2000年10月中旬の日常

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2000年10月11日(水)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20001011~.htm#Day11

 題して『Qの悪夢』。またしても執筆の合間に某氏と新しい企画を練ってしまう(捕まえたのは私の方だが)。気晴らしにはなるんだが気晴らしにかまけて本題が疎かになるのはどうかと。ノルマが残ってしまったが寝不足だと逆に頭が機能しなくなるので、頃合いを見て休むことにする。
 ともあれ来年私は同人作家になるらしい。乞うご期待。

 ……とか書いて計画倒れにならなければいいんだが。

 新保信長『笑う新聞』(メディアファクトリー・MFペーパーバックス)読了。意外とテレビなどで既に扱われた記事が多かったり、記事の読み込みが浅い面があったりと粗いところが目に付いたが、これだけ揃えば圧巻である。続刊にて更なる研鑽を期待します。はい。

『笑っていいとも!』水曜日では現在、冒頭に心霊写真を紹介するコーナーがある。地縛霊だとか守護霊だとかいうオカルトな概念は兎も角、心霊写真と一般に呼ばれるものはその不可解性自体が面白いので、毎週結構楽しみにしているのだが、今日一枚目に紹介された写真は非常に興味深かった。大振りな桜の樹を遠くから捉えたもので、その右手、下の方で桜を眺めている人たちが数人写っているのだが、そこに奇妙に真っ黒な人影があるのだ。凹凸が無く、しかも首がないように見える。出演者たちはそれらの点にのみ目を奪われていたが、実はこの写真、他にも不可解な点がある。
 人々は桜を取り巻くように設えた遊歩道に佇んでおり、道の内外を隔てるために杭とロープで柵が設けている。問題の黒い人影は、確かにその柵の向こう側に佇んでおり、証拠に影の上にはロープが二本、綺麗にかかっている。従って現像ムラなど機械的なトラブルの可能性は少ない。次に、首が無くまた体の他の部品もよく見えなくなっているのだが、そのくせサイズは横に並ぶ人々と較べて適当なのだ。深く考えなければ、間違いなくそこに誰かが立っている、としか見えない。だが、最も異様なのは、そうして一見普通に佇んでいるのに、件の人物は地上に影を落としていないのだ。間近な地面は陽光に照らされて白くのっぺりと写っているだけ。無論、他の人々は足許に影を映じているのに、だ。例えこれが黒い等身大のポップだったとしても、影はちゃんとあって然るべきなのに。
 これだけ説明の出来ない事象が揃えば、普通は怖がるか、何らかの興味を示すなりのリアクションがあっておかしくない。事実、このコーナーでは出演者が採点し、それに応じて賞金が支払われる形だが、レギュラー陣は前に挙げた不可解な要素には気付かなかったのか時間がなかったのか言及はしなかったものの高い評価を下した。問題は、ゲストで出ていた「モーニング娘。」の二名である。「解らない」と言い放って揃って一点を出した。君ら、知性は兎も角感受性もないのか? それ以前にコーナーの主旨理解してるのか?! 付和雷同に徹しろとは言わないが、一点を出すからにはもーちょっとまともな発言をしろー!!!
(尤も、私はこの曜日にこのコーナーをやっていること自体に間違いがあるような気がしてならないんだけども。ボケばっかりで誰もまともなツッコミしないし……)

 倉阪鬼一郎『不可解な事件』(幻冬舎文庫)珍しく購入翌日に読了。妙に身につまされる話が多かった気がするんだが。『田舎の事件』を引き継ぐ内容だが、前作以上に「狂気」を中心に据えており、完成度も高い。第三話『密室の蠅』、第七話『湖畔にて』は所謂理に落ちない結末で、受け入れづらいという向きもあるだろうし、また所々にミステリなどの素養を要する悪戯や描写が含まれていて、相変わらず敷居が高く感じられるが。内容と言葉の難しさに反してリーダビリティが高いのも特徴。マニア向けというイメージが濃いが、この質が文庫本で手に入るのだから、興味の無かった方が一度手に取ってみるのも悪くないだろう。


2000年10月12日(木)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20001011~.htm#Day12

 夜中にQで色々と打ち合わせたり印刷のことで相談したり。段々煮詰まってくる、のはいいんだが長篇はどうした。視点を複数挿入したことでやや混乱気味なのだった。内容が、ではなく書く私の方が。進展はしているので、まあ少し気を楽にして書き続けるしかない。

 恩田 陸『上と外(2) 緑の底』(幻冬舎文庫)読了。おや、まともに読書をしている……ように見えるが昨日といい今日といい薄めだから。連続ものの常としてどうしても思わせぶりな展開の引き方をしているのが気に掛かるが、文章の巧みさもあって読まされてしまうのは確か。心配なのは、完結したときにきちんと全ての伏線が処理されるのか、また果たしてこの分量に見合う物語として結実するのか。一巻にしてもこの巻にしても、心理描写や各キャラクターの造形や心理描写が多く、物語としての進展が乏しいように見えるのだ。そもそも、作者がこの物語をどういう方向に持っていきたいのか、二巻が終わった時点でも明示されていないのが不安でもある。前述の通り、読ませる手管はあるし、先が楽しみなのも事実なのだけど。首を傾げるような幕を迎えないことを祈りつつ、次を待ちたい。

