月夜裏 野々香 小説の部屋

    

天ぼた系 火葬戦記 『神火風』

 

 第54話 1998年 『くたばれ、信用創造』

 

 一つの民族国家だけで4億6000万人を超えると、他国の市場に依存する必要性も低下する。

 もっとも信用(借金)経済でなく、人本位で紙幣を発行するだけで、

 国内の消費は、購買力が失われることがなくなり、

 何らかの消費財が常に消費される。

 むろん、野心的な新興企業が常に出現し、下克上経済となってしまうのだが、

 少なくとも日本の生産品は、国内にとどまらず、国外に溢れ出し、

 世界の市場の大半は日本商品か、日本の工作機械で作られたものという恐るべき状態となっていた。

 

 目的地を入力し、スタートを押すだけで、目的地に到着する。

 それは、90式戦車や戦闘重機カラクリの自動走行システムの簡易版だった。

 とはいえ、下り道路を無人自動車が有人自動車を次々と抜いていく

 有人車が操作ミスでスピンすると、

 無人車がドリフトを利かせながらかわしていく、

 軍関係者たち

 「ほぉ すごい」

 「レーダーで弾道計算して、敵砲弾から車体を回避させるシステムなんだけどね」

 「本当に弾を避けられるの?」

 「停止中は無理だけど。高速移動中は、かなりの確率で回避する」

 「最悪、装甲の厚い部分で避弾経始に都合のいい角度に車体を向ける」

 「戦車を全力では知らせ、壁ギリギリに急停止させることもできる」

 「戦車なら壁を破壊して進まなきゃな」

 「まぁ そういうのもいいがね・・・」

 簡易型でもA級ライセンス並みの運転技術であることに変わりなかった。

 欧米の戦車、戦闘車は車体のスペックが違うものの一部を流用し、搭載すれば

 A級ライセンスが無理でも、高機動移動システムの出来上がりとなった。

 当然、軍事機密にも触れていたことから、軍民の間で激しいやり取りが行われた。

 そして、結局、民間に押され、

 軍機に触れそうなシステムを省く形で開発、販売へと漕ぎ着いたのだった。

 市場関係者たち

 「やれやれ、遂に無人自動車の販売か」

 「庶民も、ほとんど乗り換えるでしょうね」

 「外国の自動車市場もあらかた席巻するだろう」

 「もう、欧米車は、完全にとどめじゃないんですか?」

 「欧米諸国は、為替介入する話しもあるがね」

 「ドル安円高ですか」

 「こっちも円を刷るから多少、緩和できると思うが」

 「本当は、アメリカのエイブラムズにも似たような自動走行システムがついてる噂もあるがね」

 「なんにせよ。走るコンピューター自動車があれば交通事故はなくなるだろう」

 「モータースポーツ技能職が脅かされるのは、少し寂しい気がするが」

 「自動車会社各社で無人カーレースをすることになってるよ」

 「それを人間が見に来るんですか」

 「次に買う車を決めることになるじゃないか」

 「「「あはははは」」」

 「自分で運転しなくなるんでしょうかね」

 「マニュアル運転もできるがね。一応、マニュアル運転中の点灯が点くことになってる」

 「そんなんで、本当にいいのかね。おれ疑問に思うわ」

 「そういえば陸軍が歩兵と対になる小型無人戦闘車も開発しているらしい」

 「ジープ型でキャタピラで走るが、犬の習性をプラグラムしてるらしい」

 「6.5mm機銃、対戦車ロケット、グレネード・ランチャー、対空ミサイルの搭載で」

 「貨物は150kgで。兵士2人くらい乗れる」

 「対になる歩兵と部隊の100m以内を移動し、索敵、攻撃、援護など自動支援する」

 「そして、歩兵より戦闘スキルが高いそうだ」

 「そりゃ凄い」

 「100万台作って、日満州と和洋州の軍倉庫に積み上げる予定らしい」

 

 

 

 

 

 アメリカ合衆国

 上院は2年ごと3分の1が選挙で入れ替わり、

 下院は大統領任期4年の中間の年、議員全員が入れ替わる。

 これは大統領が進める政策に対する国民の民意の反映といえた。

 “お金を借金で作るな。人頭で作れ”

 “くたばれ、信用創造”

 “腐った政財世襲利権に従わないための民主紙幣発行”

 “回転扉の既得権に媚びない。アメリカ合衆国に人権と自由を取り戻せ!”

