことになるとはね」

 「水があれば取り敢えず、人は生きていける」

 「一度、ケレス基地を作ってしまえば、地球から水を打ち上げなくても済む」

 「月で大量の水を見つけたんだろう」

 「室内で使う分じゃなく。テラフォーミングできるくらいの水が欲しいらしい」

 「火星はどうするって?」

 「フォボスを材料にして球型のカーボンナノチューブの網で火星を覆って、大気を逃さないようにする」

 「そして、高度6000kmくらいで、赤道に沿って1Gで回転させるらしい」

 「二重空間かよ」

 「アメリカとソビエトがフォボス落下を反対してね」

 「どうせ、米ソの嫌がらせだし。強行できないこともないけどさ」

 「次点の案もあるわけよ」

 「80年もしたら、火星の地表と、軌道の天上で頭を付き合わせて、生活するようになるんじゃないか」

 「太陽風は防げるし。引力が小さくても蓋されてるから大気が逃げない」

 「天上の南極と北極は遠心力が小さいから重力が足りず、空気がないんじゃ」

 「真空で微重力が都合のいい工業もあるよ」

 「なるほど」

 

 

 

 

 

  

 南北アメリカ大陸

 漢民族は日本を経由してブラジルとパラグアイに上陸した後、徐々に増加し、

 ベネズエラ、ボリビア、ペルー、コロンビア、中南米、メキシコへと移動し、

 2億5000万人が南米大陸で労働移民していた。

 アメリカと戦争になったベネズエラは、5世代を経れば国籍が与えられ、

 他の南米諸国も10世代を経れば国籍を得られた。

 南米諸国は、日本の鉄道建設と道路建設によって、一体感がまし、

 中国人のネットワークと生産力で軒並み底上げされていく、

 南米諸国で力をつけた華僑資本は、中国からの移民を募りつつ、

 中華勢力を拡大させ、

 南米利権をめぐって日米中が衝突していた。

 ブラジルの某テレビ局

 “急成長を遂げつつあるブラジルの今後を見据えた放送を行なっています”

 “休憩前は、かなり激しいやりとりがありましたが”

 “アメリカの影響力は南米での低下していくのでしょうか”

 “ゴホン! 何度も言うようですが、アメリカは、真の自由と民主主義の国家ですので”

 “アメリカの影響が南米から薄れるのは、自由と民主主義の衰退になるので非常に危険です”

 “アメリカは、南米諸国の自由と民主主義を破壊して、利権を奪おうとしてるだけだろうが”

 “そんなことはない、アメリカは自由の国ですぞ”

 “アメリカは、自国の自由のために、他国の利権を奪うそうです”

 “それは誤解です。ブラジル政府が国民の自由を奪ってるのでは?”

 “例え、ブラジル政府に国民の自由を奪われてもだ”

 “アメリカとブラジルの二重支配はごめん被る”

 “アメリカ資本の進出は、ブラジル国民の開放が目的なのだ”

 “ブラジル国民の代表として。ベネズエラと同様。アメリカによる解放は、全力で拒ませてもらうよ”

 “なんだと! ブラジルは、日本や中国に支配されてもいいのか?”

 “横暴なんだよ。金融まむしが”

 “日本は資源と交換だけだし。中国人労働移民の国籍会得は10世代後だろうが”

 “日本は南米に鉄道網を敷いてるじゃないか”

 “日本人に管理させていたほうが、安心で速いんだよ”

 “自国民で新幹線を運転できないなんて、みっともないな”

 “ブラジル人が新幹線を運営してるなんて言ったら乗客が減るだろうが”

 “威張るな!”

