月夜裏 野々香 小説の部屋

    

天ぼた系 火葬戦記 『神火風』

 

 第46話 1990年 『利権資本主義 VS 民主資本主義』

 

 日満州遼東半島と和洋州山東半島を繋ぐ遼山海底トンネルと、海底施設が外国のテレビに報道されていた。

 白人アナウンサーと日本人

 “GDP成長率10パーセント。0.35パーセントの人口増加の続く日本ですが”

 “ここ、勃海と黄海の間に世界最大の海底都市が広がっています”

 “10000人が海底都市で働き”

 “数十万人分の農業生産と、相場を狂わせる資源採掘が行われています”

 “生産食料は世界で評価され。資源採掘は資源メジャーに準じつつあるようです”

 “では、海底でりんご園を営んでいる社長にお尋ねしてみましょう”

 “社長。日本は、海底に移民するのでしょうか”

 “そうですね。加減圧が大変なので、人間は1気圧隔壁での生活が多くなりそうです”

 “作物や牧畜は重気圧室で育てているので、本格的な移民というわけにはいかないようです”

 “機械化が進んでると聞いておりますが”

 “ええ、ここにあるような機械で作物や牧畜の世話をしています”

 “あのぉ 大変な投資が続けられてますが採算性はどうなってるのでしょうか”

 “紙切れで、モノを作る方がいいので”

 “で、でも、お金は、財源は・・・”

 “通貨管理制度ですよね。財源は印刷代ですよね”

 “紙幣を食べるわけじゃないですし、紙幣が作物の世話をしてくれるわけじゃない”

 “良い物が沢山あって、生活が潤っていたほうがいいじゃないですか”

 “・・・・・”

 

 

 

 日本銀行で印刷した紙幣が州準備予算として各州に輸送される、

 州準備予算は、面積と人口と風土で計算され、州銀行に収められ、

 州銀行から各銀行に配られ、州を開発近代化させていた。

 大和州

 山脈の北側は、広大な平地と湖が広がっていた。

 北極点に近い最北地であるにもかかわらず30万都市80個が建設されて、人口2300万人を超え、

 更に計画都市20個が新規に建設されつつあった。

 天候が回復すると、クレーンヘリの大群が機材資材・フロアを運んで飛び立っていく

 「建設予算が増えてきてるな」

 「日本と輝夜の人口密度が高くなってきてるからね」

 「日本から脱出組が持ってる家を増設してるんだろう」

 「大和、扶桑。日満、扶桑への移動が増えるから予算はどうしても増えるよ」

 「宇宙開発は?」

 「宇宙は時間がかかるし、取り敢えず、州予算だろう」

 「お金に惹かれて大和州異動が増えればいいけど」

 「そうだな」

 「しかし、古参と大手は宇宙開発と海底開発で足場を作ってる」

 「宇宙と海底開発で足踏みすると、大損だし。圧力も大きい」

 「じゃ このまま、宇宙・海底開発はまっしぐらか」

 「国民基礎所得で格差を抑えられるから予算は、もっと、増える気がする」

 「デノミ近しか」

 「土地売買と銀行決済用に1億円札を作ってるよ」

 「銀行で1億円札の名義を書き換えることになるから、盗られても被害は少ないし」

 「2001年まで、延命はできそうだけど」

 「でもいよいよなんだな」

 

 

 

 

 

 アメリカ合衆国

 アメリカ北西のワシントン州は、日本のケーブルテレビ網が作られ、

 ワシントン州発信のケーブルテレビも日本で見ることができた。

 そのためワシントン州は、日米ケーブルテレビの情報戦の渦中にあった。

 政治番組

 “今回は、隆盛を極めつつある日本の政治家の話しを聞いてみましょう”

 “議員は、今年、衆議院当選ですが。どういった政治信条で政治活動をしてるのでしょうか”

 “そうですね”

 “政治家は、資本家や企業のためでなく、国家や国民のために働くことだと思ってます”

 “なるほど、どういった行動でしょう”

 “もし、わたしがアメリカの議員なら、もっと貧富の格差を是正するでしょう”

 “死神教がやってるような?”

 “特定の利権団体だけではダメだと思いますよ”

 “利権というのは、壁で囲って部屋の中だけを温めて美味しものを食べて団欒するのです”

 “大手企業なら毎日のように関連企業の割引商品が回ってくるでしょう”

 “壁を作って、仲間内で居心地のいい思いをして、壁の外では高い物を買わされてるわけです”

 “財界と政界の利権で、予算が、これだけいる。これだけいる、を足して終わりじゃダメなんです”

 “利権という壁の外にもアメリカ人がいるわけです”

 “壁の外でマッチを摺って暖をとってるアメリカ人を餓死させてもいいんですか?”

