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『light as a feather』トップページに戻る父よ
原題:“Mon Pere Il M'a Sauve La Vie” / 原作・監督・脚色・台詞:ジョゼ・ジョヴァンニ / 製作:アラン・サルド / 共同脚色:ベルトラン・タヴェルニエ / 撮影監督:アラン・ショカール / 美術:ロラン・ドヴィル / 編集:クロディーヌ・メルラン / 音楽:シュルジェンティ / 衣装:ジャクリーヌ・ブシャール / 出演:ブリュノ・クレメール、ヴァンサン・ルクール、リュフュス、ミシェル・ゴデ、ニコラ・アブラハム / 配給:Cetera International
2001年フランス作品 / 上映時間:1時間55分 / 字幕:清水 馨
2002年06月29日日本公開
2003年02月28日DVD日本版発売 [amazon]
日比谷シャンテ・シネにて初見(2002/07/20)[粗筋]
そのカフェの看板には、“向かいよりもマシなところ”と書いてあった。1949年のその日から、ジョー(ブリュノ・クレメール)は足繁くこの店に通い詰めている。ジョーの息子・マニュ(ヴァンサン・ルクール)はジョーの妻エミリー(ミシェル・ゴデ)の兄で暗黒街を取り仕切るサントス(フランソワ・ペロー)の失策から発生した、殺人を含む事件に関与したとして逮捕され、殺人そのものには無関係であるにもかかわらず死刑判決を受けた。多発する凶悪犯罪に対する見せしめの意図を含んだ、重すぎる判決だった。
死の恐怖に怯えるマニュだったが、反感を持たれていることを自覚しているジョーは直接彼の支えになることは出来ない。会話で励ます役目を妻と娘に任せ、自分はマニュの助命と名誉挽回のために奔走した。もうひとりの息子で、マニュの兄であるバルティ(セドリック・シェヴァルメ)は同じ事件に関わり、逃走の過程で命を落としている。せめて残された弟だけは護ろうと、担当弁護士エケ(ニコラ・アブラハム)の助言を受けながら、専門家の鑑定を受けるための資金を必死に捻出し、助命嘆願書を書いてもらうために被害者の遺族に頭を下げる――[感想]
何せプログラムにシナリオが完全な形で翻訳採録されているぐらいだから、別に全部書いてしまっても構わないのだけどいちおうここで止めます。
この物語で死刑判決を受けているマニュとは、実はジョゼ・ジョヴァンニ監督自身のことらしい。1949年、全く同じ理由から死刑判決を受けた彼は、父の懸命な呼びかけによって実に11年後に名誉挽回を果たし出所、そうした経験を元に執筆した小説『穴』をきっかけに文筆業に就き、やがて映画監督として大成したという。最後まで本心を語らなかった父ひとりに捧げるために制作したのがこの映画なのだ。
まだまだ経験の浅い映画道楽ゆえ、彼の他の作品を観たことはないのだが、奇を衒わぬカメラワーク、BGMを廃し極力説明も添えず台詞中心で展開する場面、粒子の粗い画面、などなど、いずれも古い映画の雰囲気を纏っており、シンプルながら味わい深いものを感じる。
なるべく言葉を尽くして賞賛したいのだが、果たして一回見ただけで語って構わないのか、という疑問すら覚える。一旦ツボに入ったら最後、何度も味わってみたいと思わせる作品である。感動を云々する以前に、その作り自体が昨今の映画界では異例に重い。(2004/06/23追記)
本編の監督ジョゼ・ジョヴァンニは2004年04月24日、脳出血のためスイスの病院で亡くなった。私が鑑賞した氏の作品はこれ一本きりだが、鑑賞から二年を経た今も鮮烈に覚えている。心より冥福をお祈りする。(2002/07/24・2004/06/23追記)