 “仕事も中国人に取られてしまうぞ”

 “中国人が借金して、ブラジル人が稼いで豊かに生活している”

 “ブラジル人は税制で漢民族労働移民の3倍も楽をしてるんだよ”

 “うぬぬぬぬ・・・・”

 

 

 

 荷電粒子発電工場

 荷電粒子発電機は、放射線に強い神火人に製造を頼っていた。

 サイズは、重量530kg  全長1722mm×直径705mmで

 荷電粒子発電の製造施設は、増築を繰り返して生産性が向上していたものの、

 肝心の製造者人数は25000人の横ばいで、ラインの増加は、負担が増えるせいか、好まれていなかった。

 約735w(1000馬力)から1125kw(1500馬力)、約1491kw(2000馬力)に向上しても基本的にサイズは変わらない。

 しかし、総論賛成でも各論反対で、燃料を消費しない発電用と、エア・ウォーター・ジェット推進用に分かれた。

 エア・ウォーター・ジェット推進用は80cm級蒼星型エンジンの直径に合わせられ、

 重量530kg  全長1722mm×直径800mmとなり、中空のライフルファンの推進力を得て、

 艦船用、Mi24ハインドなどに使われていた。

 また、航空エンジンを中心に燃料消費を主。荷電粒子推進を副にした折衷型エンジンが開発され、

 蒼雷、綾風の航空エンジンを中心に採用されていた。

 しかし、無重力、真空、超低温、超高温の宇宙に荷電粒子発電製造工場を移せば、

 機械化で製造工程を割り引けるだけでなく、サイズ変更も容易になり、性能も向上させる。

 日本の宇宙開発を進ませた原動力の一つが荷電粒子発電機の性能向上と生産性の向上だった。

 そして、小惑星の浅間で最初の荷電粒子発電機が製造された。

 重量530kg  全長1722mm×直径800mm  3728kw(5000馬力) + 推力700kg

 関係者たち

 「結局、このサイズで製造かよ」

 「だって既存のものと置き換えられるし」

 「だけど、重量530kgで推力700kgなら燃料消費なしで浮かぶのか。凄過ぎて泣けてくる」

 「エンジンだけで走るわけじゃないけどな」

 「むしろ、新型エンジンは宇宙船のエンジン用で使いたいね」

 「一種の呼び水で降ろすようなものだから」

 「大気中だから推力700kgなんで。宇宙で使うとイオン推進になるから速いわけじゃないよ」

 「それだって、強力な宇宙戦艦になるだろう」

 「引力に縛られた人たちが新型エンジンを地球に降ろしたがってるからな」

 「「「「はははは・・・」」」」

 「次は人工筋力用の電力源で作ってみるか」

 「いいねぇ 7kw/kgだから密着させてパワードスーツとか楽勝」

 「だけど、放射線を相殺するのに一定の厚み必要だよ」

 「放射性物質を着込んでるようなものだからな」

 「地上なら流星エンジンの40cmが最小だったけと、宇宙で作るなら20cmくらいの厚みで済む」

 

 

 

