月夜裏 野々香 小説の部屋

    

天ぼた系 火葬戦記 『神火風』

 

 第50話 1994年 『開発、人工空洞小惑星ケレス』

 

 外洋で草木も生えていない小さな島に出くわすことがあるだろう。

 古代においてはなおさらだが、現代においても喪失感を感じる。

 宇宙開発は、そういった喪失感との戦いであり、

 真空無窮の宇宙にあっては、その草木も生えていない不毛の岩塊でさえ、命綱になる。

 

 漆闇の宇宙に浮かぶ小惑星ケレス (直径952.4km) は、火星と木星の中間を4.6年かけて公転する大型小惑星だった。

 すでに無人探査機によって調査が行われ、内部構造はおよそ知れていた。

 ケレスで集められた情報は、宇宙ステーション “ツクヨミ” に集まり、

 解析されたあと地球に送られ、開発が検討されていく、

 数十体の人型戦闘重機カラクリがカーボンナノチューブの網でケレスの地表を覆い。

 地殻の氷を溶かして外を固め、更にカーボンナノチューブ網で固め、

 その外側をケレス表面で溶かした氷の層で固め、

 その外側をカーボンナノチューブ網で覆っていく、

 これを繰り返すと直径1000kmの空洞小惑星となる。

 外郭は透明に近い厚さ60kmのカーボンナノチューブ網と、氷の多重層構造となり、

 小惑星内部に太陽光と熱を引き込むことが来た。

 そして、赤道域の外郭が1Gになるよう自転させる。

 1G外郭の内側から見上げるとを、100kmの大気の向こうに岩塊質のケレスの地表と海を見ることができた。

 シミュレーションで、1Gで回転する外郭と、ケレスの地表との空間で起こる大気の動きを計算していた。

 この気圧、大気速度、温度、湿気などの計算が狂うと気圧が大き過ぎたり、

 常時起こる台風で人が住めない空洞小惑星になってしまう。

 司令室

 「小惑星ケレスか。大きいように見えて、関東から九州程度の距離の直径しかないか」

 「しかし、完成すれば最大級の宇宙植民地の一つになるよ」

 「カリストに追い抜かれるかも」

 「この直径952kmのケレスをカーボンナノチューブで覆うなんて大事業なのだから」

 「赤道直径4820kmの馬鹿でかいカリストは、1世紀くらい必要になると思うね」

 「大気圧が大きいと嵐が増えそうだな」

 「ぶっちゃけ、地球と同じ程度の大気層が管理しやすい」

 「そうなると、空洞域のほとんどか真空になるよ」

 「行き来できないわけじゃないし。真空地帯がある方が工場で有利だ」

 「空洞の間に支柱を伸ばす?」

 「んん・・・ その方がケレス開発はしやすいけど、そうなると同じ速度でケレスを自転させないといけない」

 「小惑星がバラバラになるとまずい」

 「まぁ 南極と北極域から出入りできればいいし、後回しでいいか」

 「でもケレスの氷が溶け出したら普通に空洞の中全体が大気になるかも・・・」

 「「「「・・・・」」」」

 

 

 

 イランから購入したF14トムキャット6機を幾つかの企業体が補修していた。

 当初、軍がアグレッサー部隊として使用し、

 企業体もアメリカの技術を盗もうとして補修していたが、技術を習得してしまうと、改良が始まる。

 国防省は、規格外のF14トムキャットを企業任せにすることが多く、

 戦闘機好きな連中は、大型戦闘機に試作したモノを詰め込み、小まめに改良を続け

 余った試作補修部品で7機目と8機目を組み立ててしまう。

 この出鱈目な工業力は、アメリカでも話題になり、

 外国のテレビ局が確認しに来ていた。

 「あれが、試作補修部品で組み立てたF14戦闘機ですか?」

 「ええ、試行錯誤で補修部品を作るのですが、少しでも改良しようと・・・ 若干形が違って見えるでしょう」

 「す、垂直尾翼が少し傾いてますね」

 「ステルス効果があるとかで試しに傾斜させたみたいですよ」

 「最新の電子兵装に更新されてるのは本当ですか?」

 「正規装備は、軍が煩いのですが、不正規装備は比較的自由にさせてくれるので、新装備を組み込むことが多いですよ」

 「大型戦闘機なので詰め込みやすくて便利です」

 「と、飛ぶのですか?」

 「ええ、これから・・・」

 試作補修部品で組み立てたという、やや違って見えるF14トムキャット2機が滑走路に侵入し、

 爆音を響かせて、滑走し、急角度で上昇していく、

 「「「「・・・・・」」」」

 「補修部品で組み立てたということは、まだ組み立てることができるということでしょうか」

 「組み立てれば、あと、2機分くらい作れるかもしれませんね」

 「「「「・・・・・」」」」

 「よ、予算は一体・・・」

 「補修予算枠は決まってて、でもまぁ 好きなんで楽しいですし、就業時間外でも作りますよ」

 「「「「・・・・・」」」」

 

