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マックスは蜂も飼っている。「蜂は彼の情熱なのよ」とトゥルーディ。友人から巣箱をもらいうけ、今後も更に蜂の数を増やす予定のようだった。蜂蜜は1年間で約600kgにもなる。クリスタルウォーターすべての世帯の蜂蜜を自給できそうな量だ。パンにつけて食べたが、そのおいしいこと!はちみつってこんなにさまざまな味や香りがするものなのだ、と感動した。
蜂のほかに、牛も飼っている。昔は羊も飼っていたそうだが、ディンゴ(野生化した犬)に食べられてしまったそうだ。牛は柵で23区画に仕切られている土地を1〜3日ごとに移動させる。3〜9週間後に一周して戻ってくると、また牧草が生えそろっているというわけだ。こうすることでオーストラリアの多くの放牧地で問題になっているような、過度な土地利用によって不毛の土地になることはない。敷地には牛が木陰でやすめるように、120本のナッツの木が植えてある。牛の糞が肥料になり、秋には山のようにナッツがとれる。ウーファーに手伝ってもらったりしながら、収穫し、1kg単位で販売するそうだ。
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マックスが自分で運営しているエコロジカル・ソリューションズのオフィスは自宅の1階にあるので、毎日の通勤に化石燃料も必要ない。マックスは世界のあちこちでパーマカルチャーコースを教え、持続可能な土地のデザインをし、GEN(グローバル・エコビレッジ・ネットワーク)のオセアニア代表も勤める。海外から帰ってきた夜も遅くまでパソコンに向かっていた。朝は4時半から牛の世話や畑の作業をし、日中は事務所で働き、夕方には草刈りをするなど、まさにスーパーマンである。そしてそれがぜんぜん辛そうでなく、生き生きと作業している。「やることはたくさんあるけれど、僕は楽しんでやっている」とマックス。 |
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クリスタル・ウォーターズのデザインをマックスとロバート・タップが始めたのは1981年だが、開始当初は木が全く生えていないような状態だったという。昔の写真を見せてもらったが、なにも生えていない丘が森になっていた。ビレッジ内には貯水池(ダム)があちこちにあるが、それもパーマカルチャーデザインによってつくられたものだという。オーストラリアではここ数年、どこも水不足が問題になっているが、クリスタル・ウォーターズではまだ一度も水制限を設けていないという。数年分の水をしっかりとダムで貯めてあるからだ。異常気象の続く中、パーマカルチャーやエコビレッジの底力を感じた。しかし長年の旱魃で、今年1年大きな雨が降らないとそろそろクリスタル・ウォーターズでも問題がでてくるとのことだった。
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クリスタル・ウォーターズでは、さまざまなイベントが1年中行われている。毎月土曜日に行われるコミュニティカフェ、毎週金曜の夜のムービーナイト、毎月第一土曜のマーケット、クリスマスパーティ、設立記念日、パーマカルチャーコース、ヨガやセラピーなど住人による教室やワークショップ、夕食会や誕生日会、などなど。第一土曜のマーケットにも参加したが、住人や外からの訪問者で広場がいっぱいだった。青空の下、バンドの演奏が流れ、カフェやベーカリーではおいしくて健康的な食べ物が出され、幾人かの住人達で運営されている小さなお店には様々な手作りの工芸品や書籍が並ぶ。古着などをマーケットで販売している人や、クリスタル・ウォーターズで作っている野菜の販売、苗木屋さん、青空散髪屋さん、原子力反対署名や地域通貨のブースなど、あっちもこっちも賑やかだ。子ども達も元気いっぱいに裸で走り回っていた。 |