2006.09.19 長野県某川 『台風一過を期待して』

九州・四国地方に多大な被害をもたらした台風13号が日本海に抜けたこの日、私と同僚のSさんは台風一過の秋晴れを期待して釣行してきた。私の住む群馬県は朝から期待通りの秋らしい秋空が広がっている。何か久し振りに見た太陽に気持ちも高揚してくる。峠に入ると中腹あたりから紅葉が始まりナナカマドの燃えるような赤が目を引く。しばらく観光気分を味わいながら峠を越え長野県側に入ると、天気は一転して厚い雲が垂れ込んでいた。
ポイントに着いても天気は相変わらずで、いつ雨が降り出すかわからない雲行きだ。どうやら今日も合羽は外せないようだ。標高1300mを超える高地の為、9月に入ると気温も急激に下がる。それでも前回に比べたらまだ暖かく、シャツ1枚でも平気な位なので釣果は期待出来そうだ。

 

 
台風の影響もほとんど無かった様子で、いつも通り気持ちの良い流れが初秋の森の中を淡々と流れている。いつも思うのだが、何故かこの渓に立つと心が落ち着き、日頃の嫌な事も忘れられる。何か体の中も洗浄されるような気分だ。
午前中は魚の反応もパッとせず、私もSさんも苦戦を強いられた。それでも枝の被った難しいポイントを丹念に狙うと可愛いイワナ達が遊んでくれる。もうそこまで禁漁が迫っている事も有り、より愛おしく思えてしまう。

難しいポイントを丹念に攻めるSさん
 

前半はこの位が最大となった。
 
昼をまわると雨が降ったり止んだりで、活性も上がらず中々期待する良型が顔を出してくれない。Sさんもだいぶ苦戦している様子だ。そんな中まずまずの魚がSさんのロッドにヒット。
15:00を過ぎた辺りから、今までの天気が嘘のように太陽が顔を出し始め、それと同時位に魚の活性も上がり、数もサイズも出始めた。そして私にもようやく満足の行くサイズが釣れてくれた。

ようやく私にも満足サイズが。
 

デンジャラス地帯でロッドを振るSさん。
 
ポイントによっては崖を背負っての場所も有り、台風の後だけに崩落しないかヒヤヒヤものだ。でもこういうポイントに限って美味しそうなポイントが連続している。前にも後にも神経を張り詰めてロッドを振る。
光量も少なくなり出したイブニング、一層活性も上がり前を釣っていたSさんのロッドが大きくしなっている。そして今回最大となるイワナがSさんのネットに横たわっていた。鰭の白い縁取りがとても綺麗で美しい魚体に、しばし私もSさんも見惚れていた。

Sさんにヒットした今回最大。
 
今回は前半は苦戦を強いられたが、終わってみれば満足な釣行となった。後半で久し振りに太陽の下で気持ちよく竿を振れたのが嬉しかった。この時期は言葉では言い表せないが私は大好きで、初夏とはまた違った雰囲気が私を渓に足を運ばせる。そして今日もこの渓に感謝し納竿とした。

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