 

 戦後、日本連邦の中心は、もっとも日本人の多い日本・輝夜 (72万ku)だった。

 しかし、国民基礎所得を行うと徐々に日満州、和洋州、扶桑州、大和州の地域色が強くなり、

 国防の中心は、大和(アラスカ)州 (171万7854ku)へ移行し、

 経済の中心は、和洋州 (25万ku)へと移行していく、

 しかし、日本の総人口が増え、抱え込んでいた漢民族がいなくなると安全性が増して移動が増え、

 日満州(100ku)は黒龍江の北方まで城塞都市が建設され、

 ソビエト連邦崩壊で極東ソビエト軍の脅威が減ると、日本国の重心が揺れ動き、

 日本・輝夜(72万ku)と、和洋州(25万ku)を繋ぐ日満州(100ku)が主導権を持ち始めた。

 ハルピンに巨大摩天楼が建ち並んでいた。

 その中の一棟。特高情報創作課フロア。

 「最近、フェイクの仕掛けがバレ始めてる」

 「死神教は?」

 「それを疑われてる。昔からだけどね」

 「もっともアメリカの民権派の代表みたいになってるし、政治経済的な理由で滅ぼせないらしい」

 「じゃ これはどうかな・・・」

 男たちは、ヴォイニッチ手稿、レヒニッツ写本、ロガエスの書のレプリカを見比べていた。

 「神火風を異世界のせいにするのは悪くないけどね」

 「ある程度、解読できないと、文書は作れないよ」

 「文書を作れたら、神火風を起こした力が異世界にあるということにすればいい」

 「ヴォイニッチ界? でも欧米の富裕層がジョークで創作したのかもしれませんよ」

 「出所不明なら偽造して、あとは知らんふりだ」

 「あはははは」

 

 

 

