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冬の乾燥で皮膚が荒れてしまったので、お医者さんに行き
ました。実は青山はクリニックがとても多いのです。少し具
合が悪いだけなら、あちらが閉まっているならこちら・・と選
べるところがありがたい。そんな中、忽然と存在する不思議
な医院がいくつかあります。少々耳が遠い、でも草野球の
ピッチャーだというおじいさん医のところでは、向田邦子さ
んが来院したことがあると聞かされました。考えてみれば
有名人でも不調はあるわけで、憧れの向田さんが急に身
近に感じられました。
ここにとりあげた皮膚科は、医療センターのようなビルにあ
るのだけど、ビルが古いなら入り口もまさに古色蒼然。東
京03のあとの局番が3桁だった時代の看板のまま、頭に
3を手書きで付け足して4桁にしてあります。恐る恐る受付
をのぞくと、奥様とおぼしき上品なご婦人がにっこりしてこち
らを見ました。先生は白衣をきちんときこなし、居丈高な感
じは全くなくて、あまりしゃべらないのに何ともいえない安心
感がありました。きっと以前は大きい病院の偉い先生だっ
たのでしょう。お医者さんと呼ぶより、お医者さまといいたく
なる雰囲気でした。
パソコンはなし、机にはハンコが山のように入った箱があっ
て、カルテを書きながらペタンペタンと押していきます。頂い
た塗り薬は魔法のように効きました。
かれこれ30年、この地で開業しているそうです。
「今年から週3日にさせて頂いたんです、すみませんね」と
帰りがけに奥様に恐縮されました。週1日でも良いから長く
続けて下さいね! (2009.4)
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