図解1

 アーム台の製作(従来のアームを使いターンテーブルを台無しで使う):ターンテーブルの形状により2〜4本アームが可能

  1. 石膏は歯科用のものが望ましいが一般品でもかまわない。

  2. 仕様書(水分率)に従って石膏と水の割合を按配し、適当な型(弁当箱やタッパウエア)に入れ固める。固まる前に、鉛粒を適当に混ぜこむとしっかりした台が出来る。

  3. 完全に固まる前に3本ないし4本の柱を立てる。固まった後の場合には下穴をあけて接着剤で固める。注意点はアームコードを差し込める空間を空けておくこと。

  4. 柱の上にアームを載せるプレートを嵌める。プレートの材質形状はアームにあわせる。硬質ゴム、異種金属の張り合わせ等いろいろ。SME/ORTOFONの場合はプレートが付属しているのでそれを利用する(上記4本の柱はプレートにあわせて立てる)。

  5. 白いままで粉が気になる方は完全に水分が抜けてから、木部用ウレタン塗装をすると擦れても粉がつかなくなる(音質的にも変わる)。塗料は沁み込むようなので多孔質構造になっているのが分かる。

下はMICRO・Keith Monks・CEC・SMEのアームに適用した例:

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図解2

格安のハードインシュレーターをリング磁石と直径15mmの硬球で作ってみた。

私の裸のターンテーブルの下に3組敷いてみたところ、まあまあの成績。オーディオボード自体がある程度しっかりしていれば問題は生じないようだ。スピーカー台としてもピンのように化粧板をいためることはないのでお勧め。磁石で挟んだのは磁石の上に球だけだとすべる恐れがあるため。磁石と硬球の間にフィルムを挟むなど工夫すればいろんなバリエーションが出来る。市販されているもの(三角錐と受け)は確かに良いかも知れないが高価でしかも用途が狭い。

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図解3

シェルの自作

シェル自作を始める発端は:OrsonicのAV-1にリードを直接ハンダしていたらピンが抜けた。何と内部でピンが2分割になっている!アーム側ピンが抜けないのでガイドピンを抜きプラ部を抜き、アクリルに1.2mm銀線を埋め込み補修した(ピンの間隔は外側で測って約4mm)。大理石スペーサーを挟んだDynavector DV-19A+AV-1改造シェル。一番右端に見えるのはイケダのIS-1の部品。左下大理石はそれと組み合わせる部材(作例2用)。

作例1:大理石が鉄鋸で何とか切れることが分かったのでシェルを大理石で作ってみた(過去の製品にはアコルトがあるらしい)。ピンの部分は8ミリのアルミパイプに6mmのアクリル棒を通して作る。アクリル部に4箇所溝を掘り1.2mmの銀線を嵌めて8ミリのパイプに入れステンレスばね材1mm棒のガイドピンを立てれば完成です。8mmの穴を正確にあけるために下穴>8mmタップ>8mmネジの順に加工した(ネジを回転しきると8mmの穴が貫通)。この穴の角度は簡単に修正できないので、部材を取るまえに長めのアルミパイプを立てて確認した方が良い。切り取る部分の一部は後にスペーサーとしても適当なので残しておこう(大理石スペーサーはアクリルや鉄等より癖がないようだ)。狙いのカートに合わせて最小面積で作れば意外と軽く出来る。大理石の比重は1.52-2.86とばらつきがあるが一般にはアルミ(2.69)程度。白い大理石の方が青より粘り気があるようだ。水をかけながらだと鉄工ドリルで穴あけやヤスリもかけられる。セラミック砥石等でカートを受ける部分を4mm厚程度に仕上げると約15gのシェルが出来上がった。アーム先端受けはBlack Metal制振合金M2052を加工した。ガイドピンは下付けにしてしまったが問題はなさそうだ。もう少し加工しやすい大理石に寒水石があるらしいので、入手したらピンの受け部まで一体型を作ってみたい。パイプ材のブライアー・シェルも面白そうだ。

取り付け穴は2セットアーム受けは直径13mmのBlack Metal

作例2:オーバーハングと左右角が調整できる2分割式のシェル(テクニカ/イケダなど)があればその部品を使うと簡単。イケダのIS-1の部品に合わせて作ってみた(12mmの大穴を穿つのに一苦労)。仕上がりは約18gのシェルが出来上がった。

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図解4

小山式アームの製作のポイント(軸受け・セラミックアーム・MMカートリッジのシールド剥き)