 のプラカードを持った群衆がワシントンを埋め尽くし、

 各州で、殴り合いに近い抗争が繰り広げられていた。

 選挙管理で3派の監視員が互いに死線を向けて睨み合い、

 3者が一つの票を確認し、共和党列、民主列、死神列に別れて集計場へ送られ、

 3者が票数を確認していく、

 アメリカ国軍は、3派に分裂して一触即発と言える危険な情勢で、

 アメリカ建国史上、もっとも険悪な選挙年になった。

 この年の11月第1月曜日の週の火曜日に行われた中間選挙の蓋を開けると、

  上院  共和党 50 → 45    民主党 40 → 35   死神党 10 → 20

  下院  共和党 208 → 178  民主党 186 → 176  死神党 40 → 80   無所属 1 → 1

 死神党が躍進し、キーパーソンとして第三勢力の地位を収め、

 アメリカ議会の勢力図を大きく変貌させていた。

 ワシントン

 「なんとか、死神教上層部を誘導し、献金の一部を国庫に入れたまでは良かったのだが・・・」

 「逆に民衆を味方につけてしまったな」

 「次の選挙で負けるな」

 「戦争に失敗してますからね」

 「次の大統領は戦争遂行人でなければ軍産複合体は維持できなくなる」

 「それか。アメリカ軍に向かって大砲を撃ってくれるような国が現れるなら」

 「日本やロシアなら挑発すれば撃ってくれるかもしれませんが」

 「そんなことをすれば、我々の資産が全て焼けてしまうだろう」

 「それに核の冬になれば我々は生き残れるとしてもアメリカは終わりだ」

 「それでは、我々を守る奴隷がいなくなり、奴隷がいなくなれば、王様でもなくなる」

 「だがこのままだと、信用創造が殺される」

 「奴隷がいなくなれば王様でも貴族でもなくなり兵士も離反する」

 「我々の金融支配は崩壊するぞ」

 「じゃ 内戦か」

 「死神教を血祭りにあげて、内戦に勝てるかもしれないが、アメリカは終わりだ」

 「避難所は?」

 「パレスチナと、イギリス、フランス、イタリアくらいだが、アメリカより規模が小さい」

 「何より利権があってもアメリカでも、日本、ロシアに勝てないだろう」

 「まして、アメリカ以外だと・・・」

 「どうする」

 「なんとか死神教の中枢を押さえろ」

 「死神教信者は推定1億人」

 「1000万長になるなら、10人選挙を7回か8回。勝てばいいだけだ」

 「10人が互いを見比べて1人を選ぶだけだからな」

 「マスコミが幾ら宣伝しようと。名主であろうとなかろうと関係ない」

 「我々が著名人を死神教に送り込んでもほとんどが途中で落ちる」

 「なぜ、元州知事が花屋の店員に負ける。ふざけんな」

 「それに2年交代で連続選出が禁止では、利権にならん」

 「大規模な買収をするか」

 「毎2年で入れ替わる長を70人から80人を7回から8回に分けて買収するのか。リスクが大きすぎる」

 「それにユダヤ人が10人長選挙で買収したなんて。バレたらおしまいだぞ」

 「そんなことするくらいなら選挙で勝った幹部を買収するほうがましだ」

 「だいたい、献金の半分を信者に均等に分けるのがおかしい」

 「我々はたくさん献金してるのだから、献金額の10倍の見返りがあってしかるべきなのだ」

 「それをあの死神教の幹部共は・・・」

 

 

 