 “なぜ、アメリカ人は、利己的な利権団体だけにアメリカの国家予算を投入しなければならないのです?”

 “その発想が日本の国民基礎所得になったのでしょうか”

 “わたしは、生まれる前に制度が確立した国民基礎所得の経緯は知りませんが”

 “企業は利権がらみで肥え太ることに躊躇しませんし”

 “利権に飼われた経済学者は、必死に利益誘導するでしょう”

 “そして、庶民が貯蓄している口座にまで口出しするでしょう”

 “企業は企業で利益を優先するでしょうが”

 “議員は国民と国家の代表で、利権企業の言いなりになってはいけません”

 “国家の全体の利益。国民全体の利益を考えるべきでしょう”

 “議員。日本で国民基礎所得が採決された時。殺されたくなかったから、と、重鎮の議員が呟いたそうですが?”

 “あははは、まさか。日本国民の善良さですよ”

 “・・・・”

 “議員。アメリカでも一部の議員でベーシックインカムが計画され”

 “そして、補助紙幣アメロの発行が取りざたされてるようです”

 “ですがアメリカの経済学者は、ベーシックインカムやアメロ紙幣に反対しています。如何に思われますか

 “経済学者というのは、数万人から一人1ドル。数千人から一人10ドル、数百人から一人100ドルといった商売はしません”

 “彼らは、土建。製造。軍事。農業などのクライアントから数万ドルから数千万ドルのお金を貰ってるのです”

 “経済学者は、クライアントのために嘘をつく詐欺師なのですよ”

 “マスコミも利権団体からお金をもらって、彼ら詐欺師をテレビに映してるだけです”

 “その特定産業の労働者は、百に1利くらいはあるでしょうが”

 “しかし、多くの国民にとっては、特定産業との格差が広がるだけで、それほど実入りのいいものではない”

 “そうそう。最悪な経済学者は、金融ブローカーです

 “彼らは、アメリカ国民を借金奴隷にし”

 “アメリカ軍を資本家の私兵にしようとしてるので、共産主義者以上に危険です”

 “新自由主義などと口走りますから、見つけたら射殺するといいでしょう”

 “あははは、冗談ですよね”

 “彼らは、本気でアメリカ国民から私財を奪い。あなたがたアメリカ国民を借金奴隷にする気ですよ”

 “若者は、資本家のための兵士になるか。娼婦にさせられるでしょう”

 “FRBの独裁資本主義を成立させようとしてるのです”

 “・・・・・”

 “アメリカ国民の総意が、アメリカ合衆国を作るべきだと思うのです”

 “既得権の言うことばかり耳を傾けず、目を覚まして自分で政治と経済を考えるべきでしょう”

 “なるほど。ところで、議員”

 “はい”

 “日本の貿易黒字は、とても大きいのですが、国際問題になってると思われませんか”

 “日本の主要産業は宇宙開発と海底開発に向けられてます”

 “民需関連の設備投資比率が減少しているようですし、今なら競争しやすいと思います”

 “ですが・・・ 日本の貿易黒字は記録を更新してるようですが・・・」

 “おかしいですね”

 “日本の主要自動車産業には、宇宙開発と海底開発の発注騒ぎで、輸出が減ってるはずですよ”

 “ですが日本の新興自動車産業がアメリカへの輸出を伸ばしてるのですが”

 “んん・・・ 戦後生まれの自動車会社が、由緒あるビックスリーに敬意を払わないとは困りましたね”

 “アメリカに進出して自動車を製造してはどうでしょう”

 “しかし、日本の雇用を奪うことになりますしね”

 “組立工場だけでもアメリカで行うべきだと”

 “でもアメリカ人はアメリカ人が組み立た日本自動車じゃなく。日本人の作った自動車に乗りたいのでは?”

 “・・・・・” ぶっすぅ〜〜

 “金融ビックバンはどうでしょう”

 “そんな。いくら抽選で選ばれた議員でも、日本資本を路上賭博に参加せたりしませんよ”

 “金融規制は緩和しません”

 “・・・・・” ぶっすぅ〜〜

 “あなたのような衆議院議員は何人ぐらいいるんでしょうか”

 “わたしは民権派の議員で、半分くらいじゃないですか”

 “国権派は、既得権寄りで金次第で妥協しますが、普通は民権派よりの反米ですし”

 “民権派でさえ国民第一なので、外国に媚びたいと思ってる議員は一人もいませんよ”

 “・・・・・”

 “日本の人種差別はどうでしょう”

 “人種差別とは?”

