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          WING BRAIN メールマガジン第66号
          
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★目次★



■ 酢豆腐                 ロクスケ
■ 仕事に過集中             MUSICA
■ うちの猫 他             ナオニャム
■ 連載 第33回 感覚時間と現実時間   ロクスケ
■ ○編集後記○

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■ 酢豆腐


 今年は記録更新の猛暑で、更にもうすこし暑い日は続くでしょうね。

 みなさん、ばててませんか?わたしは、かなりばてましたね。暑いとどうしても食べ物が傷みやすく、よほど注意しないと食中毒の危険があります。そこで、食中毒に関してクイズ

 ここに魚が二切れ在って、一方は色も変わり臭く、触るとぶよぶよして糸を引く。つまり、明らかに腐っている。もう片方は、多少乾燥しているが、色もあまり変わらず、匂いもせず、触ってもしっかりしている。

 食べるとしたらどちらを食べますか。答えは最後に。
 
 さて、タイトル酢豆腐とは落語にあるはなしで、食通ぶる若旦那を町内の若いもん達がからかい、腐った豆腐を珍味の酢豆腐だと言って、若旦那に食わせる話。

 じつは、私も先日冷や奴で一杯やろうと思って豆腐を買ってきたのですが、食べる段になって冷蔵庫の中に無いんです。それからずっと探したんですがとうとう見つからずどうしたんだろうと思っていたら、2,3日後に作業場の道具棚に袋ごと置いてあるのを見つけました。猛暑の中で2,3日放って置いたんですが、パック豆腐だからハエも湧かないし匂いも漏れません。でも、明らかにふくらんでいます。開けてみたら目を突くにおいで、酢豆腐を食べてみようかと思わないでもなかったけれど、結局捨てました。

 ところで、腐敗と発酵(熟成)は同じ現象で、人間に有用な現象を発酵と言い、有害なものを腐敗と言います。煮た大豆が糸を引く状態になれば日本人は発酵食品と考えますが、西欧人は腐った豆なのですてるでしょう。

 ステーキ用の肉は、欧米ではウジが湧くくらいまで熟成させてから焼きます。日本ではとにかく新鮮なものを喜ぶ風潮から、ウジの湧いた肉などをレストランで出せば間違いなく営業停止です。むろん、日本でもちゃんとしたレストランでは、肉は熟成させます。

 有機物は通常微生物により分解されますが、ある微生物が最初に繁殖を始めると他の微生物を寄せ付けないための阻害物質を出します。ヨーグルトの乳酸菌による乳酸、酒の酵母によるアルコール、酢の酢酸、青カビのペニシリンなどがそれに当たります。これを利用して人間は発酵食品や医薬品などを作っているわけです。

 一方食中毒菌というのがあり、サルモネラ菌やボツリヌス菌などが代表的ですが、これらも毒成分を出し他の微生物の繁殖を防ぎます。ただし、この毒成分は人間も命に関わる猛毒です。

 それで、最初に腐敗菌(発酵菌)が繁殖を始めると、食中毒菌は繁殖出来ず、したがって致死性の毒はできません。ところが、食中毒菌が最初に繁殖すると、猛毒が生成されしかも腐敗菌は繁殖せず、つまり、腐敗(発酵)はおきません。

 だから、腐敗した食品には致死性の猛毒はなく、危険がないと言える理屈です。ちなみに、上記の酢豆腐は毒性がないものと考えられます。現実に沖縄には豆腐養という豆腐を泡盛などにつけ込んで発酵させた食品がありますし、中国には猛烈に臭い、豆腐に黒カビを生やした腐乳という食品があります。

 ただし、腐敗したものがすべて安全だというわけではないので、けっきょく怪しいものは食べないのが一番安心だと言うことで、一見腐っていないものでも安心は出来ないと言いたい訳です。夏場は気をつけましょう。いや、冬場も怪しいものは食べないようにしましょう。特に魚介類や卵の腐ったものはまず生死に関わると考えた方がよいでしょう。

 わたしの子供の頃は冷蔵庫など無く、炊いたご飯が余った場合夏場など糸を引いて酸っぱくなることがありました。今ではそのようなご飯は捨ててしまうでしょうけれど、昔は水で洗っておじやなどにして食べました。そのようなご飯が毒にならないことは経験的に知っていたわけです。だいたい、なれ鮨はご飯の乳酸発酵を利用して魚を保存しているのですし。

