/ 『キル・ビル Vol.1』
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『light as a feather』トップページに戻るキル・ビル Vol.1
原題:“Kill Bill Vol.1” / 監督・脚本:クエンティン・タランティーノ / 製作:ローレンス・ベンダー / 製作総指揮:ボブ・ワインスタイン、ハーヴェイ・ワインスタイン、エリカ・スタインバーグ、E・ベネット・ウォルシュ / 撮影監督:ロバート・リチャードソン / 編集:サリー・メンケ / 美術監督:種田陽平、デヴィッド・ワスコ / 武術指導:ユエン・ウーピン / 音楽:THE RZA / アニメーション:プロダクションI.G / 特殊メイクアップ効果:KNBエフェクツ・グループ / 出演:ユマ・サーマン、ルーシー・リュー、ダリル・ハンナ、ヴィヴィカ・A・フォックス、マイケル・マドセン、デヴィッド・キャラダイン、千葉真一、栗山千明、ジュリー・ドレフュス、ゴードン・リューマイケル・バークス、國村 隼、北村一輝、麿 赤兒 / 配給:GAGA-HUMAX
2003年アメリカ作品 / 上映時間:1時間53分 / 日本版字幕:石田泰子
2003年10月25日日本公開
2004年04月16日DVD日本版発売 [amazon(限定プレミアムBOX)|amazon(通常版)]
公式サイト : http://www.killbill.jp/
池袋シネマサンシャインにて初見(2003/10/25)[粗筋]
花嫁(ユマ・サーマン)は婚礼の場で頭に銃弾を撃ち込まれた。花婿も友人たちも、お腹のなかにいた子供さえも奪われた。だが、花嫁は昏睡状態のまま生きながらえていた。惨劇から四年後、覚醒した彼女は、昏睡状態の自噴に悪辣な仕打ちをした男共をまず血祭りに上げると、殺害した看護士の持っていた車――毒々しいロゴで「Pussy Wagon」と記された――を奪い、旅に出た。自分を殺した人々に復讐するために。
花嫁たちを襲撃したのは、かつて彼女が所属していた暗殺集団DiVASの面々。最大の目標は、その頂点に立ち、DiVASに所属する女たちを――花嫁も含め――虜にしていた最高の殺し屋・ビル(デヴィッド・キャラダン)。だが花嫁は、手始めに日本は沖縄に向かい、かつて世界最高の刀匠として各国の暗殺者の崇敬を浴び、ビルという才能を育て上げながらも今は引退し、流行らない寿司屋の板前をしている服部半蔵(千葉真一)を訪ねた。
事情を理解した服部は、花嫁のために重い腰を上げ、28年振りに刀を打つ。その刀を携えて、花嫁は一路東京を目指した。最初の目標オーレン・イシイ(ルーシー・リュー)は現在、クレイジー88という私設軍隊を率いて日本のヤクザ社会の頂点に立っている。クレイジー88のトップ、ジョニー・モー(ゴードン・リュー)、鉄球使いの残虐な女子高生ゴーゴー夕張(栗山千明)に左右を固めさせた彼女に付け入るのは容易くない。
部下とともにオーレンが訪れた和風ディスコ青葉屋で、花嫁は行動を起こした。オーレンの側近のひとりで日系フランス人の冷血な女弁護士ソフィ・ファタール(ジュリー・ドレフュス)をトイレで拘束すると、彼女を餌にオーレンとその配下を誘き出す。そうして、最初の死闘が始まった――[感想]
凄すぎるぞタラちゃん。
何を置いても、日本に関する描写の異様さに突っ込まないわけにはいかない。釘文字で「オキナワ」と記したTシャツを着て千葉真一演じる服部半蔵が経営する微妙な佇まいの寿司屋を訪ねるユマ・サーマンに始まって、受け取った刀を剥き身で持ち歩いたり、ヤクザの側近が何故か女子高生含む未成年ばっかりだったり、ディスコがあり得ないくらいに和風のテイストだったり、そのトイレが外観だけ和風で設備は洋風だったり、ヤクザの獲物が何故か刀だったり、二階のはずなのに障子を開いたら何故か庭園が広がっていたり、敵を倒した場面で何故か演歌が花を添えたり――と、笑っていいものかいけないものか判断しかねる狂った意匠が随所に盛り込まれており、日本人としては正直筋なんか気にせずとも楽しめる。
寧ろ、純粋に話として楽しもうとすると数多の問題があるため、筋はあまり気にしないほうが楽しめる、という人も少なくないはずだ。。肝心の花嫁襲撃の動機が語られておらず、個々のアクションやキャラクター描写に脈絡がなく無駄が多い。オーレン・イシイへの復讐のあとに訪れる二人目の仇コッパーヘッド(ヴィヴィカ・A・フォックス)との死闘を冒頭に持ってきたり、花嫁がオーレン・イシイの過去を回想する場面をまるごと日本人の製作によるアニメーションにしたり、と構成に様々な工夫が為されているが、観客を飽きさせない程度で、謎を際立たせたり後半の強烈な暴力描写の伏線を形作ったりといったプロットへの奉仕の役は為していない。
しかし、様々な既存の映画作品に触発されたヴィジュアルやモチーフを導入しながら、徹頭徹尾観客を楽しませようとするエンターテイナーっぷりには素直に拍手を送りたいと思う。あまりに懲りすぎて、トチ狂った日本描写のどこからが誤解でどこまでが確信のうえなのか判然としないが、深く考えず感じるままに爆笑したり脱力したり苦笑いしたりするのがよろしいのではないでしょうか。花嫁が仇を発見するときに鳴り響く音楽で鬼刑事を思い出したり頭の中で妙なナレーションや再現フィルムを流したりするのもまた一興。
何にしても、さっさとVol.2を公開してください。日本パートでは日本人俳優が大挙しているが、皆様ほとんどゾロのような仮面を被っているため誰が誰だか解りません。それでも一目で見つかる田中要次は素敵です。あっという間にやられますが。
基本的に出てくる奴は全員ザ・ブライドに斬られる運命にあるのだが、その中で栗山千明の健闘は光っていた。てゆーか、登場人物でルーシー・リューを除いたら一番ユマ・サーマンを追いつめてたんじゃないか?(2003/10/27・2004/04/15追記)