 ニューヨーク

 カフェテラスの日本人たち

 「死神党は躍進か、嬉しいやら、困るやら」

 「このまま、資本集約で格差が進んで金融支配してくれたほうが、製造業が伸びずに済むからね」

 「なんにしてもだ。共和党と民主党の半数が死神党に靡く」

 「フードクーポンは、現金化で事実上のベーシックインカムで、庶民側に権力(金)が移動する」

 「所得税は富裕層に増税で。宇宙開発予算は倍増だ」

 「富裕層は、格差が縮まって、新興企業が増えて、涙目だな」

 「奴隷になるより、売国党に票を入れたいのかもね」

 「売国党は、共和党派と民主党派のレッテル貼りで通用しないよ」

 「だけど、サブプライムローンを前倒ししようかって、抗争中だ」

 「騙されると庶民の借金が増えて酷くなりそうだな・・・」

 白人たちが近づいてくると日本語で挨拶し、近くの席に座る。

 彼らは、ドル紙幣という呪符使いの魔法使いで

 アメリカ合衆国とアメリカ国民を影から支配している人々の代理人だった。

 そして、こちらは、日本外務省と死神教幹部を橋渡ししている代理人。

 こういった両派の非公式折衝は時折行われ、

 不意に意思疎通が図られることもある。

 「よう、日本人。思い通りか」

 「さぁね。だけど “くたばれ、信用創造” には票数が足りなかったようだな」

 「「「「・・・・・」」」」 憮然

 「「「「あはははは」」」」

 「日本人も我々のように紙幣で国民を奴隷のように扱き使ったらどうだ? 楽しいぞ」

 「ユダヤ人は、少数民族で多数の異邦人を支配できて楽しいだろう」

 「しかし、日本人は単一民族で、支配する相手は同胞だ」

 「同胞が同胞を紙切れを使って、異民族相手のように理不尽に扱き使えば、君ら以下の人間のクズになるだろう」

 「例え、利権を作ったとしてもだ」

 「そこには、同胞に接する扱いは存在するし」

 「能力が高くて稼いだとしても賃金が10倍を超えるような格差は忌み嫌われるよ」

 「ふっ」

 「時に・・・ 日本は、アメリカを助けようとしてるのか。乗っ取ろうとしてるのか。どっちだ?」

 「どっちでもないな・・・」

 『死神教で、神火人を秘匿したいだけなんだけどな』

 『こっちの切実な問題が知られてないのが幸いだね』

 「日本はアメリカを助けている」

 「自分で自分の首を絞めてる気もするし。いったい、何を企んでるのやら」

 「おいおい、いくらなんでも、日本政府が死神教に影響を与えてるとか思ってないよな」

 「だが、組織は作った。今でもオブザーバーとして、最初に発言している」

 「1分くらいの挨拶だけだけど」

 「それは確認してるよ。権力は全くないのに、権威だけは法王並だな。天皇制式か」

 「天皇は制度というより、法外の慣習。歴史、文明そのものだよ」

 「それでも、死神教が政府行政機関と直結した事業口座を作ったことには変わりない」

 「我々に献金を戻してるのかと思えば、集票、目当ての工作だったとは迂闊だったよ」

 「アメリカ人が公益性を望んだことだ」

 「しかし、2年後の大統領選挙は、死神党が影響を与えるだろうし」

 「4年後の中間選挙は、死神党が地滑り的に第一党になるかもね」

 「そうなったらFRBはおしまいだな」

 「君ら呪符使いの魔法使いは、避難所を見つけたのかい?」

 「取り敢えず、日本人が開発した小惑星の一つでも売って欲しいくらいなのだがね」

 「小惑星は、独占してるから高いと思うよ」

 「是非。買取りたい」

 「でもね。ユダヤ資本は核兵器を持ってるし。日本国内の朝鮮人を操ってるからな・・・」

 「「「「・・・・・」」」」 憮然

 「日本人は、日本国内に嘘つき、泥棒、殺人、自殺、餓死を蔓延させたくないんだよ」

 「「「「・・・・・」」」」 憮然

 「誰だって、自分の子供が学校で外国人の子供にいじめられて殺されたくないだろう」

 「「「「・・・・・」」」」 憮然

 

 

 

 宇宙から太陽光熱パネルから照射されるマイクロ波が増えると発電量は急速に余剰になっていく、

 そして、10ギガワット(1000万kw)ほどの電力さえあれば

 粒子加速器で荷電粒子(電子、陽子、重イオンなど)を亜光速まで加速し発射できる兵器があった。

 発電網は日本各地に広がり、数百ヶ所に粒子加速器と荷電粒子砲台が建設され、

 余剰電力だけでも数十ヶ所の荷電粒子砲を発射でき、

 季節さえよければ、百数十ヶ所で荷電粒子砲を撃つことができた。

 むろん、電力を全て使うことができるなら、半分の荷電粒子砲で迎撃することも可能で、

 日本の領空領海領土を侵犯すれば、それがなんであれ、荷電粒子砲をお見舞いできた。

 大和州 マッキンレー山脈

 日本国防総司令部

 コンピューターを使ったシミュレーションが何度も繰り返されていた。

 「何かのゲームで主人公が、最大レベルに達してしまうとつまらなくなる。そんな感じだな」

 「このシミュレーション結果が知られたら、一気に予算が減らされますね」

 「せっかく、3パーセント前後を維持できているのに、それはまずい」

 「予算に占める国防費率は、ほかの国と比べて、少なめなんですけどね」

 「国力が段違いだし、一部、国土建設費もかぶってるからな」

 「でも、神火人も低級の者から亡くなってますし」

 「いずれ、荷電粒子発電も生産できなくなれば、アドバンテージもなくなるかもしれませんね」

 「その頃には、宇宙産業と海底産業のアドバンテージで戦える」

 「それに、神火核の複製が可能になったら、状況はさらに変わる」

 「神火核の複製。いけそうなんですか?」

 「法則、仕組み、構造はわかる」

 「しかし、今のところ、どうやって作れるのか、わからないらしい」

 「簡易型の荷電粒子発電機のコアは、神火人の製造に頼ってるからな」

 「神火人抜きで製造するとしても模造劣化モノだ」

 「放射線に耐性のある神火人がいなくなったら本当に作れなくなるだろう」

 

