連載 「持続可能な暮らし方 in オーストラリア」
<目次>

オーストラリアからのメッセージ
   〜持続可能な社会に向けて  日本のみなさんへ〜


エスター・ポックランド  マレーニ、カウンセラー
日本の若い人たちの間に、自然にシンプルに生きることに対する興味があるということを聞き、私は喜びでいっぱいです!特にあなたたちが自分たちの文化の知恵、土地の知識、コミュニティの暮らしを見ようとしていることに、胸が高鳴ります。他のアジアの国々と同じように、日本でこれらの知恵は年配の方々と共に生きています!彼らからこそ最も学ぶことがあるでしょう!

先進国である西洋の国々は、本から学んでいます。自然のリズムやサイクルとどのように暮らしていくべきかという深い知識や技術は、古老と共に亡くなってしまったのです。私たちは「パーマカルチャー」という用語を発明しました。けれどパーマカルチャーとは、何世紀にも渡って先人が自然に実践してきたものなのです。そして、その知識は実践と言葉を通して、何世代にも渡って受け継がれてきました。

田舎に暮らす知恵を持った古老を探しに行ってください。そして古老がその知恵を持ったまま亡くなってしまう前に、共に暮らし、彼らの傍らで働き、その知恵を学んでください。本を書いたり、理論を組み立てたり、週末にワークショップを開いたりして、時間を無駄にしてはいけません。手遅れになる前に、外に飛び出し、実践してください。星の見方や、鳥、雑草、風、自然の香りを、古老から実践と共に学んでください。

もしあなたが朝起きるために目覚まし時計が必要ならば、あなたは自然のリズムではなくまだ頭の中で生きているということです。 幸運を心より祈っています。
愛と笑顔を込めて
Ester Pockrandt
エスター ポックランド

マックス・リンデガー  クリスタル・ウォーターズ創設者
たった14uの土地があれば、一人分の野菜を作ることができると知っていましたか?

変化は上から来るものではありません。変化は、手を汚すことを厭わず、汗をかき、変化の一部を担おうとするような人々からやって来るものです。指導者たちは、そのような人々の後につづくでしょう。

緑の惑星は可能なのです。
希望を込めて
Max Lindegger
マックス・リンデガー
クリスタル・ウォーターズ

イアン・ヒギンボトム カスケード・コハウジング創設者
全ては可能だと知ろう。
全てはコミュニケーションで解決できることを知ろう。 コミュニティを創ろう‐コミュニケーションを通して持続可能性を発展できるだろう。 特別なものであろう‐すでにあなたは特別な存在だから。

新しい可能性を開き、あなたが大切に思うことに対して効果がでるよう、ランドマークフォーラム(www.landmarkeducation.com)をやってみよう。

有機野菜を食べよう−もちろんのこと。
愛を込めて
Ian Higginbottom
イアン・ヒギンボトム
カスケード・コハウジング、タスマニア

ビル・モリソン  パーマカルチャー創始者
みみずになるのは良い考えです。いろんな残りものを食べ、地面に肥料を残しましょう。みみずは決して水洗トイレを使ったり、新聞を読んだりせず、主に夜働きます。彼らは電気もいらなければ、眼鏡もいりません。彼らは、高層ビルや家を建てたりしませんが、植物の根っこに酸素をもたらす小さな横穴に住んでいます。

そうだ!そうだ!みみずになりましょう。みみずはベジタリアンではありませんが、すべてのものを食べます。みみずになり、謙虚になり、野心を抱かず、目立った消費者ではなく、静かな暗闇の働き者になりましょう。すべてを食べましょう。

そうすれば世界は自ら見事な木や潅木、花や草を創り上げるでしょう。
どこに何を置くべきかを教えてくれるパーマカルチャーを勉強してもいいでしょう。
幸運を
Bill Mollison ビル・モリソン
タスマニア

リサ・モリソン   タガリ出版、ビル・モリソン パートナー
何百万ガロンの雨水が屋根の上に降り、すぐに配水管を通り、海へ流れていってしまう場所が、世界にはあります。 この水は永遠に失われてしまいます。この豊かな資源をタンクに溜め、将来使うために保管することが、今日、まだ人々によって行われていないからです。

世界では、いくつもの興味深いことが行われています。学びつづけましょう!そして、1日1日を楽しみましょう。 あなたの愛する人は、明日には いないかもしれないのです。
心から
Lisa Mollison リサ・モリソン
シスターズクリーク、タスマニア

ピーター・べレッツ  ブンダジェン・コミュニティ
持続可能な暮らしは、もちろん可能です。アボリジニーやニューギニアン、コンゴのピグミー、カラハリのブッシュマン、アマゾンのインディアン、エスキモー(イヌイット)などの狩猟採集民族が、それを証明しています。彼らは平等主義の社会でシンプルな技術を使い、彼らの地域の環境容量を理解し、畏敬の念を持って自然と関わってきました。