 中国13軍閥は中央集権でなく、

 それぞれの軍閥国が国民を得るため人頭紙幣制度で軍閥札を発行していた。

 軍閥が違えば他国に近く、外資を利用してでも隣りの軍閥国を出し抜かなければならなかった。

 ウイグル軍閥

 ソビエト製、日本製、アメリカ製の武器弾薬が流れ込み、ウィグル人は自衛していた。

 これはアメリカとソビエトに中国軍閥を分断する計画があって、日本も便乗したからにほかならない。

 今ではケーブルテレビ網が広がり、

 ロシア人武装マフィアと、アメリカ人の資本家が大手を振って歩いていた。

 むろん、日本人も資源との値段で価格さえ折り合いがつけば購入しようと、商館を置いていた。

 軍閥大学

 世界地図が貼られていた。

 中国13軍閥と日本連邦の地図は、赤とピンク色ほどの違いしかなく、

 同祖分裂文明国家のように表されていた。

 ウイグル文字は漢字ではなく、ラテン文字とキリル文字を祖に改良されたものが使われていた。

 ケーブルテレビでは日本の教育番組が流れていた。

 教科書も日本の教育番組に合わせたもので、

 ウイグル人の学生は、日本語を覚えながら日本語で勉強をしている。

 日本製のパソコンを持つ者も少なくなく、

 日本語を覚えれば資源取引で高給のチャンスが増え、

 海外で日本人のように生活できるチャンスもあった。

 『『『『『日本語を覚えて、ウイグルを日本みたいにするある』』』』』

 『『『『『日本語を覚えて、労働者と資源を日本に売って大儲けある』』』』』

 ウイグル軍閥、チベット軍閥、雲南軍閥は、他の10軍閥と違い、

 庶民から紙幣を取り過ぎておらず、

 社会資本に余裕があって、民族資本が育っていた。

 日本のケーブルテレビ網に組み込まれるとウイグル人は貪り見るようになり、

 日本を模倣しした社会を作り始めていた。

 

 

 

 

 日本の予備役制は、免許制だった。

 学校の通知表で体育が4以上、その他の科目が3以上なら予備役の試験を受けることができた。

 扶桑州と大和州は、熊や狼の生息圏が近いことから小中高でほぼ全員が仮免許を取らされる。

 他の州は定数があるものの試験は自由意思だった。

 1年に1度、指揮系統と戦術の確認と、射撃の教習と、戦術教練を受ける。

 マラソンを走り、突撃銃と拳銃の操作と射撃テストが行われ、

 水準に達していれば5年更新で、最高年齢は35歳までだった。

 『SIG SAUER P220か・・・』

 自動拳銃の解体と組立を10回ほど繰り返して、時間を測り、

 標的に狙いを付ける。

 「とうちゃん、頑張れ」

 「おお、しんのすけ、見てろよ」

 「父ちゃん、父ちゃん」

 「なんだ」

 「隣のお姉ちゃん覗き見して外すな」

 どぉーーーー!!!

 「し・ん・・の・・す・・・け・・」

 親子連れは少なくなかった。

 将来、子供が任官してくれるかもしれず、

 控え室は、つまらなさそうな女性陣と、目を輝かせた子供たちが窓を覗き込んでいた。

 的に命中すると、

 景品が出るようになったのは、見学の子供が増えたからで、

 宇宙開発に人材を奪われないための広告費だった。

 「うほほいほい。チョコビだ。チョコビだ」

 「父ちゃん。かっこよかったろう」

 「父ちゃんと思えないほど、かっこよかったぞ」

 「そうか」 苦笑

 「日頃の生活とのギャップね」

 「あははは・・・」

 

 

 

 封建社会では、領主と土地の力が強かった。

 社会主義では、共産党が決めた階級が力だった。

 そして、資本主義の国では、紙幣の配分が力の根源になった。

 紙幣は、国家を統治する資本家にとっての権力で、使い捨ての呪符を発動させれば欲しいモノが手に入り、

 願いを叶える使い魔がぞろぞろと集まる。

 金の生る利権を中心に金融政策を考え、仲間内で金を回し、庶民には可能な限り紙幣を下ろさない。

 新興勢力による下克上を望まず、異端者が成り上がれば、よってたかって搾取して潰し、利権を奪っていく、

 最近は、死神勢力が急増し、彼らの元に紙幣が集まっている。

 紙幣は力であり、彼らの力は徐々に増している。

 ニューヨーク

 高級デパート

 世界有数のお金持ちたち

 「なぜ、日本製商品ばかりなんだ」

 「安くて、品質が良いからでしょう」

 「ますます酷くなってるじゃないか」

 「日本人は働きすぎですね」

 「日本円を高くしろ」

 「日本は、紙幣を刷りまくってるので無理かと」

 「国債問題を話題にして、日本に緊縮財政させろ」

 「10年前の国債を今年の国債で償還できるので、緊縮財政する必要はないこと」

 「国民基礎所得があるので、国債は、いつでも償還できると国民に種明かししていますし」

 「うぬぬぬぬ・・・・」

 「日本製商品に関税をかけろ」

 「カナダやメキシコから日本商品が入ってくるので関税をかけても割高になるだけです」

 「カナダとメキシコにも日本製を買わせるな」

 「ほか国から入ってくるだけですし」

 「アメリカ製では、売上が落ちますし、小売店が日本商品を売り始めたら・・・」

 「「「「・・・・・」」」」 ぶっすぅうう〜〜〜

 