 世界には知らない人から見れば腐っているとしか思えない食品がたくさんあります。発酵させたニシンの缶詰、シュールストレミングはガスで缶がふくらんでいて、室内では開けるなと言われますし、実際いたたまれない匂いがするそうです。クサヤをヨーロッパのホテルに持ち込んで焼いて、ホテルから追い出された日本人が居ます。

 さて、クイズの答。理屈の上では、明らかに腐っている方を食べる方がまだ安全です。でも、私が保証するわけではないので、自分の責任で決めて下さい。現実に、発酵食品であるなれ鮨で食中毒が発生したケースがあります。

 さらに、食中毒は個人の免疫力の違いによって発症したりしなかったりするので、健康な大人が毒味をしてみて大丈夫だったから子供や高齢者、病人に食べさせるというのは間違いです。下手をすればそれらの食品で免疫力の弱い人が中るかもしれません。
 
 また、少々傷んでいても加熱すれば大丈夫というのも間違いで、加熱により確かに微生物は死にますがそれらが生成した毒は残っているのでやはり食中毒の危険はのこります。
 
   
by ロクスケ




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■ 仕事に過集中


 私が今の仕事に着任したのは、昨年12月末である。それから、手当たりしだい本を読みまくった。たった一冊出ている「支給基準」と言う本は、大事な部分をコピーして家に持ち帰り、家でもなんどもなんども読んだ。それで、12月の段階で「これは違法だ!!」というのを発見して、早速係長と協議、課長の許可をもらって、自主返還依頼をした。相手も相当抵抗したらしいが、所属している会の会長さんらが説得して、結局お返しいただいた。今、同じ件で、N市が返戻依頼をしたところ、再審査請求を出されたという。こんなものは、元から違法なので「再審査請求しても通るわけがない」N市はどうやって、返還請求したのかなあと思った。まあ、でも再審査請求でも蹴られるだろうから、結局N市には返還されることになるのだろうが・・・。

 2月になって、前々から「あやしいゾ」と思っていた業者がしっぽを出してきた。私は、これぞ!とワシっとつかんで、「不支給決定」を出し、「調査後に支給する旨」を伝えた。しかも、その月は他の業者も悪事を働いていることを係長が指摘し、「これも払えないわよ!」と強く言われたので、2箇所止めた。決定したのは2月末。3月になって弁護士が来た。何回か弁護士を含んだり、当事者だけと話し合いをしたが、悪いやつは本当に「うそ八百」述べるものだ。この間いったものと、次に言うことが全然違っていたりする。

 結局、話は平行線に終わり、うちは独自で調査を行い、支給決定した。なんと1/3と言う金額になった。今まで、何年も、うそ八百で、何千マンも払ってきた。とうぜん、自主返還も求めている。

 しかし、悪いやつは悪い。さっさと、廃業してしまった。そしてその6日後には、名前をかえてリニューアルオープンときたもんだ。

 本当にあくどい。もう一つ止めているところも、請求金額の根拠となる資料を請求したところ、全く払えるものがでてこかった。

 こんな、仕事はしたくない。どうして、自治体から搾取して儲けようとする業者が多いのだろう。今まで管理を怠っていた自治体も悪い。最近、各方面で問題になっている。

by MUSICA



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■ うちの猫


 私の同居人の猫のはなしです。

 最近彼女の餌が変わりました。それが異常においしいらしく、すぐにたいらげ、もっと頂戴とおねだりをしてきます。朝、寝ぼけていつも餌をあげているので、最初の数日、あれ?さっきあげた気が。。。と思いつつ空いたお皿に1日分の食事を与えてしまってました。つまり結構な間、いつもの倍の量の餌をあげてしまっていたのです。

 最近その量になれてしまった彼女は、すぐにたいらげてしまいます。すぐにおねだりをしてきます。ごめんね。。。と思いつつだんだん少ない量の餌を与えてます。多分倍の量をもらえてたのに、どうして?と彼女は思っているはず。
 