社会の問題は、貪欲や権力欲という人間の習性によるものです。 封建主義や帝国主義、資本主義のような階級社会は、社会・経済的な不平等、人と自然からの搾取に基づいています。

強く新しい技術の保有によって、人間そして多くの自然にとっての持続可能な暮らしのための環境を破壊しています。地球温暖化に関しても、私たちは急速にやり直しのできない地点へと向かっていっています。数多くの深刻な災害も起こっています。

あなたとあなたの子ども達の世代において、これらは全て起こってきます。あなただけがこれを解決できる、そして解決しなければならない人なのです。一個人は部分的に持続可能な暮らしを達成することができますが、アングロアメリカン市場の資本主義システムに対する地球規模の変革がなければ、私たち全員にとって未来はないのです。

元気をだしましょう、物事は悪くなるしかないのです!(笑)

それでもなお、福岡正信さんのやり方(自然農法)や沖縄の100歳以上の人々のことを学ぶことは、価値があるでしょう。
幸運を
ピーター V  Peter V
ブンダジェン

ピーター・コックスヘッド 電気を使わない暮らし実践者
あなたがこれを読んでいるということは、すでに自然を近くに感じ、もっと持続可能な暮らしや、もしかしたら田舎に暮らすことに関心を持っているということでしょう。

それをどのように行っていけば良いか、確信が持てないかもしれません。けれどそれは思うよりも簡単なことなのです。多くの人はできるだけ早く多くのことを達成しようとします(そして失敗することも多いのです)。けれど、私からのアドバイスは小さな目標をたくさん立てることです。そしてたくさんの小さな変化を起こすことです。

優先事項は、あなたの需要に沿っているべきです。
まず、空気(ないと数分しか生きていられないから)
次に、水(ないと数日しか生きられないから)
そして、食べ物(ないと数週間か1〜2ヶ月しか生きられないから)
そして、体温を一定の温度内に保つこと(夏はすずしく、冬は暖かく)

内面的な平和のためには、上記の四つを自分で満たし、そして人のためにできることを何か探すことです。そして、そういったことができるようになったら、自然について考える時間ができるでしょう。

<消費を減らすことについて>
自分が使った円のすべてを書き込める家計簿を持つことをお勧めします。食べ物、家賃、娯楽、衣類、他・・・といった欄を設けるのです。そして月に一度、その合計を見て、自分自身でこう考えるのです。
これをなくすことはできないだろうか?
これを自分で作ることはできないだろうか?
この必要性を減らすことができないだろうか?
これは・・・? これは・・・?

<肉体労働について>
肉体労働は健康、幸せ、そして人生に対する前向きな姿勢を創り出します。重労働の初めの3〜4日は、あなたの身体を試し、そして何よりあなたの心を試すでしょう。重労働を始めて1週間が過ぎる頃には、あなたの姿勢は前向きになり、もっと幸せになり、自尊心が高まるでしょう。 ある時、私の家で滞在した人々にここで学んだことを聞いてみました。パン作り、石鹸づくり、柵づくり、そんな技術が答えとして返ってくるのではないかと想像していました。けれど返ってきたのは、自尊心、自信、決断力など・・個人的に達成したことの長いリストでした。

<出産と誕生、そして今を生きること>
人は今を生きることが少なく、自分自身の人生を映画のように眺めていることが多いように感じます。

私たちが生きる文化での出産は、自然な出産経験から程遠いものです。これはよく病院で行われます。まぶしい光、病院の殺風景な雰囲気、金属音の反響する部屋、エアコン・・・・。赤ちゃんの到来は、多くの場合、お母さんの痛みを軽減するために、引っぱり出されることから始まります(そしてお母さんは「一生の中で一番ひどい痛み」だと聞かされてきています)。しばしば医者の満足のために誘発剤も使われます。赤ちゃんは金属性の鉗子で頭を挟まれ、母体から引き出されます。そして「自由」になった途端、口喉と鼻腔に異物があった際に取り除けるよう、金属製の吸引パイプを押し込まれます。多くの場合、呼吸を促進するために赤ちゃんは泣くように仕向けられます(まだ泣いてなかった場合)。最終的には赤ちゃんは洗われ、お母さんに抱かれます。子宮の中での生活と子宮の外の生活の差が、あまりにも大きいのです。

一度生まれた後、人はその(産まれた時の)経験の意味を理解しようと、過去を見つめることに多くの時間を割きます。そしていったん過去を理解したと思ったら今度は未来へ意識が飛び、いかに物事(人生)をよりよくできるか計画します。決して物事が起こっている人生のこの瞬間を真に気付かないのです。

その一生を通して、人は時に真の「今」を経験することがあります。この経験は本当に素晴らしいものです。その色、とても鮮やかで、その音、とても澄み切っています。あまりの素晴らしさに、人はその一瞬をしっかりつかまえておこうとします(そしてその次の瞬間には、人は過去を握り締めているのです)。

ただあるがままに
今を生きる

ピーター・コックスヘッド
Peter Coxhead
タスマニア

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