第1章 3:「花のパズル」


  「えーと、黄色い花、黄色い花・・・ あ、あった、あそこだ。おや、あそこにもある
 ぞ。あら、あっちにもあった。えーと、ひーふーみー・・・ 全部で4輪だな。とりあえ
 ず、一番近いヤツから摘もうぜ。」
  レオンに促され、勇者はすぐ近くにあった黄色の花を、隣に咲いている緑の花を踏
 みながら「調べて」みました。

  「この花を摘みますか?」「はい」 その瞬間、閃光が走り・・・

  「うわー、出やがった!」レオンが叫びました。ついにモンスターが現れたのです。
 「何だコイツは?」
  出現したのは『イエローモンス』というモンスターでした。
  「むん!」勇者がマックルブレードで一太刀喰らわすと、モンスターは倒れ、姿を
 消しました。
  「ということは、今摘んだ花は偽物ということか。つまり『一輪だけ摘んでも良い』
 ということは一輪だけ本物がある・・・ ということなんだな。」さすがに頭の回転は早
 いレオン、注意書きの意味を理解したようです。

  そのあと勇者は黄色い花を2輪摘みましたが、やはり摘むと同時にイエローモンス
 が現れただけでした。
  他にも、何歩か歩くたびに『ちくぼう』『ウィルオーウィスプ』という見覚えのあ
 るモンスターや『ブルースライム』『ちびオーク』といった見たことのないモンスタ
 ーが出現しましたが2人にとっては取るに足らない相手でした。
  それよりも、誤って赤い花を踏んでは緑の花を踏みなおし、青い花を踏んでは睡魔
 に襲われ、しばらくまともに動けなくなってしまったりすることのほうが2人にとっ
 ては障害になりました。

  さて、見渡すところ黄色い花は1輪しか残っていません。2人からは結構離れた場
 所に咲いていました。早速、歩き出した2人でしたが・・・

  「あっ!」

  あれほど注意していたはずだったのに、勇者はうっかり紫の花を踏んでしまったの
 です。息を呑む2人の前に閃光が走り、なんと現れたのは・・・
  「ク、クラーケンだぁ〜!」レオンが叫んだと同時に、あっと言う間もなく2人は
 クラーケンの起こした津波で押し流されてしまいました。
  気が付くと、ここは「ラント東の洞窟」の入り口でした。
  「と、とんでもねえや。精霊ってクラーケンのことだったのか・・・ 」レオンが目を
 パチクリしながら呟きました。
  いずれにしても、紫の花だけは何があっても踏んではいけなかったようです。
  気を取り直して2人は再び洞窟の中へ入って行き、残る一輪の黄色い花を目指して
 進んで行きました。どうやら今度はクラーケンに押し流されることもなく、雑魚敵を
 苦もなく倒しながら、目的の場所に辿り着いたようです。

  「ふーっ、やっと着いたな。おい、さっさとその花を摘んでしまえよ・・・ って、あ
 れれ? どうやって摘めばいいんだ?」レオンは首を傾げました。勇者も頭を抱えま
 した。最後の黄色い花は「凹」の形をした池のちょうど凹んだところに咲いていて左
 (西)や右(東)から摘むことはできません。となれば上(北)から摘むしかないの
 ですが、北側には幅が一歩分の通路が東西に走っているだけで、そのすぐ北側には壁
 がそびえ立っていました。つまり、通路を通って花の北側に(図の○の位置に)立ち、
 花を摘もうと下(南)を向くと花を踏んでしまうのです。花を摘むには、その花の隣
 に立ち、花の方を向いて「調べ」なければならないのです。

  いよいよもって、2人は頭を抱え込みました。何回やっても黄色い花を踏んでしま
 いますし、場所的にジャンプは意味が無さそうです。


              |    壁    |
              |_________|
               ___ ○ ___
              | 池 |花| 池 |
              |〜〜〜〜〜〜〜〜〜|
              |〜〜〜〜〜〜〜〜〜|
              |_________|


  さて、皆さんはこのパズルが解けますか? 物語ではこのあとレオンが「マックル
 の習性を利用」してこの問題を解決します。「マックルの習性」とされているマクス
 トの「ある現象」を思い出せば解けるはずです。




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