 本日のお買い物
1,中山康樹『マイルスを聴け! 2001』(双葉文庫)
 だけ。どうやら本腰を入れる気になったらしいマイルス蒐集。しかし今一番欲しいジャズアルバムはマイケル・ブレッカーの『テイルズ・オブ・ザ・ハドソン』だったりする。何故か、は、買ったときに。
 ――で、早速ちょこちょこ読み始めたのだが――不満多し。熱心なマイルス信者のようで、極論を振りかざすのは別に構わないのだが、文章や表現が所々おかしい。あまり深く考えずに、奇態な表現を思いついたからそのまま使用する、という安易な感覚が窺われて不快感を覚える。また、マイルスが参加した全てのアルバムを網羅しているようで、その点を評価して購入したのだが、多分にガイドブック的な性格を狙っている印象があるにも拘わらず、アルバムの索引がない。必要があるときに題名から、或いはリーダーの名前から(全てがマイルス主導ではない)引こうと思っても、心当たりのページをその都度探さなければいけないのだ。「どれから聴いてもいい」とは記しているものの、ガイドブックとしての効能を狙っているのなら索引は必須だろう。願わくば参加ミュージシャンそれぞれの名前からも引けるぐらい詳細な索引が欲しいところだが、最低限の索引すら用意されていないのは不手際に過ぎる。三度目の増補だが、以前の版でも同様の不手際があったのだろうか?
 またそれ以前に、アルバムタイトル・リーダーミュージシャン・発売レーベルを記した欄が非常に読みづらい。アルバムタイトルの表記とリーダーの表記がごっちゃになっているため、本文に目を通さないとアルバムがマイルス名義ででているのか他のミュージシャンの名前で発表されているのか理解できないのだ。
 肝心のアルバム紹介に於いても、内容の絞り込みが出来ておらず、例えば自分が買うつもりのアルバムについて調べてみても、他のアルバムやアーティスト、別の箇所で触れた事実について触れたりしているもので、結局余計なページにまで目を通さなくては理解できない、というものが多く、ガイドとしては不便極まりない。――結局、ガイドとして購入したのだが、ざっと見た限りでは存分に役目を果たしてくれる内容とは思われなかった。
 それにしても、以前の版ではここに論った点から批判を受けなかったのだろうか? 或いは、受けていても知らん顔を決めていたのか? ――いずれにせよ、私同様これからマイルスを聴いてみよう、と考えている方に対して、この本はお薦めできるレベルにない。音楽云々を語る前に、評論家として、それ以上に編集者としてもっと精進した方がいいと思う、この著者。まあ買った以上は仕方ないから、全部読んで理解に努めるとしましょう。少なくとも筆者がマイルスを聴き込んでいることだけは確かなようだし。


2000年10月13日(金)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20001011~.htm#Day13

 初めてスピード違反でキップを切られる。その記念にMiles Davis『You're Under Arrest』(SME Records)を購入する……洒落になってない。あいたたたたたた。

 本日のお買い物
1,鮎川哲也・監修/芦辺 拓・編『本格推理マガジン 絢爛たる殺人』(光文社文庫)
2,山口雅也『キッド・ピストルズの慢心』(講談社文庫)
3,Miles Davis『You're Under Arrest』(SME Records)
4,坂田靖子『チューくんとハイちゃん』(双葉文庫)
5,川原由美子『前略・ミルクハウス(6)』(朝日ソノラマ・ソノラマコミック文庫)
6,浅田次郎『天国までの百マイル』(朝日文庫)
7,小野不由美『風の万里 黎明の空(上)(下)』(講談社文庫)
8,堤 幸彦・監修/蒔田光治・林 誠人『TRICK the novel』(角川書店)

 まるっきり創元推理文庫な2に思わず笑う。1は早めに読まなくては。マイルス本を読み終え次第着手のつもり。3については長くなるので別項にて触れます。8は一部では待望の出版、と言っていいのか。あのニュアンスを文章で表現できているか否かがポイントだろう。