 104000t級ニミッツ型原子力空母6番艦ジョージ・ワシントン

 飛行甲板は、F14トムキャットとF18ホーネットが混在している。

 ソビエト連邦の解体後、F14戦闘機の存在価値は半減し、維持しようという意欲すら失われつつあった。

 むろん、仮想敵国の日本は存在するが、共産主義国でないことから反共運動のように盛り上がらない。

 何より、F14Aの手の内が日本に知られている以上、これを使い続けることに抵抗があった。

 SH60シーホーク6機編隊が現れ飛行甲板に着艦した。

 艦橋

 「対潜ヘリが多いですな」

 「クラーケン探しで臨時配備だそうだ」

 「あれはジョークと思ってましたが」

 「わたしもそう思っていたがね。クライアントが気にしてるらしい」

 「またですか」

 「日本の領海ギリギリまで近づいて探査する」

 「日本は、どういう国なんでしょうね」

 「行ったことがあるよ。活気があって、国民は良心があって綺麗な国だった」

 「宇宙開発が注目されてるが。毎年のように城塞都市を建設してる国だ」

 「それと・・・」

 「アメリカは、富裕層の1パーセントが紙幣の90パーセントを保有してる」

 「日本は、富裕層の1パーセントが紙幣の20パーセントを保有している」

 「お金持ちが弱いですな」

 「というより、中間層が大きくて強い」

 「その気になって需要を掴めば、誰でもお金持ちになれる」

 「日本の富裕層は、ライバル企業や新商品の出現を恐れ、物価を上げようとするが、それもままらないらしい」

 「羨ましい国ですな」

 「自作自演のアメリカンドリームとは違うな」

 「アメリカの建国の理念は歪められ、破壊されたよ」

 「自由は金で買う国。平等も金で買う国。権利も金で買う国になった」

 「そして、金がない者は、乞食か、奴隷だ」

 「本当は、連中に向けてボタンを押したいくらいなんですがね」

 「だから連中は、軍の昇級と昇給を鼻先にぶら下げ、敵を用意して銃口を外に向けさせようとしてるのさ」

 「どこをやると?」

 「ユーゴらしい」

 「太陽同盟じゃないですか」

 「それでも行くんじゃないかな」

 「大丈夫ですか? 太陽規格の兵器・武器弾薬を使ってるはず」

 「まぁ ベネズエラ戦並みに梃子摺るが、勝てる戦力だな」

 「やれやれ、なぜ、こんなアメリカになったことやら」

 「アメリカの資本家が権力と金を握ってしまった。そして、権力と金でしか人を支配できなくなってるからさ」

 「だから仲間以外は敵だし、敵に金が渡ることを極度に嫌う」

 「そして、カーストを維持し、仲間以外から金と利権を奪おうと、国家権力と暴力を使い、法律を変えて画策する」

 「上位数社と、CIA、FBI、軍隊の組織内組織は、独自に核兵器を持つし、国家内国家の規模だ」

 「彼らの手下は、アメリカの有名大学を出ると、金融業界に行って詐欺師になる」

 「そして、金融伝道師を世界各国へ送り出して、その国を金融支配に置こうとするようになる」

 「だからアメリカは金融を除くと、軍需産業が高度だが、ほかは駄目だ」

 「しかし、日本とドイツは、産業が主で、金融が従だ」

 「アメリカ大学出の拝金伝道師が国民を迷わせているし」

 「拝金伝道師が権力に就こうとすると、いつの間にか消えてる」

 「日本とドイツは、好きな産業で成功すればよし」

 「失敗しても国民基礎所得が入ってくるから立ち直りが早い」

 「今では、ベネズエラとチリの工業の方が、アメリカの工業より有望とも聞く」

 「アメリカ産業は、駄目駄目感が漂いますね」

 「残念なことに、アメリカを救う勢力が死神教しか残されてないことも悲しいがね」

 「死神教は協力してくれると?」

 「内政干渉したくないが、反対しない、らしい」

 「しかし、本音は、今の日米工業格差が好みのようだ」

 「道理で、死神教系の動きが消極的だと思いましたよ」

 「信徒会員は、反資本主義で積極的だがな」

 

 

 

 火星 衛星ダイモス (15km×12km×11km)

 宇宙ステーション “アマテラス”

 太陽光熱を集めて岩盤を溶かし、掘削していく、

 トンネルが掘り進めば、そこが安全な居住区画になった。

 関係者たち

 「ようやく、貫通か。太陽が遠いとこんなものか」

 「今のところ、振動はないようです」

 「自転が小さいからだ」

 「より完全な回転楕円体に近づけないで、1G回転させるとバラバラに崩れる」

 「凝固剤とカーボナノチューブの追加が欲しいところです」

 「まぁ どこの開発天体もそうだが工業品は、日本しだいだからな」

 「そのうち、宇宙で作る工業品の方が強くなるでしょう」

 「真空、熱、冷がただですからね」

 

 

 アメリカ合衆国

 白い家

 「なんとか、宇宙開発を進めなければアメリカは、日本の下請けになってしまうぞ」

 「宇宙産業に、もっと、お金をかけるべきだ」

 「そんなことをすれば、莫大な金を国民に渡すことになる」

 「金が死神教系に渡ったら我々は破滅だ」

 「それより、日本の宇宙開発をやめさせるよう。別口に金を使うようにさせられんのか」

 「んん・・・」

 「日中戦争とか」

 「んん・・・」

 「日露戦争でもいいぞ」

 「日本が引っかからないのでは無理だ」

 「あれは、地球温暖化排出権取引」

 「日本は地球温暖化は詐欺だから、批准しないって」

 「よし、在日を取引に使えば資源を15パーセント引きにしよう」

 「そうすれば欲に目が眩んだ資本家が在日をたくさん、日本に引き入れるはず」

 「あとは利益誘導で、日本人と在日の力関係をひっくり返せばいい」

 「利益減が痛いですな」

 「地位とポストを得たあと値上げすんだよ」

 「「「「「あはははは」」」」」

 「しかし、日本人は、朝鮮籍と漢籍を警戒している」

 「それに朝鮮人も死神に殺されると、日本行きを尻込みする者が多い」

 「「「「「・・・・・・」」」」」 ため息

 「それより、邪魔な人間をなんとかしないと」

 「人口問題をクローズアップしよう」

 「薬剤とか食品とかに寿命を減らす添加物を混ぜる」

 「有力者を人口削減計画に賛成させて邪魔になりそうな人間を殺そう」

 「有力者が、自分を殺すかもしれない計画にサインするかね」

 「自分たちが入っていないと思い込ませれば大丈夫だ」

 「気づいたときは、毒を仕込まれて死ぬか。我々から解毒薬を買って生き長らえる羽目になる」

 「「「「あはははははは」」」」

 