 

 日満州(100ku)旧外満州  1億0852万

 黒龍江北岸ハバロフスク域は渓谷が多く、地下網が広がり地下移動が盛んだった。

 しかし、地表を飛ぶヘリも多用されやすかった。

  Mi24ハインド

   全長20m×翼長6.66m×主回転翼同軸反転式ローター直径16m

   自重6675kg 運用10500kg 最大離陸重量11000kg

   発動機IHI801Cターボシャフトエンジン(出力4000馬力)2基

   最大速度340km/h  巡航速度280km/h

   航続距離1100km

   乗員3名 +  8名 or 積載1700〜2600kg

 

  攻撃ヘリ 雷風

   全長14m×主回転翼同軸反転式ローター直径14m×全高4.80m

   自重7065kg 運用9000kg 最大離陸重量11000kg

   発動機IHI801Cターボシャフトエンジン(出力4000馬力)2基

   最大速度360km/h   航続距離1200km

   25mm1丁。ハードポイント4基 積載2000kg

   乗員2名

 

 Mi24ハインドを輸入ライセンスして早、25年を経ていた。

 陸海空軍で運用されていたものの、

 基本的なコンセプトは、大型Mi24ハインドが地上哨戒、対潜哨戒、早期警戒管制を分担し、

 随行させている攻撃ヘリ雷風で攻撃させることが多かった。

 Mi24ハインドは、主回転翼同軸反転式ローターを採用し、

 外見は面影が残っていたものの洗練され、中身は、全く違う目的と構造と材質に変更されている。

 地表や海上を低空スレスレで高速移動するヘリ部隊は、レーダーに引っ掛かりにくく、

 逆にMi24ハインドの早期警戒管制に発見されると、

 対象が戦闘機であれ、戦車であれ、艦船、潜水艦であれ、

 攻撃ヘリ雷風のミサイルが飛んで来る。

 それは、空中艦隊のように扱われており、

 核戦争後の主力戦力として、地下深くで格納され整備されている。

 アメリカがティルトローター方式の垂直離着陸機を開発していた頃、

 日本は、エンジン強化と、機体を軽量化を押し進め、

 深い前傾姿勢でヘリを飛ばし始めた。

 主翼とジェット排気は可動式で、水平になるまで傾き、揚力とバランスを持せた。

 座席に付随する機器を傾きに合わせて、水平になるよう起こしていく方式をとった。

 日本製Mi24ハインドは高速に近づくにつれ、前傾姿勢が45度の角度に近づく、

 プロペラの揚力を前進する推進力として使っている。

 日本産業は、企業も人材も新陳代謝が激しく、

 たいして力を入れてない一般軍のヘリであっても既存のヘリを凌駕する性能にまで高められていた。

 

 警戒管制室

 乗員全員がコクピット側に向かってシートベルトをしており、

 45度の前傾姿勢に合わせて、椅子も傾いていくため、床に寝てるような姿勢になった。

 機材の重量は減らされたものの、科学技術の進歩のせいか、性能が低下することはなかった。

 乗員は、全周が映るディスプレーを見ていた。

 コンピューターは警戒すべき目標をターゲットで補足し、

 対象物に対し、理想的な攻撃システムを設定していく、

 既に国境を越えた空域で、ツポレフT95爆撃機3機を補足しており、

 乗員がスイッチを押せば、システムが自動的に攻撃してしまうため、

 安全装置のON・OFは、部隊だけでなく、基地でも確認できるようになっていた。

 傾きに合わせて水平になるテーブルの上に機内食が用意される。

 機内には、地上で作った弁当2食分が用意され、

 1食分は冷凍保存されレンジで温められることになっている。

 それとは別にレーション5食分が保存されている。

 国境は静かで、紛争地もなく、日露関係は、安定している。

 戦雲の低い時期の軍隊は、予算が低調で、国民からも尊敬されにくい。

 時々 日露の軍部で申し合わせたように、軍事訓練を行うが、

 ほとんどの国民は、恒例のイベントと高を括っている。

 食事は、練度維持と巡回監視が目的の演習で、唯一の楽しみだ。

 「ソビエトからロシアになって怖さが半減した気がするな」

 「共産主義を放棄して伝染性というか、浸透力が減ったんじゃないかな」

 「ロシアの場合、財閥、軍人、マフィアの連合シンジケート支配な国になっていきそうだな」

 「懸命に働いて利益を上げられる社会なら健全だろうけど」

 「実のところ、共産主義も資本主義も民主主義の敵で、行き着く先は、利権が膨れ上がり、国民の大多数が奴隷にされるからな」

 

 

 