 でも、彼女の健康管理をしないといけないのは私です。心を鬼にして、通常の量からちょっと多めにあげて、あげる量を今までの量にだんだん近づけてだんだん彼女の胃を小さくしていこうと思っています。現に今、少し前より丸くなってきた。。。

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「博士の愛した数式」を読んで

 最近小川洋子作の「博士の愛した数式」を読みました。読み終えた後、少し切ないけど心が温かくなる話でした。

 この話に出てくる博士の記憶は80分しか持ちません。交通事故にあって脳の損傷を受け、そうなってしまいました。彼は毎朝、「僕の記憶は80分しかもたない」という自筆のメモを見て、悩んでショックを受けます。これが彼の日課です。(彼にとっては毎回初めての体験だけど)

 一概に脳の障害といっても色々あります。自分も脳に障害があるけど、みんなそれぞれなんだよなぁ。私も「ケアレスミスが多い。どうしてこうなる?」と、会社で私がADHDということを知らない上司や同僚に攻められる度につらいけれど、博士の毎朝もつらいよなぁ。と思いました。

by ナオニャム



ネコについて: ペットを飼うのは大変な事です。何しろ一つの命を守ってやらねばならず、ペットはすべてを飼い主に依存しているのですから、その飼い主ペットに対する関心を失ったりすれば、ペットは死ぬしかありません。
 ADHDの場合、どうしても何かを管理したり関心を保つことが苦手と言われていますが、ナオニャムさんのように愛情を注いでいれば大丈夫でしょう。結局、仕事にも私生活にもある意味で愛情、すなわち興味を持ち続けることで、かなり改善出来ると思うのですが。
 
 わたし自身はネコと会話が出来るほどネコ好きですが、それでもネコを飼う自信がありません。子供の頃、家では一時ネコを7匹飼っていましたが、責任を持てたと思えないからです。
 
 
記憶について: 病気や事故などで海馬中枢を破壊されて長期の記憶が出来なくなる人が居ます。人によるでしょうが、大体数秒から数十分以上記憶を保つことが出来ません。その場合、生活のすべてをメモとアラームに頼って生きてゆくことになり、また仕事も体で憶える事に限るようです。
 
 わたし自身、数秒どころか一瞬前の記憶も失われることがあり、そのための失敗は数限りなくあります。それを防ぐためにやはりメモとアラームを使っています。幸いなことに、一度記憶したことを保つのは結構大丈夫で、年の割には記憶力はあるかと思っていますが、基本は最初の数秒の記憶です。やはり、メモとアラームが欠かせません。
 
 私が肌身離さず持っているメモパッドには折々に触れてのメモが書き込んであり、別に持っている一覧表には今日一日かけなければならない電話、払わなければならないお金、買わなければならないもの、そしてやらなければならない作業が事細かに書いてあります。
 
 それを確認しながらやらないと、必ずと言っていいほどやり残しが出てきます。また、簡単な時間も書いてあるので、かなり時間管理も出来ます。
 
 わたし自身海馬自身は大丈夫なようですが、海馬に取り込まれる過程に問題があるようで、つまりは前頭葉の機能なのでしょう。メモを活かすことでかなり改善されていると思います。
 
 
from ロクスケ


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■ 連載 第33回 感覚時間と現実時間


 毎度の話だが、ADHDは時間管理が出来ないと言われる。今号のMUSICAさんの記事、つまり過集中も、またナオニャムさんのネコの話も通じるものがあるだろう。
 
 ゾウの時間、ネズミの時間という本に出てくるが、生物はそれぞれ種類によって全く違う時間の中で生きているのであり、たとえばネコは人間の7倍の速度で年を取るが、言い換えれば人間の7分の1の時間で生きていると言えるのだとか。人間が一日過ごした同じ期間の間に、ネコは一週間を過ごすという訳だ。
 
 これは、同じ人間でも言えることであり、子供の頃の時間の流れが非常に長いのに、高齢になってみると時間の経過があっという間だ。つまり、同じ人でも子供の頃と老人になってからでは全く違う時間の世界に住んでいる。
 
 色々な要素があるのだが、時間評価の違いがまず挙げられる。子供の頃は見聞きする事すべてが新しい経験であり、一つ一つに注意を向け感動をする。ところが、老人になってみると、全く新しい経験がなくなり、見聞きする一つ一つを無意識に選別していて、感激がない。例えば同じ一日の間に子供は百回感動するのに対し、老人はせいぜい一回しか感動しない。つまり、この場合、老人は百日経たないと子供の1日分の感動が無い。極論すれば感動していない時間は無意識に過ごしているのであり、いわば寝ているのと同じだとさえ言える。
 