 “例えば、朝鮮人とか。中国人とか”

 “第一の理由は、日本は移民国家ではありません。移民によって作られた国ではないのです”

 “第二の理由は、国家は国民に忠誠を求めます。そうでなければ国家が成り立ちません”

 “忠誠というのは、例えば、日本に国籍を移したいアメリカ人に祖国から1億ドルを持って来いとかですよ”

 “それが出来なければ5世代。あるいは10世代かけて日本人の同化教育を受けるべきです”

 “国家が国防のため排他的になるのは当然の権利なのですよ”

 “それは軍事力による防衛より重要なのです”

 “日本は、もっと開かれた国にすべきでは”

 “観光はできますよ。労働ビザもあります”

 “それ以外の目的とはなんでしょうか”

 “・・・・・”

 “な、難民とか・・・”

 “同盟だった国の難民を100万人ほど受け入れましたよ”

 “混血も含んで500万人近く増えて。そのうち300万人が統合ドイツに帰国しました”

 “日本と日本人は、彼らと良好な関係を築けてるので、全く排他的な国ではないでしょう”

 “ちなみに、あなたもドイツ系なのでは?”

 “・・・・”

 “朝鮮人と中国人の難民は無視ですか”

 “労働移民であって、難民ではありませんよ”

 “彼らとの関係はまだ残っていて、商品を渡し続けてるはず”

 “商品を紙幣換算すれば、彼らは、アメリカの平均的な労働階級よりお金持ちのはず”

 “その商品取引量の大きさで、南米諸国は中国人の労働移民を受け入れてるわけですか”

 “たぶん、そうなのでしょう” 

 “日本は、なぜ、公務員を抽選で決めるのです”

 “国民性ですよ”

 “普通、町内会等で推薦されて代表になることがあるのですが”

 “新領地は見知らぬ移民ばかりで、そうもいかない”

 “そして、手を上げる人間の素性は、日本人じゃないことが多いのでね”

 “日本じゃ抽選で定数より余計に選んで話し合って決めるか、選挙が普通です”

 “おかげでムラ社会からも脱皮できましたよ”

 

 

 

 和洋州 陸軍基地

 報道関係者が集まっていた。

 軍関係者は、マスコミの取り扱いの低さを嘆いていたが、発表に自信を持っていた。

  50t級90式戦車

   全長9.80m(車体長7.55m)×全幅3.40m×全高2.30m

   速度70km/h(加速性能0-200mまで20秒)  行動距離350km

   48口径125mm滑腔砲  6.5mm機関銃 (主砲同軸)  6.5mm機関銃(砲塔上面)

   馬力700hp + インホイールモーター1基40kw/16基640kw (870馬力)

 

 そこにMiハインドが人型兵器を空輸してくる。

  5t級試作人型戦闘重機カラクリ

   身長6.4m×肩幅2m×胸厚1.5m  自動車変形時 (全長3.4×幅2m×高さ2m)