 日満州(100万ku)と和洋州(25万ku)は、陸続きで繋がっているが、

 その地峡は50kmもなく、中国13軍閥に対し、最大のウィークポイントになっていた。

 戦後、日本は、堀を掘り堡塁を高くしていった結果、

 日本領東天津市は、中国領西天津市より、標高差で100mほど高くなっていた。

 ほぼ岸壁に近かったことから戦車部隊も対戦車塹壕を降れず、堡塁も登坂できなかった。

 ただ、国境を結ぶ鉄橋は存在し、検査を終えた物資だけが移動し、

 日満州と和洋州を移動する人々の往来も激しく、巨大な大動脈を作っていた。

 

 

 

 和洋州 (25万ku) 京杭大運河東部域  1億0852万

 日本は、人口が急増しているせいか、農地が兄弟に分けられ、小規模農家が増えていた。

 むろん、小規模でも限度が有り、これ以上やると別の職業に変えたほうがいいと思うもので、

 機械化が遅れた農業は、自家菜園だけで十分、

 産物の2割の権利でいいと、兄弟に押し付ける者もいた。

 しかし、昨今は、 海底農業で自動化が進み、その成果が陸上の農業にも反映されたのか、

 小型農業機械の性能が良くなり、状況が変わってきていた。

 比較的小型の無人刈り入れ機が作物を採取していく、

 間引きや雑草取りまで行うため、農作業は、ほとんど、見てるだけといった状況になっていた。

 関係者たち

 「新型の刈り入れ機は、動きがスムーズじゃないか」

 「コンピューターの性能が上がってるし、困ったときは、ホストコンピューターに聞くからね」

 「農作業が楽になるのなら、土地価格が上昇しそうだな」

 「それに、上流の水質汚染が進んで、自分で農作物の安全性を確認したがってる」

 「一応、上流はパネルを作って、自動表示させてるが、アクセスが急増中だよ」

 「やはり、水質清浄工場を建設しないといけないんだろうな」

 「揚子江や京杭大運河を10kmくらい蛇行させて、処理しないと・・・」

 「そりゃ無理だ」

 「だけど、漁業関係者もそうして欲しいらしいよ」

 「鉛、銅、シアン化合物、カドミウムは、流石に抜かないとな」

 「漢民族の富裕層は、国富を日本の口座に移してでも亡命したがってる」

 「金がないやつは周辺国に亡命するかで、追い込まれてるそうだ」

 「アメリカの奴隷産業を取り入れた結果か」

 「中国は昔から奴隷産業だったが、最近は格差が進んで大変だな」

 「だけど、中国は人頭紙幣発行制度の宗主国なのにおかしいだろう」

 「税金が分配金を超えていたら、効果はないよ」

 「賄賂をさらにプラスしないといけないからね」

 「中国で反日暴動が起きてると言うけど?」

 「反米暴動も起きてるよ」

 「まぁ 反日反米暴動なら鎮圧されないからね。捌け口だろう」

 「しかし、垂れ流しはやめて欲しいものだがな」

 「汚染の元から絶ちたいが、すぐ外国に機械を売って金作って亡命するからな」

 「やれやれだ」

 

 

 木星  公転周期11.86155年 (直径14万2984km)

        第4衛星カリスト (直径4820.6km) 公転周期16日16時間32.2分(16.689日)

          宇宙ステーション “カグツチ” “高天原” 