 ――さて、気を取り直して、Miles Davis『You're Under Arrest』について。まだ昨日購入した『マイルスを聴け! 2001』が途中なので、位置づけをきっちり理解していないのだが、感想ぐらいは書ける。
 収録・発表共に1985年、今から15年前の作だが、『Kind of Blue』がそうであるように古さがない。これ一枚で世界が完成しているのが凄い。シンセサイザーに、スコフィールドとマクラフリン二人のジョンによるエレキギターを従えて、60歳になんなんとするマイルスの演奏のなんと若々しく、しかも愛らしいことか。当初私が興味を抱いていたのは、スティングがどんな形で参加しているのかだったのだが、これは一種のハプニングであり(ライナーによるとこの偶発的な起用が直後のレーベル移籍に繋がったらしいし……真偽は不明。『マイルスを聴け』ではこのエピソードに触れていない)、勘所は全編を覆うポップス・ファンク的なイメージと、ポピュラーからのカバー『Human Nature』及び『Time After Time』と言うべきだろう。前者はマイケル・ジャクソン、後者はシンディ・ローパーの楽曲だが、これをマイルスは哀愁に満ちたトランペットで歌いきってしまう。『Human Nature』は生憎原曲を知らないので比較検討が出来ないが、『Time After Time』は確かに凄い。頭からマイルスのトランペットが遠吠えのように鳴り響き、即座にメロディに突入、そこからサビまでひたすらオリジナルの旋律を辿るだけなのだが、この泣き方が異様に沁みる。『マイルスを聴け!』の著者はこの演奏を絶賛していたが、宜なるかな、だ。他のトラックも、シンセサイザーのバッキングと要所要所で露出する二人のギタリストがハードかつファンキーな匂いを纏わらせて聴き応えあり。いいアルバムだぁ。個人的に色んな意味で忘れられない作品になったぞと。

 寝る前に、多分誰も指摘しないようなミスを訂正する。『Time After Time』の行だが最早調べても解るまい。ところでここを御覧の方で、マイルスに詳しい方っているんだろうか。


2000年10月14日(土)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20001011~.htm#Day14

 ちょっと腑抜け。

 それはさておき、午前中から買い物に出かける。どうしてももう一枚マイルス・デイビスが聴きたくなったのである。やや臆病にバイクを走らせる。で、さんざ迷った挙句に購入したのは
1,Miles Davis『'ROUND ABOUT MIDNIGHT』(Sony Records・CD)
 詳細は後回し。続いて別の店に行き、先週購入したのと同じCD収納用コンテナケースを二つ入手する。これらの買い物は全て蓄積したポイントで済ませた。楽々。その後遠回りして、元バイト先にて定期購読誌二冊を仕入れ帰宅。うち一冊、『Jazz Life』を読んで、歓喜。

祝・パット・メセニー
トリオによるライブアルバム二枚組
12/13発売(予定)!!!!!!

 ここを見ている人で私と同等ぐらいに喜んでいる人がどれだけいるか解りませんが、兎に角嬉しいぞ畜生。収録予定曲にはあの『Question and Answer』も入っているぞ。うおおおおお。
 他には、村上“ポンタ”秀一(ds)・佐山雅弘(pf)・村田陽一(tb)三名のプロデューサーが主催するレーベル“3 VIEWS”からの第一弾、3 Views Producers『3views』が来月8日に発売というのがこれまた個人的に朗報。何故かというと、このアルバムメンバー構成は実質PONTA BOX+ブラスセクションに忌野清志郎・布袋寅泰・吉田美和のゲストという、非常に豪華な代物だからである。また、この面子がジャコ・パストリアスのバラード『3 views of a secret』(グループ名に引っかけたものなのか、それともこの曲の採用があって“3 VIEWS”だったのか)をどう料理してくれるのかも楽しみの一つ。因みにこのレーベルからは続けて同22日に、村田陽一プロデュースによる佐山雅弘のソロアルバムを発売するそうな。こちらも私は興味あるぞ。楽しみ、だがこの期に及んでマイルス・デイビスなんて嵩張るものに嵌ってしまったので、結構辛いかも知れないこの年末。

 ――さて、Miles Davis『'ROUND ABOUT MIDNIGHT』(Sony Records)について。
 このアルバムは1956年、マイルスがPrestigeというレーベルからColumbiaに移籍して最初に発表したアルバムであり、屈指のセールスを記録した代表作の一つ。収録自体は1955年に数曲が行われているが、まだPrestigeとの契約が残っていたために発表が控えられていたという。マイルスは契約を早く完了させるために、1955年5月と10月に行われた二度のレコーディングで4枚ものアルバムを形にするという荒技をやってのけたそうな。世に「マラソン・セッション」と通称のある作品群で、全て進行形の単語一つのタイトルにて発表されている。無論全てCD化済みで入手は容易。
 で、肝心の中身だが、標準的なストレートジャズのスタイルとして完成に近付きつつある過渡期の作品、といった印象。マイルスの演奏単体は既に極上品だし、全体の質もいいのだが、如何せんこっちは異常な傑作『Kind of Blue』を先に聴いてしまっているし、またライブ盤『My Funny Valentine』ほどの情念もまだ感じさせずあっさりしている分、割を食っている。マイルスのトランペットとジョン・コルトレーンのテナーサックス二管のみで恐ろしく豊かなアンサンブルを作り上げてしまった(しかも、本来ギル・エヴァンスがオーケストラ用に作ったアレンジを頂戴し、レコーディングの現場でカルテット用に仕立て直すという真似をやっていたらしい)業はそれだけで称賛に値するのだけれど。中山康樹『マイルスを聴け! 2001』で絶賛していた『'Round Midnight』の中のアクセントとなる箇所も、アイディアではあるがあの流れを活かすために必要なものとして挟まれただけに聴こえ、このアルバムでは未だ試行錯誤の途中にしか聴こえない。
 と、あれこれ辛目に並べ立てたが、『Kind of Blue』などの名作を先に聴いてしまったが故の繰り言と取っていただきたい。実際にはその試行錯誤ぶりと相反するマイルスの完成ぶりも含めて、間違いなく名盤の一つ。