   速度50km/h  行動範囲 電源ケーブル

 そう、国防陸軍は、宇宙開発と海底開発の予算増額に危機感を感じており、

 新型戦車の発表だけでは、印象が弱いと判断し、

 5t級試作人型戦闘重機カラクリを新型戦車と並べた。

 カラクリが電源ケーブルを引っ張って走る姿は、滑稽であったが、

 人間以上にスムーズな動きで25mm機関砲を撃つ姿は、世界中の主要メディアが取り上げた。

 軍関係者たち

 「驚いてる、驚いてる」

 「電源ケーブルがなくても大丈夫だと知ったらもっと驚くだろうな」

 「少し緩慢な気がする」

 「人工筋肉は人間の30倍なのに。カラクリの質量は5000kgで、人間の83倍だからだろう」

 「じゃ 人工筋肉を強化するか。質量を小さくするかだな」

 「たしかに欲張りすぎたきらいはあるが、人工筋力の比重量にしたら人間の3倍だから・・・」

 「重量もね」

 「発電量が大きいから駆動系で補えないこともないが、限度はある」

 「しかし、カラクリは、90式戦車より有名になるよな・・・」

 カメラの9割が90式戦車でなく、試作人型戦闘重機カラクリに向けられていた。

 「「「「「あはははは・・・」」」」」

 「ところで、予算増額を目的で試作したんだが」

 「現実に目にすると、カラクリは意外に面白い兵器だな」

 「対攻撃ヘリ。対戦車。対歩兵で、どうよ?」

 「頭のレーダー赤外線探知機は優秀で遮蔽に隠れていなかったらよく見える」

 「逆に狙われ易いがな」

 「実は手足にもレーダー赤外線探知機が付いてるから、その気になれば10mの高さはあるよ」

 「そして、10mの位置から火器管制できる兵器はない」

 「首を伸ばす方が安上がりじゃないの」

 「実用性があるなら、怪談ネタになるくらい我慢できるけどさ」

 「手のレーダー赤外線探知機は、測距用で必要」

 「足のレーダー赤外線探知機は、歩行用で必要」

 「だから、手足で観測でもいいってことだ」

 「なるほど」

 「前線では、自動車型で低い位置でも、人型で遮蔽に隠れることができる」

 「意外と使えるってこと?」

 「攻撃ヘリで代替可能だけど、プロペラが邪魔にならない有利さがある」

 「ジャンプは?」

 「一番いいサスペンションを使ってる、脚全体で振動を緩衝できるから10mくらい跳べる」

 「しかし、人体工学的な面での加速Gとか、離着の足場があるから多用しないほうがいい」

 「クッションとか、噴射を使えるのでは?」

 「使ってそれだよ」

 「装甲が少し不安か?」

 「装甲車程度の複合装甲だから12.7mm機関砲なら耐えられる」

 「一人乗り用兵器は贅沢な気がするが」

 「戦闘機と同じ扱いでいいと思うね」

 「小惑星で生産してる荷電粒子エンジンは強力だそうだ。もっと小型化できるらしい」

 「どの程度?」

 「機関は厚みが20cmあれば放射線を相殺させることができる」

 「じゃ 身体プラス20cm・・・」

 「プラス、駆動系統、バランス系、人工筋肉、電子装置。装甲。武器だな」

 「じゃ厚みは40cmくらいで考えていいのか?」

 「だから身長2.4mから2.6m程度まで低くできる」

 「最近、日本人の平均身長は、伸びてるけど?」

 「じゃ 身長2.7mか。最強の歩兵になるな」

 「いや、四肢の位置関係があるから単純に足し算できないだろう」

 「そういやそうか」

 「じゃ カラクリ型と同じで腰から上に座るのか」

 「荷電粒子発電が小さくできるなら、5mくらいには小型化できるかも」

 「軽量になると25mmなんて武器は衝撃が大き過ぎて使いにくくなるのでは?」

 「それに足が短過ぎると、サスペンションと衝撃を再計算しないとだし」

 「何より衝撃吸収で不安だ」

 「まぁ それは困るか」

 「ていうか、足が長いほうがっこいい」

 「「「「あはははは・・・・」」」」

 「問題は対戦車ロケットやロケットランチャには、やられる」

 「ロボット用の対戦車砲って、どうなるの?」

 「攻撃ヘリが運べるものなら持てるよ」

 「費用対効果で計算すると・・・」

 「費用対効果で計算するなら、綾波で対人機銃掃射したら負けになるな」

 「特殊作戦でもなければクビだよ」

 「まぁ そうだがね。戦場心理で、ああいうロボットが敵にいたらどうだろう」

 「さぁ 少なくとも宇宙開発では有用性が認められてるし」

 「ロボットアニメは市民権を得られるし。相乗効果で軍の予算も行けるかも」

 「「「「あはははは」」」」

 カラクリが自動車型に変形すると踵と腰と肘の球体が回り車を自由に機動させた。

 「乗り降りの際はいいけど、微妙にかっこ悪い」

 「「「「あはははは・・・」」」」

 

  

 北大西洋で日米の主力艦が並走する。

 両艦隊の間を綾風とF14トムキャット。Mi24ハインドとSH60シーホークが遊弋する。

 アメリカ大西洋機動部隊(空母2隻、巡洋艦3隻、駆逐艦5隻、輸送艦1隻)は、日本艦隊の牽制のためで、

 日本艦隊(長門、出雲、雪風、秋風、舞風、輸送艦2隻)は、太陽同盟諸国への親善訪問だった。

  100000t級ニミッツ型空母5番艦エイブラハム・リンカーン

   全長333m×全幅76.8×11.3m

   260000馬力  30kt

   RIM7 シースパロー短SAM 2基  RIM116 RAM 2基  ファランクスCIWS 3基

   艦上機90機

   士官・兵員3200名  航空要員2480名

 

  38000t級播磨型航空巡洋艦 長門

    全長320m×全幅80m×吃水7m

    荷電粒子発電2000馬力(1492kw)200基 400000馬力(298400kw)  + 推力70t

    速度60kt  航続距離60年

     対空ミサイル60基  対艦ミサイル60基

     迎撃ミサイル60基  対潜ミサイル60基  

     大型巡航ミサイル60基

     64口径128mm砲×2基  71口径40mmガトリング6連砲×6基

     戦闘機60機  哨戒ヘリ24機

 