 

 

 個人の影響力は200人を超えることは稀れだった。

 利権は制約があるものの利害を作る。

 利害さえ一致すれば影響力を数千、数万、数十万へと拡大する。

 そして、民主主義は、結束力の弱いマジョリティの集票が移ろいやすく、

 資金力と広告力の強い、利権政治に向い、衆愚政治に至りやすかった。

 利権が大きくなるにつれ、金の力で排斥し、工作員を増やし、マスメディアで扇動し、国権を動かした。

 国権を動かす利権屋は、排他的な聖域を形成して、同業他社を貶めて餓えさせ、利権のために国益すら脅かした。

 

 

 近代、結束力と敵愾心の強いマイノリティが台頭していく、

 閨閥は、権力基盤を守る工作部隊として、マジョリティのマイノリティ化を計画する。

 欧米諸国のそれが、フリーメイソン、イルミナティ、コーサ・ノストラ、スカル・アンド・ボーンズ、トゥーレ協会などで、

 東洋なら義和団、紅幇、青幇などがあった。

 日本では、藩閥から官営企業、財閥へと巨大化しつつ軍事に至り、

 戦後は、広長閥が政治的なルールを構築した後、民需を中心に利権団体が育った。

 広長閥は、利権を残したものの、

 建設国債に2割比例する国民基礎所得で利権の突出を防ぎ、貧富の格差を是正し、

 利権と癒着しやすい公権も癒着抑制ルールを作り、不正腐敗の温床を減らしていた。

 日本の公務員は1000人中50人ほど、

 人口が増えれば公務員も増えるため、毎年、公務員試験が行われる、

 定数に達すると、人口比に応じて、中央・各州へと赴任が決まっていく、

 一番人口の多い、日本・輝夜でさえ、半分が海外州赴任になっていた。

 例え、同じ州に残ったとしても、大半が他市の異動となった。

 出身市の公務員で残る可能性は、1パーセント以下に過ぎず、

 マニュアル化が進んでいた。

 地元と密着が低く、融通性が少ないためか、風物の祭りなど慣れるまで年月を要するものの、

 不正腐敗などがあれば、他市、州、中央から寄って集って合議になるため、

 不正そのものは少ないように思われた。

 

 新人の公務員たちが高層宿舎を見上げる。

 地元出身者はほとんどいない、

 人口増加による新任と退任の員数を計算し、公舎が建設されていく、

 公務員は余所者の寄せ集めで、先輩に聞くか、地域住民に聞かないと仕事にならない、

 親しくしてくれるのは、家族が公務員で、他州に行った家族が多く、

 赴任後、その地で結婚し、家族を作り、家を構え、

 退任後、出身地へ戻るか。そのまま、現地で老後を送ることが多かった。

 赴任30年、20年、10年、1年の公務員たちが山笠を眺めていた。

 公務員は半強制的に地元の風物モノに参加させられる。

 「もう、福岡で骨を埋めるべかな」

 「東北の祭りが懐かしいのでは?」

 「右も左もわかるようになったし。こっちが慣れたし、もうよかべ」

 「自分はヤンゴン出身ですから日本で嬉しいですよ」

 「海外州出身は、そのまま日本にいつくことが多いな」

 「先祖の国ですから」

 「親元が懐かしくないのか」

 「懐かしいですよ。しかし、こっちも郷愁を感じますね」

 「親はどこ出身?」

 「親も公務員で。沖縄らしいですよ。母は扶桑らしいです」

 「普通の家ならずっと地元で生活できたのかもしれませんけど」

 「今時、地元出身なんて、長男くらいのものか」

 「長男の異動もたまにいるみたいですよ」

 「地元で骨を埋める前に余所を見たいんだろう」

 「そういえば、伝統も、形骸化してしまってますからね。惰性でやってるような」

 「宇宙時代だからな」

 「山笠はまだいいですよ」

 「どんたくは、10年前と全然違うじゃないですか」

 「宇宙モノ、海底モノが増えたからな・・・」

 「あ、俺たちの番だ」

 ハチマキフンドシ男たちが立ち上がる。

 