 中山康樹『マイルスを聴け! 2001』(双葉文庫)、そんなわけで読了。総評は……もし私が編集者だったら、原稿の大半に朱を入れるか突っ返します。さもなくば他にマイルスに造詣のあるライターを数名呼んで、全員でディスカッションを踏んだあと、分担形式で執筆させ直します。
 いけない点は幾つもあるが、思いつくままに並べてみよう。
 まず、先日も触れたことだが、ガイドブックとしては不親切すぎる。参加アーティスト毎の索引、はあまりに贅沢な発想だとしても、アルバムのアルファベット順索引すら添付していないのは拙い。これも先日言及したが、マイルスのリーダー作なのかサイドメン作なのか(尤も、マイルスが純粋にバックで参加した作品は初期と最晩年に集中しているとは解ったのだが……)咄嗟に見取りづらい構成もいけない。そして読んでいて更に問題だと感じたのは、正規盤とブートレグ(海賊版・流出音源・非公式録音など)の区別が、本文を読むまではつけられない点。如何にブートレグを評価しているからと言って、その差別を全くつけない表記の仕方は考えものだろう。誰もがブートレグを扱う店を知っている、店に行くつもりがあるわけではないのだから。パートを分けるなりするか、ディスク名称の欄に明記しておくかするのが真っ当なやり方だ。
 そして、何より酷いのが、各ディスクの収録曲を記した箇所。言及するのをマイルスが参加した曲、及び初収録の音源に絞るやり方自体は悪くない。しかし、ブートレグなどは扱っているのが正規の企業ではない所為か、トラック名や参加アーティストの記述に誤りが多いらしい。だが、ここで著者は、語気と思われるタイトルを自らの判断で全て修正してしまっている。
 これが如何に馬鹿げた行為かは、古書蒐集などを行っている方なら解るだろう。例えばブートレグのディスクの表記でAとなっているが、内実はBとCの合成・メドレー形式の楽曲と推測される。これだけ聴き込んでいる著者なのだから、本文の中でその事実に言及するのは一向に構わない。だが、例え中身が何であろうと、紹介する上では一旦オリジナルの表記に倣うのが本当ではないか。それを、この著者は自分の独断に従ってトラック名を「A」ではなく「B〜C」に改竄してしまっているのである。中身がBとCであっても、マイルス或いは事情を知る人間が「A」というタイトルにした、という可能性もある以上は、例え著者がどう判断しようと一旦オリジナル通りに表記するべきだ。第一、最終的に真偽を判断するのは読者なのだから、その手の改竄は余計なお世話、というか実際に蒐集するに当たって表記と異なる題名になっているために、対象が一致しないという手間がかかる危険を増やすという意味では、一層質が悪い。
 しかもこの類の改竄はブートレグに留まらない。今日私が購入した『'Round About Midnight』、言うまでもなくレーベルとの契約の元で発表された正規盤だが、この中にも酷い改竄がある。私自身勘違いしていたのだが、アルバムタイトルは『'Round About Midnight』であっても、中に同じタイトルの楽曲はない。このアルバムトップに収録されているのは、セロニアス・モンク他二名の作曲による『'Round Midnight』のカバーである。アルバムタイトルはこれをもじったもの、と考えるべきだろう。だが、この中山康樹という著者は、ここで『'Round Midnight』を『'Round About Midnight』と表記、以後マイルスが再演したりして幾度もレコード化された同曲も全て『'Round About Midnight』に差し替えてしまっている。
 曲そのものを知らなくても、『'Round Midnight』という題名に聞き覚えのある方はいるだろう。先述の通りオリジナルはモンク、マイルス以後もハービー・ハンコックが同名映画のサウンドトラックとしてカバーしているし、最近ではチック・コリアが自身のピアノ・ソロ・アルバムの中で演じている、れっきとしたスタンダードナンバーである。その中でも確かにマイルスの演奏は傑出しており、独自のものと言うことは出来るだろうが、だが公式に『'Round Midnight』とされているものを勝手に改称するというのは、作品を紹介する人間の態度ではない。マイルスが公式に『'Round Midnight』とクレジットしているのだから、これは間違いなくモンクを原典とする『'Round Midnight』であって、『'Round About Midnight』などという素性の知れない楽曲ではないのだから。勘違いにしても、マイルスが演奏したこの曲全てを同様に改竄しているのはあまりに酷い。いまのところ他の曲で同様の愚行を犯したという発見はないが、著者自ら名編曲と評価したこの曲を斯様に素性不明の代物に仕立て上げた一件だけで、著者の思慮の乏しさは明らかだと断言する。
 そして最後に本文について。マイルスの楽曲に対する愛で溢れており、その点で澱みがないのは認めよう。だが、幾度も「ク〜ったまらん」などというセンス皆無のフレーズを乱発したり、どうしようもないオヤジギャグを挟んではいちいち人を脱力させる文章の書き方は全く戴けない。取り分けオヤジギャグについては「ファイト一発」はまだしも「これはたまらんち会長」(……)などという、数年経てば間違いなく風化するような代物を平然と入れている辺りに思慮の乏しさがありありと窺われる。この手の寒いギャグを見付けるたびに、本を投げ出したくなった。
 気の毒なのは、この程度のセンスしか持ち合わせない著者に「イモだ」「ダサい」などと詰られた初期のコルトレーンに、数作参加したきりで消えたソニー・スティットである。スティットはいざ知らず、まだ批判を浴びていた時期のコルトレーン参加作『'Round About Midnight』(アルバムタイトルです念のため)を聴く限り、当時のコルトレーンでも今の著者の数十倍はセンスあると思うんですけど。
 つまり何が言いたいのかというと、この程度のセンスの持ち主が幾ら作品の出来を論じたところで説得力がない、ということ。そこで、上記の提言となったわけ。他にも、アルバム全体で最初に収録されたセッションを参考に並べてしまったため、実際の発表時期との間に混乱と齟齬が生じているとか、マイルスのバイオグラフィーがアルバム紹介の中で一緒に語られてしまっているため、どのような思考的音楽的変遷があったのか理解しづらくなってしまっている(精細なものでなくとも、代表作の発表時期や生年・没年月日ぐらいは記したバイオグラフィを添付するのが親切というものだろう)などまだ粗は思いつくが、取り敢えず著者にセンスがないことは以上で証明できたと思うので省きます。なお、「所詮ちゃんとしたガイドブックではないから」という言い訳を著者がしても無効であることはお断りしておきます。そもそも本文中で何度も本書がガイドとして用いられることを想定した文章が出てくるのに、前書きなどでそれに対して「逃げ」を打つようなことを書くこと自体、一貫した姿勢が著者にないことを証明しているようなもので、みっともないことこの上ない。
 兎に角、これからマイルスを聴こうと思う人は、この本だけは手にとってはいけません。他にもっといい本があるはずだ。より良心的なマイルス本を御存知の方は、↓の送信フォームなどからご一報いただければ幸いです。或いは本書の担当編集者、著者でも構わないですが、改善する気があるならご連絡下さい。相談ぐらいならいつでも乗ります。

