1969年開店以来、長きに渡るご愛顧誠にありがとうございました。2015年3月末日を持ちまして閉店致します。

1969年創業以来、お客様と共に作り上げて参りました「酒場　ぎるびぃ　Gilbey THE BAR」の歴史の中でも、とりわけ思い出に残る企画がございました。

それは正にお客様と酒場が、お互いの信頼なくしては成立しなかった企画。

それを物語る証が、この程バーの入口付近にお目見え致しました。

2面に渡るパネルに貼られた、無数のラベル。これがお客様と酒場との信頼の証でございます。

`90年代後半から2000年代前半まで、年に数回、酒場ぎるびぃ Gilbey THE BARでは「おいしいお酒を飲む会」が開催されておりました。
文字通りお酒にうるさい多くの常連のお客様の中から有志数名様を募り、他では中々お目に掛かれない厳選したお酒を一同に集め、ただひたすら楽しもう、と言う主旨でございました。

約5年程続いた企画でしたが、その間飲みも飲みたり○○○本!!
今思えば良い時代と良いバイヤー、そして何より良いお客様に恵まれた故に実現出来た、唯一無二のムーブメントでございました。

総額が幾らになるか、およそ公表するのがはばかられる程の会費と研究費を費やし、毎回毎回詳細な資料を作り上げ、お客様の確かな舌に基づき、1本のお酒について夜が更けるまで閑々諤々と語りつくし、味わい尽くした銘酒の数々。

当初はただひたすらに美味しいお酒と美味しい肴をお出ししておりましたが、徐々に銘酒研究会の色が濃くなり、殊にスコッチウィスキーの分野に関しては、かの著名評論家諸氏ですら口に出来なかったであろう銘酒たちまで、片っ端からことごとく飲み干して行きました。

参加者各位があたかもソムリエのごとく、味や色、香り、樽や仕込み水に至るまで分析し、歴史の芳しさまで嗅ぎわけ、数々の名言で場を彩りつつ、銘酒を愛でながら毎回毎回夜が更けて行きました。

そんな事が出来ましたのも、店主の試みを意気に感じ、決して安くはない会費を快く(?)預けて頂き、忙しい中を縫って何度もお集まり頂いた、お客様各位の"心意気"あってこそ、でございます。

そんなお客様各位へお礼の意味を込め、また、お客様とお店との信頼を記念し、その証として、「おいしいお酒の会」でお出しした数々の銘酒のラベルを一挙に額に入れ、お店のエントランスに配置致しました。

正真正銘の銘酒の顔が揃いました。銘酒研究家の方には貴重な資料としてご覧頂けますので、是非一度当店まで足をお運び下さいませ。

また、最近ご無沙汰の"参加者"の皆様方も、ちょっとだけ過ぎた悪戯の痕跡を懐かしく思い出して頂ければ、と思います。