 

 

 ウエストウイングの一室

 秘書がタイプを叩いていた。

 “1945年、日本は、B29爆撃部隊の焼夷弾により、産業基盤を破壊され、焼け野原にされていた”

 “誰もが敗戦を考えていた直後、神火風が起こり”

 “米ソ両軍は将兵150万人ずつ失う災厄に襲われて敗退し、日本は救われた”

 “日本は講和条約で国土を増長させつつ”

 “同盟ドイツのリューベック市を自由都市として、米ソ陣営から切り離した”

 “戦後日本は、日本は基幹産業を中心に戦後再建を果たしつつ”

 “神火風を巧妙に利用した死神教を布教し、アメとムチとして用いた外交を繰り返し”

 “こちらが神火風の真相、あるいは確信に迫ろうとすると、フェイクやブラフで妨害した”

 “日本は、こちらが神火風の真相にたどり着けない間は手を出せないことを知っており”

 “軍事力を手抜きしつつ”

 “権力基盤や序列崩壊を顧みず、公共投資を繰り返しつつ、国力を増強させ”

 “日本は、こちらがアポロ計画を中止した年を見計らい、宇宙開発を開始した”

 “あけぼの型宇宙船を組み立てると”

 “1984年 第1宇宙ステーション “タカマガハラ” を小惑星エロスへ送り”

 “1986年 第2宇宙ステーション “アマテラス” 火星の衛星ダイモスへ送り”

 “1994年 第3宇宙ステーション “ツクヨミ” を小惑星ケレスへ送りました”

 “現在、日本は、宇宙開発の先頭に立っており”

 “第4宇宙宇宙ステーション “スサノオ” を金星に送る準備をしており”

 “第5宇宙ステーション “カグツチ” を木星の衛星カリストへ送る準備をしており”

 “第6宇宙ステーション “ミカヅチ” を小惑星パラス、あるいは、小惑星ベスタに向かわせる模様・・・”

 コーヒーの香りに気づいて顔をあげる。

 「ありがとうございます、補佐官」

 「いやいや、報告書を読むお偉いさんたちの表情が思い浮かべられて楽しいよ」

 「上層部は、どうなってるんです」

 「原爆実験で国民を癌で殺してるし」

 「人工地震と気象操作の実験で国民を殺してるし」

 「社会資本を引き上げて、貧困層を増やしてるし」

 「今度は、詐欺まがいの土地売買を仕掛けて、国民から金と家と土地を取り上げようとしている」

 「もう、アメリカ国民が利権の敵になってきてるし」

 「自分たちがアメリカ国民を殺すか。アメリカ国民に殺されるかの瀬戸際じゃないかな」

 「まぁ 国民の目を誤魔化すために戦争したがってるが、肝心の獲物も少ないときてる」

 「このままだと、日本最強が目立ちますね」

 「日本の弱点は?」

 「そうですね・・・」

 「貴族院は、天皇を中心とした既得権が制していますが、華族100議席、勅選議員100議席、多額納税議員100議席」

 「対して衆議院は、選挙議員1人/有権者10万人。抽選議員1人/有権者50万人の人口比で議席の定数はありません」

 「今後、衆議院の数が増えますし、格差を広げることができれば、政治を荒れさせることができそうです」

 「あと、選挙は、落選しても一定数を超えますと、何かの役職がついたりするようです」

 「選挙応援とかこつけて、譲歩引き出すのがいいかもしれません」

 「我が国でもそうだが、マスメディア頼りの選挙戦は、金権政治に移行しやすく、民主主義とは言えなくなる」

 「アメリカは、その危険の分水量を遠の昔に超えてましてよ」

 「あはははは、たしかにそうだ。民主主義が困難な議員と人口の比率ではあるな」

 「日本型民主主義は、人口比で議員を増やしていきますので」

 「議員一人の力を低下させ、党派閥政治すら困難な数になりつつあります」

 「政治権力を決めるのは衆議院が強いのか」

 「現地を見て回ったけど、空気が強いみたいね」

 「空気じゃわからん」

 「じゃ 広長閥ね」

 「最近は宇宙開発局系の議員が強いけど、宇宙開発局そのものが広長閥と言われている」

 「だが広長閥と宇宙開発省は直接的な関連は小さい」

 「でも宇宙に出てる日本人は、出自不明ですわ」

 「妙な話しだ。幕末以前の古朝鮮人の末裔だろうか」

 「むしろ、源日本人の末裔という気もします」

 「政治力学的に権力掌握術と、維持方法がわからんな」

 「金じゃないことは確かね」

 「だから国民に金を渡しても気にならない。まぁ マジョリティ政治だから、とも言い切れない」

 「本当に死神がいるんじゃないだろうな」

 「強制力の強さから、そういう風に言う人たちはいるわね」

 「まぁ いいか、終わったら20部ずつ頼むよ」

 「わかったわ」

 