 

 

 敵という存在と憎しみを組織結束の中心にする集団が存在する。

 美辞麗句と大義名分を振りかざすが、目的のためなら手段を選ばない集団で、

 学校教育では子供に憎しみと嘘を教え込み、敵愾心を植え付け、組織拡大の犬にする。

 そういった宗教カルトも存在するが、民族としても存在し、

 特高では、ユダヤ人と朝鮮人を危険民族度AAAで警戒していた。

 四川省 朝鮮人自治区

 黒人教官たちの腰が激しく動いていた。

 「違うニダ。オンナじゃないニダ・・・男ニダ・・・」

 「そうニダ。や、や、やめてほし・・く・・ない・・ニダ・・」

 “お前たちは、宇宙防衛軍だ。宇宙開発阻止テロリストだ”

 “神聖な宇宙を守るため”

 “日本の宇宙開発を阻止するのだ”

 「わ、わかったニダ」

 「日本の宇宙開発阻止するニダ」

 「死ぬまで日本の足を引っ張るニダ」

 “行くのだ。コード名 ハト、カン、ノタ、アヘ。日本の宇宙開発を阻止するのだ”

 “テロするのだ”

 “““ニダ! ニダ!! ニダ!!! ニダ! ニダ!! ニダ!!!”””

 “““ニダ! ニダ!! ニダ!!! ニダ! ニダ!! ニダ!!!”””

 

 

 

 

 国益や民益を考えても実入りはない、

 むしろ、利権や主義思想を侵害しやすいため誹謗中傷されやすい。

 軍部、ゼネコン、鉄鋼、製造、石油、食料、宇宙、海底、南極などなど

 黒いカラスも白と言いはるが如く強い勢力につき、

 利権と癒着し利益誘導しつつ地位とポストを得るほうが味方が増えた。

 そして、利権受益者の多くの視野は、利権団体さえ良ければほかは乞食でもよく、

 累進課税の強い所得税のフラット化など、貧乏人は自殺上等の意気込みすらあった。

 戦前、強力な国家教育と民族教育を受けてさえ、視野が狭くなりがちであり、

 戦後、自由思想、民主思想が共有が増えると、

 国民的な意識で利権依存が進み、視野が狭くなる傾向があった。

 衆議院が抽選で選挙制で、一任期制なのも

 一生一度の機会を良心にしたがって発揮してもらうためといえた。

 そして、852人の衆議院の大半を買収することなど、不可能に近く、

 主義主張はあるものの、ほぼ中庸な判断がされていく、

 しかし、日本の利権社会に食い込もうと必死な勢力も存在する。

 

