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協和町(平成17年10月1日からは大仙市)は江戸時代から鉱山で栄えた町で、山間部には荒川鉱山を始め宮田又沢鉱山や亀山盛鉱山など数多くの優良鉱山が点在していました。 一方で山間部は、木材となる秋田杉も豊富であり、切り出した材木を運搬するための森林軌道が宮田又沢川沿いに敷設されました。 ところが、貯木場のある羽後境駅から上荒川地区までは既に鉱山軌道が敷設されていたため、運んできた材木は上荒川地区でわざわざ鉱山軌道の荷馬車に積み替えていました。これは、森林軌道と鉱山軌道の軌間が異なっていたため、直通運転できなかったことによるものです。 しかしこれではあまりにも効率が悪いということで、大正12年に羽後境〜上荒川間に新線が敷設され、鉱山軌道が廃止になる昭和15年まで2つの軌道が並列するという珍しい光景が広がっていました。 なお同線の動力ですが、当初は馬力牽引でしたが、昭和5年にガソリン機関車となり、昭和30年代にはディーゼル機関車に置き換わっています。

路線概要

区間:羽後境貯木場〜徳瀬
規格:2級線(森林軌道)
動力:馬力→内燃
軌間:762mm
距離:17.9km
開設:大正3年
廃止:昭和42年
調査区間:羽後境貯木場滝ノ沢

廃線跡

 
起点の羽後境駅の裏手には貯木場がありました。

今でも付近に材木会社があり、わずかながら当時の面影が残っています。

道路に転用された廃線跡です。

大正12年から昭和15年までは、森林軌道の宮田又沢線と並走していました。

国道13号線との合流点です。

軌道は現在の国道13号線の位置を山裾に沿って進んでいましたが、国道の建設に伴い痕跡は消滅してしまいました。
(当時の国道は境集落の中を通っていました。)

軌道は、国道13号線と46号線の分岐点付近から46号線側に直角に曲がっていました。

左の写真は岸館地区内にある、軌道跡と思われる道路ですが、中央の舗装道が荒川鉱山専用線が通っていた道路で、宮田又沢線は道路左側の敷地(青色の車庫がある辺り)を通っていたと思われます。

軌道は、国道46号線北側の山肌に沿って敷設されていました。

所々で宅地化などにより軌道敷は分断されていますが、一部は生活道路として活用されています。

左の写真は、下荒川地区にある薬師神社の前を通る廃線跡で、右奥に見える赤い点は国道46号線を走るトラックです。

上荒川地区からは進路を北に変え、宮田又沢川の西岸に沿って進んでいました。

左の写真は、宮田地区の対岸にある軌道跡ですが、クルマの通った跡はなく近くに田畑もないことから、山菜取りの際にしか使われていないようです。

滝ノ沢地区では、沢を鉄橋で渡っていたのですが、広域農道の建設に伴い撤去されてしまいました。

写真の橋は平成12年12月に竣工した「砂子沢橋」で、橋の左にある杉の木との間が軌道敷です。

滝ノ沢集落の西側にある滝ノ沢橋に並行して宮田又沢線の橋が残っています。

生い茂っている草木の間から、石積みの橋脚と橋桁が見え隠れしている様子がわかります。
 
軌道は、宮田又沢川と集落を貫く道路との間を縫うように敷設されていました。

そして、滝ノ沢地区と徳瀬地区の中間付近では川を越えていました。

斜面には橋脚が残っていますが、高く育った杉林と同化しているため、近づかないとこれが橋脚だとは気付きません。

▲TOP2005/5/3・11/6撮影
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