・光泉の稲荷寿司を食す。

今回の関東お上りツアーで唯一の小津ゆかりの食です。

かの小津安二郎氏は食もかなり拘りの人だった様でグルメ手帳なる存在が有名ですが、ただ管理人は現代のグルメ・美食家と言う人達とは違うものを小津には感じます。

小津さんの好物と言うのは、天麩羅 鰻 すき焼 豚カツ・・・・等 かなり味の濃厚な物がほとんどで、例外もありますが味のハッキリした物が好きな様です、野菜や果物は嫌いの様です。
ですから和食の味噌・醤油の微妙で繊細な味だとか、現代の美食家たちの薀蓄言いなどは嫌いでしょう、自分が旨いと思うものが旨いのであって、好きなものを賞賛するだけで、味の講釈はしない様な気がします。
様は自分が旨けりゃいいんです。

実は、小津さんの味覚と言うのは結構、大雑把だったと管理人は睨んでいます。
ダイア菊を熱燗55℃で飲み、カレーすき焼なるものを考案したと言われる小津さん、かなり大胆ではありませんか。
 
何となく日本人の舌と言うよりは西洋人の舌と言うものを感じます、体も巨漢で風貌が良く外国人に間違えられていたとの身内の証言もあります。

つまり、かなり胃袋も豪快だったのです、動物で言えば肉食獣と言ったところでしょう。

今回の関東ツアーでも小津ゆかりの品を食す機会はありましたが、時間的な問題があったとは言え、結局ゆかりの味は光泉の稲荷寿司だけとなりました、45歳の管理人に天麩羅 豚カツ・・・・等はかなりヘビーです。
天麩羅も豚カツも好きですが・・・・・胃が悲鳴を上げます。
やはり管理人は草食動物・雑食系ですかね・・・・・・・・。 

そんな事はともかくこの寿司ですが墓参が終わった後、円覚寺本堂前ベンチで食しました。
味はかなり高級な稲荷寿司と一言いっときましょう。会社の食堂の稲荷とは大違い・・・・・あたり前かぁ。
・好々亭

前々から北鎌倉を訪れる際、電車のガラス越しに見ていた気になるお店。
赤いハデハデの門が一際目立つ、ここは小津御用達の店。


このお店は、全日記 小津安二郎にも良く登場しますが、「晩春」の冒頭のお茶会のシーンはこのお店の庭で撮影されたとの事ですから、北鎌倉に居を移す随分前から馴染みの店の様です。


さてこのハデハデのトンネルを潜り抜けると、竜宮城と思いきや、ごく普通の鎌倉の住宅街だったりします。
そんでもって、その細い脇道を行くと・・・・・・・う〜ん古都ならではですねぇ、一本取られたって言う感じですか・・・・・一筋縄では行かない。




ここが本当の店の入口。しかも会席料理とある。

管理人は小津さんの食の好みの先入観から、ハデハデ門を初めて見たときから実は中華の店だと思っていました。有名な長谷の華正楼しかり横浜の海員閣しかり、勝手に想像してたんですが・・・・・・・行ってびっくりでした。
実際に行ってみないと分からないですねぇ・・・・・・本当に。

しかし、なんで会席料理にこの赤いハデハデな入口なんすかねぇ・・・・・・不思議。









・好々亭 玄関前

この玄関前に来たとき、思わず叫びました。「ここかぁ ここだったのかぁ」

「麦秋」の出演者と小津さんが一列に並んで写された写真が残っています。どこかの料亭で打ち上げ・もしくは顔合わせの宴の後で撮った記念写真。NHKで生誕100年祭の「麦秋」の放送のイントロ部分でも使われていました。
あれは、どこか有名な料亭に違い無い。
もしかして・・・・・・・・・鎌倉のどこかでは無いのか。


鉢の木か好々亭あたりかと想像はしましたが・・・・・・・目の前にこの情景を見た時は少し興奮しました。長年の疑問が解けたと言うか・・・・・・

原節子にしろ佐野周二にしろあの記念写真の服装って映画の中の衣装そのままの様な気もするのですが・・・・・・撮影中か撮影後にそのままの衣装で大船のスタジオからここ好々亭に来店し宴を催した・・・・でも違うかな、記念写真では三宅 邦子は着物姿だったなぁ。
しかし、老舗の店って変らないんですね、50年以上も前だよ、すごい。