No.29

俺が同田貫と名物コンビになるまでの話 01

※男主、最終的にBL夢の予定

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卓袱台を挟んで俺の目の前に座るオジさんは、緑茶で口を湿らせて、ほうと息を吐く。
それから積まれた饅頭に手を伸ばした。

それを見て、俺も饅頭を手に取る。
包装紙をペリと剥がして、口に含む。

うまい。

口の中に広がる漉し餡の滑らかな舌触りが、とても心地良い。
そして目の前に広がる庭。
梅や桜の木々が、とても風流というか、風情があるというか、まあそういう風に植わっている。
こんなふうに呑気に茶を啜り饅頭を食っていていいのだろうか。

「……で、お前さん本当に何も覚えとらんのか?」
「覚えてるも何も、“マジで何も知らない”としか言えないんだけど」
「そりゃあ可笑しくないか?俺からしてみりゃあアンタは主としか思えない」

同じく卓袱台を囲む、黒く、鋭い雰囲気の男、ドウダヌキ?とかいうヤツが、ギラリとした三白眼を向けてくる。普通に怖い。

「それ一昨日から何回も言ってるけどさ、ほんとに俺はその、サニワ?とか知らん」
「一時的な記憶喪失かもしれんなあ」
「それも言われたけど、俺としては普通に生活してた覚えしか無いんだってぇ、何回も言ってんのにさ、やれサニワサマが~セキニン~って意味わかんねーのよな」

態とらしく溜息を吐き、コトリと軽い音を立て、ドウダヌキが湯呑を卓袱台に置く。
それから、話を仕切り直すように口を開いた。

「何遍も話させて悪りぃけどよ、職員に保護された時の話を教えちゃくれねえか。俺とオッサンは人伝にしか耳にしてねえから、お前の口から聞くべきだと思う。」
「あー…確かに、その辺の話は大まかにしか聞いとらんなあ」

超絶めんどい。でも、これが解決の糸口になるかもしれないし。
政府の職員とかいう人たちより、オジさんとドウダヌキの方がちゃんと話を聞いてくれそうだし。
温くなった緑茶を口に含んで、苦味で口内と頭をスッキリさせてから、俺は話し始めた。

「一昨日の夕方にコンビニ行ったんけどさ――」


#夢小説 #刀剣乱舞