検診結果OK 2009年1月6日(火)

“私の検査結果”は異常なし
本日は、先月初旬に受けた「肺レントゲン」「胸の超音波」「腫瘍マーカー」そして、本日受けた「五臓器超音波」の結果がすべて出揃い、診察になりました。先生から「もうじき術後2年ですね〜。血液検査も乳腺の超音波も肺のレントゲンも、そして、今日のお腹の超音波も全く異常ありません。」との言葉を聴いた途端、不思議なもので身体の中から力が湧いてきたような気がしました。私のがん種はおとなしいタイプと言われているので、早期の再発転移の確立は低いようで、私自身も(多分担当医も)それほど心配はしていません。但し、おとなしいというのは、再発転移しないと言うわけではなく進行が緩やかなので、すぐには再発しないということで10年以上経過した後に転移が起こる可能性は残っているらしいです。忘れた頃にやってくるのもイヤですね。
超音波検査を終えて外科外来で待っているとき、2年近く前、放射線治療を同じ時期に受けていたTさんによく似た方をお見かけしました。もう1年以上お会いしていなかったし、私が知っているTさんは、術前化学療法のために脱毛していてカツラを使用していたので、イマイチご本人かどうか確証がなく声をかけられずにいました。暫くすると看護婦さんが次の患者さんを中待合に呼ぶ声が「Tさ〜ん」と。「やっぱり〜」と思い、立ち上がったTさんに「お久しぶりです」と声をかけました。
line
“Tさんの場合”
Tさんが、自分のがんを発見したのは出張先での入浴中だったと聴きました。それは自分でも「大きい」と思える大きさで「なんで今まで気づかなかったのかしら」とぞっと背筋が寒くなったのを覚えていると話していました。その後Tさんは、術前化学療法を半年受け、腫瘍が小さくなったところで部分切除(乳房温存)手術を受けました(手術は私より後)。そして温存手術とセットで受ける放射線治療中に私と出会いました(予約時間が私の次)。術前の診断では腫瘍径は4cmとやはり大きく、術前治療で行った化学療法でかなり縮小し乳房全摘手術でなく温存手術でいけるまでになったとのことでした。その時のお薬のひとつがハーセプチンだったようです。
彼女のがん種は詳しくは分かりませんが、「HER2陽性(腫瘍細胞表面上のHER2蛋白《がん誘発能を有する特定遺伝子によって産生される蛋白質》が増加している)乳 がん」で、私のおとなしいがんに対して、増殖が速く再発・転移の可能性が高いがんです。ハーセプチンは、HER2タンパクを標的にしている分子標的薬剤のひとつで、2001年6月から健康保険適応で使用できるようになった比較的新しい薬ですが、これまでは進行・再発乳がんにのみ用いられていました。それが昨(2008)年3月から手術後の再発・転移予防を目的とした治療でも保険適応となり使えるようになったのです。彼女のがん種はホルモン感受性が無いタイプのため、術後の放射線治療後は約1年無治療で、検査のみで経過してきたそうですが、昨年の5月に担当医から「ハーセプチンを1年間投与してみませんか」とお話があり、迷った末に「しなかった」後悔をしたくないと思い、投与することにしたとのことでした。昨年5月中旬から開始し、あと残り1/3。仕事を持つ身としては、3週間に1度点滴時間90分を捻出するというのは、結構大変なことですよね。その上、ハーセプチンは高価な薬としても有名で保険適応が無い場合3週間に一度投与で1年間…約300万円と聞いていました。保険適応になってもまだ高いようです(なんでも1回5万円程…とか)。1年間とはいえ、私のホルモン剤の10年分以上かな〜?
line
ちょっと、ご注意を!
このように、一口に乳がんと言っても、色々ながん種やタイプがあり、治療薬の選択やその効果、副作用も人それぞれです。ピンクリボンキャンペーンなどで「早期発見すれば治ります」ととれるような言い方をしているけれど、乳がん体験者の方のページでは、「安易に早期発見すれば…」と言って欲しくないという意見も多く聞かれます。啓蒙運動なので、そう言わざるを得ないということは分かりますが、たとえ早期発見しても再発転移し数年後に死に至ることもあるし、2cm以上の大きさで発見されても10年以上再発転移なしで元気な方もいらっしゃるというのも事実で、まさにその人の運命は「神のみぞ知る」といった観もあります。だから、皆様の周りに乳がん(他のがんのことはよく調べていないので)を患った方がいらっしゃったら、「大丈夫よ、早期なら治るんでしょう…」なんて言葉を投げかけないように気をつけてくださいね。あなたは相手を元気づけるつもりでも、「なにも分かってない!」と相手を怒らせたり、落ち込ませたりすることになってしまうかも…。
line
久しぶりにお会いしたのでもっと沢山お話をしたかったTさんですが、これから90分の点滴が始まると言うので、そのままお別れしてきました。でもお元気な顔をみられてよかった! そして、もうひとつ。担当医に「私と同じ日に手術をしたAさんはお元気ですか?」と訊ねてみたら、「元気ですよ〜」と答えが返ってきました。まだ30代前半の若さゆえ心配していましたが、こちらもよかった! 近いうちにメールでもしてみようかな。アドレスは知っているのですが、時間が空いてしまうと怖くてメールできないんです。
次の診察は4月初め、桜の咲く頃です。

前へ  目次へ  次へ