 あー疲れた。

 彩胡ジュンの正体は、二階堂黎人氏と愛川晶氏だったそうな。実は私、愛川晶氏だけはプロローグの段階で見抜いてました。その後推理することをすっかり忘れて、懸賞へも応募していないんですけど。まじめに考えておけば良かった。因みに、政宗九さんここで正解を言い当てられてます。応募はちゃんとされたのだろうか。


2000年10月15日(日)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20001011~.htm#Day15

 腑抜けている場合ではないと気づき俄に気力を奮い立たせるも、プロットでは僅か三行の場面に原稿用紙10枚近く費やしている不思議にちょっと挫ける。三人称で視点人物がその都度切り替わる方式を選んでしまったのが原因で、他の場面ではプロットそのまま書けばいい、という処もあるんだが。くそう負けてなるものか。ここを抜ければお楽しみシーンだ――違うそうじゃなくて。

 マイルス・デイビス、パット・メセニー、ジャコ・パストリアス。最近特に贔屓のジャズ・ミュージシャンだが、三名とも共通しているのは、ジャズを基盤にしながら提示する音楽は何処にもカテゴライズしにくい、という点。マイルスは生涯に渉って様々なスタイルを吸収し発展させているし、ジャコはエレキベースという楽器の表現においてジャンルを超越するほどの影響を齎し、また極めて独創的なビッグ・バンドを率いて一時代を画した。パット・メセニーは唯一「ジャズ」というスタイルに拘りを持ち続け、ソロではサイドメンとして、或いはトリオなどシンプルな編成の元でジャズを追求し続けているが、一方デビュー直後から続けている『パット・メセニー・グループ』を核とした活動では、前述の二人以上に独自の世界を完成させており誰の追随も許さない。
 で、今日ふと、この三人にもう一つ共通点があることに気付いた。ミュージシャンが会社と揉めてレーベルを移すことはよくある話だが、御多分に漏れずこの三者も複数回、契約レーベルが変わっている。マイルスはPrestigeというレーベルからColumbia(日本ではCBS→CBS Sony→Sony Records→SME Recordsと変遷)に移動し、晩年はWarner Bros.で活動している。ジャコはデビューアルバム・及びWeather Report在籍時代にCBS、その後セカンドソロアルバム『Word of Mouth』をWarner Bros.から発売するが、サードの前衛的な内容故に会社側と対立、お蔵入りとなって以降、公式なアルバムは発売されていない(ブートレグ的なアルバムや突発的な作品は多数発売されているが、何れも正式な長期契約ではないと思われるため数えない)。そしてパット・メセニーはというと、まずECMにおいてデビューから初期の傑作『First Circle』を発表し、その後Geffen(MCA Victor)でブラジリアンスピリッツに満ちた名作『Still Life(Talking)』・『Letter From Home』・ライブ盤『The Road to You』、更にソロで畢生の大傑作『Secret Story』などを発表するなど大活躍したのち、1997年からはWarner Bros.で活動中。
 ――お解りですね? いずれも最後はワーナーブラザーズなんです。そして、この中で存命なのは、パット・メセニーただ一人。
 余計な心配だと解っていても。

