「朝霧の巫女」舞台探訪

〜三次市編-其ノ四-〜



巫女のいない風景〜三次駅〜
 明日の仕事があるため、私だけ15時の急行で帰ることに。
 ってなわけで、帰りがけに三次駅の撮影。

電話ボックス三次駅
こまさんの電話ボックス?(第壱巻 P3)こまさんが駅を見つめる(第壱巻 P4)

 写真左がこまさんが電話をかけたと思われる公衆電話。しかし、バックにコミックのような高いビルは無い。
 右の写真も、電話ボックスの位置、背景の山、駅の建物の上などが結構違う。


三次駅正面
倉子がロードスターを停めた場所(第壱巻 P30)

三次駅改札前三次駅構内
乱裁と忠尋の邂逅(第壱巻 P14)祟り岩出現(第壱巻 P19)

 ちなみに、コミック中では倉子さんがココまでロードスターで乗り込んで来ているが、実際には駅の玄関は狭くて車は入れない。
 それに、そもそもこんなところに車を乗りつけちゃいけません>倉子さん
 …でも倉子さんだから許すけど(オイ

 ここで乱裁が呼び出した「祟り岩」から妖怪が現れるシーンは、『「稲生物怪録」の妖怪は比熊山のたたり岩から現れた』とする伝承に対応していると思われる。


三次駅改札ホームの標識
忠尋、帰郷(第壱巻 P9)ホームの標識(同左)

三次駅構内三次駅ホーム
駅構内(第壱巻 P8)忠尋、三次に降り立つ(同左)

 ここで、突然SUGI氏が声を上げた。

SUGI「あ、『豆乳』を撮らなきゃ!」
QLAND「あ、そうだった!」
「何? それは大変だ!」

 何って、第弐巻 P124で柚子が『紀文の豆乳』を飲んでいるシーンを撮るのを忘れていたのである。
 全員が一斉に、テキパキと準備を始める。

  QLAND氏がCCプラザで買っておいた豆乳を。
  SUGI氏が撮影場所の選定を。
  そして、私がぬいぐるみを。

 まるで撮るものが当然決まっているかのような、打ち合わせ無しでの見事なコンビネーションである。

紀文の豆乳
今度は柚子さんの代わりだよ、にははっ。

 これにて、一応のミッションは終了。
 QLAND氏とSUGI氏に別れを告げて、私は広島行きの急行に乗り込んだのだった。
 手にしたお土産はもちろん、ヒロインの名前の由来となった、三次銘菓「泡雪三姉妹」である。

泡雪三姉妹泡雪三姉妹アップ
泡雪三姉妹柚子、小倉(=倉子)、玉子(=珠)


巫女のいない風景〜熊野神社,その他〜
 こうして、私は2日目で帰ったのだが、QLAND氏とSUGI氏はもう一泊、三次市に残った。
 後日、QLAND氏とSUGI氏から話を聞いたら、この日、私と別れた後で、予想外の収穫があったという。
 ダメもと覚悟で三次市内の熊野神社に行ったら、なんと、コミック中の稲生神社の社務所と御神燈を発見したというのだ。

外科病院御神燈
社務所(第参巻 第十話扉絵)御神燈(第参巻 P4)

 SUGI氏いわく、「その後、期待して厳島神社,知波夜比古神社,牛虎神社と回ったんですけど、何も無かったです」とのこと。
 どうもお疲れ様でした。


水門
忠尋一人で登校中(第参巻 P162)

 上は、後でもらったQLAND氏のCD-ROMに入ってたもの。私と別れた後でどこかで撮った模様。
 似たような水門はいくつもあるのだが、コミックに登場する、ライトが2つあって“渡し”の部分がこの長さの物はなかなか無いのだ。その中でもこれは再現度高し。


探訪を終えて
 「行ってみて良かった!」
 それが今回のツアーの感想。
 三次市の今の街並みとそこに伝わる怪異譚のマッチング、そして「朝霧の巫女」とのマッチングに、知らず知らずのうちに異世界(幽世)へ引き込まれてしまう、そんな旅でした。

 実は、帰って来てから初めて「妖の寄る家」を買って、「朝霧の巫女」と合わせて読み直しました(^^;
 「朝霧の巫女」は、「妖の寄る家」中の「昭和霊異記」と、江戸時代の怪異譚「稲生物怪録」、そして現実の三次市と、その他にベースとなっている神話や怪談など、多数のレイヤーを重ねて描かれた作品なのだと分かって、すっかりファンになりました。(いや、「ファンでもないのに舞台を見に行ったのか?」というツッコミは無しで(^^;)

 今回見逃した場所は、まだまだあります。
 尾関山公園、杵屋、稲生家の屋敷跡、物干し竿…。コミックはまだ続くそうですし、シーンがたまったら、絶対にまた訪れたいと思います。‥今度はファンとして(^^;

 今回は、私が1泊、QLAND氏とSUGI氏は2泊したのだけど、それでも時間が足りなかった、というのが参加者の感想。
 「オタクだからって強行日程を組まないで、もう少し宿とか食事に気をつかってゆっくりしようよ。三次の国民宿舎は人気高いっていうしさ」とはQLAND氏の弁。今振り返るとそう思います、はあ。

 最後になりましたが、今回のツアーの企画および事前資料作り&ドライバーをしていただいたQLANDさん、旅行中存分に“漢気”を見せてくれたSUGIさん、どうもありがとうございましたm(__)m

観鈴ちんを持つSUGI氏とUSO9000
比熊山にて、観鈴ちんを持つSUGI氏とUSO9000(QLAND氏撮影)



 最後になりましたが、旅行にあたって参考にさせていただいたサイトさん、およびこのページを作る際に参考にさせていただいたサイトさんの紹介です。感謝m(__)m

−kansuke.jp−−「朝霧の巫女」的三次観光ガイド−
 観光マップが親切。リンクも豊富で、「朝霧の巫女」に関するほとんどの情報がここからたどって行けます。
−「朝霧の巫女」な現世風景+α −−朝霧の巫女な現世風景 −
 こちらのページの情報にて、水垢離の滝を探しました。
−Hililipom−−稲生平太郎只今参上仕る−
 「稲生物怪録」については、こちらのページが詳しいです。
−Mike i land−−「稲生物怪録(いのうもののけろく)」−
 「稲生物怪録(いのうもののけろく)」のページに、30日間に渡って登場する妖怪が日を追って紹介されています。「朝霧の巫女」の妖怪の登場順と比較するならここ。
−ところざわしてぃ−−朝霧の巫女事典(備忘録)−
 「朝霧の巫女」に関する考察があります。特に神話と民間伝承に関する考察が秀逸。
Kuon no Kizuna Fan Site in Taiwan 
 このサイトの浦木裕さんに、今回の探訪記を書くにあたって、「平田篤胤が解く稲生物怪録」著:荒俣宏や天宇受売命、「日本霊異記」に関する示唆など、色々と参考情報をいただきました。
 サイト内の「古事記」、「日本書紀」の中国語訳のページは圧巻です。