 長門 艦橋

 「やれやれ、旧長門に会いに行くだけなのに大した歓迎ぶりだな」

 「洋上を走る大陸間弾道ミサイル搭載艦ですからね。大騒ぎですよ」

 「まぁ お互い、予算獲得がかかってるから必死だな」

 「互いに足を引っ張る勢力が強いですからね」

 「アメリカの反軍勢力は、そんなに強くないだろう」

 「日本の場合、相手は宇宙開発と海底開発で、資源不足と人口問題が直結している」

 「正直、国民も宇宙と海底の開発ばかりを気にしてるようですから」

 「一発、撃ってくれたら・・・」

 「きっと、向こうもそう思ってますよ」

 

 

 エイブラハム・リンカーン 艦橋

 「三胴艦か・・・・」

 「でかいですな」

 「38000tとは思えない」

 「鉄じゃないという話しは本当かもしれないな」

 「しかし、アルミは、橋梁を考えてむつかしいでしょう」

 「装甲を全く考えていないかもしれない」

 「38000t級なのにですか?」

 「38000t級だからだろう」

 「中途半端に装甲張るくらいなら、相殺戦って覚悟ですか」

 「そういう軍艦だよ」

 「しかし、余剰積載能力は高そうですな」

 「三胴艦の特性だろう」

 「アメリカも三胴艦を建造すべきでは?」

 「検討はしてる。しかし、建造費は高くつくし。回頭するたびに壊れかねないからな」

 「だが日本海軍は建造してる」

 「全くムカつく国だよ」

 

 

 

 

 クェート

 戦争の噂はあった。

 しかし、太陽光熱発電の増設は続き、

 工場から生産された自動車が中東諸国へ輸出されていく、

 品質は、日本の中古車より劣るものの、値段さえ安くすれば、需要があり輸出量は伸びていた。

 その光景は、クェートの未来が明るいものだと予感させる。

 「フセインはなんだって?」

 「侵攻は、中止するそうだ」

 「ほっとするね」

 「イラクをクェート侵攻に急き立てたの、アメリカとイギリスだろう」

 「側近の話しでは、たぶんね」

 「日本もアメリカとイギリスに急き立てられて、上海事件をやったようなものだし」

 「手に乗るもんじゃないよ」

 「日本も中東自動車は、まずいんじゃなかったのか?」

 「石油高騰と中東の自動車生産のどっちが嫌か。だよ」

 「まぁ クェート自動車は脅威と言えないし。石油高騰は嫌だな」

 「だけど、イラク、イラン、サウジは軒並み、自動車工場を建設している」

 「将来的には、やばくないか」

 「中国が国産自動車を製造するより百倍まし」

 「だけど、欧米の外資が中国に入って自動車を組み立てる」

 「対日牽制政策だろう。受けて立つよ」

 「しかし、アメリカは、石油安と中東自動車生産が嫌だろうな」

 「まぁ 気持ちはわからんこともないがね」

 イラクをしてクェート侵攻を思いとどませたのは、日本の反対だけではなかった。

 クェート王族は、街中に対戦車ロケットボックスと機銃ボックスを配置し、

 民主的なら国なら国家、軍、州、地区、所有者と段階的に武装化していくのだが、

 クェートでは王族軍が一元管理していた。

 これと同様のものがバクダットにもあって、

 少ない人員で数個師団に大きな損害を与えられることから、

 侵攻はリスクの高い賭けになっていた。

 

 

 

 火星 衛星ダイモス (15km×12km×11km)

 火星開発モデルとして、直径20kmのカーボンナノチューブのベルト網がダイモスを覆う。

 このベルトが回転することで人工重力1Gが得られた。

 “こうして、ダイモスを見上げてると。なんか、地球空洞説を思い出した”

 “ふっ 空気が入ったら、そんな気分になるだろうけど。地球の自転速度じゃ 天上に1Gは無理だね”

 “このベルトの厚みを大きくして蓋をして空気を入れていけば1Gの居住空間の出来上がりか”

 “だけどデブリとかに破壊された時が怖い”

 “だから隔壁の外は、氷とカーボンナノチューブを何層も挟んで防御壁にするんだろう”

 “水が圧倒的に足りないがね”

 “ケレスを押さえたら時間の問題になるよ”

 “常人の被爆限度を考えると。むしろ、ケレス移民がいいかも”

 “そのうち、中空のカーボンチューブ網と氷の球体が太陽の周りを回るようになるかもな”

 “あはははは”

 “それより、日本の人口が4億人に迫ろうとしてる”

 “宇宙移民の足掛かりがないなら成長率を落とすしかないし。予算減らすぞって、動きがあるね”

 “それは困るな”

 “2000年までには、移民を出せるんだろう”