 執筆の傍ら、次に買ってみたいマイルスのアルバムを洗い出したり。今度は数枚纏めて手に入れてみたい。それも、Prestige時代から一枚(それも狙いはプレスティッジから発売されたものではなく、同じ時期にあのBlue Noteから発売されたライブ盤二種)、コロンビア移籍後、コルトレーン・キャノンボールらがいた時期のものから一枚、ウェイン・ショーター&ハービー・ハンコックらが在籍した最強のクインテット時代のライブから一枚、ギル・エヴァンス編曲によるオーケストラとのコラボレーションから一枚、エレクトリック時代のものから一枚、そしてワーナー移籍後から亡くなる直前までのスタジオ盤から一枚、といった具合に、各時代から美味しいところを一枚ずつ拾うというやり方で買ってみたいのである。そして至福の時を過ごすのだ。
 ――というか、これを自分へのご褒美にしたら多少は奮起の材料になるかもな。リストだけ作ってディスプレイに貼っておくとか。

 執筆快調(理想のペースではないにしても)だが、ちょっと倦んできたので二度目の更新。書き忘れたこと二つ。
 昨日付けの日記で触れた政宗九さん、応募してなかったそうな。残念、献本でいらないのがあったらたかろうかと思ってたのに。
 もう一点。母が近所で首藤瓜於氏を目撃したらしい。……いや、考えてみれば今まで存在を知らなかったこと自体不思議なんですけどね。それ以上に私は、何故近所で倉阪鬼一郎氏に会えないのか、それが不思議でならない。……平日彷徨いてないからか私が。


2000年10月16日(月)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20001011~.htm#Day16

 プロットの密度と実際の執筆枚数が違いすぎる……

 本日のお買い物
1,鯨 統一郎『千年紀末古事記伝 ONOGORO』
2,竹本健治『鏡面のクー』(以上、角川春樹事務所・ハルキ文庫)
3,赤松 健『ラブひな(9)』(講談社・マガジンKC)
4,高橋留美子『犬夜叉(18)』
5,安西信行『烈火の炎(26)』(小学館・サンデーコミックス)

 ふむ。マイルスのCDが買いたいぞ。

 久々にアニメ鑑賞。高橋留美子・原作『犬夜叉』(読売テレビ系列)。オープニング・エンディングテーマが内容とまるで合っていない(しかもOP、タイトルが『CHANGE THE WORLD』だとう。なめとんのかV6)のはもう仕方ないとして、台詞回しにしても演出にしてももう少し練れるだろう、という気がした。絵はそこそこの出来だが、第一回ということを考えると先行きが不安になる程度。こういっちゃ何だが、フジテレビでアニメ化していた頃の方がレベルは高かったように思う。まあまだ珊瑚が出てきてないし(実は結構好き)、あと鋼牙の声を誰が当てるのか(山寺宏一だったら誉めてあげよう)にも興味があるので、当分は様子見するとしよう。処で、最近アニメの次回予告を喋る声優ってどうしてこんなに間の取り方がド下手なの? 演出家が悪いの? 教えて。
 続けてたまには『名探偵コナン』でも見てみるかとそのままテレビを点けっぱなしにしておくも、OPアニメの太極拳を見て挫ける。


2000年10月17日(火)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20001011~.htm#Day17