軸受けは:大型リング磁石を2個と穴に入る小型リング磁石を1個使用する(磁石はSNが上下に出ているもの、スィッチ用の磁石はSNが横に出でいるのでダメ)。磁石は秋葉原の万世橋近くのジャンク屋やハンズ店で入手。一例として私の場合、大きいリング磁石は外径4cm厚さ7mm内径17mm。中に入る磁石の外径14mm厚さ5mm(都合良く2mm程度の穴が真ん中にあるのでこれに内径1mmのセラミック管を嵌める)。中に入れる磁石の穴が大きい場合、下部に厚めのテフロンテープを張るか、テフロンシートを加工して両面テープで張り真ん中に針を通すようにすると良い。

大きい磁石を対向して反発する側で接着する(本当は名刺一枚分のギャップで接着するのが正式なやり方だが)。この組磁石を硬質ゴムなどの台に載せ、真ん中にピンを立てる。ピンは針でも良いが、私の場合1mmのチタン棒を針に加工した。

これに先ほどの小型磁石を入れると中空に浮いた軸受けが出来る(磁石にも依るが300g程度のものを浮かせる力があり、上下振動を遮断する)。磁石が常に水平に保とうとするので、上下の制動は理想的なものだと思う。この軸受けは小山氏が発明したもので特許出願もされている(特開S55-159324)。 実際に小山氏がやっていたように、この軸受けを3組以上使えば、普通のターンテーブル上にくみ付け上にガラス板などをのせると、多段浮上ターンテーブルも出来る。ちなみにシュレーダーのアームも磁石は使っているが浮上するためではなく、糸で吊るしたアームの支点を安定するために強力な磁石をわずかなギャップで引き合う形で配置しているーアームがトレースする時に前に引っ張られる力のベクトルと直交する力なのでバネ状になる恐れがある。事実2002年開示されたシュレーダーの特許ではSPRING SUSPENSION MAGNETICALLY STABILIZED PICK-UP ARMと銘打たれている。スイスStuder社のZwicky等のUS特許4,170,361(1979)でも互いに引き合う磁石でワンポイントの軸受けを安定化させる(横に傾くのを防ぐ)方式がリニアトラッキング用のショートアームとして考案された。

さらに調べたら以下のように磁石の反発で浮上させるUSパテントを見つけた。同じようなことを考える人がいるものだと感心した。最近でもオーディオテクニカは「電界共役流体が、形成された電界により上方に噴流し、ベース部材を浮揚させる」アーム軸受けで特許を申請している(日本特開2008-287797)。

アームは:電熱器のシースとして使われているセラミック管を秋葉原の坂口電熱(ヤマギワの手前)で入手する。理化学機器を扱うところ(例えば神田駅近くの高野)で買える石英ガラス管でも代替可能だ。外径3mm長さ10cmが使いよい。三本を組み合わせて(3x4=12本強)瞬間接着剤でつなぎ長さ40cm程度のアームを作る(50cm以上の場合は4本を組み合わせる)。これを小型磁石の軸受けと硬質ゴムなどでジョイントする。おなじく硬質ゴムのカートリッジ取り付け台もつける。ヤジロべー式バランス錘は鉛。実物は全長43cm(軸から針先までの実効長32cm)ー軽くて硬いアームが出来上がった。後で知ったのですが池田真さん(IKEDAブランドとは無関係でInfinity Black Widowの共同開発者)も<複合パイプによるアーム>で日本特許を得ていました(その特許ではアームの中低域に発生する分割共振が出にくいことが報告されていました)。

小山式アームはシールド線を使うとハムが出る?ので銀線の単線を使い(4本、アースを取る場合5本)裸のカートリッジに直接ハンダ付けする。

カートリッジ:

「アームコード」の項でも述べたようにMMカートリッジはコイルのインピーダンスが高く(>数KΩat 1KHz)電磁誘導性なので強磁性体のMu-Metalなどでシールドされてアースに落とす構造になっている。アースは金属アームの場合必要だが、セラミックを使ったアームは電磁誘導しないのでアースは要らないはず。オーディオの世界で磁性体の非直線性歪が話題になる前から、小山氏は振動の面からMMカートのシールドを剥く実験をしていた。小山式セラミックアームでMMカートリッジのアースをとる場合、コイルを巻いてあるパーマロイメタルから直接アースをとるのが良いことになる。左右のパーマロイコアが交わる点にアースを取る(Shureでは普通コアが上部でX型になっている)。誘導ハムが出なければこのアース自体も要らない。

MC型(<100ΩatDC-100KHz)のアースは要らないはず(その証拠にBenz-MicroのGliderはメタルカバーがない)だが何故かメタルカバーされており、シールドが浮いていると誘導ハムを拾うのでシールドをアースするか(本末転倒!)、またはメタルを剥く。

