旅 日 記
母の旅立ち・X
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キンセンカ
2001年01月13日 No.05号
平成13(2001)年1月13日、いよいよお通夜の日が来た。母の弟の嫁さんが朝早くから手伝いに来てくれた。私と妻は何をしたら良いか分からず言われるがままに動くしかなかった、でも我々としては助かった。
夕方6時からお通夜であるが、午後3時半頃より移動を開始した。葬儀社との打ち合わせ等を行い、6時ジャストにお経が始まった。参列者は思った以上に多く母の付き合いの状況が分るような気がした。
そして告別式である。平成13年1月14日・朝10時スタートであるが、その前に写真を撮るとの事で9時半に集まった。カメラマンは形良く撮ろうと思っているのか細かく指示を出していた。やっとお経が始まった、お焼香が終わり最後のお別れが始まった、花をお棺の中に入れ母に “どうもありがとう” と声をかけた。
そして喪主からのお礼の言葉に移った。
本日は亡き母、ハルの葬儀にあたりまして、ご多忙中の所、多くの方々にご会葬頂き厚くお礼申し上げます。生前には踊りが好きで“すみれ会”の皆さんには大変お世話になりました。又老人クラブの皆さんにも大変良くして頂きさぞかし故人も感謝している事と存じます。本当にありがとうございました。
又故人は一昨年入院する直前まで和裁をしており、針供養では当正受院には毎回足を運んでおりました、これも何かの縁でしょうか。
私がまだ若い頃、今から34〜35年前の事、海外へ出張が決まり、私は一人っ子でもあり母は非常に心配をしたと思われました。しかし母は何一つ反対をするわけでもなく送り出してくれました。
現地に着き一週間位して、たまたま薬箱を開けて見たら、中から一通の手紙が出て来て、それを読んでみると。 “宗武には(私の事なのですが)出発前にいろいろ言っても頭の中に入らないだろうからここに書いておきます” と私の良いところ、悪いところ、注意するところ、がいろいろ書いてありました。その時私は “何とすばらしい母親” であると感心をしたのです。私の為、結婚をして家族の為、世の中の傘になっているのだと思いました。森進一さんの歌 “おふくろさん” を思い出しました。
その母親が新しい旅立ちを、今しようとしている所です。私は言ってやりたいと思います。 “いってらっしゃーい”
しかし薬箱の中に入れてあげる物が私にはありません “ごめんなさい” でも母の事ですからきっと旅先で何かを見つけることでしょう。

シラン
この様な母が旅立ち、残された私共遺族に対しましても故人同様のご厚誼、ご鞭撻を賜ります様、宜しくお願い申し上げます。 本日は誠にありがとうございました。
完
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