 木星軌道は、地球のような美しさはなく、火星のような赤い寂しさもなく、

 幾つもの衛星が木星を回っている、

 外を見ているのが飽きない世界だった。

 神火人は、放射線や磁場が見えているのか。全く違った反応を見せる。

 地球からコンテナ船に載せられた網が送られてくる。

 カリストに網と氷のサンドイッチをかぶせていけば、空洞に大気を作ることができた。

 そして、神火人は、木星の放射線帯で即死レベルのイオ、エウロパ、ガニメデの開発も行っていた。

 彼らがいなければ内惑星開発は80年遅れていたと言われるほどで、

 それは、放射線帯のある木星圏でも同じだった。

 司令室

 観葉植物の鉢がいたるところに有り、

 水槽にはエウロパ種生物が浮いていた。

 見た目がグロテスクなせいか。まだ食べようという勇者は現れないが、

 地球便が増え、コンテナ船のローテーションが混乱している。

 ボーリング結果がモニターに映されていく、

 「カリストの岩盤は、木星の朝夕作用のせいか、計算より堅いようだ。多分、だろう」

 「これなら、少しくらいの改造をしてもバラけませんね」

 「しかし、コンテナ船を思ったより取られてるのが面白くない」

 「内惑星域は、氷を欲しがりますからね」

 「それにこちらは始めたばかり、試行錯誤もあるので、スロー・スタートですから」

 「というより、外国投資家の圧力で金星と火星開発を急がされてるのかもしれないな」

 「そ、それは、本末転倒ですが。ありそうですね」

 「あと、フォボス落下とか」

 「落下は決定的なんですか?」

 「6対4で賛成になってる。7対3で実行に移すことにしてるらしい」

 「ずいぶん、寛容なことで」

 「というより、落とすとしたら2001年にする方が政治的な区切りがいいらしくて年月的に余裕がある」

 「あと、日本国内もフォボス落下の反対派が少なくない」

 「せっかく、浮かんでる衛星を落とすな。ですか」

 「打ち上げの大変さで、逆算したらそういう勢力も多くなるのだろう」

 「木星としたら、火星や金星の開発に物資や人材を取られたくないのですけどね」

 「まぁ 地球圏の事情ってやつだろう」

 「とはいえ、今の3倍の人材と資材が欲しいですね」

 「あと2年もすれば、アマテラスが来るだろう」

 

 

 

 

 

 

 

 反日ギルド朝鮮人本部

 

 アメリカにある国立公文書館に現存する計画書

 朝鮮人たちがシャーマンを呼び寄せ、毎日のように祈祷を捧げていた。

 “信用創造の神FRBよ。日本国民の間に格差を作って憎み合わせ、日本を分割統治させるニダ”

 “成功すれば京都の支配を約束してくれたニダ”

 “日本を占領して、支配するニダ”

 “日本人から全ての利権と紙幣取り上げ、殺し合わせるニダ”

 “日本は滅亡するニダ。日本民族は死ね死ねニダ”

 “日本は滅亡するニダ。日本民族は死ね死ねニダ”

 “日本は滅亡するニダ。日本民族は死ね死ねニダ”

 “日本は滅亡するニダ。日本民族は死ね死ねニダ”

 

 