 “人口密度は10人/kuで考えたいんだけどな”

 “どちらにしても打ち上げで、宇宙移民は難しいよ”

 “軌道エレベーターを建設しないと”

 “そろそろ取り掛かろうかって話しだけど”

 “生産と必要物資を考えると。そうしてもらいたいね”

 “取り敢えず、生活必需品を自給自足で生産できるようになったのはいいけど”

 “日本が欲しがってるの荷電粒子発電だけどな”

 “生活優先だよ”

 

 

 

 アメリカ 白い家

 男たちは焦燥感に駆られていた。

 「まずい、まずい、まずい、まずい、まずい・・・」

 「イラクは侵攻をやめたぞ」

 「フセインのやろう怖気付きやがったな・・・」

 「というより、日本が邪魔した」

 「ムカつく!」

 「石油メジャーの癖に。石油高騰が嫌いな国だからな」

 「中東油田に頼ってるなら石油高騰は嫌だろうよ」

 「貿易黒字に、財政黒字に、アメリカ国民も赤字家計・・・」

 「金持ちは我々だけだが、こうなると我々が国民に狙われる」

 「国民の憎しみを外国に向けさせないと・・・」

 「こうなったら、南米の国を攻めよう」

 「どこ?」

 「ベネズエラとか。メキシコとか・・・」

 「日本とドイツの軍艦が常駐してるだろう。下手に手を出したら核ミサイルが飛んでくるぞ」

 「日本が荷電粒子砲を開発してるというのは本当なのか?」

 「荷電粒子砲は、電子、陽子、重イオンを粒子加速器を利用して発射します」

 「発電量は最低でも1000万kwが必要なのですが」

 「日本の総発電量は、6兆6000億kwほど、輸出を含めるとほとんど使われてる状態です」

 「国内の春と秋の余剰電力は、1兆5000億kw」

 「発電量で逆算するだけなら計算上、15万基の荷電粒子砲を設置できるはずです」

 「日本は、それを配備してるのか?」

 「15万基はないでしょうが。大都市周辺に配備していてもおかしくはないかと」

 「「「「・・・・・」」」」

 「日本は核戦争でも戦えるということか」

 「わかりませんが、地下施設は、年々拡大してるようです」

 「「「「・・・・・」」」」

 「そうだ。カナダ、メキシコと条約を結ぼう」

 「条約?」

 「アメリとカナダとメキシコで、北米自由貿易協定だ」

 「カナダとメキシコの関税を破壊して狩場にするんだよ」

 「カナダとメキシコから日本製品を排斥し。その利益で雇用を作って誤魔化そう」

 「なるほど」

 「ところで、バイオ研究は?」

 「まだ上手くいってない」

 「日本にバイオ兵器を運び込み、バイオハザードを起こすべきだ」

 「日本が危険なバイオ研究をしており」

 「その結果として、特殊能力を持ってしまった軍団が神火風を引き起こした」

 「そういう、辻褄を合わせて、日本に打撃を与え、日本の国際的な信用を引きずり下ろすべきだ」

 「しかし、ゾンビに成功したとしてもアメリカもやられては、なんにもならないのでは?」

 「アメリカにゾンビが来る前に核ミサイルで焼却処分しよう」

 「日本が撃ち返してくるのでは?」

 「日本人は変に生真面目だから、バイオハザード殲滅なら甘んじて、殺されるんじゃないのか」

 「可能性はありますが正常な人間が生き残ってる限り撃ち返すかと」

 「まあ、別に日本じゃなくてもほかの国でもいいけどな」

 「いま、どの程度?」

 「ICで神経を動かしてますがね」

 「死後、体が痙攣する程度ですが、とても人を襲うような力はないですね」

 「そうか・・・」

 

 

 

 大和・扶桑と日本州、輝夜州、和洋州を結ぶ地下空調配管網が建設されていた。

 完成すれば、日本州、輝夜州、和洋州は、夏場でも零度近い空気が供給され、

 逆に日満州、扶桑州、大和州は、30度近い暖気が流れる。

 そのために必要なものは、トンネルと十数台のプロペラファンを回す電力だけだった。

 冷暖房で消費する消費燃料を割り引けるなら、膨大な燃料を浮かすこといができ、

 それは、日本の国力に繋がった。

 また、日本とソビエト連邦で空調条約が締結される可能性も高まっていた。

 関係者たち

 「やれやれ、えらい圧力だったわ」

 「電力会社と電気会社も反発してたからね」

 「しかし、和洋州は冷気でも気圧を上げないと大気汚染にやられるからね」

 「中国人は、逆に大気汚染が戻って大変かも」

 「ふっ」

 

 

 