 繁華街

 反日ギルド朝鮮チーム コード名 ムン キン リン は、味方のように振る舞いながら有力者に近づく、

 「これはこれは、署長。今日もいらっしゃいましたニダ」

 「おお、君らも好きだな」

 「ノーパン喫茶は、大好きニダ」

 「ははははは」

 「最近は、どうニダ」

 「もう、平和すぎてな。暇で暇で手柄なしの日が続いてるよ」

 「それは、いけないニダ。ストレスになるニダ。癌の元ニダ」

 「そうか」

 「ストレスは癌の元ニダ。癌は、とっても怖いニダ」

 「そうか。怖いな」

 「国民基礎所得やめさせれば貧富の格差が大きくなって犯罪が増えるニダ」

 「そうすれば犯罪を検挙して、警察は頼りにされるし、威信も保てるし、出世できるニダ」

 「そうだよな・・・ そうだよな・・・ そしたら楽だよな・・・」

 「国民から国民基礎所得を奪って警察が使って天下り利権にするニダ」

 「無知な国民に金を持たせるより、警察で使った方が100倍も有益ニダ」

 「おおお、まるで夢みたいな話しだ」

 「夢じゃないニダ」

 「応援するニダ。利権の味方をすれば天下りできるニダ」

 「そ、そうか」

 「某長銀行は、担当者にお金を渡すだけで、10倍の金を借りることができるニダ」

 「お〜」

 「出世したいなら使うニダ」 ひそひそ

 「リベートと地位があれば、もっとたくさん協力するニダ」

 「「「「あはははははは」」」」

 「「「ウェーハハハハ!!!」」」

  

 

 反日ギルド朝鮮チーム コード名 ムン キン リン は、警察との接触に成功し、

 国民基礎所得にダメージ1を与え、レベル30になった。

 反日ギルドから ビビンバ が送られてきた。

 「日本警察と国民基礎所得に打撃を与えたニダ」

 「国民基礎所得をなくして、日本の貧富を大きくして犯罪大国にするニダ」

 「警察の不祥事をリークしたら、日本人のモラルは消えるニダ」

 「そしたら、漁夫の利ニダ」

 「人間不信を煽れば、もっと不正腐敗が増えるニダ」

 「日本人同士が憎み合うニダ」

 「日本人同士殺し合うニダ〜♪」

 「「「ウェーハハハハ!!! ウェーハハハハ!!! ウェーハハハハ!!!」」」

 「「「ウェーハハハハ!!! ウェーハハハハ!!! ウェーハハハハ!!!」」」

 「「「ウェーハハハハ!!! ウェーハハハハ!!! ウェーハハハハ!!!」」」

 反日ギルドから次のクエストが送られてくる。

  1、日本食品に毒を入れる。    2、日本の銀行を襲撃する。

  3、日本人から金を騙し取る。   4、日本人を自殺させる。

  5、日本女性を強姦する。     6、日本人を拉致誘拐する。

  7、日本の文化財を盗む、放火する。

 「「「・・・・・・・」」」

 

 

 

  

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 月夜裏 野々香です。

 軍需産業は宇宙産業に人材を取られてピンチ

 パチンコより少しましな景品でしょうか (笑

 

 

 総人口3億5106万人。

  日本・輝夜 (72万ku) 日本・半島  内地人口1億6886万。

 

  海外州人口1億8255万人

   和洋州 (25万ku) 京杭大運河東部域  6833万

   日満州 (100万ku) 外満州  6833万

   扶桑(カムチャッカ・チュクチ)州 (121万ku) 1754万

   大和(アラスカ)州 (171万7854ku) 2270万

   南洋 (ハワイ、ビスマルク、ソロモン諸島) (10万6461ku) 448万

    フィリピン バターン・コレヒドール島 日本自治 “桃太郎” 区 (1000ku)

    マレーシア ブルネイ 日本自治 “金太郎” 区 (1000ku)

    インドシナ ダナン 日本自治 “舌切雀” 区 (1000ku)

    インドネシア パレンバン 日本自治 “浦島太郎” 区 (1000ku)

    ビルマ ヤンゴン 日本自治 “因幡の白兎” 区 (1000ku)

    シンガポール 日本人自治 “鶴の恩返し” 区 (1000ku)

 

 4200t級宇宙船

  “あけぼの” “はつはる” “あさかぜ” “あかつき”

  “あさつゆ” “ゆきどけ” “はるかぜ” “わかば” 

 

 

 

 日本海軍

 第01機動部隊

  38000t級航空巡洋艦 播磨 長門

  36000t級伊勢型航空巡洋艦 伊勢

  12000t級鞍馬型ヘリ巡洋艦 出雲 吾妻 伊吹

  6000t級綾波型巡洋艦

       綾波 敷波 荒波 浦波 淡雪

       雪風 秋風 舞風 雷風 吹雪

  38000t級強襲揚陸艦 相模

 