  

 

 日本国防省

 国防予算にはGDPの3パーセントが使われていた。

 国防と宇宙開発で求められる人としての資質の違いからか、

 国防軍の宇宙軍編成は見送られていた。

 しかし、アメリカが宇宙戦艦テキサスを配備し、

 日本が空中中継機を開発して飛ばすようになると、民間宇宙旅行が頻繁になり、

 日本国民を守るという観点からも状況が変わる。

 そして、宇宙艦隊なら一方的に地表を攻撃できることから、費用対効果があった。

 

 関係者たち

 「当面は、あけぼの型宇宙船を戦闘艦として運用すべきじゃないか」

 「特高が持ってる値段の高い、円盤型を配備したい」

 「あれは、いろいろまずいだろう」

 「あれもこれも日本の仕業ってわかっちゃうし」

 「しかしなぁ 円盤の外周を回転させると人工重力が得られやすくて便利」

 「本当は、ユニットの連結構造じゃなく、外郭一体構造で建造したい」

 「デブリに衝突した時の生存率が問題にならないか」

 「内部隔壁は最小限でいいじゃないか」

 「問題は兵装だよね」

 「核ミサイル。レールガン。レーザーの3種だな」

 「荷電粒子発電を使えばアメリカのテキサスより強力だ」

 「問題は、荷電粒子発電を幾つ装備できるか、だろう」

 

 

 宇宙開発で最も重要なのは、宇宙船だった。

 もし、万が一の場合を考えるなら脱出艇は常に用意されていなければならず、

 避難所になる最寄りの宇宙ステーション、小惑星、衛星も必要になった。

 居住人口の10分の1で運営されているのは、開発途上で安全が確認されていないからだった。

 とはいえ、宇宙空間を移動するのは、無人の宇宙コンテナ船で、

 有人宇宙船は、16隻体制になっても、開発を除くと移動は少なかった。

  4200t級宇宙船

   “あけぼの” “はつはる” “あさかぜ” “あかつき”

   “あさつゆ” “ゆきどけ” “はるかぜ” “わかば” 

   “やまかぜ” “しらゆき” “はつゆき” “しらくも”

   “しらつゆ” “むらさめ” “はるさめ” “さみだれ”

 

 

 最強の重宇宙ステーション “スサノオ”

 金星軌道の太陽風は、地球の1.9倍で金星大気の外周付近の太陽定数は2610W/uに相当し、

 太陽フレアの直撃を受けると大打撃を受けることがあった。

 スサノオの太陽風を遮ぎる荷電粒子と磁場を放出する荷電粒子発電は、他のステーションの5倍。

 放射線を遮る氷の厚みは3倍になった。

 日本人たち

 「これだけ氷の厚みがあると、まるで溶鉱炉に入っていくような気分だな」

 「無人とは言え、金星軌道ですからね。念には念を入れないと」

 「問題は、荷電粒子発電が60年で電力が半減してしまうことだ」

 「その前に、金星を冷やせるだけの二酸化炭素を軌道に持ち上げ、ドライアイスの遮蔽壁を作れればいいのでは?」

 「むしろ、放射熱を遮断できるか不安だよ」

 「ドライアイスは、特殊な溶剤と合わせて凍らせますし」

 「断熱材で覆います、簡単には溶けませんし、計算上、大丈夫なはずですよ」

 「スサノオが金星軌道で無事に活動できれば、一気に予算が増えるかもな」

 「金星のテラフォーミングが可能なら、日本の宇宙開発省に投資したほうが確実で得だと誰でも思うよ」

 「フローティングシティの実験は?」

 「実験用風船を500個浮かばせている」

 金星の高度50kmほどの上層大気は、気圧と温度が地球並(1barで0〜50℃)だった。

 太陽風の悪影響も軽減され、太陽エネルギーも地球より豊富だった。

 「気流がわかれば移民しやすいが、フローティングシティを利用した断熱も研究している」

 「どちらにしても金星軌道は重要だし、恒久型ステーションが必要になるよ」

 

 

 