 繁華街

 反日ギルド朝鮮チーム コード名 ムン キン リン は、味方のように振る舞いながら有力者に近づく、

 「これはこれは、編集長。今日もいらっしゃいましたニダ」

 「おお、君らも好きだな」

 「ノーパン喫茶は、大好きニダ」

 「ははははは」

 「最近は、どうニダ」

 「他誌との競争が激しくてね。困ってるよ」

 「それは、いけないニダ。ストレスになるニダ。癌の元ニダ」

 「そうか」

 「ストレスは癌の元ニダ。癌は、とっても怖いニダ」

 「そうか。怖いな」

 「編集長の情報源になるニダ」

 「お、本当か」

 「部落の悪いこととか、教えるニダ」

 「部落といっても、日本人と変わらないからな。話したことあるけど」

 「そ、そんなことないニダ。極悪ニダ」

 「そうかな・・・」

 「他にも中国軍閥の中枢に仲間が忍び込んでるニダ。情報を取れるニダ」

 「凄いな」

 「アメリカ資本ニダ」

 「あはははは」

 「応援するニダ。利権の味方をすれば天下りできるニダ」

 「そ、そうか」

 「某長銀行は、担当者にお金を渡すだけで、10倍の金を借りることができるニダ」

 「お〜」

 「出世したいなら使うニダ」 ひそひそ

 「リベートと地位があれば、もっとたくさん協力するニダ」

 「「「「あはははははは」」」」

 「「「ウェーハハハハ!!!」」」

  

 

 

 反日ギルド朝鮮チーム コード名 ムン キン リン は、編集長との接触に成功し、

 マスメディアにダメージ4を与え、レベル31になった。

 反日ギルドから 冷麺セット が送られてきた。

 「日本のマスメディアに打撃を与えたニダ」

 「日本人同士で憎みあわせるて、犯罪大国にするニダ」

 「そしたら、漁夫の利ニダ」

 「人間不信を煽れば、もっと不正腐敗が増えるニダ」

 「日本人同士が憎み合うニダ」

 「日本人同士殺し合うニダ〜♪」

 「「「ウェーハハハハ!!! ウェーハハハハ!!! ウェーハハハハ!!!」」」

 「「「ウェーハハハハ!!! ウェーハハハハ!!! ウェーハハハハ!!!」」」

 「「「ウェーハハハハ!!! ウェーハハハハ!!! ウェーハハハハ!!!」」」

 反日ギルドから次のクエストが送られてくる。

  1、日本食品に毒を入れる。    2、日本の銀行を襲撃する。

  3、日本人から金を騙し取る。   4、日本人を自殺させる。

  5、日本女性を強姦する。     6、日本人を拉致誘拐する。

  7、日本の文化財を盗む、放火する。

 「「「・・・・・・・」」」

 

 

 

  

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 月夜裏 野々香です。

 税金で社会資本が吸い上げられて消費が減ると生産が減って雇用が失われる。

 社会資本が潤沢で消費が増えると生産が増えて雇用を創出する。

 特に新しい紙幣が創出されないと、利権ばかりがおいしい思いする。

 国家運営で必要な税金なら仕方がないが、

 寄生虫みたいな連中に回っていくとムカつく、

 普通の日本人がそう思うのは、政府がアメリカと韓国に貢いでるから、

 まぁ 韓国に貢いだ金は、ほとんどアメリカに行っちゃうのでしょうが (笑

 アメリカと韓国にビビってケツまくって政権を放り出した自民党にムカつきますし

 リベートで私腹を肥やす議員は、もっと怒り心頭なわけで (笑

 そうそう、アメリカは破産寸前という人もいるのですが、金はあるところにあるわけで。

 金が使えないのは、独裁資本主義で反民主主義的なことをし過ぎて下克上が怖くてお金が使えない。

 日本も同じ、

 まさに恐慌なわけですよ。

 

 

 

 総人口3億6334万人。

  日本・輝夜 (72万ku) 日本・半島  内地人口1億7477万。

 

  海外州人口1億8893万人

   和洋州 (25万ku) 京杭大運河東部域  7072万

   日満州 (100万ku) 外満州  7072万

   扶桑(カムチャッカ・チュクチ)州 (121万ku) 1815万

   大和(アラスカ)州 (171万7854ku) 2349万

   南洋 (ハワイ、ビスマルク、ソロモン諸島) (10万6461ku) 463万

    フィリピン バターン・コレヒドール島 日本自治 “桃太郎” 区 (1000ku)

    マレーシア ブルネイ 日本自治 “金太郎” 区 (1000ku)

    インドシナ ダナン 日本自治 “舌切雀” 区 (1000ku)