 午前12時を過ぎた頃、突如異変は起きた。「ぷち」という音と共に、パソコンの画面が俄に黄色っぽくなった。ディスプレイのプロパティ、設定、OSの再起動、最終的には電源を切って起動し直すという手続きを踏むが改善の兆しなし。……御臨終召されたらしい。PC9821、NXにスイッチするちょっと前のミニタワー型のセットとして我が家にやってきたモニターである。その後Gatewayに鞍替えするときも、モニターは買い換えずそのまま流用した。都合、三年半。その間家にいるときは殆どパソコンを起動させっぱなしにしており、DVDですら鑑賞していたモニターである。そりゃあ寿命も来るわな。
 と、それはすぐに諦めがついたものの、問題は執筆だった。全体が黄色っぽくなっただけで、当然ながらソフトウェアに悪影響はない。とは言え、そもそも配色が無茶苦茶になっているため、例えば文字入力中に未変換か変換済みかが咄嗟に判断できなかったり、ホームページのデザインによっては文章を読むのにも苦労するし、何より来月以降CGやホームページの作成を再開する予定なのだが、その際は仕事にすらならない。ICQで愚痴りつつ、騙し騙し執筆を続けていたがしまいに眼がしんどくなってきたので早めに就寝する。
 いつもより若干早くに起床し、再度PCを起動してみる。やっぱり黄色い。改めて、今日中に買い換えることを決意した。さっさと出勤し、早めに仕事を片づけて注文しようと思うが、こういうときに限って必ずトラブルが発生する。編集サイドで出力できる状態にまで持ち込んだデータが、何故か出力用のMacに弾かれる。昔作ったデータがちゃんと流れるのを確認したあと、結局データを一部作り直して出力し直す。これで30分程度のロスとなった。慌てて出発し、行きがけに行き付けの本屋で定期購読誌他を入手して、上野の電化製品店へ。予め心積もりは決めてあったので殆ど迷いなし。……が、サイズも殆ど同じ、性能も何処が違うのかよく解らない、でも製品番号が違っていて価格も一万円近く隔たりがある。悩むまでもなく安価の方を選んだ。やや料金がかかるものの、必要なものなので即日配送の手続もして貰う。どうにか安心した。店員がやたら手続に手間取るが今日の私は心が広い。
 そのあと、執筆のことも考えると早く職場に戻るべきなのだが、何となく一階にあるゲームソフト売場を眺めてしまう。『センチメンタル・グラフィティ2』と『ルームメイトノベル』が1980円。一瞬手を出しかけたとき、言いようもない虚しさに襲われてそそくさと売場をあとにした。その後、我慢できずに秋葉原まで足を運んでCDを一枚だけ買う。で、本日の買い物は以下の通り。PCモニター除く。
1,安童夕馬・朝基まさし『サイコメトラーEIJI(25)』(講談社・マガジンKC)
2,Miles Davis『The Man With The Horn』(SME Records)

 結局我慢できねえでやんの。2はマイルスが1975年のライブを境に一時引退、その後1981年に復活した時の第一作。引退以前のエレクトリック路線を継承しつつ、若手と共にシンセサイザーを採用、硬質さとポップセンスとを発揮させた作品。私としてはある種彩り豊かとも言える『You're Under Arrest』の方が好みだが、こちらもマーカス・ミラーのベースを核とした重量感のあるサウンドが魅力的で、かつ未だに古びないムードがある。やっぱりいいわぁ。……実は当初は1969エレクトリック時代の大作『Bitches Brew』を買うつもりだったのだが、そういうときに限って在庫がないのよ。

 帰宅すると、『別冊シャレードVol.57 芦辺 拓特集』が届いていた。今回私の文章も載せていただいたのである。何故か後半に不思議な「?」が所々混入しているのがちょっと悲しいが、兎も角嬉しい。今まで読む機会のなかった名探偵Zシリーズが全編掲載されているので、これを機に読むのである。
 それはそうと、問題は部屋の状態。このままではモニターを交換するどころではないと、意を決してちょっと大幅に片づける。ゲームソフトの箱を段ボールに纏めて倉庫代わりの一室に移し、埃を被ったところを雑巾で拭ったりと出来る限りの片付けをする。その間に荷物が届き、慌てて壊れたモニターを詰めようと、部屋のクローゼット上部に仕舞ってあった段ボールを取り出そう、としたところ、きつくて出ない。モニターの入れ物がクローゼットの枠に引っかかって上手く出ないのだ。それを片手で壁に引っ付けたりドアの上まで持ち上げてからドアを開けたり(そうしないと何処かが崩れる……)、宛らパズルゲームのように動かしながら廊下まで持ち出し、続いて古いモニターも廊下に出す。そしてまた苦労しいしい新しいモニターを設置すると、意外にも前より全体は小さい。前は壁ギリギリでろくに向きも調整できなかったが、今回はスムーズに動く。満足しつつ、新しいモニターの箱を古い方の箱が置いてあったところに入れようとする……が、全然入らない。中身は一回りほど小さくなったのに、外箱は一回り大きくなっていたという不思議な展開。仕方なく再度廊下に出し、食事をしたあと古い箱に入れたモニターと共に倉庫代わりの一室に収めた。
 いよいよ新しいモニターを点けてみる。フラットディスプレイ、しかも新しいから当然ではあるが美しい画面。更に、今までは1280x1024までの対応だったのが、このモニターは1600x1200の表示も可能になっている。広い。CGやデザインを扱っているときに今までの解像度では段々狭苦しく感じるようになってきていたのだが、これでだいぶ心地よくなるだろうか――しかし広い、かつ字が小さい。画面を見ているとふと眩暈を覚えるほどに。この新機能は怪我の功名であったが、ますます目が悪くなるような気がしないでもない。