 日本の国民基金は無利子の国民基礎所得口座に振込まれる。

 遺伝子を利用した口座番号は、詐称不可能な個人認証で民間の銀行でも流用され、

 複数名義の同一口座が可能になり、起業を促した。

 特にポイントチケット制市場発祥の起業は多く、

 企業の青田買いもポイントチケット制市場に集中していた。

 「おうおう、おうおう、やめるニダ」

 「なんなんですか、あんたたちは」

 「こんなもん、ポイントチケット市場に出していいと思ってるニカ」

 「へっ?」

 「邪魔ニダ。すぐやめるニダ」

 「し、しかし、ここは・・・」

 「こんなのクズニダ! ゴミニダ!! 最悪ニダ!!!」

 「で、でも、ここは、ポイントチケット制市場で、誰でも・・・」

 「とにかく、やめるニダ。こんなしょうもないもの売ってはいけないニダ」

 「で、でも、売れてますよ」

 「だから駄目ニダ! 許さないニダ!!」

 「「「「・・・・・・・」」」」 じーーーーーーー

 「と、とにかく、ダメなものは、ダメニダ。すぐやめるニダ!」

 「とっても偉い人が、そう言ってるニダ。こんなもの駄目ニダ」

 「偉い人って誰?」

 一流企業は、技術力に任せて宇宙や海底の産業に向かい、

 二流企業は、海外市場で価格競争を仕掛けて、市場を奪っていた。

 三流企業は、大手の下請けをしつつ、国内市場に頼っているが、

 上位企業群から抑えられ、新興企業群の突き上げで苦戦していた。

 そこで、安易に天下りを入れ、

 政官財の癒着構造が産業を守るため需要を無視したゴリ押しを仕掛ける事が有り、

 税金に生かされた宿り木が権力と暴力に頼って道理を引っ込めさせ、母体の木を殺すことがある、

 御用企業がまともに競争せず、利権だけで生きるようになると社会にとって害悪になりやすかった。

 衆議員は、抽選後で選挙される庶民出が多く、

 政官財利権と癒着した貴族院と、手足の企業舎弟に反発し、

 新興企業の芽を潰すようなことが発覚すると議会勢力が変わり、社会問題となった。

 「「「「・・・・・・・」」」」 じーーーーーーー

 「「「「ぅぅ・・・・・」」」」

 「印象操作ニダ!」

 「へ?」

 「印象操作してるニダ! これは自作自演ニダ!!」

 「えっ」

 「ていうか、偉い人って?」

 「もういいニダ!! 今日はこのへんで勘弁してやるニダ!!!」

 男たちは、去っていく、

 

 

  

