1999年6月下旬の日常

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1999年6月23日(水)

 そろそろホームページの素材を作ろうかという気になっている。まだ長篇の直しが終ってないのに。
 仕事帰りに本屋で山口雅也『マザーグースは殺人鵞鳥』(原書房)を購入。そのあと秋葉原まで回ってようやく『To Heart』アニメ版DVD1巻(KSS)を入手した。そうかDVDの売場でなくアニメ関連の売場に大量にあったか。道理で見付からん訳だ。
 長篇の改稿を続けながらDVDを見るが、……いいのかこれで。どうしようもなく淡泊。それだけならまだしも内容が薄い。シナリオとしてもほとんど何の意味もなく進行してるし。あるいは今後色々と錯綜した展開になるのか。しかし嫌いではないので結局買い続けることになりそう。……はあ。
 趣味で『Kanon』(Key・PCソフト18禁)のOP&EDの歌詞をテキストに打っていて、ふとその下手さ加減に嫌気が差した。個々のフレーズは意味深でそれなりに味わいがあるとも言えるんだが、それを安易に繋ぎ合わせただけで脈絡に乏しい。特徴的なフレーズを無作為に並べることである種のイメージを喚起する、という表現もあるにはあるが、実践には相当の技術が必要。要は彼らにそれだけの腕がない、ということを自覚していないからこういう失敗を犯すわけだが。ゲーム自体は悪くないんだけどなー。細部で技術の欠如を露呈するから今一つ盲目になれないのだこのソフトは。


1999年6月24日(木)

午前中に今日発売の『プレゼントプレイ』(digiANIME)を購入しに行ってから仕事。その手順と手続きでかなり疲弊してしまった。
 本屋でバイトの前にカッパノベルスの新刊を全部(島田荘司『涙流れるままに 上・下』、鯨統一郎『隕石誘拐』、愛川晶『海の仮面』、若竹七海『ヴィラ・マグノリアの殺人』)買う。仕方ないじゃないか本格推理フェアなんてやるんだから。他には織田無道と桜金造の文庫本と、漫画二冊。
 本にカバーを掛けて午前中に買ったゲームを一通りやっていたら長篇の直しをする時間がなくなった……そうだよ自業自得だよ悪いか。悪いか。

 村下孝蔵が亡くなった。悔しい。一度あのギターテクを生で聞きたかった。


1999年6月25日(金)

それにしても金曜日は暇。元々そういう性質の仕事なんだが。
 『プレゼントプレイ』一割ほど進めたんだが……うーむ。まるっきり不出来という訳ではないが、これでいいのか本当に、作った奴は納得してるんだろうか。粗方エピソードを見通したらレビューでもしてみましょうか。いつになるか解らんが。
 購入した物は布袋寅泰のベストアルバムに貫井徳郎『転生』(幻冬舎)坂田靖子『バスカビルの魔物』(早川書房)と一般書店に入りにくい雑誌もどきを一冊(読まないかも知れないから素性は記さない)。

 一応ホームページは日記とゲーム中心のレビュー、それに添えられたら小説の感想(批評などと、もはやおこがましくて……)やお話仕立ての画像なんかを取り入れるつもりなんだが、当面この日記だけがだらだらと進行しそうな気配。あああ早く長篇を書かねば。


1999年6月26日(土)

日中仕事がないのをいいことに『プレゼントプレイ』を続けていたんだが……バグ発生でセーブデータ喪失。最初からやり直し……うがぁぁぁ!!!!!!

 これを書いている段階で原因は判明済み。要は、発売日直後にデジアニメのホームページに掲載されたアップデートファイル(Ver1.01c)が不安定だっただけ。ある特定の条件下でセーブデータの破損が頻発する……などとコメントされているが、要するにチェックが甘いのだ。結論としてはVer1.00の方が確実に動作するらしいので、明日一旦アンインストールしてやり直すことに……畜生。結局この日一日潰した。


1999年6月27日(日)

午前中はゲームの続きと坂田靖子『バスカビルの魔物』(早川書房)。坂田靖子のは『ハヤカワミステリマガジン』に掲載された作品を集めたもの。総パロディ、などと言っているが結構切れ味の鋭いショートミステリも数編あり。『プレゼントプレイ』は一度やった処を繰り返すだけ。こういうミスが一度出ると企業に対するイメージも格段に下がるんだって、解ってていいと思うのだけど。


1999年6月28日(月)