 反日ギルド朝鮮チーム コード名 ムン キン リン は、味方のように振る舞いながら有力者に近づく、

 「これはこれは、軍官僚様。今日もいらっしゃいましたニダ」

 「おお、君らも好きだな」

 「ノーパン喫茶は、大好きニダ」

 「ははははは」

 「しかし、最近は、ノーパン喫茶が少なくなったな」

 「こんなのやるの、中国人期間労働者しかいないニダ」

 「そうか・・・寂しくなるな・・・」

 「国民基礎所得をやめたら、日本人娘をノーパン喫茶で働かせることができるニダ」

 「中国人娘より、日本人娘の方がいいニダ」

 「んん・・・逆にマスコミが喧伝して、ノーパン喫茶が廃業に追い込まれそうだからな・・・」

 「それは困るニダ」

 「そう困る困る・・・」

 「イラッシャイマセアル。ドンペリ。オツギシマスアル」

 「おおーー」

 チラチラ チラチラ チラチラ

 「最近は、どうニダ」

 「地上や洋上だけでなく、空中の戦力まで否定されつつあるよ」

 「それはいけないニダ。国防は国家防衛の要ニダ」

 「日本の国防費はGDPの50パーセントは必要ニダ」

 「・・・・・」 ため息

 「GDPの3パーセントしかない国防費からじゃ 夢のような話しだな」

 「そんなことないニダ」

 「全ての国債を国防費に回せばいニダ」

 「ほかの諸経費は予算でやるニダ」

 「国民基礎所得をやめて、予備役を徴兵するニダ」

 「いいなぁ そうしたら、今の二等兵は少尉くらいになれるよな」

 「そうニダ。絶対にそうするニダ」

 「しかし、圧力が大きいからな」

 「そんなのクーデターで巻き返せばいいニダ」

 「あははははは、まさか」

 「ウェーハハハハ、冗談ニダ」

 「しかし、老後とか。ポストとか考えると、辛いかな」

 「天下りは産業の潤滑油ニダ。絶対に必要ニダ」

 「衆議院は無知の集まりニダ」

 「まぁ そうだが、あいつらのせいで聖域を上手く作れない」

 「お仕置きしてやるニダ」

 「そうなんだが、なかなか、むつかしいな・・・」

 「それより、国民基礎所得はいけないニダ」

 「勤労意欲がなくなるニダ」

 「あれをなくして、個別にやると細々と天下り先を増やせておいしいニダ」

 「そうなんだよな。割り振りを増やす方が、監査がいい加減になって誤魔化しやすい」

 「そうニダ。そうニダ」

 「しかし、上は・・・・シンプル・イズ・ベストが強いからな」

 「ど、どんな上ニダ」

 「んん・・・それは、ちょっと言えない」

 「そうニカ。国家機密ニダ。お偉いさんニダ」

 「まぁ いろいろ気を遣うからな」

 「それは、いけないニダ。ストレスになるニダ。癌の元ニダ」

 「そうか」

 「ストレスは癌の元ニダ。癌は、とっても怖いニダ」

 「そうか。怖いな」

 「自分なら欧米の軍事情報と兵器を安く入手できるよう交渉できるニダ」

 「ほぉ」

 「交渉上手な人と伝手があるニダ。10パーセント引きにする自信があるニダ」

 「それは凄い」

 「先生に5パーセント分をキックバックできるニダ」

 「あはははは」

 「応援するニダ。利権の味方をすれば天下りできるニダ」

 「そ、そうか」

 「それに、某長銀行は、担当者にお金を渡すだけで、10倍の金を借りることができるニダ」

 「お〜」

 「出世したいなら使うニダ」 ひそひそ

 「しかし、それだと、発覚したとき問題なりそうだな」

 「いい方法があるニダ」

 「先生が副業するニダ」

 「副業」

 「商品紹介業ニダ」

 「おお」

 「先生の紹介で必ず買うと某長銀行で買うから手数料が入るニダ」

 「商品は動かないのに。先生の口座に莫大な手数料が入るニダ」

 「莫大な手数料・・・」

 「でも半分は返してもらうニダ」

 「なんだ」

 「そこからニダ」

 「おおー」

 「日本人は、お金持ちの先生のいうことをみんな聞くようになるニダ」

 「おおー」

 「そこで金持ちになる10コツ教材を売るニダ」

 「お金持ちのいうことはみんな信じて買うから、先生は、お金持ちになるニダ」

 「その教材で、本当にお金持ちになるのか」

 「なるわけないニダ。ただの広告でイルミネーションニダ」

 「しかし、5、6人のお金持ちがいて、サクラが10人くらいいたら信じるニダ」

 「おおーー」

 「リベートと地位があれば、もっとたくさん協力できるニダ」

 「「「「あはははははは」」」」

 「「「ウェーハハハハ!!!」」」

  

 

 反日ギルド朝鮮チーム コード名 ムン キン リン は、軍事官僚との接触に成功し、

 国民基礎所得にダメージ1を与え、在日の地位をレベル2を上げ、レベル37になった。

 反日ギルドから 焼肉セット が送られてきた。

 「軍人は、媚びればすぐ信用するバカが多いニダ」

 「右翼もちょっとヨショしただけで信じる馬鹿ばっかりニダ」

 「軍事利権に食い込めたニダ」

 「いまに国民基礎所得をなくしてやるニダ」

 「そのうち、国防大臣の弱みを握って、アメリカの戦闘機を買わせてやるニダ」

 「人間不信を煽れば、もっと不正腐敗が増えるニダ」

 「日本人同士が憎み合うニダ」

 「日本人同士殺し合うニダ〜♪」

 「「「ウェーハハハハ!!! ウェーハハハハ!!! ウェーハハハハ!!!」」」

 「「「ウェーハハハハ!!! ウェーハハハハ!!! ウェーハハハハ!!!」」」

 「「「ウェーハハハハ!!! ウェーハハハハ!!! ウェーハハハハ!!!」」」

 反日ギルドから次のクエストが送られてくる。

  1、日本食品に毒を入れる。    2、日本の銀行を襲撃する。

  3、日本人から金を騙し取る。   4、日本人を自殺させる。

  5、日本女性を強姦する。     6、日本人を拉致誘拐する。

  7、日本の文化財を盗む、放火する。

 「「「・・・・・・・」」」

 

 

 

 

  

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 月夜裏 野々香です。

 

 

 

 総人口4億6225万人。

  日本・輝夜 (72万ku) 日本・半島    内地人口1億8517万。

 

  海外州人口2億7750万人

   大和(アラスカ)州 (171万7854ku)           2987万

   扶桑(カムチャッカ・チュクチ)州 (121万ku)      2306万

   日満州 (100万ku) 外満州            1億0852万

   和洋州 (25万ku) 京杭大運河東部域      1億0852万

   南洋 (ハワイ、ビスマルク、ソロモン諸島) (10万6461ku) 547万

    フィリピン バターン・コレヒドール島 日本自治 “桃太郎” 区 (1000ku)

    マレーシア ブルネイ 日本自治 “金太郎” 区 (1000ku)

    インドシナ ダナン 日本自治 “舌切雀” 区 (1000ku)

    インドネシア パレンバン 日本自治 “浦島太郎” 区 (1000ku)

    ビルマ ヤンゴン 日本自治 “因幡の白兎” 区 (1000ku)

    シンガポール 日本人自治 “鶴の恩返し” 区 (1000ku)

 

  4200t級宇宙船

   “あけぼの” “はつはる” “あさかぜ” “あかつき”