    インドネシア パレンバン 日本自治 “浦島太郎” 区 (1000ku)

    ビルマ ヤンゴン 日本自治 “因幡の白兎” 区 (1000ku)

    シンガポール 日本人自治 “鶴の恩返し” 区 (1000ku)

 

 4200t級宇宙船

  “あけぼの” “はつはる” “あさかぜ” “あかつき”

  “あさつゆ” “ゆきどけ” “はるかぜ” “わかば” 

 

 

 

 日本海軍

 第01機動部隊

  38000t級航空巡洋艦 播磨 長門

  36000t級伊勢型航空巡洋艦 伊勢

  12000t級鞍馬型ヘリ巡洋艦 出雲 吾妻 伊吹

  6000t級綾波型巡洋艦

       綾波 敷波 荒波 浦波 淡雪 灰雪

       雪風 秋風 舞風 雷風 吹雪

  38000t級強襲揚陸艦 相模

 

 

 第02機動部隊

  38000t級航空巡洋艦 薩摩 駿河

  36000t級伊勢型航空巡洋艦 扶桑

  12000t級鞍馬型ヘリ巡洋艦 鞍馬 浅間 八雲

  6000t級綾波型巡洋艦

      藤波 高波 磯波 白波 水雪 玉雪

      峯風 朝風 灘風 旗風 白雪

  38000t級強襲揚陸艦 津軽

 

 

 

  38000t級播磨型航空巡洋艦4隻

          “播磨” “薩摩” “長門” “駿河”

  12000t級鞍馬型ヘリ巡洋艦12隻

          “鞍馬” “出雲” “吾妻” “浅間”

          “八雲” “伊吹” “生駒” “春日”

          “愛宕” “羽黒” “青葉” “白馬”

  6000t級綾波型巡洋艦 40隻

          “綾波” “敷波” “荒波” “浦波” “藤波” “高波” “磯波” “白波”

          “雪風” “峯風” “秋風” “朝風” “灘風” “舞風” “雷風” “旗風”  

          “吹雪” “白雪” “淡雪” “水雪” “灰雪” “玉雪” “春雪” “初雪”

          “秋月” “冬月” “夏月” “春月” “葉月” “涼月” “照月” “若月”

          “夕雲” “朝雲” “天雲” “峯雲” “巻雲” “山雲” “秋雲” “白雲”

 

 白龍型潜水艦 50隻

   排水量 水上3000t/海中4300t

   全長90m×全幅9m×吃水8.5m

   荷電粒子発電1000馬力〜1500馬力 20基

   水上/海中20000馬力〜30000馬力 30kt〜36kt  航続距離60年

   533mm8管 40本

   乗員65人

  “白龍” “雷龍” “慶龍” “神龍” “剛龍”  “海龍” “陣龍” “蒼龍” “銀龍” “鋼龍”

  “雲龍” “妖龍” “弓龍” “迅龍” “凰龍”  “黒龍” “鎧龍” “零龍” “呑龍” “戦龍”

  “朝潮” “夕潮” “巻潮” “波潮” “赤潮”  “黒潮” “冬潮” “早潮” “夏潮” “磯潮”

  “長波” “巻波” “高波” “藤波” “清波”  “涼波” “早波” “浜波” “朝波” “高波”

  “幽鬼” “鋼鬼” “慶鬼” “蒼鬼” “海鬼”  “凰鬼” “弓鬼” “陣鬼” “彗鬼” “黒鬼”

 

 

 ジェットエンジン

 直径40cm級流星エンジン  直径60cm級彗星エンジン

 直径80cm級蒼星エンジン  直径100cm級紅星エンジン  直径120cm級天星エンジン

 

 “原爆を落とされた人々の世界平和を望む会” 

 広島  賀茂忠行  天光正教  ウリエル  死神ウラン

 長崎  安倍晴明  聖炎主教  サリエル  死神プルト

 

 宇宙開発

   常磐 アムン (Asteroid 3554 Amun) M型 直径2.48km 公転周期350.96日 発見1986年

   浅間 クルースン(Asteroid 3753 Cruithne) Q型 直径5km  公転周期363.99日 発見1986年

   エロス (433 Eros) 34.4km×11.2km×11.2 km S型  公転周期642.4日 発見1898年

   ガニュメート (1036 Ganymed) 31.66km S型  公転周期1587.75日 発見1924年

   八雲 (6178) 1986 DA  M型 直径2.3km 公転周期1719.466日 発見1986年

 

 

 

 

  

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第45話 1989年 『宇宙に出ようぜ』

第46話 1990年 『利権資本主義 VS 民主資本主義』
第47話 1991年 『USS宇宙戦艦テキサス就航』