 

 第02機動部隊

  38000t級航空巡洋艦 薩摩 駿河

  36000t級伊勢型航空巡洋艦 扶桑

  12000t級鞍馬型ヘリ巡洋艦 鞍馬 浅間 八雲

  6000t級綾波型巡洋艦

      藤波 高波 磯波 白波 水雪

      峯風 朝風 灘風 旗風 白雪

  38000t級強襲揚陸艦 津軽

 

 

 

  38000t級播磨型航空巡洋艦4隻

          “播磨” “薩摩” “長門” “駿河”

  12000t級鞍馬型ヘリ巡洋艦12隻

          “鞍馬” “出雲” “吾妻” “浅間”

          “八雲” “伊吹” “生駒” “春日”

          “愛宕” “羽黒” “青葉” “白馬”

  6000t級綾波型巡洋艦 40隻

          “綾波” “敷波” “荒波” “浦波” “藤波” “高波” “磯波” “白波”

          “雪風” “峯風” “秋風” “朝風” “灘風” “舞風” “雷風” “旗風”  

          “吹雪” “白雪” “淡雪” “水雪” “灰雪” “玉雪” “春雪” “初雪”

          “秋月” “冬月” “夏月” “春月” “葉月” “涼月” “照月” “若月”

          “夕雲” “朝雲” “天雲” “峯雲” “巻雲” “山雲” “秋雲” “白雲”

 

 白龍型潜水艦 50隻

   排水量 水上3000t/海中4300t

   全長90m×全幅9m×吃水8.5m

   荷電粒子発電1000馬力〜1500馬力 20基

   水上/海中20000馬力〜30000馬力 30kt〜36kt  航続距離60年

   533mm8管 40本

   乗員65人

  “白龍” “雷龍” “慶龍” “神龍” “剛龍”  “海龍” “陣龍” “蒼龍” “銀龍” “鋼龍”

  “雲龍” “妖龍” “弓龍” “迅龍” “凰龍”  “黒龍” “鎧龍” “零龍” “呑龍” “戦龍”

  “朝潮” “夕潮” “巻潮” “波潮” “赤潮”  “黒潮” “冬潮” “早潮” “夏潮” “磯潮”

  “長波” “巻波” “高波” “藤波” “清波”  “涼波” “早波” “浜波” “朝波” “高波”

  “幽鬼” “鋼鬼” “慶鬼” “蒼鬼” “海鬼”  “凰鬼” “弓鬼” “陣鬼” “彗鬼” “黒鬼”

 

 

 ジェットエンジン

 直径40cm級流星エンジン  直径60cm級彗星エンジン

 直径80cm級蒼星エンジン  直径100cm級紅星エンジン  直径120cm級天星エンジン

 

 “原爆を落とされた人々の世界平和を望む会” 

 広島  賀茂忠行  天光正教  ウリエル  死神ウラン

 長崎  安倍晴明  聖炎主教  サリエル  死神プルト

 

 宇宙開発

   常磐 アムン (Asteroid 3554 Amun) M型 直径2.48km 公転周期350.96日 発見1986年

   浅間 クルースン(Asteroid 3753 Cruithne) Q型 直径5km  公転周期363.99日 発見1986年

   エロス (433 Eros) 34.4km×11.2km×11.2 km S型  公転周期642.4日 発見1898年

   ガニュメート (1036 Ganymed) 31.66km S型  公転周期1587.75日 発見1924年

   八雲 (6178) 1986 DA  M型 直径2.3km 公転周期1719.466日 発見1986年

 

 

 

 

  

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第44話 1988年 『日本を植民地の植民地にしてやるニダ』

第45話 1989年 『宇宙に出ようぜ』
第46話 1990年 『利権資本主義 VS 民主資本主義』