 ――ふと、そう言えば駄目になった状態のモニターを、物珍しさからデジカメで撮影していたことを思い出し、午前一時を過ぎてから俄に作業を行う。下が問題の写真。

黄色い悪夢

 厭でしょ? 毎度ながら写真をクリックすると原寸で表示されます。散財だったがいいネタになったので万事オーライ、と言うような心境になっている自分がちょっと怖い。


2000年10月18日(水)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20001011~.htm#Day18

 本格的に余裕がないの。そして昨日大放出してしまったために書くネタもなし。

 本日のお買い物
1,皆川亮二『ARMS(14)』
2,楠 桂『鬼切丸(18)』(以上、小学館・サンデーコミックス)
3,田中芳樹『黒竜潭異聞』(実業之日本社)
4,望月花梨『スイッチ』
5,野間美由紀『感じるサファイア -新ジュエリー・コネクション3-』
6,羅川真里茂『しゃにむにGO(6)』(以上、白泉社・花とゆめコミックス)
7,秋田禎信『エンジェル・ハウリング1 獅子序章-from the aspect of MIZU』(富士見ファンタジア文庫)

 ――『花とゆめ』を購読しているのに(!)何故4を読んだ記憶が殆どないのだろう……? 最近の掲載分には間違いなく眼を通しているのだが。7の投げ込みチラシに探していた名前を見付けるがだからと言ってどうにも出来ず。どう手を回せばいいんだよそもそも。

 濡れ場の力加減が解らなくて困惑する。書きすぎたら……やばいよなあ。しかし今の悩みってそれなのか俺。


2000年10月19日(木)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20001011~.htm#Day19

 リフレッシュのために違うものを書きたくなってきた。だが、そんな時間は残ってないような気がする。物語の性質上、物理的にも精神的にも逼迫した状態が続くので、描いているこっちもじわじわと追いつめられてしまうのだな、と言い訳しておく。30日を目処にすれば何とか間に合うが、やっぱり文章を推敲したいなー、この話は。勢いだけで書くとムードが壊れそうだ。リフレッシュは……脱稿までお預けか。

 本日のお買い物
1,倉知 淳『壺中の天国』(角川書店・新本格ミステリー書き下ろし)
2,倉田英之・山田秋太郎『R.O.D(1)』(集英社・ウルトラジャンプコミックス)
3,大貫妙子奥田民生鈴木慶一宮沢和史矢野顕子『LIVE Beautiful Songs』(東芝EMI)

 2、出来は兎も角、菫川ねねねの能力が切実に欲しいぞ。どうすればラップトップ二台同時に扱えるんじゃー! そんなことして文章荒れないのか貴様ー!!!
 3はリンクを貼るだけで疲れました。発売の話は聞いていたが、随分贅沢なことやってたんやねー、というだけで強いて買う気はなかったのだが、レコード店で選曲を見て思いっ切り傾いてしまった。Moonridersの『Sweet Bitter Candy』と矢野顕子(正しくはThe BOOMとの競演)『それだけでうれしい』、個人的に思い入れのあるこの二曲が収録されてるー! しかも、鈴木慶一を除くと(すまん……だが)非常に歌の上手いメンバーばかりだし。値段も手頃なので結局買ってしまう。マイルスをもう一枚仕入れるつもりだったが、まあ良し。
 こうして改めて見ると、3の参加者五人に共通するのは、何れもアベレージの高いソングライターであるということ。『Beautiful Songs』とは良く言ったものだ――案の定というか、名付け親は糸井重里らしい。実際、詩・曲共にクオリティが高いものを中心に、一部は別のアーティストの曲を演奏する趣向も取り入れているのがいい。しかし矢野顕子、『すばらしい日々』をレコーディングするのこれで何度目だ。もう完璧に矢野の歌と化している。聴き所は二枚目冒頭に並ぶ、糸井重里の詞に参加者がそれぞれ曲を付けた競作だが、まだそこまで辿り着いてないの。


2000年10月20日(金)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20001011~.htm#Day20

『踊る大捜査線』TVドラマシリーズのDVD発売が決定。うっしゃあああああ。だが発売は12/20(本編シリーズのみで、特番枠で放映された三作は1月発売)。……多すぎるんだけど12月。で、『セブン』のDVDは一体いつ出るのよ。

 本日のお買い物
1,井上雅彦・編『異形コレクション綺賓館(1) 十月のカーニヴァル』(光文社・カッパノベルス)
2,樋口 橘『MとNの肖像』(白泉社・花とゆめコミックス)

 1はカッパノベルスのフォーマットが完全に無くなってます。しかし、デザインが美麗すぎて、ちゃんと制作費って回収できてるんだろうかと余計なことを心配してしまう私は貧乏性。
 加えて書籍小包拝受。
3,北方謙三『風裂』
4,花村萬月『風転』(集英社)

 お返しは蕎麦奢りということで。……しかし随分と美本で驚いたり。このところハードボイルドやノワール的な作品は馳星周しか読んでいないので、いい機会だからここから手を付けようかしらん。……その前にやることがありますね。はい。


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