 繁華街

 反日ギルド朝鮮チーム コード名 ムン キン リン は、味方のように振る舞いながら有力者に近づく、

 「これはこれは、通産官僚様。今日もいらっしゃいましたニダ」

 「おお、君らも好きだな」

 「ノーパン喫茶は、大好きニダ」

 「ははははは」

 「最近は、どうニダ」

 「まぁ 宇宙開発と海底開発が武器になって。安く原料を買えそうだ」

 「そのうち、全て国産原料になるかもしれないな」

 「それはいけないニダ」

 「なぜだ」

 「外交しないと仲間はずれになるニダ」

 「まぁ 売る方で関係を保てるだろう」

 「売り買いが外交の基本ニダ。売りだけの国は嫌われるニダ」

 「じゃ 友好国から一定量を国で買って、国内で分配するか。友好国に払い下げてやるか」

 「少し高くつくニダ」

 「困ったものだ」

 「それは、いけないニダ。ストレスになるニダ。癌の元ニダ」

 「そうか」

 「ストレスは癌の元ニダ。癌は、とっても怖いニダ」

 「そうか。怖いな」

 「自分なら割引で輸入できるよう交渉できるニダ」

 「ほぉ」

 「交渉上手な人と伝手があるニダ。10パーセント引きにする自信があるニダ」

 「それは凄い」

 「先生に5パーセント分をキックバックできるニダ」

 「あはははは」

 「応援するニダ。利権の味方をすれば天下りできるニダ」

 「そ、そうか」

 「それに、某長銀行は、担当者にお金を渡すだけで、10倍の金を借りることができるニダ」

 「お〜」

 「出世したいなら使うニダ」 ひそひそ

 「しかし、それだと、発覚したとき問題なりそうだな」

 「いい方法があるニダ」

 「先生が副業するニダ」

 「副業」

 「商品紹介業ニダ」

 「おお」

 「先生の紹介で必ず買うと某長銀行で買うから手数料が入るニダ」

 「商品は動かないのに。先生の口座に莫大な手数料が入るニダ」

 「莫大な手数料・・・」

 「でも半分は返してもらうニダ」

 「なんだ」

 「そこからニダ」

 「おおー」

 「日本人は、お金持ちの先生のいうことをみんな聞くようになるニダ」

 「おおー」

 「そこで金持ちになる10コツ教材を売るニダ」

 「お金持ちのいうことはみんな信じて買うから、先生は、お金持ちになるニダ」

 「その教材で、本当にお金持ちになるのか」

 「なるわけないニダ。ただの広告でイルミネーションニダ」

 「しかし、5、6人のお金持ちがいて、サクラが10人くらいいたら信じるニダ。路傍詐欺方式ニダ」

 「おおーー」

 「リベートと地位があれば、もっとたくさん協力できるニダ」

 「「「「あはははははは」」」」

 「「「ウェーハハハハ!!!」」」

  

 

 反日ギルド朝鮮チーム コード名 ムン キン リン は、通商官僚との接触に成功し、

 貿易担当者にダメージ3を与え、在日の地位をレベル1を上げ、1レベル34になった。

 反日ギルドから トンスル酒 が送られてきた。

 「貿易利権に食い込めたニダ」

 「貿易の仲介を牛耳れるニダ」

 「そのうち、通産大臣の弱みを握って、高値で海外資源を買わせてやるニダ」

 「人間不信を煽れば、もっと不正腐敗が増えるニダ」

 「日本人同士が憎み合うニダ」

 「日本人同士殺し合うニダ〜♪」

 「「「ウェーハハハハ!!! ウェーハハハハ!!! ウェーハハハハ!!!」」」

 「「「ウェーハハハハ!!! ウェーハハハハ!!! ウェーハハハハ!!!」」」

 「「「ウェーハハハハ!!! ウェーハハハハ!!! ウェーハハハハ!!!」」」

 反日ギルドから次のクエストが送られてくる。

  1、日本食品に毒を入れる。    2、日本の銀行を襲撃する。

  3、日本人から金を騙し取る。   4、日本人を自殺させる。

  5、日本女性を強姦する。     6、日本人を拉致誘拐する。

  7、日本の文化財を盗む、放火する。

 「「「・・・・・・・」」」

 

 

 

 

  

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 月夜裏 野々香です。

 小惑星ケレス(直径952.4km)って、関東から九州程度の直径のようです (笑

 将来は、空に小惑星ケレス本体がかぶさり、

 地面が透明なカーボナノチューブ&氷層で、宇宙が見える。

 そんな ちょ〜〜〜錯乱 世界に住むことになりそうです (笑

 

 

 

 総人口4億1692万人。

  日本・輝夜 (72万ku) 日本・半島  内地人口1億7282万。

 

  海外州人口2億4451万人

   和洋州 (25万ku) 京杭大運河東部域  9499万

   日満州 (100万ku) 外満州  9499万

   扶桑(カムチャッカ・チュクチ)州 (121万ku) 2081万

   大和(アラスカ)州 (171万7854ku) 2695万

   南洋 (ハワイ、ビスマルク、ソロモン諸島) (10万6461ku) 495万

    フィリピン バターン・コレヒドール島 日本自治 “桃太郎” 区 (1000ku)

    マレーシア ブルネイ 日本自治 “金太郎” 区 (1000ku)

    インドシナ ダナン 日本自治 “舌切雀” 区 (1000ku)

    インドネシア パレンバン 日本自治 “浦島太郎” 区 (1000ku)

    ビルマ ヤンゴン 日本自治 “因幡の白兎” 区 (1000ku)

    シンガポール 日本人自治 “鶴の恩返し” 区 (1000ku)

 

  4200t級宇宙船

   “あけぼの” “はつはる” “あさかぜ” “あかつき”

   “あさつゆ” “ゆきどけ” “はるかぜ” “わかば” 

   “やまかぜ” “しらゆき” “はつゆき” “しらくも”

   “しらつゆ” “むらさめ” “はるさめ” “さみだれ”

 

 

 日本海軍

 第01機動部隊

  38000t級航空巡洋艦 播磨 長門

  36000t級伊勢型航空巡洋艦 伊勢

  12000t級鞍馬型ヘリ巡洋艦 出雲 吾妻 伊吹 生駒 愛宕

  6000t級綾波型巡洋艦

       綾波 敷波 荒波 浦波 淡雪 灰雪 秋月 葉月

       雪風 秋風 舞風 雷風 吹雪 初雪 冬月 涼月

  38000t級強襲揚陸艦 相模

 

