松村謙一
決して華麗なボクサーではなかった。極端な前傾姿勢で、パンチと頭が同時に飛んでくるようなフォーム。
ガチャガチャした動きで手数が多く、旺盛な接近意欲。
どんなテクニシャンもその前進力に巻き込まれ
力を発揮できずに負けてしまう…
そんなボクサーだった。
そんな松村が世界に一番接近したのは
アジアの鉄人、カオサイギャラクシー戦だった。
松村は当時、39勝34KOのカオサイに対して、
玉砕とも思える打ち合いを挑んだ。
不器用な松村は、相手を研究するというよりは、
自分のスタイルを貫いたのだった。
が、試合は思わぬ展開を見せる。
カオサイも相手がまさか前進してくるとは思わなかったのだろう。
松村の変則ボクシングに手を焼いている様子だ。
中盤は松村がリードする。
が、9R頃からカオサイは松村を捕まえ始め、
続く10R、左右フックで尻餅をつくダウンを奪う。
誰もが一気に試合が決まると思った…
が、松村は必死の形相で打ち合いに応じ、
終盤のポイントを奪取したのだった。
結果、判定負けを喫するのだが、
鉄人カオサイの数少ない苦戦の一つといえよう。
その後、鬼塚に世界挑戦してTKO負け。
川島の日本タイトルに挑戦してもTKO負け…
時代の流れに逆らおうと必死に現役を続行したが、結果は無残だった。
川島にストップされた時、
レフリーに「頼む」といった表情で続行を志願した。
きっと現役に対する、最後の執念だったのだろう…
警察官という安定した職を辞めてまで挑んだボクシング。
あの表情が忘れられない…
投稿
松村選手は、カオサイに2度敗れたあと
ターゲットをWBC王者の韓国の文にし、
敵地韓国に乗り込んで3度目の世界挑戦に挑んだ時、
僕は今度は必ず松村さんが勝つと信じながらTVを見ていました。
あのカオサイをあれだけ苦しめたのだから、
今度こそはと思いながら・・・
だがチャンピオンの文がまぶたを切り
負傷判定で文の勝ちという形になってしまい、
何ということだと思いました。
松村さんは計3度のダウンを奪われていたので、
当時僕は20歳だったのですが、今でもあの試合は
とても残念な結果に終わったと今でも思いだすことがあります。
3度のダウンは決してダメージのあるものではなかったし、
あのまま試合が続けられてれば・・・
松村さんは当時すでに30歳、内容的には、
本当はあれが最後のチャンスだったのかもしれませんね。
もしくは最後の世界挑戦になった鬼塚戦を、
同じ文に再挑戦していれば、と思います。
（メール・お名前不明）
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