 寝ている時間は誰も自覚しない。つまり、知らない間に時間が経ってしまうと言うのが老人が過ごしている時間の流れなのだ。
 
 年齢だけではなく、個人差も当然ある。感動が少なくただ毎日を惰性で生きている人間にとって、時間は知らない間に過ぎてゆき、つまり非常に時間経過が早い世界に生きている訳だ。このことは、ADHDに直接関係があるわけではないだろうが、間接的には次の事が関係してくるのではないかと私は考えている。
 
 人間は上記のような感覚の時間と、現実に誰にとっても同じ一日二十四時間という時間の中で生きている。人と関わるときは、この現実の時間が基準になるが、ADHDにとって時間管理がうまく行かないのはこの現実の時間を上手く自覚出来ないというてんにある。普通、人間は頭の中にアラーム時計を持っていて、感覚の時間とは別にきちんとセットされたアラームが必要に応じてなるように出来ているらしいが、ADHDにはどうも安物のアラーム時計しか無いらしく、感覚の時間に消されてしまってアラームが鳴らない場合があるようだ。
 
 これはあくまで私の推測にしか過ぎないが、普通の人は頭の中にあるアラームに無意識に意識を集中しているのに、ADHDはその集中が出来ていないのかも知れない。まあ、その理由はどうでも、これは訓練では治らない。頭の中のアラームを使うことはあきらめ、実際のアラームを使う方がよほど効果的だと思われる。
 
 私は百円ショップで買った数個のアラームを使って、それぞれにメモを貼り付け、鳴るたびに電話をかけたり、出かけたり、作業の手順を進めたりしている。また、携帯電話のアラーム機能を使って、例えばある場所で人に会う場合など、そこまで行く交通機関の時間と待ち時間プラス余裕を見てアラームをかけているので、今では人を待たせることはまず無い。
 
 頭の中のアラームが使えないのであれば、百円ショップのアラーム時計を活用するなどの方法がいくらでもある。頭のアラームの分解修理をするだけが解決法ではない。

by ロクスケ


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○編集後記○

 ■ 今月後半、アテネオリンピックがどうしても気になり、ついつい寝そびれる日が続いた人が多かったのではないでしょうか。わたしは、夜昼逆転して、ついついテレビを観てしまう日が続きましたが、それでもLIVEを観るとどうしてもそちらに集中して仕事にならないので、LIVEは観ずに、出来るだけ結果のダイジェストを観るようにしました。中継を観たのは、女子マラソンくらいですね。
 
 ■ しかし、多くのスポーツで日本人はかなり不利だと言わざるを得ません。同じアジアでも日本人は一回り小さく、殆どの競技で相手より頭一つ小さいなどがざらです。また、体操やシンクロ、飛び込みなどはどうしても体型が大きな要素になりますが、これらが欧米基準で判断されればどうしても日本人体型は不利です。体型をアジア基準にすれば話は別でしょう。
 
 ■ その中でとにかく日本選手がこれだけの成績を上げたその要因が高い技術を身につけていたからと言えるのは特徴的です。柔道レスリングなどの格闘技も、単に力や体格ではなく、技術で勝つという本来の姿を日本選手が見せてくれたとおもいます。つまり、体格の不利があったからこそ、本来の技術を身につけることが出来たと言うのは間違いでしょうか。
 
 ■ 折から高校野球で、初めて北海道駒大苫小牧高校が優勝し、高校野球史上初めて北海道に優勝旗をもたらしました。ちなみに私は北海道出身なので、決勝戦は仕事を放り出してテレビにかじりついていました。
 
 ■ やはり、長い冬の間十分な練習が出来ない不利をとにかく基礎練習の積み重ねで補ったという点で、オリンピックに於ける日本選手と通じるものがあるでしょう。
 
 ■ 不利なものがあるから却って本質的なものを高める事が出来る、というのはADHDという一見不利な要素を持っている当事者達にも言えることなのではないかと今更ながら思った次第です。

 
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