   “あさつゆ” “ゆきどけ” “はるかぜ” “わかば” 

   “やまかぜ” “しらゆき” “はつゆき” “しらくも”

   “しらつゆ” “むらさめ” “はるさめ” “さみだれ”

 

 

 日本海軍

 第01機動部隊

  38000t級航空巡洋艦 播磨 長門

  36000t級伊勢型航空巡洋艦 伊勢

  12000t級鞍馬型ヘリ巡洋艦 出雲 吾妻 伊吹 生駒 愛宕 青葉

  6000t級綾波型巡洋艦

       綾波 敷波 荒波 浦波 淡雪 灰雪 秋月 葉月 夕雲 巻雲

       雪風 秋風 舞風 雷風 吹雪 初雪 冬月 涼月 朝雲 山雲

  38000t級強襲揚陸艦 相模

 

 

 第02機動部隊

  38000t級航空巡洋艦 薩摩 駿河

  36000t級伊勢型航空巡洋艦 扶桑

  12000t級鞍馬型ヘリ巡洋艦 鞍馬 浅間 八雲 春日 羽黒 白馬

  6000t級綾波型巡洋艦

      藤波 高波 磯波 白波 水雪 玉雪 夏月 照月 天雲 秋雲

      峯風 朝風 灘風 旗風 白雪 春雪 春月 若月 峯雲 白雲

  38000t級強襲揚陸艦 津軽

 

 

 白龍型潜水艦 50隻

   排水量 水上3000t/海中4300t

   全長90m×全幅9m×吃水8.5m

   荷電粒子発電1000馬力〜1500馬力 20基

   水上/海中20000馬力〜30000馬力 30kt〜36kt  航続距離60年

   533mm8管 40本

   乗員65人

  “白龍” “雷龍” “慶龍” “神龍” “剛龍”  “海龍” “陣龍” “蒼龍” “銀龍” “鋼龍”

  “雲龍” “妖龍” “弓龍” “迅龍” “凰龍”  “黒龍” “鎧龍” “零龍” “呑龍” “戦龍”

  “朝潮” “夕潮” “巻潮” “波潮” “赤潮”  “黒潮” “冬潮” “早潮” “夏潮” “磯潮”

  “長波” “巻波” “高波” “藤波” “清波”  “涼波” “早波” “浜波” “朝波” “高波”

  “幽鬼” “鋼鬼” “慶鬼” “蒼鬼” “海鬼”  “凰鬼” “弓鬼” “陣鬼” “彗鬼” “黒鬼”

 

 

 ジェットエンジン

 直径40cm級流星エンジン  直径60cm級彗星エンジン

 直径80cm級蒼星エンジン  直径100cm級紅星エンジン  直径120cm級天星エンジン

 

 “原爆を落とされた人々の世界平和を望む会” 

 広島  賀茂忠行  天光正教  ウリエル  死神ウラン

 長崎  安倍晴明  聖炎主教  サリエル  死神プルト

 

 宇宙開発

   常磐 アムン (Asteroid 3554 Amun) M型 直径2.48km 公転周期350.96日 発見1986年

   浅間 クルースン(Asteroid 3753 Cruithne) Q型 直径5km  公転周期363.99日 発見1986年

   エロス (433 Eros) 34.4km×11.2km×11.2 km S型  公転周期642.4日 発見1898年

   ガニュメート (1036 Ganymed) 31.66km S型  公転周期1587.75日 発見1924年

   八雲 (6178) 1986 DA  M型 直径2.3km 公転周期1719.466日 発見1986年

 

 

 1984年 宇宙ステーション “高天原” → 小惑星エロス 34.4km×11.2km×11.2 km S型 公転周期642.4日

 1986年 宇宙ステーション “アマテラス” → 火星軌道 衛星ダイモス(15.0km×12.0km×11.0km)

 1994年 宇宙ステーション “ツクヨミ” → 小惑星ケレス (直径952.4km) 公転周期1679日(4.6年)

 1995年 宇宙ステーション “スサノオ” → 金星

 1997年 宇宙ステーション “カグツチ” → 木星 公転周期11.86155年 (直径142984km)  

                             第4衛星カリスト (直径4820.6km) 公転周期16日16時間32.2分(16.689日)

 1998年 宇宙ステーション “高天原” → 木星 公転周期11.86155年 (直径142984km)  

                             第4衛星カリスト (直径4820.6km) 公転周期16日16時間32.2分(16.689日)

 

 

 開発予定

  宇宙ステーション “ミカヅチ”  パラス or ベスタ

 

 

  

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第53話 1997年 『木星軌道 第4衛星カリスト』

第54話 1998年 『くたばれ、信用創造』
第55話 1999年 『太陽系時代と、金融蛇の腹の中』