U、すすむ基地の拡大・強化
1、 新滑走路建設で1.4倍化の拡張計画
3、 事実上の滑走路の二本化 4、大型艦船も接岸可能な岸壁も建設 現在岩国港にはない新しい港湾施設も建設する予定です。水深13メートル、長さ360メートルの岸壁(シーバース)が新設されます。このシーバースは大型艦船が接岸できる国内最大のもので、佐世保基地の強襲揚陸艦ベローウッドも接岸可能となります。大型艦船用のシーバースガ建設されると、輸送能力も飛躍的に高まり、海兵隊の出撃基地としての岩国基地はさらに増強されることになります。 5、ヘリポートも増設 6、なぜ今「滑走路移設事業」が @ 事故、騒音の軽減 7、「移設」より撤去が住民の願い しかし、滑走路が1キロメートル沖に建設されることによって、これらの問題が根本的に解決されるわけでしょうか。 8、海兵隊出撃拠点強化のねらい 基地を1、4倍化し、新しい滑走路、港湾施設、ヘリポートを建設するこの「移設」事業は、海兵隊の出撃拠点を強めるための計画なのです。 9、基地移設で藻場、干潟も消滅 「移設」事業で基地沖215ヘクタールが埋め立てられることにより、貴重な藻場42ヘクタール、干潟41ヘクタールが消滅します。
干潟は周辺海域に約135ヘクタールありますが、その約31%が消滅します。広島湾全体では、349ヘクタールの干潟がありますが、その約10%が消滅することになります。 自然環境に及ぼす影響は重大です。ところが防衛施設庁は瀬戸内法に違反しないとして、強引に埋め立てを進めています。 10、基地拡張のための愛宕山開発 防衛施設庁は、基地拡張のための埋め立て土砂は地域開発計画と連動させて入手するとして、山口県や岩国市にも負担を迫っています。そのために山口県と岩国市は基地拡張事業に必要な土砂を搬出するために、市街地に隣接する愛宕山を削り、大規模な住宅団地の開発に取り組んでいます。 この開発事業は山口県住宅供給公社が事業主体となり、総事業費は750億円もかかります。高さ120メートルの愛宕山を50メートルの高さまで削り、約105、7ヘクタールを開発し、約2,235万立方メートルの土砂を搬出する計画です。その跡地には、1500戸約5600人が住む住宅団地が作られようとしています。 開発規模もスケジュールも基地拡張計画に連動する、まさに基地拡張優先の計画になっています。 11、不安がいっぱいの開発計画 2000年2月から土砂を搬出するため、現在全長3、4キロメートルのベルトコンベアーが国道188号線、山陽本線をまたぎ、岩国特産のレンコン作りの田んぼの真中を横切って設置されています。ベルとコンベアー設置のため19戸が立ち退きました。この開発計画事態も問題点がいっぱいです。山を削るため排水対策に住民の不安の声があがっています。また財政問題も深刻です。搬出する土砂は469億円で国が買い取り、収支は850億円でつりあうとしていますが、もし宅地が完売しなければ、赤字分は山口県が3分の2、岩国市が3分の1を補填し、住民の負担となるのです。岩国市の人口は毎年減少しており、見通しはまったく不透明なものとなっています。 また、開発区域内の道路、公園、下水道などの関連事業に山口県と岩国市で約50億円の負担が決まっています。岩国市の財政危機に拍車をかけるこの計画のため、市民の切実なくらし、福祉、教育の要求が後回しにされつつあります。 そして、市街地の大切な緑である愛宕山がなくなることにより、環境の変化も心配されています。さらに、基地拡張工事などで地元にも経済効果があるのではと一部に期待の声もありましたが、地元企業への発注はわずかで、大部分は大手ゼネコンが独占しました。基地拡張で米軍と大企業だけが喜んでいるのです。
1996年米軍岩国基地の拡張が始まったのとほぼ同時期に突然起こったのが沖縄の普天間基地からの空中給油機部隊の岩国への移駐問題です。 1996年4月15日「沖縄に関する特別行動委員会の中間報告」(SACO)で、普天間基地から12機のKC130空中給油部隊とその支援施設を岩国に移駐させるという計画が発表されました。 KC130空中給油機は多量の航空燃料を積載し、事故が起これば大惨事となります。米本国では空中給油機部隊のいたプラッツバーク空軍基地を、市街地に近いということで閉鎖しているのです。 さらに移駐により米兵が増えることも明らかになっています。岩国市議会も全会一致で「沖縄・普天間基地の岩国移転に反対する要望決議」を行いました。 普天間基地の空中給油機部隊の岩国移転計画が発表された直後は、岩国市長も「いかなる移駐にも反対する」というコメントを発表しましたが、その後態度を変え移駐を承認することを明らかにしました。 基地拡張工事、普天間部隊の移駐問題が起きる中結成された「平和な岩国をめざす会」が呼びかけた「普天間部隊の岩国への移駐に反対する」署名運動には、一万人を超える署名が寄せられ政府交渉を行いました。 13、基地のたらいまわしでなく縮小、撤去を 普天間部隊の岩国移駐は米軍の出撃拠点としてますます重要になっている岩国基地の明らかな機能強化です。 そして普天間部隊の岩国移駐は、基地の縮小・撤去を求める沖縄県民の願いも踏みにじる、基地のたらいまわしです。 「もう犠牲の押し付けはごめんだ」これが住民の声です。沖縄と連帯し、「基地の縮小・撤去」の世論と運動を強めることがますます重要になっています。 |