就寝前にゲーム報告の続き。取り憑かれたようにやっているが、原動力の大半は憤りである。どうやらシナリオは三人目のキャラクターが登場する手前までどうにか進行したらしいのだが、そこで完全にルーティンワークに陥ってしまった。何かの条件を満たさないと次の展開に至らないらしいのだが、それを見付けるために手続きの面倒くさいシナリオを何度も何度も読み返させるのである。
 未確認情報なのだが、この『プレゼントプレイ』の脚本は『EVE burst error』『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』を手がけたことで、熱心なファンを獲得している菅野ひろゆきという人物らしい。この人は優れたライターである。文章に幼さや無頓着なミスがやたら目に付く、また演出が拙い(これは必ずしも氏の弱点とは言えないが、氏が殆どの作品でプロデューサー的な立場にいることを考えれば、拙さを見落としているという意味でやはり氏の欠点といえるだろう)という面もあるが、『EVE burst error』や『この世の果てで恋を唄う少女 YU-NO』に見られる、シチュエイションを無駄にしない巧緻なプロット、多少の粗は許せてしまうほど感動的なストーリー展開は、多分現在のゲーム業界では屈指のクオリティを誇っている。ただ、そのプロットやテーマ性に依存しすぎる余りか、作品の中途でつまらないルーティンワークにプレイヤーを追い込むことがしばしばなのだ。
 ゲームでは謎解きという形でプレイヤーにルーティンワークを強いることがままあるが、そういう場合は謎解きのための鍵をちりばめたり、同じ作業を繰り返させるユーザーの興を殺がないための細工を施すのが普通である(と、思っているんだけど私は)。ゲームというもの本来の楽しみは、ユーザーの行動に対するバラエティー豊かな反応であり、構造的にこの面で不利のある一本筋のAVGは、ストーリー性が強くなればなるほどこの点に留意しなければいけない。展開の途中でつまずかせ、それをプレイヤーに意識させるのは、プレイヤーに作品への興味を損なわせることであり、つまり作品からプレイヤーを遠退かせる結果となる。
 本当に菅野氏が本編に携わっているとしたら、恐らく幾度となく指摘されたであろう自らの欠点について氏が未だに無自覚であり、ユーザーの信頼を損なう結果を想像していないということになる。個人的には氏のコンシューマーにおける最新作『エクソダス・ギルティー』で、冒頭に前述した弱点が強調されてしまっていたために、既に氏の作品をあまり信頼しなくなっていたが、今私が陥っているルーティンワークぶりは、土曜日に発覚したバグも込みで、いよいよ失望の念を深くさせている。無論最初にも言ったように、『プレゼントプレイ』が菅野氏の携わった作品であるということ自体未確認であるし、シナリオも(バグの問題もあって)充分に読み尽くしていないので、この段階であれこれ結論してしまうのは危険なのだが……それでも、色々と危惧を抱かずにいられない。信用できる作家をまたひとり失いたくないのだ。

 未読の本を半分くらい詰めた段ボール箱にうちの猫が侵入して爪を研いだ。最大の被害者、泡坂妻夫。

 起床後。仕事の合間を縫って(って月曜日は殆どやることないんだが)午前中に西澤保彦『死者は黄泉が得る』(講談社ノベルス)読了。ノリは西澤節爆発なんだが、エピローグの記述が腑に落ちず何度も前に戻って読み直したり。やっぱり何かが違う。ストーリー展開自体は文句無しだが、この結末があるためにどうも低い評価を下してしまう。そう言えばホームページで小説の評論とかレビューとか書くんだろうか私は。それは流石におこがましいという気がして、ちと手が出し難い。しかし当面は手前の小説で手一杯だし……あとで考えるべ。その後本屋で気紛れを起こし、買うつもりのなかった電撃コミックスの新刊を買う。移動してまた別の店でコニー・ウィリス『リメイク』(ハヤカワ文庫SF)購入。作品よりも大森望氏の訳文目当て。何せ一度もまともに読んだことがないのだ訳書を。しかし買ったところで何時読むのかは謎だが。理由は、推して知るべし。
 ゲームはいささか懲りて小休止。バグの可能性も気持ちの上で否定できずに、メーカーに問い合わせのメールを出したのでその結果待ちという処。


1999年6月29日(火)

午前中にゆうきりん『魔法な男の子の飼い方』(集英社コバルト文庫)読了……って何を読んでるんだ私は。いや、でも好きなんですけどね昔から、こういう話。少々かったるい気分にもなったが結末は良。続くんなら読む。
 ここの処滞りっぱなしだった原稿を少しずつ進める。暫く手を休めるとテンポが掴めなくなるので仕方ない。しかし当初の予定では六月中には改稿を終える筈だったんだが。予定は未定。いいや、七月中に投稿できれば。

 一昨晩の私の剣幕に未だ猫が怯えている。もう君には怒ってないから緊張を解けというのに。

 日記を書き始めてから恒例の『プレゼントプレイ』報告。まだだめ。夜になって最新のアップデートファイル(Ver1.01D)がHPに掲載されたので早速実行すると、何故か突然ストーリーの停滞が解消する。これでようやく先に進めるかと思いきや、今度はムービー再生に一部異常が出た。シナリオもふたたびこう着に陥るし……はあ。もはや怒る気力も失せた。


1999年6月30日(水)

午前中は豪雨の中ひたすら仕事。何故ならあれが今週土曜の公開。
 午後に入っていきなり雨が上がったので買い物。目玉は『ホーホケキョとなりの山田くんオリジナル・フル・サウンドトラック』(徳間ジャパンコミュニケーションズ)。ジブリがどうこうではなくて、音楽担当の矢野顕子のファンなのだ。やのさんのピアノ聴き放題。そのあと本屋でストックしてもらっていた土屋隆夫『ミレイの囚人』(光文社)ほか購入。あとは漫画と雑誌と漫画のノベライズ。
 午後の空き時間を利用して、『プレゼントプレイ』の発売元に電話して色々と質問してみる。何故シナリオが先に進まないのか、ムービーが再生されなくなったのは何故か、等々。
 絶句。そんなんありか。難しいとかそういう問題ですらないじゃないか。とりあえず肝心のムービー再生不具合の解消方法も一つ聞いたので、ひとしきり文句を言って引き下がる。疲れた。

 帰宅後、電話で聞いた手段を実践。シナリオは確かに進んだ。だがその進展したシナリオのムービー場面で再び硬直。あっちこっち調べてみて大凡原因の察しはついたが……察しの通りだとすると、本当にやばいぞこの会社。先日出したメールの反応もまだだし。冗談でなく、この一作で死ぬ気なんだろうか。
 因みに昨日、バージョンアップ後にシナリオが進展したのは、プログラムがセーブデータに蓄積したフラグを読み違えたためと判明。そもそもそういうパッチの作り方自体が……ああもういい面倒くさい。
 長篇の直しは、どうにか進んでいるという程度。日に四枚ぐらいだ。当然だ毎日こんなにカリカリしていちゃ書けるものも書けぬわい。

 猫は未だに私の部屋で借りてきたネコ状態。大概にせえ。


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