ShureのMMカートリッジME97HE (M97のEncore版)のメタルを剥いたところ、さすがに1989年モデルだけあって本体に針をさすと、針のシースメタルがメタルカバーにつながり、そこからLチャンネルにアースされる仕組みになっている。これだと、パーマロイコアも同時にアースされる巧みなやり方。メタルカバーを剥くとパーマロイのアースが浮いてしまうので、必要なら上部に抜けているバネからアースを取ればよい。

過去に剥かれた(壊した)カートリッジ達(Sony XL-50など)ー交換針があれば復活できる。

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図解5:磁気の過渡歪をとる小山氏発明CZ

Cはコンデンサー、Zはインピーダンスを持つ電磁器、Z1は使用する電磁器、Z2は歪を除くために追加する電磁器。

Z1=Z2(Z2はダミー)が理想

Z1Z2が次善

Z1が高価な電磁器の場合、Z1の直流抵抗値を測り、巻線抵抗(主にセメント抵抗)を代用しZ2とします。

Z1の直流抵抗を測り、その値にpFの単位をつけたのをCの値とします。カーリッジの抵抗値が500オームなら、C500pFをダミーのカートリッジ(Z2)につないでから並列に入れます。Z2の極性はZ1の±逆にするのが本当ですが、あまりこだわらなくても良いと思います。モノラル再生でよいなら、片チャンネルをダミーにして実験しても面白いと思います。ダミーの電磁器は秋葉原ワシントンホテルのそばのジャンク屋(国際ラジオ?)から各種入手できます(テレコヘッド、マイク、Sonovoxのクリスタル型カートリッジもある)。

カートリッジに。トランスに。FMアンテナはバルンコイルのところにCZをいれる。テレビの75Ω整合器に。蛍光灯は安定器に。コンデンサーはセラミックで100V以上の耐圧のものが望ましいが、耐圧さえ合えばマイカでもフィルムでも良い。

スピーカーに使う場合、エノキドのENACOMと同様の働きがある。ENACOMの構造は明らかでない(LCRメーターで測れない)が高調波を抑えるので、CZを使っているのかもしれない。

テレコに適用する場合は注意が必要だ。録音時ヘッドには録音バイアス電流(100KHz程度)が流れるが、時にこの電流をバイパス(減少)させたりするので薦められない。再生ヘッドにのみ使えると考えた方が良い。

但しインダクタンスの多い普通のMMカートリッジに適用した場合、<可聴域にDip><超音波域にPeak>がでるのでやめたほうが良いようだ。個人的には超音波域のPeakが脳を刺激していい音に聞こえるのではないかと疑っている。 レコードがいい音に聞こえる理由も<ある種の高調波歪が快感の原因>ではないかとも思えてくる。

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図解6:回転シェルの自作・実験(中学生レベルの自由研究)

市販されているものとは関係ありませんが、その動作を確認するために試作してみました。

ワンポイント宝石軸受けやマイクロベアリングで自作する人も居られるようですが、私は壊してしまったポータブルCDプレーヤのモータ軸受けを利用することにしました。フランジの裏に接着されていた磁石は加熱して剥がしました(加熱すると磁性=極性がなくなることも確認しました)。フランジを10度ほど傾けるとバランスが崩れ回転するので、実験用の軸受けとしては最適ではないかと思っています。

手持ちのリードワイヤー(恐らく錫メッキ線)では硬すぎるようです。4.5gの十円玉を固定したリード線の片方に立てかけてみると、片持ちなので約2gがリードワイヤの縁に架かるわけですが、短時間ではリードワイヤーは少ししか曲がらず十円玉が落ちませんでした。サイドフォースは針圧の1/10程度で0.1−0.3gのオーダーです。針先には0.1−0.3gでもカートリッジのピンは回転シェル軸中心からかなり離れることになるのでさらに小さな力がリードワイヤーに掛かるわけでそのような微小な力(数十mg以下)ではリードワイヤーは曲がりません。ポリウレタン皮膜の軟銅線の単線0.1mm径以下を使うか、水銀接点など特殊な構造が必要だと思います。今まで使ったことのあるリード線の中ではアントレーのポリウレタン皮膜リッツ線SR-48が捻じってある線構造で一番柔軟性があったと記憶するが、現在では手に入らない(自作の課題)。自重で曲がる位の柔らかさが必要に思います。

「アナログは本当に残れるか?!」の副題を持つラジオ技術1992年5月号に回転シェルRS-1の動作について「アームの研究などしたこともない」と自認する堀井資朗氏による解説が載っており、固定シェルのアームシステムと比べると軽い(カートリッジ+シェル)サブシェルにおいて「なぜ回転シェルでも低音共振が低いのか」を問い「これについては、振動系支持点から見ると、サブシェル側の慣性モーメントが意外と大きいからと解釈します」と述べています。私は @水平側低音共振はリードワイヤーによる結構固めの弾性接続になっている(もしくは回転部に抵抗がある) A上の模式図の様に針先が回転シェルの中心位置にある場合は、ダンパーが固定されている滑車=回転シェルは針先が運動(図では上下、回転シェル上では左右)しても回転しないのでアーム本体と剛性接続に近くなるからではないかと思います。リード線の硬軟の違いや回転支点からの針位置の違いについて聞き比べをやってみると面白いかもしれない。私はリード線のところで行き詰ってしまいました。