 

 第02機動部隊

  38000t級航空巡洋艦 薩摩 駿河

  36000t級伊勢型航空巡洋艦 扶桑

  12000t級鞍馬型ヘリ巡洋艦 鞍馬 浅間 八雲 春日 羽黒

  6000t級綾波型巡洋艦

      藤波 高波 磯波 白波 水雪 玉雪 夏月 照月

      峯風 朝風 灘風 旗風 白雪 春雪 春月 若月

  38000t級強襲揚陸艦 津軽

 

 

 

  38000t級播磨型航空巡洋艦4隻

          “播磨” “薩摩” “長門” “駿河”

  12000t級鞍馬型ヘリ巡洋艦12隻

          “鞍馬” “出雲” “吾妻” “浅間”

          “八雲” “伊吹” “生駒” “春日”

          “愛宕” “羽黒” “青葉” “白馬”

  6000t級綾波型巡洋艦 40隻

          “綾波” “敷波” “荒波” “浦波” “藤波” “高波” “磯波” “白波”

          “雪風” “峯風” “秋風” “朝風” “灘風” “舞風” “雷風” “旗風”  

          “吹雪” “白雪” “淡雪” “水雪” “灰雪” “玉雪” “春雪” “初雪”

          “秋月” “冬月” “夏月” “春月” “葉月” “涼月” “照月” “若月”

          “夕雲” “朝雲” “天雲” “峯雲” “巻雲” “山雲” “秋雲” “白雲”

 

 白龍型潜水艦 50隻

   排水量 水上3000t/海中4300t

   全長90m×全幅9m×吃水8.5m

   荷電粒子発電1000馬力〜1500馬力 20基

   水上/海中20000馬力〜30000馬力 30kt〜36kt  航続距離60年

   533mm8管 40本

   乗員65人

  “白龍” “雷龍” “慶龍” “神龍” “剛龍”  “海龍” “陣龍” “蒼龍” “銀龍” “鋼龍”

  “雲龍” “妖龍” “弓龍” “迅龍” “凰龍”  “黒龍” “鎧龍” “零龍” “呑龍” “戦龍”

  “朝潮” “夕潮” “巻潮” “波潮” “赤潮”  “黒潮” “冬潮” “早潮” “夏潮” “磯潮”

  “長波” “巻波” “高波” “藤波” “清波”  “涼波” “早波” “浜波” “朝波” “高波”

  “幽鬼” “鋼鬼” “慶鬼” “蒼鬼” “海鬼”  “凰鬼” “弓鬼” “陣鬼” “彗鬼” “黒鬼”

 

 

 ジェットエンジン

 直径40cm級流星エンジン  直径60cm級彗星エンジン

 直径80cm級蒼星エンジン  直径100cm級紅星エンジン  直径120cm級天星エンジン

 

 “原爆を落とされた人々の世界平和を望む会” 

 広島  賀茂忠行  天光正教  ウリエル  死神ウラン

 長崎  安倍晴明  聖炎主教  サリエル  死神プルト

 

 宇宙開発

   常磐 アムン (Asteroid 3554 Amun) M型 直径2.48km 公転周期350.96日 発見1986年

   浅間 クルースン(Asteroid 3753 Cruithne) Q型 直径5km  公転周期363.99日 発見1986年

   エロス (433 Eros) 34.4km×11.2km×11.2 km S型  公転周期642.4日 発見1898年

   ガニュメート (1036 Ganymed) 31.66km S型  公転周期1587.75日 発見1924年

   八雲 (6178) 1986 DA  M型 直径2.3km 公転周期1719.466日 発見1986年

 

 

 1984年 宇宙ステーション “高天原” → 小惑星エロス 34.4km×11.2km×11.2 km S型 公転周期642.4日

 1986年 宇宙ステーション “アマテラス” → 火星軌道 衛星ダイモス(15.0km×12.0km×11.0km)

 1994年 宇宙ステーション “ツクヨミ” → 小惑星ケレス (直径952.4km) 公転周期1679日(4.6年)

 

 宇宙ステーション “スサノオ” → 金星

 宇宙ステーション “カグツチ” 木星軌道  カリスト 

 宇宙ステーション “ミカヅチ”  パラス or ベスタ

 

 

  

誤字脱字・感想があれば掲示板へ

第49話 1993年 『総人口4億人を超えて・・・』

第50話 1994年 『開発、人工空洞小惑星ケレス』
第51話 1995年 『灼熱のビーナス』