Excel ES-70 Seriesは二組の穴を持つカートリッジです。丸針が付いたES-70Sを回転シェルに付けマイクロMA-505で実験しました。サブ・シェル側に同じ二組の穴を開け、回転シェルの中心から+4, 0,-4mmの3点の針先位置が選べるようにしました。-位置は恐ろしいので止めにして、+4と0位置を試すことにしました。+位置では(堀井氏の解説のように)回転キャスターと同じ働きをするか、0位置では(私の滑車の図のように)シェルが回転しないか見ものです。この軸受けにはかなりの抵抗があり顕著な結果が出ませんでした(同心円の最終溝や無音溝plain grooveでは回転せずバイアス調整用の溝や音の大きいハイレベルの溝では回転しました)。シェル回転中心から針先約4mm位置に設定してワザとオフセット角を極端に増やした時、ゆっくりと(数秒かけて)シェルが回転し固定シェルのオフセット角位置に近くなりました。通常のオフセット角と逆方向に設定しても少しだけ動きますがオフセット角0度のPSA(=pure straight arm)のように針先・カンチレバー支点・アーム支点が一直線になるわけではなく、PSAの状態に近づくだけでした(オフセット角が15度以内の状態になるとそれ以上ほどんど動きが観察されませんでした)。ShureのKogen発案の道具を使ったWrightのバイアスについての実験(1969年HFN)ではリード線を外すだけでなくアームの水平感度も非常に少ないアーム(オイルダンプを外したワンポイント軸受けのDecca)を選んでいました。アンチスケート機構を働かさなくともアーム支点の抵抗が同じような働きをする場合があることも分かりました。アームを本質的に水平回転する力はFine Pitchを持つ大きな径の螺旋状の音溝にあることを実感します(この螺旋ネジの推力はアーム支点の抵抗など無視できるくらい強大)。余談:ターレスのアームにも回転シェルに近いものが使われています。そのオフセットを変化させる部分をバーではなく糸に置き換えた素人の実験もありますが、針位置と回転位置・糸を繋ぐ部位・糸釣り錘の重さ等については問題にしていません(やってみただけ)ー糸のテンションを高めるには重い錘が必要ですが針のdrag forceに対応するにはせいぜい2g前後の錘しか使えないのです。Huberさん発明のターレス・アームはその点よく考えられていると思います。摩擦抵抗は全ての回転部(アーム軸受・回転シェル・バイアス調整機構等)にあるので全体で設計しないといけないようです。

針先が回転軸上にある時、以下の写真のように回転しないことだけは確認できました(初期設定のオフセット角を維持する)。もともと回転シェルRS-1は針先と回転中心に距離がある構造(堀井資朗・三浦軍志による実用新案出願公開S63-113201/実用新案登録1998238)だったようで、この設定(針先と回転中心が一致)についてはラジオ技術1992年5月号では堀井氏は解説しておりません。葉山でRS Laboratoryを主催している堀井氏は後のRS-3のマニュアルで「まず、針先がサブシェルの回転中心に来るようにネジ穴を選んで、カートリッジを取り付けます。<中略> 針先がちょうど回転中心に来ない場合には、針先が回転中心より前になる位置を選んでください」と述べ「回転シェルの動作及び特性について詳しくお知りになりたい方は、ラジオ技術5月号の解説をお読みください」とあります? シェルが回転しないように設定する回転シェル?! 

次は、硬いリード線を使った時の音質チェックをしてみました。4本のハーネスが付いていては自由な回転は望めませんが普通に音が出ます。この軸受けでどの程度アーム本体への振動が遮断されるかについてはどういう実験をすればよいのでしょう?私が試作した回転シェルの構造には問題がありすぎて、振動遮断についてはもっと別な方法(カートリッジとシェルの間に弾性材や制振材を挟むなど)があるように思います。硬い部分で振動が反射して悪さをするので何処かで柔らかい弾性材料を使うことにより不要振動を吸収・消費する方法を取ることが多いようです。シェル周りのいろいろのセラミックシェルと弾性材もご覧ください。ロータリーシェルやPSAの件は憚ることが多いので英文にて一連の感想文を作りました。

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注:図解4と5の大部分は小山雅章著「レーコード・オーディオの革命」(1984年鳳書房発行)を自分なりに理解したもので、オリジナル性はありませんし、誤解があるかもしれません。

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